大空の炎の力を操る転生者   作:Gussan0

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どうも(゜▽゜*)

学祭編これにて終了。

では、どうぞ( *・ω・)ノ


第百七十五話 心の花を守る伝説の戦士XLVII

ヒエンside

 

 

 

「「…………」」

 

 

「…………」

 

 

俺は前にいる二人の少女と向き合っていた。

 

二人が少し戸惑いながらこちらを見ていたが俺は声をかけた。とりあえず時間がないのである。

 

 

「あー……歩きながらでいいか?そろそろファッションショー始まるみたいだし」

 

 

「「あ、すいません!」」

 

 

そして俺、舞さん、ひかりさん、ひかるくんが歩く。引き続き相棒と久遠は二人に預かってもらっている。

 

そこで俺は二人に聞きたいことを聞くことにした。

 

 

「二人とも……もしかしてあの戦い、見てたのか?」

 

 

「「はい……」」

 

 

ということは俺がもう普通じゃない存在だということは分かっているか。よくよく考えればあんな怪物が出たら普通は逃げるわな。

 

魔導師になって軽く二年半になるが異形の怪物と戦うのは、なんだかんだいいつつ慣れているからな。

 

俺はさらに聞く。

 

 

「すまん。もう一つだけ。君達の他にあの戦いを見てる人はいたか?例えばあの体育館にいた一般人とか」

 

 

「えっと……実はあのあと体育館にいた人達、私達も含めて全員校門前に避難させられたので……」

 

 

()()()()()……誰も見てません」

 

 

「なるほど」

 

 

つまり俺がプリキュアと共に戦ってるところを見てる人はいないと見ていいか。

 

とりあえず歩きながら続きを話そうとするが、体育館についてしまった。

 

 

「申し訳ない。話の続きはまた後でな。二人とも今は学園祭を楽しんでくれ。俺は準備しないといけないからもう行くな?」

 

 

「「は、はい」」

 

 

二人とも何か言いたげな表情であったが申し訳ないと思いながらも俺は体育館の端を通ってステージ横へと行く。そこにはファッション部の部員が既にいた。

 

先に気付いたのはももかだった。

 

 

「あ、ヒエちゃん!」

 

 

「ヒエちゃんやめて」

 

 

そして抱き付いてきた。

もう君、俺のこと同性としか思ってないよね?

 

 

「起きて大丈夫なんですか?」

 

 

「ん?ああ、大丈夫」

 

 

「声は女の人のままなんですね……」

 

 

つぼみが苦笑いしながら言ってくる。

 

いやだって……声あのままだとバレるじゃない?主につぼみのお母さん達に……無駄な抵抗かもしれんが。

 

すると今度はファッション部の子達が寄ってきた。

 

 

「噂じゃプリキュアと一緒に戦ってたって聞きました!」

 

 

「それは根も葉もない噂です」

 

 

あの二人の話じゃ、避難した人は校門前に避難してたらしいから目撃者はいないと思うんだよね。

 

 

「ステージ上での華麗な戦いは見事でした!」

 

 

「ありがとうございます」

 

 

あれは咄嗟だったから。

 

 

「あれでファンになった人も多いんですよ?」

 

 

「ありがたい限りです」

 

 

ですが中身はただの野郎です。

 

 

「皆、プリキュアだっていってますけど本当ですか?」

 

 

「あり得ません」

 

 

この辺は有耶無耶にするしかない。

コブラージャに名乗ってしまったものの……敵で知っているのは奴のみ。いや、砂漠の使徒には既に広まっているだろうが。

 

だがヒエちゃんもとい、キュアヒートは本日限りで終了させてもらう。

 

プリキュア(仮)は終わりである。

 

 

『これよりファッション部と軽音楽部によるファッションショーを開催します!!』

 

 

『『『『『イエエェェェーーーーーーーーーイイイイイ!!!!!!』』』』』

 

 

するとそんな声が聞こえてきた。

 

 

「もう始まるのか」

 

 

俺はカーテン横からソッと覗きこむ。

 

軽音楽部の演奏が始まり、ボーカルの二人が歌い始める。スポットライトがステージを照らし本格的なライブが始まる。

 

そしてそれに伴い、観客達のテンションも最高潮になる。

 

 

「…………」

 

 

それを陰で見てた俺は思った。

 

どう見ても学園祭のレベルを越えている。

 

ファッションショーのステージはパリコレなどで行われるランウェイみたいだし、ステージもプロのグループが歌うような本格的な設備だ。

 

何より軽音楽部の演奏がプロ級に上手い。ボーカルの二人なんて歌が本物の歌手と遜色ない。というかこの上手さで皆の前で歌うのが怖かったのか。

 

 

(それにこの歌……ハートキャッチプリキュアの最終決戦の挿入歌じゃないか)

 

 

ハートキャッチプリキュアの最終決戦とは原作知識でいう第48話で流れる挿入歌だ。

 

惑星城と呼ばれる城にて砂漠の王デューンと対決する時に流れる曲である。その曲の完成度と、ハートキャッチプリキュアの面々とデューンの戦闘シーンは見事にマッチしていたので見応えがあったのを覚えている。

 

まぁ、最近は色々ありすぎて前世の記憶を遡っていないので時間があるときにまた相棒の中に記録されている記憶データを調べなければならない。

 

だが相棒も相棒で忙しく動き回っている。また俺の心の中で何かしているらしい。なんでもさらに居心地よくするためにミニッツ達と色々改造しているんだとか。

 

ただいまの俺の心の中……精神世界(アンダーワールド)は、相棒によってリビングに倉庫、台所、トイレ、お風呂、ミニッツ達の個室まで完備しているとか。

 

完全にシェアハウスじゃねえかこの野郎。もし名前をつけるとしたら俺の心の中の家だから『ヒエンハウス』か?

 

そういえば某赤い弓兵の固有結界の心象風景は剣の丘らしい。名前だって『無限の剣製―UNLIMITED BLADE WORKS』である。

 

そう考えれば俺の心象風景は、シェアハウスということになる。文字にすれば『氷炎の家―HIEN HOUSE』である。

 

剣の丘と一軒家……なんだこの絶望的な差はorz

 

それに最近気付いたのだが、俺の中にいるこの小ライオンはデバイスの域をかなり超えている気がする。一種のロストロギアといっても過言ではない。

 

常識的に考えて記憶を探るなんて普通できないよね。まぁ、神様見習いが作ってくれたんだから常識はずれなのは仕方ないか。

 

さて、現実逃避はこれくらいにしてもうそろそろ行かなければならないらしい。

 

そう考えると足が無性に震えてきた。

 

だぁああああああ!!

やっぱり行きたくなああぁぁいい!!

 

すると心の中にいる相棒から『あのときいけたでしょー?』との思念がきた。

 

あのときはテンションがハイになってたからいけたんだよこの野郎。やっぱり上がり症にはきつい。だが行くしかない。

 

最終手段として……死ぬ気化していくという手もあったが今回はそれに頼らずいこうと思ったのだ。

 

 

「頑張ってヒエちゃん!皆で一緒に行ってあげるから!!」

 

 

そのときももかが、ステージ横で座って震えている俺に声をかける。

 

あれ?

お前さんステージ歩いてなかったっけ?

 

俺は周囲を見るとつぼみ、えりか、いつき、月影がこちらを心配そうに見つめていることに気付く。

 

どうやら俺が考え事をしている最中に全員一巡していたらしい。残りは俺だけの様だ。

 

俺は目を閉じて深呼吸した。

 

 

「スゥーハァー……よし行くか!」

 

 

そして覚悟を決めてステージへと歩いていった。

 

 

 

◆◆◆

 

 

 

結論を言えばファッションショーは大成功であった。というか途中から緊張しすぎてよく覚えてない。

 

ぎこちない笑顔でももか達に支えられながら歩いたり、「ヒエちゃーん!!」「ヒエ様ー!!」「ヒエお姉さまー!!」と大きな声で呼ばれていたのはかろうじて覚えている。

 

気付いたら終わっており、皆と手を繋いで万歳していた。

 

そしてショーが終わった後、俺は着替え、化粧も落としてから中庭のベンチでいつきと月影と共にボーッとしていた。

 

ももかは仕事の連絡がきたらしく今は席を外している。売れっ子モデルはやはり忙しいのだろう。

 

つぼみとえりかも席を外している。つぼみから「紹介したい人達がいるのでここで待っていて下さい!」と言われたので、現在待っている次第である。

 

完全にオールスターズの皆さんですね分かります。今は皆に事情説明でもしているのだろう。

 

時間は18:30になっており、そろそろ暗くなってきている。出店も徐々に閉まってきていた。

 

 

「いつきー、ゆりさんー、ヒエンさんー」

 

 

そのとき遠くからつぼみが手を振ってこちらにやってくる。その後ろには、えりかとオースターズの皆さんがいた。

 

 

「お待たせしました!ヒエンさんはもう皆さんと面識はありますよね。いつき、ゆりさんは初めましてですね」

 

 

つぼみが何やらテンション高めに話す。

 

そしてオールスターズがいつきと月影に自己紹介していた。俺はもうすでにしたからいい。

 

 

「皆さん初めまして!明堂院いつきです!!」

 

 

「月影ゆりよ。よろしくね」

 

 

いつきと月影も自己紹介していた。俺はもうすでにしたからいい。

 

そしてある程度自己紹介が終わると、えりかがいきなりテンション高めに話し出した。

 

 

「ふっふっふ。さあ、簡単な自己紹介も終わったところで本日のメインイベントの発表といきましょう!三人とも驚いちゃダメだよ!つぼみ!」

 

 

「はい!」

 

 

「「なんとここにいる皆は!せぇーの……」」

 

 

おい二人とも、後ろのオールスターズの皆が苦笑いしているぞ。

 

 

「「先輩プリキュアなんです(だよ)!!」」

 

 

「えぇ!?」

 

 

「驚いたわね……」

 

 

「ヘェェ、ソウナンダー」

 

 

いつき、月影は驚いているが元から知っていた俺としては驚くフリをするのが大変な次第である。案の定、俺の様子につぼみが気付く。

 

 

「ヒエンさんはあんまり驚いてませんね。なんだか棒読みですし」

 

 

「い、いやそんなことないってばよ」

 

 

「なんでそこで某忍者の口癖になってるんですか!?」

 

 

「そこは気にするなよ」

 

 

つぼみの後ろで聞いてたりんさんが突っ込む。無性に多重影分身の術っていってほしい。ゴッドハンドでもいいけど。

 

 

「というかさっきから気になってたんだが……俺が聞いていることに他の皆は驚かないのか?」

 

 

うん。

普通なら突っ込むよね。

 

 

「つぼみさん達と協力して戦っているところを見たらさすがにただ者じゃないって分かりますよ……」

 

 

「ヒエンさん普通にステージの上でも戦ってましたし」

 

 

舞さんとひかりさんが突っ込んでくる。もう遠慮はないようだ。他の皆も頷いてることからそう思われていたようである。

 

すると……

 

 

「そろそろメップル達の紹介もしてほしいメポ!」

 

 

「ミップル達の事を忘れないでほしいミポ……」

 

 

「メップル?」「ミップル?」

 

 

そのときポフンと白い煙があがる。

 

そこには黄色いぬいぐるみと、ピンクのぬいぐるみのような妖精がなぎささんと、ほのかさんの前に出てきた。

 

俺はテンションをあげる。

 

メップルとミップルだあぁぁぁ!!!!

 

軽く説明すると初代のパートナーの妖精である。

 

 

「あ、あんたたち誰かに見られたらどうすんのよ!?」

 

 

「大丈夫メポ!周りに人がいないのは確認済みメポ!」

 

 

「皆来るミポ~」

 

 

すると俺達が座ってるベンチの後ろから妖精らしき小さな物体が多く出てきた。

 

 

ポフンッ

 

 

そしてその物体達は俺達の前で挨拶を始めた。

 

 

「ポルンポポ!」

 

 

「ルルンルル!」

 

 

ポルンは緑色、ルルンはピンク色の小さな赤ちゃん妖精であり、Max Heartチームのひかりさんのパートナーだ。

 

 

「フラッピラピ!」

 

 

「チョッピチョピ!」

 

 

「ムープムプ!」

 

 

「フープププ!」

 

 

フラッピとチョッピはそれぞれSplash Starチームの咲さんと、舞さんのパートナーの妖精である。ムープとフープも二人がパワーアップするために力を貸す妖精である。

 

 

「ココだココ〜」

 

 

「ナッツナツ!」

 

 

「シロップロプ!」

 

 

ココ&ナッツはリスのような外見であるが国王というすごい権力の持ち主である。シロップはオレンジのペンギンのような外見で運び屋をやっている。5gogoチームのパートナー妖精である。

 

 

「キュア~プリプ~!」

 

 

「ワイはタルト!この子はシフォンいいます!よろしゅうたのんますわ!!」

 

 

シフォンは赤ちゃんの妖精であり、超能力や瞬間移動が使えるすごい子である。タルトは関西弁を話すフェレットである。どちらもフレッシュチームの妖精だ。俺としては個人的にタルトとユーノを物凄く会わせたいところである。

 

そしてこれで最後かと思いきや、紫髪の女の子がやってくると……

 

 

「じ、実は私も妖精の……」

 

 

ポンッ

 

 

「ミルクミル!」

 

 

同じく5gogoチームの戦う妖精のプリキュアミルクもいた。もうここまでくると妖精のオンパレードである。

 

 

「どうぞよろしくお願いするココ!」

 

 

妖精を代表してココが頭を下げた。

 

こちらも急いで頭を下げた。

 

そしてそこからいつきが妖精達のかわいさのあまり暴走を起こしたり、月影が高校二年生だと知って皆が驚いていたり、こちらで新しく加わった妖精達ポプリやコロンの自己紹介もしたりなど……楽しくやっていた。

 

俺はそれを出店で買った焼きそばと、フランクフルトをひかるくんと二人でベンチで食べながら見ていた。

 

いやだって女の子のおしゃべりって長くなるのが世の常じゃないですか。その証拠に少し抜けても全然バレなかったよ?

 

するとピンクリーダー四人組の一人、のぞみさんが俺達が食べていることに気付いたのか、声をあげた。

 

 

「あーー!ヒエンさんずるーーい!!」

 

 

「なんでやねん」

 

 

少し腹減ったから焼きそばとフランクフルト食ってただけやん。

 

 

「あ、ヒエンさん!皆さんにヒエンさんのこと軽く紹介してたんですけど大丈夫……だったでしょうか?」

 

 

そこにつぼみがやってきて申し訳なさそうな顔で言ってくるので俺は言った。

 

 

「ええよー」

 

 

「「「「「ダアァァァッ!!」」」」」

 

 

それを聞いていた何名かがこけた。

 

え?

今のところ、こける要素なんかあった?

 

 

「軽すぎるんです!!」

 

 

さすがツッコミ要員こと、りんさんである。なんともボケやすいぜ(゜▽゜*)

 

するとこちらを輝いた目で見ているリーダー四人組の姿があった。

 

 

「「「「あの……魔法使いって本当ですか!?」」」」

 

 

俺はそれに頷く。

 

すると何名か妙に納得したり、驚いていた。

 

少なくとも伝説の戦士プリキュアに比べれば俺なんぞぺーぺーも良いところです。

 

そして俺の軽い自己紹介もあってぜひ魔法を使ってほしいとの要望があったので俺の一発芸を披露することになった。

 

そこで俺は丁度練習していた宴会芸の新フォーメーションをためすことにした。

 

オールスターズが俺の前に座る。

 

まぁ、魔法が他の一般人にバレても面倒なので結界を使おう。

 

 

「封時結界」

 

 

すると周囲が少し薄暗くなる。

 

少女たちがざわつくがここからだ。

 

相棒の口から赤・黄・緑・紫・ピンクの光が出てくる。すると使い魔であるミニッツの五匹が現れた。

 

 

「「「「「ガァウ」」」」」

 

 

一瞬周囲がざわつくが気にしない。

 

そして俺は指示を出した。

 

 

「お前達プランBだ!!」

 

 

「「「「「ガァウ!!」」」」」

 

 

するとミニッツ達は一斉に飛び上がる。

 

そして俺はファーストエディションを使用し空中に3mほどの氷を作る。

 

ミニッツ達は氷の周りを飛びながら調和の咆哮収束型で氷を削っていく。氷が段々と形を帯びていく。そして俺は久遠にさらに指示を出す。

 

 

「久遠!人型になって雷でさらに細かい掘削(くっさく)

 

 

「くぅ!」

 

 

すると久遠が幼女形態になり雷を細かく操り、そして無駄な部分を削いでいく。俺もさらにそれを射撃魔法フレイムバレットで氷を削っていく。

 

よし!

 

 

「今だ相棒!氷の人形の周りの粒を調和の咆哮拡散型で吹き飛ばせ!!」

 

 

「ガァアアアア!!!!!!」

 

 

相棒のそれを見届けた俺はさらに全員に指示を出す。

 

 

「久遠は獣形態に戻れ!そしてお前達!例の配置場所だあぁぁ!!」

 

 

「「「「「ガァウ!」」」」」

 

「くぅ!」

 

「ガゥ!」

 

「とう!」

 

 

そして俺もある変身魔法を使いながら、サマーソルト張りに跳躍した。

 

 

ドォン!!!!

 

 

そしてある氷の彫刻が完成した。

 

 

「これぞ!俺達の合体作!氷の動物の国だ!!」

 

 

オールスターズの前には見事な氷の彫刻があった。虎にゾウ、シカにキリン、タヌキ、コアラ、チンパンジーなど他にもetc。

 

そして俺達も見事その背景に合致していた。だって動物の国だもの。俺も小さな黒猫になって変身していた。見た目は小さな黒い相棒みたいになっている。

 

つーか変身魔法なんて軽く一年ぶりに使ったからちょっと心配よ。視線がやたらと低いしフラフラする。

 

黒猫なのは魔法使いの変身姿ってたいてい猫ですし。相棒とリニスも猫科ですしおすし。

 

 

「どうよ!三日前から皆で練習していた特訓の成果よ!技の精度を高めるために練習してたらできたのだ!!」

 

 

子猫形態の俺が胸を反りながら言う。

 

すると妖精達もオールスターズも皆ポカーンとした顔をしていた。どうやら脳の処理速度が追い付いていないらしい。

 

俺はつぼみの前にピヨピヨと飛んで行き、顔をパシパシと叩いてみる。しかし小動物視点から見ると人間てでかいな。

 

リアル進撃○巨人のようだ。

 

 

「はっ!」

 

 

すると意識を覚醒させた。

 

そして俺をジッと見ると…………

 

 

「か、かわいいですっっっ!!」

 

 

思いきっり抱き締められた。

 

 

 

グキッ

 

 

 

同時に俺の首から出てはいけない音がでたが……。

 

そこからは地獄を見た。

 

 

 

◆◆◆

 

 

 

あれからなぜか暴走した女性陣達にたらい回しにされながらもなんとか解放された俺は皆に自分のことを軽く説明した。

 

魔導師という存在であること、並行世界の地球からやってきたこと、その流れでハートキャッチプリキュアの面々に協力していることを話した。

 

案の定、全員驚いていたが。

 

他にもミニッツや、久遠の説明を求められたので俺の使い魔だと簡単に説明しておいた。

 

妖精達からも興味心身で魔法のことを聞かれたので気分を良くした俺は魔法をさらに発動させて一発芸を披露していた。

 

妖精達とは子猫形態のまま話していたからか、かなり親近感を持たれたようである。

 

そして説明が終わる頃には俺も変身を解いていた。変身魔法はあまり使いなれていない。というか日常生活で使うことなど全くないのだ。

 

 

「はぁ……疲れた」

 

 

「あんなに調子に乗って魔法を使うからよ」

 

 

すると月影……いや、ゆりがジュースを持ってきてくれた。そして俺の隣に座る。

 

なぜ名前で呼んでいるかというと本人からの希望である。つぼみ達や、ももかは名前で呼んでいるなら私も呼びなさいと言われた。

 

オールスターズの面々からも呼び捨てでいいと許可をもらった。なんだか他人行儀だからとのこと。

 

初対面の年頃の女子を呼び捨てにするのは、男子からしたらなかなかハードであるが……がんばって慣れるしかない。

 

 

「あ、師匠!」

 

 

「お、番少年」

 

 

すると我が弟子の番少年が近寄ってきた。

 

 

「どうしたんだ?もう19時まわってるぞ」

 

 

「丁度良かった。後日見せようと思ってたんですけど……絵ができたので見てもらえませんか師匠!!」

 

 

「ほう」

 

 

「これを見てください!!」

 

 

そこには新しく出てきた四人目のプリキュアが書かれていた。

 

 

 

 

 

 

悪魔のように笑いながら敵を蹂躙している姿で。

 

 

 

 

 

 

「…………」

 

 

俺は横にいるゆりには見えないように注意する。

 

だが俺の隠れた努力など露知らず、番少年は嬉々として語った。

 

 

「いや~師匠が書いてくれたキュアムーンライトの絵がすごかったんですよ!特に敵を倒すときのこの表情!師匠が『プリキュアをちょっとホラーっぽく書いてみようぜ』といったのを、俺も書いてみたんですよ!そしたら大好評だったんです!!」

 

 

「ちょっと待って番少年」

 

 

「このムーンライトの嬉々として敵を倒す悪魔のような表情!赤い充血した目!冷たい機械のように敵を倒していく冷酷性!師匠の絵を参考に俺も書いて見ました!!」

 

 

「ちょっとホント落ち着いて」

 

 

「俺は正直、少女マンガ以外はマンガじゃないと思っていました!ですがこのホラーを意識したプリキュアは新しいです!!」

 

 

「いやマジで待って。ホント待ってください」

 

 

「特に評判が大きかったのがこのキュアブロッサムなんですよ!この迫力のある笑顔といったらもう!まさに女王のような冷たい微笑みとでもいいましょうか。ブロッサムは花咲がイメージキャラクターなんですけど……普段の穏やかな花咲からは想像もできないような冷たい笑みで!さすが師匠です!!」

 

 

「お、おう」

 

 

「じゃあまた書けたら見てください!それでは!!」

 

 

「ああ、またな~。さぁ、俺も帰るか」

 

 

そして俺も即座に立ち上がり歩き出す。

 

 

「「待ちなさい/待ってください」」

 

 

 

ガッ!!

 

 

 

「「あの絵は一体どういうことなのかしら?/どういうことなんですか?」」

 

 

やっぱりダメでしたorz

 

だが俺は諦めない。

 

 

「いや、ほら貴方達の普段のありのままの姿を書いたといいますか。俺なりに表現してみたといいますか」

 

 

「「へぇ」」

 

 

あ、失敗したかも。

 

 

「貴方の普段の私の印象は悪魔のような表情で敵を蹂躙するのね」

 

 

「私も女王みたいに冷たい微笑みをしてるんですね」

 

 

ゆりはメガネを光らせ、つぼみは例のごとく目のハイライトが消えていた。それを見た俺は焦る。

 

 

「いや、冗談じゃないですか。番少年ってばプリキュアを可愛らしく書いてるから。だったら俺は別の方面から攻めてみようかなみたいな。ほら『ホラーマンガプリキュア』なんて斬新で新しいかなって。恐怖と絶望で敵を翻弄していくプリキュア……外伝とかで出せば売れるんじゃ……マジなまいってすいませんでした」

 

 

二人の威圧感が増したのですぐに謝った。だが普段の説教から思う。

 

 

「あながち間違ってもいないような……」(ボソリ)

 

 

「「何か言ったかしら?/言いました?」」

 

 

「ノーマム!何も言っておりません!!」

 

 

「ではヒエンさんあちらでOHANASHIしましょうか」

 

 

「そうね。行きましょう」

 

 

そして俺は二人に首根っこを持たれズルズルと別のベンチへと引きづられていく。

 

 

「ちょっと待って!ご近所さんの目とかもあるんですけど!?」

 

 

「安心してください。今さらです」

「安心しなさい。今さらよ」

 

 

「弁解の余地もなし!?キャーΣ(゜Д゜)」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「「「「…………(゜д゜)」」」」」

 

 

「み、みんなボーゼンとしてるっしゅ」

 

 

「あはははは……」

 

 

「「「いつも通りですぅ(でしゅ)」」」

 

 

「他の妖精達も唖然としてたよ……」

 

 

説教は既に時間が遅かったので10分ほどで終了しました。

 




次回はプリキュアがパワーアップするために試練に挑む!!

では、また(・∀・)ノ

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