大空の炎の力を操る転生者   作:Gussan0

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どうも
最近は、ドラゴンボールにはまってます。
破壊神編面白い(゜▽゜*)


第五話 接触

俺は今焦っていた。

 

その原因は、現在ブランコに座っている幼き栗色の髪のツインテールの少女。

 

魔法少女リリカルなのはの主人公、高町なのはである。

 

まさかこんなところで原作キャラ、それも主人公と遭遇するとは予想していなかった。

 

なのはは、9歳のとき魔法と出会う。だが見たところ彼女の年齢はそれより幼く見える。恐らく5、6歳だろうか?

 

というよりもうすぐ18時になるぞ。そろそろ帰らなくていいのか?それに気のせいじゃなければ、なんだか悲しそうな雰囲気が漂ってるんだが…

 

とここで俺は彼女の重要なエピソードを思い出す。

 

それは確かアニメで見たのだが、ある時アースラで、なのはとユーノがお互いに自分の家族のことについて話しているシーンがあった。

 

ユーノは自分には両親はいないがスクライアの一族が自分を育ててくれたことをなのはに話していた。

 

そしてなのはも自分の過去について話すのである。

 

かつて父が大怪我をしてしまい、入院暮らしとなったことから家族が忙しくなり、広い家の中で孤独な幼少期を過ごしていたということを。

 

そのときにこう言っていたのだ。

 

 

『ひとりぼっちにはなれてるから』

 

 

恐らくその孤独な幼少期というのが今なのだろう。

 

なのはは、性格は穏やかで誰にでも好かれる明るい少女である。

 

だが嫌われたり、迷惑をかけることを恐れているためか、そういう少女を演じている部分もある。

 

恐らくこう思ったのだ。

 

家族の皆に迷惑をかけたくない。だから自分は良い子でなければならない。

 

小さい彼女ながら一生懸命考えたのだろう。それが彼女なりの自分で出した答えだったのだ。

 

だが幼少期とは人間が人格を形成する上で大切な時期でもある。

 

彼女は家で一人ぼっちのことが多かった。だからその事が人格を形成するうえで少なからず影響したのだろう。

 

そしてそこまで考えたとき俺は思った。

 

 

 

なんとかしてあげたい。

 

 

 

俺は彼女が悩んでいた事を知っている。とはいっても一方的にではあるが…それも画面を通して。

 

これが同情からきているのか、それとも単に放っておけないだけなのか自分でもその気持ちは正直分からない。

 

だけど確かに思ったのだ。この子を助けてあげたいと。なんとかしてあげたいと。それは他ならぬ俺自身の意志だ。

 

だが他人の俺にできる事などほとんどないだろう。いやむしろ高町家の問題なのだから関係すらない。

 

 

 

だけど…

 

 

 

だからこそ…

 

 

 

他人だからこそ…

 

 

 

できることもあるはずだ。

 

 

 

◆◆◆

 

 

 

はい。

 

さっきは勢いよくカッコつけて何かやり遂げるみたいな空気醸し出してましたが、大事なことを忘れていました。

 

 

 

どうやって話しかけよう!?

 

 

 

なぜかヒッツから呆れたような思念が送られてくる…

 

やめて相棒!

そんな目で俺を見ないで!

なんか惨めになってくるから!!

 

落ち着け。

冷静に考えろ俺。

 

とりあえずなのはに気付かれないように、公園の入り口でなおかつ他の人に怪しい奴だと思われないように携帯をいじろう。

 

いかにも誰かと待ち合わせしてますよ!という空気を出すんだ俺!!

 

なんとか思い付く限り作戦をひねり出す!!

 

 

作戦①

とりあえず話しかける

 

うん。

あかんね。

今の精神状態じゃ一発で警戒されるか泣かれるかのどっちかだね。下手すれば高町家全員に半殺しにされるので却下。

 

 

作戦②

お父さんは大丈夫だよ!と励ます

 

うん。

いきなり知らない人からそんなこと言われても意味が分からない。なので却下。

 

 

作戦③

お菓子で釣る

 

うん。

とりあえず誘拐みたいな感じがするので却下。

 

 

作戦④

ヒッツを先に行かせて警戒を解かせる

 

これ案外いけるんじゃね?

 

ヒッツを先に行かせて、後から俺がいかにも勝手にいなくなったペットを探しにきたみたいな感じで行けば自然に会話できる!…はず。

 

よし、とりあえず作戦は決まった。

 

 

「いくぞ相棒!名付けて『ヒッツモフモフなのはちゃんと友達になろう大作戦!』だ」

 

 

「ガウゥ~」

 

 

相棒からそのネーミングセンスはどうなのさ?みたいな思念が送られてきた。

 

うん。

気にするな相棒。

 

 

 

ヒエンside end

 

◆◆◆

 

なのはside

 

 

 

その日、なのはは母・桃子、兄・恭也、姉・美由希の前では元気なように振る舞い、公園へと遊びに出掛けた。

 

しかし公園にやってきたはいいものの人見知りな彼女は同い年の子達に話しかけられずにいた。

 

始めは滑り台や、ジャングルジムなどで一人で遊んでいたがすぐに飽きてしまい、最終的に落ち着いたのはブランコであった。

 

なのははそれから、ブランコに座りながら公園で遊ぶ子供たちをジーっと見ていた。

 

楽しそうに遊ぶ子供たち。夕暮れになり迎えにくるその子達の両親。一緒に手を繋いで笑いながら帰っていった。

 

そして彼女一人だけが公園に残る。

 

 

「……………」

 

 

「……………ぐすっ」

 

 

「うっうっうっ…………」

 

 

「さみしいよぉ………」

 

 

公園内になのはの泣き声が小さく響く…

 

 

なのはは基本的に家族の前では何でもないように振る舞う。

 

彼女は小さいながら、聡明な子であった。彼女の父、高町士郎が仕事中の事故で大ケガを負ってしまい入院生活に入ったことから、高町家では家族の余裕がなくなってしまった。

 

母・桃子は『翠屋』の営業に夫・士郎の看病、息子の恭也と娘の美由希も母を支えるために学校から帰ってからずっと店の手伝いをして、父の看病もローテーションでしている状態であった。

 

そのことを幼きながらぼんやりと理解していた高町家の末っ娘なのはは、家族に迷惑をかけないために日頃感じる寂しさを我慢していた。

 

だが公園で一人になったときに、その寂しさがぶりかえし、泣いてしまったのである。

 

だが、そんな彼女に近づく一つの影が。

 

 

「ガウガウ~」

 

 

「ふぇ?」

 

 

なのはがふと地面を見るとオレンジの子猫が一匹いた。その子猫はなのはの足下まで来ると、その小さな体をなのはの体に押し付け始めた。

 

 

「なぐさめてくれるの?」

 

 

「ガウゥ~」

 

 

子猫は反応する。

 

 

「えへへ。かわいい~」

 

 

なのはは少し笑顔になりながら子猫の頭を軽く撫でる。子猫は気持ち良さそうに目を細めた。

 

 

 

そのとき……

 

 

 

「お~い、ヒッツ~どこいった~?」

 

 

 

なのはの前に一人の少年が現れる。

 

 

 

転生者大空氷炎と、主人公高町なのはが初めて邂逅した。

 

 

 

なのはside end

 

◆◆◆

 

ヒエンside

 

 

 

俺はヒッツを探しているふりをしながら、なのはへと近づいていく。

 

ハッキリ言って胃がメチャクチャ痛い。

 

 

「あ、ヒッツここにいたのか。ダメだろ勝手にいなくなっちゃ。あ、ごめんね。なんかうちの猫が…」

 

 

俺は意を決して、なのはに話しかける。内心かなり緊張してます!!

 

 

「ううん、このこはなのはのことなぐさめてくれたから」

 

 

うおおおお~

田村ゆ〇りさんボイスキター!!!

俺は心は熱く、表情は普通に話す。

 

 

「そうなんだ。あ、そういえば自己紹介がまだだったね。俺はヒエン、大空氷炎。でこっちがペットのヒッツ」

 

 

「ガウガウ~」

 

 

ヒッツがヨロシクね~といった具合で鳴く。

 

 

「………なのは。たかまちなのはなの」

 

 

「なのはちゃんか。いい名前だね」

 

 

「……ありがとう」

 

 

落ち着け俺。

とりあえず自然に会話するように心がけるんだ!

 

 

「そういえばなのはちゃんは、帰らなくていいの?もうすぐ18時になるけど…」

 

 

「………いまはかえりたくないの」

 

 

「そっか」

 

 

さて、どうするか。

こういうデリケートな話題はあまり聞きすぎるのはよくない。ましてや俺は今この子と知り合ったばかりで信頼など一欠片もない。

 

なので方針を変えることにする。

 

 

「じゃあ俺ももう少しいようかな?」

 

 

「ふぇ?」

 

 

「ほら、ヒッツもなのはちゃんのこと気に入ってるみたいだし」

 

 

「あ……うん!」

 

 

なのはは少しばかり笑顔になった。

 

やっと笑ってくれたな…

 

なのはにヒッツを預け俺は話し出す。

 

 

「俺さ、三週間前にここに引っ越してきたばかりでさ…」

 

 

「そうなの?」

 

 

「うん。俺少し前まで外国で暮らしててね、日本に戻ってきたのは十年ぶりくらいかな?」

 

 

「ふええええ~すごいの~がいこくってどこにすんでたの?」

 

 

なのはさん、外国と聞いてかなり目を輝かせてらっしゃる。

 

 

「うん。アメリカのニューヨークってところ。それで久しぶりに戻ってきたんだけど俺、ほとんど日本のこと覚えてなくてさ、ちょっと怖かったんだよね」

 

 

確かに前世の記憶が戻る前の俺は、少しばかりビクビクしていた。まあ今は記憶取り戻して普通ですけど。なんせ前世は普通に社会人やってたからね。ビクビクしてたら飯は食っていけないので!!

 

 

「こわかったの…?」

 

 

「ああ、初めていく場所、初めての人。想像するだけで不安になっちゃってさ。おかしいだろ?俺、今年もう15歳になるのにさ。しかも男なのに」

 

 

「ううん、そんなことないの。こわいっておもうのはだれだっておんなじだとおもうの」

 

 

ふむ。

なのはの反応が段々よくなってきたような気がする。

 

相手の警戒を解くには自分の過去を話すのが一番だ。

 

なぜなら自分から相手にさらけ出すことで自分は安全ですよ、危害はくわえませんよという意思表示にもなるのだ。

 

 

「そうかな?なんかありがとね。こんな話聞いてもらっちゃって。なんかなのはちゃん話しやすくて」

 

 

「ううん、ぜんぜんだいじょうぶなの!」

 

 

俺の台詞を聞いたなのはは、更に目を輝かせる。はて、何か特別なことを言っただろうか?

 

だが今ならいける気がする。

 

ここで俺は一つの賭けに出ることにする。

 

 

「あのさ、なのはちゃん」

 

 

「なあに?」

 

 

「俺と…友達になってくれない?」

 

 

「………なのはと?」

 

 

「うん、俺情けないことに知り合いが一人もいなくてさ、ここで知り合ったのも何かの縁だし……どうかなあって?別に嫌なら全然断ってくれてかまわ「そんなことないのっ!!」………っへ?」

 

 

「わたしもヒエンくんとともだちになりたいの!」

 

 

なのはのいきなりの大きな声に俺は思わず間の抜けた声を出してしまった。

 

 

「お、おお…なんというかその、よろしくお願いします」

 

 

「うん、よろしくねヒエンくん!」

 

 

「ガウガウ~」

 

 

俺となのははお互いに笑顔になりながら挨拶し合った。

 

こうして俺は高町なのはと友達になることに成功した。

 

 

 

◆◆◆

 

 

 

なのはと友達になることに成功した俺だが、すっかり話し込んでしまったため外はそろそろ暗くなってきた。

 

なので俺はなのはを家まで送ることにした。

 

 

「なのはちゃん、家まで送ってくよ」

 

 

「ふぇ?ここからちかいからぜんぜんだいじょうぶだよ?」

 

 

「まあそれでも何かあったら大変だし、送ってくよ」

 

 

「にゃはは、ありがとう~」

 

 

なのはは嬉しいのか、照れながら笑う。

 

うん。

かわいいなこのやろうΣ(゜Д゜)

 

言っておくが俺は断じてロリコンではない!

 

ただなのはが心配なだけである。

 

そして俺達は歩き出す。しかし5分ほど歩いたところで、なのはの家についた。

 

そして俺はなのはの家のデカさに普通に驚いていた。

 

アニメで何度か見たことはあったけど、実際に見るのとは全く違うんだなやっぱり。

 

そして俺たちは門の前で話す。

 

 

「おくってくれてありがとう」

 

 

「どういたしまして」

 

 

「あの、ヒエンくん」

 

 

「ん?どうかした?」

 

 

「あした、またあえる?」

 

 

「うん。大丈夫」

 

 

「じゃああした13時にこうえんにきてほしいの!」

 

 

「了解。ヒッツも連れてくよ」

 

 

「うん!」

 

 

こうして俺達は明日も会う約束をして別れるのだった。

 

 

 

ヒエンside end

 

◆◆◆

 

なのはside

 

 

 

その日、高町家では家族全員がなのはの様子を不思議そうに見ていた。

 

いつもは何かこちらの気を使っているような笑みをしているなのはであったが、今は何か嬉しいことがあったのかニコニコしている。

 

 

「なのは、何かいいことでもあったの?」

 

 

ここで美由希が話しかける。

 

 

「ふぇ?どうして?」

 

 

「なんか嬉しそうだから?」

 

 

「にゃははは。ひみつ~」

 

 

「え~。ほら私のコロッケちょっと分けてあげるから教えてよなのは~」

 

 

「だめ~ひみつ~」

 

 

なのはは楽しそうな笑みを浮かべながら美由希の質問をかわす。

 

その様子を桃子と、恭也は優しく見守っていた。

 

久しぶりに温かな雰囲気に包まれた高町家なのであった。

 




まだまだ先は長いなorz
まあ気楽にやってきます~。

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