大空の炎の力を操る転生者   作:Gussan0

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ずっと書いてみたいと思っていた作品です。


序章~プロローグ~
第一話 転生!?


目の前で急に不思議なことが起きたら人はどんな反応をするだろうか?

 

現状を理解しようとする者、慌てふためく者、ボーゼンとする者。

 

人によってその反応は違うと思う。

 

さて、なぜこんな話になったかというとモノローグをする余裕がある…いや違うな。

 

咄嗟にモノローグを入れるほど訳が分からない状態になっているからだ。

 

目を覚ましたら景色一面、真っ白ってどういうことよ!?

 

前を見ても、後ろを見ても、右を見ても、左を見ても、上を見ても、下を見ても……

 

全部、白!白!白!白!真っ白!!!

 

え、なにこれ!?

 

なんなのこれ!?

 

どういうことこれ!?

 

今日は仕事が休みだったから家でダラダラしようと思ってたのに!

 

 

 

三分後…

 

 

 

OK…

まずは落ち着こう…

ここで慌てても仕方ない。

とりあえず現状把握といこうじゃないか。

 

まずは徐々に記憶を思い出してみよう。

 

俺は昨日確か仕事を終えたあと、定食屋で夕飯を食べた。そのあと電車にのって最寄り駅についたあと歩いて寮に帰った。そしてシャワーあびて、寝たんだ。

 

で目が覚めたらここにいたと。

 

これは夢か?

寝て目が覚めたら夢と思うが……

 

とりあえずほっぺでもつねってみるか?

 

 

 

ギュッ

 

 

 

痛っ!?

 

あれ?

 

痛いってこれもしかして現実ですか?

 

OK落ち着け俺。

 

改めて今の自分の格好を見ると寝る前の黒ジャージであることに気付いた。

 

とりあえず現実と考えて行動した方がよさそうだ。

 

しかしまずはどうすっかなあ~?

 

と俺が思考していると…

 

 

 

「ホッホッホ。お主は面白い奴じゃのう」

 

 

 

するとそこに一人の老人の声が響いた。俺は俯いて考えていた顔を上げ老人を見た。その老人は丸眼鏡をかけ白い装束を着、右手には杖を持っており、顎からはダンディーな髭がはえていた。

 

 

「えーと、どちら様で…?」

 

 

「ワシか?そうじゃのう、ワシはお主らの世界で言う神と呼ばれる者じゃ。名を…」

 

 

神と言った老人は俺に名乗ろうとしたが突如遮るように幼い子供の声が聞こえてくる。

 

 

「そうだぞ。神様はすご~~く偉いんだぞう!」

 

 

「やめなさいアラン。あの人も驚いているでしょう」

 

 

「だって姉ちゃん…」

 

 

神様の側に5,6歳くらいだろうか、金髪でやんちゃそうな少年と、年は15,6歳くらいの銀髪の長い髪の美少女が立っていた。

 

俺は思わずその少女の美しさに見惚れてしまった。

 

小さなあどけなさが残る顔に大きな胸、程よく引き締まった体に、妖艶な足。

 

神様と同じ白装束の服装であったがまごうことなき美少女と呼ばれるに相応しい少女だった。

 

 

「あの……どうかされましたか?」

 

 

するとじっと見ていたことに気付いたのだろう。銀髪の美少女はこちらに心配そうな顔を向けてくる。

 

 

「え?いや、なんでもないです!ちょっとボーッとしてただけですから!」

 

 

「そうですか。それなら良かったです」

 

 

銀髪の美少女は優しげな笑みをこちらに向ける。

 

 

(か、かわいい…)

 

 

「ウォッホン!」

 

 

突如聞こえてきた声に俺の体は思わずビクリと震える。

 

音源に目を向けると呆れてるのかジト目を向けてくる神様がいた。

 

 

「そろそろいいかの?お主も現状を把握したいのではないのか?」

 

 

「え?……あ、ああ、そうでした!」

 

 

「って忘れとったんかい!?」

 

 

「あ、あははは……すいません」

 

 

 

思わず謝った。

 

 

 

◆◆◆

 

 

 

「さて、改めて自己紹介じゃの。ワシの名はグラフ。神をやっておる。そしてそこにおるのが神様見習いの」

 

 

「エルと申します。今は神様見習いとして日々研鑽に励んでいます」

 

 

「そして僕が強くてカッコいいアラン様だ!」

 

 

「こらアラン!」

 

 

エルはアランの頭に拳骨を落とす。

 

 

「うぅ~痛いよ姉ちゃん~」

 

 

アランは頭をさすりながらエルに抗議する。

 

俺はその様子を苦笑しながら見ていたが、ふと気になることがあったので神様に聞いてみた。

 

 

「神様、神様見習いってなんなんです?」

 

 

「ん?神様見習いとは神の称号を受ける前の適正試験みたいなもんじゃ」

 

 

「適正試験?」

 

 

「そう。その姉弟、エルはアテナを、アランはロキの名を受け継ぐことになっておってな。お主も名前くらいなら聞いたことがあるじゃろう?」

 

 

「はい。名前くらいなら」

 

 

「今は天界、ワシらの世界なんじゃがそろそろ若い者に任せようという流れがあってのう。要するに世代交代というやつじゃ。いつまでも老いぼれが居座っていては若い者に示しもつかんしのう。で今はこやつらの研修をしていたというわけじゃ」

 

 

「へえ。なんていうか神様の世界も大変なんですねえ」

 

 

「はあ~そうなんじゃ~…………ってそんな話をしとる場合ではない!お主のことじゃ!」

 

 

「あ、そうだった」

 

 

「お主!いったいどこまで覚えておる?」

 

 

「どこまで…」

 

 

そう言われ俺は考える。友人のこと、世間のニュースやドラマ、アニメなど日常生活からハマっていた趣味など些細なことからしょうもないことまで覚えている。

 

 

「えーと、昨日仕事が終わって寝たはずなんですが…」

 

 

「ふむ」

 

 

神様は何やら納得したあと何か考える素振りを見せる。

 

 

「ならば自分の現在の状況は分かっておるか?」

 

 

自分の今の状況…か

 

 

「いえ、全く分かりません!」

 

 

「清々しいのう!というよりお主冷静じゃな。普通ならもう少し取り乱すと思うのじゃが。それにワシらが神と名乗ってもすぐに信じたしのう」

 

 

「え?いや、最初は少し疑ってましたけど話してみて本当っぽかったし、信じても大丈夫かなあと」

 

 

「お人好しじゃのう」

 

 

「えーと、ありがとうございます?」

 

 

とりあえず褒められたっぽいのでお礼を言っておく。

 

 

「まずはお主の現状について話す。心を落ち着けて聞くのじゃ。結論から言わせてもらうが、お主は死んだ」

 

 

「………は?」

 

 

あまりの言葉に思わず頭が真っ白になり返答が一瞬遅れてしまった。周りも真っ白ですけど!!

 

 

「過労死じゃ」

 

 

「は、え、うそ、マジで?」

 

 

「マジじゃ」

 

 

「と、とりあえず落ち着く時間をください」

 

 

「よいぞ」

 

 

そこから何分経っただろうか。とりあえず深呼吸を何度か繰り返し落ち着くことに成功した。

 

そして神様に話し掛ける。

 

 

「俺はもう……死んでるんですよね?」

 

 

「その通りじゃ」

 

 

先程まで和気あいあいとしてた雰囲気が嘘のように静まり空気が一段階冷えたような錯覚を覚える。あの騒がしかった少年アランでさえ、今は成り行きを見守っている。そしてエルもこちらを心配そうに見つめている。

 

 

「その…蘇ったりすることとかは?」

 

 

「不可能じゃ」

 

 

「ですよねー」

 

 

流石に神様と言えど蘇生することは不可能らしい。そりゃそんな上手い話、あるわけないよねえ。

 

 

「俺はこれからどうなるんでしょうか?」

 

 

「ふむ。その事についても説明をせんとな。お主、輪廻転生というのは知っておるか?」

 

 

「えっ……えっと確かあの世にいった魂が生まれ変わるってやつですよね?」

 

 

「ふむ。おおむねその通りなのじゃが…問題はお主自身にあってな」

 

 

「俺…ですか?」

 

 

「普通は魂、この場合は霊魂というのじゃが特定の世界で生まれ変わることが決まっておってな。あの世に来た霊魂は浄化され新たな命となってまた現世に現れる。輪廻転生とはそのような流れでできておる。じゃがお主はその輪廻転生の流れからなぜか外れてしまっておってのう。そのまま放置していれば魂が消滅する恐れがあったのでな、お主をこの空間へと連れてきたというわけじゃ」

 

 

「え、マジで?」

 

 

「マジじゃ」

 

 

思わずエルとアランの姉弟に目を向けたが二人もウンウンとうなづいていた。

 

 

「あれ?ってことは俺、転生できないんですか?」

 

 

「安心せい。そのためにワシらがここにいるんじゃ」

 

 

「はあ」

 

 

「お主、並行世界(パラレルワールド)は知っておるか?」

 

 

「いきなりですね。えーと、なんでしたっけ?確かifの世界若しくは、可能性の世界でしたっけ?よくわからないですけど」

 

 

「ふむ。簡単にいえば、ある時空から分岐し、それに並行して存在する別の世界のことを言う」

 

 

「えーと……」

 

 

「一言でいえばもうひとつの地球があると思ってもらえれば…」

 

 

俺が理解するのに時間がかかっているとエルが助け船を出してくれた。

 

なるほど。

もうひとつの地球か…

それなら分かりやすい!

 

 

「ありがとうエル!」

 

 

俺はエルにサムズアップでお礼を言う。

 

 

「いえいえ~」

 

 

エルは笑顔で答える。幾分か表情は楽しそうだ。

 

 

「理解したかの?話を続けるぞ。お主をそのもうひとつの地球へと新たな命として転生させる。ちなみにアニメの世界じゃ」

 

 

「マジで!……………はい?」

 

 

新たな命として転生させると聞いて狂喜乱舞しようとしたが、そのあとの言葉で我に帰る。

 

 

「ア、アニメ?いやいやいや、アニメは創作物ですよ?架空の物語ですよ!?」

 

 

「まあ普通は知らんじゃろうな。お主達の住んでる世界では並行世界同士、影響を与えあって物語として互いに認知しておるのじゃよ?」

 

 

「えーと、つまりどういうこと?」

 

 

俺はエルの方へ向く。

 

 

「つまりアニメやマンガの世界は実際にあるということです」

 

 

「ウソおおおぉぉぉ!!!!!!」

 

 

「そのリアクションを期待しとった」

 

 

神様がなにか言っているが、そんなものは何も気にならなかった。

 

つまりあれですよ!?

 

男なら1度は夢見た、いや人間なら誰もが夢見た物語のなかに入りたいってやつが叶うんですよ!?

 

こいつはやべーぜ!!!!!

 

だがひとつ気になることがある。

 

 

「並行世界同士が影響を与えているっていうのはわかったんですが、俺が行く世界はなんのアニメの世界なんですか?」

 

 

そう。

問題はそこだ。

 

もし某世紀末救世主伝説の世界であったり、ドラゴンのボールを7つ集める戦闘世界であった場合、俺はすぐにお陀仏になる自信がある。

 

自慢じゃないが俺はケンカは中2以降していない。普通に高校・大学を卒業し、就職した平々凡々な一般人である。

 

 

「魔法少女リリカルなのはじゃったかのう?」

 

 

「ファッ!?」

 

 

マジで!?

 

あのリリカルでマジカルな魔砲少女!?

 

白い悪魔もとい、白い魔王で有名なあの魔法少女アニメ!?

 

始めてニ○ニ○動画で見た「少し頭冷やそうか…」には衝撃を受けたのを今でも覚えている。

 

それからリリカルなのはにはまって、アニメは4期まで見たり、マンガを集め、映画を見たりなど、かなりはまったものだ。

 

 

「ほう?知っておるのか。エルとアランもファンらしいしのう」

 

 

「はい!フェイトちゃん大好きです!」

 

 

「クロノ執務官かっこいい」

 

 

エルとアランがそれぞれ自分の好きなキャラクターのことを言っている。どうやら相当はまっているらしい。俺もリリカルなのは好きだが、こんなところで同志に会うとは思わなかった。

 

ちなみに俺が特に好きなのが、高町なのはと、フェイト・テスタロッサ、ヴィヴィオの3名である。

 

しかし、しかしだ。

 

 

「あの、神様?俺、生き残れる気がしないんですけど…」

 

 

アニメで見る分には構わないが、いざ巻き込まれるとなると話は別だ。

 

はっきり言おう。

 

死にたくない!

 

魔法少女リリカルなのは。

 

この物語の主人公である高町なのはというごく平凡な9歳の少女が魔導師もとい、魔法少女となって戦いを乗り越えて成長していくストーリーである。

 

だがぶっちゃけ、地球が2度ほど滅んでしまう規模の事件がストーリーとして絡んでくる。

 

なので巻き込まれないとは言い切れないのだ。

 

 

「安心せい。こんなこともあろうかとお主の願いを3つまで叶えてやるわい」

 

 

「お願いですか?」

 

 

「まずは何でも申してみよ。可能な限り叶えてやるわい。だが世界を破滅させる可能性のある願いは却下じゃ」

 

 

「こんな一般ピーポーにそんな願いがあると思いますか!?」

 

 

「冗談じゃ」

 

 

まあそんなことよりも願いを考えるか。あのアニメじゃ確か魔法は、ミッドチルダ式とベルカ式ってのがあったよな。ミッドチルダ式が遠近両用のオールラウンダーで、ベルカ式が近接特化だったか。

 

うん。

考えてみればみるほど俺には扱える気がしないな。デバイスがあれば補助とかしてもらえるんだろうけど…

 

………そうだ。

 

戦えないなら戦えるようにしてもらえればいいのでは?

 

それに転生するんだから、いっそのこと新しい自分に生まれ変わるか。新しい人生だし。

 

そこで俺は一つの可能性を思い付く。

 

 

「あの神様、俺の好きなキャラクターに生まれ変わることは可能ですか?」

 

 

「丸っきり同じという訳にはいかんが、やれんことはないぞ」

 

 

「本当ですか!?」

 

 

「何かなりたいキャラクターでもおったのか?」

 

 

「はい。あの家庭教師ヒットマンREBORN!って知ってますか?」

 

 

「まあワシもこやつらの影響を受けて日本のマンガには興味があったからのう。確か週刊少年ジ〇ンプに載ってたやつじゃろう?」

 

 

「はい。そのマンガの主人公、沢田綱吉の容姿、能力、武器をお願いできませんか?」

 

 

「よかろう。少しのお主の記憶をさぐらせてもらうぞ?」

 

 

「はい」

 

 

俺には好きなキャラクターがいる。

 

沢田綱吉。通称ツナ。

 

家庭教師ヒットマンREBORN!に出てくる主人公であり中学2年生の少年だ。普段から何をやってもダメで周囲からはダメツナと呼ばれていたが、小さな家庭教師リボーンが彼の元にやってきたことで彼の人生は変わる。リボーンはツナをイタリア最大のマフィア、ボンゴレファミリーの10代目として育てるためにやってきたのだ。そこから、彼は日常生活や数々の戦いを通して成長していく。

 

俺はこのマンガ自体はいつも買っていた週刊誌でついでに読む程度だったので、そこまで詳しい訳ではないのだが、彼の戦う姿、信念には心惹かれるものがあった。額に炎を灯し、グローブにも炎を纏い、仲間や大切な人を守るために不器用ながらも戦うその姿に憧れをもったものだ。

 

何より死ぬ気の炎というのがあるのだが、それを纏った主人公がかなり格好いいのだ!

 

当時は何これカッケー!と思いながらコンビニで立ち読みしたものだ。

 

 

「ふむ。だいたいわかったぞ。では今からお主の願いを叶えてやる。少しばかり気を失うが…まあ大丈夫じゃ」

 

 

神様がそう言うと、右手に持っている杖をコツンと叩く。すると俺の意識が徐々になくなっていった…。

 




さて、これからどうやってなのはに絡ませていこうorz

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