とりあえず対策打ちながらお出かけ。
では、どうぞ( *・ω・)ノ
ヒエンside
サソリーナとの戦いから約一ヶ月の時が過ぎた。今は十一月に入り、秋から冬への移り変わりに入っていた。
あれからクモジャキーや、コブラージャが個別に攻めてきたらしいが全て俺が関わっていないところで来たらしい。
簡単に説明すると幼稚園で人形劇をすることになったつぼみ達がいるところにクモジャキーがやってきて、幼稚園の先生をデザトリアンにしたり……
小さなころからゆりが弟のように接していた少年が勇気を出してゆりにラブレターを送ったものの、ゆりのいつまでも弟のように接する態度に傷つき、その影響でコブラージャにデザトリアンにされたり……と色々あったのである。
そうそう。
そのあと、ゆりと少年はちゃんと仲直りできたらしい。俺としては安心した次第である。
後日、そのことをコロン経由で聞き付けた俺はラブレターをもらったお祝いにとお赤飯のおにぎりを持っていったのだが、コロンと共に正座で30分のお説教を受けるはめになった。コロンからも小言を言われた。おめぇもノリノリで参加してたやろうがい。
とまぁ、こんな感じで時は過ぎていった。
だが懸念すべき問題はある。
ダークプリキュアが再び姿を現したのだ。
一瞬現れただけでまた姿を消したらしいのだが、そのときにスーパープリキュアとなったブロッサム達を簡単に衝撃波で吹き飛ばしたらしい。
強化形態のスーパーシルエットになった四人をいとも簡単に吹き飛ばすとは……ダークプリキュアも相当強化されているようだ。
あのとき戦ったときよりも強くなっていると思った方がいいだろう。本当にこの世界のパワーインフレは激しい。
そして肝心の俺はというと……
「相棒……オーバードライブシステムの改良の進捗状況はどうだ?」
「ガゥー」
「約60%か。それくらいなら一度試運転できるんじゃないのか?」
「ガゥゥ」
「反動が強すぎるからダメだって?そんなに強いのか?」
「ガォ」
「まだまだ身体にかかる負荷が大きい……ね。じゃあどれくらいで使えるようになる?」
「ガォー」
「最低でも70%以上ね。まずいな。十二月までに間に合うかどうか……」
「ガゥ?」
「ああ、俺の方は一応改良は終わったよ。できるだけのことはやった。だけどオーバードライブより出力はどうしても落ちることになる」
「ガゥガゥ!!」
「わ、分かってるよ。無茶な改良はしてないって。リンカーコアに影響を与えない程度には抑えてあるから」
「ガォォ、ガゥガゥ」
「って結局チェックするのかよ。信用ないなおい」
相棒と一緒にシステムの改良を行っていた……。
もうデューンが来るまで一ヶ半を切っているため急ピッチで作業を進めている。昨日から世間では三日間休日に入ったため、俺達はそれを利用して目一杯システムの改良を行っていた。
それに伴って花屋ももちろん休みのため営業は行っていない。
そしてこの休みを利用して現在つぼみ達はフランスに行っている。
お隣のえりかの母である
もちろん俺にも声はかけられた。だが俺は断固としてこれを拒否した。
なんでかって?
だってヒエちゃんで出てほしいとか言うんだよ?女装姿でファッションショーに出ろとか言うんだよ?それもフランスだよ?パリコレだよ?
そんな世界のファッションモデルが集まる場所で女装姿なんて晒してみなさいよ?
もう黒歴史確定すぎるじゃねえか!?Σ(゜Д゜)
というわけでなんとか全力で断っていたら行かずに済んだのである。少し残念な表情をされたのが罪悪感を感じさせたが……。
というかこの時期にフランスに行くってあれだよね?完全に映画だよね?
ハートキャッチプリキュアにはフランスを舞台にした映画がある。そのタイトルが……
『映画 ハートキャッチプリキュア! 花の都でファッションショー…ですか!?』
である。
簡単に物語を説明すると、さっき言ったようにファッションショーに参加するためにつぼみ達はフランスへと赴く。
だがこのときパリではある噂が流行っていた。それが伝説の怪物である『狼男』が現れるという内容だ。
そんな中、つぼみ達はある少年と出会う。砂漠の使徒に追われていた謎の少年オリヴィエである。
オリヴィエを追っていたのは、かつて初代プリキュアといわれたアンジェ先輩に封印された砂漠の使徒の元幹部・サラマンダー男爵である。
彼は不思議な力を持つオリヴィエを利用して世界への復讐を企んでいたのだ。
それを阻止するためにつぼみ達はオリヴィエと協力しながらサラマンダー男爵と戦うのだ。
実を言うと噂になっている『狼男』がオリヴィエなのだが、恐らく今頃出会っていると思われる……たぶん。
フランスと日本では時差が7時間ある。今が深夜2時であるのでフランスでは午後7時だ。
まぁ、何かあればつぼみ達から連絡があるだろう。日本にいる俺ができることなどほぼないといっていいが。
「ガゥ」
そのとき相棒のシステムチェックが終わった。どうやらOKのようだ。安心すると急にあくびがでてきてしまった。
「ふわああぁ。相棒、もうそろそろ寝よう。今日もあの子と約束してるし」
「ガゥガゥ」
そして俺達は空中モニターを消して眠りについたのだった。
◆◆◆
そして休日三日目のお昼12時頃、俺はJ○線を乗り継ぎ
「待ち合わせ時間より一時間も早くついてしまった……」
「くぅー」
そこで俺はある女の子と待ち合わせしていた……というよりこの三日間その子とずっと一緒に行動していた。
この三日、俺はある目的のために色々な場所を訪れていたのだが、俺の目的を知ったその子が案内を買って出てくれたのだ。
「あの子が駅に来るまであと一時間あるし、近くのお店で軽く飯でも食おうか久遠?」
「くぅ」
俺は頭の上にいる久遠にそう告げると、喫茶店を探し始めた。
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
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喫茶店で軽く昼食を取り30分ほど暇をつぶしたあと、再び駅に戻るとその子はまだ来ていなかった。
なので暇潰しに、最近ハマっているスケッチを書くことにした。
リュックからスケッチブックを取り出すと、シャーペンで軽く絵を書いていく。俺の弟子になった番少年に教えるためにタマにこうして書いているのだ。
久遠が俺の書く絵をジーっと見る。
「…………」
すると思うところがあったのか、しばらくしてから俺の頭を前足でペシペシと叩き始めた。
「なんだよ久遠?」
「くぅー!!」
「え?この絵変か?ユーモアがあって大変素晴らしいじゃないか」
「くぅ!!」
久遠は首を横にブンブンとふる。
「なんでだよ?あの子のチャームポイントのお団子ヘアーに日本の国旗を差してみただけじゃないか。あのお団子見てたらなんか差してみたいと思わないか?」
「くぅー!!」
久遠は再度、首を横にブンブンと振る。
「えー……そう思うの俺だけ?我ながら素晴らしい出来だと思うんだが」
「…………くぅ」
「なんで溜め息をつくんだこの野郎。でもこんなの書いてるって知られたら説教待ったなしだな。この二日間色々やらかしたし。でも俺は悪くない。あんなに弄られやすそうな頭をしているあの子が悪い。ハッハッハ(゜▽゜*)」
「誰の頭が弄られやすそうなんですか?」
「え?そんなの舞に決まってんじゃん。あの特徴的なお団子ヘアー見てたら、爪楊枝何本差さるんだろうとか、ギネス挑むとしたら何本くらいでいけるんだろうとか色々考えちゃう……って、え?」
俺は声のした方を軽く見る。
そこには待ち合わせをしていた女の子がいた。
最近俺の用事に付き合ってくれる女の子がいた。
とても笑顔な
◆◆◆
「もう……ずっとそんな変なこと考えてたんですか?」
「ハイ。ドウモスイマセンデシタ」
少々機嫌を悪くした舞のありがたいお話を三分ほどで受け終わると、俺達はある場所へと向かっていた。
そこは舞の親友の家であり、この夕凪では有名なパン屋さん。
「ここが咲の家のパン屋さん。ベーカリーPANPAKAパン、チョピ」
舞のパートナーである妖精のチョッピが教えてくれる。舞の首元にかかっている小さなクリスタルから顔を覗かせている。
ここは舞の親友の
猫はこちらをチラリと見ると一声鳴いてまた眠った。
「コロネチョピ」
「おお……なんというか色々な意味でおおらかそうな猫だな」
そして店に入ると色とりどりのパンが置いてあった。中はすいているのかお客さんは少なかった。
「このお店の有名なパンはチョココロネなんですよ?」
「ほう」
知ってるぜ!
前世の日曜8:30から見てたらやたらと美味しそうに見えたのを覚えている。いつか食べてみたいと思っていたのですよ。
「いらっしゃい舞ちゃん」
「こんにちは」
そのとき優しそうなエプロンをした女性と舞が挨拶をかわす。女性の視線がこちらを向いたので俺もペコリと頭を下げる。
「こんにちは」
「こんにちは。貴方、ここら辺では見ないけど舞ちゃんのお友達?」
女性は笑顔で話す。
「はい。今日は彼女に夕凪を案内してもらうことになってまして」
「この町はいいところが多いからぜひ楽しんでいってね?」
「はい。ありがとうございます」
咲のお母さんだろうか?
頭に三角巾をまいている優しそうな人だ。
そして俺はパンを選ぶ。
色とりどりのパンがあるので迷ってしまう。とりあえずチョココロネを中心につぼみ達にもお土産として多く買っておこう。
「け、結構買うんですね」
「ああ、つぼみ達のお土産も兼ねてるし。そういえば今さらだけど、咲とは一緒じゃなくて大丈夫なのか?」
この三日間俺が連れ回してたけど問題なかったのだろうか?
「はい。咲はソフトボールの試合が近いので学校で猛特訓してるんです。なので今は部活中の筈です」
「なるほど」
そういえばあの子ソフトボールやってたな。
そして俺達は会計を済ませ、店を出ていく。普段なら舞の友人が手伝っているらしいのだが、今日は咲の妹と遊びにいっているらしくいなかった。
「こっちです。あの山の頂上にある大きな木なんですけど」
「ここから見ても分かるほど大きいな」
大樹と言っても遜色のない大きな木が山の頂上にあった。俺達はゆっくりと歩いていく。すると舞がこちらをチラチラ見ていることに気付く。
「どうした?」
「あの……ヒエンさん」
「うん?」
「その……ヒエンさんが言ってた砂漠の使徒の黒幕……デューンが地球にやってくるのが十二月頃……なんですよね?」
「ああ、恐らくだが」
実を言うと、舞には既に砂漠の使徒について話してある。
400年前から続くプリキュアと砂漠の使徒の戦いの歴史について、敵のことについて、そして今までの俺達の戦いのことについても。
少し前に攻めてきたデザートデビルについても映像つきで話した。デザートデビルの大きさに舞もさすがに驚いていたが。
すると舞はこちらを不安そうに見つめていた。俺は彼女を励ますように言う。
「まぁ、そう心配するな。あらかじめ来ると分かっていればそれなりに対策もとれる。そのためにこの三日間動き回ってたんだからな」
今、考えられる限りの策は打った。
後は奴が来るまでに俺自身の力をできるだけ高めておかなければならない。
「はい……」
しかし彼女はそれ以降黙ってしまった。少し不安にさせてしまっただろうか?だが俺の策には
「あ、そうだ」
すると俺は舞に使い魔の一匹である紫の小ライオン、ムッツを出す。
「ガァウ~」
「舞、この子預かっといてくれ。名前はムッツで女の子だ。デューンが来たときにこの子が知らせてくれる」
「あ、はい」
「ガァウガァウ~」
紫なのはご愛嬌である。舞の髪の色が紫がかった髪のため、少し似ていると思ったからである。
するとムッツは何を思ったのか舞の頭のお団子にかじりつく。
「え!?え!?どうしてかじりつくの!?」
「ああ、言うの忘れてたけどそいつ俺の魂の一部みたいなもんだから、性格とかほぼ同じなんだ。だからそのお団子頭に興味持ったんだと思う。まぁ、甘噛みだから痛くないさ」
「えぇー!?ちょっとー!?」
隣で慌てる舞を他所にゆっくりと頂上の大きな木へと向かった。
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 ̄ ̄ ̄ ̄
「っていうことが去年ありました」
「…………そ、そうっすか」
俺は舞から過去に戦った話を聞いていた。この子もプリキュアであるため当然激闘を乗り越えてきている。
彼女は相方の咲と共に、滅びの国ダークフォールと戦っていたらしい。チョッピ達妖精の故郷の泉を襲った7人の幹部と、ウザイナーという怪物と戦ったそうだ。
それが
俺が知っている彼女達の物語とは
俺が知ってる舞達が出てくるSplash Starの物語は
これは俺の推測なのだが……
この世界はハートキャッチプリキュアの物語が中心で動いているため、その前後の物語は僅かに差異が出たのではないだろうか?
だとすれば他のプリキュアを中心にした並行世界もあると思われる。
そんなことを考えている内に頂上へとたどり着いた。
「ここが大空の樹です」
「大空の樹……」
こころの大樹に負けないほどの大きな大樹がそこにはあった。
「チョッピはこの樹が好きチョピ。なんだかホッとするチョピ~」
するとチョッピが妖精形態になると、チョピチョピ言いながら樹の周りを元気よく跳ね回る。
「くぅ~」
「ガァウ~」
久遠とムッツもその後を追いかけて一緒に駆け回っていた。小動物が戯れるところを見ると少し癒される。
「ヒエンさんここに座りましょう」
俺は舞に進められ大樹の下の地面に座る。
そしてさっき買ったチョココロネを食べ始めた。隣では舞がスケッチブックを取り出し、小動物達の姿をスケッチで書き始めた。
「…………」
もう集中状態に入ったのか、その表情は真剣そのものであった。試しに呼んでみる。
「舞さんや~い」
「…………」
反応なし。
どうやら相当集中しているらしい。
俺も暇なのでスケッチブックを取り出し書いてみる。だが書くのはスケッチを取っている舞である。
最近スケッチの腕が上がった俺の本領発揮である。
そして俺も書き始めた。
数時間後…………
「ふぅ……」
隣の舞が満足げな表情をしていた。どうやら書けたらしい。
え?俺?
俺はもう書けたから。完璧にな!!
そして舞は隣にいる俺にようやく気付く。
「あ、す、すいません!私ったら集中しちゃって……」
「大丈夫。こっちもよく書けたし」
「よく書けた?」
舞が首を傾げる。
「これ、舞に良く似てるチョピ~」
俺の肩に乗って絵を見ていたチョッピが俺のスケッチブックを舞に見せる。
「え、こ、これ私!?」
舞が驚く。
フハハハハハハ( ´∀`)
その顔が見たかった!!
そこには真剣な表情で絵を書いている舞の姿があった。しかも色鉛筆の色付きで。
我ながら完璧だ!!
「こっちはユーモアな舞チョピ~」
「あ、ちょっとそのページは……」
しかしチョッピが続けて前のページを開く。
そこには舞がお団子ヘアーに日本の国旗を差しながら、お子さまランチを食べる様子が描かれていた。そう、駅で書いていた絵である。
「…………」
「…………」
「……さて、大空の樹も見れたし次のところに行こうか」
「……ヒエンさん」
「ハイ」
いつの間にか大人しく座り直していた。
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 ̄ ̄ ̄ ̄
「場を和ませようというのは分かりますが、人によってはそれを不快に感じることがあるんですよ?気を付けて下さいね?」
「はい。気を付けます」
舞から本日二度目のありがたいお話を聞いていると、チョッピがなぜか俺の頭の上に来た。
「チョピ~」
そしてだらけ始めた。
「なんでやねん」
思わず関西弁で突っ込んだ俺は悪くない。
「なんだかヒエンの側にいるとホッとするチョピ~。なんだか心がポワポワして温かいチョピ~」
「それってもしかして大空の炎の影響かもな」
「大空の炎……ですか?」
「ああ、実は……」
そこで俺は自身の能力である死ぬ気の炎について軽く説明した。
大空の炎……『調和』の効果を纏っている影響でそう感じるのではないかと。妖精達は気配などに敏感なため、それを直に感じたのだろう。
そういえばチョッピも『大空』を司る精霊である。その関係で舞も『大空』の力を操る。同じ大空の力を使う者として俺は彼女達に少しシンパシーを感じていた。
「『調和』ですか。なんだか凄いですね」
「まあ、それが俺の能力だし」
ちなみにこの世界にリボーンの漫画は存在していた。だがまだ連載が始まったばかりであったため、参考になるような情報はあまりなかった。
「そういえば……ヒエンさんは並行世界の地球からこの世界に来たんですよね?」
「うん、まあ」
「家族とバラバラで寂しくないんですか?」
舞が久遠とムッツの頭を撫でながら聞いてくる。
「いや俺、実は両親とはもう二年以上会ってないんだ」
「え……」
「あー、いや違うぞ。連絡はちゃんと取ってるぞ?両親は外国で働いてるから仕方ないんだよ」
「そうだったんですか……」
「それに別に寂しくはないぞ?周りに親切な人は多いし、気にかけてくれる人もいっぱいいるし。それはこの世界でも同じだったし。一人でいきなり来て不安な面も正直あったけど、なんだかんだでなんとかなってるし」
「…………すごいですね。私ならきっと……耐えられないかもしれません」
「いや、それは……」
「だから私にできることならなんでも言ってください。その気持ちは咲も同じなので」
その瞳は力強かった。
かなり頼もしく感じた。
なので俺は答えた。
「ああ、よろしく頼む」
そして俺達はその間ずっとボーッとしていた。するといつの間にか眠っていたらしく、目が覚めるとすっかり夕焼けになっていた。
「ふわああぁー。寝ちゃってたのか」
俺は肩を伸ばそうとしたのだが肩に何やら感触があった。なんだろう?と思いながら見ると驚愕した。
舞が俺の肩にもたれかかって眠っていたのだ。他の小動物の面々も眠っている。
というかもう十一月なのになぜ眠れたのだろうか?普通なら寒くて眠れないはずなのに。そして俺は辺りを見回し気付く。
「ぼ、防御結界……」
『ガァウ~』
なんと心の中にいた相棒が気を利かせて防御結界をかけてくれていたらしい。しかも暖房付き。道理で寒くないはずだ。おまけに周りからは見えないっていう。
だが時計を見ると時刻は既に18時前になっていた。さすがにこれ以上はまずいだろう。
俺は舞を起こしにかかる。
「お~い」
「う……」
すると目を覚ましたのかしばらくボ~ッとしていたが覚醒したのかハッと起き上がった。
「おはよう」
「あ、わ、私眠って……」
「それはもうぐっすりと」
「うぅ……すいません。今日は夕凪を案内するって約束だったのに」
「別にいいよ。久しぶりにゆっくりできたし」
最近は遅くまで作業をしてたからそんなに眠れなかったし。
「それよりもう18時前だしそろそろ行こう」
「そうですね」
そして俺達は駅に向かった。
◆◆◆
舞と別れた後、希望ヶ花駅に戻ってきた俺と久遠。
今日はつぼみ達がフランスから帰ってくるので話を聞かせてもらわねば。そうして早く帰ろうとしたとき……
ゾクッ
突如、全身を襲われるような強烈な殺気を浴びせられる。頭の上で寝ていた久遠も飛び起きる。
『ガゥガゥガゥ!!』
心の中にいる相棒も警戒しろと言ってくる。
以前、クモジャキーやコブラージャから放たれた殺気とは段違いだ。俺は強烈な殺気を放っている人物に目を向ける。そして驚愕した。
(バカな!?なぜ……なぜ……奴がここにいる!?)
そいつは緑髪で少年のような姿だった。
(まだ早い……早すぎる!?)
そして少年のような笑みを浮かべて言った。
「やぁ、やっと見つけたよ……魔導師君」
砂漠の王、デューンが現れた。
次回、vs砂漠の王
では、また(・∀・)ノ