大空の炎の力を操る転生者   作:Gussan0

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どうも(゜▽゜*)
とりあえず美由希対策に訓練しやす。

では、どうぞ( *・ω・)ノ


第九十七話 組み手…そして仕上げという名の実戦訓練

ヒエンside

 

 

 

「シッ!」

 

 

突きつけられた()()を受け流し、相手の懐へと潜り込む。そして腹に一撃入れ気絶させる。

 

 

「ここだ!」

 

 

「隙あり!」

 

 

後ろから二人の剣士が迫ってくる。二人から放たれた上段斬りを咄嗟に前周り受け身でかわしたあと振り返り、二人まとめて横蹴りでふきとばす。

 

だがその瞬間……上から嫌な気配を感じたので咄嗟に横飛びでかわす。

 

 

 

ガキン!

 

 

 

何か固いものが地面に当たる音が聞こえた。受け身を取り体勢を整える。が、既に攻撃が放たれていた。咄嗟に体をひねり、しゃがみ攻撃をかわす。

 

前を見ると、槍をもった鎧武者が俺の目の前にいた。

 

鎧武者は槍をブンブンと振り回すとこちらに突いてきた。俺は槍の刃の側面に籠手を沿えるように受け流した後、鎧武者に向かって走り出す。

 

槍はリーチが長い。だが近づき懐に潜り込むことで……その有利な()()()()()

 

そして至近距離にまで近づき、持ち手に攻撃を与え、槍を落とさせたあと、鎧武者の股間を容赦なく蹴った。

 

 

「────!?」

 

 

鎧武者は声にならない悲鳴をあげると、あまりの痛さに座り込んでいた。少し悪い気もするがこちらも()()()()()()()()()()。手なんぞ抜く余裕はない。

 

そして次の相手を探していると、丁度終わった所であった。

 

 

ドサッ

 

 

俺が目を向けるとそこには最後の剣士を峰打ちで倒した薫さんの姿があった。

 

俺は薫さんに近付いていく。

 

 

「薫さん終わりました」

 

 

「こちらも今終わったところだよ」

 

 

薫さんは刀を(さや)へとしまう。

 

 

「さて()()()()()()()()、後は警察に任せておこうか」

 

 

「はい」

 

 

遠くの方でパトカーのサイレンが聞こえたきたことからすぐ近くまで警察が来ているようだ。

 

 

「じゃあ戻ろうか」

 

 

「はい」

 

 

そして俺達は()()()()()と思わしき倉庫から立ち去る。

 

あ、そうそう。

 

俺、週末の休みを利用して現在、東京に来ているんです。

 

そして丁度今、()社会科見学が終わった所なんですよ((((;゜Д゜)))

 

 

 

◆◆◆

 

 

 

なぜ俺が東京に来ているかというと……まず薫さんに特訓をお願いしてから以降のことを話さなければならない。

 

あれから1週間と5日、つまり12日経ったのだが色んな事があった。ホントウニイロンナコトガアッタorz

 

美由希さんとの前哨戦で敗けた翌日から薫さんとの地獄の特訓が始まった。何か特別な技でも教えてくれるのかなと思ったら、ひたすら組み手をさせられた。

 

薫さん曰く、「君の身体の基礎はもうできている。ならばあとは慣れるだけだ。ひたすら組み手をして対武器戦闘に()()()()()()()()()()」とのこと。

 

その日から早朝、夕方から夜にかけて徹底的に組み手をして鍛えることになる。もちろん相手は木刀をもった薫さん。最初の組み手からボコボコにされた。圧倒的にボコボコにされた。ボコボコにされすぎて気を失ったこともあった。

 

だがそこはヒーリング能力を持つ那美さん。いくら俺がボコボコにされようが、ヒーリング能力ですぐ元通り。疲労で倒れようがすぐ元通り。うわぁ~なぁにこれ~。

 

そして訓練を終えた後、薫さんの計らいでさざなみ寮に泊まり込みで鍛えてもらえることになった。

 

女子寮なのにいいのか?と聞いたら、寮の女性陣全員からアッサリと許可が出たらしい。

 

思わず呟いた。

 

 

「なんでさ……」

 

 

そして特訓初日から、さざなみ寮でお世話になった。数週間振りに会うさざなみ寮の面子は相変わらず元気そうだった。

 

さざなみ寮の管理人、耕介さんの料理も相変わらずうまかった。一度桃子さんや、はやてにも食べてもらいたいほどだ。

 

そして料理を食べた後、俺は腹ごなしとして魔法の訓練を少ししようとしていた。さすがに少しは魔法の訓練をしとかないと感覚が鈍るし。

 

とここで既に俺の事情を知っているさざなみ寮の面子に、魔法の訓練の許可をもらう。すると皆興味津々といった具合で庭にでてきた。注目されていることに少し緊張しながらもとりあえず俺は空き缶を30個ほど自身を囲むように並べると射撃魔法の訓練に入る。

 

 

火炎の銃弾(フレイムバレット)

 

 

今は相棒の力を借りずに、自分の力だけでオレンジのスフィアを生み出す。周囲に5つのスフィアが現れると散らばっている缶に向けて一斉に放つ。

 

俺は目を閉じてスフィアの動きに集中する。

 

 

 

カンカンカンカン

 

 

 

倒れていく缶の数がどんどんと増えていく。そして残り5つに減ると、5つのスフィアを同時に当てた。

 

そして俺はスフィアを3つに減らすと3つの缶を空中へと投げる。それらの缶をスフィアでそれぞれ空中で何度も当て地面に落とさないように気を付ける。

 

すると俺の頭の上に相棒が現れ、空中にモニターも同時に現れる。そこには3つの缶にスフィアを当てるカウント数が書かれていた。

 

猛烈な勢いでカウントが上がっていく。そしてその数が100を超えると俺は真上を見上げる。そこには3つの缶が集まっていた。

 

そして俺は右手に炎のエネルギーを溜めて真上に放った。

 

 

火炎の砲撃(フレイムバスター)!」

 

 

オレンジの砲撃が缶3つを吹き飛ばした。

 

 

「ふぅ…とまぁ、こんな感じです」

 

 

すると……

 

 

「「「「おおぉ~~~」」」」

 

 

 

パチパチパチパチ

 

 

 

さざなみ寮の面々から一斉に拍手が送られる。こう見ると俺は一発芸を披露した大道芸人のように思える。

 

とりあえず気にせず、魔法の訓練を続けるのだった。

 

 

 

 

 

 

ある程度の訓練が終わると、ロリッ子の銀髪超能力者リスティさんが話しかけてきた。

 

 

「君達魔導師が扱う魔法は、オカルトというよりは科学に近いんだねえ」

 

 

「ええ、そうですね。術式の構成とかも数式化されてますので」

 

 

「へぇ。世界はやっぱり広いね。それに君みたいな()()()()()()使()()()()使()()()()()()()()()()

 

 

「なんのことですか?」

 

 

この人…

死ぬ気の炎について気付いてるのか?

説明がめんどくさいからつい省いたが。

 

 

「まぁ、()()()()()()()()()()それはそれで構わないけどね」

 

 

「………」

 

 

完全に気付いてますやんこの人。

 

っていうか思考を読むのはずるいと思う。

 

また俺の思考の表面を、()()()()()()()()読んだのだろう。

 

このロリッ子超能力者、以前俺に防がれたのが余程悔しかったのか、あの手この手で思考を読んでこようとするのだ。

 

今では俺も相棒もすっかり慣れ、相手をするのに疲れたのでほったらかしにしていた。本人も俺が()()()()()()()()()()()()には触れるつもりはないみたいだし。

 

そしてリスティさんは笑いながらどこかへいってしまった。

 

そんなこんなで初日の夜は更けていった。

 

 

 

◆◆◆

 

 

 

それから……

 

毎日、早朝から薫さんにしごかれたあと、那美さんと学園へ登校するのが日課となっていた。地獄の訓練が終わった後のこの時間が、俺の唯一の癒しの時間となっていた。

 

美人の先輩と学園にいく。

 

こんなシチュエーション、エロゲーにしか存在しないと思っていたが現実にも存在していたのだ!!

 

ごめんね神様!

今まで恨み辛みしかいってなかったけど少しくらい感謝させていただきます!!

 

ああ……俺を転生させてくれたグラフ様には感謝してます。だがそれとはこれとは別なのだ。

 

しかし帰ってからがまた地獄であった。

 

帰ってから日が暮れるまでひたすら組み手……たまに耕介さんも入って組み手……ボコボコにやられ那美さんにヒーリング……また組み手……途中から乱入してくる超能力者とか猫娘とかの相手もせにゃならんし。

 

驚いたのは、耕介さんもやたらと強かったということだ。さすが7年も退魔師をやっているだけあって俺との実戦の経験が違った。刀の扱いが薫さんほどではないがやたらと丁寧で戦いづらかった。

 

こちとらクリーンヒットされないように、ひたすら超直感を駆使して受け流したりかわすのに必死であった。それでもフェイントや、攻撃のリズムを変えられて当てられたが。

 

だが流石に何日も組み手をやっていると人間、慣れというものが出てくるようで……段々とそれすらも()()()()()()()()()()()

 

その()()は出ていた。

 

異世界で黒化英霊との激闘を乗り越えてから、やたらと超直感が反応するようになったのだ。あれが()()()()になったのかもしれない。

 

訓練を始めてから11日…

 

俺は木刀を持って薫さんと打ち合っていた。俺が剣術と棒術の基礎も修めていると聞くと、「ぜひ試合をしよう!」ということになったのだ。

 

 

 

カンカンカン!!

 

 

 

俺は木刀を両手で持ち、薫さんに打ち込む。薫さんがそれを受け流し、高速で打ち込んでくる。

 

俺は足捌きでかわすと、彼女を中心に回ることで後方へと回り込む。そして上段から木刀を振り下ろしたのだが、即座にかわされ下段からの払いで木刀を弾き飛ばされてしまった。

 

そしてその隙をついて高速の連続突きを放たれたが、全て()()()()()()()()()、最低限の動きだけで回避する。

 

その後、俺は薫さんが木刀を()()()()()()()()()()()()()突っ込んだ。

 

武器というものには必ず()()()というものが存在する。間合いとは簡単にいうと()()()()()()()()()()()()を言う。

 

剣道でいうと剣先(けんせん)がわずかに交差した距離を「一足一刀の間合い」という。

 

そのわずかな距離を1歩踏み込めば相手を打突(だとつ)することができ,1歩引けば相手の打突(だとつ)をかわせる。この小さな攻防が非常に重要な間隔となる。

 

ちなみに打突(だとつ)とは、剣道における技のことを言う。

 

剣道では(めん)小手(こて)(どう)()きの四種類。それに加えてなぎなたの(すね)の五種類がある。

 

つまり端的に言えば、俺は薫さんとの()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()という訳だ。

 

 

「くっ!」

 

 

薫さんは少し苦い顔をしながら木刀を戻すが、タイミング的には俺の方が僅かに早かった。

 

俺が左手で掌底を放ち、薫さんの顔スレスレで止めた。

 

 

 

ピタッ

 

 

 

「………」

 

 

「………」

 

 

「勝負あり……ですね」

 

 

「そうだね。()()()()()

 

 

「え?」

 

 

俺の勝ちじゃないの?と思いながら、薫さんの顔をキョトンと見る。彼女は俺の顔が面白いのか少し吹き出すが、下を見るように合図した。

 

 

「下?」

 

 

そして下を見るといつの間に握られていたのか、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 

「ウソォー」

 

 

いつの間に?

 

 

「君がこちらに突っ込んできたと同時に腰にあったものを咄嗟にね……」

 

 

俺は死ぬ気モード(炎なし)を解きながら文句を言う。

 

 

「ここは気持ちよく相手に花を持たせるべきだと思うのですが」

 

 

「まだまだ甘い」

 

 

「アダッ」

 

 

軽くデコピンをされた。

 

 

「でも最初に比べて随分と動きがよくなったね」

 

 

「そりゃあんだけボコボコにされれば……嫌でも慣れますよorz」

 

 

思い出されるのはひたすら組み手組み手組み手組み手組み手組み手。

 

 

あれ?

俺、組み手しかしてねぇじゃん。

 

 

「でも防御の技術もさらに磨きがかかっていたし、カウンターという新たな攻撃技も覚えたじゃないか」

 

 

「いや覚えたというより、覚えさせられたという方が正しいと思うのですが」

 

 

だって一本入れないと晩御飯抜きとか言うんだよ?組み手というハードな運動をしたあとにご飯なしってそれなんて拷問?

 

当然やったよ?

死ぬ気でやったよ?

 

でも初めは防がれて避けられてばっかりだったし。それどころか返り討ちにもあったし。当然頭にタンコブが何個もできた。でもその度に那美さんや、十六夜さんのヒーリングにお世話になりました。まあちゃんと晩御飯はいただけたけど。

 

だが薫さんが言うと冗談に聞こえないのだ。そしてこの稽古をやる上で分かったことがある。薫さんはSだ。ドSだ。俺と訓練しているときなんぞ、なんと爽やかな笑顔か。恐ろしいその笑顔。

 

 

「皆~ごはんだよ~」

 

 

すると耕介さんからそんな声が聞こえてきた。そして俺達の組み手を見守っていたさざなみ寮の面々はリビングへと向かう。

 

俺も続こうとすると、銀髪のロリッ子超能力者リスティさんと薫さんが話していることに気が付いた。

 

すると薫さんが俺を呼び止める。

 

 

「ヒエン君……明日確か休みだったね?」

 

 

俺は嫌な予感がしたのですぐに断る。

 

 

「いや、あれがあれしてるので無理です」

 

 

「よし、予定はないみたいだね」

 

 

まさかリスティさん!?

 

 

「いや僕じゃないよ。君が分かりやすいだけだから」

 

 

リスティさんが俺を呆れた目でにらみつける。

 

 

「薫には話したんだけど……実は東京都に、ある地下格闘場があるんだけど……つぶしてくれないかな?」

 

 

「は?」

 

 

地下格闘場?

なにそのいかにも危なそうなところは?

 

 

「近いうちに警視庁の捜査が入るんだけど、その陽動として()()に派手に暴れてもらいたいんだよ」

 

 

「え?()()?」

 

 

それってつまり俺もいけと?

 

 

「いい話じゃないかヒエン君……君の特訓の()()()には丁度いい」

 

 

「え?仕上げ?」

 

 

「当然だろう?君は対武器戦闘を想定して鍛えているんだ。しかも地下格闘場……おそらく手練れの者も来るだろうし。修行相手にはもってこいだ」

 

 

 

ダッ!!

 

 

 

その瞬間俺は逃げ出していた。

 

 

 

だが……

 

 

「すみませんヒエン様」

「逃がしません」

 

 

突然現れた精霊姉弟が俺を拘束した。だからっていきなり壁を通りすぎて現れるのはやめてほしい。心臓に悪すぎるorz

 

 

観念して俺は二人の所へと戻っていく。

 

 

「まあ、地下格闘場があるのは分かったんですけど、なぜそれをリスティさんが知っているんです?」

 

 

「あれ……前に言わなかったっけ?僕は警察の仕事についてるって。それでエージェントまがいなことをしてるんだよ」

 

 

「エージェント…」

 

 

要は007のジェームス・ボンドみたいなものだろうか?

 

 

「本当ならリスティがいくはずだったんだが……ウチが代わってくれるように頼んだんだよ」

 

 

「それなら薫さんだけいってくればいいでしょう!なぜそこに俺もいかなきゃいけないんです!?」

 

 

「言っただろう?仕上げだと。それにこの世界の()を知るには丁度いい機会だ。良かったな良い経験ができるぞ?」(良い笑顔)

 

 

「嫌だー!別にそんな世界のことなんて欠片も知りたくなーーーい!!」

 

 

俺は精霊姉弟から逃れようともがくが、この二人、力が強いのかピクリとも動かない。

 

 

「美由希ちゃんや、恭也君はもう通った道だぞ?そんなことを言っていては明後日の練習試合で負けてしまうぞ?」

 

 

「あんな戦闘民族と比べるなー!!」

 

 

未だ抵抗をやめない俺に薫さんが何やら考え込む。そして何か思い付いたのか俺に話した。

 

 

 

 

 

 

「明日の地下格闘場についてきて、なおかつ明後日の美由希ちゃんとの試合に勝つことができたら……十六夜(いざよい)と那美になんでも好きなことを一つ命じてもいいぞ?」

 

 

 

 

 

 

その言葉を聞いた俺の時が一瞬止まった。

 

 

「………」

 

 

「………」

 

 

「………マジで?」

 

 

「マジだ」

 

 

俺は支えている十六夜さんをチラッと見る。こちらを優しい笑顔で見てくる。うん、とても癒される。

 

俺はリビングでご飯を食べている那美さんを見る。久遠に油揚げをあげて仲良くじゃれていた。うん、とても癒される。

 

 

「行きましょう」

 

 

「うん。君は素直だな……少し素直すぎる気もするが」

 

 

「あははは。決まりだね。それじゃよろしく頼むよ」

 

 

こうして俺の地下格闘場へのカチコミが決まった。

 

 

 

◆◆◆

 

 

 

そして翌日……

 

時刻は午後5時頃、日はまだ上がっている。そんな中、俺達は東京都のある海辺に近い倉庫街に来ていた。今から地下格闘場へ殴り込みにいく。そのため俺は一応、黒スーツのバリアジャケットを展開させていた。

 

そして両手に籠手(グローブ)だけでなく、新しく両足に黒い脚甲(クリーブ)も装備した。

 

魔法は使えないのだ。

だったら装備を新調しておくのも悪くない。

 

 

「よく似合っているじゃないか」

 

 

「ありがとうございます」

 

 

薫さんもいつものように青い髪をおろし、灰色のスーツを着てその手に『霊剣・十六夜』を持っていた。

 

警察の踏み込みは今から十五分後の予定だ。それまでに俺達は地下格闘場にいる奴等を全員ノサなければならない。

 

そして俺は目を閉じて精神を集中させる。

 

死ぬ気化した俺は薫さんに言った。

 

 

「行きましょう」

 

 

「うむ。では……殴り込みにいこうか」

 

 

そして俺達は地下格闘場の入り口へと歩いていった。

 

 

 

 

 

 

入り口の見張りを軽く気絶させたあと、俺達は階段を降りていく。

 

 

 

カツン……カツン……カツン……

 

 

 

照明が赤い物のせいか薄暗く、視界も悪い。下に降りるにつれて歓声のような声も段々と大きくなってくる。

 

 

「多そうですね……」

 

 

「今日はイベントの日みたいだからね。かなりの大物もいるようだよ?」

 

 

「なるほど」

 

 

そして俺達は階段を降り、大きな鉄の門の前についた。

 

 

「中には恐らく……相当な人数がいる。リスティが言うには100人はいるみたいだ。心の準備はいいかい?」

 

 

俺は一度目を閉じ、深呼吸する。

 

 

「スゥーハァー……大丈夫です」

 

 

「今から十五分後に……警察が踏み込んでくる。最悪ヒエン君……君はそれまで生き延びればいい。なに、安心しなさい。ウチや耕介さんの扱き(しごき)に耐えたんだ。今の君なら()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 

「ありがとうございます」

 

 

「よし……じゃあ行くよ」

 

 

そして俺達は扉を開けた。

 

 

 

 

 

 

ガコン………

 

 

 

 

 

 

扉の開く音にそれまであった歓声が一瞬で静まり返る。

 

 

中にはリングのようなものが数多くあった。金網で囲まれたリング、プロレスリングなどなど。中には釘バットをもって乱闘をしているガタイのデカイ男や、鎖鎌を持っている侍のような人物までいた。

 

そして無数の視線が俺達二人に浴びせられる。

 

入り口近くに立っていた不良のような人物が薫さんに近付いていく。

 

 

「なんじゃワレラーーー!!!」

 

 

そして勢いよく掴みかかるが、薫さんが持っていた刀の鞘でアッサリと気絶させられる。薫さんは刀を抜き、ニヤリと笑いながら奴らに告げた。

 

 

「楽しんでいるところ悪いね。お前達全員……捕まえにきた」

 

 

その一言を合図に全員が俺達に向かってきた。

 

 

 

 

 

 

「「「「ウラアアァァァ!!!」」」」

 

 

 

 

 

 

俺達は前方から迫ってくる奴等を一人ずつ倒していく。

 

そして薫さんは敵を次々と峰打ちで倒していきながら、一気に突っ込んでいく。それはさながら一騎当千の武将のようであった。

 

俺は十人程武器を持った連中に囲まれる。

 

連中は(こん)に、投げ分銅(ぶんどう)鉄扇(てっせん)、トンファー、日本刀など色んな武器をもっていた。

 

それだけじゃない。中には女性までいた。

 

 

「フッ!」

 

 

俺は先手必勝とばかりに前にいる男に飛び蹴りをかます。そこから即座に片手につき一人ずつ倒していく。

 

日本刀を持った侍が俺の足下を斬ろうとしてきたがその一撃を脚甲(クリーブ)で受け止め、回し蹴りで沈める。

 

そして投げ分銅を投げられるが回避し、腹に蹴りを当てる。着物を着た女性が鉄扇で攻撃をしてくるが籠手で受け止め、手刀で気絶させる。

 

さすがに女性は殴っちゃいかんわな。

 

『セイバーオルタや、美由希さんに殴りかかってなかった?』と心の中にいる相棒から思念がとんでくるがあれはノーカウントで。

 

トンファーを持った不良のような男性が殴りかかってくる。だが美由希さんや、薫さん、耕介さんに比べれば遅い。遅すぎる。

 

あの人達の攻撃の速度に目が慣れたせいか、こいつらの動きが遅く感じる。

 

トンファー男の攻撃を体をひねりかわし、男の前に移動する。そして足を引っ掛け転ばした。トンファー男に巻き込まれ、多くの人間が転ぶ。

 

その間に俺は倒れている奴らの股間を容赦なく蹴る。あまりの痛さに倒れている男達は悶絶しながら気絶した。

 

その様子を見ていた周りの人間は俺を悪魔でも見るかのような目で見てくる。

 

俺は周囲を見回し、周りの人間に聞こえるように話した。

 

 

「悪いがさっさと終わらせる」

 

 

そしてさらに攻撃を開始した。

 

 

 

◆◆◆

 

 

 

地下格闘場の人間、全員を倒したあと警察が突撃するのを見届けた俺達は、薫さんの車でさざなみ寮へと帰っていた。

 

 

「どうだった?特訓の成果を感じることができたんじゃないのかい?」

 

 

「はい。周りの人間の動きが遅く感じました」

 

 

「そうだ。それは君がウチらの動きに()()()ということさ」

 

 

「………」

 

 

「そしてそれと同時に君の動きの()()()()()()()()()()()()()

 

 

「え?」

 

 

そうなのか?

まるで気付かなかったが…

 

 

「二週間前に比べれば君の動きは段違いだ。()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 

「勝てるとは言わないんですね」

 

 

そこは嘘でも慰めないか?

 

 

「本当のことを言わなければ本人のためにならないだろう?」

 

 

「それは……そうですね」

 

 

「まあ今、やれることは全てやった。あとは()()()だ」

 

 

「はい」

 

 

明日は全力で当たるしかない。

 

 

なぜなら俺の女装とプライドがかかっているのだから。

 

 

「あ、あと言っておくことが……美由希ちゃんの()()()に気を付けた方がいい」

 

 

()()()……ですか?」

 

 

だいたい想像はつく。

 

 

神速(しんそく)……彼女達が使う武術の奥義……になる。余程のことがない限り使わないとは思うが…気を付けた方がいい」

 

 

「はい」

 

 

やはりか。

 

 

「神速とは脳のリミッターを外し、超高速移動で駆ける技だ。ウチも以前、恭也君と戦う機会があったが……驚異的だったよ」

 

 

「どっちが勝ったんですか?」

 

 

「いや手合わせで行っただけだから、決着自体はついていないよ。ただ…あのまま続けていたらお互い大ケガではすまなかっただろうね」

 

 

「さ、さいですか…」

 

 

薫さん……俺と稽古してるときも手を抜いていたな。

 

 

「とりあえず……今日はお疲れ様。色々助かったよ」

 

 

「恐縮です」

 

 

まぁ、実際には薫さんが6割、俺が4割ほど倒しただけだ。

 

 

「ちなみに今日の稽古は休みだ。明日に備えて早目に寝るんだよ?」

 

 

「了解です」

 

 

そして俺は明日の対決に備え、イメージトレーニングを進めるのだった。

 




次回、いよいよ美由希との対決!

デュエルスタンバイ!

では、また(・∀・)ノ
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