大空の炎の力を操る転生者   作:Gussan0

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どうも
最近、ジメジメして湿度ヤバイですね。


第七話 検証そして偽善の行動

ヒエンside

 

 

 

高町士郎さんを助けると決意してから数日…。あれから『フィジカルヒール』も大分、形になった。死ぬ気モードを発動しながら訓練を行ったのが良かったのか予想よりも早いスピードで使えるようになった。これならば問題なく使用できるだろう。

 

だが俺は『フィジカルヒール』をさらに使えるようにするため、あることを検証しようとしていた。

 

それは死ぬ気の炎による魔法の強化である。

 

だがその話に入る前にまず俺の能力の源、死ぬ気の炎について軽く説明しておこう。

 

死ぬ気の炎には「大空」の属性の他にも「嵐」「雨」「雲」「晴」「雷」「霧」といった、天候になぞられた6つの属性がある。

 

総じてこれらは大空の七属性と呼ばれている。

 

ちなみに種類別に分けるとこうなる。

 

 

【大空】:調和 オレンジ

 

【嵐】 :分解 レッド

 

【雨】 :沈静 ブルー

 

【雷】 :硬化 グリーン

 

【晴】 :活性 イエロー

 

【雲】 :増殖 バイオレット

 

【霧】 :構築 インディゴ

 

 

各炎には、それぞれ色と効果がある。

 

死ぬ気の炎には極希に1人が複数の属性を持つこともあるらしいが、大抵の場合強い属性は1つで、残りは微弱である。

 

そして家庭教師ヒットマンREBORNでは匣(ボックス)兵器と呼ばれる物が存在する。

 

これは特別なリングによって生成された死ぬ気の炎によってしか開けることのできない小さな掌サイズの箱である。

 

使用者・リング・匣の死ぬ気の炎の属性が一致しないと開けることができないのである。

 

ただ一つの例外を除いて。

 

それが大空属性の炎である。

 

大空属性の炎を持つ者のみ、全ての属性の匣を開けることができる。ただし条件として6~7割の力しか引き出せないが。

 

その効果を思い出した俺は一つの可能性を思い付く。

 

全ての属性の匣を開くことができるということは、全ての効果をある程度は使えるのではないかと。

 

そしてそれで魔法を強化できるのではないかと。

 

俺の死ぬ気の炎は大空属性である。それも普通の炎ではなく魔力変換資質というやつでだ。

 

つまり俺の魔法には『死ぬ気の炎』が付与される。なのでどのような効果があるかなど検証する必要があるのだ。

 

まず俺はいつもの高台で結界を発動させる。

 

 

「よし!いくぞヒッツ」

 

 

そこで俺は死ぬ気の炎を使わず射撃魔法を発動させる。

 

 

火炎の銃弾(フレイムバレット)

 

 

俺の前に一つのオレンジ色の球体が現れる。

 

俺はそれを上下左右に動かす。スピードはそこまで速くないが、コントロールはしやすい。最後に地面に放つことで破壊力を確かめる。

 

地面が少し焦げている。これは威力が高いのかどうか比較対象がないので分からないが、牽制程度には使えるだろう。

 

そして俺は死ぬ気の炎を発動させる。

 

俺の額にオレンジ色の炎が灯った。俺は再度、射撃魔法フレイムバレットを発動させる。

 

俺の前にオレンジの球体が再び現れ、もう一度球体を操作する。今度も同じように上下左右に動かし、スピードとコントロールを調べる。先程と違い強化されているのかスピードが上がっているのがわかる。

 

ここで俺は幾つか試してみることにした。

 

まずは炎の出力を上げてみる。

 

額の炎が少し大きくなったのがわかる。すると球体も少し大きくなり、またスピードも上がった。だがその分、コントロールが少し制御しづらくなった。

 

今度は炎の出力を下げてみる。

 

球体も最初の大きさに戻りスピードも戻ったが、死ぬ気の炎を発動していないときよりは早い。

 

最後は破壊力の確認だ。

 

俺は球体を地面にぶつける。ドゴンと周囲に音が響いた。地面を見てみると、少し凹凸ができていた。

 

ここまでで確認して分かったが炎があるのとないのとでは、やはり魔法の強さの度合いが変わってくるようだ。

 

俺はさらに検証するため別の魔法も試すことにした。

 

 

 

◆◆◆

 

 

 

時刻は昼頃…

 

 

俺は昼飯を食いながら考えていた。ちなみにお昼ごはんは、親子丼である。

 

検証した結果、やはり死ぬ気の炎によって魔法は強化されていることがわかった。ただ、使う魔法によって強化されるところも違うということも分かった。

 

ではなぜ、死ぬ気の炎によって魔法は強化されるのか?俺はそれをずっと考えていた。

 

まずは一つずつ整理していこうと思う。

 

この世界の魔法は…

 

空気中に漂う魔力素を操作し、術者の魔力を使用し「変化」「移動」「幻惑」の作用を起こす。これらをうまく調節し、組み合わせた内容をプログラムと言うらしい。プログラムは詠唱・集中などのトリガーにより起動される。

 

リリカルなのはの小説でも言っていたが「魔法とは、自然摂理や物理法則をプログラム化し、それを任意に書き換え、書き加えたり消去したりすることで作用に変える技法である。」らしい。

 

そして死ぬ気の炎とは…

 

人間の生体エネルギーを圧縮し視認できるようにしたものであり、7つの属性がある。まあ他にも種類はあるのだがここで語るとややこしくなるので今回は割愛する。

 

分かりやすくいえばドラゴン〇ールに出てくる「気」や、H〇NTER✖H〇NTERに出てくる「念」みたいなものと思ってもらえればいいだろう。

 

そしてこれらのことをまとめると…

 

・魔法はあらかじめプログラムされた内容を起動することによって発動する。

 

・俺の死ぬ気の炎は大空属性の効果を持つ。そして大空属性の炎は全ての属性の炎の効果をある程度使える(…と俺は考えている。)

 

・死ぬ気の炎を発動させることによって魔法は強化される。

 

以上のことからこれらのことを鑑みて…

 

発動する魔法によって死ぬ気の炎は自動的にそれに合う効果で強化しているのではないか?ということだ。

 

まあ完全に俺の推測であるが…

 

だがそう考えると全ての辻褄が合うのだ。

 

攻撃魔法を使えばスピード、破壊力が強化され、

 

防御魔法を使えば強固さが上がり、

 

捕縛魔法を使えば丈夫になり、

 

回復魔法を使えば活性化が上がり治癒力が上がる。

 

要は俺の死ぬ気の炎と魔法は非常に相性が良いのだ。まあこれらのことが分かっただけでも良しとする。

 

俺は昼飯の親子丼をゆっくりと噛み締めるように食べるのだった。

 

 

 

◆◆◆

 

 

 

俺は今、バリアジャケットを纏ってある場所へと向かっている。いよいよ計画を実行するためだ。

 

もうすぐその場所へつくため、俺は飛翔魔法ファイアウィングを解除する。俺の背中にあったオレンジの炎の翼が解除される。

 

 

「ついたな。海鳴大学病院」

 

 

この病院は、アニメ魔法少女リリカルなのはA`sで八神はやてが入院していた病院だ。

 

俺は昼飯を食い終わったあとすぐに高町士郎さんの治療をするため居場所を探すことにした。

 

入院するほどの大ケガを負ったといっていたことから、小さな病院ではないことは分かっていた。海鳴で大きな病院はこの海鳴大学病院しかないため、場所の検討はすぐについた。

 

そして俺は予め士郎さんの病室を調べるために、この海鳴大学病院に来たのだがどうやら親族以外は会えないようになっているようで調べることができなかった。

 

なので深夜になってから行動を開始したというわけである。

 

 

「いくぞヒッツ。ミラージュハイド」

 

 

俺は死ぬ気の炎を発動させたあと景色に溶け込み姿を消す魔法、ミラージュハイドを発動させる。

 

深夜に見つかったら厄介だからな。念には念をってやつだ。

 

そして俺は病院へと入っていく。

 

 

 

────────

──────

────

 

 

 

結論を言うと士郎さんの病室はすぐに見つかった。受付の案内板にある重傷患者の病棟に向かい、階段を登った先にある個室があった。その部屋の前のネームプレートに高町士郎と書いてあったのだ。

 

一応、ヒッツにたのんで病院のホームページからハッキングして確かめたがその病室でしっかりあっていた。

 

っていうか今気付いたけど始めからこうすればよかったのでは!?

 

と自分のうっかりに絶望していたが、ヒッツから「しっかりしなさい」みたいな思念が送られてきたので気にしないことにする。

 

よし!

じゃあいくか!

 

 

「しつれいしまーす」(ボソッ)

 

 

 

ガララッ

 

 

 

俺は小声で挨拶しながら病室へと静かに入る。挨拶するのは、まあそこらへんはキッチリしないとさ!やってることは不法侵入だけどねorz

 

俺は足音をたてないように静かに近付く。そこには全身を包帯で巻き、静かに眠る高町士郎さんの姿があった。

 

 

「これは…」

 

 

俺は想像してたケガよりひどいことに驚いた。というかよくこんな大ケガで復帰できたな。原作じゃ元気に働いていたが。

 

魔法少女リリカルなのはの元となった、とらいあんぐるハート3の方の高町士郎さんは他界していたが…

 

運が悪ければ同じように亡くなっていたかもしれない。それほどのケガを士郎さんは負っていた。

 

俺はミラージュハイドを解除し、さっそく士郎さんにフィジカルヒールをかける。

 

士郎さんの体を薄いオレンジ色が易しく包む。

 

俺はしばらくフィジカルヒールをかけ続けた。

 

 

 

ヒエンside end

 

◆◆◆

 

士郎side

 

 

 

僕は暗闇の中をさまよっていた。歩いても歩いても出口が見えない。だが僕は帰らなければならない。

 

愛する家族の元へ…

 

恭也、美由希、なのは…そして桃子

 

待っていてくれ…必ず必ず帰るから…

 

そのとき…

 

僕の前方を光が照らす。

 

こ、これは…

 

なんて…

 

優しい光なんだ。まるで大空に包まれているような…

 

僕はその光を求めて…歩き始めた。

 

 

 

士郎side end

 

◆◆◆

 

ヒエンside

 

 

 

しばらくして士郎さんの顔色が段々と良くなってきた。あまり回復させすぎると病院でも不審に思われる。治療はこれくらいで良いだろう。

 

 

「よし、帰るぞヒッツ」

 

 

「ガウウゥゥ~」

 

 

 

ガララッ……バタン

 

 

 

「いま………の………こは…?」

 

 

 

────────

──────

────

 

 

 

帰り道、俺は何かやりきった感覚を感じていた。

 

だが俺が回復させずとも士郎さんはいずれ完治していただろう。俺のはただの自己満足だ。

 

だけど…

 

なのはの泣き顔を見たとき、どうしても放っておくことができなかった。何とかしてあげたかった。

 

だから行動に移した。

 

もしかしたら俺の行動は余計なお世話だったかもしれない。だけど不思議と俺自身に後悔はなかった。

 

これは完全に偽善だ。

 

だけど偽善の何が悪い?

 

やらない善よりやる偽善。

 

あのまま見て見ぬふりをしていたら、それこそ気持ち悪くて、飯も喉を通らなかったしな。

 

ある意味、自分のためにも行動したってことにしておこう。

 

 

「とりあえず帰って寝よう~ふわあぁ~」

 

 

「ガウウ」

 

 

こうして俺は自宅のマンションへと帰っていった。

 

そして…

 

なのはから公園で士郎さんが目覚めたと報告を受けるのは、それから数日経ってからのことだった。

 




もう何話かしたら無印入ります。

では、また(* ̄▽ ̄)ノ~~ ♪

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