大空の炎の力を操る転生者   作:Gussan0

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どうも。

続き書けたで候。

では、どうぞ( *・ω・)ノ


第二百三十三話 名前をあげる

ヒエンside

 

 

 

ソーラーアクセルが管制人格に直撃し、巨大な爆発が起こる。

 

管制人格は吹き飛び、そのまま岩盤に激突した。

 

 

「はぁ……はぁ……はぁ……」

 

 

俺はその様子を息を切らしながら見ていた。

 

管制人格はぐったりしたまま動かない。

 

俺は魔方陣を展開してその上に座り込む。

 

 

「はぁ……はぁ……はぁ……な、なんとか勝てた……」

 

 

そして思わず寝転がる。

 

 

「や、やばい……身体が重くて動かない」

 

 

どうやらダメージと疲労で身体が限界を迎えつつあるようだ。

 

朝のギル・グレアムとの戦闘の疲れもあるだろう。

 

正直、身体を動かすのも億劫(おっくう)だ。

 

死ぬ気モードを解いてしまえばそのまま動けなくなるだろう。

 

だがまだ休む訳にはいかない。

 

はやてが闇の書の呪い……ナハトヴァールから解放された訳ではないからだ。

 

一応念のため、オーバードライブは展開したままでおく。魔力残量の関係からなっていられる時間は残り僅かだろうが……。

 

そして息を整えながら前を見る。

 

管制人格の左腕が何やら紫の光を点滅させていた。

 

 

「あれは……まさか……」

 

 

それは段々と形を成していく。

 

すると無数の紫の蛇の塊が現れた。

 

 

「ナハトヴァール!?」

 

 

ナハトヴァールが管制人格を取り込もうとしていた。

 

 

「くっ……させるか」

 

 

俺は膝に力を入れてなんとか起き上がる。

 

見たところ、はやての意識はまだ覚醒していない。

 

だが管制人格がピクリとも動かないことからダメージで気絶していると見ていい。

 

彼女達のユニゾンが解けるのも時間の問題だ。

 

だがその前に彼女達がナハトヴァールに取り込まれてしまっては意味がない。

 

俺は右手を向けて砲撃を放つ。

 

 

「ストレートバーナー」

 

 

オーバードライブで強化されたストレートバーナーがナハトヴァールへと向かう。

 

奴を吹き飛ばせば万事解決だ。

 

だがそうは問屋が卸さなかった。

 

 

「キシャァアアアアアアア!!!!」

 

 

なんと()()はこちらを向き、一声鳴くとストレートバーナーを打ち消したのだ。

 

 

「な、なにっ!?」

 

 

俺は驚愕する。

 

まさかあいつらが使ったのは……

 

 

「調和の咆哮……だと!?」

 

 

(まさか……俺のリンカーコアを取り込んだことで、相棒の能力も使えるようになったってのか!?)

 

 

だとすればまずい。

 

攻撃を無効化されるのでは、奴らを吹き飛ばすことができない。

 

このままでは奴らに彼女達を乗っ取られてしまう。

 

すると俺の左肩に乗っている相棒がナハトヴァールに唸り声をあげた。

 

 

「グルルルルルル」

 

 

「シャアアアアア」

 

 

ナハトヴァールもこちらを向き威嚇するように鳴いてくる。

 

それと同時に相棒からある思念が飛んでくる。

 

相棒曰く、【サポートするからその間に奴らを引き離せ】とのことだ。

 

俺は頷く。

 

すると両者は互いに叫び声をあげた。

 

 

「ガァアアアアアア!!!!!!」

 

 

「シャアアアアアア!!!!!!」

 

 

両者の調和の咆哮が激突する。

 

一瞬拮抗するが……

 

 

「くっ!?」

 

「ガゥ!?」

 

 

こちらが打ち負け吹き飛ばされる……が、俺はグローブから炎を噴射し、体勢を整え再び直射砲撃を放つ。

 

 

「シャアアアアアアアア!!!!!!」

 

 

砲撃は再度打ち消されるが俺は奴らの死角、上空へと回り込み三度目となる直射砲撃を放つ。

 

だが奴らの一角、ナハトヴァールの蛇の内の一体が俺に気付く。

 

そしてそいつが身代わりになることでストレートバーナーを防ぐ。

 

だが継続して放つことで貫通させる。

 

すると砲撃はナハトヴァールへと直撃した。

 

砲撃自体は調和の炎で攻撃しているため、管制人格へのダメージはない。

 

負の遺産であるナハトヴァールには調和の炎の効果は抜群だろう。

 

しかし……

 

 

「復活しやがった……」

 

 

先程吹き飛ばしたはずのナハトヴァールが再生していた。

 

 

(奴を完全に吹き飛ばすには、もっと出力のある砲撃をぶちこまないとダメってことか)

 

 

そして俺は奴に右手を向けてヒートバーナーを放とうとしたとき……

 

 

「キシャァアアアア!!!!」

 

 

「!?……逃げろ相棒!!」

 

 

突如、無数のナハトヴァールの蛇達がこちらに向けて噛みついてきた。

 

俺は咄嗟に相棒を心の中へと戻す。

 

そして奴らに噛みつかれた。

 

オーバードライブで強化しているためダメージは蚊ほどもないが、驚くべきことが起こる。

 

なんと奴らに噛みつかれた箇所が石化していたのだ。

 

 

「バリアジャケット、パージ!!」

 

 

俺は咄嗟に黒コートの魔力を解放する。

 

すると凄まじい衝撃波が周りに起こり、蛇達は消滅していく……と同時にオーバードライブ……スピリッツフォームも解除される。

 

どうやら今の魔力の解放でオーバードライブ状態を維持できなくなったらしい。

 

とりあえず俺は魔力の流れを安定させるために、リンカーコアから送られてくる魔力を制限する。

 

 

「スピリットフォーム……rev1(リヴィジョンワン)

 

 

俺は先程まで纏っていた黒コートの代わりに、黒いジャケットを羽織る。

 

格好はいつもの黒スーツとなった。

 

しかし、オーバードライブが遂に解除されてしまった。

 

もう展開できるほどの魔力が残っていないのだろう。

 

するとナハトヴァールが攻撃を仕掛けてきた。

 

俺は前方に氷の盾を展開させて、奴らからの攻撃を防ぐ。

 

ナハトヴァールは思った通り、氷の盾に衝突する。

 

俺はそれを利用し、奴らを一気に凍らせる。

 

奴らの伸びきった身体が先端から勢いよく凍っていく。

 

そしてその動きを封じ込めることに成功する。

 

その間に俺は準備を進める。

 

 

「オペレーションヒート」

 

 

そして一気に超爆発(ハイパーイクスプロージョン)で吹き飛ばそうとしたとき……

 

 

『外で戦ってる方、すみません!協力してください!』

 

 

「はやて?」

 

 

管制人格の中に囚われてるはやての声が聴こえた。

 

 

 

ヒエンside end

 

◆◆◆

 

第三者side

 

 

 

黒い空間に二人の人影があった。

 

一人は車イスに乗る茶髪の少女、八神はやて。

 

もう一人は銀髪の女性、夜天の魔導書の管制人格であった。

 

 

「……思い出した……完全に思い出した!何があったか、なんでこんなことになってもうたか!!」

 

 

はやては意識を取り戻し、管制人格に勢いよく話しかける。

 

彼女は完全に覚醒していた。

 

 

「……どうか……どうか再びお休みを……我が主。今までは何とか抑え込んでいましたが、あと何分もしないうち、私は私の呪いで貴方を殺してしまいます。せめて心だけでも幸せな夢の中で……」

 

 

管制人格は涙を流しながら、懇願するようにはやてに話しかける。

 

それにはやては優しく答えた。

 

 

「優しい気持ち……ありがとう。そやけど、それはあかん」

 

 

「…………っ!」

 

 

そしてまるで泣いている子供を慰めるかのように話す。

 

 

「わたしら皆よう似てる。ずっと寂しい思い……悲しい思いしてきて……一人やったらできへんことばっかりで……」

 

 

「…………」

 

 

「そやけど忘れたらあかん」

 

 

はやては管制人格の肩に手をソッと置く。

 

 

「貴方のマスターは今は私で……貴方は私の大事な子や」

 

 

「ですが……ナハトが止まりません!暴走も……もう!!」

 

 

「…………」

 

 

するとはやては目を閉じる。

 

その直後、彼女の足元に銀色の三角形の魔方陣が現れた。

 

 

「止まって!」

 

 

そのとき銀色の光が暗闇を優しく照らす。

 

そしてはやては大きな声で叫んだ。

 

 

「外で戦ってる方、すみません!協力してください!この子に取りついてる黒い塊を……吹き飛ばしてください!!」

 

 

その直後、返事が返ってきた。

 

 

『はやて!聞こえるかはやて!!』

 

 

「この声は……ヒエン兄ちゃん!聞こえる!聞こえるよ!!」

 

 

『そうか。無事で良かった……。時間がないから手短に話す。はやての言う黒い塊……ナハトヴァールが管制人格……銀髪の女性を取り込もうとしている。俺は今から奴らを吹き飛ばす。後は……』

 

 

「後は大丈夫!私がなんとかする!!」

 

 

『……任せていいんだな?』

 

 

「うん、大丈夫」

 

 

『分かった。ナハトヴァールのことは任せろ』

 

 

すると少年の声は聞こえなくなる。

 

そしてはやては管制人格の顔を両手で優しく包み……静かに話し始めた。

 

 

 

 

 

 

「名前をあげる」

 

 

 

 

 

 

それは彼女なりの覚悟だった。

 

 

 

 

 

 

「闇の書とか、呪われた魔導書なんて……もう呼ばせへん」

 

 

 

 

 

 

ずっと世界を破壊してきた……何度も世界を壊してきた……

 

 

 

 

 

 

「私が言わせへん」

 

 

 

 

 

 

闇の書としてシステムを改悪され、破壊を強要され、生き方を歪められてしまった……目の前の銀髪の女性を解放するための……

 

 

 

 

 

 

「ずっと考えてた名前や」

 

 

 

 

 

 

覚悟の表れだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「強く支える者……幸運の追い風……祝福のエール……リインフォース……それが貴方の名前や」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そのとき銀色の光が彼女達を包み込む。

 

 

 

 

 

 

そして闇の書の内部空間が破壊された。

 




いよいよクライマックスが近づいてきたー!Σ(゜Д゜)

では、また(・∀・)ノ

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