外伝書けたで候。
では、どうぞ∠( ゚д゚)/
ヒエンside
俺がこちらの世界に飛ばされてから一週間の時が過ぎた。
ナカジマジムという職場を得た俺は、現在アルバイトという形でお世話になっている。
業務内容を簡単に説明すると、まずジムが開く二時間前からジム全体の清掃を行い、営業時間からは受付業務と細かい雑用、ジム前の軽い掃除や館内備品の補給などを行う。
アルバイトと舐めていた訳では無いが、やる事は多岐に渡る。
会長のノーヴェはというと、インストラクターやフロントスタッフと共にジム会員のトレーニングの指導をしたり、経理の仕事をしたりと色々忙しく過ごしている。
午後を過ぎると、学校が終わったヴィヴィオ達がやって来てトレーニングを開始する。
それと同時に俺も受付業務を終了する事になる。
なぜなら引継ぎをしなくてはいけないからだ。
そこで引継ぎを担当してくれるのがユミナちゃんだ。
ユミナ・アンクレイヴ。
ナカジマジムではバイトリーダーで選手達のマネージャーをしており、アインハルトとはクラスメイトで親友でもある。
彼女の家にはよく料理をしに行っているらしく、アインハルト曰くかなり美味しいらしい。
ちなみにスポーツドクターを目指しており、ユミナ式ストレッチ&マッサージは、ヴィヴィオ達に大変人気である。
さらに言っておくと、元の世界でも俺はユミナちゃんと面識がある。
とは言っても、俺の世界のユミナちゃんはまだ1歳なのだが。
「ヒエンさん、お疲れ様です。替わりま〜す」
「お疲れ〜」
しかし、13歳でバイトリーダーって凄いよね。
ミッドチルダは女性の社会進出が積極的に進んでいる。
各方面で活躍する女性は多い。
このユミナちゃんも数年後には職場で活躍するキャリアウーマンになっている事だろう。
俺はユミナちゃんに今日の分の引継ぎを済ませる。
「今日の引継ぎはこんな所かな」
「分かりました〜。そういえば今日は誰を担当するんですか?」
「コロナだな。多分、しばらく付きっきりになると思う。どうやら制空圏に興味があるらしくて」
「確か人間の反射を利用した技……でしたっけ?」
「ああ。慣れない内は怪我も多くなるし、修得するのにかなり時間もかかる。それでも苦労する分、見返りも大きい。それに制空圏はコロナとは相性がいい」
「そうなんですか?」
「反射神経で防ぐ分、その分の思考のリソースを他に割けるからな。魔法の効率性もアップするし、動きの最適化もされるから、それぞれの無駄もなくなる」
「……少しエレミアの神髄に似てますね」
「それって確か……世界王者のジークリンデ・エレミアの技能だっけ?」
「はい。命の危険を感じた時に自動的に発動するらしいです。でもまだ上手く制御出来ないらしくて……」
確かViVid原作でも【エレミアの神髄】状態は他の何者も寄せ付けない圧倒的な力を振るうと言われていた。
高すぎる力を相手を考えずに振るうようになってしまうため、大変危険でもある。
小さい頃はこの力を制御できず、破壊の限りを尽くしてしまったこともあるらしい。
こっちの世界にいるのであれば、いずれその彼女とも出会うかもしれないな。
そして俺はユミナちゃんと別れると、ヴィヴィオ達と合流する。
合流した後は、早速準備体操と柔軟運動に取り掛かる。
俺はコロナに鍛錬の説明をする事に。
指導する時のメニュー等は一任されているからだ。
「……確認だが、コロナ。制空圏を身に着けたいってことでいいんだよな?」
「はい。制空圏は今の私にとって必要なものだと思って……」
「なら、鍛錬は少し荒くなるが構わないな?元々制空圏は時間をかけて覚える技だ。それを短期間で身につけるとなると……鍛錬方法も当然厳しくなる。その覚悟はあるか?」
俺は少し威圧しながら話す。
ここで少しでも引くようなら、鍛錬方法は変えるつもりでいた。
「……大丈夫です。覚悟の上です」
しかし、彼女は引くどころか、強い眼差しでこちらを見ていた。
覚悟ガンギマリである。
「……分かった。なら、今日から制空圏の特訓を始める。だが、その前に3つ約束してほしい。1つ、俺の指示には絶対に従う事。2つ、身体に不調が出たときはすぐに言う事。そしてこれが一番大切なんだが……3つ、弱音は決して吐かない事」
病は気からと言うが、弱音を吐くと人と言うのは存外脆くなる。
だからどんな辛い時でも、自分の心を自分で奮い立たせる心の強さが重要なのだ。
「誓えるか?」
「誓います!」
コロナは元気よく答えた。
「分かった。しばらくは俺が付きっきりで指導することになるけど、マネージャーのオットーさんや、ノーヴェ会長もしっかりサポートしてくれるから安心してくれ」
「はい!」
「それじゃあ、さっそく移動しよう……と、言いたい所だが、その前にコロナに言っておくことがある」
「言っておく事?」
コロナが首を傾げる。
彼女は周りと自分の強さを比べて、少し劣等感を感じている描写があった。
現時点でも、それは感じている事だろう。
が、この特訓を乗り越えた暁にはそんなもの感じなくなっているはずである。
経験者が言うんだから、間違いない。(白目)
「……今から自分の中で最も辛いと思うトレーニング、又は鍛錬を思い浮かべてみろ」
「は、はい……」
コロナは困惑しながらも返事をする。
俺は数秒待つと、コロナへ再度話しかける。
「……考えたか?」
「はい」
少し辛そうな表情をしているが、今からさらにその表情は辛くなるんだけど……(不憫)
「コロナ……ここで君に残念なお知らせがある」
俺は目をカッと見開き、大声で言った。
「そんなものは……天国だっっ!!」
某武術漫画のセリフを言った俺の発言にコロナが驚く。
「えっ!?えっ!?」
びっくりして硬直しているのだろう。
時間ももったいないので、俺は米俵を担ぐようにコロナを持つと、さっさと目的地へ移動する事にした。
「えっ……えぇぇぇぇぇ!?」
コロナが大声をあげてさらに驚くが、ちゃっちゃっと行ってしまおう。
「安心しろ、コロナ。この特訓を乗り越えたら、嫌でも強くなってるから。じゃあノーヴェさんいってきま〜す」
「少しも安心出来ないんですけどおおおぉぉぉ!?」
そして俺達は制空圏の特訓をしに、目的の場所へ向かうのだった。
ちなみにノーヴェとヴィヴィオ達は、俺達のやり取りを唖然としながら見ていたそうな。
閑話休題
それから俺達は区立中央スポーツセンターへとやって来た。
ここでは各部屋事にトレーニングゾーンがあり、自分の望むシチュエーションでトレーニングする事が出来る。
例えば、宇宙空間で戦いたいのなら、その部屋を宇宙空間に変える事が出来るのだ。
勿論、完全にという訳では無い。
だが、限りなく似た状況に近付ける事は出来る。
「相棒、頼む」
「ガァウ」
相棒に頼み、トレーニングゾーンを自然公園のような拓けた場所へと変える。
そして俺達は互いにセットアップを済ませると向かい合う。
俺は久しぶりに死ぬ気モードになり、額の炎を燃え上がらせる。
「ヒエンさん!?額に炎が……!?」
コロナはそんな俺の姿を見ると驚く。
「額の炎は気にするな。簡単に言えばレアスキルみたいな物だ。それより、構えろコロナ。今から制空圏の特訓を始める」
今から俺達がやる事は至って単純。
「一撃でいい。どんな形でもいいから、お前の攻撃を俺にクリーンヒットさせてみろ」
リニス式訓練法、地獄のひたすら模擬戦verコロナである。
◆◆◆
一週間後、今日もコロナの特訓を終えた俺は時空管理局の地上本部に足を運んでいた。
幾つもの高層タワーがあるが、中でも一際大きなタワーが中央にある。
周囲と比べると、周りのタワーはやや低いが、それでも市街地にあるビル群よりは遙かに高かった。
「相変わらずでけぇー」
世界が違っても外観は全く変わってない。
なんか不思議。
「それはそうと……なんで君達までいるのん?」
俺が後ろを見ると、ノーヴェさん率いるチームナカジマの面々がいた。
ヴィヴィオ、アインハルト、リオ、コロナ、ミウラ、そしてユミナちゃんである。
いや、マジでなんで?
暇なんか??
「応援に来ました!」
ヴィヴィオの声に他の面々も頷く。
「こいつらがどうしてもついていくって聞かなくてな……」
なるほど。
ごり押されたか。
なんかご愁傷様です。
ノーヴェさんは苦労人気質なのだろう。
肩を落とす姿が、様になっている。
マジ草生える。
「……何か失礼な事考えてないか?」
「イエ、メッソウモナイデス」
本当、俺の周りの女性陣は勘が良い。
超直感使えるとかじゃないよね?
もし使えたら俺のアイデンティティなくなるんだけど?
そして俺はノーヴェさん達と別れると、地上本部のある一室で待機していた。
今から筆記試験があるのだ。
すると、部屋の中に一人の女性が入ってきた。
というか物凄く見覚えがあった。
「お、おおお……おはようございます!」
背の低いメガネをかけた白髪の女性、ミルク・メイジさんがいた。
「おはようございます」
この人は、元の世界でも俺の認定試験の担当をしてくれた。
それはそうと、外見が全くと言っていい程変わってないのはどういう事なのだろう?
「ヒエン・オオゾラさんでよろしいでしょうかっ!?」
「あ、はい」
「本日、貴方の筆記試験の担当をさせていただきますミルク・メイジです。よ、よろしくお願いいたします!!」
「……よろしくお願いします」
そしてミルクさんは相変わらず緊張しているようだった。
なんでやねん。
心の中でそう呟いた俺は悪くないと思う。
それから答案用紙が配られる。
俺は筆記用具を取り出し、準備を完了させる。
「そ、それではこれより試験の説明を始めます!筆記試験の時間は一時間。その後は儀式魔法の実施テスト、そしてお昼休憩を挟んで、実戦訓練となってます!!」
「はい」
「このストップウォッチで時間を計ります。準備はよろしいですか?」
「はい」
「それでは試験を始めます。よーいスタート!」
そして筆記試験が始まり……
「時間です!ペンを置いてください」
あっという間に終わった。
はっきり言うと、簡単すぎた。
一度受けた事があるのだ。
手応えがあり過ぎる。
「この後は儀式魔法の試験となりますので場所移動をお願いします」
「はい」
そして俺は次の試験を受けるために、場所移動を開始した。
◆◆◆
続いて儀式魔法の試験に移るために、俺は訓練場のような所にいた。
セットアップを済ませると、いよいよ儀式魔法の試験に入る。
二階の窓からヴィヴィオ達が見学している。
『では受験番号1番の方、氏名と出身世界をどうぞ』
試験官からの通信が聴こえる。
「はい。第97管理外世界『地球』出身。ヒエン・オオゾラです。よろしくお願いします」
俺達は軽く自己紹介して頭を下げる。
そしてセットアップを済ませると同時に死ぬ気モードになると、儀式魔法の試験に入る。
その際に、コロナ以外の者達が驚いていた。
そういえば死ぬ気モードを見せるのはコロナ以外は初めてだったな。
試験内容は前回と同じく、長距離転送、魔力フィールドの形成、広域結界、天候操作魔法の四つであった。
天候操作魔法を除く三つは、なんなく成功した。
『続いて天候操作魔法に入って下さい』
通信が聞こえると、俺はファーストエディションを使用し、自身の周囲に氷を生み出していく。
そして操作魔法の応用で氷を操り、今出せる最大パワーで部屋の中央へと氷を集める。
訓練場の所々が凍っていく。
そして集めた氷はいつしか猛吹雪のように吹き荒れた。
「ニブルヘイム」
今までの俺であれば最大パワーでファーストエディションを使用すれば間違いなく暴発を起こし、訓練場全体を凍らせていた。
前回はリニスが補助と制御に徹してくてれているおかげで暴走せずに済んだ。
だがあれから一年と数ヶ月、色んなことを経験してきた俺からすればたいして苦も無く操る事が出来た。
部屋の中央には立派な氷の塊ができていた。
『ぎ、儀式魔法四種全て確認…』
「ふぃ~」
俺は死ぬ気モードを解除し、そのまま座り込む。
『はい。お疲れ様です。儀式実践終了です!一時間休憩ですので一休みしてください!』
「はい」
そして俺は展開している氷を解除し、訓練場を元に戻す。
「ヒエンさん、お疲れ様です!」
するとヴィヴィオ達がやってくる。
「あの色々聞きたい事があり過ぎるのですが……」
案の定、聞いてきたので簡潔に答える。
額の炎は死ぬ気の炎と言って、自分の生命エネルギーを炎に可視化させたものであること。
この状態は死ぬ気モードと言って、自分の潜在能力を解放している状態であることを説明した。
属性や固有能力の事は、説明がややこしいので今は伏せておく。
俺がこれ以上喋る気がないというのに全員薄々気付いているのだろう。
それ以上は聞いてこなかった。
「あ、そういえば……皆で食べようと思って、私お弁当作って来たんです!」
そこにユミナちゃんが空気を入れ替えるように、弁当を食べようと提案してくれる。
地上本部の休憩スペースにて、ユミナちゃんの作った弁当を八人で食べる。
結論を言うと、バリ美味かったです。
美味しすぎて無言で食べ進めるまであった。
その状態を苦笑いしながらも、お茶を入れてくれるユミナちゃん、やはり出来る女の子であった。
ガチでお嫁さんに来て欲しいレベルである。
そして弁当をしっかり食べた後、俺は再び訓練場に足を伸ばしていた。
午後の試験は試験官との一対一の模擬戦闘である。
基本的にこの模擬戦での勝敗は関係なく、主に戦闘技術を見られる。
なので別に勝てなくとも合格しないという訳ではない。
だが、俺の受けている嘱託魔導師の認定試験ランクが
そう。
今や俺は魔力量がSランクに突入していた。
まあ、あれだけインターミドルの試合で毎回限界ギリギリまで魔力を使ってたら、その反動で増えますよね、うん。
そして俺としては、さっきから無性に嫌な予感がしていた。
ブオン……
すると俺の前方に
そこには
「ごめんね〜。ちょっと待たせちゃったかな〜」
その女性はサイドテールで、その手には白い槍を彷彿させるような杖を持っていた。
俺はその人物を見た瞬間に、冷や汗が止まらなかった。
予想はしていた。
「今日は私が君の試験官を務めることになりました」
時空管理局・航空武装隊の戦技教導官。
不屈のエース・オブ・エース。
「高町なのはです。よろしくね」
この世界のなのはが俺の目の前に現れた。
次回、模擬戦だー。
もちろん魔王様は全力全開ですはい。
あと、何気に娘から主人公のことは聞いているので、滅茶苦茶ワクワクしております。
では、また( `・∀・´)ノ