続き投稿。
では、どうぞ( *・ω・)ノ
ヒエンside
「ここにオレンジジュースあるからな?」
コクリ
金髪の少年は焼きそばをハムハムと食べながら頷く。俺もその隣で座りながらフランクフルトを食べて腹ごしらえをしていた。
そして同時にパンフレットを見ながら、迷子センター又は総合受付を探す。しかし迷子センターは探してもなかったため、そういったものは総合受付になるのかもしれない。
俺は横をチラリと見る。
金髪の少年は焼きそばを食べ終わり、オレンジジュースを飲んでいた。
(一人で闇雲に探すより、放送して呼び出してもらった方がいいよな?たぶん親御さんも必死に探し回ってるだろうし)
とりあえず方針を軽く決めた後、ジュースを飲み終わった少年からゴミを受け取り、袋に入れる。
そして再度少年に話しかけた。
「お腹いっぱいになったか?」
コクリ
少年は頷く。
「少年の名前はなんていうんだ?」
「…………ひかる」
しゃべってくれた。
ちょっと嬉しい(゜▽゜*)
無言だった少年が少しだけだが話してくれたことに俺は感動していた。
「ひかる君か。俺はヒエン。こっちの肩に乗ってるのがヒッツと久遠だ。よろしくな」
「ガゥ」
「く~」
ひかる君は頷く。
この子はあまり喋りたがらない。
もしかしたら会話が苦手な内気な子なのかもしれない。少し大人しいし。
「ひかる君は誰とここに来たんだ?」
「…………お姉ちゃん」
「お姉ちゃんとは、はぐれたのか?」
ひかる君は頷く。
「そうか。とりあえずお姉ちゃん一緒に探すか?」
ひかる君はこちらを不思議そうに見る。恐らく俺がなぜそんなことを言うのか疑問に思っているのだろう。
「君みたいな小さな子を一人にはできないしな。お姉ちゃんが見つかるまでは一緒にいるよ。それにこいつらも君のことが心配みたいだし」
すると相棒と久遠がひかる君をジーっと見つめていた。基本的にお人好しなこいつらのことだ。この子のことが心配で仕方ないのだろう。ぶっちゃけ俺だって心配だし。
ここで見捨てて、もしこの子が誘拐でもされようもんなら大変なことになるのは目に見えている。
すると相棒と久遠がひかる君の両肩に飛び乗った。ひかる君は少しくすぐったそうにしながらも受け入れてくれた。
「じゃあまずは……総合受付探すか」
総合受付で事情を説明して放送でも入れてもらえれば、彼のお姉さんもすぐに見つかるだろう。
俺が立ち上がったのを見ると、ひかる君も立ち上がる。
「じゃあ行くか、ひかる君」
ひかる君は頷き、歩き出した俺の後ろをトコトコとついてくる。俺はしばらく彼の歩幅に合わせて歩いていたが、どうにも心配になって何度も後ろを振り返ってしまう。
彼は必死に俺の後をついてくる。
だが周りに人が多いため、これではまたはぐれてしまうかもしれない。
少しだけ……子を持つ親の気持ちが分かった気がする。
そしてとうとう見ていられなくなった俺は、彼を持ち上げて肩車した。まだ幼いだけあってやたらと軽かった。
俺が持ち上げると、ひかる君は少し驚く。
「怖いか?」
ひかる君は首を横に振ると、少しだけ笑顔になった。
そして俺は彼を肩車したまま、学院内を歩いていく。
(確か総合受付のある所は、高等部だったはず……)
ここは中等部だから移動しなければならない。
俺は高等部の方へさっそく向かおうとした……のだが、ひかる君が俺の頭をポンポンと叩いた。
「どうした?」
するとひかる君が中等部の校舎の中を指で差す。
「もしかして中を見たいのか?」
ひかる君は頷く。
中の展示会などが気になるらしい。
(正直、見ている余裕はないんだが……)
だが幼い金髪の少年はジーっとこちらを見る。
「はぁ、しゃーない。少しだけだぞ?」
コクリ
ひかる君は頷く。
そして俺達は中等部の校舎へと入っていった。
ヒエンside end
◆◆◆
第三者side
明堂学園の学園祭に遊びに来た九条ひかりは焦っていた。
出店でりんごあめを買うために少し目を離した瞬間に……弟のひかるがいなくなっていたのだ。
「ひかるー!ひかるー!?」
ひかりは必死に探し回るが、ひかるは見つからない。一緒に遊びに来ていた先輩の
そのとき……
「ひかりさん?」
ひかりはその声に反応する。
「ま、舞さん!?」
そのとき同じく明堂学園の学園祭に遊びに来ていた
彼女とは
舞は笑顔で穏やかに話しかける。
「久しぶり。それよりどうかしたの?なんだか随分慌てているみたいだけど」
「お久しぶりです。それが……実は弟とはぐれてしまって」
「た、たいへん……弟さんの名前はなんていうの?」
「名前はひかるといって、金髪の5歳の男の子なんですが……そうだ。舞さんはひかるをどこかで見かけませんでしたか?」
「ご、ごめんなさい。私は見かけてないわ。それらしき男の子も見かけてないし……」
「そ、そうですか……」
ひかりは目に見えて落ち込む。その様子を見た舞はウンと頷く。
何やら決めた様である。
「安心してひかりさん。私もひかる君を探すの手伝うわ」
「え、で、でも……咲さんも一緒なんじゃ?」
「咲なら今、出店の料理の食べ歩きをしてるから大丈夫よ?合流するまで、まだまだ時間はあるし」
「すいません。ありがとうございます」
「じゃあ手分けして探しましょうか。ひかりさんは今までどこを探してたの?」
「はい。なぎささんと、ほのかさんが出店周りを探してくれているので……私はこの高等部の方を回ってました」
「じゃあ私は中等部の方を探すわ。見つけたら連絡するわね」
「はい。ありがとうございます」
そして二人は別れてひかるを探し始めたのだった。
第三者side end
◆◆◆
ヒエンside
俺達は今、美術部を見学していた。
美術部の中はクオリティーが高い絵ばかりであった。
だが俺達の目を引いたのは別の物であった。それはある一つのマンガであった。看板にはこう書かれていた。
『ハートキャッチプリキュア!新刊発売!!』
(この世界の……ハートキャッチプリキュアのマンガだと!?)
レア物なんてものじゃない。
恐らく
頭の上にいるひかる君も興味津々で見ている。
それを一人の学生が配っていた。
ただしその目から放たれる威圧感が半端なかったが……。例えると、まるで番長に睨まれたような気分である。
周りのお客さんや生徒さん達は、番長少年が怖いのか別の部員から受け取っていた。
だが俺は違う。
いくらあの番長少年の威圧感が凄かろうと……
目のハイライトが消えた女王つぼみや、魔王なのはの迫力に比べれば……
屁でもないわ!!Σ(゜Д゜)
あの目のハイライトが消えた二人を前にすると、なぜかゴゴゴゴゴという効果音が聴こえてくるんだぞ。
そして俺は番長少年の前にいき、言った。
「俺の分とこの子の分……二冊下さい」
「!?」
すると番長少年は目を見開き驚く。
え?
なんでそんなに驚くの?
俺なんか変なこと言った?
「ありがとうございます!!」
番長少年からお礼を言われつつ二冊もらった。
さっそく読んでみる。
「…………」
やべぇ。
チョー面白いんですけど。
ストーリーはハートキャッチプリキュアの三人が敵と戦うのが主なんだけど、日常編では笑いあり、涙あり、友情あり、恋愛ありといった青春物のマンガとなっていた。だが残念ながら少しだけ物足りない部分があった。
「キュアムーンライトは出てないのか……」
そう。
四人目のプリキュア……キュアムーンライトが出ていなかったのだ。彼女が出ていればもっと面白くなると思うのだが……
「そこのお兄さん!」
「ふぁ?」
すると先ほどのマンガを渡してくれた番長少年が声をかけてきた。というかこの少年……背高いな。俺より10cmは高いんじゃね?
「貴方、キュアムーンライトを知ってるんですか!?」
「ま、まあ何度か見たことあるし」
知ってるも何も共闘したことあるんだけどね?
「お願いです!キュアムーンライトについて知ってることを教えて下さい!!俺、まだ数回しか見たことなくて……マンガにしようにも情報が足りないんです!!」
「ああ、なるほど」
ムーンライトは復活してまだ一週間も経っていない。情報が足りないのも無理はないだろう。
よし!
ならばこの俺がキュアムーンライトについて、この少年に全力で教えてやろうではないか!!
「ちょっと紙とペン貸してもらってもいい?」
「はい、どうぞ」
番長少年からペンと紙を受けとると、俺はキュアムーンライトが混ざったハートキャッチプリキュアの面々の全体図を書く。
それだけでなく、ムーンライトの服装……戦ってるシーン……武器……決めゼリフなど分かっていることを全て書く。
サラサラサラサラ
それらを軽く書くと番長少年に渡す。
フハハハハハ(゜▽゜*)
我ながらうまくかけた。
暇さえあれば、日々教科書に落書きしていた俺からしてみれば、絵を書くなど朝飯前よ。
特にムーンライトの決めゼリフを言っているポーズの部分は無駄に凝ってみた。
背景はもちろん月光である。
「…………」
するとそれを見た番長少年は紙を持ってワナワナと震え……俺をキッと睨み付けた。
ビクッ
あまりにもビックリしすぎてちょっとビクッってなったんですけど。上にいるひかる君と相棒&久遠もちょっと震えてるんですけど。
「な、なんて鮮やかなペンタッチなんだ……それに加えてキャラクターの表情もイキイキしている。まるで直接見てきた……いや、記憶に焼き付けられてるみたいだ!!」
うん。
間違ってないよ。
実際に記憶に焼き付けられてるし。
「あ、あの!俺、番ケンジっていいます!お兄さんに折り入ってお願いがあるんです!!」
うん?
番ケンジ?
「もしかして……君がつぼみの言ってた漫画家志望の……」
っていうかこの子……確か原作でも何回か出てたような?最近、記憶を調べてないから分からんが。
というかこの番少年、物凄くエエ声である。例を出せば、鬼の手を持つ正義の霊能力者先生と同じ声である。
「花咲を知ってるんですか?」
「いや知ってるも何も俺、花咲家に居候させてもらっててね。二ヶ月前からお世話になってるんだ」
「そうだったんですか!?じゃあお兄さんが花咲の言ってたヒエンさんなんですか?」
「あ、ああ。つぼみがどういってるかは知らないけど……そのヒエンです。どうぞよろしく」
「よ、よろしくお願いします」
番少年が頭を下げる。
この子、礼儀正しくていい子だな。
「それでお願いってなんなんだ番少年?」
「あの……俺に絵の指導をしてもらえませんか!?」
「はい?指導?」
え?
マジで言ってる?
ちょっと落書きしただけのド素人に指導しろと?
「無茶なことを言っているのは分かってます。ですがヒエンさんは俺にはない技術を持ってるんです。滑らかなペンタッチ……柔らかなキャラクターの表情……リアリティーが増している文字や背景の見事な使い方……貴方は俺が持っていないテクニックを持ってるんです!!」
なん……だ……と?
俺にそんな高等テクニックがあったというのか!?ただ学校の休み時間に趣味でマンガを書いていただけなのだが。
確かに何度か絵をうまく書きたいから有名作者さんのマンガを何度も写したりしたことはあったけど……だがそれは気が向いたら書いてただけなんだが。
リニスの地獄の特訓から……どうにか現実逃避したくて趣味で始めただけだしorz
でもまぁ、引き受けたからって困る訳ではないし……別にいっか。
「ま、まあ俺なんかで良ければ……ただ絵の書き方の指導なんてしたことないから……正直よく分からんぞ?」
「大丈夫です。そこらへんは俺に任せてください!!」
「そ、そうか。まあ、これからよろしく頼むよ」
「よろしくお願いします!師匠!!」
ドガアアアァァァン!!!!!!
そのとき俺に
し、師匠……なんて……なんて……甘美な響きなんだ!!
そして気づけば俺は声を出していた。
「任せろ番少年!俺が持つテクニック全てお前に叩き込んでやる!!安心してついてこい弟子よ!!!!」
「はい!お供します師匠!!」
と番少年と肩を組んで意気投合した。そして俺達は携帯番号を交換した。指導する日は後日空いてる日にするということになった。
こうして俺に新しく弟子ができた。
そして数分経って気付く。
どうやらかなり目立っていたらしい。
俺は周囲に頭を下げる。
皆さん苦笑いしながら許してくれた。
良かった良かった。あ、そうだ。
そういえば迷子対応とか総合受付でしてるのか番少年に聞いてみよう。この子色々知ってそうだし。
「なあ番少年……少し聞きたいことがあるんだが」
「はい。なんでしょう?」
「実はこの子……ひかる君って言って、お姉さんとはぐれちゃったみたいなんだけどさ。高等部にある総合受付にいけばなんとかしてくれるかな?」
「はい。確か生徒会が対応しているはずなので、放送室で呼び掛けてくれるはずです」
「そうなのか」
じゃあそこまで行ってみるか。
「サンキュー番少年。とりあえず総合受付まで行ってみるわ」
「はい!お気をつけて!!」
「おーう。じゃあいくぞ、ひかる君」
コクリ
ひかる君が頷いたのを見ると俺は出口へと向かう。
そのとき……
「あ、あの!」
「ん?」
そのとき肩をポンと叩かれる。
俺は後ろを向く。
そこには黒みがかった髪のお団子ヘアーの女の子がいた。
そう。
この出会いが……この世界で俺がつぼみ達ハートキャッチプリキュア以外のプリキュアとの……初めての邂逅であった。
なんかこんな展開になってもうた。
やっと邂逅しました。
では、また(・∀・)ノ