続き書けたで候。
今回はアリシア、アリサ、すずか、石田先生、はやてとの接触回。
では、どうぞ( *・ω・)ノ
ヒエンside
病院の屋上に到着した俺は死ぬ気モードを解き、階段を降りていく。
バリアジャケットは念のために装着しておく。黒スーツなのでそこまで目立ちはしないはずだ。
そしてはやての病室まで走っていく。
目的地はすぐに見えた。
俺は勢いよくドアを開けた。
「無事かアリシア!!」
そしてこちらを唖然と見る面子と目が合ってしまった。
「「「「「…………」」」」」
「…………あ、あれ?」
俺は部屋の中を見回す。
部屋の中には目的のアリシアがいた。
それだけでなくアリサ、すずか、なのは、フェイト……そしてはやてとヴォルケンリッターの姿もあった。
皆はこちらを驚いたように見ていた。
そして俺は冷や汗をかきつつ、ようやく現状を理解した。
(も、もしかして……つくの早すぎた?)
すると最初に再起動したアリシアが話す。
「お、お兄ちゃん……?」
「お、おお。アリシア……無事で良かった」
「お兄ちゃん?……本当に……お兄ちゃんなの?」
「ああ。久しぶりだなアリシア」
するとアリシアの目から一筋の涙が流れ……勢いよく抱きついてきた。
「お兄ちゃん!無事で良かったよおおぉぉ!!」
そしてワンワンと泣き始めた。
「ウソじゃ……ないんですよね?」
「すずか……」
するとすずかが涙目でこちらを見ていた。
「ずっと……心配してたんですよ?私だけじゃありません。お父さんや、お母さん。お姉ちゃんやファリン、ノエル、さくらさんも……皆、皆……ヒエンさんのこと心配してたんですよ?」
「すまん……」
すると今度はアリサが話しかけてくる。
「…………あんた今までどこ行ってたのよ?」
「……アリサ」
アリサは顔を俯かせながら話す。
「突然行方不明になって……突然いなくなったって聞いて……私達がどれだけ心配したか……あんた本当に分かってんの!?」
「……すまん」
そしてすずかとアリサの二人もこちらに勢いよく抱きついてきた。
「無事で良かった……本当に……無事で良かった!!」
「バカあ!バカああぁぁぁ!!」
俺は三人を受け止め……謝った。
「心配かけてごめんな三人とも」
そして三人の泣き声がしばらく病室に響くのだった。
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「「「ううう…………」」」
アリシア、アリサ、すずかの三人はというと人目を
「さ、三人とも大丈夫だよ!私達は三人の号泣する姿なんて見てないことにするから!!」
「そ、そうだよ!気にすることないよ!そ、それに……三人とも泣き顔凄く可愛かったよ!!」
「「「うぐっ!!!!」」」
そしてなんとかフォローしようとしていたなのはと、フェイトによって逆に完全にトドメをさされてしまった。
ズーン…………
三人は絵に書いたように落ち込む。
「ふぇえええええ!?」
「あ、あわわわわわ!?」
なのはとフェイトの二人は慰めようとした結果、三人が逆に落ち込んでしまったことでテンパっていた。
「あはははは……皆、一旦落ちつこか?」
そして唯一落ち着いているはやてが場を治めてくれた。
「……あっちははやてちゃんに任せるとして、私達は大人の話をしましょうかヒエン君」
「……は、はい」
「で、これはどういう状況なのかしら?」
「え、えーっと……」
そして俺は騒ぎを聞き付けた石田先生によって問い詰められていた。
俺の側ではヴォルケンリッターが俺と石田先生のやり取りを見守っていた。
さすがの奴らも一般人がいる場では暴れるつもりはないらしい。
とまぁ、今はそんなことを気にしている場合じゃない。
まずはこの危機を脱っさねば。
ゴゴゴゴゴゴゴゴ……………………
石田先生の背後から黒いオーラが見えているから((((;゜Д゜)))
「……貴方には色々問いただしたいけど、まず最初に聞くわ。行方不明になっていた約一ヶ月の間、一体どこで何をしていたの?」
「…………」
俺は石田先生の言葉に黙る。
石田先生の気持ちも分からんでもないが今のこの状況では……
「……
俺の言葉に石田先生は眉をピクリとさせる。
「本気で言っているの?」
「本気です」
俺は石田先生の顔をジッと見ながら話す。
「……貴方のことはテレビでもニュースとして報じられているわ」
「それは……知っています」
「……警察でも、今必死に貴方のことを捜索しているわ」
「それも……知っています」
「その上でもう一度聞きます。
石田先生が俺を鋭く睨み付けながら言ってくる。
その目からは冗談は許さないと言われている様だった。
確かに俺は周囲の人に現時点でもかなりの迷惑をかけている。
アリシアや、アリサ、すずかに至っては泣かせてしまった。
それだけじゃない。
桃子さんに士郎さん、恭也君に美由希さん、翠屋のアルバイト仲間、学校のクラスメートに担任の先生など……色んな人に心配をかけてしまっている。
警察も動いているし、バニングス家や月村家に至っては探偵まで雇っている始末である。
だがそれでも……
俺にはまだやるべきことが残っている。
まだやらなければならないことがある。
すると周囲が静かになっていることに気付く。
横目でチラリと見ればこちらを心配げに見ているなのは達の姿があった。
ヴォルケンリッターもこちらの様子を観察するように見ていた。……若干シャマルだけ落ち着いていなかったが。
そして俺は目を閉じ、再び開ける。
死ぬ気化した俺は自身の覚悟を言うように口を開いた。
「本気です。石田先生には本当に申し訳ないと思っています。しかし……俺が『今何をしているか』という点については、
「…………」
「
「…………」
「だからお願いします。今は見逃してください」
俺は石田先生に頭を下げる。
「……それは貴方が絶対にやらなきゃいけないことなの?」
「はい。少なくとも……今ここでやめたらある子が苦しむことになる。俺はその子に借りがあるんです。今、その借りを返さなきゃいけないんです」
「…………」
「俺はかつてその子に命を救われた。だから今度は……俺がその子を救う番なんです」
「…………はぁ」
すると石田先生はため息をつきながら俺へと話す。
「
石田先生がなのは達の方に視線を向ける。
俺は視線の意味を理解すると返事をする。
「……はい」
「それと無茶はしないこと。ヒエン君……貴方はこの半年で二回も大怪我して入院しているんだから……。自分の身体をもっと大切にしなさい」
「ぜ、善処します」
「……そこは嘘でもせめて、はいと言いなさい」
「……すいません」
するとなのは達が何か言いたげな顔をしていたが俺は気付かない振りをする。
「それじゃ……今は警察への報告も控えた方がいいわね」
「あ、はい。今日だけでも待ってくれるとありがたいです」
「はぁ……分かったわ。じゃあ今日中にやらなきゃいけないことを……さっさと終わらせてきなさい」
「はい」
そして石田先生ははやての方に顔を向けると話した。
「それじゃはやてちゃん……私はもう行くわ。あと、ヒエン君のことよろしく頼むわね」
「はい、任せといて下さい。私もヒエン兄ちゃんには言いたいことあるんで」
そして石田先生は部屋を出ていった。
「「「「「…………」」」」」
部屋が沈黙で支配される。
そしてまずは、はやてが口火を切った。
「久しぶり、ヒエン兄ちゃん」
「ああ、久しぶりだなはやて」
俺はそれに答える。
「五ヶ月ぶりくらい?」
「そうだな。それくらいになるんじゃないか?」
「そっか」
「ああ」
「…………」
「…………」
少し間が空く。
「……私もな」
「…………」
「私も……ずっとヒエン兄ちゃんのこと心配しててんで?テレビ見たらヒエン兄ちゃんが誘拐されたとか、拉致されたとか言ってて……ビックリしてんから」
「それは……すまなかった」
俺のことは行方不明事件としてテレビでも大きくニュースとして報じられている。
大半が誘拐や拉致事件として取り上げられ、世間でも大きく注目を浴びている事件なのだ。
「あとはヒエン兄ちゃんと皆が知り合いやったのもビックリしたけどな」
「あー……言ってなかったっけ?」
「うん、聞いてない」
まあ、話す機会はあまりなかったからな。
そればっかりは仕方ないと思う。
というか、五ヶ月近く会ってなかったのもあるだろう。
「あ、そうや。皆でケーキ食べへん?」
するとはやてが提案を出した。
「シャマル、冷蔵庫になのはちゃんが持ってきてくれたケーキまだ残ってたよな?」
「あ、はい。まだ全然残ってますよ?」
「じゃあここにいる皆の分、出して。ヴィータとシグナムは紙皿用意してな」
「……うん」
「了解しました」
ヴィータとシグナムは紙皿を用意し始めた。
そして人数分配られると皆でケーキをいただいた。
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しばらく談笑した後、病院の入り口にて解散となった。
結局、はやては俺のことをあまり聞いてこようとはしなかった。
だが今は彼女のその配慮がありがたかった。
病院の入り口では鮫島さんが車を既にスタンバイさせていた。
俺達の姿を確認すると、一礼してきた。
鮫島さんは俺のことについてはアリサから何か言われたのか、突っ込んでくることはなかった。
俺はアリサ、すずか、アリシアが車に乗るのを見送る。
ちなみになのはと、フェイトも俺と一緒に見送っている。
三人は俺の方に顔を向けると話しかけてきた。
「今はあんたが何をしているかは聞かないでおいてあげる。でも、そのやらなきゃいけないことを終わらせたら……必ず説明してもらうからね?」
「ああ、約束する」
「……ヒエンさんのことは、今は他の人達には秘密にしておくので安心してください」
「すまん、助かる」
「お兄ちゃん……絶対に無茶はしちゃダメだからね?」
「大丈夫だ」
俺は三人に返事を返す。
『なのは、フェイト。お兄ちゃんのことよろしくね?』
『うん、大丈夫』
『任せて』
アリシアが俺達に念話を送ってくると、二人は任せろと言わんばかりに返事を返した。
車はそのまま発進する。
何度もこちらを心配そうに見つめる三人の顔がどこか印象的であった。
そして俺達は車を見送った後、
そこには俺達を厳しい目で見つめるヴォルケンリッターの姿があった。
俺は奴らに念話で伝えた。
『ここは目立つ。場所を変えよう』
俺が念話を使用するとヴィータ、シャマル、ザフィーラは目を見開く。
「お前!?」
「ヒエン君……あなた!?」
「魔導師だったのか!?」
しかしシグナム一人だけ……
俺のことをジッと睨んでいた。
「…………」
俺はその顔から目を逸らさずに言う。
「ここの病院は屋上が開放されている。ひとまずはそこへ行くぞ」
そして俺達は移動を開始した。
次回はvsヴォルケンリッター。
なのはvsヴィータ、フェイトvsシグナム、主人公vsザフィーラとなります。シャマルはボッチ……ゲフンゲフン……サポート役なので後方待機です。
そしていよいよ闇の書が復活する。
では、また(・∀・)ノ