大空の炎の力を操る転生者   作:Gussan0

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どうもΣ(゚Д゚)

外伝書けたで候。

では、どうぞ∠( ゚д゚)/


Featuring ViVid Strike!③

ヒエンside

 

 

 

俺は気絶したヴィヴィオを背負って、アインハルト達と共にナカジマジムを目指していた。

 

 

「……寸止めすべきだったなぁ」

 

 

俺の呟きにアインハルトが反応した。

 

 

「あの場合は仕方がなかったと思いますが。それに……手を抜く余裕はなかったのでは?」

 

 

「まあ……な。ヴィヴィオが想像以上に出来る相手だったから、つい加減を忘れてた」

 

 

マジでプロボクサー並のパンチだったからな。

 

 

「私達としては、そんなヴィヴィオに勝利したお兄さんの事がものすご〜く気になるのですが」

 

 

そんなとき、俺の前を歩いているリオが振り返りながらそんな事を言ってきた。

 

 

「……気になると言われてもな」

 

 

まあ、普通の人よりは、かなり修羅場をくぐり抜けてきた自覚はあるが。

 

 

「ヴィヴィオのジャブを受け流してた技も地球の格闘技の技なんですか?」

 

 

すると、リオの隣を歩いているコロナも聞いてきたので答える。

 

ちなみにリオが相棒を抱え、コロナがナハトを抱えていたりする。

 

 

「ああ。あれは地球の中国拳法の一つである太極拳の技の一つ、化勁だ。化勁は敵の攻撃に対して腕を回転させ、受け止めるのではなく、丸い棒の上を転がるように、コロの原理で攻撃に逆らわず受け流す防御技術だ。化勁を極めるとあらゆる攻撃を受け流すことができてな?腕だけじゃなくて全身を用いて化勁を行うことで、理論上はどんな技も受け流せるんだ」

 

 

「どんな技も……?」

 

 

「ああ。さらに俺の場合は、制空圏っていう技とも併用して使ってたけどな?」

 

 

「制空圏……?」

 

 

「制空圏ってのは、自分の攻撃が届く範囲に侵入したあらゆる攻撃に対して、自動的に反応して迎撃する技だ。要は人間の反射を利用した技だな。熟練者ともなれば、制空圏はバリアのように機能して、敵の攻撃を防ぎきる。達人クラスにもなれば、武器の使用によっては自身の手足以上の範囲を守る事も出来る」

 

 

「それじゃ、ヴィヴィオのジャブを全部反射的に防いでたって事ですか!?」

 

 

コロナが驚いた表情で俺を見る。

 

反射的に防いでいるという部分が驚いたらしい。

 

 

「驚くのも無理はない。でも制空圏は武術を続けていれば、ある一定のレベルにまで達すれば、自然と誰でも出来るようになる。現に才能のない俺でもこうして出来てるからな。まあ、使えるようになるまでは一年半くらいかかっちゃったけど……」

 

 

「す、すごいです……!!」

 

 

するとコロナが目を輝かせながら、こちらを見ていた。

 

それはもうキラッキラッであった。

 

何か彼女の琴線に触れる事があったのかもしれない。

 

 

「俺は武術の才能がからっきしだったからさ……二年間基礎修行をみっちり叩き込まれたんだ。才能がないからこそ、基礎が一層大事だってな」

 

 

「そうだったんですね。でも、今のヒエンさんクラスになるまで相当苦労したんじゃないんですか?」

 

 

「イヤ、ホントニイロンナコトガアッタヨー……。修行時代は、早朝からひたすら組み手、学校が終わって夜寝るまでひたすら組み手……相手をしてくれるのは俺の使い魔なんだけどさ〜……これがやたらと強くて、一本なんてなかなか取れねぇし。それに疲労やケガで倒れたとしても回復魔法ですぐに治されるし。ある意味無限地獄もいいところだったなぁ……まぁ、そのおかげでイヤでも強くなれたんだけどさ。でもあのときが一番やばかったなぁ。薫さん……俺に武器戦闘の修行をつけてくれた師匠なんだけどさ……地下格闘場なんていう場所にカチコミに行かされたことがあってね?こっちはたった2人なのに武器を持った100人と戦闘する羽目になるし……10人くらいに囲まれたときは本気で焦ったなぁ……ああああァァァ……周りから刀が!槍が!真剣が迫ってくるうぅーー!!刃物怖い!刃物怖い!!………「落ち着いて下さい!!」………ブフッ!?」

 

 

気が付けばアインハルトに平手打ちされていた。

 

頬がヒリヒリするのを自覚すると、正気を取り戻す。

 

どうやら記憶がフラッシュバックしていたらしい。

 

周りを見渡すと、リオとコロナ、ミウラが引いていた。

 

俺は即座に現状を理解し、行動に移った。

 

 

「マジ、スミマセンデシタ」

 

 

 

 

 

 

閑話休題

 

 

 

 

 

 

正気に戻った俺はヴィヴィオをおんぶしながら、トボトボと歩きながら説明していた。

 

 

「まあ、薫さん曰く、【裏社会科見学】らしい」

 

 

「「「「裏社会科見学!?」」」」

 

 

「実戦に勝る修業なしってことで、人生経験の一環として連れて行かれたんだよ。そこで命じられたことはただ一つ。『生き延びろ』だった。あのときは無我夢中だったなあ……」

 

 

確か美由希さんとの練習試合を控えていて、武器戦闘に慣れるための総仕上げ……だったかな?

 

なんというか随分昔のように思える。

 

体感時間的には一年と数ヶ月前であるが……。

 

 

「ヒエンさん……困った事があったら遠慮なく言ってくださいね?私でよければいつでも力になりますから!」

 

 

「私も!」

 

 

「ぼ、僕もです!!」

 

 

「今度はぜひ私とも手合わせを」

 

 

すると、コロナ、リオ、ミウラの三人が俺を気遣ってか、優しい言葉を言ってくれた。

 

アインハルトだけちょっと違うけど。

 

いかん。

 

随分と気を遣わせてしまったようだ。

 

 

「!!」

 

 

「にゃ〜」

 

 

クリスとティオまで俺を気遣っているのか、近くまでやってきていた。

 

クリスからは『ファイトです!』的な思念が伝わり、ティオは俺の肩に乗ると頬ずりをしてきた。

 

え?

 

なにこれ??

 

滅茶苦茶癒されるんですけど???

 

小動物型デバイスのアロマセラピースゲェ。

 

と、そうこうしている内にナカジマジムへとたどり着く。

 

外観はまさに最新ジムという感じであり、外からでも分かる程に最新式のトレーニングマシンが揃っていた。

 

 

「綺麗なジムだなぁ」

 

 

俺はそう呟きながら、背負っているヴィヴィオに声をかける。

 

 

「おい、ヴィヴィオ〜。起きろ〜。ジムについたぞ〜」

 

 

「えへへへ〜あと五分〜」

 

 

「いや、俺はベッドじゃないんだが……」

 

 

完全に寝ぼけていらっしゃる。

 

あと気の所為でなければ、君ちょっとヨダレたれてない?

 

 

「お〜い、ヴィヴィオ起きろ〜。ジムについたぞ〜?」

 

 

俺は背中をユサユサ揺らしながら、ヴィヴィオを起こしにかかる。

 

 

「えへへへ。パパぁ〜」

 

 

「いや、パパでもないんだが……」

 

 

まあ、こんな可愛らしい娘がいれば間違いなく溺愛するだろうが……

 

 

「ヴィヴィオ〜いい加減起きないと学校に遅刻しちゃうよ〜?」

 

 

見かねたコロナがヴィヴィオの背中をゆすり、ヴィヴィオを起こしてくれた。

 

 

「……へあ?」

 

 

そして肝心のヴィヴィオはというと、少し寝ぼけながらもゆっくりと周りを見渡し、背負っている俺と目が合う。

 

すると、面白い程に彼女の顔が真っ赤になっていく。

 

遅まきながら現状に気が付いたのだろう。

 

そして驚きながら、叫び声を上げた。

 

 

「にゃ、にゃああああああああ!?」

 

 

予想外な事があると、猫のような叫び声をあげるのは母娘共通らしい。

 

それはそうと……

 

 

「ちょっと!危ないから暴れるなって!?」

 

 

「お、降ろして下さい〜!!」

 

 

「分かったから……降ろすからジッとしてなさいってば」

 

 

慌てるヴィヴィオにちょっとほっこりしたのは俺だけの秘密である。

 

 

 

◆◆◆

 

 

 

背中で暴れるヴィヴィオをなんとか落ち着かせた俺は、皆の苦笑いに囲まれながら、ようやくジムの扉をくぐった。

 

 

「あ、ありがとうございます、ヒエンさん。その、ええと……背負ってくれて……」

 

 

「気にするなって。俺もけっこう慣れてるし。修行時代なんて、背負って走るのが日課だったし」

 

 

「え、誰を……?」

 

 

「師匠を」

 

 

「えええ……」

 

 

とまぁ、そんな他愛のないやり取りをしていたそのとき……

 

 

「帰ってきたと思ったらなんだか賑やかだな……」

 

 

奥のフロアから、誰かがこちらへ歩いてきた。

 

赤髪にスポーツウェア姿の女性には()()()()()()

 

ノーヴェ・ナカジマ。

 

元・ナンバーズ、現ナカジマジム会長。

 

そんな彼女が俺の目の前で、腕を組んで俺を観察している。

 

 

「……君、名前は?」

 

 

「ヒエン。ヒエン・オオゾラです」

 

 

「ふーん。良かったら、うちのジム……見てく? 施設もあるし、()()()()()()()()()()()()()()()、きっと楽しめると思うよ」

 

 

「……その、分かるんですか?」

 

 

「これでもジムの会長だからね。ある程度は体つきを見るだけで分かるよ」

 

 

「なるほど」

 

 

ノーヴェはヴィヴィオ達の師匠で格闘戦技(ストライクアーツ)の有段者でもある。

 

そんな人ともなれば、その人の体つきを見るだけで、ある程度の身体能力の高さが分かるのだろう。

 

 

「それに……うちの子達がそれだけなついてるってことは、君相当やるでしょ?大方ヴィヴィオ辺りが、君に練習試合挑んで負けたって所?」

 

 

「そこまで分かるんですか……」

 

 

ものの見事に全部当てられてるんですが。

 

 

「ノーヴェひど〜い!全く持ってその通りだけど!?」

 

 

「やっぱりか……それはそうと、お前は誰彼構わず練習試合を申し込むのはやめろ!ちゃんと相手の事情も考慮してだな……」

 

 

「ちゃ、ちゃんとヒエンさんの許可はもらったよ!後、誰彼構わず練習試合挑んでる訳じゃないもん!!人を通り魔みたいに言うのはやめてよ〜!!!」

 

 

「うぐっ……」

 

 

ヴィヴィオの言葉を聞いたアインハルトが胸を押さえて、なぜかダメージを受けていた。

 

あ〜……そういえばViVid序盤で通り魔的な事してたなこの子。

 

アインハルトはカイザーアーツ、覇王流が最強である事を証明したいが為に、形振り構わない形で実力のある者達に野試合を挑んでは叩きのめしていたのだ。

 

『強さを知りたい』という理由で、聖王オリヴィエの複製体クローンと、冥王イクスヴェリアの所在を求めていたのである。

 

っていうかまだ学生の内で、格闘を生業にしている人達に勝負を挑む度胸が凄い。

 

まあ、結局なんやかんやあったものの、ヴィヴィオ達のおかげで、公式魔法戦の舞台で覇王流の強さを証明することを決意したのである。

 

そんな彼女も今ではU15の王座を取り、一躍時の人となっている程有名なのだ。

 

すると、そんな彼女と目が合う。

 

直後、超直感が軽く警鐘を放ってきた。

 

俺には、この後の展開が容易に想像出来た。

 

 

「ヒエンさん」

 

 

「……どうした?」

 

 

「良ければ……私とも試合をしてくれませんか?」

 

 

アインハルトの言葉に一同は驚く。

 

 

「アインハルトさん……やっぱり、我慢できなかったんですね」

 

 

ヴィヴィオが苦笑しながら肩をすくめる。

 

 

「すみません。ですが、どうしてもこの機会に、ヒエンさんと一度──」

 

 

アインハルトは静かに言う。

 

その眼差しに迷いはない。

 

むしろ、静かな闘志だけがそこにあった。

 

俺は彼女の言葉に被せるように答えた。

 

 

「別にいいぞ。俺も君の事は気になってたしな」

 

 

「……感謝します」

 

 

互いに礼を交わし、俺達はジムのフロア中央へと移動する。

 

 

「武装形態」

 

 

アインハルトがヴィヴィオと同じく、俺と同年代の美少女の大人モードへと変わる。

 

 

「セットアップ」

 

 

対して俺も再度死ぬ気化すると同時に、黒い篭手と脚甲を装備する。

 

準備完了だ。

 

 

「それじゃあ、模擬戦形式。射撃魔法は禁止、格闘のみ。安全優先、ダメージが入りすぎたら即ストップ」

 

 

ノーヴェが審判役として指示を出す。

 

 

「準備はいい?」

 

 

「はい」

 

 

「いつでもどうぞ」

 

 

「じゃあ──はじめ!」

 

 

開始と同時に、アインハルトが踏み込んでくる。

 

ヴィヴィオよりも“重い”踏み込み。

 

地に根を張ったような重心移動と、鍛え抜かれた正拳。

 

 

「ハッ!」

 

 

拳が一直線に突き出され、俺の頬を掠める。

 

 

「……いい重さだな」

 

 

俺は即座に体をひねって受け流し、手を前へ出し、アインハルトの腹へ一撃入れようとする。

 

しかし、それすら読んでいたように、アインハルトが左脚で体幹を崩さず押し返した。

 

 

(凄いな……体の軸がまったくブレてない)

 

 

一瞬の間合い、視線、呼吸などから彼女の戦闘スタイルを分析する。

 

 

「……なるほど。こちらの動きを読みながら“動かない”ことを選ぶタイプか」

 

 

要はカイザーアーツは、地球で言う古式空手のようなものか。

 

 

「ヒエンさんこそ、柔らかくて鋭い技ですね。無駄な動きが一つもない」

 

 

まるで静かな詩のように、俺達の攻防は繰り返される。

 

打ち合いではない。

 

技と技の“理解”が交差する。

 

アインハルトの蹴りを、俺は半歩下がって捌く。

 

逆に俺の打ち込みを、アインハルトは最小限の動きで受ける。

 

バチン、と腕と腕が交差し、ほんの一瞬だけ、両者の動きが止まる。

 

 

 

「──これで最後にします」

 

 

 

アインハルトの声と同時に、彼女の纏う空気が変わった。

 

 

彼女は再び構える。

 

 

脚が沈む。

 

 

拳がより低く、より強い力を生み出すための溜めに入る。

 

 

碧色の魔力が螺旋を描くように渦巻き始める。

 

 

全体重をかけた打ち込み──拳が、正確無比に俺の胸元を狙う。 

 

 

これが、アインハルトの最強にして最後の一撃。

 

 

 

「覇王───断空拳!!!」

 

 

 

なら、俺も一発返そう。

 

 

 

「……灼熱の加速(バーニングアクセル)

 

 

 

太極拳、化勁の踏み込みを利用したカウンター。

 

相手の力を流すことで、こちらの技に変える。

 

俺達の拳が交錯する刹那、相殺──いや、ほとんど同時に止まった。

 

 

「そこまでっ!」

 

 

ノーヴェの声で、場が静まる。

 

俺とアインハルトは、拳を下ろし、互いに目を見つめ合った。

 

そして──二人は、同時に笑った。

 

 

「……また、お願いします」

 

 

「ああ、ぜひ。俺も楽しかった」

 

 

 

◆◆◆

 

 

 

「なるほどねぇ……」

 

 

ノーヴェが腕を組んで、ニヤリと笑う。

 

え?

 

なに??

 

どしたん???

 

 

「こりゃもう、ウチで雇うしかないな!」

 

 

「……はい?」

 

 

「このジムはな、ただのトレーニング施設じゃないんだよ。ヴィヴィオ達の鍛錬の場でもあり、次代の育成場でもあるんだ。だからこそ──君のような本物の強さを持つ者が必要なんだ」

 

 

ノーヴェは軽く親指を立てる。

 

 

「名義は“臨時トレーナー”、君が正式に嘱託資格を取ればそのまま昇格できるけど……どうする?」

 

 

「……そんな簡単に取れるものなんです?」

 

 

「うちの名前で保証するよ。それだけのことを、君は見せてくれた」

 

 

俺は相棒とナハトに視線を向ける。

 

正直、この話は俺にとって渡りに船だ。

 

住む所も収入もない俺にとっては、貴重な収入源となる。

 

二匹が頷くと、俺は彼女に頭を下げた。

 

 

「……わかりました。ありがたく、お受けします」

 

 

(まあ、先立つものも必要だしな……)

 

 

こうして俺は、ナカジマジムという“居場所”を、一つ得たのだった。




次回は嘱託魔導師試験。

当然模擬戦相手は……例の魔王のあの人です。

では、また( `・∀・´)ノ
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