外伝書けたで候。
では、どうぞ∠( ゚д゚)/
ヒエンside
「フェイト・テスタロッサ・ハラオウンです。どうぞよろしくね」
俺は慌てて頭を下げた。
「……ヒエン・オオゾラです。お邪魔してます」
間近で見るこちらの世界のフェイト、いやフェイトさんは、まさに“金色の閃光”という表現がぴったりだった。
彼女が柔らかく微笑むだけで、空気がぱっと明るくなる。
穏やかなのに、どこか芯の通った眼差し。
俺のよく知るフェイトと同じであった。
「ふふ、そんなに緊張しなくてもいいよ。なのはとヴィヴィオだっているし、みんな家族みたいなものだから」
「家族……ですか」
俺の脳裏に彼女の母であるプレシアと、姉であるアリシア、そして使い魔のアルフと家庭教師のリニスの姿が思い出される。
俺の世界のフェイトは、PT事件で紆余曲折あったものの、それらを乗り越えた事で、テスタロッサ家の関係は良好となっている。
アリシアやリニス、アルフと共にプレシアへの面会も定期的に行っているようであるし。
今回の
アリシアが嘱託魔導師の資格を取ったので、同行が可能となったのだ。
さらにアリシアにはリインフォースがついてくれており、ユニゾンする事でアリシアの能力を底上げしている。
アリシアとリインフォースの相性は意外と良いようで、リインフォースが経験不足のアリシアの補助とサポートに回ることで支えてくれているのだ。
ちなみにユニゾン時の髪色は、金色からブロンズのような色となる。
可能であるならば、この世界のフェイトにプレシアやアリシア、リニスと会わせてあげたいが……まずは三人を見つけなければ話にならない。
いや、三人だけではない。
ゼストさんやクイントさん、ティーダ達も見つけなければ……。
まあ、特にこの面子については心配していない。
自分でなんとかするであろう実力者ばかりだし。
ただ心配なのはアリシアと魔力封印されているプレシアであるが、リニスとリインフォースが側についていたハズなので大丈夫だと思う。
後は、
俺はそんな思考を他所に、彼女達と会話する。
「いいですね。そういうの」
「でしょ?あ、そうだ。なのは、ヴィヴィオ、まだ料理の途中だから、ちょっと手伝ってくれない?」
「「はーい!」」
そう言うと、なのはさんとヴィヴィオが台所へ駆けていった。
キッチンから聞こえる包丁の音と、ヴィヴィオの鼻歌。
そしてリビングに残った俺とフェイトさん。
なんとなく気まずいわ……。
「あの、俺も何か手伝えることあります?」
「別に気にしなくても大丈夫だよ。なのはとヴィヴィオがいるし。何よりヒエンはお客様だからね。ゆっくりくつろいでほしいな。ほら、座って座って」
「では、お言葉に甘えて」
俺はフェイトさんに勧められるがまま、引かれた椅子に座る。
フェイトさんが紅茶を注ぎながら微笑む。
「あんなに楽しそうな二人を見るのは結構久しぶりなんだよ?それになのはから、電話で模擬戦の事を聞いたときは、私も本当にびっくりしたんだから」
「いやいや、全然ですよ。互角に戦ったって言っても、肝心の試合内容は終始押されっぱなしでしたし……」
「でも、ちゃんと攻めの形を作ってたんでしょ?あの“調和”って力も興味深いし……空間干渉を中和させるなんて、初めて聞いたよ」
「……まぁ、ちょっとした応用技です」
「私も君と戦ってみたいかも。二人だけ戦ってずるい……」
「まあ、機会があれば……」
「ホント?約束だよ??」
「はい」
そう言って、フェイトさんは嬉しそうに笑った。
その笑顔が――どこか、俺の知る世界のフェイトと重なって見えた。
「フェイトママー!シチューできたよー!!」
「フェイトちゃーん!一緒にヒエン君も連れてきてー!!」
ヴィヴィオとなのはさんの声がキッチンから聞こえる。
「はーい。今、行くね〜」
フェイトさんが立ち上がると、俺の方を振り向く。
「さ、一緒に行こう。今日は歓迎会だよ、ヒエン」
こうして案内されると、テーブルには、香ばしい匂いのクリームシチューと、出来立てのミートパイ。
サラダとオレンジジュースまで並んでいて、家庭的という言葉がよく似合う光景である。
すると、なのはさんがエプロン姿でキッチンから現れる。
「おまたせ〜。今日は頑張ったヒエン君へのご褒美だよ♪」
「あ、あの……なんかありがとうございます。というか、自分のためにすみません」
「気にしないで。ヴィヴィオも“いつか絶対呼びたい!”って言ってたし」
「うんっ!ヒエンさんに、なのはママとフェイトママにも会ってほしかったんだ!」
「そうだったのか。ありがとな、ヴィヴィオ」
俺が素直にそう言うと、ヴィヴィオは嬉しそうに笑った。
うん……滅茶苦茶癒やされるんだが。
罪だわ、この子。
そうして始まった俺のささやかな歓迎会。
肝心の俺はというと、無言で料理を食べていた。
いやだって美味しいんだもの。
まるで止まらねぇ!
「ガァウ!」
「きゅ!」
その時、相棒とナハトが両肩に現れる。
「あ、ごめん。お前らの事忘れてた」
「ガゥ!」
「きゅっ!」
二匹が怒ったように鳴く。
俺はなのはさんに確認を取る。
「すみません。なのはさん、フェイトさん。こいつらにも食べさせてやってもいいですか?」
「え?うん。別に大丈夫だけど……」
「ヒエン……その子達は一体……」
「あ、こいつらはヒッツとナハト。俺のデバイスと防衛プログラムです」
二匹の紹介をすると、なのはさんとフェイトさんは一度顔を見合わせるが、特に気にした様子もなく食事を再開させた。
だが
(まあ、疑われるよな間違いなく……)
ただこいつらの事は、もうヴィヴィオ達に紹介している手前、偽名などを今更使う訳にもいかない。
「あ、私が用意するよ!」
ヴィヴィオが二つの小皿にシチューを入れてくれた。
そして二匹の前に置くと、相棒とナハトは美味しそうに食べ始める。
「わぁ、可愛い〜」
ヴィヴィオが満面の笑みで二匹を見る。
こいつらもヴィヴィオに心を許しているのか、物凄くなついている。
だいたいご飯をくれたり、優しくしてくれる人達にはなつく。
物凄い勢いでなつく。
チョロすぎて心配になる程に。
「ガゥ!」
「きゅ!」
『主に言われたくない!』みたいな思念が二匹から伝わる。
解せぬ。
まあ、二匹の事は置いといて、俺達の事は間違いなく、この世界のはやて達にも伝わるだろう。
そして、俺の情報も粗方調べられるはずだ。
一応、相棒達がハッキングして俺の個人情報や経歴は改竄してくれているので特におかしな所はない。
むしろ何も出てこない。
当然だ。
俺はこの世界の人間ではないのだから。
だからこそ、悩む。
(……俺が何者か話すべきだろうか?)
俺は食事中、その事をずっと考えていた。
◆◆◆
「ヒエンさん、コロナとの特訓はどんな感じですか?」
俺が食後のコーヒーを頂いていると、オレンジジュースをチビチビと飲んでいるヴィヴィオが話しかけてきた。
俺はコーヒーカップをテーブルに置くと答える。
「最初に比べたら、段々無駄な動きはなくなってきたかな」
俺は空中モニターを展開させると、コロナとの特訓風景をヴィヴィオに見せる。
『
創成されたゴライアスが俺に襲いかかるが、俺は余裕を持ってかわしていた。
『ゴーレムの操作スピード、パワー共に大したものだ。だがこの近距離じゃ、ゴライアスの大きさだと死角は増えるし、術者本人の隙も多くなる。こんな風に』
画面の俺はゴライアスの攻撃をかわした後、コロナへとすぐに距離を詰めて手刀を食らわせる。
『あっ……』
コロナが気絶するが、俺は相棒を呼び寄せる。
『相棒』
『ガァウ。ガァ!』
相棒が気絶するコロナを軽めの調和の咆哮で起こす。
彼女の意識を、無理矢理覚醒させたのだ。
『あれ?私……』
『気絶している暇はないぞ、コロナ』
『あ、はい!』
『まず俺のような高機動型と戦う時は、普通のゴライアスでは隙が多すぎる。創成に数秒はかかるし、その間、お前は無防備になる。だからこそ、もっと戦術に幅を広げるんだ。お前のゴーレム
画面の俺は小型のゴライアスもとい、ゴライアイスを10体創成する。
『小型の氷のゴライアスッ!?』
『氷のゴライアス、名付けてゴライアイスだ。こいつらは……そうだな。ミニゴラとでも名付けようか』
『ミニゴラ……』
『こんな風に小型化すれば、創成もすぐに出来るし、相手への牽制としてもこいつらは使える。さらに操作魔法を極めると……』
俺はミニゴラを解除し、ゴライアイスを再造形する。
だが、その造形スピードはコロナの創成よりも圧倒的に早かった。
『ゴライアイスがあっという間に……』
『詠唱をしなくても、すぐに作り上げる事が出来る』
『す、凄い……』
『大事なのは明確なイメージだ。その時の状況、対応する相手によって、ゴーレムの質や量を変えろ』
俺はゴライアイスを解除すると、様々な動物や武器に造形変化させる。
『俺の操作魔法の適性は並だが、コロナ……君は俺なんぞよりも、操作魔法の才能が圧倒的にある』
俺はコロナを真っ直ぐ見据えて言った。
『操作魔法を極めろ、コロナ。操作魔法を極めた先に、お前の求めている物がきっとある』
『操作魔法を……極める……?』
『ああ。お前の操作系術者としての操作技術の精度とその威力、そして戦いを組み立てる知性。それと並行して自分の身体でも戦う格闘技術……それらが合わされば、どこもおろそかに出来ない難しい戦闘スタイルだからこそ、完成した時の性能は凄まじい物になる。自信を持て、コロナ。お前は誰よりも強くなれる素質を持っているんだ』
『は、はい……!』
それから、コロナとの特訓は苛烈を極めた。
俺のアドバイスと助言によって何かを掴んだのか、以降の彼女との模擬戦の密度が格段に上がったのだ。
『マイストアーム!ヴァンガードシフト!!』
『ほう?ゴライアスの両腕を召喚……それと並行して攻めてくるか』
『いきます!ロックカノン!!』
『だが、まだ甘い』
画面の俺はフェイクシルエットを駆使して、ロックカノンをかわしていく。
『ストーンランス!』
しかし、コロナも負けじと射撃魔法とヴァンガードシフトを並行しながら使う事で幻影を一気に減らしていく。
『ここ!ナックルブレイク!!』
『良い攻撃だ。だけど……』
コロナは本体の俺を見つけると、ゴライアスの腕を飛ばしてくるが……
『
『嘘っ!?ゴライアスの腕を真正面から!?』
俺は篭手を手甲に変化させ、小さな炎の球体をぶつけると、ゴライアスの腕を破壊した。
『ほら、余所見しない』
『あっ……!』
数度目となる俺の手刀が、コロナの首に決まる。
例の如く、相棒の調和の咆哮で彼女の意識を覚醒させると模擬戦の反省会が始まる。
『今回はどこが悪かった?』
『えっと……』
最初の数日は、彼女の集中力が切れたり、魔力切れを起こしたりと、模擬戦は出来て数戦が限度であったが、徐々にではあるが、その数と一戦辺りの戦闘持続時間は延びていった。
コロナとの模擬戦をやり始めて数日、彼女の魔法と戦闘技術は、最初に比べるとかなり洗練されていた。
まあ、俺としては数日で形態変化を使わされた事に驚いたが、やはり彼女も若き才能ある魔導師の一人である。
コロナは努力型の秀才タイプだ。
タイプ的にはクロノと同じである。
自らの能力を客観的に認め、努力を重ねる事で論理的思考、分析力、データに基づいて、堅実に物事を追求する事で、安定した成果を出す事が出来る。
「最初は制空圏修得の特訓のつもりだったんだけど、気付いたら操作魔法のアドバイスやら、ゴーレム
「…………」
ヴィヴィオは何か思う所があるのか、ジッと俺とコロナの模擬戦風景を見ている。
そして模擬戦を始めて一週間後、変化が起きた。
『
小型化されたゴライアス、ミニゴラが10体生み出される。
『パージブラスト!ドリルクラッシャーパンチ!!』
そして10体のミニゴラから放たれるドリルクラッシャーパンチ。
ミニゴラと言っても、約150cm〜160cmはあるゴーレムだ。
その腕の大きさも、太い枝並にある。
それが数にして20は来ている。
普通に脅威である。
俺はラウンドシールドを展開させて、幾つかのドリルクラッシャーパンチを受け止めるが……
『側面から来たか!』
操作魔法の応用なのか、コロナは攻撃した両腕を操作して、俺の側面や後方から攻撃を回り込ませていた。
俺は加速魔法ブリッツアクションを使用して、その場から緊急離脱する。
幾つかの腕同士が当たり、連鎖的に爆発が起こる。
俺はその隙にコロナの後方に回り込み、例の如く彼女の首元に手刀を叩き込もうとするが……
『もうその手は食いません!』
『ほう?』
コロナが
『ロックバインド!』
『だが……まだまだだ』
そのまま俺を地面から生えた手や鎖で俺を拘束しようとするが、俺は再度加速魔法ブリッツアクションを使用して、その場から逃れる。
『くっ……もうちょっとだったのに……』
『今のは良かったぞ。
『えっ……?』
『
『無意識……ですか?』
『ああ。
『は、はい!ありがとうございます!!』
『じゃあ続けて、特訓の第二段階だ。俺も攻撃のバリエーションを増やす。だから、心してかかってこい』
『はい!いきます!!』
そうしてコロナが限界ギリギリになって倒れるまで模擬戦は続いた。
◆◆◆
コロナとの模擬戦を見終わると、ヴィヴィオは神妙な面持ちで俺に話しかけてきた。
「ヒエンさん……その、お願いがあるんですけど……私にも特訓をつけてくれませんか?」
「……理由を聞いてもいいか?」
「コロナとは学校に入学した頃からの付き合いなんですけど……その……目に見えて強くなっている様子を見たら……なぜか焦ってきたといいますか」
「あー……なるほどな」
要はコロナとは一緒に競い合うライバルであり、仲の良い友人でもあり、大切な仲間だからこそ、負けたくないという気持ちが表に現れた……みたいな感じか?
「別に特訓は構わないんだが、正直に言うと、現時点でもヴィヴィオの方がコロナよりも普通に強いぞ?」
これには相性的な物もあるだろう。
ヴィヴィオであれば、コロナがゴーレムを創成する前に攻撃をする事も可能である。
上手くいけば、開始早々に沈める事も出来るだろう。
コロナが受けに徹すれば、戦闘を引き延ばす事は出来るだろうが、制空圏を習得していない今のコロナではヴィヴィオに勝利する事は普通に厳しい。
「でも制空圏を習得して、操作魔法を極めれば……その限りではないですよね?」
「まあな……」
コロナが制空圏を習得し、操作魔法も息を吸うように自然と扱う事が出来るようになれば、どんな相手とも戦えるだろう。
そのためにはコロナの反射神経強化、操作魔法の向上、格闘技術の強化が必要不可欠である。
そして、それらを一気に鍛える事が出来るのが地獄のひたすら模擬戦である。
「お願いします!コロナにも、チームの皆にも、誰にも負けたくないんです!!」
ヴィヴィオが頭を下げる。
「……分かった。そこまで言うなら、俺で良ければ力になるよ」
まあ、今日から俺はナカジマジムの臨時トレーナーにもなるし、皆の特訓に付き合うのも仕事だしな。
「でも、ぶっちゃけて言うと、ヴィヴィオには制空圏の特訓は必要ないんだよな」
「と、言いますと?」
ヴィヴィオが首を傾げる。
あら、可愛い……じゃない。
「ヴィヴィオの戦闘スタイルはカウンターヒッター。回避主体で戦うことが主だ。だが当然、避け切れない攻撃だってある。そういう相手には攻撃を上手く受け止める、又は受け流す技術が求められる。だからこそ、ヴィヴィオは既に制空圏染みた事は出来る訳だ」
彼女の戦闘スタイルは反射神経が物を言う。
加えて彼女は視力がいい。
某史上最強の弟子風に言えば、ヴィヴィオは現時点で、制空圏の上位技、流水制空圏第一段階のような事が既に出来るのだ。
「ヴィヴィオは目が良いだろ?目が良いと、相手の筋肉の動きや、相手の動きを予測する
ただし、桁外れな動きや、相手の動きを読み間違えると、逆に相手の攻撃を食らう羽目になるが……。
そこは本人も分かっているだろう。
ノーヴェさんがしっかりと指導している筈だ。
「だからまあ、現時点で思い付く特訓はどうしても基礎的な事が中心になる。それでもいいか?」
「お、押忍ッ!大丈夫です!!」
「そうか。なら、俺との特訓でやるべき事は主に三つ。魔力量を伸ばす事と、脚力と腕力の重点強化だ。ヴィヴィオ、お前の魔力量は少なくはないが、多い訳でもない。だから、毎日魔力を限界まで酷使してもらう。そしてその反動で徐々に魔力量を伸ばしていく。脚力と腕力については、魔力負荷をかけながら積極的に基礎トレをやっていく。勿論、模擬戦もだ。敢えて魔力を制限して戦う事で、魔力運用も自然と鍛える事が出来るからな。まさに一石二鳥だ」
「な、なるほど……インターミドル前にやってた事と同じ感じですね」
「既に経験済みだったか。だけど、それをこれからは毎日やってもらう。はっきり言って死ぬ程キツイぞ」
「押忍ッ!覚悟の上です!!」
「お、おお。良い返事だ。後は弱点の克服と、技の改良だな」
「弱点の克服と技の改良……ですか?」
「ああ。クリス、ちょっといいか?」
「!!」
クリスから『何か御用でしょうか?』みたいな思念が伝わる。
「俺とヴィヴィオのスパーリング映像出してくれるか?」
「!!」
クリスが敬礼しながら、空中モニターに俺とヴィヴィオのスパーリング映像が映る。
「ヴィヴィオ、このスパーリング……どうして俺に負けたか分かるか?」
「えっと……ヒエンさんが私の動きを見切ってたから……ですか?」
「半分正解だ。正確には、ヴィヴィオの動きを見切った上で、戦いの流れをコントロールしていたから……だ」
「戦いの流れ……ですか?」
「ヴィヴィオはこの時、どうしてアクセルスマッシュを使おうと思った?」
俺はヴィヴィオが技を使おうとした場面で映像を止める。
「えっと……この時は、ヒエンさんが体勢を崩したのでチャンスだと思って」
「そう。ヴィヴィオはこの時、
「えっ!?ワザと!?」
「!?」
ヴィヴィオとクリスが驚く。
「ああ。この時、俺は
「あ、さっき言ってた戦いの流れ……」
「ああ。ヴィヴィオ、お前の技は確かに速いし鋭い。だけど、技が素直すぎる。だからこんなにも簡単に俺に勝負の流れを掴まれた」
俺はヴィヴィオに手刀を食らわせる場面で映像を止める。
「だけどもしこの時、ヴィヴィオに他にも使える手札があったら?俺の狙いに気付き、技を使う事を止めていたら?……勝負はまだ分からなかった。だからこその弱点の克服と、技の改良だ」
俺はヴィヴィオに告げる。
「ヴィヴィオ……今のお前の弱点、それは戦い方がバカ正直で真っ直ぐ過ぎる事だ。いくら攻撃が速く、鋭くても、攻撃が読みやすいから、反撃やカウンターを受けやすいんだ。だからお前は戦いの駆け引き、兵法を学べ。相手の弱点を見抜き、自分に有利な状況を意図的に作り出すんだ」
「戦いの駆け引き……自分に有利な状況……」
「ああ。相手の心理を読み、裏をかく。相手の弱い部分を突く。相手の動きを封じる。戦いの準備を重視する。臨機応変に対応する。これらも立派な兵法だ」
「兵法……」
「ああ。それらを自然と出来るようになれば、俺がさっきやった戦いの流れをコントロールする事もいずれ出来る筈だ」
「はい!」
「そして最後に技の改良だが……ヴィヴィオ、あのジャブフリッカー……左だけしか使えないのか?」
「えっと……はい。今のところは左でしか使えません。私、右利きなので」
「そうか。なら、右でも使えるようにするぞ。後は決め技の、確かエクシードスマッシュだったか……あれ、左でも打てるようにするぞ」
「えっと……つまり、両腕で攻撃出来るように特訓するって事ですか?」
「ああ。攻撃の手札は多いに越した事はないからな」
そして、俺はヴィヴィオに真っ直ぐ告げた。
「やる事は多いぞ、ヴィヴィオ。だけど弱点を克服し、改良した技を自由自在に使えるようになれば、お前はもう一段階さらに強くなれる。だから気合入れていけよ」
「押忍ッ!」
俺の言葉にヴィヴィオは自らに気合を入れる。
「話はまとまったみたいだね〜」
「きりのいいところでデザートにしよう」
すると、なのはさんとフェイトさんがフルーツババロアを持ってやって来た。
どうやら話が終わるまで待ってくれてたらしい。
「あ、すみません」
「いいよいいよ〜。私達も興味深い話だったしね〜」
「うん。私達とは違う視点だから、話を聞いてて面白かったよ」
なのフェイの二人は笑顔で答える。
そして俺達はデザートのフルーツババロアをいただくことに。
物凄く美味しかったです。
まさか大人なのはと、大人フェイトの手作り料理を食べる機会があるとは夢にも思わなかった。
そしてその後、俺はノーヴェさんにコロナの特訓状況の報告をしなければならなかったので、報告ついでにヴィヴィオの特訓をする事になった旨を伝える事に。
案の定、ツッコまれたが俺が考えたヴィヴィオの特訓一覧とその理由を伝えると、なんとか許可をもらえた。
どうやら俺の視点は、他の人達とは違うらしく、ノーヴェさんには新鮮に映るようだ。
そして話も良い所で纏まったので、そろそろ俺はおいとましようとしたのだが……
「ヒエン君、住む所ないなら家に住めば良いよ!!」
なのはさん達にテント暮らしなのがバレてしまったのであった。
ナンテコッタイ。
次回予告。
なのはやフェイト達との任務に嘱託魔導師として同行したり、ヴィヴィオやコロナとの特訓に付き合う主人公であったが、行方不明の仲間達の情報は一向に集まらない。
そんななか、突如として聖王教会に行く事に。
どうやら騎士カリムという女性が主人公に会いたがっているらしい。
そして聖王教会に訪れた主人公であったが……なぜかそこでインターミドル女子世界チャンピオンと鉢合わせた。
では、またく(`・ω・´)