空の淵から〜skyrm冒険記   作:名状しがたい魔王

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スカイリムよ私は帰ってきた!


明けの明星
吸血姫と異世界人


「陽の光を浴びるのとジメジメした洞窟に居るのと・・・貴方はどちらがお好みかしら?」

 

まるで陽の光を浴びて嫌がる様な調子だったとは思えない、上機嫌な吸血姫がクルクルと回りながら話しかけてくる。

 

俺、異世界漂流者田中はどうやら自分のゲームキャラに憑依してしまったらしい。しかも入れていたMODやバグ錬金などの装備を引き剥がされレベルは有るけど首を斬られれば死ぬ的な『ハードコア』モードである。それでもなんとかやって来れたのはスキルレベルという名の外部アシストとドラゴンボーンの力『シャウト』である。

 

「・・・個人的には洞窟だな、前と後ろと天井と地面の四方向をキチンと警戒していたらそこまで酷い目に遭わないし。何より浪漫が有る。」

 

取り敢えず、俺個人の意見を返しつつ此処に来てからの癖で有る短剣弄りをする。未だに自分の体の一部の様に動かしたり振ったりするのが難しい武器達だがアシスト頼りなのも情けないのでこうして弄って居るのだ。

 

「ふーん、前に飛んで来た斬撃が足元の岩を斬り裂いたのがそんなに怖かったの?」

 

事も無さげに人のトラウマを抉ってくるセラーナさんマジ天使(吐血)

 

「そりゃあ俺は唯の人間だからな、首が跳べば死ぬし、斬られれば痛いし。何より斬撃が飛んでくるって何の冗談だよ。」

 

まだこの非常識極まりない魔法や神の居る世界に馴染めていない発言だと自覚しては居るがそれでも一般的な人間ならこれくらい言う。と言うか文句の一つ位言わせてくれ、何たってこの世界に来て一番最初に受けた攻撃だぞ!?いやまあ戦闘訓練だったけどまさか剣圧がそのまま飛ぶ斬撃に成るとか思わねえから!

 

「そんなこと言ったら貴方の追ってくる矢も相当あり得ないのだけど?」

 

ハイ、そうですね、そう言えばそうでした。

 

・・・どうやらこの世界は魔法や神が実在して居るだけあって意思の力や精神力と言うのがかなり重要らしい。お陰で魔法だけはかなり自由に使える。

 

「・・・止まって、嫌な予感・・・では無いけど凄い力の塊を感じるわ!」

 

いきなり声を荒げるセラーナ、彼女の予感はよく当たる・・・がこんなコメントは初めてだドラゴンでもこんなことは言わない。戦闘態勢になりセラーナの向く方を見ると空が割れた。

 

「な!?」

 

正確には空間が裂けた。いやどちらにしても超常現象の最たるものだ!すると中から馬車が出て来た。

 

「「は!?」」

 

もう一度言おう、馬車が出た。・・・ああ、凄いな帆がついてる大体荷車に馬をつけた様なのが馬車として一般的なんだよなぁ・・・そうじゃねえ!

 

「現実を直視しろ俺!ちょっとあり得ないことくらい結構あったろ!?」

 

「ハハハ!久しぶりに面白くなって来た。」

 

「・・・主人殿、相手が固まっています。」

 

そして俺の心の叫びが口に出て居るのを聞いて馬車から笑いながら降りてくる人間を見て・・・いや、人外を見て完全に硬直した。

 

「デイドラ?・・・でも色々な香りが混じり合って・・・何方ですの?」

 

この時思ったのは彼女ほど図太くてやっとスカイリム人なのか、と言う事、それに加えて同じく人外の彼女をもってしての計り知れない人外が何の気まぐれか目の前に現れた、現れてしまったと言う少しの絶望だった。

 

 

 

 

「ドーモ、吸血姫=サン、ドラゴンボーン=サン。ドラゴンボーンデス。」

 

いい人だった。

 

 

 

 

 

いやー、星霜の書も凄いが転移者と吸血姫セラーナさんが一緒にいる事にも驚きだ。聞くと彼らはこの近くの村・・・今や唯の更地の様な『ドラゴンブリッジ』周辺に住み着いた吸血鬼達の掃討ととある人物の奪還が目的らしい。

 

「ふむ・・・俺達も同行さえて貰えないか?」

 

「・・・協力して下さる、と言う事ですの?」

 

まあそう言う事になるかなあと思いつつ、俺の『鋸刀』と『刀』、人間形態から本になった『魔本:ミルムルニル』をじっと見つめてくる田中氏をチラ見する。と言うかさっきからずっと見てるけど飽きないのだろうか?

 

「そう言う事になるかな、一応戦力としてはかなりの物だと思うしそれに其処の村のぶんの仕返しくらいしたいじゃ無いか。」

 

 

 

 

今俺は感動している。一つは彼、ケールムが人外になっていようが元は転生者で日本人だったと言う事。そしてこの世界がスカイリムより遥かに自由度が高いと言うことを示してくれていることに、である。

MODを入れて遊んでいたと言っても、モブ追加やダンジョンの追加自作でバランスが崩れない程度のオリジナル要素を加えるくらいだった俺はバニラも死ぬ程クリアしたし、やり込んだ、バグ錬金だってゆっくりと冒険したり鑑賞したりする用に作り、それはもう舐るようにこの美しい世界に浸って浸かって嵌まっていたのだ。

 

「美しい刀身だ・・・濡れる様な黒と赤、何より元がデイドラの秘宝『黒檀の剣』だったってとこが凄いな。」

 

彼の言う『鋸刀』そして美女から本になった『魔本』は元はスカイリムに存在していなかった、それでいて今この目の前にあって全く違和感がない。プレイヤーだった時の『後もう少し』そんな気持ちにさせられていた所や『こう言うこともしたい』と言う気分、それを満たしてくれた。

 

「やっぱタムリエルはいいとこだな。」

 

「田中氏、昨日の夕方からずっと見てる様だけど出発だよ?」

 

「ファ!?」

 

気がつけば夜が明けみんな準備が終わっていた。・・・これがポルナレフ状態ってやつか!

 

 

 

・・・すんごい変わった人だがこれも何かの縁だろう。セラーナさんが護衛として雇っているのだから多分強いだろうし・・・ちょっと心配だわ。

 

晴れ渡り秋晴れの空が広がる中一行はドラゴンブリッジ近くの洞窟前まで進んでいくのだった。

 

 

 

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