大空の炎の力を操る転生者   作:Gussan0

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どうもΣ(゚Д゚)

どうぞ∠( ゚д゚)/


異世界カルテット⑤

ヒエンside

 

「ヒエン君。懇親会の出し物、何か考えた?」

 

 放課後、なのはが俺の机へやってきた。隣にはフェイトもいる。

 先生の話では、懇親会でくじを引き、当たった人が何か披露するらしい。案内の紙を見直しても、何をすればいいかまでは書いていなかった。

 

「まだ。人前で見せられるものって、案外思いつかないな」

「ヒエンなら、氷で何か作れるんじゃないかな」

 

 フェイトの言葉に、前にプリキュアたちの前で披露した芸を思い出した。猫の姿になって、氷の動物を作って動かした、あれだ。

 

「ああ、あれならできるな。俺も猫になって、動物を動かすやつ」

「うん。それ、いいと思う!」

 

 なのはが笑った。肩の上の相棒も「ガウ!」と賛成してくれる。

 

「じゃあ、ナハトたちにも出てもらうか。ナハト、ちょっと出てきてくれ」

 

 呼びかけると、机の上に小さな狐が現れた。ナハトは俺を見上げ、「きゅ」と短く鳴く。

 相棒も机へ降り、ナハトと鼻先を寄せ合った。

 

「……待て。今、増えたよな?」

 

 後ろからスバルが覗き込んできた。カズマも隣に立ち、机の上の二匹を見比べる。

 

「こっちはナハト。俺の仲間だよ」

「お前、ライオンだけじゃなかったのか」

「まだ小ライオンズもいるぞ」

「まだ!?」

 

 声に驚いたナハトが、俺の手の陰へ隠れた。カズマは口を閉じ、少し顔を離す。

 

「……悪かった。急に近づいたりしねえから」

 

 なのはがそっと撫でると、ナハトが顔を出した。スバルも今度は静かに手を振る。

 

「俺はスバル。よろしくな」

「きゅ」

 

 挨拶が済んだところで、小ライオンズにも声をかけた。呼ばれた七匹が、順に机の上へ現れる。

 男の子はアカッツ、アオッツ、ミドッツ、キッツ。リボンをつけた女の子たちは、ムッツ、アイッツ、ピッツだ。

 

「こいつらも、一緒に芸をしてもらおうと思って」

「芸の前に、紹介だけで時間かかりそうだな……」

 

 カズマが呟いた。その前へアカッツが進み出て、元気よく鳴く。後ろからピッツも寄ってきたが、こちらは机の端で足を止めた。

 フェイトが小ライオンズを撫でながら、俺を見る。

 

「私たちは何をすればいい?」

「なのはは紹介を頼めるか? 俺が氷を動かしてる間、説明してもらえると助かる。フェイトは台の横で、こいつらを見ててくれ」

「うん、任せて」

「分かった」

 

 俺は相棒とナハトにも顔を向けた。

 

「お前たちも、よろしくな」

「ガウッ!」

「きゅ!」

 

 二匹の返事を聞いたスバルが、楽しそうに笑った。

 

「なんか、見るの楽しみになってきたぞ」

 

 * * *

 

 懇親会では、料理を囲んであちこちに話の輪ができていた。

 俺たちの席にはアウラとマーレが来て、小ライオンズに挨拶をしている。ナハトはフェイトの膝の上に座り、その様子を見ていた。

 

「ヒエン、くじ回ってきたぞ」

 

 カズマに言われ、箱へ手を入れる。引いた紙を開くと、出し物の順番が書かれていた。

 

「……当たった」

「お、猫になるやつか!」

 

 スバルが顔を上げる。隣のエミリアさんが、不思議そうに首を傾げた。

 

「猫になる?」

「はい。ちょっと、見ててください」

 

 俺はなのはたちと一緒に立ち上がった。相棒は肩へ、ナハトはフェイトの腕へ移る。小ライオンズには、出番まで自分たちの席で待っていてもらう。

 カズマが俺の背中へ声をかけた。

 

「くれぐれも、料理まで凍らせんなよ」

「しないって。俺もまだ食いたいんだから」

 

 * * *

 

 会場の前には、出し物用の大きな台が用意されていた。

 その中央へ、氷の動物を置くための盆を載せる。なのはは台の左側、フェイトは右側に立った。相棒とナハトも、台の上へ下ろしてもらう。

 

「今日は、氷の動物を作ってお見せします。あと、俺もこいつらと同じくらいの大きさになるので」

 

 客席がざわつく中、俺は台の前で変身した。

 

「キャットフォーム」

 

 身体が縮み、床へついた手が黒い前足に変わる。人の姿から、小さな黒い子猫になったのだ。

 フェイトがしゃがみ、両手で俺を抱き上げた。

 

「おい、本当に猫になったぞ!」

 

 スバルが声を上げる。カズマも目を丸くして、俺が立っていた場所を見ていた。

 

「さっきまで、普通に喋ってたよな?」

「今も喋れるぞ?」

「喋んのかよ!」

 

 俺が答えると、カズマの声がひっくり返った。スバルも驚いた顔をしてから、腹を抱えて笑い出す。

 

「見た目は猫なのに、口を開くとヒエンなんだな!」

「本人だからな。じゃあ、そろそろ始めるぞ」

 

 フェイトは俺を台へ下ろした。右隣に相棒、左隣にナハト。三匹で客席を向く。

 エミリアさんが口元を緩めた。

 

「本当に小さいのね。可愛い」

 

 ……今日は芸を見てもらうんだからな。可愛いって言われるのは、まあ、仕方ない。

 俺は盆へ向き直り、魔法を使った。

 

 冷気が集まり、白い氷の塊ができる。そこから長い耳と丸い胴体を形作り、手のひらに載るくらいのウサギに仕上げた。

 客席からよく見えるように、盆の手前へ座らせる。

 

「わあ……ウサギだ」

 

 マーレの声が聞こえた。

 俺が前足を持ち上げると、氷のウサギも片方の前足を上げる。右へ顔を向ければ、ウサギも右を向く。

 

「真似してる!」

 

 アウラが笑った。今度は俺が首を傾げ、ウサギにも同じ動きをさせる。

 

「ヒエン君が、魔法で動かしてるんです」

 

 なのはの説明を聞いて、スバルが俺とウサギを見比べた。

 

「猫になっても、そんなことできるのか……」

 

 感心してもらえたのが嬉しくて、つい尻尾を振ってしまう。フェイトと目が合うと、彼女も笑っていた。

 よし。次はナハトの番だ。

 

 ウサギの隣に、氷の狐を作る。尖った耳と長い尻尾をつけ、ナハトの前まで歩かせた。

 ナハトが顔を近づける。氷の狐も頭を下げ、鼻先を合わせた。

 

「きゅっ」

 

 冷たかったらしい。ナハトは一歩下がり、それからもう一度そっと鼻を寄せた。

 フェイトが台の横から声をかける。

 

「ナハト、お友達みたいだね」

 

 ナハトが嬉しそうに尻尾を動かした。氷の狐にも尻尾を振らせると、客席から笑い声が上がる。

 その横で、相棒がこちらを見ていた。

 

「分かってるって。次はお前の番な、相棒」

 

 三匹目はライオンだ。たてがみをつけ、胸を張った姿に仕上げる。

 相棒がその前へ進み、前足を踏み出した。氷のライオンも一歩進む。

 

「ガウ!」

 

 相棒が胸を張ると、氷のライオンも胸を張った。相棒が横を向けば、そちらも同じように横を向く。

 

「ヒッツ、張り合ってるみたい!」

 

 アウラの言葉に、相棒が客席へ顔を向けた。その隙に氷のライオンを相棒の後ろへ回らせる。

 相棒が振り向いたときには、氷のライオンはその背中を覗き込んでいた。

 

「ガウ!?」

 

 驚いた相棒が半歩跳ね、客席がどっと笑う。俺も笑いそうになったが、その前に相棒からじっと見つめられた。

 

「悪い悪い。ちょっとだけな」

 

 前足で相棒の肩に触れると、相棒も俺の頭を軽く小突いた。なのはが楽しそうに笑っている。

 

「さて、今度は少し大きいのを作るぞ」

 

 なのはとフェイトに声をかけ、台の向こうに空けておいた場所へ目を向ける。客席とは少し離れていて、人が立っていないのを確かめてから、魔法を使った。

 床の上に四本の脚ができ、そこへ胴体と長い首をつなげる。たてがみと尻尾を整えると、一頭の氷の馬になった。高さはフェイトの肩ほどだ。

 

「さっきより大きい!」

 

 スバルが声を上げる。馬は首を振り、前足を高く持ち上げた。床を叩かせず、そっと足を戻してから客席へ横を向かせる。首筋から背中へと、照明の光が滑った。

 

「本物みたい……」

 

 なのはが見上げた。俺は馬をゆっくり歩かせ、空けた場所を半周させる。その後ろには、小さなペンギンを三羽並べた。

 大きな馬のあとを、短い脚のペンギンたちがよちよちとついていく。一羽だけ立ち止まらせてから、慌てて追いかけさせると、客席から笑いが起きた。

 

「そいつ、置いてかれてんぞ!」

「大丈夫。今、追いつくから」

 

 カズマに答えている間に、三羽はまた一列になった。

 続いて、馬の向こう側に大きな鷲を作る。台のそばへ低く浮かべ、翼を広げさせると、氷の羽根が扇のように並んだ。

 アウラとマーレが、そろって顔を上げる。鷲は頭を傾けて二人を見てから、ゆっくり翼を畳んだ。

 

「ほら、羽根までできてる!」

「う、うん。すごいね、姉さん」

 

 アウラの指差す先を、マーレが目で追った。なのははペンギンを見ながら笑っていたが、フェイトに袖を引かれて鷲へ顔を向ける。

 どうやら、二人にも楽しんでもらえているらしい。

 

「じゃあ、最後は――」

 

 馬と鷲を静かに止め、会場の前に残っている空間を見た。

 そこへ、ひときわ大きな氷の塊を作る。まず太い後ろ脚と長い尾。次に胸と首を起こし、頭には角を二本つけた。

 背中から左右へ翼を伸ばしたところで、会場が静かになった。

 

「……おい。それ、まさか」

 

 カズマが椅子の背から身体を起こす。

 人の背ほどもある氷の竜が、ゆっくり首を上げた。牙の並んだ口を開き、客席を見渡す。その目にも爪にも、細かく形をつけてある。

 翼を広げると、照明を受けた氷が青白く輝いた。

 

「ドラゴン!?」

 

 スバルの声をきっかけに、会場が一気に賑やかになった。立ち上がりかける者もいて、なのはが少し声を張る。

 

「氷で作ったものですから、大丈夫です。ここから見ていてくださいね」

 

 竜は翼を畳み、長い首を台へ近づけた。

 相棒が一歩前に出る。竜の鼻先を相棒の目の前まで下ろすと、相棒は逃げずに胸を張った。

 

「ガウッ!」

 

 小さな鳴き声に合わせ、竜を大きく仰け反らせる。たじたじと後ろへ下がる姿に、スバルが声を上げて笑った。

 

「ヒッツが勝ったぞ!」

「相棒は強いからな」

 

 俺がそう言うと、相棒はますます得意そうな顔になった。さっき驚かせた分は、これで帳消しにしてもらおう。

 客席では、アインズさんも竜を見上げていた。そばのアルベドさんが何か話しかけると、頷きながら翼の先へ視線を移す。

 

「小さな動物と、これほど大きなものを、同じ場で動かすとはな」

 

 アインズさんの声に、俺は前足を上げて応えた。

 派手なのを見せるだけなら、ここで終わってもいい。けど、今日はみんなで出ると決めている。

 

「なのは、小ライオンズも頼む」

「うん。みんな、おいで!」

 

 呼ばれた七匹が席から集まり、フェイトに手伝ってもらって台へ上がった。相棒とナハトの隣へ並び、俺もその中央に座る。

 氷のウサギと狐、ライオンを盆の手前へ。床には馬とペンギンたち。鷲と竜は、その後ろで翼を畳んだ。

 

「それじゃあ、みんなでご挨拶だ」

 

 俺が前足を揃えて頭を下げると、相棒たちも続いた。氷の動物たちにも、それぞれ頭を下げさせる。

 小さなウサギから大きな竜まで、揃ってお辞儀をしたところで、なのはとフェイトの声が響いた。

 

「ありがとうございました!」

 

 拍手が広がる。俺が顔を上げると、スバルが大きく手を叩いていた。ナハトは隣で少し照れたように耳を動かし、小ライオンズも客席を見回している。

 俺は竜たちをその場に止め、なのはへ顔を向けた。

 

「ありがとな。上手くいった」

「うん! 最後のドラゴン、すごかったよ」

 

 なのはがしゃがみ、台の上の俺と目を合わせる。その手を見て、そろそろ戻るかと立ち上がりかけたところで、声をかけられた。

 

「あの、ヒエン。少しだけ、抱っこしてもいい?」

 

 エミリアさんだった。竜を見ていたはずが、いつの間にか台の前まで来ている。

 

「え? 俺をですか?」

「ええ。さっきから、すごく可愛くて……。嫌だったら、いいんだけど」

 

 そう遠慮がちに言われると、断る理由もない。俺が頷くと、エミリアさんは嬉しそうに両手を差し出した。

 前足を載せると、身体の下へもう片方の手を添え、そっと抱き上げてくれる。

 

「こうで大丈夫?」

「はい。落とさなければ、そんなに気を遣わなくても」

 

 腕の中へ収まると、頭をゆっくり撫でられた。パックがエミリアさんの肩から顔を出し、俺を覗き込む。

 

「ずいぶん小さくなったね」

「まあ、この姿だとこんなもんです」

「リア、顔が緩んでるよ」

「だって、可愛いんだもの」

 

 その会話を聞いていたアウラも、台の前へやってきた。

 

「ねえ、あとであたしも抱いていい?」

「順番にな。あと、俺はヒッツと違って、人間だからな?」

「分かってるって!」

 

 分かってる返事には聞こえないんだよなあ。

 相棒はマーレに頭を撫でられ、ナハトはフェイトの腕へ戻っていた。小ライオンズにもなのはが声をかけ、席へ連れていく。氷の動物たちは、ほかの人の芸の邪魔にならないよう、順に小さくして端へ寄せた。

 

 * * *

 

 席へ戻るころには、俺はなのはに抱かれていた。

 エミリアさんとアウラに順番に抱いてもらい、そろそろ人へ戻ろうとしたら、なのはが両手を差し出してきたのだ。

 

「ヒエン君。もう少し、そのままでいてくれない?」

「なのはもか?」

「うん。私も抱っこしたいなって」

 

 俺が頷くと、なのはは両腕で抱え、胸の前へそっと寄せた。椅子へ座った今は、膝の上に載せられている。

 指先で頭を撫でられるのは、正直、気持ちいい。けど、向かいのカズマがにやにやしているのが気になる。

 

「お前、戻るタイミングなくしてねえか?」

「戻ろうとはしたんだよ」

「知ってる。全部見てたからな」

 

 言い返そうとしたところで、隣のフェイトと目が合った。ナハトを膝へ下ろし、少しためらってから口を開く。

 

「……私も、あとでいい?」

「フェイトも、ずっと抱き上げてくれてただろ」

「あれはお手伝いだったから。今度は、ゆっくり抱っこしたいなって」

 

 そう言われては、俺も弱い。

 なのはが笑い、俺を隣へ渡してくれる。フェイトは両手で受け取り、落ち着くように膝へ下ろした。

 

「ありがとう、ヒエン」

「……どういたしまして」

 

 頭から背中へ、優しく手が動く。ナハトが隣へ寄ってきたので、俺も鼻先を近づけた。いつもと目線が同じなのが嬉しいらしく、尻尾がふわりと揺れる。

 

「もう少し、猫のままでいてほしいな」

 

 フェイトが小さく言った。なのはも隣から頷く。

 

「次の芸、一緒に見ようよ」

 

 二人の顔を見比べてから、俺は息をついた。

 

「じゃあ、次の芸が終わるまでな。そのあと、俺も料理食べたいし」

「うん!」

「分かった」

 

 二人とも、ずいぶん嬉しそうだ。そんな顔をされると、もう少しくらいいいかと思ってしまう。

 会場の前では、アクアさんが小道具を持って立っていた。

 

「次は私の番よ! ちゃんと見てなさいよね!」

 

 カズマがそちらへ顔を向ける。俺もフェイトの膝の上で座り直した。

 

「大丈夫か、あれ」

「芸は上手いんだよ、あいつ。芸はな」

 

 それなら、ゆっくり見せてもらおう。

 隣の席からなのはの指が伸び、俺の頭をひと撫でする。フェイトは背中を撫でたままだ。

 ……二人とも。芸が始まったんだから、そっちもちゃんと見てくれよな。

 




また投稿しますー。
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