「お前の罪を数えろー!無明!三段突き!」
特に意味の無い掛け声とあり得ない身体能力とスキルから生まれた某剣士の様な鮮やかな剣技が平吸血鬼を細切れにする。しかし数が多いついでに言うとどいつもこいつも死霊術で死体を起き上がらせ使役してくる。もちろん問題ないと言えば問題ないがファ◯ネルを制御しながら近接戦闘をすると言う荒技をしているためやはり隙はできてしまう、
「えい!やあ!」
「むにに…後でお菓子貰うんだ〜」
しかしそこにあり得ない軌道を描いて飛来してくる破魔の矢、物理的な威力も一級品だがその真価は不死や不浄を清め消し去る事である。死霊術で蘇った者は勿論吸血鬼もその身を灰へと帰されてしまう。
因みにハルメアスちゃんはデイゴンとは関わりたくない上に普通にニート根性が染み付いているのもあり馬車で寝ている。よってこの戦場にはケールム、アウラ、リーシャ、ミルムルニル、田中、セラーナの6人?しか居ない、そのうち真っ正面から行っても死なないケールムが正面から突っ込むことで騒ぎを起こし、リーシャとアウラは隠密を欠かさない様にしつつその援護、ミルムルニルは単独で人々の解放を、セラーナと田中は此方とは別行動だが左眼によると装置に掛かっている人間を救出しに行った模様だ。
(そう言えばかなり最初に拾った符呪のついた剣槍?みたいなのを仕舞ってた様な気がするなぁ…てかアレを使えばいちいち魂を分離するとかしなくても良いのでは?)
そう思い瞬時に呼び出し鋸刀を持って居ない左手に持つ、試しに吸血鬼を斬りつけるがスキーヴァーを一瞬にして灰にした火力は衰えておらずむしろ何故か刀身まで真っ赤に染まっているがどうしたのだろうか?
【!?ぎゃーやめるのです!私の出番が!と言うか見せ場がぁぁぁ!】
メファーラが叫ぶがその場その場で最も適した武器を使うのは戦闘の基本である、まあそんな事を言いはじめると俺は近接戦闘より魔法ブッパやシャウトブッパのが強いのだが・・・まあ、キニスルナ!鋸刀を背中に背負う様に納刀しそのまま真っ赤に変質した剣槍を構える、片手剣と両手剣のスキル発動を確認するが槍というのは使ったことがない、だがホワイトランでの祝勝会で模擬戦や演舞を見たことがあるのでなんとかなるだろう。
「フン!」
「あ、あああ!うわああ!」
体を捻る様にして大きく円を描くように振ったり、突いてみたり、振り下ろしたり振り上げたり、基本動作をしていくうちになんとなく具合がわかってきた。ついでに言うと相性も良さそうだ、相手をなんの抵抗もなく焼き尽くす炎には驚きを隠せ無い、実は魔剣とかそういう系じゃないよね?
「ケールムさん!」
『主人殿、救出に成功、これより護衛をかいしします。』
「ああ、わかった。こっちも殲滅し終わったな・・・いや、まだか」
リーシャとリーシャのフードに入って休んでいるアウラが近づいてきて肩を叩く、砦内と警備の兵士は殲滅を確認、マグナスファ◯ネルも展開しているので間違いない、ミルムルニルは上手くやったようだ。外に魅了状態を解いて誘導、そのまま護衛をしているのを念話にて報告してきた、彼方は安心だ。
だが、セラーナさん方が少々ピンチの様な気がするな。
「セラーナさんと田中の援護に行く、先行してくれリーシャ。」
「はい!」
リーシャは暗殺者的な才能があった。隠密はやたら得意だし薬草をどう調合しても毒にできるし、極め付けに暗器の扱いが天才的だった。実のところあまり俺が戦闘力として見て居なかったところもあったリーシャだが現状パーティー内では対人能力と魔法を使った広域殲滅能力、アウラとの連携からなる探索能力では俺の次、対人能力だけで言えば一番かもしれ無い、まあ、しかし俺の中で彼女は娘のような、それこそ守護対象だったのだ。なんでこうなった?が一番の感情かもしれ無い。
「敵発見しました。・・・えい!殲滅完了です。」
「流石だな。」
まあけど敵を倒しては此方を向いてキラキラした目で見て来られると犬を飼っている気分になるのは俺だけだろうか?
さて、砦の内外をマグナスファ◯ネルで精査し、完璧に殲滅は完了しているのは確認した。しかしそれでも死霊術の産物や魔法の罠、ついでにデイゴン印のドレモラロードなどが出現したりとスリルのある感じだったが数分で移動は終わり田中とセラーナさんが戦っているところの近くに到着した。
「くっ!どいつもこいつも流石だな!」
「それはそうですわ、吸血鬼をなめ無いでくださいまし。」
「なんで誇らしげなんだ!オイィ!」
・・・どうやら意外と大丈夫そうだな、力ある吸血鬼は強敵だがそれだけ生きてきただけあってその精神は人外のソレである。故に俺がかたずけてきた奴らのように肉体的苦痛によって精神が死んだり、魂を引き剥がされたりするなんて言う失態は起こさ無い、しかし他者を見下し自分を絶対だと信じる慢心は人外故に大きいのだ。全力を出さずジリジリと追い詰める。そういう陰湿な化け物である。
「まあ、太陽に打ち勝てるのは真祖だけなんだ。是非もないよネ!」
俺は黒檀の強弓にまるで槍のようなマジカで精製された矢をつがえ、治癒魔法と『太陽の炎』を強力に付与、そしてそれを難なく引きしぼり撃ち放つ。
「ガッ!?あ、ああああ、ああああああああぁぁぁ!ああ!」
ズドン!と言う通常考えららないような音が太古の吸血鬼の体を揺らし突き刺さった矢は突き抜けることなく肉体に深くそして捻れることで肉を抉るように食い付き付与された魔法が肉体を内側から崩壊させる。
矢が突き刺さった時点で既に床に無様に這いつくばることを余儀なくされた吸血鬼は矢の与えてくる苦痛よりも自身を内部から焼き尽くさんとする太陽の輝きと不死を傷つける治癒魔法にのたうち灰になる。
呆気なく矢に射抜かれ絶命した太古からの知人の姿に顔を歪め目の前の敵である田中達から意識を逸らす吸血鬼達。
そんな決定的すぎる隙を見逃す田中とセラーナではない、田中はその弓技で相手を磔の様な状態にしてから心臓にステンダールの加護を受けた神聖なダガーを突き立て、セラーナはその真祖たる者の吸血力を持ってして吸血鬼の血を吸い尽くす。
その後は消化試合である。二人だけに注意を払って居られなくなったことで包囲が解け、集中力も無くなる。それを確認したケールムはまた矢をつがえ、移動しながら悟られぬ様に一人一人射殺すのであった。