今回はミラーの能力に迫る。
では、どうぞ( *・ω・)ノ
ヒエンside
いきなり目の前が真っ暗になった。
先程まで俺はミラーと戦っていたはずだ。
だが周りを見渡しても暗い世界が続いているだけだった。
(なんだ?一体何がどうなってる?)
俺が戸惑っていると……
「ククククク……気分はどうだい管理局の魔導師?」
後ろから聞き覚えのある声が聞こえてきたので俺は振り向いた。
「ミラー……」
そこにはミラーがいた。
奴は俺の周りを歩きながら話し始める。
「君は現在、私に捕らわれている」
「どういうことだ?」
「君も管理局の魔導師なら聞いたことがあるだろう?私の能力について」
「『
「ご名答」
奴は楽しそうに話す。
その楽しそうな顔が実に腹立たしい。
「君は今、私によって幻覚を見ている状態だ。つまり君にとってこの状況は……私に命を握られているといっても過言ではない」
奴の『
そもそも幻覚には色々と種類がある。
聴こえるはずのない音や声が聴こえる
実在しないものが見える
感覚や記憶から臭いが再現される
変な味を感じるようになる
存在しない手足が依然そこに存在するかのように感じる
つまり幻覚とは聴覚、視覚、嗅覚、味覚、触覚のいわゆる五感が実際には感覚的刺激や対象がないのに、あるように知覚することを言うのだ。
そしてこの状況を分かりやすくいえば……
俺は今、ミラーによって五感を支配され人質にされているようなものだった。
「ククククク……無様だなあ管理局の魔導師。私をぶっ飛ばすと言っておきながら、幻覚に捕らわれているのだから」
「…………」
「しかし……どうしてくれようか?あれだけ私を侮辱してくれたんだ。君を今からどのように痛め付けようかと考えると……とてもワクワクしてくるよ」
「…………」
「そうだなあ~。土下座して必死に謝って命乞いでもすれば……命を助けてやることは考えてやろう。まぁ、考えるだけだがねぇ~」
「…………」
「ククククク。ビビって声も出せなくなったかね?クククククククククク」
ミラーは静かに笑う。
だがその顔は実に楽しそうである。
思わず俺は奴にポツリと呟いた。
「……哀れだな」
「なんだと……?」
ミラーはさっきまで笑っていた表情をやめ、目を細めてこちらを見た。
「哀れな奴だなお前」
俺は少し冷めた目で奴を見ていた。
「……またその目だ」
「…………」
「私はお前のその目が気に入らない。まるで見下すような……バカにするような目で私を見やがって!!」
見下す?
バカにする?
「勘違いするなよミラー・テットナー。お前ごとき……」
自分勝手な妄想で人を殺し、自分勝手な妄想で己の行為を正当化しようとするこんな奴……
「バカにする価値すらない」
「なあ……に……いぃ」
「それと勘違いしているようだから教えてやるよ。お前はもう勝った気でいるようだが……どうしてお前の相手に俺が選ばれたか……それを今から教えてやる」
そして俺は心の中にいる相棒に合図を出した。
『相棒……俺に向けて調和の咆哮』
『ガウ!ガアアアアア!!!!!』
そして周りの黒い景色が途端に崩壊していった。
◆◆◆
俺は意識を取り戻し覚醒させる。
目の前には……俺の頭に手を置き、驚いている奴の姿があった。
「ば、バカな!?私の『
俺は奴の手を掴み、拘束する。
「捕まえたぞ……」
「く……は、離せえぇ!!!」
ミラーは背中から無数の白い槍を出し、俺に向けて突き刺す。
ブスッ!
白い槍が次々と俺に刺さる。
だが頭の中に直接声が聴こえた。
「『ハナセエェ……イマスグソノテヲハナセエェェェェ!!!!!』」
まるで底冷えするような声が聞こえ、意識を塗り替えられるような感覚に陥る。
『ガァアアアア!!!!!』
「はっ!?」
俺は再び意識を取り戻す。
心の中にいる相棒の調和の咆哮のおかげで、洗脳されるような感覚を打ち消すことができた。
(今のが『
まるで自分の意識が上書きされるような……まるで頭の中に聴こえてくる声が正しいかのように思えた。
「『
「お前の能力は俺には効かないぞ」
そして俺はティーダに念話で合図を出そうとしたが……ミラーは拳に白い魔力を込め、俺に連打をあびせかけた。
「ぐっ!?」
腹を連打された俺は思わず手を離してしまい、膝をつく。
(か、身体が……重い……。しまった……調和の咆哮を使いすぎたか……)
「ハハハハ……どうした管理局の魔導師?とても辛そうじゃないか?ふん!!」
「ごはっ!?」
足に白い魔力を収束させた蹴りをくらった俺は5mほど吹き飛ぶ。
俺は足がふらつきながらもなんとか起き上がる。
そしてこちらをニヤニヤ笑いながら近付いてくる……ミラーをにらみつける。
俺は少しでも体力を回復させるため、時間稼ぎで奴に話しかけた。
「お前の能力は見切ったぞミラー」
ピタリ
ミラーは立ち止まる。
俺は言葉を続ける。
「お前の力は『相手に幻覚を見せる能力』だろう」
「ほう。どうしてそう思った?」
「まず疑問に感じたのは……お前の多すぎる幻影の人数だ。お前の魔力ランクは
俺は続ける。
「だがお前が魔力切れを起こす気配は一切なかった。だとすれば……お前は
「…………」
「そしてそれを確信したのが……お前が俺に『
「…………」
そして俺は奴に核心をぶつける。
「お前……それらの能力を同時に使うことはできないんだろ?」
俺は言葉を続ける。
「恐らく……お前の力の根本である『幻覚を見せる能力』はかなりシビアなんだろう。その強力な能力を使うには厳しい条件や制限が存在すると見える。例えば……能力を使用するときはお前が直接相手に触れてないと使えない……とかな」
「…………」
「だからこその『
先ほど奴が俺に『
数百人の幻影を出したときも、ワザワザ魔力弾で攻撃してきたのだ。あのとき……『
だが奴はそれをしなかった。
いや、できなかったんだ。
だとすればこれらのことから言えることはひとつ。
「お前は『幻覚を見せる能力』を使用しているとき、他の能力は一切使えない。『
そして俺は奴に告げた。
「諦めろミラー・テットナー。種さえ分かれば簡単だ。お前の能力は……もう俺には通用しない」
だが俺の言葉をミラーは……
「すごい……すごいよ管理局の魔導師」
笑いながら聞いていた。
「何がおかしい?」
俺は奴に話しかける。
「いや、私の能力をそこまで見破ったのは君が初めてだからさ。だからこうして敬意を称えているんだよ」
奴は言葉を続ける。
「だがひとつだけ間違っているよ管理局の魔導師。私は能力を同時に使えない訳じゃない。
「どういうことだ?」
「君の予想は8割は当たっているよ。ああそうだ。私は相手に能力を使用するとき、直接触れることでしか効果を発動させることはできない。だが……それと
そうか……。
俺は勘違いをしていた。
「世間では私の呼び名の元となっている『
こいつは能力が別々に使えないだけであって……同時に使えない訳じゃなかったんだ……
「さて、今から見せてあげよう管理局の魔導師。君が言う『幻覚を見せる能力』、それを私は総じて『
奴は手を広げながら狂気を帯びたような笑顔で言った。
「さぁ、その力の真価を今から君に見せてあげよう」
そしてミラーの『
次回、vs広域次元犯罪者決着編。
果たして勝てるのか?
では、また(・∀・)ノ