続き書けたで候。
では、どうぞ( *・ω・)ノ
ヒエンside
ソーラーアクセルが管制人格に直撃し、巨大な爆発が起こる。
管制人格は吹き飛び、そのまま岩盤に激突した。
「はぁ……はぁ……はぁ……」
俺はその様子を息を切らしながら見ていた。
管制人格はぐったりしたまま動かない。
俺は魔方陣を展開してその上に座り込む。
「はぁ……はぁ……はぁ……な、なんとか勝てた……」
そして思わず寝転がる。
「や、やばい……身体が重くて動かない」
どうやらダメージと疲労で身体が限界を迎えつつあるようだ。
朝のギル・グレアムとの戦闘の疲れもあるだろう。
正直、身体を動かすのも
死ぬ気モードを解いてしまえばそのまま動けなくなるだろう。
だがまだ休む訳にはいかない。
はやてが闇の書の呪い……ナハトヴァールから解放された訳ではないからだ。
一応念のため、オーバードライブは展開したままでおく。魔力残量の関係からなっていられる時間は残り僅かだろうが……。
そして息を整えながら前を見る。
管制人格の左腕が何やら紫の光を点滅させていた。
「あれは……まさか……」
それは段々と形を成していく。
すると無数の紫の蛇の塊が現れた。
「ナハトヴァール!?」
ナハトヴァールが管制人格を取り込もうとしていた。
「くっ……させるか」
俺は膝に力を入れてなんとか起き上がる。
見たところ、はやての意識はまだ覚醒していない。
だが管制人格がピクリとも動かないことからダメージで気絶していると見ていい。
彼女達のユニゾンが解けるのも時間の問題だ。
だがその前に彼女達がナハトヴァールに取り込まれてしまっては意味がない。
俺は右手を向けて砲撃を放つ。
「ストレートバーナー」
オーバードライブで強化されたストレートバーナーがナハトヴァールへと向かう。
奴を吹き飛ばせば万事解決だ。
だがそうは問屋が卸さなかった。
「キシャァアアアアアアア!!!!」
なんと
「な、なにっ!?」
俺は驚愕する。
まさかあいつらが使ったのは……
「調和の咆哮……だと!?」
(まさか……俺のリンカーコアを取り込んだことで、相棒の能力も使えるようになったってのか!?)
だとすればまずい。
攻撃を無効化されるのでは、奴らを吹き飛ばすことができない。
このままでは奴らに彼女達を乗っ取られてしまう。
すると俺の左肩に乗っている相棒がナハトヴァールに唸り声をあげた。
「グルルルルルル」
「シャアアアアア」
ナハトヴァールもこちらを向き威嚇するように鳴いてくる。
それと同時に相棒からある思念が飛んでくる。
相棒曰く、【サポートするからその間に奴らを引き離せ】とのことだ。
俺は頷く。
すると両者は互いに叫び声をあげた。
「ガァアアアアアア!!!!!!」
「シャアアアアアア!!!!!!」
両者の調和の咆哮が激突する。
一瞬拮抗するが……
「くっ!?」
「ガゥ!?」
こちらが打ち負け吹き飛ばされる……が、俺はグローブから炎を噴射し、体勢を整え再び直射砲撃を放つ。
「シャアアアアアアアア!!!!!!」
砲撃は再度打ち消されるが俺は奴らの死角、上空へと回り込み三度目となる直射砲撃を放つ。
だが奴らの一角、ナハトヴァールの蛇の内の一体が俺に気付く。
そしてそいつが身代わりになることでストレートバーナーを防ぐ。
だが継続して放つことで貫通させる。
すると砲撃はナハトヴァールへと直撃した。
砲撃自体は調和の炎で攻撃しているため、管制人格へのダメージはない。
負の遺産であるナハトヴァールには調和の炎の効果は抜群だろう。
しかし……
「復活しやがった……」
先程吹き飛ばしたはずのナハトヴァールが再生していた。
(奴を完全に吹き飛ばすには、もっと出力のある砲撃をぶちこまないとダメってことか)
そして俺は奴に右手を向けてヒートバーナーを放とうとしたとき……
「キシャァアアアア!!!!」
「!?……逃げろ相棒!!」
突如、無数のナハトヴァールの蛇達がこちらに向けて噛みついてきた。
俺は咄嗟に相棒を心の中へと戻す。
そして奴らに噛みつかれた。
オーバードライブで強化しているためダメージは蚊ほどもないが、驚くべきことが起こる。
なんと奴らに噛みつかれた箇所が石化していたのだ。
「バリアジャケット、パージ!!」
俺は咄嗟に黒コートの魔力を解放する。
すると凄まじい衝撃波が周りに起こり、蛇達は消滅していく……と同時にオーバードライブ……スピリッツフォームも解除される。
どうやら今の魔力の解放でオーバードライブ状態を維持できなくなったらしい。
とりあえず俺は魔力の流れを安定させるために、リンカーコアから送られてくる魔力を制限する。
「スピリットフォーム……
俺は先程まで纏っていた黒コートの代わりに、黒いジャケットを羽織る。
格好はいつもの黒スーツとなった。
しかし、オーバードライブが遂に解除されてしまった。
もう展開できるほどの魔力が残っていないのだろう。
するとナハトヴァールが攻撃を仕掛けてきた。
俺は前方に氷の盾を展開させて、奴らからの攻撃を防ぐ。
ナハトヴァールは思った通り、氷の盾に衝突する。
俺はそれを利用し、奴らを一気に凍らせる。
奴らの伸びきった身体が先端から勢いよく凍っていく。
そしてその動きを封じ込めることに成功する。
その間に俺は準備を進める。
「オペレーションヒート」
そして一気に
『外で戦ってる方、すみません!協力してください!』
「はやて?」
管制人格の中に囚われてるはやての声が聴こえた。
ヒエンside end
◆◆◆
第三者side
黒い空間に二人の人影があった。
一人は車イスに乗る茶髪の少女、八神はやて。
もう一人は銀髪の女性、夜天の魔導書の管制人格であった。
「……思い出した……完全に思い出した!何があったか、なんでこんなことになってもうたか!!」
はやては意識を取り戻し、管制人格に勢いよく話しかける。
彼女は完全に覚醒していた。
「……どうか……どうか再びお休みを……我が主。今までは何とか抑え込んでいましたが、あと何分もしないうち、私は私の呪いで貴方を殺してしまいます。せめて心だけでも幸せな夢の中で……」
管制人格は涙を流しながら、懇願するようにはやてに話しかける。
それにはやては優しく答えた。
「優しい気持ち……ありがとう。そやけど、それはあかん」
「…………っ!」
そしてまるで泣いている子供を慰めるかのように話す。
「わたしら皆よう似てる。ずっと寂しい思い……悲しい思いしてきて……一人やったらできへんことばっかりで……」
「…………」
「そやけど忘れたらあかん」
はやては管制人格の肩に手をソッと置く。
「貴方のマスターは今は私で……貴方は私の大事な子や」
「ですが……ナハトが止まりません!暴走も……もう!!」
「…………」
するとはやては目を閉じる。
その直後、彼女の足元に銀色の三角形の魔方陣が現れた。
「止まって!」
そのとき銀色の光が暗闇を優しく照らす。
そしてはやては大きな声で叫んだ。
「外で戦ってる方、すみません!協力してください!この子に取りついてる黒い塊を……吹き飛ばしてください!!」
その直後、返事が返ってきた。
『はやて!聞こえるかはやて!!』
「この声は……ヒエン兄ちゃん!聞こえる!聞こえるよ!!」
『そうか。無事で良かった……。時間がないから手短に話す。はやての言う黒い塊……ナハトヴァールが管制人格……銀髪の女性を取り込もうとしている。俺は今から奴らを吹き飛ばす。後は……』
「後は大丈夫!私がなんとかする!!」
『……任せていいんだな?』
「うん、大丈夫」
『分かった。ナハトヴァールのことは任せろ』
すると少年の声は聞こえなくなる。
そしてはやては管制人格の顔を両手で優しく包み……静かに話し始めた。
「名前をあげる」
それは彼女なりの覚悟だった。
「闇の書とか、呪われた魔導書なんて……もう呼ばせへん」
ずっと世界を破壊してきた……何度も世界を壊してきた……
「私が言わせへん」
闇の書としてシステムを改悪され、破壊を強要され、生き方を歪められてしまった……目の前の銀髪の女性を解放するための……
「ずっと考えてた名前や」
覚悟の表れだった。
「強く支える者……幸運の追い風……祝福のエール……リインフォース……それが貴方の名前や」
そのとき銀色の光が彼女達を包み込む。
そして闇の書の内部空間が破壊された。
いよいよクライマックスが近づいてきたー!Σ(゜Д゜)
では、また(・∀・)ノ