大空の炎の力を操る転生者   作:Gussan0

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どうも(゜▽゜*)

続き書けたで候。

今回から闇の書決戦編です。

では、どうぞ( *・ω・)ノ


第二百十五話 クリスマス・イブ

ヒエンside

 

 

 

ピピピピッッッッ…………

 

 

 

ピピピピッッッッ…………

 

 

 

ピピピピッッッッ…………カチン……

 

 

 

「ふわあああぁぁぁ……6時か……まだ暗いな」

 

 

俺は備え付けの目覚まし時計を止めるとムクリと起き上がる。

 

まだ辺りは日の出前なせいか暗かった。

 

 

「24日か」

 

 

俺は部屋にあるカレンダーに目を向ける。

 

いよいよクリスマスイブになった。

 

 

「今日が闇の書が起動する日」

 

 

原作……

テレビ版、映画版共に闇の書の起動する日は12月24日であった。

 

ここは並行世界であるが……復活する日はまず今日と見て間違いないだろう。

 

流石に詳細な時間までは覚えていないが確か夕方辺りだったはず。

 

原作のなのは達は終業式……学校が終わってからはやての病院を訪ねていた。

 

だとすれば……少なくとも夕方までは闇の書が起動するまで猶予があるということ。

 

そして……

 

 

(()()()()()()()()()()()()も必然的に今日になる)

 

 

思い浮かぶのは三人の仮面の男達。

 

俺達が本格的に闇の書の封印……はやてを救うために乗り越えなければならない者達。

 

奴らが出てくるのはテレビ版だけであったが、この世界では存在している。

 

しかも()()()()()()()()という原作でも存在しなかったヤバイ奴付きで。

 

 

(だからこそ……闇の書が復活する前に止めるんだけどな)

 

 

流石に闇の書の管制人格を相手にしながら仮面の男達の相手をするのはこちらに分が悪すぎる。

 

テレビ版のクロノは、なのはとフェイトが管制人格と戦っている間に仮面の男達を捕らえていたが……

 

 

(それだと遅すぎる)

 

 

闇の書の管制人格とはできれば万全の状態で戦いたい。

 

ただでさえ俺のリンカーコアを奪われて原作以上に強化されているのだ。

 

不安要素はできるだけ排除しておきたい。

 

 

(まぁ……奴等を説得して一緒に戦ってもらうという選択肢もあるにはあったんだが)

 

 

だがうまくいく確率は限りなく低いとみて良いだろう。

 

奴等は闇の書にかなりの恨みを持っている。

 

素直にこちらの言うことを聞くとは思えない。

 

 

「……ランニングにいくか」

 

 

俺は思考を一旦止める。

 

これ以上考えていても仕方がない。

 

俺は気分を入れ換えるために朝練にいくことにした。

 

 

 

◆◆◆

 

 

 

「はぁ……はぁ……はぁ」

 

 

俺は帽子とメガネ、マスクをつけて軽く変装してからさざなみ寮を出る。

 

そしてランニングを開始した。

 

どうしても気分転換したかったのだ。

 

練習場所である高台につく頃には朝日は完全に昇っていた。

 

そして高台の前にまで行くと先客がいた。

 

 

「あ……なのは、フェイト」

 

 

「「え?」」

 

 

そこには近接戦闘の訓練をしているのか棒を互いにぶつけ合っているなのはとフェイトの姿があった。

 

 

 

────────

──────

────

 

 

 

「おはよう二人とも」

 

 

「「あ、おはよう!」」

 

 

俺はメガネを取り、マスクを取る。

 

最初は俺を警戒していた二人だったが俺だと分かると嬉しそうにこちらに近寄ってきた。

 

なのはのツインテールが縦にピョコピョコ、フェイトのツインテールが横にチョロチョロ動いていることから二人とも機嫌が良いらしい。

 

前から思ってたけど二人の髪は尻尾の役割でもあるのだろうか?

 

こう見るとなのはは子猫、フェイトは子犬にしか見えなくなってきたのだが……。

 

 

「二人とも朝練か?」

 

 

「「うん!」」

 

 

二人仲良く頷く。

 

 

「魔法の訓練はしないのか?」

 

 

「最近は近接戦重視かな。魔法の訓練だけじゃダメだって気付いたから」

 

 

なのはが少し苦笑いで言う。

 

恐らくヴィータに襲撃され、やられてから彼女なりに考えたのだろう。

 

それが近接戦闘の訓練だったのだ。

 

でも思うのだが……

 

 

「なのは……まともに動けるのか?」

 

 

「え?」

 

 

「いやだってお前さん、運動苦手じゃないか。魔法を手に入れる前は何もないところでこけてたし」

 

 

目を閉じればすぐに思い出せる。

 

二人で歩いていると道には何もないのにこけてしまうし、翠屋でバイトしているときは机やイスに躓くことが多かったあのなのはが……

 

 

「セットアップしている状態ならまだしも素の状態で近接戦闘をこなすなんて高等技術……あの運動音痴のなのはにできるはずがない!!」

 

 

「ちょっとそれどういう意味かな!?」

 

 

すると俺の言葉を聞いたなのはがこれでもかと言わんばかりに頬を膨らませる。

 

ハムスターもビックリするほどのパンパン具合である。

 

俺はなのはの頬を人差し指でつつく。

 

 

「プシュー……もう!何するの!?」

 

 

「いやハムスターみたいだったからつい」

 

 

「なのははハムスターじゃありませんー!!」

 

 

するとなのははポカポカと俺のお腹を叩いてくる。

 

持っている棒をわざわざ横に置いて素手で弱く叩いてくるのに彼女の優しさを感じた。

 

いや棒で叩かれたらそれはそれでビビるが。

 

そしてフェイトはというと……

 

 

「♪♪♪」

 

 

俺となのはのやり取りを慈しむような……温かな視線で見守っていた。

 

フェイトさん……それ九歳で出せる雰囲気じゃないよ?

 

 

 

 

 

 

閑話休題(そんなこんなで)

 

 

 

 

 

 

俺はなのはとフェイトと話していた。

 

 

「二人とも棒術の練習してたのか」

 

 

「私がフェイトちゃんに稽古つけてほしいってお願いしたの」

 

 

「うん。それで今日はなのはの成果を見るために腕試ししてたんだ」

 

 

「ほう」

 

 

なのはとフェイトはそれぞれレイジングハートと、バルディッシュというデバイスを使っている。

 

特にフェイトはバルディッシュを近接戦闘でもよく使用するため武器の扱いには慣れているのだろう。

 

 

「それで成果はどうだったんだ?」

 

 

「うん。最初の頃に比べたら慣れてきた……かな」

 

 

「そうなのか?」

 

 

俺はフェイトに視線を向ける。

 

 

「うん。私の攻撃を軽く流せるくらいには」

 

 

「へぇ。たいしたもんだ」

 

 

話を聞く限りでは訓練を開始したのは約三週間前なのに、その僅かな期間でフェイトの攻撃を受け流せるまでになるとは……さすが戦闘民族高町家の末っ子である。

 

 

「そういえばヒエンも棒術やってるんだよね?」

 

 

「ああ。リニスからでも聞いたか?」

 

 

「うん」

 

 

するとフェイトが俺に聞いてくる。

 

 

「ねぇヒエン、良ければでいいんだけど……私と今から模擬戦してくれないかな?」

 

 

「うん?ああ、いいぞ。なのは、ちょっとこれ借りるぞ?」

 

 

「あ、うん」

 

 

俺は立ち上がり棒を取る。

 

そして軽くブンブンと回す。

 

太極拳は棒術の流派もある。

 

そのため俺は一応棒術の基礎も修めている。

 

俺は一通り調子を確かめると目を閉じ、死ぬ気化する。

 

そしてフェイトに向き直り、言った。

 

 

「いつでもいいぞ」

 

 

「……うん!」

 

 

フェイトは嬉しそうに頷くと棒を構えた。

 

 

「…………」

 

 

「…………」

 

 

俺とフェイトは約5mの距離を開けて睨み合う。

 

フェイトは僅か九歳にして大人顔負けの身体能力がある。

 

そして武器の扱いも俺より慣れていると見ていいだろう。

 

俺より力が弱い小学三年生の少女だとなめてかかれば痛い目を見るはずだ。

 

小細工は通用しないと思った方がいい。

 

ならば……

 

 

「いくぞ!」

 

 

攻めあるのみ!

 

俺は先手必勝として攻める。

 

それをフェイトは冷静に受け流しながら俺の懐に潜り込もうとしてくる。

 

そうはさせまいと俺はフェイトの進路を塞ぐように棒を振るう。

 

 

 

カンカンカン!!!!

 

 

 

俺とフェイトの棒がぶつかり合う。

 

俺はフェイトの攻撃を受け流しながらカウンターを狙うように攻撃するが、フェイトは紙一重でかわしながら素早い動きで俺の周りを動き回る。

 

そんなフェイトの様子を見ながら俺は内心驚いていた。

 

 

(素の状態でもこれだけ動けるとは……本当に九歳か!?)

 

 

「いくよ!」

 

 

「なっ!?」

 

 

するとフェイトは俺のカウンターを足場にすると大きく跳躍し、俺の後方に回り込む。

 

 

「まずい!?」

 

 

俺は咄嗟に前に転がる。

 

すると後ろからカンッ!と地面を叩いたような音が聴こえた。

 

すぐに体勢を立て直し、後ろを向く。

 

そして目の前には既にフェイトが肉迫していた。

 

俺は再度フェイトの攻撃を受け止める。

 

 

「なかなかやるなフェイト!」

 

 

「武器の扱いは小さい頃からリニスに習ってたから!」

 

 

「そう……か!」

 

 

俺は下からすくいあげるように棒を振るう。

 

俺の狙いに気付いたフェイトは咄嗟に一歩下がる。

 

 

(そこだ!)

 

 

それをチャンスと見た俺はすぐに距離を詰め、フェイトの首元に棒を突き付けピタリと止める。

 

 

「…………」

 

 

「…………」

 

 

そして両者共に自分の状態を見て言った。

 

 

「引き分け……か」

 

 

「そうみたいだね」

 

 

俺は視線を下げる。

 

俺の腹の手前で棒を止めているフェイトの姿があった。

 

 

 

◆◆◆

 

 

 

フェイトとの模擬戦を終らせた後は、俺は二人が持ってきていた朝ごはんをご馳走になっていた。

 

というかやたらと豪勢であった。

 

話を聞くと、昨日二人は高町家で少し早いクリスマスパーティーをやったらしい。

 

風邪を引いていたアリシアももう治ったみたいで桃子さんの料理を美味しそうに食べたり、アルフも子犬フォームで肉をつついてたようだ。

 

二人はどうやら俺にもパーティーの料理を食べてほしかった様で、朝練の後にさざなみ寮に持ってくる予定だったらしい。

 

久しぶりに食べる桃子さんの料理は大変美味しかった。

 

相棒とミニッツ達も実に美味しそうに食べていた。あの引っ込み思案のアオッツとアイッツもわざわざ出て来て食べた程だ。

 

小ライオンズを出したときのなのはとフェイトのリアクションは面白かった。

 

そういえば小ライオンズのことは二人に言っていなかったのを思い出した。

 

というか今思ったけどミニッツって相棒のファミリーみたいなもんだよな。

 

言うなれば相棒の守護者みたいな?

 

名前つけるなら……ヒッツファミリーとか?

 

まぁ、今はそれはいいか。

 

そして二人と別れた俺はさざなみ寮に戻り、シャワーを浴びてから時間をかけて準備をしていた。

 

久しぶりに風芽丘学園の制服に袖を通す。

 

 

「これを着るのも随分久しぶりだな」

 

 

体感時間では約十ヶ月振りだ。

 

今日は激しい戦いになるだろうから気合いを入れるために学校の制服に着替えた。

 

時計を見ると時刻は8時となっていた。

 

なのはとフェイトはもう学校へ行き、那美さんも既に登校している。さざなみ寮の人達も起きて各自の仕事に行っている。

 

いくらアースラと同盟を結んでいるといっても皆にも普段の生活があるのだ。

 

頼りにするのは本当にどうしても手が足りないときだけである。

 

そして俺は仕上げにバリアジャケットに換装する。

 

 

「セットアップ、プリキュアフォームrev1(リヴィジョンワン)

 

 

ただしプリキュアフォームでだがorz

 

そして俺は部屋の前で待機しているリニスに言った。

 

 

「行きましょう」

 

 

「ええ」

 

 

俺達はさざなみ寮を出た。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして俺は一人、海鳴臨海公園の灯台の前で待機していた。

 

 

「…………」

 

 

ジッと海を見る。

 

もうすぐ()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

すると俺の後方に青い魔方陣が現れる。

 

 

(……来たか)

 

 

俺が後ろへ目を向けるとそこには二人の男がいた。

 

件の白い仮面をつけた男達がやってきた。

 




次回、闇の書の前の前哨戦。

では、また(・∀・)ノ

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