勘違い系エリート秀一!!   作:カンさん

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第61話

「最上隊長、二宮隊長との二対一を捨て東隊長を獲りに行く! 横取りされるのを嫌ってか!?」

「っつーより、もっと単純な理由っぽいけど……」

「理由はどうあれ、最上隊の勝敗で試合が決まりますね」

 

 画面には東と秀一、二宮とヒュースを映した戦場がデカデカと展開されている。

 バッグワームを展開し、移動する東。それを探し出し狩る気満々の秀一。

 そして激しい射撃戦を繰り広げる二宮とヒュース。

 

「しかし、思い切った行動するなーもがみん。ヒュースと一緒に二宮さん落とせば勝てるかもしれないのに」

「では、最上隊長の判断は間違いという事に?」

「まぁ、良いか悪いかで言ったら悪いな。二対一という状況を捨てた事、そして落とせるかどうか怪しい東さんを獲りに行った事。ぶっちゃけ分の悪い賭けだな」

「それでも東さんが生きている以上、点を取られる、もしくは撃たれる可能性があります。完全な下策という訳ではありません」

 

 秀一本人の考えや動機を横に置き、最上隊が取った行動の評価を下す三人。

 それでも、最上隊が負ける確率が上がってしまった事は否めず……。

 

「……で、東さんは読んでたのか、コレ?」

「というよりも備えていた、のかもしれませんね」

 

 米屋の疑問に、時枝が答える。

 奥寺たちが仕掛ける前に東が取っていた行動を見ていた彼らは、東の技量に舌を巻き──。

 

「ほんと、東さんやべーな」

 

 後は試合を見届けるのみ。

 屋根から屋根へと飛び移る秀一と、それを静かに見据える東を見ながら、米屋はそう呟いた。

 

 

 ◆

 

 

 月見のオペレートにより、東の潜伏先を虱潰しに探す秀一。

 狙撃を誘発させるため、建物の陰に隠れず屋根の上を走っているが……東に動きはなかった。

 足の速さを活かし、ポイントを次々と潰していく秀一だが──焦りだけが募る。

 見つからない。ヒュースにあれだけの事を言っておきながら、東を捉えられない。

 

『近くに居るのは確実よ。自棄にならないで』

 

 落ち着き払った月見が、彼を戒めるが返ってくるのは生返事。

 それに月見はため息を吐き、強い口調で言い放った。

 

『部下からの信頼を無下にしないで』

 

 部下からの信頼? と彼女と同じ言葉を繰り返す。

 

『ヒュース君は、私に君のオペレートだけをするようにと言ってたわ。

 さっきはあんな風に言い争っていたけど……。

 彼、真面目な子なのよ。試合に勝つために最善を尽くそうとしている』

 

 だから──。

 

『アナタはアナタの最善を尽くしなさい、最上隊長……!』

 

 月見の激励に彼は返す言葉を持たず。しかし、彼女はそれで良かった。

 元々自分から何かを発信するタイプではない事は知っている。

 口答えせず、黙って頷くだけ。

 そして、次に活かす。行動で表す。

 そういう男なのだ、最上秀一は。

 

「……」

 

 秀一は目を光らせ続けた。生駒旋空や最上旋空、バイパー、アステロイドを使って潜伏場所を削っていく。

 しかしなかなか見つからず、ついにはあと一ヶ所になり──。

 

 がさり、と物音が聞こえた。

 

「っ!」

 

 すぐに音がした方向へ旋空を放つ彼。

 しかし、刃が捉えたのはトリオン体特有の感触ではなく、もっと無機質な何か。

 視線を向けると、そこにはボールの形をした機械。

 

 ──ダミービーコンだ。

 

『っ! 最上くん!』

 

 月見の声が響くのと彼が気が付くのは同時だった。

 レーダー上に東を示す反応が複数現れ……しかも、その現れ方が異常だった。

 秀一を、取り囲んでいた。

 ダミービーコンは、トリオンが続く限り起動するトリガーだ。つまり、その効果を発揮するまでは沈黙しており……その場に仕掛ける事しかできない。にもかかわらず、東を索敵する為に動き続けていた秀一を取り囲むように現れた。

 

 東は、完全に秀一の動きを読んでいたとしか思えない。

 

「──!」

 

 だがしかし、逆を言えば。

 東が今この瞬間動いたという事は。

 ──彼を倒すチャンスが訪れたという事だ。

 

 弧月を鞘に納め、姿勢を低くする。

 そして、サイドエフェクト全開にし──備える。

 音が消え、視界がモノクロに染まり、信じれるのは己のみ。

 しかし、そんな彼の孤独な世界に介入できる女性(ひと)が居る。

 

 視界の隅に警告の文字と方角が書かれたパネルが現れ、秀一はそちらへと視線を向け──抜刀。

 モノクロの世界でゆっくりと、しかし現実世界では瞬く間に弾丸が斬り落とされた。

 弾速が早さ。斬った時の重さから判断する。イーグレットだ。

 そしてそれを放った男は──居た。

 モノクロの世界でイーグレットからライトニングに切り替える東の姿が。

 視界に捉えた。

 もう逃がさない。

 あとは……最短距離で首を獲りに行くだけだ! 

 

 二宮の爆撃でそうなったのか、今にも崩れそうな家屋の屋根の上に陣取る東。少しでも衝撃が生じれば崩落する足場にて、しかし微塵も動揺もズレも生じさせず狙撃を可能にする。

 秀一に放たれるライトニングは、一撃でも当たれば緊急脱出してしまいそうな程に正確に急所を狙っていた。だが、いくら弾速が早かろうと秀一のサイドエフェクトの前では鉛弾を装填した弾丸の如く遅い。

 弧月を素早く、そして最適な軌道で振って弾丸を弾いていく。

 

『警告。東さん周辺にダミービーコンの反応が密集している。注意を』

 

 月見からの警告が入る。ダミービーコンを使った罠の可能性を、考えながら弧月を振るう。

 レーダー上の錯乱は東の姿を捉えた以上意味をなさない。そうなると、メテオラを使った移動型地雷の可能性がある。秀一の記憶の中で狙撃の弾丸の種類を思い出す。唯我の頭を吹き飛ばしたのはイーグレット。そして自分に放ったのはライトニングとイーグレット。アイビスは使っていない。そして、ヒュースのエスクードの壁抜きをしていない事から、アイビスを装填していない可能性を彼は考慮に入れた。

 もし入れていたとしても、既に距離を詰めている。攻撃手に当てるにはアイビスでは弾速不足。

 そうなると、メテオラの可能性がさらに高くなった。自分の弱点は理解している。意識外、視界外からの不意打ち。東はそれを狙っている。

 

 ならば、不意打ちを警戒して体感速度の時間を少し緩め、意識を広くする。モノクロな世界が色褪せた世界へと、現実へと近づく。

 これで最上旋空、生駒旋空、バイパーの精密な弾道設定は使えない。

 しかし、東に対して元々使うつもりはなかった。

 近づいて、斬る。

 ただそれだけ。それだけを目指して彼は走る。

 後は弧月とシールドを使って距離を詰めるだけだ。

 

「……!」

 

 視界の中の東の表情が少し変わった。些細な変化だが、それは次の行動の初期動作だ。

 その意識の隙を突き、走る動作をしていた足を、思いっきり地面を蹴る動作へと変える。

 すると、彼のトリオン体は主の命を受け弾丸のように東へと肉薄した。

 弧月が届く距離まであと少し。

 手を添え、抜刀の構えを取る。

 

「……」

 

 視界の中の東がライトニングを収め──再構築される狙撃銃はアイビス。

 秀一の中で疑問が浮かび上がる。メテオラは入れていないのか? 

 しかし、その疑問を振り切る。もう遅いからだ。

 アイビスの再構築を終え狙撃するよりも、弧月で首を撥ね飛ばす方が早い。

 相討ちもさせない。勝つのは──自分たちだ。

 

「──っ!」

 

 最後の一歩を踏み締める。陥没する音が響き、足跡が残る。

 

 弧月を抜刀する。刀身が鞘の中を滑りトリオンの光が煌めく。

 

 体を限界以上に引き絞り、バネのように解き放つ。全ての力をこの一撃に込めた。

 

 一寸違わず、弧月が東の首へと吸い込まれるように進み──。

 

 

 

 

 東が視界から消え、刃が空を斬り、虚しく三日月を描いた。

 

「──!?」

 

 さっきまで確かにそこに居たはずだ。思考に乱れが生じる。

 テレポーターを使ったのか。予測が狭まる。

 サイドエフェクトを使って迎撃を。行動の判断が一律化する。

 視界に影なし。背後に転移? 注意力が散漫になる。

 

 

 ──故に。

 

『最上君! し──』

 

 ──ドンッ!! 

 

 月見の警告が入る暇もなく、秀一はシールドを展開して防ぐ事もできず狙撃により頭を撃ち抜かれた。

 トリオン体が崩れ、緊急脱出する時間までの間、飛び散る片目が彼の敗因を送り届けた。

 上に……否、秀一に向けてアイビスを構える東は、崩れる足場と共に下へ下へと落ちていった。

 落下しながらの不安定な状態で頭部を吹き飛ばす精密な狙撃。

 それを見た秀一は思わずゴクリと生唾を飲み込み……。

 

『戦闘体活動限界、緊急脱出』

 

 一筋の光となって、戦場を後にした。

 

 

 

 そして……。

 

「っ……」

 

 アステロイドを放ち、バイパーを放つヒュース。しかし二宮はアステロイドを回避し、ハウンドでバイパーを撃ち墜としていく。そして空いたトリガーでアステロイドを展開し、少なく分割。威力と速度重視の大玉を放ちながらハウンドを撃ち続ける。

 それを二宮以上のトリオンを使い、両防御で防ぐヒュースだが……。

 

「ちっ……!」

 

 思わず舌打ちをする。

 

 

 

 ──足を止めてしまった。

 射線を遮るための建物もエスクードも既にない。大玉アステロイドで全て破壊し尽くされてしまった。

 二宮のフルアタックに対して受けに回ってしまった時点で、勝敗は決してしまった。

 ヒュースもまた二宮の戦術を模擬したが、弾種とトリガーの扱いの差により押し込まれた。

 ハウンドで端から削られ、アステロイドでシールドをぶち抜かれ、ついに……。

 

『トリオン漏出過多。緊急脱出』

「……ここまでか」

 

 ヒュースもまた秀一の後を追うように、戦場を後にした。

 表情を変えず、それを見送った二宮は東が居る方向を見る。

 レーダーに反応はない。ダミービーコンも機能を停止している。そして、この二人が残ってしまった以上……。

 

「……終わりだな」

 

 ──試合は終了だ。

 

 

 ◆

 

 

「試合終了! 最終スコア、4対3対3対0。東隊の勝利です!」

 

 タイムアップと同時にスコアが出され、試合結果を告げる三上。

 画面では、バッグワームを着て戦場を眺める東の姿が映し出されていた。

 観覧席では東隊が勝ったことに納得する者、二宮隊、最上隊が負けたことに驚いている者と様々であった。

 

「それにしても、ダミービーコンの使い方面白かったな」

「崩れた足場に複数のダミービーコンを浮かして、最上隊長が斬りかかった瞬間解除」

 

 その結果、浮いていた東の足場が重力に従って下へと落ち、秀一からは突然東が消えたように見えた。

 そして、サイドエフェクトを使い視野が極限に狭くなる彼の弱点を()()()()出し、そこを頭を狙撃して即死させた。

 

「こえーなぁ……ダミービーコン設置していた時から既に考えてたんだよな? しかももがみんを綺麗に誘導している」

「流石は東さんですね」

「は、ははは……。さて、そろそろ試合の総評をお願いします」

 

 三上の声掛けにより、試合内容の講評が始まる。

 

「終始東隊が戦況を動かしていましたね。各隊、東さんの狙撃を警戒していました」

「だな。んで、浮いた駒から順次獲っていく……それがうまくハマっていたなぁ」

 

 米屋と時枝の言う通り、東隊は作戦通り動き、そして作戦通り点を獲る事ができた。

 残った東も秀一以外には補足される事はなかった。そして、ダメージらしいダメージもない。

 

 その講評を自分たちの隊室で聞いていた小荒井は思わずガッツポーズをし、それを人見と共に苦笑しながらも嬉しいのは同じなのか、何も言わない奥寺。

 

「そうですね。試合の終盤まで唯一隊員全員残っており、その人数差を活かして貪欲に点を獲りに行けました」

「だな。……んで、王子隊だけど」

 

 次の講評は、4点得た東隊に対し、0得点となってしまった王子隊へと移る。

 米屋は眉を潜めて唸り、反対に時枝はいつものポーカーフェイスで彼らの敗因を述べる。

 

「王子隊は合流して犬飼先輩を落とせなかったのが大きいですね」

「つっても、こればかりは王子隊っつーより、時間稼いだ犬飼先輩が巧かったな」

「そうですね。犬飼隊員は過去の試合でも単騎で複数人と相手取り、他の隊員と合流するまで盤面を抑えています」

「二宮隊長からそういう指示を出される事もありますし、実際に応えていますからね」

「全員がマスタークラスっつー強味を活かしているな。んで、王子隊はそれにしっかりと絡めとられちまったな」

 

 さらに最上隊、東隊により点を獲られてしまった。

 東隊に唯我を先に獲られたのも大きい。

 そして何よりも……。

 

「最上隊のヒュース隊員。彼に翻弄されましたね」

「もがみんとはまた違うが、一人で戦場を掻き回すのはアイツの部隊らしいなー」

 

 ヒュースの存在を高く評価する米屋と時枝。

 噂では雷蔵の弟子であり、弧月を使った純攻撃手という話だったが、それを活用した不意打ち(弾トリガー)がきっちりと刺さり、結果的に二人落とす事ができた。

 

「バリケードトリガーであるエスクードの使い方も印象的でしたね」

「分断。孤立化。ヒュース隊員の規格外なトリオン能力ありきの使用方法ですね」

「ぶっちゃけ、囲まれたらやばいな。上に逃げたら弾トリガー、避けなくてもヒュースのトリオンならエスクード越しに斬れる(旋空で倒せる)だろうしな」

 

 実際、王子を獲る際もそのような動きを見せたが……二宮隊の横槍によりそれも無くなった。

 

「二宮隊は、東さんを警戒していたのと、最上隊長に掻き乱されましたね」

「まぁ、普通なら二宮さんに捕まったら普通は逃げ切れねーしな。現に、他の奴らも突っ込むか鬼ごっこになるし」

 

 それでも3点を獲得したのは、B級一位の力というべきか。

 そして、その二宮隊と同得点の最上隊だが……。

 

「二人は、最後の最上隊長の行動は、やはり先ほど仰ったとおりで?」

「まぁ、結果論で言ったら東さん狙うべきじゃなかったかもしれないが……」

「先ほども言いましたが、東さんを放置していた際のリスクもありました。彼はそのリスクも嫌ったと見るべきですね」

 

 ──しかし。

 

「唯我隊員が落とされてから、動きが急いていたように見えるので……そこが気になりました」

「ん……まっ、これからは一人じゃねーし。部隊としての最善の選択は、これから学んでいくんじゃねーの? その辺は今後の期待、だな」

「……ふふ。優しいんですね」

 

 三上の言葉に、米屋が照れたのか頬を少し赤く染めて目をそらした。

 時枝もまた口元を緩めて彼を見ていた。

 二人の視線に耐え切れず、ゴホンッと咳ばらいをし、最後の隊員の評価を下した。

 

「んで、最後に──」

 

 

 ◇

 

 

 王子隊、作戦室。

 

「みんな、お疲れ様」

 

 さわやかな表情で樫尾と蔵内に労いの言葉を贈る王子。当然試合中ずっとオペレートしていた橘高にも忘れない。

 そんないつもと変わらない様子の王子に、樫尾はぐっと奥歯を噛み締めた。

 自分は悔しかった。この部隊で、上位グループで今まで戦ってきた。二宮隊、影浦隊、東隊に一歩二歩劣る事も自覚していた。だからこそ、最上隊に負けた事が、最上隊が自分たちが勝てない相手に互角に渡り合う事が悔しかった。

 だから、思わず聞いてしまった。

 

「王子先輩……悔しくないんですか?」

「悔しいよ?」

 

 答えはすぐに返ってきた。

 王子の声や表情に変わりはない。しかし、その言葉には……樫尾と同じ感情が込められていた。

 

「樫尾、そう驚くな。王子だって完璧じゃない。人間だ」

「酷い言い草だね」

「……で、どうする? 中位落ちして燻るつもりは無いんだろう?」

 

 今回の試合で暫定順位が決まった。王子隊は、上位から中位へと落ちてしまっていた。

 だが、そこで終わるつもりは彼には……彼らには無かった。

 

「──当然。いつかリベンジして、ぎゃふんと言わせてやろう」

「はい!」

「……だな」

 

 中位に落ちた王子隊は、リベンジに燃え次を考える。

 今回の悔しさをバネに。

 

 

 ◇

 

 

 東隊、作戦室。

 

「そういえば東さん。最後に言ってたあれって……」

 

 東は、奥寺たちが落ちた後彼らに言っていた。

 後はしっかりと見ていろ、と。

 

「最後、最上の行動を見て、どう思った?」

「んー……相変わらず強いなー、と」

 

 そしてそれを倒す東さんもやばい。

 

「小荒井……」

「そういう事じゃないでしょ……」

 

 簡潔にそう返す小荒井に、人見と奥寺が呆れ返った視線を向ける。東さんが聞いているのはそういう事じゃないだろう、と。二人の視線に耐えられなかったのか、ワタワタと慌てて真面目に答える小荒井。

 

「え、えっと……やっぱり米屋先輩たちが言っているのと同じ感想ですね」

「オレはそれに加えて、判断を誤ったと思います。あそこでヒュースと別れたのは、デメリットが大きいです」

 

 現に、あの後最上隊は点を獲る事ができなかった。

 そう答える二人に、東は頷く。

 彼らの考えを知り、頭の中で評価していく。

 

「そうか、二人の考えは分かった──とりあえず、今日の試合の事は忘れないようにしてくれ」

「? は、はぁ……」

「わかりました……?」

 

 東の意図が分からず、首をかしげる二人。

 そんな彼らを見ながら思う。最上は、彼らを……いや、他の人間に刺激を与えて変化を生じさせる。

 願わくば、成長してほしいと思った。彼らも、そして最上自身にも……と。

 

 

 ◇

 

 

「順位は依然として変わらず、だけど……」

「これは……」

 

 試合を終え、暫定順位を見た犬飼は面白そうに笑い、辻は感嘆した声を出した。

 現在の順位は以下の通りである。

 

 B級暫定一位 31点 二宮隊。

 B級暫定二位 29点 影浦隊。

 B級暫定三位 28点 玉狛第二。

 B級暫定四位 26点 生駒隊。

 B級暫定五位 25点 鈴鳴第一。

 B級暫定六位 24点 東隊

 B級暫定七位 24点 最上隊。

 B級暫定八位 23点 弓場隊。

 B級暫定九位 22点 王子隊。

 ・

 ・

 ・

 

「玉狛、駆け上がって来たね~」

「次、マッチング的にうちと戦うと思いますよ」

 

 中位に落ちた玉狛に何か変化あったのだろう。大量得点で一気に三位まで浮上した彼らに犬飼と辻が興味を示す。

 そして……。

 

「……ふん」

 

 二宮は一人、試合後のひと時に身を委ねていつものように一言。

 

「関係ない。誰であろうが、撃ち墜とすだけだ」

 

 

 ◇

 

 

 そして──。

 最上隊、作戦室。

 現在、この空間は戦場並みにピリついていた。

 それを作り上げているのは──秀一とヒュース。

 月見は黙って見守り、唯我はこの場に居ない。

 いや、正確には逃げた、が正しい──この空間を作り上げた原因にも関わらず。

 

「もう一度言うぞ」

 

 ヒュースが静かに口を開き、

 

「勝ちたいのなら、唯我は切り捨てろ。奴は、この部隊に着いていけない」

 

 その言葉に秀一は──静かに怒りをぶつけた。

 


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