では、どうぞ( ゚д゚)ノ
ヒエンside
俺は今、日課の早朝トレーニングで、ある魔法の訓練を行っている。それは回復魔法の『フィジカルヒール』という魔法だ。
この『フィジカルヒール』は原作ではクロノとユーノが使用していた治癒魔法である。
俺は基礎トレーニングを積み重ねてきた成果か、簡単なケガであればすぐに治癒できるようになったのだが、大きなケガともなるとまだまだ努力が必要だ。
なのでこうして『フィジカルヒール』を修得しようとトレーニングしているわけである。
なぜ急に『フィジカルヒール』を修得しようと思ったのか、それは一昨日のことから始まる。
◆◆◆
俺は今、海鳴のとある小さな公園に向かっている。それは俺が日本にきて、いや前世の記憶を取り戻してからの初めての友人に会うためである。
その友人とは、現在6歳の女の子であるのだが。
うん。
なんか文面だけ見ると俺かなり危ない奴に見えるんじゃね?
いや気にするな。
ただ俺は友達と遊ぶだけだ。
だから変な罪の意識なんて感じなくていいんだああぁぁぁーーーε=(ノ゚Д゚)ノ
はぁ。
とりあえず遅れないように速くいこう…
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──────
────
で公園についたのだが…
見たところまだなのはは来ていないようだ。今、時間は12:50を指している。ここで待っていれば直に来るだろう。
なので俺はベンチに座りながらヒッツをいじることにした。
「うりうり~」
「ガウウゥゥ~」
ヒッツのほっぺを指でつつく。なんという弾力感!癖になりそうだ。
今度はほっぺを伸ばす。
グニーン……
おおお~。
面白いくらい伸びる伸びる~。
ヒッツから「やめてよ~」という思念が送られてきたので少々名残惜しいがやめることにする。
とそこに……
「ヒエンく~ん」
と俺を呼ぶ声がする。
俺は来たかと思い、その声の音源に目を向けると……
俺は大きく後方へ吹き飛び後ろの大きな樹に激突した。
「グフッ!」
「ふぇ、ふえええぇぇぇ!?」
なのはは、いきなりのことでビックリしたのか大きな声をあげた。
だが俺はそれどころではなかった。
な、なんだあの破壊力は!?
なんだあの輝かんばかりの笑顔は!?
そう。例えるなら…あれは…まるで……
「天使」
「いきなりなにいってるのー!?」
となのはが顔を赤くさせながら手をワタワタさせている。
うん。
なんか見てて和むね。
俺は思わずなのはの頭を撫でていた。
「ふぇ!?」
更になのはの顔が赤くなる。
「いや~ごめんね。なんかなのはちゃん見てたら和んじゃって」
「も、も~う!からかっちゃダメなの!」
なのはは頬を膨らませる。
「ごめんごめん」
と俺は苦笑しながら謝りつつ、なのはが何かもってきていることに気づく。
というかなのはの格好は、白いチェックのワンピースだった。ちなみに俺の格好は無難に青いジーパンに黒いTシャツである。
「なのはちゃんそれは?」
「これ?これはねぇ~」
なのはが聞いて聞いてと言わんばかりに言ってくるので俺は素直に耳を傾ける。
「おままごと!」
こうして俺の初めての友達との遊びはおままごとに決定した。
◆◆◆
俺は仕事が終了したので、愛すべき妻とペットが待つ家へと帰る。
そして家につきドアを開けた。
「ただいま~」
「あ、あなたおかえりなさ~い」
「あー、疲れた~」
「おしこどおつかれさま。あなたごはんにします?おふろにします?それとも…わ・た・し♥?」
俺はその言葉に少し冷や汗をかきながらも返す。
「そ、それじゃごはんにしようかな」
「じゃあさっそくよういしますね」
そして第一シーンが終わった。
「な、なのはちゃん。す、凄く本格的だね。台本まであるし」
「えっとね?おとうさんとおかあさんがはなしてたのみたことあるの」
ちょっとおおおおおおぉぉぉ!!??
桃子さんに士郎さん!?
あんたらの仕業かあああああぁぁ!!!!
いつまでもラブラブなのは良いけど幼い子供が見ている前では少しは自重しなさいよ!?
子供ってのはすぐに真似したがるからね!?大人が見てないと思ってても意外に結構見てるからね!?なんか倫理的に答えたらまずい質問もあったし!
と俺はまだ見ぬ高町家の夫婦に心のなかで愚痴をこぼしていた。
というか最近の女の子のおままごとは、こんなにもハードなのか!?
クレヨンし〇ちゃんに出てくるネ〇ちゃんじゃあるまいに!
あ、ちなみに言っとくとクレヨンし〇ちゃんや、ドラ〇もん、ドラゴ〇ボールなど前世のアニメであったアニメも同じように存在した。
だが魔法少女リリカルなのはと、家庭教師ヒットマンREBORNの2つだけは見つからなかった。まあ、リリカルなのはが無いのは分かるのだが…この世界事態がそれだし。
ただREBORNが無いのは恐らく俺が転生してきた影響も少なからずあるのだろう。たぶんだけど…
「ヒエンくんつづきはじめよう~」
まあ今はとにかくこのお嬢様を楽しませられるように精一杯努力しますか!
なぜなら俺はこの子の友達だからな!
「まだまだ、だいほんいっぱいあるの~」
流石未来の戦技教導官。
ある意味計画的ですね!
しかし、まだまだ幼いのにもうその片鱗が出ているとは…
なのはちゃん恐ろしい子!
「なんかへんなことかんがえなかった?」
なのはは、首を傾げながらこちらを見る。
俺は冷や汗をかきながら「そんなことないよ」と言っておく。
勘もいいようだ((((;゜Д゜)))
◆◆◆
俺達は、夕暮れになるまでずっとおままごとをして遊んだ。
ただ一言いえることは…
最近の女の子はドラマをよく見てるんですねorz
詳細は皆さんのご想像にお任せする。ただ言うのであれば、クレヨンな幼稚園児に出てくるリアルなおままごとを想像していただければいいと思います。
そして俺は現在、飲み物を買うために自販機の前まで来ている。
なのはの飲み物は何がいいだろうか?
そういえば聞くのを忘れていた。無難にオレンジジュースでいいだろう。
とりあえず自分用の缶コーヒーと、なのはのオレンジジュースを買い、なのはが待っているベンチへと歩くのであった。
「あ、ヒエンく~ん」
しばらく歩いているとベンチに座っているなのはを見つける。なのはは俺に気付いたのか大きく手を振っている。
俺はそれに苦笑しながら近付き、なのはにオレンジジュースを渡す。
「はいこれ。オレンジジュースでいいかな?」
「うん。オレンジジュースだいすき!」
俺達はベンチに座り、ゆっくりと飲み始める。するとなのはがこちらにゆっくりと向いた。
「ヒエンくん、きょうはありがとうなの」
「ん?どしたのいきなり?」
「わたしともだちいなくて…こんなふうにあそんだのはじめてだったの」
「そうだったんだ」
「うん。でもきょうすごくたのしかったの」
「それは俺もだよ」
「それでもおれい、いいたかったの。ありがとうヒエンくん」
「どういたしまして」
俺はなのはに、笑いながら答える。
そしてしばらく俺達は無言だった。だけど、俺達の間にあるその空気は悪いものなのではなく逆に心地の良いもので……
そして5分程過ぎたとき…
「わたしのおうちね…」
なのはが話し始めた。
「きっさてんやってるの」
「そうなんだ?」
「うん。でもね、おとうさんがオオケガしちゃっていま、びょういんににゅういんしてるの」
「………」
「それからおかあさんも、おにいちゃんも、おねえちゃんも、みんないそがしそうにしてて。それでなのはもなにか、おてつだいしようとおもったの」
「うん」
「でもなのは、ちっちゃいからなんにもできなかったの。だからおかあさんにきいたら、なのはがいいこにしてたらおとうさんもちゃんともどってくるっていってたの」
「………うん」
「だからなのは、ちゃんといいこにしなきゃって。さみしくてもがまんして………いいこに………しな……きゃって」
その瞬間、俺はなのはを抱き締めていた。
この子はずっと我慢していたのだ。その寂しさを。
でも言えなかったのだ。たった一言。
寂しいと。
だからちゃんと言ってあげよう。
よくがんばったねと。
よく我慢したねと。
君は一人じゃないと。
俺はこの子の家族じゃないけれど
この子の親でも兄弟でもないけれど
友達だから…
「大丈夫だよなのはちゃん、君は一人じゃない。今までよく頑張ったね。今までよく我慢したね。だからね…」
「ヒエン………くん……?」
「寂しかったら……悲しかったら……泣いてもいいんだよ?」
「う、ううう……………うわあああああああああんんんんんんんんんん!!!!!!!!!」
それから俺はなのはが泣き止むまでずっとなのはを優しく抱き締めていた。
◆◆◆
「すぅーすぅー」
俺は今、なのはを背負って高町家へと向かっている。あの後、なのはは泣き疲れたのか眠ってしまった。
起こすのも悪いと思った俺は、そのままなのはを背負い、歩き出したという訳である。
で現在…高町家の前にいるわけだが…
これなんて説明しよう!?
道中ずっと考えていたのだが特に思い付かなかったので、正直に話そうと思う。
そして俺は緊張しながらインターホンを押す。どうかシスコン兄貴の方は出てきませんようにと願いながら。
ピンポーン
「はぁーい」
すると若い女性の声が聞こえてくる。そして扉が開くと、なのはにそっくりな女性が出てきた。どうみても高町桃子さんです。本当にありがとうございます。
「あら、どちらさま?」
「あ、急にすいません。俺、なのはちゃんの友達の大空氷炎と申します」
「あら、なのはの?」
「はい。実は今日なのはちゃんと公園で遊ぶ約束をしていたんですが疲れて眠っちゃったみたいで…」
「あらあら…わざわざごめんなさい。良かったら中に入ってくださいな」
「あ、はい。すいません。それじゃ失礼します」
そして俺は桃子さんに招かれ高町家へと入っていく。
まさか主人公の家に入れるとは夢にも思わなかった。というかなんか武家屋敷みたいだな。
そして俺はリビングへと通される。
その風景を見たとき、俺は少しばかり感動していた。
大きなテーブルに5人用のイス。
そこはアニメ第一話で描写のあった通りのままであった。
俺はなのはを桃子さんに預け、イスに座る。そしてなのはを自室のベッドに眠らせたのか、桃子さんがリビングへとやってきた。
「今、お茶いれるからちょっと待っててね」
「あ、はい。おかまいなく」
桃子さんが紅茶を持ってきてくれた。
俺はそれを一口いただく。
「おいしい」
「良かったわ~」
桃子さんが笑顔でこちらを見ている。いつの間にか対面に座っていたようだ。というか本当にそっくりだな。
「あの、なのはちゃんは?」
「うふふ、グッスリ眠ってるわ。だから心配しないで」
「あ、良かったです」
そして俺はもう一度紅茶をいただく。
「ヒエンくん…で良かったかしら?」
「はい」
「なのはとはいつ友達になったの?」
俺は正直、話してよいのか迷ったが別に悪いことはしていないので話すことにした。
「えーと、昨日ですね」
「昨日?」
「はい、実はですね…」
そして俺は昨日のやり取りを桃子さんに話した。
ペットのヒッツが急にいなくなり、なのはちゃんの前にいたこと。俺が引っ越してきたばかりの話をなのはちゃんに聞いてもらったこと。そしてそのまま、友達になったこと全てを話した。
「そう。そんなことが…だからなのはは昨日あんなに嬉しそうだったのね」
「嬉しそうですか?」
「ええ。貴方と友達になったのがよっぽど嬉しかったのね。ずっとニコニコしてたわ」
桃子さんが愛おしそうに話す。
「そう…だったんですか」
なんというか嬉しいな、そういう話を聞くと。
「私からもお礼を言わせて。なのはと友達になってくれてありがとうね」
「いえ…あの、えーと、ど、どういたしまして」
俺は急なお礼にどもりながらもなんとか返事を返す。
「なのは最近、元気がなかったから少し心配していたの」
「そう…だったんですか」
十中八九、士郎さんのことがあるのだろう。流石に俺には話題に出さないか。ならそれは聞かないのがマナーだ。
「あの、紅茶おいしかったです。じゃあ俺はそろそろ…」
「ごめんなさいね。大したもてなしもできなくて…」
「いえ、急に来たのは俺の方ですし気にしないでください」
「また、遊びにきてね」
桃子さんが笑顔で言ってくれる。本当に優しい人だな。
俺は桃子さんに見送られながら、高町家を後にした。
◆◆◆
その日の午後、俺は自宅まで歩いている道である決意をした。
すなわち!
高町士郎さんを助ける!
原作でも士郎さんは仕事に復帰していた。今、治癒魔法を使っても少しばかり士郎さんの回復が早くなる程度だろう。
だがそれがどうした?
俺の頭に原作崩壊という言葉が一瞬浮かんだがすぐに気にしないことにする。
そんなことを言っていたら、そもそも俺という存在がいる時点で原作もクソもない。
それにこの世界は現実だ。
転んだら怪我だってするし、病気になれば体調だって崩す。殺されれば死にさえするだろう。
ゲームみたいにセーブ&ロードができる便利な機能もない。
この世界はいつだって理不尽だ。
だからこそ生きている人達皆、不安や焦燥を感じながらそれでも歯をくいしばって、妥協して、精一杯前を向いて……
人生という名の己の道を歩んでいるのだ。
だから俺は俺で…自分の信じる道を進もうと思う。
そう決めた俺はさっそく行動を開始するのだった。
桃子さん登場。
とりあえずロリなのはちゃんはこんな感じで良かっただろうかと後から不安になってきます( ; ゜Д゜)