今回はvs広域次元犯罪者の幻術使い。
では、どうぞ( *・ω・)ノ
ヒエンside
時刻は夜……20時を回った頃……
俺はある町外れのビルの前から少し離れた所で、ミラージュハイドで姿を隠しながら張り込んでいた。
ティーダの情報に寄れば、ミラーはこのビルを拠点に活動しているらしい。仲間はいないらしく、奴は一人で過ごしているようだ。
そして今日はヴァイゼンの高級ホテルである団体のパーティーが開かれるのだが、ミラーはその跡取りの少女を狙っているらしい。
情報によれば、その少女は優秀であるが故に周りから嫉妬や妬みを買い、兄弟や姉妹、いとこなどから深刻な嫌がらせを受けているとのこと。
奴は今日その子を誘拐するつもりだ。
管理局の諜報部隊が必死になって調べた情報だ。絶対に無駄にはできない。
神の代弁者だか、髪のダメージケアだかなんだか知らないが……関係ない。
無関係な子供を巻き込んで殺している時点で捕まえる理由は十分にある。
俺の任務はビルから出てきたミラーを背後から奇襲し、速やかに身柄を拘束すること。
そのために色々準備は行ってきた。
するとビルの入り口から灰色のスーツを着たメガネをかけた男がでてきた。
俺はすぐに
『ティーダ……ビルから一人男がでてきた』
『写真と同じ顔……情報通りだ。そいつがミラーだ』
『なら……』
『ああ、作戦開始だ』
『了解』
俺は背後からその男に近寄り、声をかける。
「ミラー・テットナー」
男は名を呼ばれるとピタリと止まる。
そしてこちらを振り返り、一言呟いた。
「管理局か」
「ああ、ここに来た理由は分かるだろ?」
「私を捕まえに来たのだろう。しかしこの場所がよく分かったな」
「いつまでもお前のような広域次元犯罪者を野放しにしておくほど……管理局もバカじゃない」
「私の変装を見破ったのも大したものだ。この三年……全く襲撃がなかったからすっかり油断していたよ。だが残念だったな。君はここで終わりだ」
するとミラーの背中から無数の白い槍のようなものが延びてくる。そしてこちらに放ってきた。
「
そして無数の白い槍が俺に炸裂した。
それと同時に
それを見たミラーは驚愕した。
「なに!?
そして俺はミラージュハイドを解除すると、高速で奴に近寄り
右手首を少し曲げて奴の首元に手刀を叩き込もうとした……がミラーは俺の接近に気付き、俺の攻撃をしっかりと防いだ。
そして体勢を立て直し、反撃として蹴りを繰り出してきた。
俺も蹴りを繰り出し相殺させる。
バチン!!
俺の蹴りとミラーの蹴りが激突する。
だがパワーはあちらが上なのか俺は吹き飛ばされた。そして再度、無数の白い槍が俺に向かって放たれる。
(あれをくらったらヤバイ!!)
俺は咄嗟にグローブに炎を灯し、前に噴射することで後方へと下がる。
ヒュヒュヒュヒュ!!!!!!
俺が先ほどまでいた所を白い槍が通過した。
体勢を立て直した俺は、ミラーに話しかける。
「一応決まりだから伝えておく。時空管理局嘱託魔導師、オオゾラ・ヒエンだ。大人しく投降しろミラー・テットナー。抵抗しなければ、お前には弁護の機会が与えられる」
「ふん。最初に奇襲を仕掛けておいて何を言っている?私にその気がないことはお前達管理局も分かっているはずだが?」
「だろうな。一応確認のために聞いただけだ。でも……お前の口から直接その言葉を聞けて、正直安心したよ」
「…………」
ミラーは俺の発言にいぶかしむ。
「これでお前を遠慮なくぶちのめすことができるからな」
俺はグローブの炎を勢いよく燃え上がらせ、そして額の炎の出力もあげた。
「覚悟しろよミラー・テットナー。
◆◆◆
俺は目の前にいる広域次元犯罪者【
こいつは近接戦闘が苦手だと聞いていたが、高速で接近した俺の手刀と蹴りをなんなく防いだことから、接近戦対策はバッチリなのだろう。
それだけじゃない。
ミラーの魔法いや……能力か?
奴の攻撃方法は事前に聞いていた通りであった。
人の心を覗き、洗脳して操る『
その攻撃の正体は奴の背中から伸びる無数の白い槍である。その槍を受けてしまうと洗脳されるらしい。
三年前に奴と戦った管理局員達もこの攻撃により、同士討ちさせられ……奴に逃亡する隙を与えてしまった。
残念ながら、俺の知っている奴の攻撃はこの
先ほど
「封時結界」
まずは逃げられないようにこの
「結界か……」
「逃げたきゃ俺を倒すんだな」
「できれば洗脳して手駒にしたいが……」
「ほお……さすが少女ばかり狙う変態は、言うことが違うな」
ピキッ
そんな音が目の前の男から聞こえた。
「変態だと……この私が変態だと?」
ミラーは静かに俺に怒りを向ける。
「お前は三年前、管理局員に少女達の魂を救うとか言っていたそうだな。ならば聞く。
「決まっている!!苦しんでいる孤独な少女達の魂を助け……試練を与え……そして救済する!!それが私が神から与えられた唯一の使命だからだ!!」
「神から与えられた使命……ね」
俺は呟く。そして……
勢いよくミラーの顔をぶん殴った。
「ぶっ!?」
ドゴオオオオオォォォォンン!!!!!
ミラーは10mほど吹き飛んでいく。
「ふざけるなよクソ野郎が。そんなことのために……そんなふざけた理由のために……なんの罪もない30人の少女の命を奪ったのか!?」
「ククククク……ククククク。分からないだろうなぁ。凡人のお前には分からないだろうなぁコゾウゥ……」
ミラーは不気味に笑いながらゆっくりと起き上がる。俺がおもいっきり殴ったせいかメガネが歪んでいる。ミラーはメガネを外し、横へと投げ捨てた。
「私の少女への渇望が!!」
ミラーは両手を広げながら大声をあげる。
「聞こえるんだよ……頭の中から……少女を救えと……少女を助けろと……少女を救済しろと!!」
さらに大声をあげる。
「私は少女の泣いている顔が好きだ。私は少女の不安そうな顔が好きだ。私は少女の絶望している顔がだいすきだああああああああああああああああああああああああああああぁぁぁぁっっっっっっ!!!!!」
そして目を充血させながら……目の前の俺を睨んできた。
「だから私の使命の邪魔をする管理局は嫌いだ!大嫌いだ!!だから……私の邪魔をしようとするお前も……さっさと消えろおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおぉぉぉぉぉぉ!!!!!」
そして突然目の前にいるミラーの数が視界を奪うほどに増える。
「な、なに!?」
俺はいきなりのことに驚く。
『気を付けろヒエン!囲まれてるぞ!』
俺はティーダに言われた念話によって周りを見る。
そして驚愕した。
いつの間にか何百人ものミラーによって囲まれていたのだから……。
ヒエンside end
◆◆◆
ティーダside
ティーダは焦っていた。
それは今日の任務の相棒といえる魔導師がさっそくピンチに陥っていたからだ。
『気を付けろヒエン!囲まれてるぞ!』
すぐに念話で注意するように伝えた後、ティーダは狙撃用の銃型デバイスを構えながらスコープごしに遠方をじっと見る。
しかし……
(ち……人数が多過ぎてどれが本物のミラーか分かりゃしねぇ!!)
ミラーに囲まれている魔導師の少年は魔力変換資質の『凍結』を駆使して多くのミラーを倒していく。
だが倒しても倒しても……ミラー軍団は再び現れ、魔導師の少年に攻撃をしかけていく。
ティーダはその様子を歯噛みしながら見ていた。
そしてデバイスのトリガーを引きそうになるが、すぐにやめる。
(ダメだ!今、ヒエンの援護に入れば俺の存在に気付かれちまう!!)
今回の作戦の
(焦るな。焦ればあせるほど手元が狂う。今はあいつを信じてチャンスを待つしかない)
彼は目を閉じ深呼吸を繰り返し、落ち着こうとする。
「スゥーハァー……スゥーハァー……」
そして再び目をあけスコープを覗いた。
(頼んだぞヒエン)
必ずチャンスが来ると信じて。
ティーダside end
◆◆◆
ヒエンside
「
俺は地面に手をつき自身の周囲に氷のトゲを生み出し、ミラーの幻影達を倒していく。
ボンッ!!
氷に突き刺さったミラー達は呆気なく消滅していく。
だが……
「「「ククククク……フハハハハ!!無駄だ!無駄だよ小僧!!私をいくら倒そうが私はすぐに復活する!すぐに蘇る!!そしてさらに増えるううぅぅぅ!!!!」」」
倒しても倒してもすぐに復活する。そしてさらに増えていく。
「ウィルスかお前は!?」
たまらず俺は声を荒げながら炎の翼で上空へ回避する。
すると無数の白い魔力弾が俺を襲う。
だが……俺はそれを回避しなかった。
なぜならそれらが
そもそも奴の魔力ランクは俺と同じ
それを一気に何百人も生み出してしまえば、普通ならすぐに
なのに奴にはそれが起きる気配が一向にない。
だとしたら……
(あいつは幻影を生み出すのに魔力を使っている訳じゃない?)
俺は考える。
すると……
ドガアァァン!!!!!
「ぐっ!?」
一発の白い魔力弾が俺の身体に直撃した。
少しバランスを崩してしまうが体勢を立て直す。
(バカな!?この魔力弾は幻影のはず!?)
その証拠に他の白い魔力弾は変わらず通過していく。だが……
ドガアァァン!!!!!
今度は俺の背中に魔力弾が当たる。
「ぐわっ!?」
だがその理由はすぐに思い付く。
(そうか……この幻影の中に本物の魔力弾を紛れ混ませているのか)
要は俺の使う
多数の幻影の中に本物を入れ、相手を翻弄する。
俺の場合はゼストさんにアッサリ防がれてしまったが……。
だが俺と奴とでは魔力弾に込める魔力量が違った。ミラーはかなりの魔力量を込めているのか、二発受けただけで身体全体がヒリヒリしている。
恐らく殺傷設定にもしているのだろう。
このままくらい続けていては、やられるのも時間の問題だ……ならば……
「
俺は黒衣のマントを纏い、防御体勢に入った。
無数の魔力弾が俺に放たれるがマントに当たると消滅する。それは本物の魔力弾だろうが、幻影だろうが例外ではない。
『調和』の効果で無効化する。
そして俺は防御に入りながら周囲を見回す。
地面にはさらに増えたのか数百人にも及ぶミラーの幻影が
「「「「「アハハハハハハ!!どうしたコゾウゥゥゥ!!防戦一方じゃないかあああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!」」」」」
数百人のミラーによる雄叫びともいえる声量が俺の耳を刺激する。
「うるせぇな。ギャーギャーギャーギャーわめきやがって」
俺はミラーの気配を探るため神経を集中させる……がある程度の方向は分かるが、やはり詳細な位置は分からない。
今の俺ではまだ超直感を完全には使いこなせていない。それにこの
「
「ガァウ!」
俺の頭の上に現れた相棒が元気よく鳴く。
「よし、いくぞ相棒。全方面に全力の調和の咆哮!!」
「ガアアアアアアアアアアアアアアアアアアアァァァァァァァァァァ!!!!!!!!」
相棒の全力の調和の咆哮で俺の体力が凄まじい勢いで減っていく……がそのおかげで……
「見つけた……!!」
ミラー本人を発見することに成功する。
「な、私の幻影達が一瞬で消滅した!?」
ミラーは一瞬のことで驚いているが、俺はすぐにブリッツアクションで加速し接近する。
そして形態変化を使う。
「
右手をガントレットへと変えると奴の顔面にぶちこむために、さらに近付いていく。
すると奴は手元に大鎌のような武器を生み出し、俺に向けて攻撃してきた。
それを俺は籠手で防ごうとする。
だがそこで予想外なことが起こった。
なんと大鎌は籠手を
俺はすぐに身体を反らしてかわそうとする……が大鎌が首に
そのとき世界が暗転した。
次週はミラーの能力が明らかになる。
では、また(・∀・)ノ