大空の炎の力を操る転生者   作:Gussan0

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どうも(゜▽゜*)

今回は月影一族のお父さん出て来ます。

では、どうぞ( *・ω・)ノ


第百八十七話 心の花を守る伝説の戦士LIX

第三者side

 

 

 

ヒッツの転送魔法で惑星城にやってきたハートキャッチプリキュア御一行。そこで見たのは護衛としてスナッキー達を雷で蹴散らしていた少女巫女姿の久遠と、薫子を防御結界で守っていたピンクの小ライオンの姿であった。

 

全員でスナッキー達を瞬殺した後、ひとまず話し合うことに。まずは一人先走ってデューンと戦っている少年(バカ)の元へ全員で加勢に行こうということに決まった。

 

しかし、ピンクの小ライオンによれば二人は猛スピードで移動しながら戦っており、今は惑星城へと戦う場を移したとのこと。

 

ひとまず二人の気配がする方へ向かおうということになり、移動を開始したとき、二人の幹部クモジャキー&コブラージャが立ち塞がる。

 

するとマリン&サンシャインがそれぞれ一対一を申し出たため、残りの面子は二人の気持ちを信じ尊重して、先へと向かった。

 

残ったマリンはクモジャキーと、サンシャインはコブラージャと、それぞれ別の場所で戦う。

 

二つの戦いは苛烈を極めた。

 

どちらの幹部もダークブレスレットを使用しパワーアップしたことで、前回戦った以上に強くなっていた。

 

奮闘するマリンとサンシャイン。

 

だが二人は次第に追い詰められ、ピンチを迎える。

 

しかしそんな二人を救ったのがパートナーである妖精のコフレとポプリだった。

 

小さいながらも一緒に戦うと決めた二匹は強かった。コフレとポプリの絆の力で持ち直したマリンとサンシャインは、クモジャキーとコブラージャをついに追い詰めた。

 

 

 

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マリンはクモジャキーに話しかける。

 

 

「クモジャキー……あんたは確かに強いよ。でも強くなって何がしたいの?」

 

 

「何がしたい……じゃと?」

 

 

「そうだよ。あたしは……プリキュアの力でこの世界を守りたい。ブロッサムと皆と、これからも楽しく生きていきたい。そのためならいくらだって強くなる!絶対に負けない!!」

 

 

マリンは目の前にいる幹部、クモジャキーに己の決意を告げる。

 

するとその決意が何かしらのトリガーになったのか、周囲の空間が彼女のこころの花である青いコスモスで埋め尽くされた。

 

 

「でも……あんたは自分が強くなることばっかり考えてさ、そんなのって……なんだか虚しいよ」

 

 

「…………確かにお前の言うとおりかもしれん。じゃが、じゃが!!」

 

 

クモジャキーはダークブレスレットを構えながら言った。

 

 

「俺はそれを分かる訳にはいかんぜよ!おおおおおおお!!」

 

 

そして右拳に赤いエネルギーを収束させると、マリンに向かって突撃していく。

 

 

「ただ強くなりたい……そのためにたくさんの人の心を弄んで世界を砂漠化しようとした!」

 

 

そしてマリンは駆けてくるクモジャキーに大きな声で告げた。

 

 

 

 

 

 

「海より広いあたしの心も、ここらが我慢の限界よ!」

 

 

 

 

 

 

マリンも右手に青いエネルギーを収束させると、クモジャキーの右拳とぶつけ合った。

 

 

「「はぁあああ!!」」

 

 

 

ドオオオンン!!!!!!

 

 

 

そして拳の激突を制したのは……

 

 

 

マリンであった。

 

 

 

ダークブレスレットは粉々に割れ、クモジャキーの戦闘力も低下する。その間にマリンは自身の武器であるマリンタクトを取り出し、構えた。

 

 

「花よ(きら)めけ!プリキュア・ブルーフォルテウェイブ!」

 

 

そしてクモジャキーに向けて水色の花のエネルギー弾を放った。

 

 

「あ、ああ……これは…」

 

 

クモジャキーの身体にブルーフォルテウェイブが直撃する。その瞬間、身体の内側から何か温かいものに包まれたかのような感覚に陥る。

 

 

「はぁあああ!!」

 

 

クモジャキーの後ろに大きな青いコスモスの花が投影され……

 

 

「俺の負けぜよ……キュアマリン……」

 

 

浄化が始まった。

 

 

「世界には……俺の知らない強さがまだまだ、たくさんあるぜよ……」

 

 

そしてどこか満足げな顔をしながら……クモジャキーは……静かに消滅していった。

 

 

 

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サンシャインはコブラージャに向けて話す。

 

 

「私は……どれだけ(みにく)くても……無様でも構わない」

 

 

目の前にいる幹部、コブラージャに己の決意を告げた。

 

 

「私は世界を、皆の太陽のような笑顔を守りたい!!」

 

 

するとマリンと同じく、彼女の決意が何かしらのトリガーになったのか、周囲の空間はサンシャインのこころの花である黄色のヒマワリで埋め尽くされた。

 

 

「な……これは!?」

 

 

コブラージャは目を見開き驚く。

 

そして彼の視線が一人の女性へと注がれる。

 

その女性はヒマワリをバックに輝いていた。

 

その姿は彼にとって……美を愛するコブラージャにとって……間違いなく彼女が世界で一番美しく見えた。

 

 

「美しい……名も知らぬ誰かのために動きは乱れ……それでも必死に戦う()()()()……」

 

 

そしてコブラージャは手を広げ、大きな声で言った。

 

 

 

「これが君達の言う心の美しさか!!」

 

 

しかし彼は小さな声で呟いた。

 

 

「だが……なにもかも遅すぎた」

 

 

そして彼は狂ったように笑い、ダークブレスレットを構えた。

 

 

「クックック……フッハッハッハッハッハッハッハッハッハ!もう今更、後戻りはできない!!」

 

 

そしてコブラージャは接近しながらJOKERのカードを投げつけ、闇のエネルギー弾でサンシャインを襲う。

 

 

「サンフラワー・イージス!」

 

 

しかしひまわりの盾で防がれる。そして……

 

 

「サンシャイン・インパクト!」

 

 

逆に金色のエネルギー弾で、ダークブレスレットを破壊されてしまった。その影響でコブラージャの戦闘力が低くなる。

 

 

「まだ間に合うよコブラージャ!」

 

 

そしてサンシャインは大きな声で告げた。

 

 

 

 

 

 

「その心の闇、私の光で照らしてみせる!」

 

 

 

 

 

 

そしてシャイニータンバリンを取り出し構えた。

 

 

「花よ舞い踊れ!プリキュア・ゴールドフォルテバースト!」

 

 

サンシャインはヒマワリ型のエネルギー光弾をコブラージャに向けて多数放った。

 

 

「あ……」

 

 

コブラージャの身体にゴールドフォルテバーストが直撃する。そのとき、身体の内側を何か温かい……優しいものに包まれたかのような感覚に陥る。

 

 

「はぁあああ!!」

 

 

コブラージャの後ろに大きな黄色いヒマワリの花が投影され……

 

 

「美しいね……僕の最後にふさわしい」

 

 

浄化が始まった。

 

 

「君と戦えてよかったよ……キュアサンシャイン……」

 

 

どこか満足げな顔をしながら……コブラージャは静かに告げた。

 

 

「アデュー……」

 

 

そして消滅したのだった。

 

 

 

 

 

 

二人のいた場所にはこころの花が残っていた。

 

ノコギリソウとハナマスの花だ。

 

ノコギリソウの花言葉は「戦い」

 

ハナマスの花言葉は「美しい悲しみ」を意味する。

 

どちらのこころの花も、()()()()()()と戻っていく。

 

マリンとサンシャインはそれを静かに見守るのだった。

 

 

 

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「闇が光を飲み込む時がきた……」

 

 

少年(バカ)の元へと向かう途中、コロシアムのような広場に差し掛かったとき一人の女性の声が響いた。

 

その声を聞いたとき、ムーンライトは目を見開いた。

 

彼女がコロンを失うきっかけを作った黒ずくめの少女ダークプリキュアが、巨大な月を背に柱の上に立っていた。そしてその側には仮面を被った銀髪の男性サバークがいた。

 

 

「ダーク……プリキュア」

 

 

ブロッサムやコッペが構えるが、ムーンライトが手で制した。

 

 

「皆、手を出さないで。私は決着をつけなければならないの。ダークプリキュアと……そして、かつての自分と」

 

 

「かつての……自分?」

 

 

ブロッサムが聞き返す。

 

 

「仲間というものを信じず、妖精を失い、ダークプリキュアに敗れた昔の私……」

 

 

「ムーンライト……でもそれは……」

 

 

コロンが説得しようとするが……

 

 

「これはケジメなのコロン。ダークプリキュアに勝つということは……昔の私に打ち勝つということなのよ」

 

 

「はぁ、分かったよ全く……。でも無茶はダメだよ?」

 

 

「分かってるわ。彼と一緒にしないでちょうだい」

 

 

そしてムーンライトはダークプリキュアへと戦いを挑んだ。

 

二人が激突する。

 

 

「お前を倒し、私は本当の私になる。はぁあああ!!」

 

 

「たぁあああ!!」

 

 

二人は雄叫びをあげながら格闘を開始する。

 

打撃が重いのか、離れた場所で見学している薫子達の元まで音が響く始末だ。

 

そして互いにエネルギー弾を撃ち合い、さらに衝突しようとしたところ……

 

 

 

ボゴオオオォォォォォンン!!!!!!

 

 

 

壁を破壊しながら何かが勢いよく吹き飛んできた。

 

 

「ごほっ……ごほっ……ぜぇ……ぜぇ……」

 

 

目を向けると、そこには探していた少年(バカ)がいた。

 

見るからにボロボロになっており、纏っている黒コートも所々が破れていた。咳き込んでいるのか口から血も出ていた。

 

 

「ヒエンさん!?」

 

 

「貴様は!?」

 

 

いきなりの少年の登場にブロッサム、ダークプリキュアも驚いていた。

 

 

「貴方……そのケガ……」

 

 

それはムーンライトも同じであったが。

 

 

 

第三者side end

 

◆◆◆

 

ヒエンside

 

 

 

「ぜぇ……ぜぇ……皆、無事だったか。他の二人は……」

 

 

俺は荒れる息を整えながら、こちらを見る面子に話しかけるが……

 

 

 

ドオン!

 

 

 

「!?」

 

 

突如放たれたエネルギー弾によってそれは叶わなかった。

 

咄嗟に展開したラウンドシールドで防ぐことは容易であったが。

 

 

「ほう。良く防いだな魔導師の男。デューン様と戦って生きているだけでも不思議なのに……まだそんな力を残しているとは」

 

 

「ぜぇ……ぜぇ……あんたはサバーク……」

 

 

「だがその様子を見る限りでは、もう限界も近いようだな?大方デューン様にこちらまで吹き飛ばされてきたか?」

 

 

「う、うるせぇよ……」

 

 

そうだ。

デューンの奴がこちらに向かってきている。悠長に話している場合ではない。

 

 

「まぁいい。貴様のおかげで我々の計画がほぼ全て潰されてしまったのだ。貴様にはここで消えてもらおう。わざわざデューン様のお手を煩わせることもない」

 

 

そしてサバークがこちらに手を向けて無数の黒いエネルギー弾を放ってきた。

 

 

「危ない!」

 

 

するとブロッサムが俺を突き飛ばし、代わりにエネルギー弾を食らってしまう。

 

 

「キャアアアア!?」

 

 

「つぼみ!?」

 

 

するとコッペ様がサバークに向けて青い光弾を放つが、サバークは瞬間移動で全てかわす。

 

それを見た俺はサバークに向けて突貫する。

 

 

「貴様!」

 

 

「くっ!?」

 

 

こちらに気付いたサバークが再度黒いエネルギー弾を放ってくるが……

 

 

「それが……どうしたあああぁぁ!」

 

 

俺は被弾することも(いと)わず、サバークにそのまま突っ込み、顔面をおもいっきり殴った。

 

 

「ぐああぁぁ!?」

 

 

吹き飛んでいくサバーク。

 

 

「サバーク博士!?魔導師!貴様あぁぁ!!」

 

 

それを見たダークプリキュアが俺に突貫してくる。

 

高速で接近し、俺に格闘攻撃を挑むダークプリキュア。俺は間合いに注意しながらそれらをかわしていく。

 

 

「すごいなお前。前に戦ったときより、スピードもパワーも段違いに上がってる。だが……」

 

 

()()()()()()()()()()……容易に倒せる相手だ。

 

 

「動きも単調……攻撃も大振り……今の俺を倒せるレベルじゃない」

 

 

そして奴の後ろに回り込み手刀を叩き込もうとしたのだが、俺の手刀をムーンライトが受け止めた。

 

 

「彼女の相手は私がするわ。貴方はそこで休んでなさい。ボロボロじゃないの」

 

 

しかも尋常じゃないほどの眼力で睨みつけながらorz

 

 

「お、おう」

 

 

気付けばそう答えていた。

 

ムーンライトとダークプリキュアはそのまま戦闘に入る。

 

だが見たところ有利なのはムーンライトだ。ダークプリキュアは動揺しているのかどこか動きがぎこちない。

 

そして俺は大人しくブロッサム達のところへと戻った。

 

 

「大丈夫ですか!?」

 

 

そこでブロッサムが声をかけてきた。

 

とりあえず俺は普通に返すことにした。

 

 

「だ、大丈夫だ。見た目ほどボロボロじゃない。そっちは大丈夫か?」

 

 

「は、はい。私も問題ありません」

 

 

「そっか」

 

 

すると薫子さんが話しかけてきた。

 

 

「ヒエン君……デューンはどうしたの?」

 

 

「そういえば……こない?」

 

 

俺は飛んできた方角を見る。だが奴がこちらに来る気配は一切しなかった。

 

 

「さっきまで戦ってたんですが……どこかに隠れて様子を見ているのか?」

 

 

「たぶん……その可能性は高いでしょうね。デューンは相手の絶望した顔を見るのが大好きだから」

 

 

「そうなんですか……」

 

 

薫子さんの言葉にブロッサムがやや辛い顔をしながら納得する。すると……

 

 

 

カラン……

 

 

 

そんな音が響いた。

 

音のする方を向けば、銀髪の男性が顔を手で抑えながらこちらにフラフラしながらやってきていた。

 

男性の下には半分に割れた仮面が落ちていた。

 

それを見た俺は気付く。

 

 

「サバーク……」

 

 

どうやら俺が吹き飛ばした拍子に顔の仮面が割れてしまったらしい。

 

すると戦いの手を止め、その顔を見たムーンライトが目を見開き声をあげた。

 

 

「お父さん!」

 

 

「「えぇ!?」」

 

 

「サバーク博士が……ムーンライトのお父さん!?」

 

 

ムーンライトの言葉に驚くブロッサムとシプレ、コロン。薫子さんは予想していたのか驚いてはいなかった。

 

サバーク……いや本名、月影英明(ひであき)博士は意識が未だに朦朧としているのか座り込む。

 

俺は原作知識によって彼のことは知っている。

 

簡単に説明すると、ゆりの父親である月影博士は三年前、『こころの大樹』の研究のためにフランスに行っていたのだが、研究がうまくいかず、煮詰まっているときにデューンの野郎に(そそのか)され、洗脳されてしまい『砂漠の使徒』の仲間になってしまったのだ。

 

そしてムーンライトが変身を解き、月影博士に近寄っていく。

 

 

「お父さん!忘れたのですか!?ゆりです!貴方の娘のゆりです!!」

 

 

「ゆり?…………ゆり!?」

 

 

するとゆりの声で意識が戻ったのか、月影博士はゆりを認識する。

 

 

「お父さん!!」

 

 

ゆりが涙を流しながら月影博士に近寄っていくが……

 

 

「来るな!!」

 

 

それを見ていたダークプリキュアが、黄金色の目をゆりに向けて、衝撃波で吹き飛ばしてしまった。

 

咄嗟に俺とブロッサムが吹き飛んでくるゆりを受け止める。

 

 

「よくも……よくも()()()を傷つけてくれたな!!」

 

 

「な、何を言っているの……?」

 

 

ダークプリキュアの言葉に意味が分からないといった感じで聞き返すゆり。

 

 

「何を?寝ぼけたことを……。私を生み出したのはサバーク博士なのだからな!」

 

 

「え……」

 

 

「私はサバーク博士の手によって作られた存在……その理由はただひとつ!それはムーンライト!貴様を倒すことだ!!」

 

 

「私を……倒す……?」

 

 

ダークプリキュアの言葉を聞いたとき、ゆりは足を震えさせ座り込む。

 

 

「そのために……お父さんが?」

 

 

そしてゆりは月影博士に声をあげる。

 

 

「お父さん!何かの間違いですよね!?お母さんと私を置いてこんなことになるなんて!?」

 

 

「…………」

 

 

だが月影博士は目を逸らして何も言わない。

 

 

「お父さん!!」

 

 

すると月影博士は一言、言った。

 

 

「…………すまない」

 

 

その言葉にゆりは茫然自失となる。

 

 

「……そ、そんな……」

 

 

転がり落ちたプリキュアの種も気にならないほど、今のゆりは精神的に脆くなっている。

 

無理もない。

 

行方不明になっていた父をやっと見つけたと思えば、それが自分の命を狙っていた敵の幹部であり……

 

自分を倒すために作られたダークプリキュアという存在が、父の娘を名乗っているのだから。

 

 

「月影博士は最早お前の父ではない。私の父、サバーク博士のために……お前には消えてもらう!!」

 

 

するとダークプリキュアがゆりに向かって迫ってくる。

 

それを側で見ていた俺は動こうとするが……ここで予想外なことが起こる。

 

 

 

ガクン……

 

 

 

(身体が重い!?)

 

 

身体が動かないのだ。

 

どうやらここにきて身体がついに限界を迎えたらしい。

 

咄嗟に防御結界魔法を発動させようとしたが、俺達を庇うようにブロッサムが前に出た。

 

 

「ぐ!?」

 

 

「邪魔をするな!消えろ!消えろ!消えろ!消えろ!消えろおおぉぉぉ!!」

 

 

そして収束させた赤黒いエネルギー弾を俺達に放ってくるが、ブロッサムが両手で受け止める。

 

 

「く、くうぅぅぅ!」

 

 

するとブロッサムは受け止めながらゆりに声をかけた。

 

 

「ゆりさん!しっかりしてください!ゆりさん!!」

 

 

「…………」

 

 

「ゆりさんのお父さんがこんなことになったのには、きっと()()()()()()()()()()()()!そのお父さんを守るためにも、ここで負ける訳にはいきません!!」

 

 

「ブロッサム……」

 

 

「ゆりさんは言いました。ダークプリキュアに打ち勝つことがかつての自分に打ち勝つことだって。私の憧れる強くて優しいゆりさんは……決して自分に負ける人ではありません!!」

 

 

「…………」

 

 

「お父さんを……()()()()()()()()()()()()()()()()!!」

 

 

「自分の……気持ち……」

 

 

そしてゆりはプリキュアの種を拾う。

 

それを見た俺も一言、言った。

 

 

「一発ぶん殴ってやれ」

 

 

「え?」

 

 

「自分の言いたいこと……本音をお父さんにぶつけて……そのあと一発ぶん殴ってやれ」

 

 

「私は……お父さんを……」

 

 

「私達プリキュアの想いは、皆の想いは……ゆりさんと共にあります!!」

 

 

その言葉をきっかけにブロッサムの両手にエネルギーが収束され、遂にダークプリキュアのエネルギー弾を相殺した。

 

 

「おのれえええええぇぇぇぇ!!!!」

 

 

それを見たダークプリキュアがさらにエネルギーを収束させた。

 

それは巨大な漆黒の槍であった。

 

まるで北欧神話に登場するオーディーンが扱う槍、グングニルのようであった。

 

 

(あの野郎!?かなり本気だ!?あんな密度の濃いエネルギーを生身で受け止めたら……人間なんて簡単に吹き飛ぶぞ!?)

 

 

そのときゆりが一歩踏み出し、ブロッサムと協力してシールドを前方に展開する。

 

そして凄まじい破壊力を持つ漆黒の槍を完全に受け切った……生身でorz

 

本当プリキュアって覚悟決めたらスゲェと思った瞬間でしたマル((((;゜Д゜)))

 

だがダメージを蓄積させていたブロッサムは限界だったのか、膝を崩してしまう。

 

それを咄嗟に受け止めるゆり。

 

俺?

俺は今、身体が動かない役立たずなので、現在彼女達の後ろで回復魔法をかけて回復中です。

 

 

「キュアブロッサム……ついでに大空氷炎(ひえん)、貴方達のおかげで私はもう一度戦う勇気を取り戻したわ。……ありがとう」

 

 

「「…………」」

 

 

俺とブロッサムは顔を見合わせて……もう一度ゆりの顔を見て……もう一度顔を見合わせた。

 

そして二人で理解した。

 

 

デレタアアアアアァァァ!!!!ヾ(@゜▽゜@)ノ

 

 

あの堅物真面目優等生冷徹冷酷眼鏡の月影ゆりが俺達にデレたのだ。

 

え?

撮影は大丈夫かって?

 

は!

愚問を!!

 

この俺を誰だと思っていやがる!!!!

 

しっかり録画してるに決まってんだろうがあああぁぁぁぁぁぁ!!!!!!Σ(゜Д゜)

 

 

「ここからは私が……貴方達や皆の想いを胸に……」

 

 

そして内心興奮する俺に気付かず、ゆりはココロポットを構えた。

 

彼女は光のワンピースに包まれながら、プリキュアの種を装填(そうてん)した。

 

 

「プリキュア・オープンマイハート!」

 

 

ゆりは舞うように光を纏い、自身の色をモチーフにしたワンピースを身に纏い、名乗った。

 

 

「月光に冴える一輪の花、キュアムーンライト!」

 

 

変身を完了させたムーンライトは、ゆっくりとダークプリキュアに近づいていく。

 

 

「これで終わりにしましょう」

 

 

「いいだろう。私達はどちらかが消えるまで戦う運命(さだめ)

 

 

「たとえ私が消えたとしても、ブロッサムがいる、マリンがいる、サンシャインがいる。そして彼……ヒエンもいるわ」

 

 

「そいつらも全て倒すだけのことだ」

 

 

「簡単には倒されない。それがプリキュアの絆!!」

 

 

その言葉を皮切りに二人の……光と闇のプリキュアが激突する。

 

 

「はぁ!!」

 

 

「たぁ!!」

 

 

 

ドドドドドドドッッッッッ!!!!!!

 

 

 

二人の打撃音が響く。

 

ダークプリキュアも先程までとは違い、動きに鋭さが戻っていた。ムーンライトの攻撃も速さと鋭さが半端ではなかった。

 

音がコロシアム全体に響いている。

 

音が響くということはそれだけ二人の打撃が重いということ。直撃を食らえばただでは済まないだろう。

 

そして二人は振り向くと、同時に自身のタクトを向けあった。

 

 

「くだらんな……この一撃で決着(けり)をつける!!」

 

 

「望むところ!!」

 

 

そして二人はタクトにエネルギーを収束させ、その身に纏った。

 

 

「プリキュア・ダークパワーフォルテッシモ!!」

 

 

「プリキュア・フローラルパワーフォルテッシモ!!」

 

 

そして互いにエネルギーを身に纏い、空中へと飛翔を開始した。

 

 

 

ドン!!

 

 

 

ドン!!!!

 

 

 

ドン!!!!!!

 

 

 

ムーンライトは紫の光を纏いながら……

 

 

ダークプリキュアは赤い光を纏いながら……

 

 

閃光となって激突する。

 

 

惑星城のコロシアム上を、紫と赤の閃光が何度も衝突する。

 

 

「はぁあああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!」

 

 

「うわぁああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!」

 

 

そして二人は雄叫びをあげながら……真っ正面から激突した。

 

 

 

ドドドドドドドッッッッッ!!!!!!

 

 

 

「ぬ、ぬうぅ…………」

 

 

「く、くうぅ…………」

 

 

 

ドドドドドドドッッッッッ!!!!!!

 

 

 

そして両者共に最大パワーを込めた。

 

そのとき月影博士が()()()()()()()()()()()()()()()俺は気付く。

 

俺はそんな彼に近付き、声をかけた。

 

 

「目を逸らさないで下さい月影博士」

 

 

「だが私は……」

 

 

「これが貴方が望んでやった結果じゃないにせよ今、貴方の娘達が互いに命を懸けて死ぬ気で戦ってるんだ。貴方がいくら目を逸らそうと……()()()()()()()()()()

 

 

「君に何が分かる!?私は……私は……娘達を……「だからこそ!!」」

 

 

俺は彼の胸ぐらを掴みながら怒鳴った。

 

 

()()あんたがこの戦いから目を逸らしちゃダメだ!逃げちゃダメだ!この状況はあんたが作ったんだ!()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()!あんたも大人なら……あいつらの父親なら……いや一人の男なら……覚悟を決めてあいつらの戦いの結果を、死ぬ気で見届けろ!!

 

 

そして爆発音が響く。

 

どうやら戦いがもうすぐ終わるらしい。

 

 

「バ、バカな……」

 

 

「勇気……愛……友情……優しさ……悲しみ……喜び……たくさんの気持ち……皆の心……仲間との絆……命と心に満ち溢れたこの世界を、私は守る!!」

 

 

そのときムーンライトのフローラルパワーフォルテッシモが一段と輝き、ダークプリキュアのダークパワーフォルテッシモを打ち破った。

 

 

「バ、バカなああぁぁぁ!!!!」

 

 

プリキュアの力の源とは『想いの強さ』だ。

 

『皆を守りたい』というムーンライトの純粋な気持ちが……彼女に力を与え、ダークプリキュアのパワーに打ち勝ったのだ。

 

 

「ハート……キャッチ!」

 

 

 

ドゴオオオオオォォォォン!!!!!!

 

 

 

そしてダークプリキュアは静かに地面へと落ちた。

 

 

 

◆◆◆

 

 

 

「う、ううぅぅ……ぐ、ぐわああぁぁ!!」

 

 

ダークプリキュアはダメージが限界だったのか、ふらつきながら仰向けに倒れてしまった。

 

俺達はその様子を少し離れたところで見ていた。

 

隣ではふらつく俺を支えているブロッサムが泣きそうな表情で、ダークプリキュアのことを眺めていた。

 

薫子さん達や、妖精達も複雑そうな表情で見守っていた。

 

 

「ぐ……」

 

 

そのとき座り込んでいた月影博士が立ち上がる。

 

月影博士は俺よりも15cmほど背が高い。

 

恐らく185cmはあるだろう。

 

するとこちらの様子に気付いたムーンライトが振り返り、ジッと見つめる。

 

より正確に言えば、月影博士を見つめる。そして……瞳から涙を流しながら抱きついた。

 

 

「お父さん!」

 

 

「…………」

 

 

だが月影博士はジッ目を閉じ無言のままだ。

 

数秒後……ゆっくりと話し始めた。

 

 

「ゆり……私はお前を抱き締める資格がない」

 

 

「え……」

 

 

「全ては……私の心の弱さが引き起こしたことだ」

 

 

そして月影博士は語る。

 

 

「あらゆる命と心を見守る『こころの大樹』。私はその秘密を解き明かせば、皆を幸せにできると信じていた。……魔法のように」

 

 

「…………」

 

「皆が幸せになる方法などない、という言葉さえ……耳に入らないほどに」

 

 

「…………」

 

 

「幸せは皆が少しずつ頑張って掴むもの。研究に行き詰まった私はデューンの誘いに乗り、心を奪われ、そして……サバークとして世界を滅ぼす敵の手先となってしまった。……ゆり、私は」

 

 

そのとき……

 

 

「キュアムーンライト!」

 

 

倒れていたダークプリキュアが再び立ち上がり、声をあげる。

 

だがその足はふらつき、誰が見ても分かるほどに満身創痍の状態であった。

 

 

「サバーク博士から離れろおぉ!!」

 

 

そしてふらつきながらも月影博士の元へと近づいていく。

 

ムーンライト……いやゆりも月影博士を離したくないのか抱きつく力を強めるが、月影博士はゆりの肩をポンと叩くと、ふらつきながら歩くダークプリキュアへと近づいていった。

 

 

「お父さん?」

 

 

ゆりは唖然としながらその様子を見る。

 

 

「ゆり、すまない。私はお前を苦しめるためにダークプリキュアを作ってしまった」

 

 

そして月影博士はゆっくりとダークプリキュアへ近づくと、優しく抱き締めた。

 

 

「キュアムーンライトを倒すためだけに作られた心のない人形……でも、もういいんだダークプリキュア。もう、いいんだ……」

 

 

ダークプリキュアも静かに月影博士を抱き締め返す。その表情は段々柔和になっていく。

 

 

「ゆり、この子はこころの大樹を研究して作られた技術と、お前の身体の一部を使って作られた……お前の妹だ」

 

 

「え……」

 

 

ゆりは瞠目(どうもく)する。

 

つまりダークプリキュアは……ゆりのクローンなのだ。

 

 

「私は()()()を戦わせてしまった……ダークプリキュア……お前は()()()だ」

 

 

するとダークプリキュアの身体が閃光し始めた。恐らく限界がきたのだろう。

 

 

「おとう……さん……」

 

 

ダークプリキュアは嬉しそうに微笑むと、ゆりを見た。その勝ち誇ったような顔にゆりは戸惑いを浮かべている様だった。

 

そのとき、ダークプリキュアの握りしめていた左手からゆりの『プリキュアの種』の欠片が落ちた。

 

それと同時に、月影博士の腕の中で満足しきった表情のダークプリキュアが目を閉じると、その身体は粒子となって夜空へ舞い上がっていった。

 

 

 

 

 

 

そして月影博士が夜空を見上げているとき……突如、拍手する音が周囲に響いた。

 

コロシアムにいた全員が上を見上げると、そこには柱の最上部に座りながら拍手しているデューンの姿があった。

 




次回は四度めの登場デューンさん。

とりあえず最終決戦もいよいよクライマックス。

次回で決着つきます。

では、また(・∀・)ノ

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