がっこうぐらし(いんふぇるの!)   作:一藤ニ尭

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ちょうど4200文字で嬉しい。なんか嬉しくない?


ーしゅとそうしつー

 

「うわっ!うわああっ!」

 

悲鳴をあげて救急車から逃げ出す救急隊員。

 

「ひっ!ひぃっ」

 

乾いた爆竹と花火の様な銃声を出して遺体袋へ発砲する警察官。

 

「行けよバカヤロー!」

 

拳銃を突きつけて学校屋上へヘリを降下させる自衛官。

人が人を襲うのはまだ理解出来る。

だが、ケモノの如く噛んで引っ掻くような襲い方をするだろうか?

同時多発的に連続して発生するんだろうか。

 

「くそっ!くそぉーっ!」

 

パンパンと銃声が響き。

警察官のリボルバー拳銃が火を噴き、弾丸は足に直撃した。

だがそのバケモノはすぐに体勢を立て直すと、警察官へ飛びつく。

 

「ぎゃぁっ!」

「嶋田!」

 

別の警察官がバケモノの左胸、つまり心臓を撃ち抜いた。

普通ならこれで死亡するだろう、だがまだバケモノは動いている。

草木を掻き分ける様に警察官を引っ掻く姿に唖然としながら。

彼は慌てて学校の玄関へ入った。

 

「感染者だ。おい」

 

自衛官が隣に居た無線機を背負った自衛官へ言った。

 

「うん!」

 

そううなづくと2人の自衛官は脱兎の如くに逃げ出していく。

士官らしき人物が拳銃を向けて「止まれ!止まらんかぁ!」と大声を上げて追いかけて走るのにすれ違いながら。

知ってる人が居ないか走り回る。

1階の一年生の教室から「遺体袋足りねえぞ!麻酔とモルヒネと医者もだ!」と怒号が聞こえる。

自身の背後からガラスの割れる音と共に悲鳴と銃声が聞こえながらも。

彼は由紀を背負って最上階の3階へたどり着いた。

 

「先生!」

 

そう言うと慈は振り返り、彼と由紀を抱きしめた。

 

「帰れなかったの!?」

「市街中心部は大混乱だよ!一体どうなってんの!?」

「分からないわ・・・怪我は!?」

「不思議だけど無傷さ!神とオバ○に感謝だな!」

 

謎のテンションで意味不明な言葉を口走っていると。

教室の扉を開けてヘリの乗員らしい自衛官が言った。

 

「軽傷者や子供は急いで屋上へ!ヘリが来てます!」

 

それを聞いた何名かの生徒と、負傷者に肩を貸した教師が屋上へ上がる。

慈は彼の肩を掴んで言った。

 

「あなたはその由紀ちゃんと一緒に逃げて!」

「先生はどうするんですか」

「私は教師なの!生徒を逃す義務があるの!」

 

慈は珍しく大きな声で言った。

すでに泣きかけた顔をしている由紀に気づいた慈は、変わった形をした帽子を撫でて言った。

 

「大丈夫、すぐに会えるわよ。

先生嘘ついたことある?」

「・・ない」

「なら大丈夫よね!さぁ急いで」

 

それと共に彼は由紀の手を掴んで走る。

後ろからは先ほどすれ違った女子生徒が、先輩に肩を貸して屋上で待っていた。

 

「次のヘリは5分です!」

「バカ!2分で来いと言え」

 

10名ほどの軽傷者と女子供がヘリを待ち浴びている。

数分前までは煩かった報道のヘリコプターの音は聞こえず。

代わりに青色の塗装がされたヘリコプターと、白とオレンジ色のヘリが飛び交っている。

 

「来た!」

 

自衛官が振り返る。

UH-60<ブラックホーク>というヘリコプターが現れ、柵に触れるギリギリの線まで近づいて降下する。

 

「まず負傷者から載せます!

女性と子供はあのオレンジと白のヘリコプターです!」

 

その声と共に、先輩や負傷した教師などが載せられていく。

先ほどの女子生徒が不安そうな眼差しで見つめるのを気にせず、ヘリの乗員は扉を閉じた。

飛び立ち始めた瞬間、先ほどの白とオレンジのヘリコプター、<シースタリオン>が現れ、降下場所が空くのを待っている。

ブラックホークは重たそうにその大きな体を浮かせて、飛び立とうとするも。

 

「あっ」

 

動きがおかしいことに気がついた自衛官が咄嗟の言葉が漏れた。

屋上に置かれていた無線機から<<スーパー61墜落する!メーデーメーデーメーデー!>>と声が聞こえ。

すでに降下しようとしていたシースタリオンと接触した。

二機のヘリコプターは駒の様に回転しながら、学校に近いマンションへ突っ込んだ。

 

「あっ、あ〜・・・」

「落っこちた!」

 

黒煙を上げて、ズーンと地鳴りの様な音を立てて炎上するヘリコプター。

その中で黒い何かが赤い炎を揺らめいている気がした。

屋上の扉を開けて慈は現れる。

 

「あれ!?乗ってなかったの!?今のは?!」

「めぐねえ、ヘリコプター落っこちた!」

「えっ、伊東さん次のヘリは?」

 

20代後半の自衛官は、頬を掻きながら言った。

 

「それが連絡が取り難く明言出来ません・・・」

「え」

 

全員が唖然としながら、脳が理解を拒んだ。

 

 

市ヶ谷駐屯地、防衛省の地下中央指揮所で自衛隊も必死に情報を集めていた。

統合幕僚長も慌ただしく指示を下す。

 

「えー松本の30普連は戦闘能力60%、新発田駐屯地は10%です。」

「滅茶滅茶じゃないか、諸国はどうだ?」

 

その言葉にメガネの幕僚が言った。

 

「韓国ではDMZで中規模の武力衝突。

その他で全羅道の全域に感染が広がっているようです。

中国は青島と大連は一応の秩序を維持していますが、内陸部は吉林省と熱河省を除き感染拡大。

中国政府はシリンホトの地下ブンカーへ退避した様です。

未確認の商社筋からの情報では内戦の様です、南京軍管区と蘭州軍区が武装蜂起した様です。」

「アジアも混乱か、アメさんはどうした。」

 

幕僚は何枚かの書類を纏める。

 

「アメリカは西海岸へ政府を移転、大規模な市民の北方への移動が確認されています。

政府方針は決まっておらず混乱している様ですが、一応の大統領選挙を実施する模様です。

同盟各国の軍も軒並み洋上へ避難し、キューバへ逃げ出す市民もいます。」

「ん?北方への移動?」

「なんでも感染者が固まるほどの寒い地形で生存を狙う様です。

アメリカの民放は狂った様に北へ行けと連呼しています。」

 

そうすると別の幕僚が報告した。

 

「統幕長!ウクライナ軍とロシア軍幕僚無差別化学兵器を使用。

キエフとジトミルは生存者毎死滅した様です。

それとパキスタン大使館が、パキスタンで戦争が始まったと報告しています。」

「印パ戦争再びか!?化学兵器まで使うとは。」

「いえ・・・イランとパキスタンで難民を発端とする戦争らしいです。」

「・・・はぁ、こんな時に人類で内乱か」

 

その言葉と共に、ドーンと言う揺れが聞こえる。

統幕長が尋ねる。

 

「なんだ、今度は中国軍機かロシア軍か?」

「いえ、テロの様です。

正門へ自動車爆弾、それと感染者が多数押し寄せている様です」

「駒門から第一大隊を回せないのか?

朝霞や練馬は!?」

「三つとも市民団体が妨害してます」

「くそったれ!」

 

 

2時間の時間が過ぎ去り、騒ぎは沈静化する兆しすらない。

屋上故に市街各所から燃え盛る炎の龍が見えている。

散発的に発砲音が聞こえ、悲鳴は至る各所から聞こえている。

偶々その時屋上に居た10名の内、6名を除いて全員か全員。

 

稼働死体

 

へ姿を変えた。

慈は自身のスマホから政府広報を見ているが、官僚主義的で明言せず具体性を欠く発言ばかりだ。

不思議なのは一応国会は機能している事である。

偶々居た3名の自衛官の内、1名は6名を引き連れて階下へ降り。

そのまま帰ってこず、悲鳴と銃声の後静かになった。

残った2名の内1名は無線機で連絡を取っている。

 

「こちらバーフィズ6、バーフィズ6。

連隊本管聞こえますか。送れ」

<<全将兵は各自で持ち場を維持しつつ臨機応変に対応せよ・・・ザザ・・>>

「・・・ちぇっ」

 

そして他の1名は自身の拳銃を使い、飛び降りてしまった。

ただライフルの使い方を教えていったのではあるが、あまりに重たく槍として扱う事に決めた。

「至急至急至急・・・」

 

死んだ魚の目をして無線機を操作している後ろで。

偶々生き延びていた生徒4名と教師1名は、体育すわりで仮眠をとる事にした。

 

ーその頃。

東京。

 

 

新宿副都心のテレビ局に感染者達の群れが押し寄せる。

テレビ局内ではNH○が最後の最後まで放送を続けていた。

 

「新宿副都心は殆どが暴徒の手に落ちました。

今ここN○Kにも暴徒が多数押し寄せてきております。

各所が炎上していますが消防も救急車もパトカーも来ません。

ですが我々は皆さんと共にあります。

さようなら、さようなら。」

「来た!」

 

カメラマンの悲鳴と共に電波は途切れた。

未だに感染者を知らない人々は「あ」と間抜けな声をあげ。

ある学校では教師が「何があ!だこのばかちん!」と声を上げる。

大抵の人はチャンネルを変えると、ほとんどの民放は同じものを映していた。

 

「陛下が御避難なされます!下がって!」

 

宮内庁の職員がそう報道陣に呼びかける。

CH-47ヘリコプターと報道陣の間にバラクラバを被った自衛官達が壁を作り。

報道陣に銃を向けながら円陣を組んでいる。

書類を持って宮内庁の女性職員が現れ、その後ろではCH-47が急いで"賓客"を載せている。

女性職員は読み上げる。

 

「陛下からのお言葉を伝えます!

かかる事態に対する自身の責任の重大さに痛感している。

自衛隊と政府と緊密な連絡を取り、最悪の場合は自ら陣頭指揮を執る所存である。

以上です!質問は受け付けません!」

 

読み上げると同時に報道陣達からの質問が噴出するがそれを遮って「感染者!」の声が貫く。

男女の悲鳴を突き抜けて銃声が響き特戦群の容赦ない銃弾が貫いた。

 

 

市ヶ谷駐屯地に存在する防衛省でも戦いは起こっていた。

濛々と立ち上がる黒煙が防衛省の建物を覆い、足元をガラス片やコンクリート片で埋め尽くす。

民間警備会社の警備員と警務の腕章をつけた自衛官たちが銃を撃ち続ける。

防衛省職員達も各自で発砲しながら自分の戦いを続けている。

その中でメガネの幕僚が言った

 

「統幕議長、良いニュースと悪いニュースがあります」

「もう何聴いても早々驚きはしないよ」

「良いニュースは特戦群が陛下を救出しました。

悪いニュースは入間と横田と厚木と座間と府中が応答なしです。」

 

幕僚の言葉に、自身の小銃を装填して統幕議長は言った。

 

「よし、陛下は<かが>へ避難させろ。

しかしあっという間に首都圏郊外が壊滅したな・・」

 

彼は小銃で何発か撃つと、横にいた警務隊の隊長が言った。

 

「統幕議長、ここは危険です。

退避してください!ここは我々が維持します」

「ばか言え、弾も少ないんだぞ」

「わかってます、さあ急いで。

まだ中庭にUH-1が待機してます」

 

彼は敬礼すると「スマン!」と言い残し走っていく。

それと同時に正門のバリケードを突破した感染者が押し寄せる。

 

「良いか。

落ち着いてよく狙えよ、来たぞ!」

 

タタン!タタタタン!と金属的な銃声が響く。

その銃声を後ろにUH-1は東京湾へ飛び去っていった。

混乱の夜は、一層闇が濃くなっていく。

 




階下への開拓は割と簡単な感じにします。
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