今回、説明回。
コロンが蘇った理由が明らかに。
では、どうぞ( *・ω・)ノ
ヒエンside
ゴゴゴゴゴゴ…………
(か、帰りてえ……)
植物園は異様な空気に包まれていた。
ジィーーーーーー
なぜならここにいる俺を除く全ての面子がこれでもかというほど、俺を見ているのだ。
正確には人間五名と妖精五匹である。
「タ、タイム」
堪らず俺はテーブルに置いてある赤い宝石を掴むと、小声でアンジェ先輩に話しかけた。
「一体何を話せばいいんですか!?」
『落ち着きなさい。貴方が危惧しているのは転生者という存在……そして原作知識があるということがバレないかどうかでしょう?』
「は、はい」
さすがに俺が危惧していることは気付いていたか。本来ならこんな知識を持っているということ自体が異常なのだ。
というのも……どこから情報が漏れるか分からないからだ。
大げさだと思うかもしれないが、実際に俺が神様という存在から力を授かったことも、原作知識いわゆる正史と呼ばれる世界の知識を持っていることも事実なのだ。
普通の人の反応なら何を頭の痛いことを言っているんだ?という反応になるかもしれないが、この世界には常識はずれな存在の奴らがウヨウヨいる。
もしそんな奴らにそれらの知識があることが知られてしまったら?
少しでも可能性がある限り不安はできるだけ取り除いておきたい。それが自分や周りの皆を守ることにも繋がる。
『正確に言えば、転生者という存在について他の人間に語るなという明確な決まりは存在しません』
「な、なぜですか?」
『簡単な話です。話しても誰も信じないからです』
ん?
どういうことだ?
『いいですか?そもそも転生者というのは千年に一度の確率で選ばれます。貴方はグラフ様という神様から選ばれたが故に、転生者となり得ました。ですがそれは本当に特別な場合のみです』
千年に一度……か。想像ではもっといるものと思っていた。よくある小説では踏み台転生者なる者が存在してハーレムを夢見たり、強力な能力で俺Tueeeeeやチートを演じたりする者もいるが……
『ハッキリ言いますと転生者に選ばれるのは比較的穏やかな者ばかりです。当然です。悪しき者がその力を奮えば、世界を破滅させてしまうのですから。私が知っているだけでも貴方をいれて転生者は五人だけですし』
「ご、五人……ってことはあと四人……俺以外にも転生者がいるんですか?」
初耳なんですけど。
『はい。ですが四人ともかなりの個性の塊でして。中には数百年、生きている強者もいます。ヒエン……貴方はその転生者の中でも一番の新人なのです』
「そ、そうなんですか。その四人は全員違う世界出身なんですか?」
『はい。四人とも別々の世界出身です……と話が脱線してしまいましたね。話を戻します。要は転生者……という存在の話をしてもそれを証明する術はありませんし、一般人に話してもたいていの人は信じません。なのでそういった決まりを作る必要性すらなかったのです。ですからヒエン……貴方はそこまで悩む必要はないのですよ?』
うむ。
理屈は分かるのだが。
『それに言いたくなければ、言わなければ良いではないですか』
「へ?」
『貴方は難しく考えすぎです。人は生きていれば、言えない秘密の一つや二つあるものです。貴方の場合は、それが転生者……ということに該当するだけです』
「そんなもんですかね?」
『そうです。そもそも生きとし生ける者、皆一度死んで生まれ変わっています。いわゆる生まれ変わりなのです。そう考えれば、全員転生者といえなくもありません』
「それは極論過ぎませんかねぇ!?」
『貴方にはそれくらいの考えで丁度良いということです。それよりも今はプリキュア達にどう説明するかを考えませんと』
「そ、そうでした」
うーむ。
どう話したものか……。
『ヒエン……いい機会です。ここにいる皆さんに貴方にあった出来事を全て話してはいかがですか?もちろん転生者と原作知識のことは伏せて……ですが』
「え?」
『貴方はこの世界のために砂漠の使徒と戦ってくれるのでしょう?』
「はい。そのつもりですが」
『でしたら全て話してしまいましょう。そして楽になりなさい。貴方がここ最近、悩んでいることはバレているでしょうし、恐らく皆もそれを望んでいると思いますよ?』
「…………」
俺は一度振り返る。
「「「「「…………」」」」」
全員がこちらを真剣な目で見ていた。
『彼女達なら全て受け止めてくれると思いますよ?もちろん貴方の出身世界の者達も』
「…………」
どうやら俺の悩みはアンジェ先輩にはお見通しだったようだ。
俺は難しく考えすぎなのかもしれない。
それにそもそも一緒に戦う仲間なら……全て打ち明けて話した方が精神的にも良い気がする。これから起こる戦いのためにも。
彼女達なら全て受け止めてくれる。
なぜかそれだけは断言できる気がした。
だが一つだけ問題がある。
「あの俺、結構無茶して中学生の女子達には見せられないようなケガとかしたことがあるのですが……というかそんな映像見せたら彼女達の教育に悪いと思うのですが」
『そこは貴方のさじ加減にお任せします』
「了解です」
ふむ。
都合の悪い部分はカットしよう、そうしよう。
◆◆◆
俺は椅子に座り、前方にいる面子に話しかけた。
「え、えー……では話そうと思います」
ゴクリ
誰かがつばを飲み込んだのが分かる。
「…………」
「「「「「………………」」」」」
俺を十個の視線が射抜く。
やばい。
何この圧迫面接……
緊張しすぎて正直何から言えばいいか分からんとです……((((;゜Д゜)))
「あ…………」
「「「「「あ?」」」」」
「アンジェ先輩ヘルプー!!!!」
「「「「「アアアアッッッ!!!!!」」」」」
全員が一気に前へと倒れる。
そこでアンジェ先輩が大声で話しかけてきた。
『なぜいきなりコントになっているのですか!?』
「いや、急にこんなに注目されたら何から話せばいいか分からないじゃないですか!?」
『先程、皆に全て話すと言ったではないですか!?』
「言いましたよ!確かに言いましたよ!!だがそれとこれとは別ですって!!なんか圧迫面接みたいでやたらと変な汗かくんですけど!?」
『貴方は戦いが始まれば嘘みたいに覚悟を決めるのになぜこういった突発的なことには弱いのですか!?』
アンジェ先輩に言われてふと気付く。
「あ、そっか。死ぬ気化すればいいんだ」
そして俺は炎なしで死ぬ気化した。
思考がクリアになり緊張もほどよい感じになる。
「始めからこうすれば良かった」
『はぁ……なぜでしょうか。話す前からかなり疲れてしまいました』
「まぁ、アンジェ先輩……初代プリキュアっていわれてますし、かなりお年ですもんね」
『ヒエン……後で覚悟しておくことです』
「ドウモスイマセンデシタ」
そして気を取り直して話を始める。
俺達のやり取りを苦笑いで見ていた面々は姿勢を正す。
俺は席を立ち説明を始める。
「今、皆が一番気になっているのはコロンがどうやって蘇ったか……だよな?」
俺の言葉に全員が頷く。
それを見た俺は頭の上に現れた相棒にお願いする。
「相棒」
「ガゥ」
そのとき魔法陣から青い宝石が10個現れる。宝石は俺の周りをクルクルと回り続ける。
それを見た女性陣が声をあげる。
「わああ……綺麗な宝石です」
「イヤリングに使えそうっしゅ!」
「た、高そう」
つぼみ、えりか、いつきが興味深そうに見ていた。
「結論から言うとこのジュエルシードの力でコロンを蘇らせた」
「ジュエルシード……ですか?」
つぼみが首を傾げながら聞く。
「ああ。このジュエルシードは強い想いに反応することで力を発揮する。簡単に言えば何でも願いを叶える願望器だ」
「「「「ええぇーーー!?」」」」
全員が驚く。
「だからあのとき、君は僕に身体が欲しいと願えといったんだね?」
「ガゥガゥ」
コロンが頭の上にいる相棒に話しかける。
「だが今回コロンを蘇らせられたのはほぼ奇跡に近い。なぜなら
「魂……」
月影が呟く。
「ああ、考えても見ろ。例えば俺が心臓をナイフで刺されて即死したとする。後日、回復魔法でキズを治癒したとしても目を覚ますことはないだろう。なぜならその身体には、
そう考えるとアリシアはずっと仮死状態であったからこそ蘇生することができた。
あれもほぼ奇跡のようなものだ。
プレシアがアリシアの身体をずっと大切に保管していたからこそ、成功したのだから。
「このジュエルシードには俺の魔力が十全に入っている。その魔力を媒介にジュエルシードがコロンに身体を受肉させたって訳だ。そう考えると蘇らせた……とはまた違うな。復活させたと言った方が正しいか」
俺はジュエルシードを確認する。
10個とも魔力がスッカラカンになっていた。
どうやらコロンに身体を与えるために貯蔵していた魔力を全部使ってしまったらしい。
「だから今回は、本当に運が良かったんだ。つぼみ達が必死に集めた『こころの種』、コロンの魂を守っていた『こころの大樹』、そのどれか一つでも欠けていたら成功しなかった」
俺はジュエルシードを魔法陣にしまうと再び
「質問いいかしら?」
「どうぞ」
月影が手をあげて質問をしてきた。
「ジュエルシードのことについては分かったわ。コロンが蘇った経緯も。その上で聞かせてくれない?……どうして貴方がそんな物を持っているの?」
「ああ!?そうっしゅ!!あまりの話のスケールの大きさに忘れてたけど……どうしてそんな物をヒエンさんが持ってるの!?」
月影の質問にえりかが大きく声をあげる。
「安心しろ。そのことについてもキッチリ話す」
そこで俺はつぼみ達に声をかける。
「つぼみ、えりか、いつき……俺が時空管理局という所でバイトしてるって話をしたのは覚えてるか?」
「は、はい。ヒエンさんと初めて会った日に話したことですよね」
「覚えてるっしゅ!!」
「確か嘱託魔導師……でしたっけ?」
三人は覚えていたようなので答える。
「その通り。前にも話したと思うが俺は時空管理局という所で嘱託魔導師として働いている。その主な任務の一つが、ロストロギアと呼ばれる……進化しすぎた技術や科学が世界を滅ぼしてしまうほどの……取り残された危険な遺産を回収することだ」
「ロ、ロストロギア……」
つぼみが緊張したように呟く。
「そしてそのロストロギアの一つを……皆はさっき見たぞ?」
「「「「「!?」」」」」
「まぁ、ある事件がきっかけで俺はこのジュエルシードを手にした。次元干渉型のエネルギー結晶体……それがジュエルシードだ。流し込まれた魔力を媒体として次元震を引き起こすことのある危険物。最悪の場合、次元断層さえ引き起こす」
「次元震ですぅ?」
「次元断層ですぅ?」
シプレとコフレが首を傾げる。
「次元震が起これば希望ヶ花市が一瞬で更地に変わるといえば、その恐ろしさが分かるか?」
「「え?」」
「さらにジュエルシード10個が暴走し、次元断層なんてものが起これば、下手すれば地球が壊滅する」
「「「「「ええぇーーー!?」」」」」
皆が驚いたような声を出す。
「あ、でもちゃんと封印してるから暴走することはないぞ?」
「それを早く言ってください!!」
つぼみが大声で抗議する。
若干泣きそうである。
「むう……こんなのまだまだ序の口なんだが」
「心臓が持ちそうにないので早く続きを説明してください!!」
こうして俺は自身の世界の説明をすることになった。
次回も説明回。
主に主人公が関わってきた事件について。
では、また(・∀・)ノ