続き書けたで候。
では、どうぞ( *・ω・)ノ
第三者side
転送魔法によって避難させられたアリシア、アリサ、すずかの三名は私立聖祥大付属小学校の校門前にいた。
「……っていう訳なんだよ」
「「…………」」
アリサと、すずかは現在、アリシアから自分達が巻き込まれた現状について、魔法のことについて教えられていた。
アリシアの話を聞いた二人は驚く。
「ま、魔法が……本当に存在するんだ……」
「それにはやてにもそんな事情があったなんて……」
そしてはやてや、闇の書のことについても。
「うん。だからなのはや、フェイト、お兄ちゃん達は、はやてを救うために今も戦ってるんだ」
アリシアは黒い淀みができている方角を指で差す。
「光は収まってるみたいね……」
「……うん。海にまだ黒いのがあるけど」
アリサと、すずかも黒い淀みがある方を見て呟く。
「……皆、大丈夫かしら?」
「なんとなくだけど……大丈夫な気がするの」
「え?」
「あの三人なら……なのはちゃんや、フェイトちゃん、ヒエンさんなら……はやてちゃんを助けて無事に戻ってくる気がする」
「すずか……」
すずかの言葉にアリシアが驚く。
そしてアリサが呟いた。
「すずかが真顔でそう言うと、なんだかそんな気がしてくるわね……」
「「アリサちゃん……/アリサ……」」
三人は黙る。
「それにしてもよ……」
すると再びアリサが呟き……
「あああぁぁぁ!!もううぅぅぅ!!訳わかんない!!楽しいクリスマスイブになるはずがどうしてこうなんのよ!!夢なら覚めて!!覚めてよぉぉぉぉぉ!!!!」
そして爆発した。
「アリサ!?」
「アリサちゃん落ち着いて!?」
アリシアとすずかの二人は、アリサを羽交い締めにして落ち着かせようとする。
だが燃える闘魂を素でいく少女……アリサ・バニングスがそう簡単に落ち着くはずがなかった。
そして彼女は怒りの矛先を黒い淀みに向けるように……力の限り叫んだ。
「なのはあああぁぁぁ!!フェイトオオオォォォ!!はやてえええぇぇぇ!!それと……ヒエンンンンンン!!無事に帰ってこないと承知しないんだからねええぇぇぇぇぇ!!!!!!」
彼女の叫び声が海鳴の海に木霊するのだった。
第三者side end
◆◆◆
ヒエンside
俺の眼下では相変わらず黒い淀みがウネウネと
海から巨大な爬虫類の生き物の足や、触手と思われるものが何本も生えていた。
あれらは恐らく、ヴォルケンリッター達が蒐集してきた原住生物のリンカーコアの情報から再現された物だろう。
はい。
はっきり言って滅茶苦茶気持ち悪いです。
若干、気分も悪くなってきた。
『暴走開始まで……後二分!!』
するとエイミィから通信が入る。
暴走開始までごく僅かだ。
一応、ここにいる皆にはナハトヴァールの侵食暴走体が
後はそれをうまく抑え込みつつ、各自で対応してもらうしかない。
「はい。治療完了です」
そして俺がナハトヴァールにどのようにして対抗するかを考えていると、シャマルが声をかけてきた。
ちなみに先程まで俺の治療を行っていたリニスとユーノは、なのは達の治療を行っている。
「サンキュー」
俺は身体に力を入れる。
スッと立ち上がることができた。
続いて調子を確かめるように軽く体操を行う。
「…………」
正直、妙なだるさや重さは身体に幾分か残っているが動けないほどではない。
残り少なくなっていた魔力もシャマルが分けてくれたおかげである程度回復していた。
これならなんとか戦えそうだ。
するとシャマルが複雑そうな表情でこちらを見ていることに気付く。
「どうしたんだよ?」
「あ、えっと、そのぉ……」
そして彼女は少しアタフタしながら俺に頭を下げてきた。
「あ、あのときは……ひどいこと言ってごめんなさい!!」
「あのとき……?」
だが俺からしてみれば彼女がなぜ謝るか分からなかった。
「お、覚えてない?今日、病院の屋上でヒエン君と私達が話してたこと」
「屋上……あ、もしかして」
そして俺はあのときのやり取りを思い出す。
『ヒエン君、申し訳ないけど……今の私達には貴方の話を信じる根拠がないの』
『……少なくとも今まで私達に嘘をついていた貴方を信じることはできないわ』
シャマルはあのときのことを言っているのだろう。
だが正直、もう過ぎた話なのだが……
すると他のヴォルケンリッター……シグナム、ヴィータ、ザフィーラの三人も神妙な面持ちでこちらへとやってきた。
ヴォルケンリッター大集合である。
「オオゾラ」
「……シグナム」
「今更言い訳をしようとは思わん。だがこれだけは言わせてくれ。……色々すまなかった」
「あ、あたしもだ。騙してたなんて言って……悪かった」
「……申し訳なかった」
なんと他の三人も揃って頭を下げてきたのだ。
俺はいきなりのことで
「あぁー、もう終わった話だし、気にするな。それにあのときのお前達の気持ちも分からんでもないしな」
俺はあのときヴォルケンリッターに説得を試みた。
だが彼女達からしてみれば、信じていた主への治療法がいきなり危険性のあるものだと言われたのだ。
反発したくもなるだろう。
「で、でも私達は貴方達を……」
「…………」
まあ唯一言いたいことがあるとすれば……
「申し訳ないと思っているなら……これからでいい。……まずは必ず……
「話?」
「俺はいや、俺達はお前達ヴォルケンリッターを説得しようとした。だけどお前達はそれを聞かずに……いきなり襲いかかってきた」
「「「「…………」」」」
シグナム達は小さく俯く。
だが俺は気にせず話を続ける。
「だから次……
「「「「!?」」」」
彼女達は目を見開く。
俺の言葉の意味が分かったのだろう。
だからこそ……意味がある。
彼女達は話すことの重要性を理解した。
たとえ敵同士であったとしても、お互い冷静に話すだけで変わるものもある。
それを
たとえいがみ合っていたとしても……争っていたとしても……話してみれば……分かり合えることもあるかもしれない。
「……分かった。約束しよう」
「ああ、頼む。俺から言いたいのはそれだけだ」
俺は話を終える。
心なしか彼女達の表情が軽くなった気がする。
恐らく俺から罵倒や叱責の一つでも来ると思っていたのだろう。
少し安心したような表情が印象的だった。
────────
──────
────
俺達は近くの岩場に着地する。
俺の周りにはアルフ、ユーノ、ザフィーラの姿があった。
今回俺は攻撃側でなく、サポートする側にいる。
そしてそんな俺をサポートするために傍にリニスもいる。
「コア露出まではアタシ達がサポートだ。うまいこと動きを止めるよ」
「うん」
「ああ」
「おう」
「ええ」
アルフの言葉をユーノ、ザフィーラ、俺、リニスの順で返す。
そんなときリニスが声をかけてきた。
「ヒエン……回復したからといって、今日はもうオーバードライブを使用してはいけませんよ」
「……ん?」
え?
あれ一応俺の奥の手なんだけど……
「あのシステムはまだ不完全でしょう?使用者に負担を与えるシステムなど自滅以外の何物でもありません」
「ま、まあ否定はできんが……」
確かに使用者に負担を与えている時点でそのシステムは不完全だ。負担を与えずに力を発揮させなければまるで意味がない。
「それに……貴方は朝からずっと戦い通しです」
「…………」
リニスの言う通り、俺は早朝からギル・グレアムと戦い、昼間はヴォルケンリッターとも戦い、そして夜天の魔導書の管制融合機リインフォースとも死闘を演じた。
さらに今から闇の書の闇とも戦う。
まさかの四連戦である。
俺自身もビックリだ。
だが………
「それを言えばリニスもクロノも朝から戦いっぱなしじゃないか」
二人も一緒じゃないか。
「貴方に比べれば軽いものです」
だがリニスは認めない。
「意地を張るな、意地を」
「どちらがですか」
「はいはい。そこまでだよ」
そして俺とリニスがヒートアップしようとしたとき、アルフが止めに入った。
「もうすぐであのデカブツが動き出すんだ。喧嘩なんてしてる場合じゃないよ二人とも」
「……すまん」
「私としたことが……ありがとうございますアルフ」
そのとき……
ドォオオオオオオオオンン!!!!!!
大きな爆発音が響く。
直後、闇色の光の柱が九つ現れ、円周上に迸る。
そしてその中心に巨大な闇色の球体が現れる。
「始まる」
クロノが静かに呟く。
その直後……
「ウォオオオオオオオオ!!!!!!」
巨大な咆哮が周囲に響いた。
「夜天の魔導書を呪われた闇の書と呼ばせたプログラム……」
するとはやてが事態を把握するかのように……
「ナハトヴァールの侵食暴走体……」
覚悟を決めたかのように……
「闇の書の闇……」
静かに呟く。
そして巨大な闇色の球体から……
数百メートルはあろうかという怪物が現れた。
そいつは獣のような咆哮をあげ、暴走するように周りを威嚇する。
ナハトヴァールの侵食暴走体が遂に動き出した。
次回こそ戦闘。
フルボッコタイム……と思いきや?
では、また(・∀・)ノ