2015年1月7日
状況は最悪だ。
ノックも無しにやってきた「お客様」は礼儀というものを知らない。
その「お客様」は遥か空の彼方、「宇宙」からやってきた。
こっちの話を聞く耳すら持たないどころか、出来の悪いSF映画なんかに出てきそうなプラズマ兵器だのを振り回して人間たちを攫って行く。
こんな事態に国がまともに対処できるわけがなかった。
連合軍を組めと言うのは容易い。
だがトップは?指揮系統の連携をこの混乱の中取れるか?
いいや出来はしないさ、何処も自分を守るので手いっぱいだ。
いよいよもって進退窮まったかと思われた中「その男」は言ったんだ。
「正義の味方、やっちゃおうか。」
XCOM管理官 ブラッドフォードの手記より
同日 5時15分 XCOM作戦室にて
その青年は不機嫌だった。
本来であれば本日婚約者と挙式する予定だったが、彼の家に突然やってきた「お客様」の都合で北米にあるXCOM本部に連れてこられたのだ。
といっても彼を訪ねてきた「お客様」は人間だっただけまだマシだろう。
彼からすればどっちにしても日常を壊しに来た「厄介者」だが。
クセはあるが艶のある黒い髪と深い黒の瞳
20代にしては少々華奢な体つきと中性的な顔つき
その容姿に誰もが騙されそうになるが、低くも透き通った声
塚本タケ
今日この日をもってXCOMの司令官となる人物だ。
彼は今、立体モニターを通じてXCOMの創立者と会話をしている。
「話は分かりますよ。今ここで貴方の言う(正義の味方)とやらがやらないと人類が滅びるかどうかの瀬戸際だっていうのは」
理解はしているが納得はしていない。
本当なら「かち喚きたい」のだろうがタケ自身 今の世界の状況をよく知っているためあえて態度には出さないのだろう。
モニターに映し出された人物・・・。
とはいっても顔は見えない、映像加工か何かで顔を隠しているのだろうか?
この通信をエイリアン側に盗聴されないとも言えないのであえてそうしているのだろうが、それが今のタケを余計に苛立たせていた。
「何故自分が?と聞きたいようだが。こういった人類の未曾有の危機に対抗すべく如何なる国家や思想、宗教にも影響されない軍隊を率いるに値する人間に貴方が選ばれた・・・勿論、適当ではありません。全世界で実施した「テスト」において貴方は最良の結果を出した・・・では納得がいきませんか?」
「機密とはいえ本人の同意もなしかい?いまどきジャパニーズヤクザだって契約書の隅っこの方にミニマムな文字で契約者の都合の悪いことを「一応」記載していますよ。皆が皆目の前にガンダムがありゃ喜んで乗ってザクと戦う道を選ぶんじゃないんですよ全く・・・。で?どうせ他に手を挙げる人が居ないんでしょ?やってやりますよ!えぇ、やってやりますよ。ただし条件があります」
早口でまくしたて頬を紅潮させタケが提案した条件それは―
「私の婚約者 如月文香との結婚費用はそっち持ちですからね!」
「・・・・はい?」
創立者は思った。こいつ結構乗せやすい馬鹿なんじゃないかと。