大空の炎の力を操る転生者   作:Gussan0

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どうも(゜▽゜*)

ゴールデンウィークも終わりましたね。

今回はクロノvsリーゼアリア。

オリジナル魔法&展開満載です。

では、どうぞ( *・ω・)ノ


第二百十九話 前哨戦 後編

第三者side

 

 

 

《Stinger ray.》

 

 

クロノは自身の周囲に5個の青いスフィア生み出すと、上空にいる白い仮面の男リーゼアリアに放つ。

 

するとリーゼアリアも青いスフィアを5個生み出し、撃ち出した。

 

 

 

ズドドドドドドドッッッッ!!!!!!

 

 

 

両者が発動させたのは射撃魔法スティンガーレイ。

 

だが威力はリーゼアリアの方が上なのかクロノのスフィアは打ち消される。

 

クロノは続けて魔法を使用する。

 

 

《Stinger snipe.》

 

 

クロノの前に一発の魔力光弾が展開される。

 

そして迫るスティンガーレイをまとめて吹き飛ばす。

 

 

「スナイプショット!」

 

 

そのままさらに加速させ、高速で相手に放つ。

 

しかしそれがリーゼアリアに当たることはなかった。

 

 

「ホイールプロテクション」

 

 

リーゼアリアがシールドを展開させたからだ。

 

スティンガースナイプがホイールプロテクションに当たるがシールドは破壊されることなく、そのまま跳ね返してしまった。

 

それを見たクロノは焦ることなく横にかわす。

 

そしてスティンガースナイプを再度操り直し、リーゼアリアへと向かわせる。

 

それと同時に周りにさらにスティンガースナイプを3個ほど増やし、同じくリーゼアリアへと放った。

 

 

「はっ!」

 

 

前後左右からリーゼアリアに青い魔力光弾が迫る。

 

 

(これでどうだ?)

 

 

クロノは軽く様子を見る。

 

しかし、リーゼアリアは懐から白いカードを一枚取り出すとそれを空中に放った。

 

 

(カード型のデバイス?)

 

 

するとリーゼアリアの周りに四つの魔方陣が現れる。

 

そしてその中に魔力光弾が吸い込まれてしまった……と同時にクロノの周りに突如四つの魔方陣が現れる。

 

 

「!?……加速(アクセル)!!」

 

 

クロノは咄嗟に加速魔法を発動させ、その場からすぐに離脱する。

 

するとその魔方陣から先ほど吸収したと思われるスティンガースナイプが飛び出してきた。

 

それを見たクロノはすぐに分析する。

 

 

(転送魔法で座標を固定して僕に撃ち返してきたのか……)

 

 

だがリーゼアリアの攻撃は終わらない。

 

既にクロノの行く先に回り込むように青い鎖が放たれていたからだ。

 

 

「なら破壊する!」

 

 

クロノはそのまま砲撃魔法を使用する。

 

 

《Blaze Cannon.》

 

 

ブレイズカノンで鎖をまとめて吹き飛ばす。

 

そして即座に後方を向き、空中で滞空しているリーゼアリアにむけて広域砲撃を放った。

 

 

《Blaze Cannon Full Burst.》

 

 

クロノはブレイズカノンのバリエーションのひとつ。

 

ブレイズカノンフルバーストを放つ。

 

広域砲撃を放つことで逃れられないようにしたのだ。

 

青い砲撃の波がリーゼアリアへと迫る。

 

 

(この規模の砲撃なら跳ね返すことも、転移で撃ち返すことも不可能!!)

 

 

「ふっ……まだまだ甘いな」

 

 

しかしリーゼアリアは静かに呟くと、再度白いカード型のストレージデバイスを取り出し空中へと放つ。

 

 

「クロノ……お前を鍛えたのは誰だと思っている?その程度の砲撃では私は倒せない」

 

 

そして右手に青い光を収束させる。

 

 

「本物の砲撃というものを見せてやろう……ブレイズレイ」

 

 

するとリーゼアリアから放たれた直射貫通砲撃魔法ブレイズレイが、クロノのブレイズカノンフルバーストを簡単に撃ち破る。

 

そして真っ直ぐにクロノに向かっていく。

 

 

「くっ……」

 

 

クロノは砲撃を途中でキャンセルするとすぐに回避行動に移る。

 

そして間一髪、ブレイズレイをかわすことに成功する。

 

そのままブレイズレイはクロノの横を通りすぎ大爆発を起こした。

 

 

 

ドガァアアアアアアン!!!!!!

 

 

 

(やはり単純な射撃や砲撃の威力は僕よりアリアの方が上か……。チャージすればその限りではないが……)

 

 

クロノの魔力ランクはなのはやフェイト、少年と同じAAA。

 

なのはやフェイトより少し少なく、少年よりも少し多い程度だ。

 

魔力量を比べるとこうなる。

 

 

ヒエン<クロノ<フェイト<なのは

 

 

である。

まぁ、魔力差といっても四人の差は微々たるものであるが。

 

ちなみにリーゼ姉妹の魔力ランクはSランクでクロノ達よりも多い。

 

 

「余所見してていいのか?」

 

 

リーゼアリアの声でクロノは思考を中断すると、後方に向き直る。

 

そこには四発の魔力光弾スティンガースナイプが既に迫っていた。

 

クロノは即座に対応する。

 

 

「アサルトコンビネーション!」

 

 

《Stinger Assault.》

 

 

自身の周囲に30個ほどの少し小さな青いスフィアを展開させると四発の魔力光弾へと放ち、相殺させる。

 

青いスフィアは半分ほどに減っていたがそのままリーゼアリアへと放った。

 

しかしリーゼアリアは魔方陣を展開させるとその場から消える。

 

 

「転送魔法か!?」

 

 

クロノは周囲を警戒する。

 

するとクロノの身体を突如青いリングが拘束した。

 

 

「リングバインド……!?」

 

 

すぐにバインドを解除しようとするが……クロノの頭上を青い光が照らしていることに気付く。

 

 

「なっ!?」

 

 

そして目を見開いた。

 

 

 

 

 

 

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 

 

 

 

 

それはクロノもよく使うスティンガーブレイドの派生版。

 

 

スティンガーブレイド・エクスキューションシフト。

 

 

魔力刃スティンガーブレイドの一斉射撃による中規模範囲攻撃魔法である。

 

魔力刃の一つ一つに環状魔法陣が取り巻いており、目標物に一斉に狙いを定め放つ。

 

その破壊力は強力であり、魔力刃の爆散による衝撃で対象を攻撃するのだ。

 

ちなみにエクスキューションは「処刑」を意味する。

 

奇しくもバインドで拘束されているクロノはまるで処刑を待つ罪人のようであった。

 

しかし拘束されているクロノはそれどころではなかったが……。

 

 

(まずい!?今ここであんなものを食らえば大ダメージは免れない!?)

 

 

そしてクロノは苦悶の表情で多重ラウンドシールド、マルチラウンドシールドを展開させる。

 

巨大なシールドは五層にもなる。

 

 

(少しでもいい!少しでも時間をかせげれば!!)

 

 

そしてクロノに数百本の魔力刃が放たれた。

 

 

 

────────

──────

────

 

 

 

リーゼアリアは全ての魔力刃を撃ち終えるとジッとその様子を空中から見ていた。

 

あのあとリーゼアリアは転送魔法でクロノの()()()と転移した。

 

クロノが自分の姿を見失っている隙にバインドで拘束すると、その間にスティンガーブレイドを配置……そして放ったという訳である。

 

 

「…………」

 

 

リーゼアリアはジッと様子を見る。

 

周りの景色は荒れ地に変わっていた。

 

周りの木々はなぎ倒され、地面も抉れていた。

 

それほどの破壊力を生み出す魔力があの剣群には込められていた。

 

土煙が段々と晴れる。

 

そこには……

 

 

 

 

 

 

()()()()姿()()()()()()

 

 

 

 

 

 

《Impact Cannon.》

 

 

「!?」

 

 

すると突如、さらに()()()()青い砲撃がリーゼアリアに放たれる。

 

リーゼアリアは咄嗟にシールドを展開させると砲撃を防ぐ。

 

そして視線を上へ上げると……

 

そこにはボロボロになりながらも鋭い視線を向けるクロノの姿があった。

 

 

「やはり防ぐか」

 

 

クロノはポツリと呟く。

 

頭から少し出血しているのか、血が一滴下へと落ちた。

 

リーゼアリアはクロノへ話しかける。

 

 

「逃れていたのか」

 

 

「君が使った手を真似しただけださ、アリア」

 

 

そう。

クロノもあのとき転送魔法を使い、リーゼアリアの真上に転移することで魔力刃の剣群から逃れていたのだ。

 

 

「まぁ、いくつか食らってしまったけどね……」

 

 

クロノは少し苦笑しながら話す。

 

だがそんなクロノとは対照的にリーゼアリアは静かに話す。

 

 

「だがこれで理解できたはずだぞクロノ」

 

 

「……なにを?」

 

 

「お前は私に勝つことはできない」

 

 

「…………」

 

 

アリアの言葉にクロノは黙り混む。

 

リーゼアリアの言葉は確かに的を得ていた。

 

魔法の発動スピード……その威力……そして繰り出される戦術……リーゼアリアはクロノのそれらを全て凌駕していた。

 

だがクロノとて……そのことは十分、いや十二分に分かっていた。

 

 

「確かに君の魔法は僕より速く、強い。それに常に先手を取られてばかりだ。だがだからといって……」

 

 

そしてクロノは言った。

 

 

 

 

 

 

「それが勝負を諦める理由にはならない」

 

 

 

 

 

 

クロノの脳裏にはある少年の姿がよぎる。

 

その少年は今も必死になって自分より格上の敵と戦っているはずだ。

 

 

「あるバカに教えられてね……。そいつは魔力変換資質【炎熱】に【凍結】、そしてある稀少能力(レアスキル)を持っていることを除けば……魔力量は上の下、魔力資質も全てに適正があるとはいえほぼ平均値……と普通の武装局員とほぼ変わらない資質の持ち主だったんだが……そのバカはある奇跡を起こした」

 

 

「…………」

 

 

「相手は魔力練度……戦闘技術……魔力量……全てが上で……オーバーSランクを超す格上だったにも関わらず……そのバカはその相手に勝利を収めた」

 

 

「…………」

 

 

「どれだけやられても……どれだけ追い詰められても……決して折れることなく……"死ぬ気"でやり遂げた」

 

 

「…………」

 

 

「そんなバカに僕は学んだんだ。【死ぬ気でやる】。諦めずに立ち向かうことが大切なのだと」

 

 

「…………」

 

 

するとリーゼアリアが発言する。

 

 

「……そんな精神論で私に勝てるとでも?」

 

 

「いいや思っちゃいない。僕は飽くまでそういう気概が大切だと言いたいだけだ。まぁ、本人の前では口が裂けても絶対に言わないがな。言えば確実に調子に乗るのは目に見えている。……話が脱線してしまったな。つまり僕が言いたいのは……」

 

 

「…………」

 

 

「結果を決めるのはまだ早いということさアリア」

 

 

するとクロノは自分のデバイスを構える。

 

 

「本当はあのバカとの模擬戦で披露したかったが……仕方がない」

 

 

そしてクロノは静かに呟いた。

 

 

「……フルドライブ」

 

 

 

ドオオォォォォンン!!!!!!

 

 

 

そのときクロノの身体を青い魔力光が包みこむ。

 

リーゼアリアはあまりの眩しさに思わず顔を庇う。

 

 

「…………!?」

 

 

そして光が収まったと同時に前方に目を向けると、青い魔力を身体全体に纏っているクロノの姿があった。

 

 

 

────────

──────

────

 

 

 

「……ひとまずは成功か」

 

 

クロノはS2Uの限定解除……フルドライブを発動させた。

 

クロノのフルドライブは少年と同じく『能力強化』であるが少し違う。

 

少年のフルドライブがパワーやスピード、ディフェンスなどの『()()()()自己強化』であるならば……

 

クロノのフルドライブは『()()()()()()()()()()()()自己強化』である。

 

クロノはフルドライブを発動させることで、S2Uの演算能力をアップさせている。

 

すると必然的にクロノの魔法発動スピードも速くなる。その分、魔力のリソースも他に割けるので魔法の威力もアップするという訳だ。

 

さらにバリアジャケットの上から全体的に魔力を薄く鋭く纏うことで防御能力、敏捷力をアップさせている。

 

言うなれば二重強化しているようなものだ。

 

バリアジャケットのデザインが変わっていないのは無駄を嫌い、効率を重視しているクロノだからこそだ。

 

いかにも彼らしいフルドライブの能力である。

 

 

「フルドライブか」

 

 

リーゼアリアが呟く。

 

 

「ああ、周りに優秀な子が多くてね。僕も対抗するために取り入れたのさ。これでも置いていかれないようにするので必死でね……」

 

 

クロノの周りには将来有望で優秀な魔導師が多い。

 

その子達は僅か九歳でありながらかなりのスピードで成長している。

 

新しく強化したデバイスも僅かな期間でもう使いこなしてきたほどだ。

 

 

「それにあのバカもさらに強くなっているんでね……僕としては負けられないのさ」

 

 

「……だがいかに能力をアップさせようが私には勝てないぞ」

 

 

「それはやってみなければ分からない」

 

 

そしてクロノはS2Uを構え、リーゼアリアは白いカードを構えた。

 

 

「…………」

 

 

「…………」

 

 

そして激突した。

 

 

「はっ!」

 

 

クロノは射撃魔法スティンガーレイを発動させる。

 

だがスフィアのような形ではなく、レーザーのように放った。

 

数個の青いレーザーが一直線にリーゼアリアへと向かう。

 

 

「速い!?」

 

 

一瞬リーゼアリアは焦るが、転送魔法を発動させる。

 

すると青いレーザーは魔方陣に吸い込まれる。

 

そして再びクロノの側に魔方陣が現れ、レーザーが放たれた。

 

 

加速(アクセル)!」

 

 

クロノは咄嗟に加速魔法を使い、瞬時にリーゼアリアの後方へと回り込む。

 

 

「!?」

 

 

そして砲撃魔法を放った。

 

 

《Blaze Cannon Full Power》

 

 

 

ドゴォオオオオオオンン!!!!!!

 

 

 

クロノはブレイズカノンのバリエーションのひとつ、ブレイズカノンフルパワーを至近距離から放つ。

 

しかし……

 

 

「かわしたか」

 

 

既にそこにリーゼアリアの姿はなかった。

 

するとクロノは自身の周囲にスティンガースナイプを10個配置する。

 

 

「スティンガースナイプ・チェイスシフト」

 

 

スティンガースナイプはクロノを守るようにクルクルと回っている。

 

 

「そこだ!」

 

 

するとスティンガースナイプの半分の5つが()()()と向かう。

 

 

「ぐっ!?」

 

 

すると攻撃をシールドで防いでいるリーゼアリアの姿があった。

 

それを見たクロノはさらに後方にスフィアを回す。

 

リーゼアリアは両手にシールドを展開させると、スフィアを防ぐ。

 

しかし……

 

 

「威力も上がっている!?」

 

 

シールドにヒビが入っていた。

 

それを見たリーゼアリアはすぐにその場から離脱する。

 

そして高速魔法で移動しながら拳に魔力を収束させ、クロノの後方に回り込む。

 

それを察知したクロノはリーゼアリアの攻撃をラウンドシールドでガードする。

 

 

 

ガキン!!!!!!

 

 

 

しかしバリアブレイクの効果を纏っていたのかすぐに破壊される。

 

そして拳の連撃を放つ。

 

クロノはデバイスを構え、リーゼアリアの攻撃を受け流していく。

 

 

「私は……私達は……負ける訳にはいかないんだ!!」

 

 

リーゼアリアが叫ぶ。

 

 

「闇の書を封印するチャンスがやっと巡ってきたんだ!やっとあの忌々しい魔導書を封印することができるんだ!!だから……邪魔をするなクロノオオオオォォォ!!!!」

 

 

「君達の気持ちは分かる!だが……なんの罪もない女の子を犠牲にするなどもってのほかだ!!」

 

 

二人は激突する。

 

さらに攻撃のスピードをあげるアリア。

 

それを受け流すクロノ。

 

高速で移動しながら両者共に激突するスピードを徐々に上げていく。

 

するとここでリーゼアリアが仕掛けた。

 

 

「はぁあああ!」

 

 

「くっ!?」

 

 

アリアの攻撃を受けたクロノの動きが一瞬止まる。

 

 

(身体が痺れる!?ブレイクインパルスか!)

 

 

そして僅かにできた隙を……歴戦の使い魔が見逃すはずがなかった。

 

 

「うぉおおおおおお!!」

 

 

「まずい!?」

 

 

クロノは咄嗟にラウンドシールドを展開させるが……

 

 

「はぁあああ!!」

 

 

リーゼアリアのブレイクインパルスによって一瞬で破壊されてしまった。

 

 

「これで終わりだクロノ!」

 

 

そして強力な魔力が込められたブレイクインパルスが……クロノに炸裂した。

 

 

 

ドォオオオオンン!!!!!!

 

 

 

「ぐはっ!?」

 

 

あまりの衝撃の強さにクロノは吐血しながら大きく吹き飛んでいく。

 

林の木々を何本も倒しながらようやく止まった。

 

 

「ごほっ……ごほっ……」

 

 

うつぶせに倒れたクロノだが少し咳き込みながらもなんとか起き上がる。

 

 

「フ、フルドライブを展開させていたおかげでなんとか耐えれたか……」

 

 

(彼女と戦うのはずいぶん久しぶりだったが……やはり強い)

 

 

クロノは思考する。

 

 

(フルドライブを展開してようやく互角……普通の方法では彼女に勝つことは不可能だ。こうなったら一か八か……()()()()を使うしかない)

 

 

そしてクロノはいつでも使えるようにある魔法をセットする……と同時に自身の周囲に設置型バインドを仕掛けておく。

 

 

「正直気休めにしかならないが……何もないよりはマシだ」

 

 

すると前方から足音が聴こえてくる。

 

 

 

ザッザッザッ…………

 

 

 

「…………」

 

 

リーゼアリアは無言で近付いてくる。

 

 

「…………」

 

 

クロノは黙ってデバイスを構える。

 

するとリーゼアリアは突如歩くのをやめるとその場に止まる。そしてクロノの周囲を静かに見回すと、左手をサッと振るった。

 

すると地面が爆発を起こし、設置型バインドが破壊された。

 

 

「クロノ……今さら設置型バインドが私に通じるとでも?お前の戦い方を一番知っているのは誰だと思っている?」

 

 

「分かっているさ。引っ掛かってくれれば儲けものだと思っただけだ」

 

 

リーゼアリアはクロノに近付いていく。

 

クロノは魔法を発動させる。

 

 

《Stinger Blade.》

 

 

自身の周囲に十本の魔力刃を展開させると、リーゼアリアへと放った。

 

だがリーゼアリアはシールドを展開させると同時にクロノをリングバインドで拘束した。

 

 

「ぐ……」

 

 

クロノは拘束され、身動きがとれなくなる。

 

リーゼアリアがさらに近付いてくる。

 

そしてクロノの前で止まると……再び右手に魔力を収束させる。

 

 

(アリアの動きが止まった……ここだ!!)

 

 

クロノは拘束されながらも()()()()()()()()()を発動させた。

 

 

《Struggle Bind.》

 

 

リーゼアリアの足元に青い丸い魔方陣が現れる。

 

そこから青い縄が伸びてきてリーゼアリアを拘束した。

 

 

「これは!?」

 

 

「ストラグルバインド……相手を拘束しつつ、()()()()()()()()()()。あまり使い所のない魔法だけどこういうときには……役に立つ」

 

 

「ぐ……ぐぁああ!?」

 

 

「変身魔法も……()()()()()()するからね」

 

 

するとリーゼアリアの姿が仮面の男の姿から元の猫の少女へと戻る。

 

その様子を見ながらクロノはバインドを破壊し、体勢を立て直していた。

 

 

「やっぱり直接見るまでは……信じたくはなかったよ……」

 

 

「こんな魔法……教えてなかったんだがな」

 

 

「一人でも精進しろと教えたのは君達姉妹だぞ……アリア」

 

 

「だけど……こんなもので私を捕まえられたと思わないことだ。強化が使えなくてもこんなバインドごとき!!」

 

 

「そうだな。このバインドは一時強化された対象や、魔法生物に対しては高い効果を持つがその反面、射程や発動速度、拘束力は普通のバインドには随分劣る。力を入れれば()()()()()で破壊することも可能だ。だが……」

 

 

クロノはデバイスをリーゼアリアへと向ける。

 

 

「今はその()()()()()だけで十分だ!エネルギー全開!!」

 

 

そしてエネルギーをチャージし、今出せる全力の砲撃を零距離からリーゼアリアへと放った。

 

 

《Blaze Cannon Explosion.》

 

 

「ブレイズカノン……エクスプロージョン!!」

 

 

クロノはブレイズカノンの発展型……ブレイズカノンエクスプロージョンを放った。

 

 

「ぐ……ぐわあああぁぁぁぁ!!!!!」

 

 

そしてクロノの全力の砲撃を食らったリーゼアリアは意識を失ったのだった。

 

 

 

────────

──────

────

 

 

 

「ぐっ……想定よりも魔力を使いすぎたか」

 

 

クロノは思わず膝をつく。

 

それと同時にフルドライブも解除され、通常状態に戻る。

 

 

「それに思っていた以上にフルドライブというのは身体にかかる負荷が大きい……。まだまだ調整が必要か……」

 

 

そしてクロノは前方に目を向ける。

 

そこには気絶しているリーゼアリアの姿があった。

 

彼女の傍には白い仮面が転がっていた。

 

そのとき……

 

 

『クロノ君大丈夫!?』

 

 

『エイミィか』

 

 

アースラから通信が入る。

 

 

『問題ない。少しケガを負ってしまったが、すぐに治癒すれば活動に支障はない。それと対象を無事捕縛したのでアースラへと今すぐ連行してくれ』

 

 

『……うん、分かった』

 

 

するとリーゼアリアの姿が消え、アースラへと転送されていった。

 

そしてクロノはエイミィの声が心なしかどこか寂しそうなことに気付いていた。

 

 

『エイミィ……思うところはあるかもしれないが……同情してはダメだぞ』

 

 

『……うん。分かってる、分かってるよ』

 

 

エイミィはリーゼ姉妹と仲が良かった。

 

その二人が連行されてしまったのだ。

 

何も思わない訳がなかった。

 

だが彼女は管理局員だ。

 

そういった感情は抑えなければならない。

 

 

『エイミィ……他の二人はどうなってる?』

 

 

『あ、うん。リニスさんはロッテの捕縛に成功。でも体力と魔力を結構消耗したみたいでアースラで保護して今は眠ってる。ヒエン君は……今も必死に戦ってる』

 

 

『そうか……僕は今からあのバカの加勢に向かう』

 

 

エイミィはクロノの言葉に反論する。

 

 

『無茶だよ!クロノ君も体力と魔力を消耗してるんだよ!?』

 

 

『だがあのバカの相手はグレアム提督だ。一筋縄じゃいかない』

 

 

『いいえ、戻ってきなさいクロノ』

 

 

そこでアースラ提督兼艦長のリンディが話す。

 

 

『艦長……』

 

 

『今の消耗している貴方では足を引っ張るだけです。自分の今の状態が分からないほど……貴方は無能ではないはずよ?』

 

 

『…………』

 

 

『…………』

 

 

『……出過ぎたことを言って申し訳ありません。すぐに帰投します』

 

 

『ええ、どうしてもまずい状況になったら私が出ます。ですから貴方は今自分のやるべきことをやりなさい』

 

 

『了解しました』

 

 

通信は終了した。

 

クロノは空を見上げる。

 

 

(負けるんじゃないぞ……ヒエン……)

 

 

そして今もまだ戦っているであろう少年の勝利を信じるのだった。

 




無事、リーゼ姉妹を退けたクロノとリニス。

残るはギル・グレアムただ一人。

だが彼の力は強力で次第に主人公は追い詰められていく。

次回、前哨戦 決着編 お楽しみに。

では、また(・∀・)ノ

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