でけたので投稿。
では、どうぞ( *・ω・)ノ
ヒエンside
俺は今、鎌倉行きの電車に乗っていた。
「へぇ~ここがつぼみ達が住んでた鎌倉か~」
向かい側に座っているえりかが景色を見ながら呟く。その先には海が見えた。車も多く走っている。
「ふふっ。私もこの町で青春時代を過ごしたのよ?」
薫子さんが懐かしむように話す。
青春時代か。
Ka○a聴きたくなってきたな。
「おばあちゃんは中学の頃、なんて呼ばれてたんですか?」
「普通に名字で五代さんって呼ばれてたわ」
えりかが薫子さんに聞く。
俺としては五代さんと聞くと、笑顔を守るために戦うサムズアップの似合う某仮面ライダーが思い浮かぶ。
「五代……五代薫子……史上最年少で全日本空手選手権を制した五代薫子さんですか?」
「あははは。そんな昔の話よく知ってるわねぇ」
「「「えぇぇぇぇ(でしゅ)!!!???」」」
君達いくら乗ってるお客さんが少ないとはいえ……その大声はどうかと思うぞ?
それに妖精達、お前達話したらまずいんじゃないの?
俺はこちらをヒソヒソ見ながら話す他のお客さんに頭を下げるのだった。
◆◆◆
ミーンミーン……
セミの鳴き声が響く中、俺達は自然に囲まれた田舎道のような所を歩いていた。
「わぁ~」
つぼみは周りの景色を見ながらどこか懐かしむように歩いている。
「この辺に住んでたの?」
「もっと山の中なんですけど……この辺りにはよく買い物に来たんです」
「へぇ~」
俺もキョロキョロと周りを見ていると……
「花咲!!」
すると少年の声と思わしき声が聞こえてきた。
「え?…………あ!みつる君!!」
そこには剣道着を着た丸坊主の少年がいた。その手には竹刀袋らしき物を持っていた。
「お久しぶりです!!」
つぼみが嬉しそうに近寄っていく。
「こっちへ帰ってきたのか?」
「いえ、お盆の間だけお友達と実家に泊まりに……」
つぼみの視線がえりか、いつきへと向く。
「こんにちは~」
「初めまして!
二人が挨拶したあとつぼみの視線がこちらへと向く。
これは挨拶しろということだろうか?
「は、初めまして。大空氷炎です」
するとみつる少年は、いつきと俺に近寄り、軽くにらみながら話しかけてきた。
「お前と、お兄さんも花咲の友達なのか?」
いつきは少し戸惑いながらも答える。
「えっと……そうだけど」
俺も答えようとすると……つぼみが間に入って紹介した。
「あ、あのこちら……幼なじみの中野みつる君です」
「ヨ・ロ・シ・ク!!」
みつる少年が俺達に顔をさらに近付いて挨拶してきた。
「「こ、こちらこそ」」
俺といつきは少し上半身を反りながら挨拶した。
なんなのだろうか?
妙な敵意を感じるのだが……。
「みつる君元気そうね?どう?剣道の方は?」
薫子さんがみつる少年に話しかける。するとみつる少年が
「大会に向けて朝から晩まで特訓中です。女の子を連れて出かけるような暇はありません」
それを見たえりかが呟いた。
「ははあ~ん。
「ん?」
つぼみが首を傾げる。
「いいわねぇ。私も初恋の頃のことを思い出したわ~」
「初恋……ですか?」
つぼみが薫子さんを見ながら呟いた。
なんだかあちらでは楽しそうな雰囲気が出ているのだが……俺はそれどころではなかった。
みつる少年がこちらをジーッと見ている。
「で、お兄さんは?」
「あ、ああ俺はつぼみの……」
「つ、つぼみ!?名前で呼んでんのか!?」
するといきなり慌て始める。
「え?ま、まあ流れ的に?」
「な、流れって……な、なんの!?」
「えっと……」
なんだかマズイ気がする。
【ここで答えを間違えればめんどくさいことになるぞ】と超直感が警鐘を放っている。
「俺は……「ヒエンさんは訳あって今一緒に住んでるんです」花咲家で……はい?」
「一緒に住んでる……だと?」
するとみつる少年の顔が死んだような顔になっていく。
「待てつぼみ。その表現は間違ってはいないが、色々と間違っている」
「へ?どこがです?」
つぼみが首を傾げる。
その様子を見て俺は頭を抱えた。
うおおおおおおおおお!!!!
なんだこの純粋な天然娘は!?
何が間違っているか欠片もわかってねぇ!?
この純粋さに、とある金髪姉妹が俺の脳裏をよぎった。
とそんなことを考えてる場合じゃない。
「…………」
今はこの冷たい視線を向けてくる剣道少年をどうにかせねば。
「まて、落ち着け。色々誤解なんだみつる少年。だからそんなクズをみるような視線はやめてくださいお願いします」
あちらで何やらえりかが爆笑しているが今はみつる少年の誤解を解く方が先だ。
「俺はえっと……植物の勉強をするために花咲家に居候させてもらっててね。だから
「…………本当か?」
「うん。本当だ本当」
そして俺はみつる少年に近付き、小声で話しかけさらにある誤解を解く。
「あと一応言っとくと、いつきは男の子に見えるが、ちゃんと女の子だからな」
「え、ええええぇぇぇぇ!!!???」
まあ、うん。
そうだよね。
そういうリアクションになるよね。
「ここには君の障害になる奴はいない。だからどうか安心してほしい」
「そ、そっか……良かった」
みつる少年はホッとしていた。
俺はその様子を見てある提案を持ちかけた。
「なんだったら色々と協力するぞ?」
「な、なに言ってんだよ!?」
「思い立ったが吉日とも言うだろ?つぼみは可愛いからな。たぶん転校先の中学でも人気あると思うぞ?」
「う、うぅ……。考えとく」
「そうか。つぼみは今日と明日いる予定だから。来れそうならこいよ?」
「うん。ありがとうお兄さん」
「気にするなみつる少年」
そしてなんとか誤解は解けたのだった。
◆◆◆
みつる少年と別れた俺達は、山道と思われる階段を登っていた。
「あ~~~あ~~~……ハァ……ハァ……あたしもうダメッ!!」
するとえりかは体力の限界なのか階段に座り込んでしまった。
「えりか情けないぞ!!」
いつきが喝を入れる。
「運動神経には自信あるんだけどさ……ただ山道を登るってつまんな~~い!!」
「「うわわわあああぁぁぁ!!!!離してくださ~~い!!」」
そのとき余りの辛さからか浮いている二匹の妖精のシプレとコフレの尻尾を掴む。
「もうえりか?おばあちゃんを見てください」
するとその先には一足先に上がり終えた薫子さんがいた。
「はいはい。分かりましたよ~」
するとえりかがシプレとコフレの尻尾を離す。そのとき二匹が抜け出そうと必死に前へいこうとしていたので……その拍子で前へと吹き飛んでいってしまった。
「「うわあああぁぁぁ!!!!」」
「おっと」
それを見た俺は補助魔法ホールディングネットを発動させる。網状の魔法でシプレとコフレの二匹を捕まえた。
このホールディングネットは『リリカルなのはStrikers』に登場する魔法である。
Strikers本編の一話であった管理局の魔導師ランク試験最後の方で、猛スピードで突っ込んでくるスバル達を助ける為になのはが使用した魔法である。
俺は二匹を手繰り寄せると網から解放した。
「「わぁあああー!ヒエンーー!!」」
二匹が泣きついてきた。
俺の両肩にシプレ&コフレ、頭の上に久遠がいる。
いつもより暑苦しいorz
ちなみに相棒は暑いので心の中でマッタリしている。
その間につぼみとえりかは歩きながら話していた。
どうやらみつる少年の話になっていたらしい。
つぼみの話によれば、みつる少年はつぼみが困っているとどこからともなく現れ、いつも助けてくれたそうだ。
時には不良に絡まれたつぼみを助けるために立ち向かい……
あるときは多すぎるプリントを持つのを手伝い……
又あるときは犬に襲われそうになっているつぼみを助けたりしたそうな。
しかしつぼみは希望ヶ花市に引っ越すことになってしまった。
そして引っ越しの日、つぼみはみつる少年にそれまでのお礼を言いたかったのだが、結局会えなかったらしい。
つぼみとしてはしっかりとお別れを言いたかったのだろう。
そして俺はこの話を聞いて確信した。
みつる少年は……
(確実につぼみに恋をしている!!)
みつる少年がつぼみを助ける理由なんて簡単だ。
惚れた女の子を守るためだ。
第一、男が女の子を助けるのに理由なんてないのだ。
そう考えるとみつる少年は男である。
そして俺達は階段を登りきり、鎌倉を一望できる広場にいた。
「でも結局会えなかったって訳だ」
「はい……」
「なかなか好感が持てる子だね。でも、なんで僕をにらんでいたんだろう?」
「ですよね?」
本気で言っているのかこやつらは……((((;゜Д゜)))
「わかんないかなぁ……」
えりかが呟くので……答える。
「俺は分かるぞ?」
他に目を向けると……
「私はわかんないです」
「僕も」
「ポプリもでしゅ~」
純粋三人組が首を傾げた。
「「はははははは……」」
俺達は顔を見合わせ、笑うしかなった。
◆◆◆
そして鎌倉の花咲家についた俺達がまず最初に始めたことは掃除であった。
皆で掃除に掃除を始めると、つぼみがある一枚の写真を発見する。
そこに写っていたのは若かりし日の薫子さんと、旦那さんの
空さんは以前つぼみが教えてくれたのだが、つぼみが生まれる前に亡くなったお祖父さんである。
そして語られる薫子さんと空さんの出会い。
話によると薫子さんが空手の武者修行で山籠りをしていたらしい。
そんなある日、人恋しくなり寂しくなった薫子さんは山を降りることを決意。その道中にチェロの演奏が聴こえてきたらしい。
音が聴こえる方向に行くと、ラベンダー畑に囲まれた一つの山小屋があったそうだ。
中を覗くとチェロを演奏している学ランの眼鏡をかけた青年が一人でいたらしい。それが薫子さんの
二人は話をし、意気投合。
空さんは薫子さんが山籠りで寂しくならないようにと、手作りのオルゴールをプレゼントしたらしい。
それから無事オルゴールのおかげで山籠りに耐えられた薫子さんは、空手大会で優勝。
その後、空さんと一緒にいるために植物学の勉強に力を入れたらしい。それから二人は深交を深め、結婚し、息子の陽一さんが生まれて……ある約束をしたらしい。
『この山に君の好きなラベンダーの畑を作ろう。完成したらそこで僕のチェロを聴いてくれないか?』と。
だがその約束が守られることはなかった。
空さんは陽一さんが生まれてから病で亡くなってしまったからだ。
空さんが亡くなってからその後、薫子さんは女で一つで息子の陽一さんを育てあげ、やがて陽一さんが結婚し、孫のつぼみが生まれたと語ってくれた。
それから空さんの思い出の品であるチェロを見せてもらったが、えりかがあることに気付いた。
「あれ?オルゴールは?」
そのときつぼみの身体がピクリと震える。
「……っそれは」
「どうしたの?」
いつきが気付いて声をかける。
「私、そのオルゴールが大好きでよく聴いていたんです。そしたらおばあちゃんがプレゼントをしてくれたんですけど……引っ越しのあとに、荷物の中から無くなっていたんです……」
つぼみが涙を流す。
「ごめんなさい……おばあちゃん」
それを見た久遠がつぼみの肩に登り、寄り添う。
「くぅ……」
薫子さんもつぼみを優しく抱き締めた。
「もう過ぎた話よ?それに……あのオルゴールはきっと……今も誰かの心を癒しているはずだわ」
薫子さんはつぼみを抱き締めながらそう話すのだった。
その内容を聞いて俺は思い出した。
(あ、これ27話の内容じゃん……)
なんというかプリキュアって意外とストーリー重いような気がする。
では、また(・∀・)ノ