明けましておめでとうございます。
今年もどうぞよろしくお願いします。
2018年なってから初投稿。
では、どうぞ( *・ω・)ノ
ヒエンside
俺は周りにいる二人……フェイトとシグナムに視線を向ける。
「…………」
「…………」
二人は己の相棒を構えて周囲の様子をうかがっている。
そして俺も二人を警戒しながら考えていた。
(二人とも隙がない……)
現在俺達は約10mの距離を開けている。
フェイトもシグナムも移動スピードはとても速い。たかだか10mなど二人にとっては一秒にも満たないスピードで移動できる距離である。
できればさっさと離脱したかったがその隙がまるでなかった。
そしてシグナムはレヴァンティンを横合いに構え、フェイトもバルディッシュをどっしりと構えていた。
先ほど戦って分かったが、シグナムは武器の技術面においては達人クラスの域にある。
彼女が最も得意とする近接技「紫電一閃」。
その正体はレヴァンティンの刀身に魔力を乗せた斬撃であり、強力なバリア破壊を併せ持つ。また炎が追加効果で付与されることで攻撃力もさらに増している。
A's本編でも、斬りかかられたフェイトがとっさに防ごうと出したバルディッシュを一刀両断するほどだ。
俺達の中でも近接戦闘の高さは一番上であろう。
対してフェイトはというと俺は彼女とは一度戦ったことがある。あのときは魔力の差や戦闘経験の差もあってかフェイトの方が優勢であった。
だがあのときよりこの子もさらに強くなっている。デバイスはバージョンアップし、バリアジャケットも強化されている。
それだけじゃない。
フォームチェンジすることでさらにスピードアップする。
どちらも自分の強味で攻めてくるはず。
油断はできない。
俺は考える。
(俺の勝利条件……それはここから速やかに離脱すること)
俺は必ずしも二人に勝たなきゃいけない訳じゃない。要は転送魔法を発動させる隙を僅かに作り出せればいいのだ。
それに二人に対する最低限の対策はできた。
(少なくともこれでヒエンとキュアヒートが
あとは二人の動きを見て、隙を見出だし逃げに徹するのみ。
「…………」
「…………」
二人も今は観察に徹しているのか未だに動く気配はない。
(動くなら今か?……なら先手必勝!)
それをチャンスと見た俺は足元に死ぬ気の炎を纏わせると力一杯地面を踏んだ。
ドシン!!
「「!?」」
そのとき巨大な地響きがなり、辺りを砂塵が舞う。
俺はその砂塵に紛れてある魔法を発動させる。
すると二人は視界を確保するためか、空中を突っ切り滞空していた。
そして地面を見ると二人とも目を見開かせた。
「これは……」
「フェイクシルエット!?」
地面には10人の俺がいた。
二人の動きは速い。
攻撃を当てるのは並大抵ではない。
ならその動きを止めてしまえばいい。
そして俺は自身の周りにオレンジのスフィアを10発展開すると、空中にいる二人に向けて射撃魔法を放った。
ズドドドドドドドッッッッ!!!!!!
幻影達も同じくスフィアを展開し射撃魔法を放つ。
その数はおよそ50発。
二人はすぐにその場から離脱する。
だが本物の魔力弾は俺の操っている魔力弾10発のみ。残りの40発は全て幻影だ。
俺はマルチタスクをフル稼働させながら幻影を操っていく。
今の俺が死ぬ気モードで操れる幻影の人数は最大で20人。幻影の魔力弾は最大で100発。
それぞれ同時に操ろうとすればその中間しか操れない。
俺は幻影の魔力弾と本物の魔力弾を混ぜながら二人に放つが、二人は全てかわし、地面にいる俺にそれぞれ遠距離攻撃を放ってきた。
《Plasma Lancer》
《Schlangeform(シュランゲフォルム)…………Schlangebeißen(シュランゲバイセン)》
「ファイア!」
「はっ!」
フェイトはフォトンランサーの発展型であるプラズマランサーを連射で……
シグナムはレヴァンティンを中距離戦闘形態の
俺へと放ってきた。
二人の攻撃を食らい、幻影は一気に消えていく。
そしてその凶弾が遂に俺にまで迫ろうとしたとき……
「……消えた!?」
「あれも幻影か」
そして俺は
「ふっ!」
そして勢い良く炎の拳で殴り付けた。
「ぐ!?」
俺の攻撃を食らい地面に吹き飛ぶシグナム。
「シグナム!?」
続いて吹き飛ぶシグナムを見て思わず動きを止めるフェイトに今度は接近する。
そして後ろから回り込み、フェイトの首に手刀を叩き込むが……
《Defensor》
俺の攻撃を察知したバルディッシュが自動詠唱で防御魔法ディフェンサーを発動させ、手刀を防いだ。
「後ろ!?」
そして俺の接近に気付いたフェイトがバルディッシュを振るう。俺はとっさにラウンドシールドを展開して攻撃を受け止める。
だが……
(消えた!?)
防いだ瞬間、フェイトの姿が掻き消えた。
すると超直感が反応する。
《ロードカートリッジ、クレッセントフォーム》
俺は後ろを振り向かずに左手を向けて再びラウンドシールドを展開させる。
すると……
ガキン!!
俺の後ろに回り込み魔力刃を展開させ、攻撃しているフェイトの姿があった。そして……
ピキキキッ……
ラウンドシールドにヒビが入った。
(く……なんて威力だ!?死ぬ気の炎で最低限しか強化してないとはいえ、フルドライブ状態のラウンドシールドにヒビが入るとは!?)
俺はとっさにラウンドシールドを受け流し、フェイトから離れようとするが……
《Trident Smasher》
バルディッシュにエネルギーが収束され、そのまま強烈な砲撃が至近距離から放たれた。
ドガァアアアアアアンン!!!!!!
だが俺は足下から炎を噴射させ真上に緊急回避することでかわしていた。
しかし攻撃はそれだけではなかった。
ガシッ!!
なんと右手をいつのまにか鞭のようなもので拘束されていたのだから。
(これは……シグナムか!?)
鞭の根元を辿ると、思った通りシグナムの姿があった。そして俺は拘束されたまま地面へと勢い良く叩きつけられる。
「くっ!?」
だが俺も倒れながら左手に炎のエネルギーをためると
「!?」
シグナムのシュランゲフォルムは見たところ
ならば……攻撃途中を狙えば防ぐことは容易なはず!
シグナムは狙った通り、俺の拘束を解除すると真上に跳躍し
だが……
「はぁあああ!!」
その
「く……鞘!?」
しかしシグナムは鞘でバルディッシュの魔力刃を受け止めると、フェイトをそのまま蹴り飛ばす。
《Plasma Lancer》
だがフェイトも吹き飛びながらもシグナムに一本の雷撃の槍へと変形させたプラズマランサーを放つ。
そして地面にいる俺にもバルディッシュを向け、着地と同時にさらにカートリッジをロードさせる。
「クレッセント……セイバー!」
そして魔力刃を飛ばしてきた。
すると刃の形状が三日月型から高速回転して円形状に変化する。
姿勢を崩したままの俺はかわせないと判断すると、炎の質を柔から剛に切り替え、炎の盾を形成する。
激突するクレッセントセイバーと炎の盾。
【調和】の効果を司った炎の盾がクレッセントセイバーの威力をある程度削いでいく。
しかしカートリッジで強化されていたこともあって防ぐことは叶わない。そして強力な雷撃の魔力刃が俺を襲う……がなんとかクロスガードで防ぐ。
強力な爆発が起こり再び辺りを砂塵が舞う。
少しダメージを受けてしまった俺は膝をつきながら呼吸を整えていた。
「はぁ……はぁ……はぁ……さ、さすがにあの二人同時に相手にするのは……キツイですね……」
フェイトは今の俺と同等のスピードで攻めてくるし、シグナムも近接戦闘だけでなく蛇腹剣を使うことで中距離戦闘を可能としている。
それに一方の攻撃を防いでもさらにもう一方が攻めてくるし、二人同時に襲ってくることもある。一人一人が相手ならまだしもあの二人同時に攻撃されるのは溜まったものじゃない。
それだけじゃない。
どちらもカートリッジを使用することで瞬時に魔法を強化してくる。
こちらも死ぬ気の炎で魔法を強化できるとはいえ、その度に体力を少しずつ消耗していく。
長期戦になればなるほど俺が不利となっていく。ここは
上を見ると空中でフェイトとシグナムが激しい打ち合いを行っていた。
ヒエンside end
◆◆◆
第三者side
フェイトとシグナムは対峙していた。
黒衣の少女も二人を相手に戦っていたが、地面に吹き飛ばされてからは姿を見せていない。
二人ともその行方は気になったものの砂塵が舞っているのもあってすぐにその姿を見失ってしまった。
いや、それよりもその確認に割く余裕がなかった。
二人は武器の衝突で互いに吹き飛ぶと、約30mほどの距離を開けながら着地する。
「プラズマ……」
そしてフェイトはカートリッジをロードさせ、左手に電気エネルギーを溜める。
「
シグナムも鞘にレヴァンティンを収め、カートリッジをロードし魔力を圧縮させる。
そして……
「……スマッシャー!!」
「……
互いの攻撃魔法を放った。
激突するプラズマスマッシャーと飛竜一閃。
フェイトのプラズマスマッシャーは、サンダースマッシャーの発展型であり最大射程をある程度犠牲にすることで威力と発射速度を高めている。
シグナムの飛竜一閃も、シュランゲフォルムの連結刃に魔力を乗せて撃ち出すことにより
その威力は互角であり、互いに相殺された。
「はぁああああ!!」
「でゃああああ!!」
ガキイイイイィィィィン!!!!!!
そして両者はそれを合図に再度激突する。
数度打ち合った後、再び距離を取った。
だがシグナムもフェイトも無傷ではなく、互いの戦闘の影響で小さな切り傷があった。
両者共に非殺傷設定にしているとはいえ、それでも激しい戦闘の影響か所々にキズを負っている。
「「はぁ……はぁ……はぁ……」」
(ここにきて……なお速い。目で追えない攻撃が出てきた。早めに決めないとまずいな)
シグナムの左腕から血が流れていた。そのキズはフェイトのバルディッシュの斬撃が当たってできたものだ。
フェイトのスピードは徐々に上がっていた。
下手をすれば認識することすら困難な程に。
シグナムがフェイトと戦えているのは一重に長年の戦闘経験と、卓逸な戦闘技術によるものであった。
だがそれでも全ての攻撃を捌き切れる訳ではない。それだけではなく、この砂漠の天候……非常に高い気温が彼女の体力を少しずつ奪っていた。
(強い……
対してフェイトも足に小さな複数の切り傷があった。速さ……スピードこそが彼女の最大の武器であり真骨頂である。
足を負傷しているということはその速さが半減することを意味する。
フェイトはシグナムと比べて戦闘経験や技術は圧倒的に劣っている。
彼女がシグナムと渡り合えているのは得意のスピードで翻弄し、その僅かにできた隙を生かして攻撃しているからだ。
さらにフェイトはシグナムと違い防御が薄い。シグナムから一撃貰うだけでも致命傷になりかねないのである。
そして両者共に砂塵の方を見る。
砂塵が晴れるとそこには鋭い眼光で二人を睨んでいる黒衣の少女の姿があった。
((それに奴/あの人もいる。ここで引くわけには……いかない!!))
そして二人は思考を続ける。
(シュツルムファルケン……当てられるか?)
(ソニックフォーム……やるしかないかな?)
二人には切り札となるものが存在する。
それを使用すれば一気に流れを変えることができる可能性がある。
だが当然リスクも存在する。
決まらなければ逆に窮地に追い込まれ、追い詰められる可能性もある。
まさに諸刃の剣……
だが双方ともにそれだけのリスクを負わなければ倒せない相手だと本能で理解していた。
それは当然黒衣の少女も同じであった。
そして三人が動き出そうとしたとき……
「!?」
突然黒衣の少女がその場から跳躍する。
すると……
ズバァン!!!!
突如現れた白い仮面の男が黒衣の少女の後方から攻撃を仕掛けていた。
丁度
そこには魔導師の命とも呼べる器官……リンカーコアがある場所である。
戦いは三つ巴から……四つ巴に変わろうとしていた。
次回は四つ巴……かも。
では、また(・∀・)ノ