書けたので投稿~
どぞ( ゚д゚)ノ
ヒエンside
現在俺は、あるクラスの前で待ちぼうけを食らっている。いや、待っているというべきか。
4月になり俺は新しい中学、私立聖祥大学付属中学校へ転校してきた。
俺は元々、アメリカのニューヨークの学校に行っていたのだが、両親の仕事の都合でそのままついていくか、故郷の日本に戻るかの選択を迫られた。その結果、俺は日本に戻ることを選択した。
アメリカでそのまま暮らせばいいじゃん?って言ったんだが、息子を一人暮らさせるには流石にアメリカは心配らしい。なので父さん母さんの故郷、海鳴市へと来た次第である。住んでるのはマンションだけど。
ちなみに生活費や、家賃など全て親が持ってくれている。条件としてテストで良い点を取らないといけないが…。
条件を破ると両親についていかないといけなくなるかもしれないのでがんばらないといけない。
少し早い一人暮らしだが、暮らし始めると意外に楽しい。ちなみにちゃんと両親とは電話や手紙で連絡はとっている。今年の夏に一度様子を見に戻ってくるらしい。
「あー、緊張してきた」
俺が転校の挨拶をどう言おうか考えていると心の中にいるヒッツから「リラックスリラックス」といった思念が送られてきた。
サンキュー相棒。ちょっとだけ楽になった。
「大空くん、入ってきて~」
担任の先生の声が聞こえる。俺は覚悟を決めて中に入っていく。
ヒエンside end
◆◆◆
美由希side
今日は私の所属するクラス3年A組に転校生が来るらしい。今日学校に来て初めて知ったけど…
最近やっと余裕ができたおかげでこうやって周りを見ることができるようになった。
つい最近まで、私は家族を支えるのに必死で余裕なんてまるでなかった。
数年前、私のお父さん高町士郎がボディーガードの仕事をしているとき、テロにあってしまい重傷を負って入院してしまったから。
私の家は喫茶『翠屋』という喫茶店を営んでいる。お父さんの士郎が店長、お母さんの桃子がパティシエ兼経理担当で。
でもお父さんが入院したことでお母さんは一人で店を切り盛りしないといけなくなって…
その上、お父さんの看病もあったから…お母さんの負担が増えちゃったんだ。
私と兄の恭ちゃんも手伝ってたけど、皆、段々と心に余裕がなくなっていってた。
だけど、我が家にうれしいニュースが飛び込んできた。数年間眠り続けていたお父さんが遂に目を覚ましたっていう連絡が病院からきたの。
その連絡を受けたとき私達家族皆で抱き合って泣いて喜んだなあ。
「大空くん、入ってきて~」
私が思考していると担任の由香ちゃん、柊由香先生が転校生を呼ぶ。どんな子なんだろう?と内心ワクワクしながら前を見る。周りを軽く見てみるとクラスメイトも若干ソワソワしているのがわかる。
「失礼します」
すると一人の学生服を着た男の子が入ってくる。その姿を見た瞬間、クラスメイトが息を飲んでいるのがなぜだかわかった。
すらりとした華奢な肉体。
鮮やかな黒髪。
優しそうな瞳。
ふんわりとした穏やかなオーラ。
なぜだかその男の子を見ていると無性に守ってあげたくなる感じがした。
「アメリカのニューヨークから転校してきた大空氷炎です。日本には十年ぶりに戻ってきたばかりで分からないことだらけですが、皆さんと仲良くしたいです。どうぞよろしくお願いします」
美由希side end
◆◆◆
ヒエンside
俺は考えた末、無難にいくことにした。いや別にウケを狙って斬新な自己紹介もいいと思うよ?
ただ、リスクでかいやん?
思わず関西弁になったが転校初日にそこまでする勇気は俺にはない。やはり無難に普通が一番だ。ビバ普通!
「そうねえ~今、軽く大空くんに自己紹介してもらったけど先に席だけは決めちゃいましょうか~」
この人は俺のクラス3年A組の担任の柊由香先生。ポニーテールで身長が小さく、優しそうな笑顔で、ふんわりとした和やかなオーラを纏っている。その可愛らしさからクラスの皆からも慕われているようだ。っていうかこの人を見てるとなんだかフニャーとなってしまう。
「じゃあええと~あ、美由希ちゃんの隣が空いてるわね~。大空くん、あそこに座ってる眼鏡の女の子の隣の席にいってね~」
ただその言葉を聞いたとき、俺は正しく認識できなかった。
「大空くん~どうしたの~?」
「え?あ、いえ、えーとすいません。聞いてませんでした。もう一回お願いします」
落ち着け!
まだそうと決まった訳じゃない。
美由希なんて名前、同じ名前の人がいるかもしれないじゃないか!それに眼鏡っていったって別人の可能性もある!
「転校初日で緊張してたのかしら?もう一度言うからよく聞いといてね~。あの眼鏡の女の子、高町美由希さんの隣の席にいってね~」
フラグでしたね!
わかります!
「はい。分かりました」
俺は脳内で暴走しながらも平静を装い席へと近付いていく。そして高町美由希のそばまで近付くと…
「よろしくね大空くん」
こちらを笑顔で出迎えてくれた。
「うん。よろしく高町さん」
とりあえず気にしないようにしよう…。
◆◆◆
俺の軽い自己紹介が終わったあと、質問タイムとなった。皆やはり転校生となると珍しいようで、しかもアメリカのニューヨークから引っ越してきたともなると質問がなかなか終わらなかった。
というより俺があまりの質問の多さに目を回していると、隣の高町美由希が助け船を出してくれた。
「ほらほら皆、気になるのは分かるけどあんまりそんなに問い質さない。大空くん、目回してるよー」
「そうねえ~皆~聞きたいことがあるのは分かったけどそろそろ授業始めますよ~」
そこに由香ちゃんこと柊先生も止めてくれたので俺はなんとか質問の嵐から逃れることができた。ここはちゃんとお礼を言っとくべきだろう。
「ありがとう、助かったよ高町さん」
「別にいいっていいって」
と、高町美由希は……この呼び方はちょっと失礼だな。しばらくは高町さんで。高町さんは笑顔で答えてくれた。
◆◆◆
授業も終わり、帰る仕度をしていると柊先生がこちらに声をかけてくる。
「大空くん~美由希ちゃん~ちょっといいかしら~?」
「はい?」
「なあに?由香ちゃん?」
俺と高町さんが反応する。
「美由希ちゃんにお願いがあって。ちょっと大空くんに学校の中を案内してあげてほしいの」
「え?でもここにくる前にある程度、紹介してもらいましたけど…」
「大まかなところだけね?だから美由希ちゃんにその細かい部分をお願いしたくて…私このあと職員会議があっていけないのよ~」
「うん。わかったよ由香ちゃん。美由希さんに任せなさい!」
「ありがとう~」
柊先生と高町さんは手を取り合って握手している。こうしてみると姉妹みたいだ。先生の方が年下にしか見えないけど。
「大空くん何か失礼なこと考えなかった?」
そのとき柊先生がこちらを向く。俺は即座に「何も考えてないです!」と言葉を紡ぐ。
なんでこの世界の女性は思ってることがわかるのだろう?そんなに顔に出やすいかな?
俺が自分のポーカーフェイスに自信をなくしていると…
「じゃあさっそく行こっか!」
高町さんが声をかけてくれた。
「うん」
俺はそれについていくことにした。
俺は高町さんに連れられ学校の中を案内してもらっていた。ただこの私立聖祥大学附属中学校、私立なだけあってやけに広い。というか校舎自体もかなり綺麗だ。ここの生徒がいかに真面目かがよく分かる。
俺が案内された中で一番のお気に入りの場所がある。それはこの学校の屋上である。なぜなら魔法少女リリカルなのはA`sの最終回で少しだけここの屋上が出てきたからだ。
丁度、エンディングが終わったあと15歳に成長した高町なのは、フェイト・テスタロッサ、八神はやての3人がそれぞれのデバイスをかかげてセットアップするのだが、そのシーンでここの屋上が出てくるのだ。
俺もあの場面と同じようにヒッツを掲げてセットアップしたかったが高町さんがいたので断腸の思いで諦めた。そのときヒッツから呆れた思念が送られてくるが気にしないことにする。
ついでに言っとくと屋上についた瞬間、思わずテンションが上がって写メを撮ってしまった。だが俺は悪くない。世界が悪い。
そのとき高町さんに「なんで写メなんて撮ってるの?」と苦笑しながら言われたので咄嗟に「転校してきた記念かな?」といっといた。
とここで俺は名案を思い付く。
「高町さん、メルアド交換しない?」
「別にいいよー」
「おお、ありがとう」
俺の携帯に友人第二号の名前が登録される。ちなみに第一号は言わずと知れたなのはである。ちなみに番号は家の電話番号ね。
ってか高町姉妹と友達になるなんて前世じゃ考えられなかったことである。つくづく転生したんだなあと感じる今日このごろ。
「それじゃ今日はもう帰ろうか」
「うん。案内してくれてありがとね」
「そんなの全然いいよー。困ったことがあったらすぐにいってね」
あれだよね。
基本的に高町家の皆さんってお人好しですよね。
ヒエンside end
◆◆◆
美由希side
大空くんの学校の案内も終わり彼と別れた後、私はお父さんのお見舞いに海鳴大学病院に訪れていた。
そして病室にいくとそこにはお母さんと、妹のなのはが既に来ていた。私が病室に入ると3人とも私に気付いたようだ。
「あ、お姉ちゃん!」
なのはが私に抱きついてくる。私はそれを受け止め優しくなのはを抱き上げる。
「お母さんとなのは、もう来てたんだ」
「ええ。丁度、お店も一段落ついたから」
「なのはも学校早く終わったから~」
お母さんとなのはが答える。
「すまないな桃子。苦労をかけさせて」
そこでお父さんが話す。
「いいんですよ、貴方はまずケガを治すことだけ考えてください」
「うーん、体はだるいけどどこも痛くないんだけどなあ」
「はぁ、全身大ケガしてたんですよ。先生も言ってたじゃないですか。こんなに早く回復するのは奇跡だって。もう無理はしないでください」
「分かってるよ。もう皆に心配はかけない。ボディーガードの仕事はもうやめる。これからは喫茶『翠屋』のマスター一筋だよ」
「はい。また頑張りましょうね」
「ああ、ありがとう桃子」
「はい、貴方」
二人は自分達だけの特別な空間を作ってしまった。私は慣れたその光景に苦笑しつつ、会話に入る。
「そういえば私のクラスに転校生が来たんだ~」
「へぇ、そうなのかい?」
「珍しい名前だから印象的だったよ」
「どんな子だったの?」
父と母が会話に混ざる。というかいつの間にか元に戻ってた。
「大空氷炎くん。氷に炎ってかいてヒエンだって。席も偶然隣になったんだよ」
その言葉を聞いた瞬間、最も反応する人物がひとりいた。
「ヒエンくん!」
なのはである。
私はビックリして驚く。
「え、なのは大空くんのことしってるの?」
「うん!なのはの初めての友達なの!」
なのはが嬉しそうに答える。
「あら、そんな偶然もあるのね~」
「お母さんも知ってるの?」
「ほらあのときなのはが、友達と遊んでくるっていって張り切ってたときがあったじゃない?」
そういえばいつも家の中にいるなのはが珍しく、ままごと道具一式をもって元気よく出掛けたのを覚えている。
「そのとき遊び疲れたなのはをヒエンくんがおぶって帰ってきてくれてね。優しそうないい子だったわ~」
「へえ~桃子となのはがそこまで良く言う子か。はっはっは。ちょっと会ってみたいな~」
士郎も笑顔で言う。が気のせいでなければ目が笑っていない。あれは試す気だと美由希は心の中でヒエンに合掌する。
「ヒエンくんはなのはのヒーローなの!」
「ヒーロー?なんか助けてもらったの?」
「にゃははは。ヒミツ~」
なのはは楽しそうに、嬉しそうに笑っていた。私はなのはのそんな顔を随分と久し振りに見た気がした。
この子がこんなことを言うのだ。大空くんはなのはの何かを救ってくれたのだろう。何があったのか今度彼に聞いてみるのもいいかもしれない。
ちなみにそれを聞いたお父さんが「娘はまだやらん」と呟いていたのは私だけの秘密にしておこう。
もう少し日常編もといプロローグかいたらいよいよ無印突入じゃーε=┌(;・∀・)┘