大空の炎の力を操る転生者   作:Gussan0

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どうも(゜▽゜*)

ついにコラボ50話突破しちゃったよ。

ですがあと6~7話、遅くとも10話以内には終わる予定ですので!!

では、どうぞ( *・ω・)ノ


第百七十八話 心の花を守る伝説の戦士L

ヒエンside

 

 

 

つぼみ達がスーパーシルエットへとパワーアップしてから二週間が過ぎた。十月にも入り、段々と寒くなってきた。

 

デューン対策としてのこころの大樹で準備していた俺の作業もコッペ様が仕上げに結界を施してくれたおかげでなんとかなった。

 

まぁ、そのせいで魔力を限界まで酷使しすぎて完全回復するまで一週間ほどかかってしまったが。

 

肝心の策の内容は、薫子さんとコッペ様には話している。話したとき薫子さんは純粋に驚き、コッペ様も視線を俺に向けていた。たぶんビックリしたのだと思う。

 

つぼみ達も聞きたそうにしていたが、曖昧にぼかしておいた。話してもいいのだが、えりか辺りがうっかり話しそうで恐いので話すのは控えている。

 

あれから三幹部やデザトリアンの襲撃は数えるほどあるものの、デザートデビルの襲撃は全くといっていいほどなかった。

 

その影響かプリキュア達も最近はリラックスして過ごしている。逆にリラックスしすぎてえりかの奴は、マリンタクトを敵に奪われるといったことをしでかしたが。

 

なんでも部屋が片付かないからプリキュアの浄化の力でなんとかできないか試そうとしたそうだ。それに怒ったパートナーのコフレがプチ家出をしたのだ。

 

その後なんやかんやあってスナッキー……敵の兵士軍団の隊長ボスナッキーにタクトを奪われるのだが、タクトはプリキュア以外に使うことはできないため奪い返すことに成功する。そこから無事スナッキー達を倒し、二人は仲直りすることに成功した。

 

というか浄化の力で部屋を片付けるって……余計ちらかると思うぞ。

 

そして俺はというと現在、こころの大樹の横で新武装の試運転を行っていた。

 

 

 

ドォオオオオオオオンン!!!!!!

 

 

 

『す、凄まじい破壊力ですね……』

 

 

「そ、そうですね」

 

 

予想以上の破壊力だった。まだ試し撃ちなので6~7割の力で撃ったが。破壊力は今のところなのはのスターライトブレイカーの方が上だ。全力で撃てばまだ分からんが。

 

ただこれだけは言える。

 

全く使いこなせていない。

 

まずはこの新武装にある程度慣れなければ。

 

そう決めた俺はこころの大樹の周りを軽く飛び始めた。

 

 

 

ヒエンside end

 

◆◆◆

 

第三者side

 

 

 

「はぁ……はぁ……危なかったわ」

 

 

その日サソリーナはプリキュアにまたしても破れ、逃げ帰ってきた。サソリーナは苦しそうに胸を押さえながら呟く。

 

 

「それに……なんなのよこの……温かい感じは」

 

 

そして戸惑いながら月を見上げていた。

 

何時間月を見上げていたのか、いつの間にか後ろではクモジャキーとコブラージャが心配そうに見守っていた。

 

 

「はぁ……ねぇ、あたし達このままでいいのかしら?」

 

 

「なんじゃと!?」

 

 

サソリーナの言葉に思わず反応するクモジャキー。サソリーナの言葉は砂漠の使徒に対する反逆にも取られかねないからだ。だがコブラージャはクモジャキーを手で止める。

 

 

「恐らく……プリキュアの聖なる光を浴びすぎて邪悪さが薄れてしまったんだよ」

 

 

「く……」

 

 

クモジャキーはコブラージャの言葉に一瞬苦い顔をした後、踵を返してある場所へと向かった。コブラージャも静かにその後をついていく。二人が考えていることは同じだった。

 

 

 

 

 

 

二人が来たのは大幹部であるサバーク博士の部屋であった。

 

二人は直立姿勢で告げる。

 

 

「サバーク博士、サソリーナを幹部の座から降ろし惑星城に返すぜよ」

 

 

「博士もお気付きだとは思いますが、もう彼女には戦う気力がありません」

 

 

「ふむ」

 

 

サバーク博士が二人の言葉に一考していると……

 

 

「ちょっと待ちなさい!!」

 

 

騒ぎを聞き付けたサソリーナがテレポートでやってきた。

 

 

「あんたたち!何勝手なことを言ってるのよ!?」

 

 

「「…………」」

 

 

だが二人は黙るばかりで話さない。

 

じれったくなったサソリーナはサバーク博士へと視線を向ける。

 

 

「サバーク博士!もう一度あたしに出撃命令を!!」

 

 

「…………」

 

 

「本気を出せばプリキュアなんか!」

 

 

そのときクモジャキーがサソリーナの肩を掴む。

 

 

「なによ」

 

 

「今のお前では無理ぜよ」

 

 

「あたしを見くびるんじゃないわよ!!」

 

 

サソリーナはその手を払いのけ二人を睨み付ける。その目には覚悟が宿っていた。

 

 

「「…………」」

 

 

その目を見た二人はサソリーナに何も言うことができなかった。

 

 

「サバーク博士!ぜひあたしに……あたしにお任せ下さい!!」

 

 

「分かった。出撃を許そう。だが、これが最後だと思え」

 

 

サバーク博士の仮面から見える赤い瞳が怪しく光る。

 

 

「望むところよ。本気になったあたしの強さを見せてあげるわ!!」

 

 

そしてサソリーナは外へと出向き、テレポートしようとしたところ……

 

 

「サソリーナ」

 

 

クモジャキーが呼び止める。

 

そしてある物を投げ渡した。

 

それは二人のダークブレスレットであった。

 

 

「持っていきたまえ。三倍のダークパワーがあればプリキュア共を倒せるかもしれない」

 

 

「ただし身体に相当負担がかかるき。勝負は短時間でつけるぜよ」

 

 

「……礼はいわないわよ」

 

 

そしてサソリーナは希望ヶ花市へとテレポートしたのだった。

 

 

 

 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

 ̄ ̄ ̄ ̄

 

 

 

その頃、明堂学園中等部生徒会副会長の佐藤一二三(ひふみ)は屋上で絶賛、溜め息をついていた。

 

生徒会長であるいつきがあと一ヶ月で任期が終わるため、次の生徒会長は自分だと自負していた。

 

だが一二三は生徒会長になれば、女の子達からモテると大きな声で豪語しながら生徒会長室の椅子に座っているところをいつきに目撃される。

 

いつきは今まで副会長だった一二三に、今度の選挙では自分の代わりに出てもらうことに決めていた。だが、一二三の態度は見ていられるものではなかったのでそのことを注意したのだが、一二三は恥ずかしくなって屋上へと逃げてしまったのだ。

 

 

「ああ~!なんて恥ずかしいところを見られてしまったんだああぁぁぁ!!」

 

 

大きな独り言をいっているときに見られることほど恥ずかしいものはない。

 

一二三のこころの花は、いつきへの恥ずかしさと申し訳なさで少し枯れていた。

 

 

「あらぁ~」

 

 

そして運悪くその光景をサソリーナに目撃されてしまった。

 

 

「こころの花を(しお)らせているボウヤがいたわ」

 

 

そしてサソリーナは一二三を狙う。

 

 

「こころの花よ!出てきてぇ!!」

 

 

「う、うわあぁぁぁ!!!!???」

 

 

すると、一二三は光りだしオレンジの結晶へと姿が変わってしまう。

 

 

「デザトリアンのお出ましよおおおぉぉぉ!!」

 

 

そして()()()()()()()()()をデザトリアンに変えてしまった。

 

 

 

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 ̄ ̄ ̄ ̄

 

 

 

そのとき生徒会長室にいたつぼみ達も異変を察知する。

 

つぼみ達は校舎に残っている生徒達を避難させると急いで外に出る。そのとき校舎全体が光り出し……

 

 

「『ガッコウウウ~!!』」

 

 

巨大な校舎型のデザトリアンが現れた。

 

その大きさは以前最初に戦ったデザートデビルよりも大きかった。

 

 

「あ、あれは……」

 

 

つぼみ達がその圧倒的な大きさに驚いていると、上空から小さなオレンジの水晶が落ちてくる。

 

つぼみはその水晶を受け止めると目を見開く。

 

 

「佐藤君!」

 

 

その中には一二三が閉じ込められていたのだ。そして校舎型デザトリアンは破壊を開始した。

 

 

 

第三者side end

 

◆◆◆

 

ヒエンside

 

 

 

花の配達を終えた俺は意気揚々と自転車で帰っていたのだが、相棒の慌てる声に自転車を止める。

 

 

『ガゥガゥ!!』

 

 

「どうしたよ相棒?そんなに慌てて」

 

 

『ガゥ!!』

 

 

「向こうを見ろって……全く何があるんだって……なんじゃありゃああああ!?」

 

 

俺は顎が外れたような表情でそれを見ていた。なんと明堂学園の校舎自体が移動していたのだ。

 

いつものあいつらである。

 

今はもう慣れたものでそう確信することができた。俺は自転車を止め、念のために鍵を閉める。そして周りを見回し、誰もいないことを確認するとセットアップしてすぐに明堂学園へと飛んでいく。

 

あの巨体だ。

 

全力でいかなければ生半可な攻撃では効かないだろう。フルパワーでいくしかない。

 

そして学園にたどり着くと、すでにプリキュアとなった四人が戦っていた。

 

俺も加勢するために形態変化を使い、技を放った。

 

 

灼熱の加速(バーニングアクセル)!」

 

 

「『ガッコウウウ~!?』」

 

 

校舎型デザトリアンは数メートル吹き飛び後退した。俺は近くの体育館の上に着地すると、四人がこちらに来た。

 

 

「来たのね」

 

 

「たまたま配達で通りがかったからな」

 

 

ムーンライトが話しかけてきたので軽く答える。すると校舎の上に三幹部の一人サソリーナが姿を現した。

 

 

「来たわねプリキュア……あんたもいたのね魔導師」

 

 

「おかげさまで」

 

 

「またあんたなの!?」

 

 

俺の皮肉の後にマリンがサソリーナに大きな声をあげる。

 

 

「ふん!今日こそ決着をつけてあげるわ。この三倍のダークブレスレットの力でね」

 

 

サソリーナの右腕には三つのダークブレスレットがつけられていた。

 

 

「侮ってはダメよ。今日はいつもと違うわ」

 

 

「ああ、目を見れば分かる。あいつの目は覚悟を決めた者の目だ。皆、油断するな。今までのサソリーナとは違うぞ!!」

 

 

奴は命をかけてこちらへ挑むつもりだ。

 

でなければただでさえ負担の大きいダークブレスレットを三つも使いはしない。

 

 

「闇に沈みダークな心に支配されるのよ!ダーク……ブレスレットオオォォ!!」

 

 

そのときサソリーナが赤黒いエネルギーを纏う。

 

 

「今こそ砂漠の使徒の底力を見るがいい!合体!!」

 

 

そしてデザトリアンと融合するとその力がさらに増した。

 

 

「く……」

 

 

(この威圧感……。ダークプリキュアいや、下手したらあのとき戦ったデザートデビルよりも)

 

 

「『コレガダークブレスレットミッツブンノチカラ……コレナラプリキュアニモカテルワ。ウォオオオオオオ!!』」

 

 

そして雄叫びをあげながらその巨大な拳を俺達に向けて放ってきた。

 

咄嗟にかわすと俺は再度技を放った。

 

 

灼熱の加速(バーニングアクセル)!」

 

 

 

ドゴォオオオオオオン!!!!!!

 

 

 

再度吹き飛ぶデザトリアン。

 

続いてムーンライト、サンシャインが続けて連打を放つ。そしてブロッサム、マリンがはるか上空からそれぞれのオーラを身体に纏いながらデザトリアンに突っ込んでいく。

 

 

「「ダブル・ぜんぶパンチ!!」」

 

 

二人は身体を大の字に広げ、正面から敵に体当たりした。

 

 

「『クウウウ!?』」

 

 

体勢をぐらつかせるデザトリアン。

 

その間に全員で畳み掛ける。

 

「プリキュア・シルバーフォルテウェイブ!」

 

「プリキュア・ピンクフォルテウェイブ!」

 

「プリキュア・ブルーフォルテウェイブ!」

 

「プリキュア・ゴールドフォルテバースト!」

 

 

四人の必殺技が放たれる。

 

そして俺も特大の砲撃を放った。

 

 

「ヒートバーナー超爆発(ハイパーイクスプロージョン)!」

 

 

五人の攻撃が校舎型デザトリアンに直撃する。これでいけるかと思われたそのとき……

 

 

「『アハハハハ……。イマノアタシハムテキヨ。ハァアアアア!!!!』」

 

 

「な!?」

 

 

俺は驚愕した。

なんと奴は気合いだけで俺達の必殺技をいとも簡単にかき消したのだ。

 

 

「『オドロクノハコレカラヨ!!』」

 

 

そして両手から紫の直射光弾が放たれる。それはまるでマンシンガンのようであった。

 

俺達はバラバラに逃げ回るがブロッサムが足を滑らせ転んでしまう。

 

 

「あっ……」

 

 

「つぼみ!?」

 

 

それを目撃した俺はすぐにブロッサムの前にいき防御形態へと切り替え、黒衣のマントを纏い抱き寄せた。

 

 

「あ、あの……」

 

 

「今はじっとしてろ!」

 

 

「は、はい」

 

 

そして俺達に向けられて紫の光弾が集中する。だが『調和』の効果を纏ったマントに触れた瞬間全ての攻撃は無効化される。

 

そして攻撃が止んだ。

 

俺はマントを解除し、前を見据える。

 

いつの間にか側には全員が揃っていた。

 

 

「『コレデワカッタデショウ!アンタタチハ、ワタシニハカテナイ!ヤラレタクナイナラ、ヘンシンアイテムヲヨコシナサイ!サアハヤク!!』」

 

 

「…………私達は諦めません!サソリーナ、佐藤君のこころの花を返してもらいます!!」

 

 

「『マダタタカウッテノ!?シツコイワヨ!?』」

 

 

そして俺達は再び攻めていく。

 

俺は空中を飛び回りながら砲撃を放つ。

 

だがその攻撃は再びかきけされる。

 

 

「『ナニガココロノハナヨ!?ナニガプリキュアヨ!?クダラナイ!!クダラナイ!!』」

 

 

プリキュア達は接近戦を挑む。

 

紫の光弾をサンシャインがガードし、残りの三人が強烈な蹴りを食らわせる。

 

 

「『クゥウウウ!?オノレプリキュア!?』」

 

 

だが攻撃直後の硬直を狙われ、巨大な拳が三人に放たれる。だがそれを再度サンシャインがガードする。

 

 

「『ナメンジャナイワヨ!!』」

 

 

だが数発の強烈な拳を受け止めると、盾は破壊されてしまう。そして四人に拳が直撃すると思われたとき……

 

 

「させるか!」

 

 

俺が間に割り込み多重ラウンドシールドを展開させ、その拳を受け止める。

 

 

「『アンタモジャマヲスルンジャナイワヨ!マドウシイイイィィィィ!!』」

 

 

だが数発食らっただけで多重ラウンドシールドは破壊される。そこで俺は攻撃形態に切り替え、再びバーニングアクセルを放った。

 

 

「はぁあああ!!」

 

 

 

ドガアアアアァァァァンン!!!!!!

 

 

 

俺の手甲(ガントレット)とデザトリアンの巨大な拳が激突する。

 

 

「お、おおおおお!!!!」

 

 

そして何とか打ち勝つことに成功する。しかし……

 

 

「なに!?」

 

 

空いていた片方の拳が放たれ、俺はその攻撃を食らい体育館へと吹き飛ばされてしまった。

 

 

 

ドゴォオオオオオオン!!!!!!

 

 

 

「「「ヒエンさん!?」」」

 

 

「『コレデオワリヨ~!!』」

 

 

そして硬直していたプリキュアにデザトリアンが攻撃を放とうとしたとき……

 

 

「ふっ!!」

 

 

再びその拳を吹き飛ばされた。

 

 

「『ア……アンタマダ……』」

 

 

「はぁ……はぁ……はぁ……」

 

 

俺は再びデザトリアンの前に躍り出る。

 

頭から少し血が流れているが耐えられない訳ではない。

 

 

「『シ、シツコイノヨ!イイワ、ソコマデジャマヲスルナラマズハアンタカラシマツシテアゲル!!ハァアアア!!』」

 

 

そして再度、俺に向けて攻撃が放たれようとしたとき……

 

 

「『ナ、ナニ!?ガ、ガアアアアアアアアアアァァァァァ!?』」

 

 

突如デザトリアンが苦しみ始めた。

 

 

「一体何が……」

 

 

「恐らくダークブレスレットのパワーを酷使しすぎて、肉体に限界がきているのよ」

 

 

「そういうことか」

 

 

己の限界以上のパワーを使いすぎて身体が耐えられなくなったか。

 

 

「皆、ハートキャッチミラージュのパワーでサソリーナの苦しみを終わらせるのよ」

 

 

「「「はい!!」」」

 

 

ムーンライトの言葉で、皆がハートキャッチミラージュを取り出したとき、俺は声をかけた。

 

 

「ちょっと待ってくれ。その役目、俺に任せてくれ」

 

 

「「「「え?」」」」

 

 

皆はキョトンとしたような顔で聞き返す。

 

 

「サソリーナの苦しみは俺が解放する」

 

 

「な、何を言ってるんですか!?頭から血まで流してるのに!」

 

 

「こんなのいつものことだ」

 

 

「適当に流さないでください!」

 

 

ブロッサムが噛みついてくるが俺は落ち着かせながら話す。

 

 

「大丈夫だ。勝機ならある」

 

 

あの新武装を使えばサソリーナも解放してやれるはずだ。

 

 

「私が言いたいのはそういうことではなく……「ブロッサム、彼に任せましょう」え?」

 

 

ムーンライトがブロッサムを手で制する。

 

 

「彼が頑固なのは貴方が一番良く分かっているのではなくて?」

 

 

「そ、それはそう……なんですが」

 

 

「大丈夫」

 

 

とりあえず俺はブロッサムを安心させるように言った。彼女は俺の言葉に溜め息をはくと言ってくれた。

 

 

「無茶だけはダメですからね?」

 

 

「おう」

 

 

そして俺は皆からOKが出たのでデザトリアンから少し離れたところで停止し、ワードを唱えた。

 

 

形態変化(カンビオフォルマ) 変速形態(モードギア)

 

 

すると俺のグローブが光り、形を変えた。

 

グローブの形は大きく変わってはいないが、肘側に新しく炎の噴射口がついていた。

 

 

死炎の籠手・変速(ヒートギア)

 

 

この新しい俺のグローブ、ヒートギアは沢田綱吉のボンゴレギアをイメージして作られた新武装である。

 

俺は今からある技を放つ。

 

 

「サソリーナ、お前のその苦しみ……今すぐ解放してやる。いくぞ相棒、オペレーション……ダブルヒート」

 

 

そして俺は両腕をクロスさせるように前へと伸ばす。

 

すると肘側の噴射口から放つ柔の炎で姿勢を制御させる。そしてクロスさせた両腕に膨大なエネルギーが凝縮されていく。

 

 

「あれは……両手撃ち?」

 

 

ブロッサムが疑問の声をあげる。

 

 

「いつものヒートバーナーとは違う?」

 

 

「肘から炎も出てるね」

 

 

「恐らくあの凄まじいエネルギーを放つための……姿勢制御といったところかしら」

 

 

そして用意ができた俺はエネルギーを放った。

 

 

 

 

 

 

「ダブルヒートバーナー!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ドゴォオオオオオオン!!!!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

俺の相棒であるヒッツを模した巨大な剛の炎を放つ。

 

校舎型デザトリアンは巨大な剛の炎に飲み込まれていく。相手を倒すのが目的ではないので殺傷力のない『調和』の炎でデザトリアンを浄化していく。

 

 

「はぁあああ!!!!」

 

 

「『コ、コンナトコロデ……ア、アタシハヤラレルワケニハ……イ……カ……ナイ』」

 

 

そして特大の剛の炎が融合しているサソリーナごと癒していく。

 

 

「『ア、アタタカイ……』」

 

 

「もう……楽になれ。はぁあああ!!」

 

 

そして俺はさらに力を込めて放った。

 

 

「『ぽわわわわあああ~~!』」

 

 

校舎型デザトリアンは光に飲み込まれ静かに消滅していった。

 

 

 

 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

 ̄ ̄ ̄ ̄

 

 

デザトリアンは消滅し、明堂学園の校舎は無事元に戻った。デザトリアンにされた少年のこころの花も無事であった。

 

俺はソッと地面に降りると膝を崩す。

 

少し気力を使いすぎたようだ。

 

 

「ヒエンさん!」

 

 

するとブロッサム達がやってくる。

 

 

「やりましたね」

 

 

「ああ」

 

 

俺はなんとか答える。すると……

 

 

「あ!」

 

 

ポプリが前を見て声をあげる。

 

俺達も釣られて前を見ると倒れているサソリーナを抱き起こすクモジャキーと、コブラージャがいた。

 

 

「サソリーナ……お前にしては良くやったぜよ」

 

 

するとサソリーナは黙ってダークブレスレットを渡す。

 

 

「クモジャキー……コブラージャ……ありがとう」

 

 

そして涙を流しながら二人にお礼を言っていた。

 

 

「「…………」」

 

 

俺は黙ってそれを見ていた。

 

そしてサソリーナは光りながら静かに消滅していった。

 

そこに残ったのは彼女のこころの花であった。

 

 

「あれはカタクリの花……か」

 

 

つぼみのおかげで少し詳しくなった花の知識。皮肉なことに俺が最初に覚えた花もカタクリの花であった。そして最初に戦ったことのある砂漠の使徒の幹部もサソリーナであった。

 

 

「花言葉は……嫉妬……寂しさに耐える……だったか」

 

 

そしてこころの花は天高くどこかへと飛んでいった。

 

すると強烈な殺気が俺へと向けられた。

 

 

「この事は忘れんぜよ」

 

 

「遊びは終わりだ。次は君を……いや君達を必ず倒す」

 

 

二人の幹部は俺を睨む。

 

俺も真っ直ぐ……二人から目をそらさずに言った。

 

 

(かたき)がとりたいならいつでも来い。相手になってやる」

 

 

そして二人はテレポートで消え去った。

 

 

 

 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

 ̄ ̄ ̄ ̄

 

 

 

俺は屋上でゆりから保健室から持ってきた救急箱で手当てを受けていた。

 

つぼみ、えりか、いつきは自分のクラスを確認しにいった。どうやらこころの花を奪われた少年が頑張って作業をしているのを手伝いにいったらしい。

 

ゆりはケガをした俺を見かねて簡単な治療をしてくれている。そんなとき俺は、空を見上げながらポツリと呟いた。

 

 

「俺は……サソリーナの命を奪ってしまったのかな……」

 

 

「「…………」」

 

 

ゆりとコロンはなにも言わない。

 

 

「あいつは消滅するときに泣いていた。クモジャキーとコブラージャに泣きながらお礼を言っていた。あいつら……普段は仲悪そうにしてたけど……やっぱり仲間として大切だったんだなって見てて分かった」

 

 

「「…………」」

 

 

「クモジャキーや、コブラージャから強烈な殺気を浴びせられたときにふと思った。俺はこいつらの仲間を殺してしまったんだ……と」

 

 

「「…………」」

 

 

原作知識では、三幹部の元となった人物がいると小説やアニメでは語っていた。

 

だがサソリーナや、クモジャキー、コブラージャという()()はまた別だ。

 

あいつらにもちゃんとした個性があり、心がある。俺はそいつらの仲間の一人を倒した。倒してしまった。

 

 

「……すまん。こんな話されても困るだけだな」

 

 

「別に問題ないわ。貴方にはコロンを復活してもらった借りもあるし……私でよければ愚痴くらいならいつでも聞くわ」

 

 

「悪い」

 

 

俺達は黙る。すると……

 

 

「ヒエン……君はサソリーナを殺してはいないよ」

 

 

コロンが話しかけてきた。

 

 

「あのとき見ただろう?サソリーナの中からこころの花がでてきて飛び去ったのを。サソリーナは長い呪縛から解放されたんだ。

 

三幹部はデザトリアンの力を持った人間、いわば改造人間なんだよ。サソリーナは(さそり)の力を……クモジャキーはクモの力を……コブラージャはヘビの力を……遺伝子を組み込まれた。

 

砂漠の使徒の幹部は拉致された人間からなっていると聞いたことがある。きっと今頃どこかで……その()()()()()()()が目を覚ましているはずさ」

 

 

「そうかな」

 

 

「ああ、そうだよ」

 

 

「そうだと……いいな」

 

 

そして俺はジッと空を見上げていた。

 

 

 

ヒエンside end

 

◆◆◆

 

第三者side

 

 

 

天高く飛んでいったサソリーナのこころの花は、ある病院の患者の中へと戻っていった。

 

病院の名前は『山ノ中診療所』

 

そこには()()()()()が眠っていた。

 

そして眠っていた褐色の女性の瞼がそっと上がる。

 

 

「あ……こ、ここは……」

 

 

そして女性は額に手を当て呟いた。

 

 

「長い間……悪い夢を見ていた気がする」

 

 

すると小さな小鳥が女性の前にやってくる。

 

 

「ピィー」

 

 

すると女性は優しく小鳥を抱き上げると、小鳥の頭を優しく撫でた。

 

空いていた窓から優しい風が女性の頬を撫でる。

 

季節はすっかりと秋へと変わっていた。

 




次回は少し時間が飛びます。
まあ、なんつーか襲撃うけます。

黒幕自ら……。

次回イベント戦……つまり主人公に微塵も勝ち目ありません。

では、また(・∀・)ノ

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