大空の炎の力を操る転生者   作:Gussan0

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どうも(゜▽゜*)

いよいよ祟り狐復活。

では、どうぞ( *・ω・)ノ


第百六話 祟り狐復活 前編

ヒエンside

 

 

 

日もすっかり暮れた頃…

 

俺は今セットアップをすませ、飛翔魔法で八束神社へと急いでいた。

 

ミニッツ達によると薫さん、那美さん、久遠の三人はまだ八束神社にいるらしい。

 

そしていよいよ薫さんが動き出したとの報告があった。

 

俺はソニックムーブを使い、高速で移動していく。

 

八束神社は一分もかからず見えてきた。

 

神社の境内に人影が見えた。

 

魔力強化で視力を高めて確認する。

確認できたのは那美さん、久遠、そして久遠に刀で斬りかかろうとしている薫さんの姿だった。

 

俺は急いでその間に割り込んだ。

 

 

 

ヒエンside end

 

◆◆◆

 

那美side

 

 

 

那美は今、晩御飯の後片付けを行っていた。薫が社務所に泊まると言っていたので、那美達は一緒に晩御飯を食べてから帰ろうと思っていたのだ。

 

机を拭いているとき、昼間、神社に訪れた少年の言葉がふと頭をよぎった。

 

 

(薫ちゃんの様子がおかしい…か)

 

 

そのことには那美自身も気が付いていた。日に日に増して様子のおかしくなっていく薫。まるで何かをこらえているような……

 

そのとき那美は疑問に思う。

 

 

(そういえば……どうして()()()()()()社務所に泊まるなんて言ったんだろう?)

 

 

薫が今まで神社に様子を見に来ることはあったが、()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

そして今日は他にも変わったことがあった。あの少年も久遠の夢移しを体験したと言っていた。

 

それらを考えたとき、突如那美の中で嫌な予感がした。

 

正確には…

 

久遠の事を考えた()()に……。

 

そういえば……

 

久遠は夕御飯を食べ終えた後、神社の()へと向かったはずだ。

 

しばらくして薫も()()()()へと向かわなかったか?()()()()()()()()……

 

そのとき那美の頭に()()()()()が浮かび上がり……顔がサーっと青くなる。

 

 

 

まさか!?

 

 

 

まさか!?

 

 

 

まさか!?

 

 

 

まさか!?

 

 

 

今日がその()()だとでも言うのか!?

 

 

(そんなまさか!?()()()()()()()()()()()()()()()!?)

 

 

少なくとも那美は久遠の封印期間は()()()()までと聞いていた。

 

だがその期間が()()()()()()()()()

 

その期間が那美を騙すための()()()()()()()()()

 

そして……那美が帰ったあとに()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

思わず那美は参道へと出る。

 

久遠がそこにいる気がしたから……。

 

そして外に出た那美は驚きで目を見開く。

 

そこには()()()()を出しながらグッタリして倒れている久遠の姿があった。

 

そしてその前には霊剣・十六夜を手に久遠を斬ろうとしている薫の姿があった。

 

 

「ダメ薫ちゃん!!」

 

 

 

ビクッ

 

 

 

那美の声に思わず震える薫。

 

 

 

だが振り上げられた刀は……間もなく倒れている久遠に向けられようとしていた。

 

 

 

那美は急いで薫に走っていく……が間に合わない。

 

 

 

「わあああああぁぁぁぁ!!!!!」

 

 

 

「だめえええええぇぇぇ!!!!!」

 

 

 

薫は涙を流しながら刀を振り下ろした。

 

 

 

那美も必死に走るが…………間に合わない。

 

 

 

そして大切な友達が斬られる瞬間、那美は思わずその目を閉じてしまった。

 

 

 

 

 

 

ガキン!!!!!!!

 

 

 

 

 

 

だが……

 

 

 

 

 

 

周囲に響いたのは……何か斬られたような音でもなく、何かを斬ったような音でもなかった。

 

 

 

 

 

 

それはどちらかと言えば…()()()()()()()のようであった。

 

 

 

 

 

 

そう…。

まるで()()()()()()()()()()()()()()()……。

 

 

 

 

 

 

那美はそっと目を開く。

 

 

 

 

 

 

そこにはある少年がいた。

 

 

 

 

 

 

黒スーツを着た少年がいた。

 

 

 

 

 

 

あのとき……真夜中の私立聖祥大付属小学校で怨霊と戦った時に助けてくれた少年がいた。

 

 

 

 

 

 

額に炎を灯した少年が……薫の刀を黒い籠手で防いでいた。

 

 

 

那美side end

 

◆◆◆

 

ヒエンside

 

 

 

ガキン!!!!!!!

 

 

 

俺は間一髪…久遠に振り下ろされようとしていた刀を割り込んで止めることに成功した。

 

目の前の薫さんは俺の顔を見ながら、驚いたように目を見開いた。

 

 

「ヒエン君!!」

 

 

薫さんの後ろでは茫然と立って、こちらを見ている那美さんの姿があった。

 

俺はとりあえず目の前の薫さんに話しかける。

 

 

「薫さん……事情は分かりますが久遠に刀を向けるのはあまり……関心できませんね!」

 

 

そしてグローブに炎を纏い、力を込めて押し返した。

 

薫さんは大きく跳躍して後ろへと下がった。

 

たった一回のジャンプで4~5mは軽く跳んでいた。どうやら退魔師というのは素の身体能力も高いらしい。

 

いや…薫さんの身体から薄い赤色のオーラのようなものが見える。霊気を身体に纏っているのか?

 

 

「ヒエン君!久遠が!?」

 

 

那美さんが俺に勢いよく抱き付いてくる。少し緊張するが、落ち着かせる。まずはグッタリしている久遠をなんとかせねば……

 

 

「危ないから少しさがっててくれ…」

 

 

「うん……」

 

 

俺は那美さんを少し下がらせたあと、久遠を見ようとするが…

 

 

 

ヒュ!!

 

 

 

ガキン!!!!!!!

 

 

 

突如、薫さんが俺に斬りかかってきた。

 

俺はそれを十字受けで受け止める。

 

それは普段から見慣れた太刀筋。いつもなら迷いのないこの人の性格らしい真っ直ぐな太刀筋。だが今のこの人の太刀筋は……ブレブレであった。

 

俺は薫さんを再度弾き飛ばす。

 

だが薫さんは連続で斬りかかってきた。肉体を強化しているのか普段のスピードとは段違いであったが……

 

その程度の太刀筋……簡単にかわせる。

 

俺は刀の間合いを見切り、かわす。

 

 

「君がなぜ邪魔をしにきたのかも……分かってる。大方ウチの邪魔をしにきたのだろう。だがウチは久遠を斬らねばならない。久遠を斬らなきゃいけないんだ!!」

 

 

薫さんの声には感情の揺れがはっきりと出ていた。涙を浮かべながら……刀を振るっていた。

 

 

「やめて薫ちゃん !久遠は必ず私が止めるから!必ず私がなんとかするから!だからお願い!!もうやめて!!」

 

 

「無理だ!もうすぐ久遠の封印が解ける!もう一度封印するなんて……ウチには自信がない!!だから久遠は……殺すしかないんだ!!」

 

 

 

ヒュンヒュンヒュン!!!

 

 

 

俺の頬に刀がかすり少し血が出る。

 

薫さんの動きが徐々に速くなってきている。

 

こっちも物理耐性のあるバリアジャケットを展開しているとはいえこれ以上かわすのは正直厳しい。ならば……

 

 

炎の剣(ファイアエッジ)

 

 

右手に炎を纏わせ刀身を伸ばす。80cm程のショートソードの長さに調節する。

 

そして薫さんに斬りかかった。

 

 

「炎を固定化させた!?くっ!?」

 

 

 

ガキン!!!!!!!

 

 

 

薫さんは霊剣・十六夜で俺の炎の剣を受け止める。

 

俺は冷静に薫さんの動きを見極めながら、炎の剣を振るう。

 

今の薫さんは俺の剣を受け流すのに必死であるのか、防戦一方であった。

 

正直に言うと、今ここで薫さんと戦っている場合ではない。久遠の祟りが具現化している今が()()()()()()()なのだ。

 

よって薫さんには悪いが……さっさと終わらせる!!

 

俺はブリッツアクションを発動させ、腕の振るうスピードを上げた。そして、薫さんの刀を下から上へすくいあげるように振るう。

 

 

「なっ!?」

 

 

その結果…

 

 

 

キン!!

 

 

 

薫さんは刀から手を放してしまい、霊剣・十六夜は地面へと刺さった。

 

俺はその間に薫さんをリングバインドで固定し、動けないようにする。

 

 

「くっ……」

 

 

薫さんはなんとか逃れようともがくがリングバインドはびくともしない。

 

それなりに魔力は込めたからな。

 

そう簡単に解除はできないさ。

 

 

「ヒエン君なぜ邪魔をする!?君には関係ないだろう!?これは神咲家の問題だ!!」

 

 

薫さんが吠えるように俺に言葉を投げ付ける。

 

 

「薫ちゃん!そんな言い方……「那美は黙ってなさい!!」……っう」

 

 

那美さんは俺を庇ってくれるが、薫さんのあまりの剣幕に萎縮(いしゅく)してしまう。

 

確かに薫さんの言うとおり、これは神咲家の問題だ。那美さんは両親を殺され……薫さんも身内を何人か亡くしている。

 

俺なんぞ部外者も(はなは)だしい。

 

だけど……それでも……

 

 

「久遠は……友達なんです」

 

 

久遠を助けたかった……。

 

 

「「………」」

 

 

俺の言葉に二人は黙る。

 

 

「確かに俺は二人の……神咲家の問題に関係なんて全くありません。他人です。他人も良いところです。でも……久遠が関わってくるのなら…話は別です」

 

 

「「………」」

 

 

「久遠は俺の妹分なんです。大切な友達なんです」

 

 

「「………」」

 

 

「そんな久遠が今苦しんでる。だから助ける……ただそれだけです」

 

 

俺の言葉を聞いた薫さんは……

 

 

 

 

 

 

「そんなのは詭弁(きべん)だな……」

 

 

 

 

 

 

俺の言葉を一蹴(いっしゅう)した。

 

 

 

 

 

 

「だいたい君に何ができる?久遠を助けるということは……()()()()()()()()()と言っているようなものだぞ?」

 

 

「………」

 

 

「祟りとは一種の呪いのようなモノだ。恨み ・ 怒り ・ 憎しみ ・ 憎悪 ・ 悪意などといった感情が具現化したモノと言ってもいい。()()()()()()()()()()()()()()……()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 

「………」

 

 

「それに封印が解けた久遠の強さは尋常じゃない。正直、今のウチでも勝てるかどうか……だから久遠を祟りから救うには…()()しかないんだ」

 

 

確かに……久遠の記憶を見る限り……封印が解けた久遠の強さは尋常じゃない。だが……手がない訳じゃない。

 

 

「要は……久遠の封印が解ける前に、()()()()()()()()すればいいんですよね?」

 

 

「そうだ。だがそんなものできるはずが……「できますよ?」っなに!?」

 

 

薫さんが俺を驚いたような目で見る。

 

 

「俺にはその力がある。この()にはその力があるんです」

 

 

俺は両手のグローブに大空の炎を灯す。

 

 

 

ボオオオオ

 

 

 

両手についた炎が優しく揺れる。

 

 

「あ」

 

 

その光を見た那美さんは何かを思い出したのか、声を上げた。

 

 

「那美さんは俺の力……もう知ってるだろ?」

 

 

「う、うん」

 

 

そして俺は薫さんに向けて話す。

 

 

「とりあえず……今は久遠の祟りの浄化をするのが先決です」

 

 

そして倒れている久遠の方に歩みよったのだが……

 

 

そのとき超直感が警鐘を放った。

 

 

「……久遠?」

 

 

何やら久遠の様子がおかしい。

 

久遠の身体を黒い障気が包む。そして久遠自身から()()()()()()()()()()を感知した。

 

俺はその力が()()()()に砲撃を放った。

 

 

 

ドゴオオオオオォォォンン!!!!!

 

 

 

「ヒエン君!?まさか……もう封印が!?」

 

 

「そんな久遠!?」

 

 

薫さんと那美さんが慌てているが今の内に戦闘体勢を整える。

 

俺はすぐに薫さんのリングバインドを解除し、地面に刺さっている霊剣・十六夜を薫さんに渡した。

 

そのとき……

 

 

 

 

 

 

バギアアアァァァァァァン!!!!!!

 

 

 

 

 

 

バチバチバチバチバチバチッ!!!!!

 

 

 

 

 

 

「うっ!?」

 

 

「くっ……」

 

 

「きゃ」

 

 

俺、薫さん、那美さんの三人に凄まじい衝撃波のようなものが襲い掛かってくる。

 

 

 

俺達は何とか踏ん張る。

 

 

 

続いて前方に雷のようなものが落ちてきた。

 

 

 

辺りは煙で包まれているため何も見えない。

 

 

 

だが徐々に煙が晴れてくる。

 

 

 

そこにはある人物が立っていた。

 

 

「遅かったか……」

 

 

「封印が解けてしまった……」

 

 

「久遠……」

 

 

俺達の前には巫女服を着た成人女性が立っていた。その姿は久遠の記憶にいた女性巫女、みつの姿にそっくりであった。

 

 

 

だが生前の彼女には無いものがあった。狐を彷彿(ほうふつ)させるような耳、五本に増えた狐の尻尾。美しく伸びた金色の髪。

 

 

 

まさにその姿は……妖狐と呼ばれるモノにふさわしかった。

 

 

 

俺達の前に過去に神社仏閣を破壊し回った【(たた)(ぎつね)】が復活した。

 




次回vs祟り狐

では、また(・∀・)ノ

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