書けたので投稿。
では、どうぞ( *・ω・)ノ
ヒエンside
海鳴大学病院での診察が終わった俺は、その足でアースラへと来ていた。といっても転送魔法で来ただけであるが。
アースラに来ている訳は……表の理由は健康診断であるが、裏の理由は俺のリンカーコアのデータ取りを行うためだ。俺のリンカーコアにはジュエルシードが融合しているので、異常がないか常に調べなければならない。
「うん。特に変わったところは無さそうだね。魔力検査の方でも異常はないみたい」
「そうか」
エイミィが俺の検査結果の書類を見て教えてくれた。
「ヒッツちゃんも異常はありませんでしたよー」
すると情報室に白衣を着たメガネの女性が入ってきた。
「あ、マリーお疲れ様」
「エイミィ先輩もお疲れ様です」
このメガネをかけた女性はマリエル・アテンザ。通称マリー。魔導師の装備のメンテナンスを担当している時空管理局本局に勤務する16歳の若きメンテナンススタッフである。エイミィの後輩に当たる。
ちなみに原作……リリカルなのはA's本編で彼女は登場する。
彼女は俺のデバイスであるヒッツのメンテナンスをするために、わざわざ本局から出張してくれているのだ。
「あ、ヒエンさんもお疲れ様です」
「お疲れマリー」
「ガウガウ♪」
「相棒もお疲れ」
マリーは俺の一つ下なので後輩に喋るみたいに俺も接している。ちなみに今回の健康診断は三回目である。
「フルドライブシステムも安定化しておいたので安心してください」
「お、わるい」
「いえいえ~ヒッツちゃんは今まで見たことのないタイプのデバイスなので、研究者としての血が騒ぐので全然大丈夫です!!」
マリーは笑顔で元気よく答える。
「それにしてもこの……フルドライブシステム……よく作れましたね?構造は単純でシンプルですけど、使用者にできるだけ負担がかからないように設定されてますし…」
「まあ……これ一応俺の切り札だし……システムを単純にしたのは負荷を軽減させる目的もあったから。それに……」
「それに?」
「……あんまり複雑な物は扱える気がしない。ほら俺、不器用だし。それに……良く言うだろ?シンプルイズ・ザ・ベストって」
「あははは……確かに。でもそれくらい単純な方が効果が上がる場合もあるのか……」
途中マリーがブツブツ呟き始めた。自分の世界に入り始めたようである。
それを既に見慣れた俺とエイミィは、普通にスルーする。
「でもあのときはビックリしたよー。フルドライブ使ってたなんて」
そこにエイミィが話を振ってくる。あのときっていつよ?もしかして俺がプレシアと戦ってたときか?
「ああ……うん。でもまあフルドライブ使ってなかったらプレシアに勝てなかったし」
「いや~あの戦いは凄かったよ~。お互いの譲れない信念がぶつかり合ってるって感じがして。戦いが気になりすぎて業務ほっぽりだして、アースラスタッフ全員でヒエン君の事応援してたよ~」
「え?」
それ…管理局としてどうなのよ。
いやでも今はそんなことどうでもいい。
それよりも重要なことがある!!
今、気付いたけどあの戦いが見られてたってことは……俺がプレシアにかました説教やら雄叫びやら…その他もろもろ恥ずかしい言葉も記録されているということではないのか!?Σ(゜Д゜)
あかん!
マジであかん!!
あんな黒歴史確定なものが……他の人に見られようもんなら!?
確実に……死ねる!!
「よしエイミィ」
「もう本局に証拠映像として送っちゃったよん♪」
「……マジで?」
「マジで♪」
俺は頭を抱えながら席をたち雄叫びをあげた。
「Oh,Jesus!!」
◆◆◆
「それで……このバカはこんなにも落ち込んでいるのか?」
「あ、あははは…。ちょっとからかい過ぎちゃったみたい」
俺が情報室の隅っこで体育座りをしながらブツブツ呟いていると、様子を見にきたクロノが額を手で押さえていた。
「いや……このバカには丁度良い薬だ。正直うっとうしいことこの上ないが」
クロノのセリフを聞いた俺は思わずカチンときたので言い返した。
「うるせー。バリアジャケットの肩に意味の分からんトゲトゲをつけてる奴になんぞ、何も言われたくない」
カチン
クロノからそんな音が聞こえてきた。
「……っふ。いや悪い悪い。全身黒スーツなんてどこのマフィアとも知れん格好をするような奴には分からないか~。このデザインのよさが」
「ああ、ごめんごめん。分からないわ~。そんなトゲのどこがいいのかマジで分からないわ~。それ当たったら地味に痛そうだしなあ~。廊下ですれ違うときによけるときとか、か・な・り!!めんどくさいんだよなぁ~」
「あはははは。額に炎を灯す自然災害に言われたくないなあ。火事にでもなったらどうするつもりだ?」
「あーごめんごめん。俺の能力説明したはずなんだけど聞いてなかったか~。火事になるなんてことは絶対ないんだわ~。ちょっと難しくて分からなかったかなあ。ごめんねボクチャン~?」
「いや~説明が下手すぎて理解できなかったんだ。ごめんよ痛いオニイサン~?」
「………」
「………」
「………」
「………」
「「ちょっと表でろおおおぉぉぉ!!!!!」」
「いいんですか?エイミィ先輩?」
「うん♪まあ二人とも楽しそうだしいいんじゃない?」
急遽、クロノと模擬戦をすることになった。
ヒエンside end
◆◆◆
リニスside
その日、リニスはアースラの食堂にてアリシア、フェイト、アルフ、リンディの昼食を用意していた。
アリシア、フェイト、アルフの三人は局員が一緒に同伴していればアースラの中を自由に出歩いてもよいことになっているため、リンディ同伴で三人も食堂のイスに座っていた。
「うぅー。お腹減ったよーフェイトー」
「も、もう少しでごはんだから…ちょっとだけ我慢しよ姉さん?」
「ぶぅーぶぅー」
その幼い金髪姉妹のやり取りを苦笑いしながら見るアルフとリンディ。そしてその様子を料理の準備をしながら遠目で見ていたリニスであった。
すると食堂の空中モニターに映像が映り始めた。食堂を利用していた局員たちは途端にざわつき始める。
「?フェイトー、今日何かあったっけ?」
「さあ?特に聞いてないけど」
そこでフェイトはリンディに聞いてみることにした。
「あの……リンディ提督。今日は何かあるんですか?」
「いえ、特に何もなかったはずだけど……何が始まるのかしら?」
リンディは首を傾げ、モニターをじっと見つめる。
「料理ができましたよ~」
そこへ料理をトレーで持ってきたリニスがやってくる。
今日のお昼のメニューはオムライスのようだ。
「わあ~おいしそう~!!」
アリシアの目が輝き始める。
「これを食べて午後の授業と魔法の訓練……しっかりとがんばりましょうねアリシア、フェイト、アルフ」
「今はそのこといわないでリニス!」
するとアリシアは聞きたくないとばかりに耳を押さえ首を横に振る。
「アリシアもせっかく魔法が使えるようになったのですから、しっかり使えるように訓練しないとダメです。それと……今日の訓練はいつもに比べてハードにいくので……三人とも覚悟しておいてくださいね?」(良い笑顔)
「「「は、はい……」」」
リニスの迫力ある笑顔にアリシア、フェイト、アルフの三人は首をブンブンと縦に振りながら何度も頷く。
「これでもヒエンの時に比べたら楽にしている方なのですが…」ポツリ
リニスの呟いた言葉に心の中である少年に合掌する三人であった。リニスの特訓は……リニスが三人に合わせて限界ギリギリまで作った個別用メニューとなっている。
それを三人は毎日、ゼーゼーハーハーいいながら必死にこなしていた。今、三人の中でリニスは絶対に逆らってはいけない人ベスト3に入っていた。……だが我らが主人公は未だに逆らう気満々であるが。なんだったらやり返すことすら考えている始末である。
そして皆が食事を取ろうとしたとき食堂全体に
『今日こそ決着つけるぞチビッ子執務官!!』
『それはこちらのセリフだ究極のド変態』
『チビ、豆、ミジンコ』
『変態、ドM、ゴキブリ』
『………』
『………』
『………』
『………』
『『上等だ!!このクソ野郎!!!!!』』
するとモニターにヒエンとクロノの姿が映っていた。
それを唖然とした表情で眺める五人。
そしていち早くアリシアが復活した。
「あ、お兄ちゃんだー♪♪」
それを機に続々と復活していく。
「な、なんでヒエンがアースラに?」
「そういえば……健康診断に来てるって聞いたよ?」
フェイトとアルフは首を傾げながらモニターを見る。
「な、何をやっているんですかあの二人は……」
「あらあら。どうやら模擬戦をするみたいね」
「リンディ……そんなのんきな」
額に手を当てながら呆れるリニスに、ほんわか笑いながら映像を見るリンディであった。
「ほんとヒエン君がアースラに来るようになってから退屈しないわ~」
「お世話をおかけします……」
リニスは何かあればすぐに騒動を起こす主にホトホト呆れていた。しかし決してそれ自体、嫌ではなかった。
(確かに退屈はしませんが……)
リニスは周りを見渡す。
楽しそうにどちらが勝つかを話すアリシア、フェイト、アルフ。
ニコニコしながらモニターを眺めるリンディ。
(まぁ、とりあえず今のヒエンがどれだけ強くなったかお手並み拝見といきましょうか…)
リニスもモニターを眺めながら、どちらが勝つかを予想するのだった。
ちなみに食堂ではどちらが勝つかトトカルチョが開かれていた。
次回久しぶりの対クロノ戦。
では、また(・∀・)ノ