大空の炎の力を操る転生者   作:Gussan0

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どうもΣ(゚Д゚)

続き書けたで候。

では、どうぞ∠( ゚д゚)/


Featuring ワンパンマン③

ヒエンside

 

 

空間モニターを展開すると、相棒が俺の隣へ座った。

ナハトは膝の上によじ登り、当然のように丸くなる。

 

「おっと。そこがいいのか?」

 

「きゅ〜」

 

その背中を撫でながら、俺は周囲を見渡した。

遠くから車の走る音が聞こえてくる。さっきまで響いていた轟音が嘘みたいに、屋上は静かだった。

 

もっとも、何もかも元通りという訳じゃない。

ワクチンマンが最初に攻撃した場所には、結界を張る前の被害が残っている。助けた親子の姿は、ここからでは見えなかった。

 

無事に避難できているといいんだが。

 

「相棒。まずは、あいつの反応が残ってないか確認しよう」

 

「ガゥ」

 

自分でも意識を集中し、周囲を探る。

身体を吹き飛ばされても生きていた奴だ。核の欠片でも残っていたら、笑い話では済まない。

 

だが、それらしい反応は見つからなかった。

超直感も静かなままで、相棒からも同じ結果が返ってくる。

 

「……よし。今度こそ倒せたみたいだな」

 

拳を握って開く。先程、光球を弾いた手も普通に動いた。

ひとまず身体の方は問題なし。次は、俺たちがいる場所についてだ。

 

モニターに周辺の情報を映し、地名から確認していく。

A市、B市。それから、怪人の出現を伝えるニュースと避難情報。

 

一つや二つではない。過去の記事にも、怪人による被害と、それに対処したヒーローの名前が並んでいた。

 

「ヒーロー協会、か」

 

呟きながら、記事を開く。

活動するヒーローを支え、怪人の情報や避難勧告も発信しているらしい。

 

……ワクチンマンだけが、特別な存在という訳じゃないんだよな。

 

あいつ一体でも、あれだけの被害を出せる。

そういう連中が各地に現れるのだから、対処する側も大変だろう。

 

気になる記事を保存してから、俺は相棒へ顔を向けた。

 

「さて。こっちのことも調べたいけど、その前に俺たちだ。来る直前、何か変わったことはあったか?」

 

相棒から返ってきた思念を、自分の記憶と照らし合わせる。

扉を開いた覚えはない。移動を頼んでもいないし、何かに触れた覚えもなかった。

 

「俺もだ。気づいたら、あの屋上にいたんだよな」

 

相棒が尻尾を揺らす。

こちらへ来た理由については、相棒にも心当たりがないらしい。

 

誰かに呼ばれたのか。それとも、何かに巻き込まれたのか。

考えてはみるが、今のところ確かめる材料がなかった。

 

「……分からないものは、一旦置いとくか。それより、帰れるかどうかだ」

 

来た方法が分からなくても、いつもの移動まで使えなくなったとは限らない。

俺はナハトを抱えて立ち上がり、屋上の出入り口へ向かった。

 

「相棒。家へ繋げられるか?」

 

「ガゥ!」

 

頼もしい返事を聞き、ノブへ手をかける。

相棒と呼吸を合わせてから、ゆっくりと扉を開いた。

 

見えたのは、見慣れた家の中だった。

床も壁も、ちゃんと知っているものだ。向こうからは、食べ物のいい匂いまで漂ってくる。

 

「……帰れるじゃん」

 

思わず、肩の力が抜けた。

いや、本当によかった。知らない世界で立ち往生するかもしれないと思うと、さすがに落ち着かなかったからな。

 

相棒とこちら側の場所を確認してから、扉をくぐる。

 

「ただいまー」

 

 

*

 

 

「突然、知らない世界へ移動していたんですか?」

 

「うん。それで、人を襲ってる奴を見つけたから、先にそっちを何とかしてきた」

 

「……まず、怪我を見せてください」

 

事情を聞いたリニスは、椅子へ座った俺の前に立つと、差し出した手を取った。

 

「大丈夫だって。ちょっと殴り合いにはなったけど、ちゃんと動くし」

 

「それを確認するんです」

 

「はい」

 

そこは素直に従った。

相棒も横から戦闘の記録を伝えている。ナハトは俺の足元へ移り、尻尾を動かしていた。

 

腕から肩へと確かめていくリニスを見ながら、ようやく息をつく。

帰ってきたんだな、と、今更ながら実感した。

 

「びっくりしたよ。いきなり知らない場所だし、最初に会ったのが、人間を滅ぼすとか言ってる奴だし」

 

「それは、落ち着く暇もありませんでしたね」

 

「だろ? せめて先に、ここはどこですかって聞ける相手がよかった」

 

「その場にいた人たちは、あなたが来てくれて助かったでしょうけれど」

 

そう言ってから、リニスは俺の手を離した。

 

「大きな怪我はありませんね。痛むところは?」

 

「今はない。あっちでも動かして確かめたよ」

 

「分かりました。何かあれば、すぐに言ってください」

 

「了解」

 

頷いたところで、腹が鳴った。

……結構、はっきりと。

 

リニスの視線が下がる。相棒まで俺の腹を見た。

 

「朝から働いたからな」

 

「朝食にしましょう。続きは食べながら聞きます」

 

「お願いします」

 

温かい食事を前にすると、気分も随分違ってくる。

俺は手を合わせてから、調べてきたことを話し始めた。

 

怪人と呼ばれる連中が現れること。それと戦うヒーローがいること。

協会という組織が、その情報をまとめていること。

 

「転移の前後の記録、リニスにも見てもらえる? 俺と相棒だけじゃ、気づいてないことがあるかもしれない」

 

「もちろんです。あとで一緒に確認しましょう」

 

「助かる」

 

箸を進めながら、次にどうするかを考える。

帰る手段は使えた。だったら、向こうで寝床探しから始める必要はない。家を拠点にして、行き来すればいいだろう。

 

「食べ終わったら、もう一度街を見てくるよ。ニュースだけじゃ分からないこともあるし、あの親子のことも気になる」

 

「私も一緒に行きましょうか?」

 

「今日は相棒と歩いてみる。戻ったら話すから、気になったことがあったら教えてくれ」

 

「分かりました。予定が変わったら連絡してくださいね」

 

「うん。通信も確かめてから行くよ」

 

そう答えてから、空になった茶碗を持ち上げる。

 

「その前に、おかわりある?」

 

「ありますよ」

 

リニスが笑って茶碗を受け取る。

その横で、相棒も自分の皿を前へ押し出した。

 

……お前もか、相棒。

 

 

*

 

 

「通信、聞こえる?」

 

『はい。問題ありません』

 

「こっちも大丈夫。それじゃ、少し街を見てくるよ」

 

『気をつけて。何か分かったら教えてくださいね』

 

リニスとの通信を終え、モニターを閉じる。

再びやって来た屋上には、朝よりも暖かい風が吹いていた。

 

今回は、自分で扉を通って来た。

往復も通信もできると分かって、気持ちに余裕が出てくる。

 

ナハトは家で留守番だ。俺は足元の相棒を抱き上げると、人目につかない場所へ降りた。

 

地上には、思っていたよりも普通の街並みが広がっていた。

信号を待つ人。店の前を掃除する店員。子供を連れた母親。

 

怪人のニュースを続けて見たせいか、もっと殺伐とした光景を想像していたのかもしれない。

だが、ここで暮らす人たちには、仕事も学校も買い物もあるんだよな。

 

「ガウ?」

 

「いや。実際に歩いてみないと、分からないもんだなって」

 

相棒へ答え、案内板の前で足を止める。

大通りと駅の位置を見比べていると、端の方に避難場所の表示を見つけた。

 

「相棒、ここの道順を記録しておいてくれ。俺も歩いて覚える」

 

「ガゥ」

 

地図上では近くても、道が狭かったり、途中に階段があったりするかもしれない。

人を逃がす時に迷わないよう、周りの様子も見ながら進んでいく。

 

やがて商店の並ぶ通りへ入ると、揚げ物の匂いが漂ってきた。

続いて、焼き立てのパン。それからカレー。

 

「……いい匂いだな」

 

腕の中の相棒が、こちらを見る。

 

「分かってる。さっき朝飯食べたばっかりだって」

 

「ガウ」

 

「値段も見てるんだよ。物価の確認」

 

言いながら、店先のメニューへ目を向けた。

料理の名前には馴染みがある。食べる物で困ることは、あまりなさそうだ。

 

ただ、こちらで使える金はまだ用意していない。

数字の表記が似ているからといって、財布の中身がそのまま通用するとは限らなかった。

 

「そのうち、買い物もできるようにしたいな」

 

相棒も店へ顔を向ける。

お前、さっきから俺を見てた割には、結構気になってるだろ。

 

笑いながら歩き出したところで、家電店のテレビが目に入った。

ニュースに映っている交差点には、見覚えがある。

 

朝、あの親子を助けた場所だ。

 

俺は通行人の邪魔にならない位置へ寄った。

画面の中では立ち入りが規制され、道路の被害や、目撃された怪人について伝えている。

 

だが、その後どうなったのかは、はっきりしていないらしかった。

 

……そりゃそうか。

俺とワクチンマンの戦闘は結界の中だ。外にいる人からすれば、途中から姿を消したようなものだろう。

 

近くで画面を見ていた男性が、眉を寄せる。

 

「結局、どこに行ったんだ?」

 

「まだ近くにいるんじゃないでしょうね」

 

隣の女性が、買い物袋を持ち直した。

二人はしばらくニュースを見ていたが、やがて不安そうな顔のまま歩き出す。

 

その背中を見送り、俺は相棒へ視線を落とした。

 

「……倒したって、知らせてないもんな」

 

「ガゥ」

 

現場には、これから被害を調べる人も入るだろう。

怪人が残っているかもしれないとなれば、そちらへの警戒も必要になる。

 

俺には戦闘の記録がある。

何も伝えないまま帰るより、それを持って話しに行った方がいい。

 

 

*

 

 

近くの公園へ移り、ベンチに腰を下ろした。

隣へ相棒を下ろしてから、手元に小さくモニターを開く。

 

調べるのは、ヒーロー協会の連絡先と窓口だ。

案内を見ていくうちに、認定試験という項目も目に入った。

 

「体力試験と、筆記試験か」

 

協会に登録するには、試験を受けるらしい。

さらにページを進めると、活動しているヒーローの紹介が出てきた。

 

C級、B級、A級、S級。

それぞれに順位がついていて、顔ぶれも装備も様々だ。

 

「これだけ色々いるなら、俺の格好もそんなに目立たないか?」

 

相棒が俺を見上げ、頭から足まで眺める。

 

「今、何を確認した?」

 

「ガウ」

 

……まあ、いいか。

街を歩いていても服装で騒がれることはなかったし、相棒を見て足を止める人の方が多かったからな。

 

俺は案内のページへ戻った。

こちらで活動するのなら、協会との繋がりはあった方がよさそうだ。怪人の情報を受け取れるし、助けた人を引き継ぐ時にも話が早い。

 

ただ、登録には何が必要なのか。

住所や連絡先をどうするかも、窓口で聞いてみよう。

 

「相棒。朝の戦闘記録、説明する時に見せられるようにしておいてくれ」

 

「ガゥ!」

 

元気よく返事をした相棒を抱き上げ、ベンチから立つ。

そのままリニスへ通信を繋いだ。

 

『何かありましたか?』

 

「朝の怪人、まだ行方が分からない扱いになってるみたいなんだ。協会の窓口が見つかったから、倒したことを報告してくる」

 

『そうでしたか。戦闘の記録を持っていくんですね』

 

「うん。ついでに、登録のことも聞いてみる。少し長くなるかもしれない」

 

『分かりました。こちらも記録を確認しておきます』

 

「ありがとう。じゃあ、また後で」

 

通信を終え、調べた道順へ目を通す。

いきなりこちらへ来た理由は、まだ分からない。だが、帰る場所はあるし、相談する相手もいる。

 

だったら、今できることから始めればいい。

 

「行こうか、相棒」

 

「ガゥ」

 

歩き出すと、来る時に見つけた定食屋の前を通った。

店先には、新しく日替わりの看板が出ている。

 

……唐揚げ定食か。

 

腕の中から、前脚でぽんと叩かれた。

 

「分かってるって。まずは報告だろ?」

 

そう返して、俺は協会の窓口へ向かった。

 




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