大空の炎の力を操る転生者   作:Gussan0

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どうも(゜▽゜*)

続き書けたで候。

もう四月ですね。

はぁ。最近時間が経つのは早いなぁと思います。

これを書き始めてもうすぐで二年っていう。

なんとか完結させたいですね。

では、どうぞ( *・ω・)ノ


第二百十四話 残り二日

ヒエンside

 

 

 

「いち………に……さん……し……ご……」

 

 

俺が目覚めてから二日が過ぎた。

 

俺は現在、さざなみ寮の庭で軽いストレッチを行っている。

 

なんせ十日も眠っていたのだ。

 

鈍った身体を鍛え直さなければならない。

 

 

「ではヒエン、組み手を行いますよ?」

 

 

「おう」

 

 

そして傍で指導していたリニスと今から組み手を行う。

 

 

 

────────

──────

────

 

 

 

俺は目を閉じて精神を集中させる。

 

 

 

ボゥ

 

 

 

俺の額にオレンジの炎が灯る。

 

久しぶりに死ぬ気モードとなった俺は身体の調子を確かめる様に軽く動かす。

 

 

(少し硬くなってるな……)

 

 

十日も眠っていたせいか身体全体の筋肉が少し硬まっていた。

 

 

「最初は軽く流してから徐々にペースをあげていきますよ。この組み手は貴方の感覚を取り戻すのが目的ですから」

 

 

「ああ、それより……皆いるのか」

 

 

俺がさざなみ寮へと視線をずらすとさざなみ寮の全員十人と久遠、なのは、フェイト、クロノ、リンディさん、フィリス先生……総勢十五人と一匹が俺達のことを見学していた。

 

お菓子とお茶でまったりしながら……。

 

 

「皆さん貴方のことを心配していたのです。起き上がれる様になった貴方のことがどうしても気になるのでしょう」

 

 

「そうか……お世話をおかけしました」

 

 

俺は見学している皆にペコリと頭を下げる。

 

すると苦笑いする者、笑顔で喜ぶ者、呆れる者など様々な反応が返ってきた。

 

そして俺達は互いに向き直り、約5mの距離を開けて構える。

 

俺は両腕を前に出す防御の構え……前羽の構えで、リニスは両手を上下に構えた……天地上下の構えだ。

 

するとリニスが赤福餅を食べていたフェイトに声をかける。

 

 

「ではフェイト、合図をお願いします」

 

 

「え!?あ、う、うん!それじゃ、始め!!……ケホッケホッ」

 

 

「大丈夫フェイトちゃん?はい、お茶」

 

 

「あ、ありがとうなのは」

 

 

フェイトは少し喉をつまらせながらも合図を出した。

 

その合図を機に俺達は組み手を開始した。

 

 

 

◆◆◆

 

 

 

先手はリニスからだった。

 

速い突きが俺の顔に放たれるが、それを咄嗟に左腕でガードしつつ、こちらも掌打を放つ。

 

リニスもそれを左腕でガードしつつ、再度こちらに突きを放つ。

 

俺達は超至近距離で互いに攻撃を仕掛けていく。

 

そして互いに素早い連撃を繰り出していく。

 

突きをかわすと回し蹴りを放ち、その蹴りをしゃがんで回避すると腹にパンチを繰り出す。

 

互いの陣地を占領するように攻守を入れ換えていく。

 

 

「ふっ!」

 

 

リニスの肘打ちが俺の胸に繰り出されるが、俺は身体を回転させるようにリニスの後方へと回り込む。

 

そして蹴りを放つ。

 

だがリニスも蹴りを放ち、相殺させる。

 

するとリニスが急に飛び上がり空中三段蹴りを放ってくる。

 

 

「!?」

 

 

それを超直感で感知した俺は、咄嗟に後方に飛びながら両手で蹴りをはたき落としていく。

 

そして着地した瞬間を狙って回し蹴りをお見舞いする。

 

だがリニスはスッとしゃがみかわす。

 

そして再び互いの蹴り技をぶつけ合う。

 

 

ガッ!ヒュンッ!!

 

 

ガッ!ヒュンッ!!

 

 

ガッ!ヒュンッ!!

 

 

俺の蹴りとリニスの蹴りが互いにぶつかり合う音と、繰り出す音が周囲に響く。

 

するとリニスが俺の片手を拘束すると、俺の姿勢を崩し投げ飛ばす。

 

 

「く……」

 

 

俺は咄嗟に右手を地面につくと側転の要領で姿勢を直す。

 

そしてカウンターとしてリニスの腹に掌打を放つ。

 

だがリニスはその攻撃を利用し、バク転で後ろへと下がった。

 

それをチャンスと見た俺はリニスに飛び蹴りを放つがリニスは俺の蹴りを両手で受け流し、うまく防御する。

 

俺はさらに攻撃を仕掛けていく。

 

リニスは俺の攻撃を的確に防御していき、カウンターとして肘打ちを繰り出してくるが俺も肘打ちで対抗する。

 

 

ガッ!ガッ!ガッ!

 

 

そして両者の肘打ちがぶつかり合った影響で、共に後方へと吹き飛ぶ。

 

姿勢をすぐに直した俺はそのまま突貫しようとしたが……

 

 

「ここまでです」

 

 

リニスが手を前に出し、組み手を中断させた。

 

 

「身体の調子はどうですか?」

 

 

尋ねられた俺は腕を軽く回しながら答える。

 

 

「特に違和感はないな」

 

 

「そうでしょうね。それにしても……随分腕を上げましたね?」

 

 

「そうか?まあ、あっちの世界で九ヶ月は過ごしてたし、その間にもちゃんとトレーニングは続けてたからな」

 

 

あちらの世界での戦いが終わってからでも約二ヶ月ほどしごかれていた。

 

目を閉じたらすぐに思い出せる。

 

ほぼ毎日明堂院流の当主と、その次期当主にしごかれ……

 

それだけでなく学校が終わって帰って来た明堂院流の娘さんにもほぼ毎日のように模擬戦を挑まれ……

 

時々様子を見に来ては俺と試合をしていくメガネ文系女子もいたからな(遠い目

 

今更ながら思う。

 

良く耐えきれたな俺(切実

 

 

「とりあえず……少し休憩しましょうか。どうやら貴方と私の組み手を見て話を聞きたそうにしている子達がいるようですし」

 

 

「ん?」

 

 

リニスが苦笑しているのが気になった俺はその視線を追う。

 

するとそこには何やら目を輝かせているなのはとフェイトの姿があった。

 

 

 

ヒエンside end

 

◆◆◆

 

第三者side

 

 

 

少年とリニスの組み手が始まると、なのはとフェイトは空いた口が塞がらないような表情をしていた。

 

 

「フェ、フェイトちゃん……」

 

 

「う、うん。なんとなく言いたいことは分かるよなのは」

 

 

(す、すごい……)

 

 

フェイトは内心でそんなことを思っていた。

 

リニスから少年のトレーニングの様子は事前に聞いていたが……実際に見るのと聞くのとでは訳が違う。

 

 

「まるでアクション映画の様ですよね」

 

 

「フィリス先生?」

 

 

そのときフェイトの隣にいたフィリスが話しかけてくる。

 

フェイトは彼女とは面識がある。

 

リニスから時々料理を習っているフェイトは包丁で自分の指を切ってしまったことがある。

 

そのキズの消毒に医務室へ行くとフィリスがそこにいたのだ。

 

そして二人は意気投合。

 

会う度によく話すようになった。

 

実際は人見知りであるフェイトにフィリスが積極的に話しかけていたのだが。

 

 

「目覚めたばかりで少し心配していましたが……あそこまで動けるようになっていますし、もう大丈夫でしょう」

 

 

「はい」

 

 

フェイトも嬉しそうに頷く。

 

すると丁度リニスが少年に三段蹴りを放ったところであった。

 

 

「組み手というには少しレベルが高過ぎる気もしますが……」

 

 

「あはははは……」

 

 

少年とリニスの息もつかぬ攻防にフィリスはどこか呆れる。

 

 

「く~」

 

 

「く~ちゃんが嬉しそうにしてる」

 

 

するとなのはに抱えられている久遠がどこか嬉しそうに鳴く。

 

 

「久遠もヒエン君のこと心配してたから安心してるんだよね?」

 

 

「く~♪」

 

 

するとそこにお盆を持ってきた那美が話しかけてきた。

 

お盆の上にはせんべいがあった。

 

なのはとフェイトはおせんべいをパリパリと食べながら見学する。

 

完全に和んでいる。

 

他の面子も少年が元気良く動いていることにどこか安心しているようだった。

 

 

「あ、終わった……のかな?」

 

 

「そうみたいだね」

 

 

するとリニスが組み手を中断させて、こちらへとやってくる。

 

なのはとフェイトの二人はすぐに少年に話しかけるのだった。

 

 

 

第三者side end

 

◆◆◆

 

ヒエンside

 

 

 

リニスとの軽い組み手を終らせた俺は少し休憩した後、心配をかけた人達にお礼を言って回っていた。

 

基本的にさざなみ寮の面子はある程度俺の置かれている状況を知っているらしい。

 

皆から気にしないように言われた……というよりもまた変なことに巻き込まれないように注意された。

 

特に心配をかけたのがさざなみ寮のオーナーである愛さんであった。

 

愛さんはなのはの母である桃子さんとも仲が良く、良く電話したりしているようなのだが……

 

桃子さんが俺のことをかなり心配しているらしい。

 

考えてみれば俺はまだ高町家の面々に無事であることを知らせていなかった。

 

というのも高町家の面々は魔法の存在を未だに知らない。

 

さざなみ寮の人達はアースラと同盟を組んでることもあって既に魔法の存在は知っている。

 

その関係で今回の闇の書のことも知っているのと、俺が無事であることも話せたのだ。

 

しかし、俺のことは一般人にはまだ伏せている。

 

当たり前だ。

 

まだヴォルケンリッターや、リーゼ姉妹、ギル・グレアム提督のことがあるのだ。

 

おいそれと話すわけにはいかない。

 

話を広めれば下手をすれば一般人を巻き込むことになる。

 

それだけは絶対に阻止しなければならない。

 

俺の事情を把握している愛さんも簡単に話すわけにはいかないことを分かっているのだろう。

 

少し辛そうにしていた。

 

あと他にも話を聞いていて驚いたことがある。

 

なんと俺の両親が二年ぶりに日本へと帰ってくるのだ。

 

どうやら事情を重く見た桃子さんが俺の両親にエアメールで俺のことを知らせたらしく、現状を理解した両親が急遽帰ってくることになったらしい。

 

それを愛さん経由で聞いた俺は頭を抱えた。

 

リニスからは「早く全て終わらせて皆さんに正直に話しましょう」と言われた。

 

どうやら今回の騒動が終わってからも俺にはまだまだやるべきことがあるようだ。

 

 

はぁ( ´Д`)

 

 

そうそう。

俺は目が覚めてからさざなみ寮から一歩も出ていない。

 

その代わりといってはなんだが、なのはとフェイトが学校終わりによく訪ねに来てくれる。

 

そして二人の話を聞いて分かったことがある。

 

それはアリサとすずかが24日のクリスマスイブにはやてにサプライズプレゼントを渡す計画を立てていることであった。

 

その話を聞いたとき、俺はすぐ二人に言った。

 

 

「やめておけ」と。

 

 

原作知識……この場合はテレビ版、映画版両方に言えることなのだが……

 

 

24日、クリスマスイブになのは達は、はやての病室にてヴォルケンリッターと鉢合わせてしまうのだ。

 

 

そしてそのとき初めてはやてが闇の書の主であることを知るのだが……そのことについては俺が既に二人に話しているので大丈夫だ。

 

だがサプライズプレゼントというのがまずい。

 

アリサとすずかの計画では、はやての病室にサプライズでプレゼントを渡そうということになっている。

 

だがそのままバカ正直に病室にいけばヴォルケンリッターと鉢合わせ、激突する流れになってしまう。

 

どうやらなのはとフェイトもその可能性を考慮していたらしく、その日は理由をつけてやめておこうと考えていたらしい。

 

俺としてはそちらの方がありがたい。

 

どちらにしろ、このままいけば闇の書は24日に起動するはずだ。

 

()()()()()も恐らくその日に動くことになるだろうから……なるべく余計なことはしない方がいい。

 

それだけ不要なリスクを背負うハメになるからだ。

 

まずは()()()()()()()()()()()をなんとかしなければいけないのだから。

 

そんな俺はというと……

 

深夜、さざなみ寮にあてがわれた部屋で相棒と話していた。

 

 

「うーん……やっぱり使えても一時間……ペース配分を考えれば数時間はいけそうだが……」

 

 

「ガァウ」

 

 

「ああ。これは使いどころを見極めないとダメだな。デューンのときは運が良かったんだ。考えてみれば……あの最終決戦も数時間で決着がついたからな」

 

 

「ガゥ」

 

 

「ああ、恐らく原作のときよりも強化されていると見ていいだろう。だがどんな風に強化されているのか全く予想できない」

 

 

「ガゥガゥ」

 

 

「だからこその『切り札』『奥の手』だろ?闇の書の管制人格が強化されたのは俺がリンカーコアを奪われた責任もある。キッチリ止めてやるさ」

 

 

「ガゥ!」

 

 

「『僕もやる!』か。ああ、絶対に止めような」

 

 

そして俺達は相談を続けた。

 

 

闇の書復活まで……

 

 

残り後二日を切っていた。

 




次回はいよいよクリスマスイブ。

闇の書が復活する。

では、また(・∀・)ノ

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