以外とリーシャとアウラの相性は良かった。
(恐らく、人間とエルフでは妖精が干渉するときの抵抗値が違うのだろう。俺が打った時は長いあいだ眠り、なおかつスイートロールを5個も食べたが、リーシャの場合は一戦ごとにスイートロール半分を食べるだけで良い様だ。しかも俺の場合は神様とかスキルとかもあるから更に干渉しにくいんだろうな。)
かれこれ、5戦くらい3から4体くらいの群れと戦っているが。特に消耗も無く進んできた。次第に補正無しでも良い射撃ができる様になってきたのも大きい要因であった。
漸く半分位の地点、洞窟が剥き出しの地点まで来た。
「やっと半分くらいか。」
「未だ半分なの〜?」「そうですね、少し長い気がします。」
「まあ、実際結構広いし、戦闘もしてきたからね。普通に歩くのよりは疲れていると思うよ。
ちょっと此処で休もうか、もう日もくれてきた様だしね。」
「なんでわかるの〜?」「そうですね、不思議です。」
実際メニューの時計やマップを確認しながら来ているので、他にも隠し通路や、普通は気づかない様な近道なんかも使っているので結構不思議がられている様だ。
一応、空気の流れを読んでいるとか、少し高価だった、時計を見せこれで時間を見ているとか言っている。
理由としては、未だこの時代個人で正確かつ全ての場所の地図を持っている様な人は居ないからである。
軍事用の物や周辺を表す小さな地図はあれど、正確なものはほとんど無い。
もしそんなものを自由に何時でも見れると知られたら?どうなるかは想像に難くない。
そんなことは置いておいて、実はこの墓地、ゲームの頃より2から3倍ほど広くなっている。
理由はわからないが、ロード画面だった所や構造的な矛盾があってもシステム的には別次元だからということで短くなっていた所なんかがリアルに再現された時に、伸びたり縮んだり膨らんだり萎んだりした結果なのだろう。
(ゲームでは、実際マップで確認できる洞窟や砦などのダンジョンの間隔と、その地下空間との齟齬が指摘されていたなあ。)
そんな益体もないことを考えながら、野営ようにテントを建てているケールムだった。
テントは数分で組み上がったが、一人用である。実際には二人位入れないことも無いが、相当密着しないとキツイだろう。という事で、見張りと寝る人を交互にする事にした。
暖かいスープを飲みながら、石に腰を掛けて二人と、一匹?で話し合う。
「さあ、誰が最初に見張りをする?」
「じゃあ私寝るね〜。」
「うん、わかってた、知ってたけどなんか納得いかない。」
「じゃあ、私が!「いや、やっぱり俺がやるわ、ゆっくり寝なさい。」すいません、ありがとうございます!」
最早、話し合う意味はあったのか?そう思いつつ、荷物を片付け、床にルーンを刻み、念のため『炎の従徒』
を召喚しこの場所の守護を命じる、そして紙とインク、桶、空ビン、砕けた魂石、ペン、各種回復系のポーション、ドラゴンの血、魔法の威力アップ系のポーションを取り出し実験を開始する。
一体何をしようとしているのかと言えばズバリ魔法のスクロールの試作と改良である。
作中でも、魔術師が魔法のスクロールを作ったり、改変したりしていたので自分もやってみよう!的なノリである。
見本のスクロールを見ながら術式、ルーン、魔法言語、力の言葉などの知識をフル稼働させ解析、理解していく。
そして、書き込み、使用、書き込み、使用という風に一晩中続けていた。お陰で的になった地面や、ちょっと先の方のドラウグルがめためたになってしまったが現状最高の道具ができた!
ドウン!!バーン!!!
凄まじい轟音と揺れによりリーシャとアウラは飛び起きた。
「な、何事ですか!?」「なんだりょう〜にぇ〜?」
外に出ると、穴の開いた地面やおびただしい数のドラウグルの死体や魔物の屍そして多量の紙が落ちていた。
「何でしょう?」
「かすかに、魔法の跡があるよ〜?そういえば、ケールムがいないね〜?」
「居るよ、ここにね。」
「「ほあ!?」」
突然背後から現れたケールムに驚く二人、そして、次にその手に持たれた無骨な本に気付いた。
「それは一体何でしょうか?」
「すごい!バカみたい!あははははw」
「え?なんですか、アウラさん解るんですか!?」
驚いたり呆れたりしている二人にケールムが深夜テンションで作り上げたこの厨二病力満載の本の説明をし出した。
「これは俺の作った、魔本、中身は魔法の呪文や力ある言葉が発動する前段階の状態で封入されてる、
原材料は魂石の砕いたものと竜の血を混ぜ込んだインクと、各種ポーションと竜の血に付け魔力を注いだ紙だ、表紙の部分は竜の革、骨、鱗が使われてる。」
「はあ?竜?ドラゴンですか!?」
呆気に取られるリーシャ。
「そう!ドラゴンはその巨体を飛ばす為やスゥームの精製、魔法の発動の為に空気中からマジカを人間や他のどんな生き物よりも多くそして素早く吸収し体内に溜め込んでいくんだ。そして、それをふんだんに使ったこれもドラゴンと同じくその性質を持って居て何度でも使えるんだ!それに既に前段階の状態だから魔法名と少量の自身の魔力で発動できるから燃費もいいし、隙も少ないんだ!」
「でも、今のままじゃその本に、マジカはそんなに多く入らないよ〜w管理するほど複雑な術式も見当たらないし〜?」
そして、珍しく頭よさげな発言をするアウラ。
「そう!だから今からこれに魂を入れるのさ。」
「「魂を?」」
「そうさ?」
「まってね〜、ていうことは竜の魂かそれに近い高位生物の魂があるってことだよね〜?」
「持ってるよ、竜の魂。」
「・・・・・・・まさか、ドラゴンボーンなの〜?」
「そうさ!」
最大に近い秘密をさっくり明かしてしまう、ケールム、言ってからしまった的な顔をするがもう遅い。
寝てない為かそれとも色々し続けていたからか思考力が極端に落ちていた為なのか大変残念な主人公に成っている。
その後根掘り葉掘りアウラが中心と成って聞かれ、結局白状した。
「まあ、もういいでしょ、ね?」
少し疲れた様子のケールムは気を取り直し魂を本に封入した。
眩い光と咆哮の様な音とともに本に名が入った。
《我が名はミルムルニル我が全ては我を打倒せしめた勇者の元に!》
「ああ、よろしくね。そして今日からこの本は『魔本・ミルムルニル』とする。」
《イエス!マイマスター!》
こうして、新たに武器であり、意志を持った僕であるミルムルニルがたんじょうした。
ロマンだよ。浪漫。