大空の炎の力を操る転生者   作:Gussan0

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どうも(゜▽゜*)

今回はvs砂漠の王

では、どうぞ( *・ω・)ノ


第百八十話 心の花を守る伝説の戦士LII

ヒエンside

 

 

 

デューン

 

 

砂漠の使徒の黒幕、そして王であり、50年前にキュアフラワーとの激闘で破れ、力を封じられた男。

 

ハートキャッチプリキュアの原作でもたった一人でプリキュア達を瞬殺し、そして最終決戦でも最後まで圧倒的な力を持っていた男。

 

そんな奴が今、俺の目の前にいた。

 

身体中から流れる冷や汗が止まらなかった。

 

力を封じられているとは聞いていたがそんなものを感じさせないほどに圧倒的な存在感があった。

 

気付けば条件反射で死ぬ気化していた。

 

 

「砂漠の王……デューン」

 

 

「あははは。僕のことは知ってたんだね?キュアフラワーからでも聞いていたのかな?」

 

 

「……俺に一体何のようだ?」

 

 

「そう警戒しないでくれたまえ。サバークから報告を受けていた君という存在に……魔導師というものに興味があっただけさ」

 

 

「…………」

 

 

俺は思考する。

まさかこんなところでこいつが出てくるとは思わなかった。正史ではこいつはクリスマスに皆の前に現れるはずだった。

 

だがまだ十一月の初めだというのにこんなところで邂逅するとは……全く予想していなかった。

 

 

「だんまりかい?」

 

 

デューンは半笑いでこちらを向く。

 

頭の上にいる久遠が尋常じゃないほどにガタガタと震えている。こいつはそれほどの存在なのだろう。

 

俺は手のひらに炎を軽く纏わせ、調和の波動を流して久遠を優しく撫でる。すると震えは次第に収まっていった。

 

俺はデューンに言った。

 

 

「話がしたいなら……もっと別の場所にいこうぜ」

 

 

すると俺とデューンの足元に魔法陣が現れる。そして俺は転送魔法を発動させ、駅前から別の場所へと移動した。

 

 

 

◆◆◆

 

 

 

俺達は今、希望ヶ花の浜辺にいた。前にダークプリキュアと戦った場所だ。転送魔法を一般人の前で使ってしまったが、緊急事態であるので仕方がない。多少の目撃情報には目をつむるしかない。

 

 

「おお、すごいね。今のが魔法かい?」

 

 

「転送魔法だ。駅前から浜辺に移動した」

 

 

そして俺はリュックを魔法陣にしまい、久遠をソッと下ろすと同時にセットアップする。

 

 

「セットアップrev2(リヴィジョンツー)

 

 

いつもの黒スーツ姿になり、額の炎とグローブを燃え上がらせる。

 

 

「おお……怖い怖い。僕はただ話がしたいだけなんだけどね」

 

 

「ぬかせ。そんなドデカイ殺気をこっちに向けている時点で戦う気満々だろうが」

 

 

「へぇ。こっちに場所を移したのは無関係な人間を巻き込まないための配慮……という訳かい?」

 

 

「さぁな。相棒、久遠の側にいてやれ」

 

 

「ガァウ」

 

 

デューンがここにやってきた理由……俺に興味があったというのもあながち嘘ではないだろう。実際にこうして俺の目の前にいるのだから。

 

確かにこいつがこんなに早く現れたのは予想外だ。だがプラスに考えればここでこいつを倒せば戦いを終わらせられる。

 

今のこいつは力を封じられている状態……ならば今の俺でも十分勝機はある。だが様子見なんてできる相手じゃない。だから最初から全開だ。

 

 

形態変化(カンビオフォルマ) 変速形態(モードギア)

 

 

そして新グローブへと切り替え、構えた。

 

 

『気を付けなさいヒエン。力が封じられている状態とはいえ、デューンは生半可な強さではありません。特に貴奴の体術や、エネルギー弾は要注意です』

 

 

そのときアンジェ先輩が思念でアドバイスをくれる。どうやら俺達のやり取りを聞いていたらしい。

 

 

『了解です』

 

 

そして俺は答えると、ジッと目の前の相手を睨み付ける。

 

 

「…………」

 

 

「…………」

 

 

デューンは両手を大きく広げ、相変わらずこちらを半笑いで眺めていた。その顔からは何を考えているのかがまるで読めない。

 

 

(構えもしないとは……誘っているのか?……若しくは油断している?)

 

 

「どうした?来ないのかい??」

 

 

「…………」

 

 

(まあいい。何を企んでいるのか知らないが……まずは先手必勝!!)

 

 

 

ドン!!

 

 

 

俺は両手のグローブをブースターに奴の視界から消えると、後ろに回り込み手刀を首筋に叩き込む。

 

だがそれは呆気なくかわされる。

 

俺はさらに正面に回り込み、炎を纏った掌底を繰り出す。だがそれも首のスウェーでかわされる。

 

そこから連続で近接攻撃を繰り出すが、見切られているのか全く当たる気配がない。

 

 

「おお、すごいすごい。君、物凄く速いね。それに攻撃のキレも並みじゃない。幹部が一人やられたのも納得だ」

 

 

「なめるな!」

 

 

俺とデューンは高速で動きながら接近戦を繰り返していく。だが攻撃をしているのは俺だけで、デューンはかわすことに集中している。

 

 

(なんて奴だ。こっちはフルパワーの上に新武装でさらに戦力をアップさせたのに……全く攻撃が当たらない)

 

 

きりがないと判断した俺は魔法を使用する。

 

 

「おお!人数が増えた!?」

 

 

奴は子供のようにはしゃぐ。

 

俺はフェイクシルエットを使用し、20人ほどでデューンを囲む。

 

 

「気配を感じないね。これは幻影か。面白い」

 

 

そのまま幻影達で迫るがここでデューンが反撃に移った。地面を勢い良く殴り、砂浜の砂を空中に打ち上げる。すると砂の雨が幻影達に当たり消滅していく。

 

 

(なに!?こんな方法で幻影を突破するのか!?)

 

 

即座に俺は次の攻撃に移る。

 

 

偽物の銃弾(フェイクバレット)

 

 

そして射撃魔法を空中に50発展開する。幻影の中に本物の魔力弾を紛れ込ませてそのまま発射したのだ。

 

デューンは楽しそうにかわすが後ろから迫った魔力弾に気付く。そして腕で防ごうとしたがその魔力弾はすり抜けて消えてしまった。

 

 

「へぇ……これも幻影か。なら僕も面白いものを見せてあげよう」

 

 

するとデューンは赤いエネルギーを小さく右手に収束させるとそれを空に放った。

 

 

 

ドゴォオオオオオオオンン!!!!!!

 

 

 

すると50発あった魔力弾は全て消滅させられた。

 

 

「どうだい?凄いと思わないかい?」

 

 

「ああ、そうだな!!」

 

 

そして俺はその隙をついて後方から高速でデューンに接近していた。右手のグローブをガントレットに変化させ、ある技を放った。

 

 

灼熱の加速(バーニングアクセル)!」

 

 

 

ドォオオオン!!

 

 

 

現時点で俺の近接攻撃の中でも一番の威力を持つバーニングアクセル。だが俺のバーニングアクセルは片手で呆気なくガードされてしまった。

 

 

「これが君の全力かい?……だとしたら」

 

 

そのとき超直感が警鐘を放つ。

 

 

「期待はずれも良いところだ」

 

 

俺はブリッツアクションを発動させすぐに上へと回避する。

 

そのとき強力な赤い稲妻が先ほどまで俺がいたところを通過した。

 

そして稲妻は海岸の壁に激突すると勢い良く爆発し、半径10m程を簡単に消滅させた。

 

 

(な、なんて威力だ……あんなものを食らえばすぐに戦闘不能になるぞ!?)

 

 

何より込められているエネルギーの密度が半端ではなかった。プリキュアパレスで戦ったコッペ様の技以上だ。

 

 

「あはははは!!」

 

 

「!?」

 

 

そのとき真下からデューンが赤いオーラを纏いながら突っ込んでくる。俺は再びブリッツアクションを発動させかわす。

 

そして砲撃を放つ。

 

デューンに見事直撃するが、そんなもの気にするかと言わんばかりにこちらへ高速で突っ込んでくる。

 

俺も額の炎の出力をあげて高速戦闘に切り替える。

 

オレンジ色と赤色のオーラが浜辺の空を高速で駆け抜ける。

 

何度か衝突するもののオレンジ色の光が終始押されていた。そして光が途切れたと思った束の間、浜辺に勢い良く吹き飛ばされる額に炎を灯した少年の姿があった。

 

 

「グフゥッ!?」

 

 

 

ドォオオオオオオオオンン!!!!!!

 

 

 

俺は浜辺に吹き飛ばされる。その影響で地面が10mほど陥没していた。だがすぐに起き上がり、横へと飛ぶ。

 

すると赤いオーラを纏ったデューンが笑いながら飛び蹴りを放ってきた。

 

俺は体勢を立て直し、再び右手をガントレットへと変化させると最大限にエネルギーを込める。

 

 

「はぁああああ!!」

 

 

するとデューンも右手に赤いエネルギーを収束させた。そして互いにぶつけ合った。

 

 

灼熱の加速(バーニングアクセル)!!」

 

 

「あははははははは!!!!」

 

 

数秒ほど拮抗する……が俺は簡単に打ち負け10mほど吹き飛ばされてしまった。そしてデューンは右手を前に向けると赤い砲撃を俺に放った。

 

 

(まずい!?)

 

 

とっさに防御形態に切り替え、黒いマントを身につける。そして俺は赤い砲撃に飲み込まれてしまった。

 

 

 

 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

 ̄ ̄ ̄ ̄

 

 

 

「驚いた……まさかあれを食らってまだ倒れないとはね」

 

 

「はぁ……はぁ……はぁ……」

 

 

俺は膝をつきながら目の前の緑髪の男を睨み付ける。

 

 

(あ、危なかった……。もう少しで直撃を食らうところだった……)

 

 

なんとか防御形態が間に合ったから良かったもののマントを纏っていなければ戦闘不能になっていた。

 

 

「だけどもう限界が近いようだね。もう少し暇潰しとして遊びたかったが……仕方がない」

 

 

「暇潰し?」

 

 

「ああ、地球を征服するための準備がまだできていなくてね。その暇潰しとして君を探してたんだよ」

 

 

「要はあんたの遊び相手に俺が選ばれたってことか」

 

 

「そういうことさ。君はプリキュアじゃない。なのに砂漠の使徒と渡り合っている。それだけで僕の興味を引くには十分さ」

 

 

「そいつはどうも」

 

 

こいつは意外と万全を喫してからくるタイプなのかもしれない。だが考えてみれば納得できた。50年というもの月日をかけて力を蓄えてから、再び地球に攻めてきたのだから。

 

 

(だがこのチャンスを逃す手はない……)

 

 

最初は予想外なことが起こってしまい焦ってしまったが、敵の親玉がわざわざ目の前にいるのだ。

 

なんとしてもこいつは倒す。

 

だがオーバードライブはまだ使えない。

 

ならばフルドライブのまま限界を超えるしかない。

 

俺は覚悟を決めデューンに話しかけた。

 

 

「デューン……今の俺じゃ、どうやってもあんたには届きそうにない。これでもフルパワーでやってるんだがな」

 

 

「もう降参かい?」

 

 

「まさか……まだ諦めた訳じゃない。だから今から見せてやる。限界を超えた力ってやつを」

 

 

「…………」

 

 

デューンはこちらを興味深そうに見る。

 

 

「スー……ハー……」

 

 

そして俺は深呼吸をしてからワードを唱えた。

 

 

rev3(リヴィジョンスリー)!」

 

 

 

ドォン!!

 

 

 

俺を中心に激しい魔力流の嵐が吹き荒れる。

 

 

「ぐ……」

 

 

かつてないほどの魔力量が俺の身体の中を駆け巡る。身体中が強化されているからか、それに比例するように額の炎とグローブの炎も勢い良く燃え上がる。

 

だがリンカーコアに負荷が少しかかっているため、短期決戦でいかなければ俺の身体が持たない。

 

そして目の前のデューンを睨み付けた。

 

 

「覚悟しろよデューン。あんたはここで仕留める」

 

 

「へぇ、面白いね。来なよ」

 

 

「上等だ」

 

 

そして……

 

 

 

ドォン!!!!!!

 

 

 

デューンの顔面に俺の拳が突き刺さっていた。

 

 

「…………あは」

 

 

するとデューンはさらに笑顔になり、狂喜の笑顔を向けながら俺の顔面を殴った。

 

 

「ぶっ!?」

 

 

俺は勢い良く吹き飛びながらも炎の逆噴射で再びデューンへと突貫する。

 

 

「はあ!!」

 

 

「あはははは!そうだ!僕をもっと楽しませてくれ!!」

 

 

互いに殴り合いながらダメージを蓄積させていく。だが不利なのは俺であった。

 

 

「ぐふっ!?」

 

 

腹を殴られ思わず下がる。しかし歯を食い縛りこちらも炎の拳で殴りかかる。

 

だがデューンはその拳を掴むと、空いた片方の手でエネルギー弾を収束させ、ゼロ距離で俺の腹に放った。

 

 

「ごほっ!?」

 

 

俺は数十メートル程吹き飛ぶと、高速で接近していたデューンに横蹴りで海の方にまで吹き飛ばされた。

 

なんとかガードしながら苦し紛れにヒートバーナーを放つ。そしてデューンも赤い砲撃を放ち相殺させた。

 

俺は吹き飛びながらもなんとか体勢を立て直す。だが俺の身体は既に限界を向かえつつあった。

 

 

(まずい。アバラ骨が……)

 

 

腹に攻撃を受けすぎて骨にまで衝撃がきていたのだ。

 

それだけじゃない。

 

 

(身体が重い……)

 

 

デューンの攻撃の一撃が重く、それを何度も食らってるせいか身体も段々と動かなくなってきたのだ。

 

 

(そろそろ限界が近い。ここは一か八か……やるしかない!)

 

 

そして俺は起死回生の手を狙って三人の分身を生み出し、向かわせた。

 

 

「おお……そんな手まで残ってるのかい?出し惜しみせずもっと見せてくれよ」

 

 

「バカにしやがって!」

 

 

そして俺も分身に紛れて高速で接近し、空中戦を繰り広げていく。だが三人で攻めてもデューンの方が動きは早く攻めきれない。

 

 

「チェーンバインド!」

 

 

そしてデューンの周りに幾つものオレンジの鎖を展開させるが……

 

 

「あははははははは!!!!」

 

 

デューンは笑いながら高速で避けていく。

 

そして全方向に赤いエネルギー弾を放ち、鎖や分身まで一気に破壊してしまった。

 

 

(くそ!分身でも意味はないか!?やはり……これしかない!!)

 

 

形態変化(カンビオフォルマ) 攻撃形態(モードアタッコ) 死炎の手甲(ミテーナ・ディ・ヒート)!」

 

 

そして再びエネルギーを最大限に込める。さらにブリッツアクションで加速してデューンの周りを動き回り、動きを定めさせない。

 

 

「おお……凄いね。さっきより速い」

 

 

 

ズキン!

 

 

 

「ぐっ!?」

 

 

長時間のブリッツアクションを使っている影響で頭痛がするが、そのまま継続して使用する。

 

デューンは俺の動きを見切っているため普通の動きでは攻撃を当てることができない。

 

ならば感知できない程のスピードで攻撃を当てるしかない。

 

そしてそのチャンスが来た。

 

 

(ここだ!)

 

 

そして俺は真上からデューンに攻撃を放とうとする。

 

 

「分かっていたよ」

 

 

だがデューンは俺の動きを見切っていたのか真上に赤い砲撃を放つが……

 

 

「分かっていた」

 

 

それを超直感で感知していた俺はブリッツアクションでかわし、奴の真っ正面に回り込んだ。

 

 

「なに!?」

 

 

最大エネルギーを込めた一撃を放つ。

 

 

灼熱の加速(バーニングアクセル)!!」

 

 

そして奴の顔に叩きつけた。

 

 

 

 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

 ̄ ̄ ̄ ̄

 

 

 

「はぁ……はぁ……はぁ……頭痛が」

 

 

ブリッツアクションを7~8秒ほど継続して発動させていたせいか、吐き気が込み上げてくる。

 

なんとかデューンに一撃当てることができたが、もう全身ボロボロだ。

 

デューンの奴は遠くまで吹き飛んでいったが……どうなっただろうか。

 

 

 

 

 

 

「やれやれ……まさか一撃もらうとは」

 

 

 

 

 

 

だが気付けば奴は俺の目の前に既に接近していた。

 

 

「なっ!?」

 

 

そして……

 

 

「さっきのお返しだ……」

 

 

 

 

 

 

ドゴォオオオオオオオンン!!!!!!

 

 

 

 

 

 

強大な赤いエネルギー弾を至近距離で浴びた俺は海岸まで吹き飛ばされてしまった。

 

 

「ぐ……ちく……しょう……」

 

 

そのままうつ伏せに倒れてしまう。

 

なんとか起き上がろうとするが身体が動かなかった。それでも動かそうとした途端、腹に激痛が走った。

 

 

「があああ!?」

 

 

だが疲労とダメージで身体が動かすこともできず、声を出すことしかできない。

 

どうやらアバラが折れてしまったらしい。

 

視界も霞んできた。

 

 

「もう限界のようだね」

 

 

そのとき目の前にデューンがいた。

 

その顔は少し腫れていた。

 

 

「こ、殺すなら……さっさと殺しやがれ……」

 

 

身体も動かない。

 

限界を超えた力もデューンには通用しない。

 

為す術がない。

 

つぼみ達もいないこの現状では、俺にはもうどうすることもできなかった。

 

 

「…………」

 

 

デューンは俺に手をかざす。そして……

 

 

「やめだ」

 

 

俺に背を向けた。

 

 

「今、ここで君を倒したところでなんの面白味もない。それに言っただろう?ここには()()()にきただけさ」

 

 

「俺を見逃す……のか?」

 

 

「まさか。僕は戦力が整い次第、また力を取り戻しにやってくる。そうだな。期間は約一ヶ月といったところか。そのときには、プリキュアもろとも全員立ち塞がるものは……叩き潰す」

 

 

「…………」

 

 

「そのときに……君がどう行動するか見物だよ魔導師君」

 

 

そしてデューンはテレポートで消え去った。

 

 

「……………………ち、ちく……しょう……」

 

 

俺は視界が霞むなか気を失ってしまった。

 

 

「ガゥガゥ!!」

 

「くー!!」

 

 

気を失う直前、二匹のお供が鳴いている声だけがやけに耳に残っていた。

 

 

 

ヒエンside end

 

◆◆◆

 

第三者side

 

 

 

その日、花咲薫子は植物園の職員達とのミーティングを終わらせ、書類仕事をしていた。

 

職員達は先に帰り、残っているのは薫子だけである。

 

 

(今日はつぼみ達が帰ってくるから早く帰らないと)

 

 

そう。

今日はフランスでのサラマンダー男爵との戦いを乗り越えたつぼみ達が帰ってくるのだ。

 

その戦いは世界中でもテレビ放送され、今やプリキュアの存在は世界中で認知されている。

 

ドラゴン化したサラマンダー男爵の火炎放射と、ハートキャッチオーケストラの激突は丁度議論の話題となっているほどだ。

 

つぼみ達はそんなことになっているなど露知らず、目的のファッションショーをしっかりこなしてきたのだが。余談ではあるが護衛としてついていったコッペもファッションショーに出たらしい。

 

そして書類仕事を終わらせた薫子が帰宅準備を済ませ帰ろうとしたとき、その気配は突然現れた。

 

 

 

ゾクッ

 

 

 

(こ、この圧迫するような……冷たい気配は……まさか!?)

 

 

「デューン!?」

 

 

50年前に戦っていた戦士としての勘が蘇り、デューンの気配を感じた薫子。

 

 

「力の気配は……海岸から?」

 

 

そして薫子は胸元の赤いペンダントを一度握りしめると走って向かう。

 

走って向かっているといくつもの爆発音が聞こえてくる。そして次第にその音は収まっていった。

 

 

「はぁ……はぁ……はぁ」

 

 

薫子は海岸にたどり着く。

 

 

「こ、これは……」

 

 

そこは激しい戦いがあったのか海岸は荒れ、いくつものクレーターができていた。

 

そのとき何か鳴き声のようなものが微かに聞こえた。

 

薫子が耳を済ませると……

 

 

「ガゥガゥガゥ!!!!」

 

「くぅー!!」

 

 

花咲家で聞きなれたペット達の鳴き声が聴こえた。

 

薫子は急いで浜辺を走っていく。

 

さっきから何か胸騒ぎのようなものがしているのだ。

 

 

(突然現れたデューンの気配……そしてあの子達の鳴き声……まさか)

 

 

そして薫子は鳴き声のところまでたどり着き、目を見開いた。

 

 

「ヒエン君!?」

 

 

そこには傷だらけになり、ボロボロで倒れている少年の姿があった。

 

彼に付き従う二匹の小動物は必死に少年のことを揺さぶっていた。

 




ボロ負けしました。
あばらも折れるっていう。
そして見逃されたっていう。
あと見逃されたのには理由があったっていう。

次回はまた時間飛びます。

あと、プリキュアコラボあともうちょっとで終わりますから。やっと最終決戦入るから。最終決戦あんまり時間とらへんから。

では、また(・∀・)ノ

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