がっこうぐらし(いんふぇるの!) 作:一藤ニ尭
ゆっくりと顔を見せはじめた日差しが一般的1LDKの部屋に注ぎ込まれる。
以前のコミ○の戦利品である17/1革マル派フィギュアの赤旗が照らされる。
その部屋の家主は、ゆっくりと身体を起こした。
「あー・・眠い」
彼は時計を見ると、AM05:32の数字に早く起きすぎたと思いながら目をこする。
まず彼はスマホの作業と化したアプリをポチポチと押しながらトイレを済ませ。
パソコンを起動させると匿名掲示板ニイちゃんねるを開き、バックグラウンドでテレビを聞く。
『あっ、失礼致しました。
土佐犬に噛まれ重体ではなくえー...土佐犬が噛まれ重体でした。誠に申し訳ありません。』
「ん?」
違和感を感じながら彼は掲示板を眺める。
【殺傷事件】大衆浴場で乱闘、負傷5名【まじきち】と書かれたスレッドや【マキノン逝きましたーww】厚労相大臣緊急入院【ただちに影響はありませんw】などが並んでいる。
「くっだらねー」と呟きながら彼は目新しい情報を求める。
だが身体は目新しい食料を求めて唸りを上げた。
ピザパンを手に取り、冷蔵庫から紅茶を飲みながらネットをサーフィンする。
「・・・・」
咀嚼音とビニールの音。
陶器製の容器の甲高い音、コーンと突きながらマクベの真似をしつつネットを旅する。
「アフリカ狂犬病?」
画面をスクロールしてサイトを表示させる。
そのサイトにはアフリカ狂犬病という新種の病気がフランスと中国で蔓延していると書かれていた。
また罹患すると凶暴な殺人戦士へ変貌するとも書かれていた。
「あほくさ。
ガキの悪夢じゃねーんだぞ」
この時、彼はイスラエルの諜報機関と同じサイトを見ていた事を知らなかった。
満腹感からかうとうと眠気が押し寄せ、彼は眠ってしまった.....。
悪夢が扉をぶち破って、彼の部屋の扉を引っ掻こうとしている裏側で。
『逃走中の男に警官が発砲し・・・』
『米国マディソン郡で勃発した人種差別への暴動に新たな見解が・・』
「はっ!?」
彼は顔を上げると時計はAM08:49を示していた事に唖然としながら服を着替える。
制服を着替えると急いで学生カバンを持つ。
彼の居る部屋から学校までは電車で一駅と徒歩五分の距離だ。
電車は5分に1本であることから確実に9時頃到着だろう。
「ちっきしょうこれだから!」
彼は慌てて安アパートを飛び出ると、鍵を閉めたか不安になり一旦戻った。
「よし!」とガバガバなチェックを済ませて彼は駅へ走る。
国道沿いに歩いて歩道橋を渡り、ロータリーへ入り駅へ入る。
未だに旧式のいわゆる「パタパタ」と呼ばれる電光掲示板ではない表示板の音が改札を満たす。
彼は改札前に人だかりが出来ているのに気づいた。
「だぁーかーら!東京行きは何時になれば発車するんだ」
「いえそのえーっと、人身事故でして現在対応を・・」
幸い彼の学校は内陸部で、東京方面ではない。
ほっと一安心すると同時に彼は電子マネーを改札にタッチすると、急いで階段を登ってホームへ出る。
『大泉学園行き普通列車まもなく発車しまーす、ご注意下さい』
慌てて列車に乗り込むと同時に扉が閉まる。
閉まった後ろでは悲鳴があがり、鉄道警察官が駆け寄っていた。
「ふぅ・・・」
そんな事を知らない彼は列車に間に合った事を神に感謝しつつ。
ロングシートの座席に座ると、柔らかいとはお世辞にも言えない座り心地の座席の感触が伝わる。
ちらりと窓を見ると高速道路のインターから煙をあがっているのが見えた。
事故か何かかと思いながら、彼は特に気にせずぼぉっと列車の心地よい揺れを楽しむ。
「いかんいかん、寝ると更に遅れる・・・」
言い聞かすように呟く。
隣のサラリーマンが顔色が、真っ青になっている事に気づいた彼は大丈夫なのか心配になった。
車内に車掌の『次は〜巡りが丘〜巡りが丘〜、お忘れ物のなきようにお願いします〜』と声が聞こえる。
列車はいつも通り定位置で止まり、扉が開く。
気がかりになりながらも彼は電車から降り、駅を出る。
駅前にやけに警察官が多い事に疑問を抱きながら歩くと、道路を陸上自衛隊の車両が列をなして通り過ぎていく。
「演習?」
「さぁ、知らない」
近くの人が会話を交わし、彼も信号待ちの間ぼぉっと眺める。
トラックに[63普2中]と書かれた車両の中に、ちらりと迷彩服と銃器を携帯した隊員が見えた気がした。
その時、彼のポケットからボトム○のレッドショルダーマーチが流れる。
携帯着信音に設定していた事に驚きながら、彼は電話を取った。
「はいもしもし」
『おーい、そっちの方なんか凄い事になってるらしいけど大丈夫か?』
父親の声だ。
「凄い事って何?」
『暴動だって、国会議事堂と皇居・省庁に機動隊出動したってさ。
練馬や駒門から陸上自衛隊も治安出動待機中と書いてる。知らないのか?』
「知ってたらヒッキーしてるんだよなあ」
『ずっとしてるだろ、自宅警備員!』
「だからホームガードだって!」
(ホームガードはww2中に創設された英国の民間防衛組織。)
そう言うと親は笑いながら。
『ハハハ、その様子やと大丈夫そうだ。』
「おう、それじゃあ切るぞー。」
『うい』
携帯を閉じると同時に信号は青に変わる。
横断歩道を渡り、国道に沿って歩く。
真横を救急車とパトカーが通り過ぎていき、電器店の店頭のテレビがニュースを流している。
『中国の香港で勃発した反政府暴動は、武装警察と軍が介入した模様で・・・』
『首都圏の高速と一般道で事故や障害事件が多発しており警視庁は・・』
『国会議事堂前の反戦デモに於いて乱闘事件が発生し機動隊が一斉検挙に乗り出しました!』
そのニュースを聞き流してとぼとぼと歩く。
路地裏のホームレスが怪しい雰囲気を漂わせ、割れた窓ガラスの周囲に黄色いテープが張られ。
近くには警官が2名ほど立っており、その後すぐに建物に入っていった。
「なぁ聞いたか、南雲事件」
「あぁ、馬鹿馬鹿しい話さ。
またオウムのようなキチガイのカルトのせいだろ」
「いや実はそれが、新種のビョーキって話でな」
警官達はひそひそと声を潜めていた。
彼は特に気にせず、そのまま歩く。
「こーら!遅刻です!」
「ふひひひサーモン」
赤色を強めた桜色の髪をした女性が、彼に言った。
「もう!留年になっても知りませんよ!」
ぷんすか!と言いたげに怒っている彼女は。
佐倉慈と言う教師だ。
彼は笑って。
「そんな事より朝のHRどうしたんすか、サボりですか」
「きっちりやって点呼取って居なかったから電話かけても出なかった誰かを待ってたんですー!」
「そう(無関心)、関係ないね。」
「先生の言葉を何だと思ってるんですかー!」
「チッうっせーな、反省してまーす」
そういう会話を挟みながら。
いつもの如くに日常は進む。
ー臨界
「で、なんで僕は居残りなんですか!選択の自由を要求する!」
「納税と勤労と教育をした者が要求出来る、さあ反省文を書こうか!」
メガネをかけた若い教師が言った。
社会科の先生だ、毎回口喧嘩でぼろ負けにされる天敵とも言える。
「おぉマインゴット!」
嘆きながらそう言うと、教室の扉をあけて小柄な女子生徒が言った。
「あの〜、めぐ姉が社会科のプリントが必要だって・・」
「あー、それは確か職員室にあったかしら。
サボっちゃダメよ!」
「なんでバレた!?」
それを聞いた女子生徒はクスッと笑うと。
教員と共に夕日のあたる廊下を歩いて下へ降りていった。
「・・・逃げようかな」
ダメです。
「なんてこったい。」
そう脳内で問答を交わしつつ反省文へ取り掛かる。
官僚主義的たらい回しと主目的などの説明を欠く文書を書き連ねていく内に。
「認知されなきゃ子供はいない」の精神でスマホを取り出す。
「ん?」
スマホのメール欄に、1件のメールが届いていた。
"あかん、こっちヤバイからちょっと避難しとく。
大量に送金しておいたんで以後よろしくゥ!"
「ファーwww」
笑いながらスマホをスライドさせ、インターネットを開く。
妙に繋がりにくいと違和感を感じながら彼は掲示板を開いた。
【暴動多発】治安レイ○!北斗の拳と化した日本【ヒャッハー!】
1:風吹いて名無し2016/05/08
暴徒「まずうちさぁ、クルマあんだけど。やいてかない?」
警察「まずいですよ!」
2:風吹いて名無し2016/05/08
おぬし情報も張らずにスレ立てとな!(AA略)
3:風吹いて名無し2016/05/08
なんもかんもネトウヨが悪いよアベガワルイ。
4:風吹いて名無し2016/05/08
倭サルしね
5:風吹いて名無し2016/05/08
ttp.1iiykoiyo@start
6:風吹いて名無し2016/05/08
なんか暴動すごいらしいね、知らんかった\(^o^)/
7:ヒーデ2016/05/08
なんか下の住人煩いンゴ、床ドンしたら更に煩いンゴ。
奇声発しててやべぇよやべぇよ、ライダー助けて!
8:風吹いて名無し2016/05/08
クソコテが苦しんでるぞバンザーイ!
マジレスするとケーサツ呼べ無能か頭黒澤?
9:風吹いて名無し2016/05/08
ダンボールバッジ検察官の話やめルルォ!()ナイスゥ!(本音)
10:風吹いて名無し2016/05/08
あーそう言えば前に新宿のスコエニ本社前で暴れてる奴おったな
警備員二、三人投げ飛ばしてたよ
11:ヒーデ2016/05/08
ケーサツ連絡ついたらしてんだよチショ猫の集まりかコラ!
なんか混み合ってて繋がりませんとしか反応しねぇよバカ!
12:風吹いて名無し2016/05/08
交番って・・・知ってるかな?
13:風吹いて名無し2016/05/08
不知火です。
14:風吹いて名無し2016/05/08
らんらん差し置いて何してるの?そうやっていやらしい事する気でしょ!
15:風吹いて名無し2016/05/08
リョナ同人みたいに!
16:ヒーデ2016/05/08
くっそふざけんな!交番行こうとしたら噛まれたぞ!
訴訟だ訴訟!辞さないぞ!
17:風吹いて名無し2016/05/08
ンゴゴゴww
18:ヒーデ2016/05/08
腕がっつり殺られたんンゴ、お手手プルプルやぞ
ただから、打ちにくいinだ
「暴動悪化したのか?」
するとその時、足音が聞こえてきた。
急いでスマホをしまい、反省文を書いてるふりをする。
「あーあ、下校時刻前倒しだって。
帰っていいぞ〜」
「やったぜ。」
あまり現実味のない悪いニュースより。
現実味のある小っぽけな幸せの方が喜ぶものである。
そのまま先生は何処かへ消えて、彼は荷物を纏めていると。
「あの〜」
ちらりと顔だけこちらに見せた佐倉慈が、彼を呼ぶ。
「はい?わたしはこれから退却戦を開始したいのですが」
「この子途中まで送ってあげてくれるかしら」
「ハァ?」
いまいちよくわからず首をかしげる。
「君の最寄駅近いでしょう、ダメかしら」
「・・・あとでお礼期待してまーす!」
「またまたぁ、精神的に返すわよ」
そう言うと、彼女の後ろからつい先ほどの小柄な女子生徒が現れる。
ぺこりとお辞儀をする少女に、多少面を食らいつつ「よろしく」としゃがんで言った。
プイッと顔を逸らして「私其処まで子供じゃないモン!」と言いたげな表情を浮かべている。
それと同時に携帯が鳴り響く。
着メロである『ワルシャワ労働歌』が流れ、スマホを手に取る。
通話相手ではなく、緊急速報と書かれていた。
「?」
手に取るとそのスマホには「東京に於いて戒厳令、夜間外出禁止令を発令。市民は外出を控えて自宅で待機すること。」と書かれていた。
「戒厳令?!やっべこりゃまずい。
おい急いで帰ることになるから、走るよ」
「競争?負けないよ〜!」
急いで廊下を走ると。
通称先輩と呼ばれている運動部の生徒が「デートか?廊下を走んなよー」と茶化していた。
なぜか近くに居た女子生徒が顔を赤らめていたかは知らないが。
正門を抜けると午後の太陽は夕焼けへ変わろうとしていた。
「あっ、大きな飛行機」
「え?」
それと共に自身の上空をグレーのジェット機が飛んでいく。
「米軍機のC-17?厚木か横田からか?」
予想と言うなの妄想を振り切って、駅へと走ろうとしたその時。
ドォーンと言う爆音と空気の震動が聞こえ、地面は地震の様に揺れ動く。
もうもうと黒い煙が見え、心当たりがある者は揃って先ほどの飛行機の音が聞こえるか耳を澄ました。
「落っこちた!」
「ママー!飛行機が落ちた〜」
マンションのベランダの子供達の声が聞こえる。
その中を掻き分けながら駅へと走っていく、交番からは物音と共に何か大声が聞こえる。
女子生徒の手を掴んで彼は息も絶え絶えになりながら駅へと到着した。
「そっそうだ・・・IC・・あるか・・?」
「えっえーと・・・あった!ICあった!」
ピンクのポーチを弄って、ネズミの片割れのイメージをしたハハッ!なICカードケースを取り出す。
具合が悪そうな駅員を真横に改札を通っていくと、ホームへ続く階段から悲鳴と人が現れる。
幸い別のホームであった所為か、騒ぎを潜り抜けてホームへ到着した。
『間も無く3番ホームに区間急行新宿行きが到着します〜ご注意下さい〜』
駅員のアナウンスと共に黄色い電車が現れるが。
なぜか電車の先頭は真っ赤に染まっており、電車はそのまま通過して行ってしまった。
『あれっ!?』
駅員は慌てて連絡を取り始め。
ホームの客達は騒めく。
それと同時に騒ぎが起きているホームから線路を走る何かが見えた。
4足歩行する何か。
「なんかやばいぞ、すごくすごく悪い状況だ。
おい、お前家は?」
「お前じゃなくて由紀だもん!お兄さんと同じ駅で3分歩いた所」
「住所だよ住所、・・・忘れたのか?」
「・・・」
マインゴット!ファッキュージーザス!
彼は神なんていねー!と思いながら、この先を考えていた。
それと同時に警笛を鳴らして特急列車が線路の上に居た4足歩行の何かを弾き飛ばす。
バァーンと言う音がなり、その後ガリガリと言うひっ掻く様なブレーキ音が鳴り響く。
彼は決断した。
「避難しよう、携帯は持ってるか?」
「これ?」
渡されたのは子供用携帯だったが、それでも通話は出来る筈だ。
急いでアドレス帳から電話をかけると、母親らしき女性の声が聞こえる。
どうやら40代ほどなのだろうと思いつつ、「もしもし!」と声をかけた。
『由紀!?由紀なの!?』
「あっいえですね!僕はえーと娘さんを家まで送っている者でして・・」
『由紀は大丈夫なの?!声を聞かせて!』
「おい、親御さんだ。」
「母さん!」
五分ほど話し、携帯はまた彼へ渡された。
『話は聞かせてもらったわ、これそう!?』
「端的に言えば学校へ避難すべきかなって思ってます!」
『なら避難して!あなたが取れる限りの最良の選択をしてね!頼んだわ!』
「了解・・・くそっ魔女のバァさんの呪いだ」
そのままホームから階段を駆け下りる。
駅員に客が説明を求めている姿や、慌ててパトカーから現れる警官達も居た。
すると先ほどまで居たホームから「きゃーっ!」と言う悲鳴と共に、先ほども見た様な人の波が押し寄せる。
由紀を抱え上げ、スクールバッグを置いて彼は走る。
「うわわわっ!通り魔!」
「来た来た!!」
「なにっ?通り魔?」
喧騒と騒音を掻き分けて元来た道を歩く。
駅の上空を緑色の迷彩が施された自衛隊のヘリコプターの集団が飛んでいき。
地上では横断歩道の真ん中に立っていた人が救急車に跳ねられていった。
由紀は背中で丸まって動かず、静かに啜り泣く声が聞こえた。
「検挙〜けんきょ〜う〜」
血まみれの警官が交番から飛び出てくる。
近くにいた青年に飛びついて警棒を乱打する様に手で叩いている。
「いたいっ!いたっ!」
幼児に噛みつかれて家から這う這うの体で逃げ出す中年の男。
悲鳴をあげてベランダから落下する金髪のギャル。
かすかにだが乾いた爆竹の様な音が聞こえた。
パアーンパアーンと連続した音に危機感を抱きながら、必死に走り回る。
その時だった、目の前に止まっていた軽自動車を吹き飛ばして装甲車がひっくり返る。
装甲車の後部のドアから一般的な車両のドライバーらしき自衛官が逃げ出す。
それを追って防弾着を装着した自衛官二名が追いかけていった。
「ひゃはは〜制圧!ぜぃっあつ!」
「れ・・れれ・・レンジャー!・・」
うわ言の様に言いながら追いかけていき、チラリと車内を覗いてみる。
顔面を齧り尽くされた恐らくガンナーらしき自衛官が項垂れており。
血が飛び散った車内と、べっとりと血の染み付いた鉄帽(ヘルメット)が転がっていた。
「やっぱりあった!」
ガンナーらしき自衛官の腰に、P-220と言う多少古い拳銃が仕舞われていた。
「でも使い方分かんねーや」
拳銃ではなく、車内に設置された武器を見てみる。
89式小銃と言うアサルトライフルが銃剣付きで放置されていたのを拾い。
由紀に持たせると同時に彼は学校へまた走り始めた。
彼はこの時楽観的でいられた、訳の分からない何かが蔓延しているのは分かるが。
それは一時的なものだろうと。
その甘い見通しで学校へついた際に見たのは、ある意味における地獄であった。
「ヒュパイネット!(くそったれ!)」
一応政府や自衛隊は各個に戦ってはいます。
銃器はいずれ撃てる様になりますよ、その為のモブ?あとその為の89式?
SIREN2のキャラとかも出したいです。