続き書けたで候。
では、どうぞ∠( ゚д゚)/
佐天涙子side
「いやー、今日は本当にびっくりしたね!」
大空さん達と別れた後、私は初春と並んで街を歩いていた。
夕方の学園都市は、学校帰りの学生達で賑わっている。
いつもなら何気なく通り過ぎる道だけど、今日は何だか少し違って見えた。
何しろ、八人目の超能力者〈レベル5〉と知り合ってしまったのだ。
「そうですね。まさか新しく認定されたレベル5の方と、あんな形でお会いするなんて」
「しかも、アリアさんとロッテさんもレベル4だよ? すごくない?」
「はい。三人とも今日認定されたばかりだそうですし……」
初春は感心したように頷いた。
「それにしても、大空さんって不思議な方でしたね」
「だよねー!」
私は思い出しながら笑った。
レベル5と聞いて、最初はどんなすごい人なんだろうと思った。
でも、実際に会ってみれば、気さくで話しやすいお兄さんだった。
事故に巻き込まれそうになった人を助けて、私達とも普通に話してくれて。
それに――
「カレー食べてる時、すっごく幸せそうだったよね」
「ふふっ、そうでしたね」
初春も笑った。
「佐天さん、おすすめしてよかったですね」
「でしょ? あんなに喜んでもらえるとは思わなかったよ」
私も嬉しくなってしまった。
それから、忘れちゃいけないのが――
「ヒッツちゃん達も可愛かったなぁ!」
「はい! 特にナハトちゃん!」
初春の声が少し弾んだ。
「あー、初春ったら、すっかりナハトちゃんに夢中だったもんね」
「そ、そんなことありませんよ!」
「えー? ずっと抱っこしてたじゃん」
「それは、ナハトちゃんが自分から来てくれたからで……!」
「はいはい」
私は笑いながら頷いた。
……でも、あの白い毛並みは本当に気持ちよかったなぁ。
また抱っこさせてもらいたい。
「それにしても、あの子達って何なんだろうね?」
「……そうですね」
初春が少し考え込む。
「大空さんの能力と関係しているんでしょうか」
「炎と氷を操る能力なんだよね?」
「登録されている能力名は氷凍炎焔〈アイスフレイム〉ですけど、詳しい仕組みまでは分かりません」
「ふーん……」
炎と氷を操って、空まで飛べる。
それだけでも十分すごいのに、小さなライオンや狐まで一緒にいるなんて。
やっぱりレベル5って、私達の想像を超えているんだなぁ。
「……でもさ」
「はい?」
「何だか、家族みたいだったよね」
私がそう言うと、初春も微笑んだ。
「そうですね。皆さん、とても仲がよさそうでした」
大空さんがヒッツちゃん達を見る時の表情。
アリアさんとロッテさんが、大空さんに遠慮なく話しかける様子。
どれも、長い時間を一緒に過ごしてきた人達なんだろうなと思わせるものだった。
「……また会えるといいね」
「はい」
そんな話をしているうちに、待ち合わせ場所が見えてきた。
「あっ、いたいた!」
そこには、見覚えのある二人の少女が立っていた。
「御坂さーん! 白井さーん!」
私が手を振ると、御坂美琴さんがこちらを向いた。
「あ、佐天さん! 初春さんも!」
「お待たせしました!」
初春が頭を下げる。
「ううん。私達も今来たところよ」
御坂さんが笑う。
その隣では、白井黒子さんが腕を組んでいた。
「まったく。佐天さん達、随分と楽しそうですのね」
「あははっ、実は今日、すっごいことがあったんですよ!」
「すっごいこと?」
御坂さんが首を傾げる。
「はい!」
私は思わず身を乗り出した。
「聞いてください! なんと今日、八人目のレベル5に会っちゃったんです!」
「…………え?」
御坂さんの動きが止まった。
白井さんも目を見開く。
「……今、何とおっしゃいましたの?」
「八人目のレベル5です!」
「八人目!?」
御坂さんが驚きの声を上げた。
「ちょっと待って! レベル5って七人しかいないはずでしょ!?」
「そうなんですけど、今日、新しく認定されたらしいんですよ!」
「……初春?」
白井さんが初春へ視線を向ける。
「本当ですの?」
「はい。風紀委員の方でも、新たな登録情報を確認しました」
初春が頷く。
「名前は大空氷炎さん。能力名は氷凍炎焔〈アイスフレイム〉。新たに第八位として登録されています」
「……大空氷炎」
御坂さんが小さく呟いた。
「聞いたことない名前ね……」
「新しく認定されたばかりなら、無理もありませんわ」
白井さんが腕を組む。
「ですが、八人目のレベル5ですか……。随分と大きな話ですの」
「そうなのよね……」
御坂さんも考え込んでいる。
やっぱり、同じレベル5の御坂さんにとっても驚くような話なんだ。
「それで、佐天さん」
「はい?」
「その大空って人、どんな人だったの?」
「えっとですねー……」
私は少し考えた。
大空さん。
八人目のレベル5。
炎と氷を操って。
小さなライオンと狐を連れていて。
それから――
「……カレーが好きな人です!」
「……は?」
御坂さんが目を丸くした。
「……佐天さん?」
白井さんも呆れたように声を上げる。
「それが最初に出てくる説明ですの?」
「いやー、だって本当に美味しそうに食べてたんですよ!」
「……カレー?」
御坂さんが困惑したように呟く。
すると、初春が苦笑しながら補足してくれた。
「大空さんとは、運搬車両の事故現場でお会いしたんです」
「事故?」
御坂さんの表情が変わった。
「はい。制御を失った運搬車両が歩道へ乗り上げそうになって……」
初春が当時の状況を説明する。
「そこにいた女性と子供を、大空さんが助けてくださったんです」
「……へぇ」
御坂さんが感心したように頷く。
「それで、怪我人は?」
「幸い、いませんでした」
「よかった……」
御坂さんが安堵の息を吐いた。
「それで、どうやって助けたの?」
「それがですね!」
私は再び身を乗り出した。
「ものすごい速さで移動して、車を止めちゃったんですよ!」
「……車を?」
「はい! しかも、炎みたいなものを使って!」
「炎……」
御坂さんが考え込む。
「氷凍炎焔、か……」
「何でも、炎と氷の両方を操れるらしいです!」
「……珍しい能力ね」
御坂さんが呟いた。
「それに、二つの性質を同時に扱えるとなると……」
「しかも!」
私は指を立てた。
「その人、空も飛べるらしいんですよ!」
「……飛べる?」
「はい! 初春が見た資料に書いてあったんです!」
御坂さんが初春へ視線を向ける。
「本当?」
「はい。ただ、能力の詳しい仕組みについては、まだ公開されていない部分も多いみたいです」
「……ふーん」
御坂さんが興味深そうに頷く。
「何だか、色々できる人なのね」
「そうなんですよ!」
私は大きく頷いた。
「しかも、小さなライオンをいっぱい出せるんです!」
「……ライオン?」
御坂さんが首を傾げる。
「はい!」
「……何でライオン?」
「それは私も分かりません!」
「分からないんかい!」
御坂さんが思わず突っ込んだ。
……いやー。
だって、本当に分からないんだもん。
「それに、白い狐もいるんですよ!」
「狐まで!?」
「はい! すっごく可愛いんです!」
私は思わず笑顔になる。
「特にナハトちゃんっていう子が!」
「……ナハト?」
御坂さんが呟く。
「名前まで付いてるのね」
「はい! みんな名前があるんですよ!」
私は指を折りながら数え始めた。
「ヒッツ、ナハト、アカッツ、アオッツ、ミドッツ、キッツ、ムッツ、アイッツ、ピッツ!」
「……多っ!」
御坂さんが驚く。
「九匹もいるの!?」
「はい!」
「……それ、全部能力で出してるの?」
「多分そうだと思います!」
「多分って……」
御坂さんが苦笑する。
すると、白井さんが真剣な表情で口を開いた。
「……少し気になりますわね」
「ん?」
「炎と氷を操り、空を飛び、動物のような存在まで生み出す……」
白井さんが腕を組む。
「一つの能力としては、随分と多彩ですの」
「……確かに」
御坂さんも頷く。
「でも、レベル5ならそれくらいできても不思議じゃないんじゃない?」
「そうかもしれませんが……」
白井さんは少し考え込んだ。
「少なくとも、一般的な能力分類では説明しづらい部分がありますわ」
「……まあ、そうね」
御坂さんも納得したように頷く。
……うーん。
やっぱり、レベル5って色々すごいんだなぁ。
そんなことを考えていると、御坂さんが私へ視線を向けた。
「それで、佐天さん」
「はい?」
「その大空って人、どんな感じだったの?」
「えっと……」
私は少し考える。
さっきはカレーの話ばかりしてしまったけど。
実際のところ、大空さんは――
「……優しい人、でしたね」
自然と、そんな言葉が出てきた。
「優しい?」
「はい」
私は頷く。
「事故の時も、迷わず助けに入ってましたし」
あの時のことを思い出す。
運搬車両が歩道へ突っ込もうとして。
女性と子供が逃げ遅れて。
そこへ、大空さんが飛び込んだ。
……本当に、一瞬だった。
「……それに」
「ん?」
「レベル5だからって、偉そうにすることもなかったですし」
私は笑った。
「普通に話してくれて、普通に一緒にご飯食べて……」
「……へぇ」
御坂さんが少し微笑んだ。
「何だか、いい人そうね」
「はい!」
私は大きく頷いた。
「それに、アリアさんとロッテさんもいい人でした!」
「……アリアさんとロッテさん?」
御坂さんが首を傾げる。
「ああ、そうそう!」
私は思い出したように声を上げた。
「その二人も、レベル4なんですよ!」
「……え?」
「しかも、今日認定されたばかりなんです!」
「……ちょっと待って」
御坂さんが額を押さえた。
「レベル5が一人に、レベル4が二人……?」
「はい!」
「……何なの、その組み合わせ」
……うん。
私も最初はそう思った。
「しかも、三人とも学園都市に来たばかりらしいんですよ!」
「……ますます分からないわね」
御坂さんが呟く。
すると、白井さんが口を開いた。
「……お姉様」
「ん?」
「これは、少し確認しておいた方がよろしいかもしれませんわね」
「……そうね」
御坂さんが頷く。
……あれ?
何だか、二人とも真剣な顔になってる。
「……何か気になることでもあるんですか?」
私が尋ねると、御坂さんは少し考えてから答えた。
「いや、別に怪しいって決めつけてるわけじゃないんだけどね」
「はい」
「ただ、レベル5が新しく増えるなんて、今まで聞いたことがなかったから」
「……確かに」
私は頷く。
学園都市に七人しかいないレベル5。
その人数が、突然八人になった。
それだけでも大事件だ。
「……でも」
御坂さんが少し笑った。
「佐天さん達がそんなに楽しそうに話すなら、会ってみたいかもね」
「本当ですか!?」
「ええ」
「じゃあ、今度紹介しますよ!」
「……え?」
御坂さんが目を丸くした。
「紹介?」
「はい! 連絡先交換したんです!」
「……早っ!」
御坂さんが思わず声を上げる。
「今日会ったばかりでしょ!?」
「だって、いい人でしたし!」
「……まあ、佐天さんらしいけど」
御坂さんが苦笑する。
すると、白井さんが口を開いた。
「……ですが、お姉様」
「ん?」
「相手は新たなレベル5ですのよ?」
「だから?」
「もし、何か企んでいる人物だったら……」
「……黒子」
御坂さんが少し呆れたように言う。
「まだ会ってもいないのに、そんなこと言わないの」
「……ですが」
「佐天さん達の話を聞く限り、悪い人には思えないし」
御坂さんはそう言って、私達へ視線を向けた。
「ね?」
「はい!」
私は大きく頷いた。
「絶対、気が合うと思いますよ!」
「……絶対って」
御坂さんが苦笑する。
でも。
私は何となく、そう思った。
御坂さんも、大空さんも。
困っている人を放っておけない人だから。
きっと、仲良くなれるんじゃないかな。
「……そうだ」
私はふと思いついた。
「今度、みんなでご飯でも行きません?」
「……ご飯?」
「はい! 大空さん、食べるの大好きみたいですし!」
「……また食べ物の話?」
御坂さんが笑う。
「だって、本当に美味しそうに食べるんですよ!」
「はいはい」
御坂さんが苦笑しながら頷いた。
「まあ、機会があればね」
「やった!」
私は嬉しくなって、思わず拳を握った。
……よし。
今度、大空さんに連絡してみよう。
きっと、楽しいことになるはずだ。
そんなことを考えていると、初春が小さく呟いた。
「……それにしても」
「ん?」
「大空さん達、これからどうなるんでしょうね」
「……どうなるって?」
「学校のこととか、生活のこととか……」
初春が少し心配そうな表情を浮かべる。
「学園都市に来たばかりなら、色々大変でしょうし」
「……ああ」
私は頷いた。
確かに、そうだ。
いくらレベル5でも、知らない街で暮らすのは大変だろう。
それに、アリアさんとロッテさんもいる。
「……じゃあ、なおさらだね」
「え?」
「困ったことがあったら、手伝ってあげようよ!」
私は笑った。
「せっかく知り合ったんだし!」
「……そうですね」
初春も微笑んだ。
「私達にできることがあれば、ぜひ」
「うん!」
私は大きく頷いた。
……それにしても。
八人目のレベル5。
大空氷炎さん。
何だか、すごい人と知り合っちゃったなぁ。
でも。
私にとっては、レベル5だからどうこうというより。
美味しそうにカレーを食べて。
小さなライオン達に囲まれて。
仲間達と楽しそうに笑っていた。
そんな、気さくなお兄さんという印象の方が強かった。
……うん。
また会えるといいな。
佐天涙子side END
◇
ヒエンside
「……ふぅ。ようやく帰ってきたな」
マンションの一室に戻った俺は、靴を脱ぎながら大きく息を吐いた。
今日は本当に色々あった。
能力測定を受けたと思ったら、まさかの超能力者〈レベル5〉認定。
その帰り道には事故に遭遇し、佐天涙子と初春飾利に出会った。
おまけに、カレー屋ではヒッツ達が揃って食事を要求してきたわけで……。
「……いやー、濃い一日だったなぁ」
「本当にね」
アリアが苦笑しながら答える。
「まさか、ヒエンがレベル5になるなんて思わなかったわ」
「俺もだよ。せいぜいレベル4くらいで済むと思ってたんだけどな」
「……あれだけ色々見せておいて?」
「うっ……」
アリアの指摘に、思わず言葉が詰まった。
……まあ、確かに。
炎と氷を操って。
空を飛んで。
おまけに身体能力まで見せたんだからな。
……うん。
そりゃあ目立つか。
「それにしても、レベル5かぁ……」
ロッテがソファへ腰を下ろしながら呟く。
「そんなにすごいの?」
「この学園都市には、今まで七人しかいなかったらしいぞ」
「へぇー!」
ロッテが目を丸くする。
「じゃあ、ヒエンはすごく珍しいんだね!」
「……まあ、そういうことになるな」
俺は苦笑した。
正直、あまり嬉しくはない。
何しろ、レベル5ともなれば、学園都市の上層部から注目される可能性が高い。
それに――
(……アレイスター・クロウリー、か)
学園都市の統括理事長。
この街の裏側で、様々な計画を進めている人物。
原作知識がある以上、俺もその存在を知らないわけじゃない。
……できれば、関わりたくない相手だな。
そんなことを考えていると。
『ガァウ?』
「ん?」
肩に乗っていたヒッツが、俺の顔を覗き込んできた。
……ああ。
心配してくれてるのか。
「大丈夫だよ、相棒」
『ガウ?』
「ああ。今すぐ何か起きるって決まったわけじゃないしな」
俺はヒッツの頭を撫でた。
ヒッツも安心したように目を細める。
……うん。
とりあえず、今は様子を見るしかないだろう。
◇
「……さて」
俺はソファへ腰を下ろした。
「これからどうするかねぇ」
「どうするって?」
アリアが首を傾げる。
「いや、今後の生活についてさ」
俺は二人へ視線を向けた。
「とりあえず住む場所は確保できたけど、学校とか仕事とか、色々考えないといけないだろ?」
「そうね……」
アリアが考え込む。
「確かに、いつまでもここで何もしないわけにはいかないものね」
「学校かぁ……」
ロッテが呟く。
「私達も通うの?」
「どうだろうな。学園都市側がどう判断するかにもよると思うけど」
俺は肩を竦めた。
何しろ、俺達は学園都市の住民として登録されたばかりだ。
しかも、原石という扱い。
普通の学生と同じように学校へ通えるのかどうかも、まだ分からない。
「まあ、詳しいことは五和に相談してみよう」
「そうね」
アリアが頷いた。
「それが一番確実だと思うわ」
五和。
この世界へ来てから、何かと世話になっている女性だ。
彼女のおかげで、こうして住む場所も確保できた。
……本当に助かってるなぁ。
「今度、何かお礼でもした方がいいかな」
「いいんじゃない?」
ロッテが笑う。
「五和、優しいし!」
「そうだな」
俺も頷いた。
……まあ、何を渡せばいいのかは分からないけど。
その辺りは、また考えよう。
◇
それからしばらくして。
俺は部屋の窓から、学園都市の景色を眺めていた。
夕暮れ時の街並み。
高層ビルの向こうに沈みかけた太陽が、街を橙色に染めている。
……綺麗なもんだな。
科学の街。
学園都市。
原作で見ていた世界が、今は目の前に広がっている。
……何とも不思議な気分だ。
『……ガウ』
「ん?」
ヒッツが肩の上で小さく鳴いた。
「どうした、相棒?」
『ガウ?』
ヒッツが窓の外を見つめる。
……ああ。
なるほど。
「……気になるか?」
『ガァウ』
ヒッツが頷く。
俺も同じ方向へ視線を向けた。
特に怪しいものは見当たらない。
ただ、街のどこかに、何かが潜んでいるような。
そんな感覚が、僅かに残っていた。
(……やっぱり、気のせいじゃないのかねぇ)
超直感が時折反応する。
敵意でも殺気でもない。
だが、何かがおかしい。
……うーん。
何だろうな、これ。
「ヒエン?」
アリアの声がした。
振り返ると、彼女がこちらを見ていた。
「どうしたの? さっきから難しい顔してるけど」
「ああ、いや……」
俺は少し考えてから答えた。
「……ちょっと気になることがあってな」
「気になること?」
「うん。何か、妙な違和感があるんだよ」
アリアの表情が引き締まる。
「……危険なの?」
「いや、まだ分からない」
俺は首を振った。
「ただ、超直感が時々反応するんだ」
「……そう」
アリアが少し考え込む。
「なら、警戒しておいた方がよさそうね」
「そうだな」
俺は頷いた。
すると、ロッテも近づいてきた。
「何かあったら、私達も手伝うよ!」
「ありがとな」
俺は笑って答えた。
「まあ、今は何も起きてないし、あまり気にしすぎても仕方ないけどな」
……そう。
今のところ、明確な危険はない。
だからこそ、無闇に動くのは避けたい。
下手に目立てば、余計な問題を呼び込むことになるかもしれないしな。
◇
夜。
夕食を済ませた俺達は、リビングでのんびりと過ごしていた。
アリアはソファに座ってテレビを見ている。
ロッテは床に座り、ヒッツ達と遊んでいた。
そして俺は――
「……さて、どうしたもんか」
携帯端末を眺めていた。
画面には、今日交換したばかりの連絡先が表示されている。
佐天涙子。
初春飾利。
……まさか、こんなに早く知り合うことになるとはなぁ。
原作では、御坂美琴達と一緒にいることが多かった二人。
そんな彼女達と、こうして普通に連絡先を交換することになるとは。
……うん。
人生、何があるか分からないもんだ。
そんなことを考えていると。
ピロン♪
「ん?」
携帯端末が鳴った。
画面を見ると、佐天からメッセージが届いていた。
『今日はありがとうございました! すっごく楽しかったです!』
「……おっ」
俺は思わず笑みを浮かべた。
続けて、もう一通。
『また今度、一緒にご飯でも行きませんか?』
……なるほど。
早速のお誘いか。
俺は少し考えてから、返信を打ち込んだ。
『こちらこそありがとう。俺も楽しかったよ。また都合が合えば行こう!』
送信。
すると、すぐに返事が届いた。
『やったー! じゃあ、また連絡しますね!』
「……元気だなぁ」
俺は小さく笑った。
……まあ、こういう明るい子は嫌いじゃない。
すると、ロッテがこちらを覗き込んできた。
「ヒエン、誰と話してるの?」
「ん? 佐天さんだよ」
「佐天ちゃん?」
「ああ。また飯でも行こうってさ」
「いいね!」
ロッテが嬉しそうに笑う。
「私も行きたい!」
「もちろん。アリアも一緒にな」
「……私も?」
アリアがテレビから視線を向ける。
「そりゃそうだろ。三人で行った方が楽しいし」
「……そうね」
アリアが微笑んだ。
……うん。
こういう時間も悪くないな。
異世界に飛ばされて。
学園都市に来て。
色々と面倒なこともあるけど。
それでも、こうして新しい出会いがあるのは嬉しいものだ。
……まあ。
問題は、これから何が起きるかなんだけど。
『ガァウ』
「ん?」
ヒッツが俺の膝へ飛び乗ってきた。
そして、携帯端末をじっと見つめる。
「……相棒?」
『ガウ?』
「……お前も行きたいのか?」
『ガァウ!』
……うん。
即答だった。
「ははっ、分かった分かった。次も一緒にな」
『ガァウ♪』
ヒッツが嬉しそうに鳴く。
すると。
『きゅっ!』
いつの間にかナハトまで現れた。
「……お前もか?」
『きゅ〜♪』
……まったく。
食べ物の話になると、すぐ出てくるんだからな。
そして、さらに。
『ガウッ!』
『ガウガウ!』
小ライオンズ達まで姿を現し始めた。
「……おいおい」
俺は思わず苦笑した。
「お前ら、まだ飯の話しかしてないぞ?」
だが、そんな俺の言葉など気にした様子もなく、ヒッツ達は嬉しそうに尻尾を振っている。
……うん。
どうやら、次の食事会も賑やかなものになりそうだ。
「……ヒエン」
アリアが呆れたように声をかけてきた。
「ん?」
「また全員連れて行くつもり?」
「……まあ、出てきたら仕方ないだろ?」
「……そういう問題じゃないと思うんだけど」
アリアがため息を吐く。
ロッテは楽しそうに笑っていた。
「あははっ! またみんなでご飯だね!」
……うん。
まあ、いいか。
賑やかなのは嫌いじゃないしな。
俺は小さく笑いながら、ヒッツの頭を撫でた。
……さて。
明日はどんな一日になることやら。
少なくとも、今日よりは平和であってほしいもんだ。
そんなことを考えながら、俺は学園都市での新たな生活に思いを馳せるのだった。
また投稿しますー。