早速ホワイトランに帰り報告をしていると帝国へ派遣されていた吟遊詩人(スパイ)からの情報が届いたらしく。なんと残りの勇者達がグレイビアードの元へ動き始め、帝国のスカイリム前線基地とも言えるソリチュードにかなり高位のデイドラが顕現し、いよいよ戦争らしい動が見えて来た、が。逆に不自然なくらいストームクロークの動きが感じられずそれも不気味であった。今ホワイトランは、帝国、ストームクロークどちらにも付かず中立を保っておりどちらの動きも警戒しなければならない。
今回は、三つの選択肢が出たのでとりあえずケールムはセーブをし、ひとまずグレイビアードの方へ行く事にした。いつも通りドラゴンズリーチの大広間から空間を切って行く。
装備は前回から変わっていないが、アイテムのじゃない、ただのポーチの方を新調し更にとある改造をした。
「あの、何だかポーチがウネウネしてるんですが?」
世界のノドを登りながらリーシャはケールムのポーチが動いている事に気付く。
「ああ、これはなこの前拾ったウネウネをフラスコに入れて新しいバッグに詰めて培養してたらこうなってた。」
ケールムは呑気に答えるが、ウネウネとはハルメアス・モラの切れ端である。
後、改造というのはケールムのアイテムとバッグの一部を接続しただけで、このウネウネは関係無い。
『何やってんですか!?』
「本当です!もっと徹底的に滅したりしたほうがいいですよ!」
ミルムルニルとリーシャはウネウネを育てるのに反対のようだ。ぶっちゃけ普通なら得体の知れないデイドラの破片を育てようと思うとは思わない、しかし、転生前までは普通だったおじさんは違う。
「いや〜、伸びる剣とかよくね?それになんか壊したらそれはそれでヤバい気がするんだよな。」
『別に伸びなくてもいいじゃ無いですか!それに武器なんてその刀二本と魔法で十分でしょうが!』
【そうだぞ〜!私の出番を減らすな〜!】
色々と文句を言われながらもケールムはポーチを閉めしっかりと抱えて「やらせはせん!やらせはせんぞ!」と叫びながら文句(物理)を避けながら修道院近くまでやって来た。修道院の前まで来るとケールムの左眼のレーダーには、麓に『勇者達』が来たのを示す光点が見えていた。
「もう少し遅く報告が来てたらやばかったな。」
『そうですね、新調した探査魔法とソナーにも捉えました。『勇者』はけっこう独特な反応ですね。』
「お二人共今は何処まで常に捉えてられるんですか?」
「俺は半径10㎞以上?かな、正直判らん。」
『私は、上下は世界のノドギリギリ、半径はイヴァルステッドがギリギリ入るくらいですね。後大きさの単位はまだ揃ってないので通じませんよ、主さま?』
「そういやそうか。」
アウラ全然喋っていないが登っている時から寝ているだけなのでリーシャのポーチの中にきちんといる。
ケールムのような人外やリーシャの様に身体能力の強化をしている人が朝から登っても日が暮れてしまっているので今日中に襲撃が来るというのはかなり無理があるだろうと考え、此処で勇者を迎え打つ為陣や罠を書きつつ野営の準備をする一行、一通り終わると既に夜、ケールムは寝なくても大丈夫なのでグレイビアード達に話をしに行く事にした。
「リーシャ、ミルムルニルちょっと留守番よろしく。」
「『はーい!』」
そう言って扉を開けると、鍛錬や修行によって少しずつ造られたキズが残る石の床や壁、そして、その中央の広場には座禅を組み精神を研ぎ澄ますグレイビアード達が居た。
「御目にかかれて光栄です。グレイビアード。」
珍しくきちんと挨拶とお辞儀を描写されるケールム。
「何もそう畏まらんでくれ、ドラゴンボーンよ、既にお主は達人にも近いスゥームとマジカのコントロールを身に付けておる。」
そして、一目見ただけではわからないくらい同じ様な顔をしたグレイビアードの一人アーンゲールが頭を上げる様促す。
頭を上げたケールムは取り敢えず二日三日此処の前に野営させて欲しい旨を伝え、グレイビアード達は特に反対もせずそれを許した。
許可は貰ったのでケールム達は認識阻害の陣を引き自分たちの野営地を隠した。
「このまま何事もなく勇者達を一網打尽に出来るといいがなあ。」
『何か心配でも?』
「ああ、ドラゴンとストームクロークだよ、最近めっきり話を聞いてない。」
そうやって夜の火の番をしていた二人だったがレーダーと索敵魔法に大きな三つの影が映った。
「どうやら、嫌な方の勘が当たったかな?」
『敵影、イヴァルステッド上空、ドラゴン2体、その上位存在一体を確認!勇者達を襲っている様です!?』
「マズイな、多分上位の方はアルドゥイン、後は取り巻きだろうが、『勇者』の力が詰まった魂を取り込まれると厄介だな、リーシャを起こしてくれ、俺は先に降りる。」
『了解!取り敢えず遠距離から援護しつつ準備します。』
ケールムは、だいぶ白んできた空めがけて近くの崖から飛び降り左眼を発動、遠視モードで落ちながら魔法を展開、発射する。
「うーむ、久しぶりの魔法か『ライトニングテンペスト』四重展開!ロック、オン!発射ぁ!」
バギュウーン!
と、何だか中世っぽいファンタジー世界に似つかわしく無い効果音とともに四束の光がドラゴン2体に突き刺さる。
こうして牽制しても勇者の反応はどんどん減っていてもう残り九人位である。漸く地面に着地したケールムは、さっき貫いたドラゴンAを鋸で刻みながら悪態をついた。
「くそ!アルドゥインの力がどんどん強くなってんのが判るぜ、残りは全力で確保しねえとなあ!」
「グアアああ!アルドゥイン様!ドラゴンボーンが!崖からあああ!」
「うっせ!」
既にイヴァルステッドは壊滅状態、どうやら『勇者』は六人になり、イヴァルステッド近くの墳墓で逃げ惑っている様だ。
ケールムは宿屋付近に落下しドラゴンを一匹刻んだのち墳墓『隠匿の炉床墓地』に向かう。上空にはモブドラゴンBとアルドゥインが飛んでいた。
「やあ!クソドラゴン!なんてことしてくれたんだ?!」
「ふん!脆弱な定命の者がこのアルドゥインの力になれるのだから光栄だと思わんかね?」
「そうだ「お前は黙れ。」グア・・・・!」
アルドゥイン、ケールムは共に今この状態で殴り合っても勝負がつかないことを感じていた、アルドゥインは相手がデイドラや自分の様に人外という枠に入る事を察していたし。ケールムは最早アルドゥインに『ドラゴンレンド』竜を弱らせるシャウトは効かないであろうと感じた。決め手に欠けていた。なのでアルドゥインは飛び去りケールムは武器を納めたのだった。
結局倒せたのはモブドラゴンABだけ、生き残った『勇者』は十六人中六人、相手が手に入れた力に比べれば負け同然の結果だった。
暫くしてミルムルニル、リーシャ、アウラが降りて来たので、墓地の中に入っていった『勇者』の残りを捕まえに行く事にした。
「アレ?討伐じゃないの〜?」
「今回の勇者達の動きには不自然な点が幾つかあってな、それが気になるんで取っ捕まえる事にした。」
『そうですね、まあ、戦いから逃げる様な方々を始末するのも一興なのですがね?』
「ミルムルニルさん、怖いですよ。」
今回知りたいのは、大雑把に三つ、一つは何故此処に来たのか、二つ目は『勇者』の人数再確認、三つ目は何故真っ先にこの六人だけ逃げたのか。である。
実は戦闘中の反応を見ているとこの生き残った六人だけ、ドラゴンが来た時真っ先に此処に逃げ込んでいたのだ、他のはどんどんドラゴンに突っ込んでいったのにもかかわらずである。
『生体感知、この先の角で反応六、全員ですかね?しかし、ドラウグルも感知、どうやってきたんでしょうかね?』
「まあ、お得意のチートだろう、ミルムルニル、リーシャ殲滅頼めるか?」
「もちろん!ドラウグルですよね?」
「そうだ、ミルムルニルはリーシャとアウラの援護だ。俺は先に確保かなんかしてくる。」
「「『了解!』」」
リーシャ達にドラウグルを任せケールムは隠密スキルとグレイビアード流の歩法でヌルリ、ヌルリと敵をすり抜けていく。
敵を避けきり、反応があった場所に着くと男三人女三人が固まって座っていた。
「やあ、『勇者』さん達。こんな所で何をしているのかな?」
声をかけると、男子の一人が目を見開き。
「クッ!ドラゴンボーンか!」
恐らく鑑定か解析、そんな所だろうかケールムの正体をあっさりと見破った。
男子の二人が震えながらも剣を構え女子は魔法を詠唱している様だ。
「まあ、待てよ。今回はおめえらを切りに来たわけじゃない、ちょっと話が聞きたいだけだよ。」
「信じられるか!こっちは四人もお前に殺されてるんだ!今更何故話を聞く必要があるんだ!」
「今更だからだよ。俺は恐らく逃げたお前らがさほど強くない若しくはチートが戦闘向きじゃないんじゃないかと思ってたから話を聞こうと思ったんだ。ていうかお前らの仲間四人は俺が『ドラゴンボーン』だと名乗ったらすぐ攻撃してきた、だから斬ったんだよ。正当防衛って奴だ。」
ケールムの指摘、『チートが戦闘向きではない』と言う所で一瞬固まった六人だったがまだ警戒は解かない様だ。
「上の奴らは?」
「あん?」
剣を構えた二人のうち一人が聞く。
「上の奴らはどうなった?お前が殺したのか?」
「いや、全員ドラゴンに食われた。」
ケールムが正直に真実を伝えると男子の後ろの方にいた女子三人が崩れ落ちてしまった。
「信じられねえがそうみたいだな。戦闘組でもトップだったんだが・・・」
「何との戦闘を予想してたか知らないが、お前らにドラゴンを殺す力無いからな?」
ケールムのカミングアウトに固まる六人。
「ちょっと待て!今なんて言った?」
「おう?知らなかったのか?てっきり帝国の奴らかデイドラのどっちかがうっかり言ってそうだと思ったんだが。」
口角を上げてニヤリとしながら戯けて見せたケールムに『勇者』達は飛びかかって来ると思ったのだが、少し違う様で逆に納得した様に頷いている者もいる。
「あら?予想どうりって奴なのかな皆さん。」
「そうだ、この世界に来た時から俺たち『生産、解析』班は薄々気が付いては居たんだ。この世界で『勇者』は異物であると。」
「ほう?」
予想外にフレンドリーになった解析使い君、彼の話はまあ後でという事で、結局『勇者』六人は捕まってくれることになった。
ミルムルニルは少し残念そうに『戦闘が!戦闘が足りません!』と言っていたが、ケールムとしては殺して魂を取り逃がすとアルドゥインを強化してしまうかもしれないので下手に殺害しないほうがいいと思っていた。
所変わって帝国のスカイリム本拠地ソリチュード。
そこでは血みどろの宴が開かれていた。その最中デイドラ二人が今回の戦いを観ていた様だ。
「アハ、アハハ!アーハッハッハァ!こんだけ上手くいくと流石知識と運命のデイドラって感じじゃないか?ハルメアス?」
「そうですな!さあ、上手くいったらショタ画像返してくれるんでしたよね、返して!かーえーしーて!」
「がはははははは!馬鹿だなあ!デイドラの中のデイドラである俺が約束を律儀に守ると思ったのか!」
「ま、まさか・・・いや、そんな!」
「ほうら!みろよ!破壊のデイドラ、メイルエーンズ・デイゴン渾身の作品だ!」
ハルメアスが見たものは、破壊の限りを尽くされたハードディスクの残骸だった。それを見たハルメアスはあまりのショックに分体が爆発四散!もう絶対に関わらない!と思いながら自分の領域にひきこもったのだった。
「クアハハ!いやーいい顔だった。にしても適当にアルド・・・なんだっけ?を強くしたは良いがなあ、どうしよっかな♪」
ケールム達の受難は続きそうだ。
勇者、ゲットだぜ!
勇者さん達の能力だけ〜
解析君 解析
剣を構えてた男子 武具精製
喋ってた方 千里眼
女子A 錬金
女子B 付与
女子C 魔道具製作
では!次回、ケールム死す!お楽しみに!