今回、少し短いです。
では、どうぞ( *・ω・)ノ
ヒエンside
第三管理世界『ヴァイゼン』
ミッドチルダと隣接する世界であり、環境もよく似ている。
パンフレットによれば首都近郊は利便性の高さと、郊外の住宅街の閑静さから「住みたい街」としてよく挙げられているらしい。
都会からアクセスのよい手頃な山と湖が多く存在することでも知られており、人気が高い土地でもある。
ちなみに『魔法戦記リリカルなのはForce』の主人公であるトーマ・アヴェニールの故郷でもある。
そんな街……ヴァイゼンに俺とティーダの二人はいた。そして俺とティーダの服装も変わっていた。
俺は白いワイシャツに黒いズボンといったラフな格好に、ティーダは黒いハットをかぶり青いジャケットに青いジーパンとカジュアルな格好に変化していた。
本局からの任務ということで送ってもらった次元船の中で着替えてから、こうしてやってきたというわけだ。
ちなみにかかった時間は数時間ほどである。
「で無事ヴァイゼンについた訳だが……これからどうするんだティーダ?」
「まずは予約してるホテルに荷物を置きにいこう。色々と準備が必要だ」
「了解」
そして俺達は次元港を出てタクシーでホテルへと向かった。
◆◆◆
俺達は目的のホテルにつくとチェックインを済ませる。部屋はまあ、普通の洋室といった感じだ。
そして俺達はさっそく今回の違法魔導師であるミラー・テットナーについて話し合う。
「管理局の諜報部によると、ミラーの野郎は幻術で姿を変えているらしい」
便利だな幻術……
「こっちが元の姿で、こっちが現在の姿だ」
テーブルの上には二枚の写真がある。
ミラー・テットナーと思われる男の姿が写っていた。
俺は一枚目の写真を手に取る。
そこに写っていたのは少し暗い雰囲気をしたメガネをかけている男性であった。服装は白いTシャツに、黒ズボン、黒いサンダルをはいていた。
俺の偏見だが、いかにも理系が得意そうな感じがした。身体付きは細く、弱そうなイメージが感じられた。
そして俺は二枚目を見る。
そこに写っていたのは、黒髪でメガネをかけたイケメンがいた。身体付きもかわっており筋肉質になっていた。服装もスーツに変わっており、仕事ができるエリート商社マンのようであった。
「変わりすぎじゃね?」
「まぁ、言いたいことは分からんでもない……」
俺は写真を見比べる。
「完全に別人だぞ。そもそも幻術を常日頃から使ってるなら流石に魔力切れを起こすと思うんだが……」
幻術使いといっても身体全体を変えるほどの幻術を一日使っていれば、さすがに魔力切れを起こすはずだ。
どんなに優れた魔導師であろうとそれは例外ではないはず。
ユーノのような変身魔法を修得していれば別だろうが……。
「そういう訳でもないんだ」
「どういうことだ?」
ティーダがどこか神妙に言うので俺は尋ねる。
「この一枚目の写真は約三年前に取られたものなんだが……この三年間でミラーはかなりトレーニングをつんだみたいでな。それも
「つまりはあれか?この二枚目の写真に写っているミラーは……身体はそのままで
「その通り。野郎は元の姿じゃ接近戦はあまり得意じゃなかったみたいでな。逃げながら鍛えてたって話だ。調査じゃ身分を隠してプロの格闘家に弟子入りまでしてたらしい。それに奴は幻術のエキスパートだ。術式も当然弄ってるだろうし、変装用の幻術の消費魔力なんて……ほぼないと思うぜ」
「考えてみればそうか。顔の一部分を変えるだけでも人間の印象なんて簡単に変わる。髪や目、鼻を少しいじるだけでも別人になることは可能だ。それに顔の一部分を変えるだけなら……消費魔力なんてたかがしれてるか」
俺は写真を机に戻す。そして気になっていたことを話す。
「そもそもミラーはなんの罪を犯したんだ?広域次元犯罪者なんてよっぽどのことをしないとならないだろ?」
俺は軽い気持ちで聞いた。だがティーダから返ってきた言葉は俺の予想を遥かに超えた言葉だった。
「ミラーが犯した罪は……誘拐に監禁……そして殺人だ」
「な……に……」
俺はティーダから語られたミラーの罪に驚く。
「奴は……ミラーは10歳以下の少女を拐って監禁する。そして洗脳し、幻覚でギリギリまで精神を追い詰めてから……殺している」
「…………」
「それも孤児院の子や、家庭内で虐待を受けていた子……といった訳ありの少女ばかり狙ってな。野郎はそういった少女達に自分から近づき、保護して信用させてから……殺していやがる」
「…………」
「その手口は様々だ。絞殺、撲殺、刺殺……ひどいときは餓死した子までいた」
「そいつは……なんのためにそんなことをしてるんだ?」
「三年前に奴は、捕まえにきた管理局員達にこういったそうだ。『少女達を孤独から救って……試練を与え……救済している……私は少女達の魂を救わねばならない。なぜなら私は……神の代弁者なのだから』ってな。イカれた野郎だ」
「…………」
「野郎に殺された少女達は、この三年で30人を越えた。だから一刻も速く……この神の代弁者を名乗る快楽殺人鬼を絶対に捕まえなくちゃならねぇ」
「なぁ……ティーダ。そいつの居場所、現れる所はもう見当がついてるんだろ?」
「ああ。管理局はこいつを捕まえるためにずっとその足取りを追っていた。そしてついに……その行方を掴んだ」
「それがこの第三管理世界『ヴァイゼン』か」
「ああ。そしてそのために
「そうだったのか……」
「ヒエン……お前の能力は聞いてるぜ。魔力変換資質『炎熱』と『凍結』の二つ。そして
そうか。
俺が選ばれた理由は……
「お前の力なら……ミラーの幻術にかかったとしても正面から打ち破れるはずだ」
このためだったのか。
そういえばこの依頼はクロノから回ってきたものだ。
クロノは俺の超直感の力も知っている。
ミラーとの相性も考えて俺が選ばれたのだろう。
しかし……だとすればティーダはなぜ選ばれたのだろう?
「俺が選ばれたのはお前のサポートをするためだ」
「サポート?」
「まあな。とりあえず……今夜予定通りであれば、ミラーは必ず動き出すはずだ」
「そうか」
その話を聞いて俺は拳をポキポキとならした。その様子を見たティーダは不適に笑いながら話した。
「奴を捕まえるために……今夜はよろしく頼むぜヒエン」
「ああ、任せとけ。少なくとも頭の痛い妄想殺人鬼に遠慮する理由なんて欠片もない。死ぬ気でぶっ飛ばしてやるよ」
そして俺達はミラー捕獲のための作戦を練り始めた。
次回はいよいよ幻術使いが姿を現す。
では、また(・∀・)ノ