大空の炎の力を操る転生者   作:Gussan0

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どうも(゜▽゜*)

続き書けたで候。

では、どうぞ( *・ω・)ノ


第二百三十五話 闇の書の闇

第三者side

 

 

 

アースラでは、引き続き夜天の魔導書の観測を行っていた。

 

 

「防衛プログラム、管制融合機との分離を確認!」

 

 

「よぉーし!」

 

 

オペレーターのランディが伝え、アレックスが喜びの声をあげる。

 

その声にあてられてアースラは喜びの雰囲気に包まれる。

 

 

「まだ終わりじゃないわ!気を引き締めなさい!!」

 

 

だがリンディが緩みそうになった雰囲気に喝を入れる。

 

そして大声で命じた。

 

 

「アルカンシェル発射待機!!」

 

 

「「はい!!」」

 

 

リンディはモニターに視線を向ける。

 

 

「……みんなもう少しよ。頑張って」

 

 

そこには一つの光をジッと見つめる少年達の姿があった。

 

 

 

────────

──────

────

 

 

 

はやてとリインフォースは光の空間の中にいた。

 

リインフォースは、はやてをソッと抱きかかえる。

 

はやては眠っているようだった。

 

彼女は閉じていた目を静かに開ける。

 

 

「夜天の魔導書と、その管制融合機リインフォース……この身の全てで御身(おんみ)をお守り致します」

 

 

「リインフォース……」

 

 

「防衛プログラムの侵攻に割り込みをかけました。数分程度ですが暴走の遅延ができます。しかし……ナハトヴァール本体の暴走は止まりません。切り離された膨大な力が直に暴れだします」

 

 

「うん。まぁ、なんとかしよ」

 

 

はやては夜天の書を呼び出し、両手で大事に抱える。

 

 

「ほならいこか、リインフォース」

 

 

「……はい、我が主!」

 

 

そして夜天の魔導書の管制融合機リインフォースは紫色の球体へと変化する。

 

はやてはその球体を両手で優しく包み込む。

 

それと同時に魔導書を操作していく。

 

ページはひとりでに開き、あるページで止まった。

 

そこには少しだけ空白部分があった。

 

はやてはそこに軽く指を(かざ)す。

 

 

「管理者権限……発動……リンカーコア復帰……守護騎士システム……破損回帰」

 

 

そのとき赤色、赤紫色、緑色、青色の小さな光がはやての周りに現れる。

 

そこに紫色の光が合流する。

 

 

「おいで……私の騎士達」

 

 

そして五つの光が勢いよく輝き始めた。

 

 

 

第三者side end

 

◆◆◆

 

ヒエンside

 

 

 

なのはとフェイトがナハトヴァールを吹き飛ばした後、管制人格がいた場所から小さな白い光が現れた。

 

その直後……赤色、赤紫色、緑色、青色の三角形の魔方陣が現れると同時に、その中心にあった白い光が大きく光り始めた。

 

やがてその光は大きな柱となり、空へと延びていく。

 

見たところ、特に変わった様子は見られない。

 

ブラストカラミティが原作以上に強化されているときは焦ったが、この様子なら管制人格も無事であろう。

 

そして俺は視界の端で何かが横切るのを捉えた。

 

 

「ん?あれは……紙?」

 

 

何か()()()()()()()()()が海へと落ちていったのが見えた。

 

だがそれは黒い淀みのようなものに飲み込まれてしまった。

 

するとエイミィから通信が入る。

 

 

『皆!下の黒い淀みが暴走が始まる場所になる。無闇に近付いちゃダメだよ?』

 

 

「はい!」

 

 

なのはが返事をする。

 

ということはあの黒い淀みが闇の書の防衛プログラム『ナハトヴァール』の成れの果てか?

 

 

「「あっ……」」

 

 

そのときなのはとフェイトが声をあげる。

 

 

「復活したみたいだな……」

 

 

視線の先には消えたはずの四人の守護騎士達がいた。

 

 

「ヴィータちゃん!?」

 

 

「シグナム!?」

 

 

すると四人は静かに言葉を紡ぎ始めた。

 

 

「我ら、夜天の(あるじ)(もと)に集いし騎士」(シグナム)

 

 

「主ある限り、我らの魂尽きる事なし」(シャマル)

 

 

「この身に命ある限り、我らは御身(おんみ)の下にあり」(ザフィーラ)

 

 

「我らが主、『夜天の王』、八神はやての名の下に」(ヴィータ)

 

 

そしてその中心にある少女が現れる。

 

そこには俺が救いたかった少女がいた。

 

その少女は黒い衣装に身を包み、自身の背丈ほどある杖を持っていた。

 

 

「はやてちゃん!」

 

 

なのはが声をあげる。

 

その声は嬉しそうな声音であった。

 

まぁ、ずっと心配していたからな。

 

無事な姿を見て安心したのだろう。

 

するとはやてはこちらを一瞥して優しげに笑うと、持っていた杖、シュベルトクロイツを抱げ、叫んだ。

 

 

「夜天の光に祝福を!リインフォース、融合(ユニゾン)・インッッ!!」

 

 

その直後、はやての黒い衣装に白いジャケット、金色のミニスカートが追加される。

 

そして白いベレー帽を被り、背中には漆黒の羽根があった。

 

さらに髪の色が銀髪に変わり、瞳の色が明るい水色に変化した。

 

ユニゾンデバイスである彼女の……夜天の魔導書の管制人格……リインフォースの特徴が随時見られた。

 

 

「「「「…………」」」」

 

 

ヴォルケンリッター達が、はやてに視線を向ける。

 

その顔はどこか気まずそうに見えた。

 

そしてヴィータが不安そうにはやてへと近寄る。

 

 

「はやて……」

 

 

「ん」

 

 

しかし、当のはやてはというと、ヴィータに優しく笑いかけた。

 

 

「すみません」

 

 

「あの……はやてちゃん私達……」

 

 

「…………」

 

 

シグナム、シャマルがどこか申し訳なさそうに呟く。ザフィーラも目を閉じ、顔を伏せていた。

 

しかし彼女は、そんな皆に……

 

 

「ええんよ、みんな分かってる。リィンフォースが教えてくれた。……まぁ、細かいことは後や。とりあえず今は……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おかえり……みんな」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

優しい言葉をかけた。

 

 

「う……うぅぅ……うわあああああぁぁ……はやて……はやて……はやてえぇぇぇぇ!!!!」

 

 

そこで感極まったヴィータがはやてに泣きながら抱きついた。

 

それはどこか大好きな母親に甘える子供のようであった。

 

 

「「「「…………」」」」

 

 

俺達はその様子を暖かな視線で見守っていた。

 

するとはやてはそんな俺達の視線に気付く。

 

 

「なのはちゃん、フェイトちゃんごめんなあ。ウチの子達が色々迷惑かけてしもうて」

 

 

「ううん」

 

 

「平気……」

 

 

そして彼女は座り込んでいる俺へと視線を向ける。

 

 

「……ヒエン兄ちゃん」

 

 

「おう」

 

 

はやては申し訳なさそうな視線を俺へと向けてくる。

 

まぁ、それは一重に俺が見るからにボロボロの姿であるからなのだが……。

 

そしてはやてが何か言おうとしたのを察した俺は、ずっと言おうと思っていた言葉を先に言った。

 

 

「あのヒエン兄ちゃ……「おかえり」……え?」

 

 

はやてがキョトンとしている。

 

俺は笑顔でもう一度言った。

 

 

「おかえり、はやて」

 

 

「…………」

 

 

するとはやては数秒ほど放心状態になるが……

 

 

「……た、ただいま」

 

 

どこか照れくさそうに言葉をかわしてくれた。

 

そんな俺達のやり取りを周りの皆は静かに見守ってくれていた。

 

だがそんな空気を読まずに突っ込む猛者が一名……俺達の傍にいた。

 

 

「済まない……水を指してしまうんだが……時空管理局執務官クロノ・ハラオウンだ。時間がないので事態を簡潔に確認したい」

 

 

さすが空気を読まないことに定評がある男、クロノ君!俺達にできない事を平然とやってのけるッ。そこにシビれる!あこがれるゥ!

 

と、そこへ丁度良いタイミングでユーノとアルフも到着する。

 

それを見た俺も起き上がり、立ち上がろうとするが……

 

 

「ぐっ……」

 

 

身体に力が入らず、まだ立てないでいた。

 

 

「はぁ……はぁ……」

 

 

起き上がろうとするが、四つん這いの姿勢になってしまう。

 

汗も止まらず、息切れもひどい。

 

リニスが引き続き治癒魔法で身体を癒してくれているが、まだ自力で立ち上がるまでには回復していないようだ。

 

そんな俺の様子に見かねたのか、なのはとフェイトが、それぞれ俺の右肩と左肩を支えようとする。

 

 

「大丈夫?」

 

 

「手伝うよ」

 

 

「ふ、二人とも……」

 

 

だが身長140cmにも満たない小柄な二人では、170cmの俺を起き上がらせることはできても、立ち上がらせることはできない。

 

身長に差がありすぎるのだ。

 

 

「なのはもフェイトも……お気持ちは嬉しいですが、貴方達では身長差がありすぎてヒエンを支えることができません。ここは……アルフ。手伝ってもらえますか?」

 

 

「あいよ」

 

 

するとそんな俺達のやり取りを見ていたリニスがアルフに声をかける。

 

アルフは俺達に気付くと近寄り、俺の肩を支えてくれた。

 

 

「ほら……捕まりな」

 

 

「サ、サンキュー……アルフ」

 

 

アルフに支えられて俺はようやく立ち上がることができた。

 

 

「「むぅ」」

 

 

なのはとフェイトが何やら頬を膨らませているが、俺は気付かないフリをしつつ、はやて達の元へと合流する。

 

 

「……あそこの黒い淀み……闇の書の防衛プログラムが、あと数分で暴走を開始する。間違いないか?」

 

 

「うん。自動防衛システム『ナハトヴァール』」

 

 

《暴走は周辺の物質を侵食し、ナハトの一部にしてゆく。臨界点が訪れなければこの星一つくらいは飲み込んでしまう可能性がある》

 

 

クロノの確認にはやてと、立体映像として現れた小柄なリインフォースが説明する。

 

 

「「えぇ!?」」

 

 

リインフォースの説明になのはとフェイトが驚きの声をあげる。

 

まぁ、驚くのも無理はない。

 

星を飲み込むとか言ってるんだから。

 

どこぞの最終兵器だって話になってくる。

 

それにしてもリインフォースの服装が黒いチャイナ服みたいでまことにけしからんとです。

 

 

「停止のプランは現在二つある。一つ、極めて強力な氷結魔法で停止させる」

 

 

するとクロノは待機状態にしていたデュランダルをセットする。

 

デュランダルは冷気を纏っているのか、周囲の空気が少しだけ凍った。

 

 

「二つ、軌道上に待機している艦船アースラの魔導砲アルカンシェルで消滅させる」

 

 

そしてクロノは全員に視線を向ける。

 

 

「これ以外に他にいい手はないか?夜天の書の主と、その守護騎士の皆に聞きたい」

 

 

するとシャマルが恐る恐る手を上げる。

 

 

「えぇと……最初のはたぶん難しいと思います。主のない防衛プログラムは魔力の塊みたいなものですから」

 

 

「凍結させても(コア)がある限り再生機能は止まらん」

 

 

「アルカンシェルも絶対ダメ!こんなところでアルカンシェル撃ったら、はやての家までぶっ飛んじゃうじゃんか!!」

 

 

シグナムは少し辛そうに、ヴィータは全力で否定する。

 

 

「そ、そんなにすごいの?」

 

 

なのはがユーノに視線を向ける。

 

 

「発動地点を中心に百数十キロの空間を歪曲(わいきょく)させながら、反応消滅を起こさせる魔法っていうとだいたい分かる?」

 

 

っていうかユーノ君、キミよくそんなこと知ってるね?

 

 

「あの!私もそれ反対っ!!」

 

 

「同じく!絶対反対っ!!」

 

 

ユーノの説明を聞いたなのはと、フェイトがクロノに詰め寄る。

 

 

「僕も艦長も使いたくないよ。でもナハトヴァール(あれ)の暴走が本格的に始まったら……被害はそれより遥かに大きくなる」

 

 

「暴走が始まると触れた物を侵食して無限に広がっていくから」

 

 

クロノの説明をユーノが補足する。

 

 

「「「「「…………」」」」」

 

 

一同が一瞬、無言になると……

 

 

『はい皆!暴走臨界点まで後十五分切ったよ!会議の結論はお早めに!!』

 

 

エイミィの通信が入った。

 

残り時間は……僅か十五分か。

 

 

「何かないか?」

 

 

クロノが再度、皆に問う。

 

 

「……すまない。あまり役にたてそうもない」

 

 

「暴走に立ち会った経験は我らにもほとんどないのだ」

 

 

シグナム、ザフィーラは申し訳なさそうに言う。

 

 

「でも、なんとか止めないと!はやてちゃんのお家が無くなっちゃうの、嫌ですし!」

 

 

「いや、そういうレベルの話ではないんだがな……」

 

 

シャマルはクロノに懇願するように話すが、クロノもどこか戸惑うように返事をしていた。

 

 

「戦闘地点をもっと沖合いにできれば……」

 

 

「海でも空間歪曲の被害は出る……」

 

 

「「「「「うぅーん……」」」」」

 

 

皆が話し合うが一向に光明は見えない。

 

 

「リニス……」

 

 

「……申し訳ありませんフェイト」

 

 

フェイトがリニスに助けを求めるように顔を向けるが、リニスは首を横に振る。

 

するとフェイトの視線が俺の方へと向いた。その傍にいたなのはと、はやての視線も俺の方へと向いていた。

 

三人とも泣きそうな表情をしていた。

 

 

「…………」

 

 

俺は思考する。

 

ナハトヴァールの侵食暴走体をこのまま放っておけば、地球はやがて飲み込まれ、滅びの道をたどるだろう。

 

だがアースラの魔導砲アルカンシェルを使用すれば、ナハトヴァールは打ち倒せる。

 

しかしその場合、避けられない問題が浮上してくる。

 

その問題点というのが、アルカンシェルを撃つことによってできる()()()()()()()()()()である。

 

このままアルカンシェルを放てば、多くの人々や生き物が死に、多大な犠牲を強いることになるだろう。

 

だが俺はこの問題の解決方法を知っている。

 

原作知識で知っている。

 

簡単な話だ。

 

アルカンシェルを撃つことによって地球に被害が出るのなら……

 

 

 

()()()()()()()()()()()()()でアルカンシェルを放てばいい。

 

 

 

原作……この場合はテレビ版A'sになるのだが、ここでなのは達は知恵を出し合い、皆で協力することで闇の書の呪いに打ち勝った。

 

すなわち……

 

 

 

宇宙空間でアルカンシェルを放つことによって。

 

 

 

「……手ならある」

 

 

俺の発言に、皆の視線が俺へと向く。

 

 

「……要はアルカンシェルを撃っても地球への被害が出なければいいんだろ?」

 

 

「ああ、そうだ。だがそううまい話が……」

 

 

「エイミィ」

 

 

そこで俺はエイミィに一つの確認を取る。

 

 

「一つ確認したいんだが、アルカンシェルはどこにでも撃てるのか?例えば……()()()()()()()()()()()()とか」

 

 

するとエイミィから返事が返ってくる。

 

 

『ふっふっふっ。ヒエン君、管理局のテクノロジー……舐めてもらっちゃ~困りますなあ。撃てますよ~宇宙だろうがどこだろうがあ!』

 

 

「おい、ちょっと待てヒエン!君が考えていることはまさか!?」

 

 

俺はクロノにニヤリと笑いながら告げる。

 

 

「そのまさかだよクロノ」

 

 

察しのよい者達はこの会話で俺の狙いに気付く。

 

 

「ヒエン君……ヒエン君の考えてることってもしかして……」

 

 

「アルカンシェルを……」

 

 

「宇宙空間で撃つことなんか!?」

 

 

なのは、フェイト、はやての魔法少女三人娘が驚いたような声で聞いてくる。

 

 

その通り(exactly)

 

 

俺は少しおどけて答えてみせる。

 

 

「な、なんというか……」

 

 

「相変わらず……」

 

 

「ぶっとんでんなあ……」

 

 

しかし魔法少女三人娘は、そんな俺の期待とは裏腹に若干引きながら戸惑うような視線を向けてくる。

 

心なしか、少し物理距離も空いた気がする。

 

あれ?

なんか思ってた反応とずいぶん違うんですけど。

 

 

「おい、そこの魔法少女三人娘。なぜそんな変わり者でも見るかのような目で俺を見る?」

 

 

俺の質問に未来の魔王様が答える。

 

 

「そ、そんな目で見てないよ!た、ただ……相変わらず無茶苦茶だなって思っただけだもん!!」

 

 

「天下のなのは様の無茶苦茶加減に比べれば、俺なんぞミジンコもいいところです。なのでその言葉、そっくりそのままお返し致します」

 

 

「ちょっとそれ、どういう意味かな!?」

 

 

「そのままの意味である」

 

 

「その言葉の意味を聞いてるのー!!」

 

 

「な、なのは落ち着いて!?」

 

 

「あはははは……」

 

 

俺の返答に両手を上げて憤慨するなのは。

 

それをどこ吹く風と受け流す俺。

 

そんな俺達を見てなんとか落ち着かせようとするフェイト。

 

それらを苦笑いで見守るはやて。

 

なんというか一瞬で和やかな空気になった。

 

さすが俺。

 

良い仕事した(゚∀゚)b

 

 

「あぁー……君達そろそろいいか?」

 

 

あ、ごめんクロノ君。

 

続きどうぞ。

 

 

「それでヒエン……君のことだ。この事態を解決する手段も既に思い付いているんだろう?」

 

 

「ああ」

 

 

「「「「「おぉ!!」」」」」

 

 

「説明してくれ」

 

 

俺の頷きに一同が喜びの声をあげる。

 

そして俺は簡単に説明する。

 

 

「時間がないから簡潔に説明するぞ。『ナハトヴァール』をここにいる全員で叩き潰して、アースラ前に転送。そしてアルカンシェルで蒸発。以上終わり」

 

 

「「「「「…………」」」」」

 

 

「…………」

 

 

「「「「「…………」」」」」

 

 

「…………」

 

 

「「「「「…………」」」」」

 

 

「…………」

 

 

……誰か突っ込んでくんね?

 

 

「いや!ハショリすぎだろ!?」

 

 

すると沈黙に耐えられなくなったのかヴィータが渾身のツッコミを入れてきた。

 

ナイスツッコミ。

 

さすがにスルーされるのはきついとです。

 

 

「とまぁ、冗談はともかくここにいる全員の力を合わせればそれも不可能じゃない。はやて、確認なんだがナハトヴァールには確か四層式のバリアがあるんだよな?」

 

 

「うん。正確には魔力と物理を併せ持った複合四層式のバリアやね」

 

 

「了解。まずはここにいる皆でそのバリアを破る。その後、本体に攻撃して(かく)……ナハトヴァールのコアを露出させる。とはいってもあの巨体サイズだ。恐らく生半可な攻撃じゃすぐに再生する。だから集束砲撃(ブレイカー)クラスの砲撃を当てて強制的に奴のコアを露出させる。そして……」

 

 

「その後に、強制転移魔法でアースラの前にコアを転送して……」

 

 

「アルカンシェルで蒸発させるんですね!」

 

 

俺の言葉にリニスとユーノが被せてきた。

 

 

「うん、まぁいいんだけどね。以上、これが作戦だ」

 

 

「君の作戦は分かった……だが、僅か短時間でこんな方法を思い付くとは……」

 

 

「さすが兄さん……というべきでしょうか」

 

 

「我がマスターながら……相変わらず無茶苦茶ですね」

 

 

「おい」

 

 

え?

 

なんか散々な言われようなんですけど?

 

なんかめちゃくちゃ納得いかないんですけど?

 

この作戦、実は別のリリカル世界では件の魔法少女三人娘が発案し、採用されるのだが……

 

この世界では俺が作戦の発案者みたいな位置になってしまった。

 

というか、さっきから作戦を聞いた魔法少女三人娘からの尊敬の眼差しが凄まじいのですが。

 

気のせいでなければキラキラと輝いたエフェクトまで見えるのだ。

 

ヤバイ。

 

とてつもなく罪悪感が半端ないゼorz

 

例えるなら、人の成果を横からかっさらたみたいな?

 

まあいいか。

 

だがこの作戦を行う上で()()()()がある。

 

 

「皆、ちょっと聞いてくれ」

 

 

そして俺はその問題点の説明を始めた。

 

 

 

ヒエンside end

 

◆◆◆

 

第三者side

 

 

 

アースラでは例の作戦を聞いたクルー達が準備のために、急ピッチで作業に追われていた。

 

そんななかリンディとエイミィが苦笑いしながらモニターを見ていた。

 

 

「なんともまぁ、相変わらず物凄いというかなんというか……」

 

 

「計算上では実現可能ってのがまた怖いですね」

 

 

エイミィがキーボードを操作しながら話す。

 

彼女の視線の先にはミーティングを続けている少年達の姿が映っている。

 

 

「クロノ君!こっちのスタンバイオッケー!暴走臨界点まであと10分!!」

 

 

『了解した』

 

 

すると画面のクロノが再び皆に話しかける。

 

 

『……実に個人の能力頼みでギャンブル性の高いプランだが、まぁ、やってみる価値はある』

 

 

『……人の人生なんてある意味ギャンブルみたいなもんだしな』

 

 

『ちょっと兄さん!兄さんはある意味作戦の要なんですから、動かないで休んでいて下さい!!』

 

 

『そうです!じっとしていなさい!!』

 

 

『サーセンorz』

 

 

『まぁまぁ……二人とも抑えて』

 

 

クロノの言葉にボソッとボケた少年が、治療を施しているユーノ、リニスによって突っ込まれていた。

 

例の作戦をこなすには、この少年が非常に重要な役割を担っているのだ。

 

だが少年はこれまでの戦いで既に満身創痍であったため、急遽治療を受けているのである。

 

少年の治療に後方支援のスペシャリスト、シャマルも加わることにより少年は全快とまではいかないものの、ある程度回復することはできていた。

 

ちなみに少年の作戦の参加に魔法少女三人娘が断固として認めようとしなかったのだが、少年の説明に渋々、本当に渋々納得したのだった。

 

 

『まぁ、このバカのことは放っておいて守護騎士の皆は闇の書の呪いを終わらせるため……なのは達はこの町とこの世界を守るため……協力してもらえるか?』

 

 

『『『うん!』』』

 

 

全員が一斉に頷く。

 

 

『感謝する』

 

 

そして各々がそれぞれの配置についた。

 

 

 

────────

──────

────

 

 

 

クロノはモニターを見ているであろう()()()()にも話しかけた。

 

 

 

『提督……見えますか?』

 

 

 

『ああ、よく見えるよ』

 

 

 

そこにある老人の声が響く。

 

 

 

『闇の書は……呪われた魔導書でした』

 

 

 

クロノは話す。

 

 

 

『その呪いは幾つもの人生を喰らい、それに関わった多くの人々の人生を狂わせてきました。闇の書(あれ)のおかげで僕の母さんも。……他の多くの被害者遺族も、こんなはずじゃない人生を進まなきゃならなくなった』

 

 

 

まるで語りかけるように……

 

 

 

『それはきっと貴方も……リーゼ達も』

 

 

 

まるで呼び掛けるように……

 

 

 

『無くしてしまった過去は変えることはできない』

 

 

 

まるで納得させるように……

 

 

 

『だから……現在(いま)を戦って……未来を変えます!!』

 

 

 

己の決意を……話す。

 

 

 

それを見ていたリンディは嬉しいような……寂しいような気持ちを抱いていた。

 

 

 

(成長したわねクロノ……)

 

 

 

「アルカンシェル!チャージ開始!!」

 

 

 

そしてリンディは切り札である魔導砲の準備を進めていく。

 

 

 

彼女の視線のモニターにはある物が映されていた。

 

 

 

闇の書の闇……

 

 

 

ナハトヴァール。

 

 

 

呪いの魔導書から切り離されたそれがついに動きだそうとしていた。

 




次回はいよいよ闇の書の闇との対決。

ぶっちゃけ半端ねーです。

では、また(・∀・)ノ

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