大空の炎の力を操る転生者   作:Gussan0

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壁||ω・)ジィ・・・・


|彡サッ!237話


どうも。

続きかけやしたでやんす。

文字数10000いってしまった。

では、どうぞ( *・ω・)ノ

最後に一言。
水樹奈々さんの「BRAVE PHOENIX」か「Scared Force」を……カケテヨンデクレテモイインデスヨ??


第二百三十七話 夜の終わり、旅の終わり

ヒエンside

 

 

 

「ウォオオオオオオオオ!!!!!!」

 

 

ナハトヴァール侵食暴走体が雄叫びをあげながら、遂に姿を現した。

 

おぞましい巨大なその姿はまさに怪物と言っても過言ではなかった。

 

数百メートルはあろうかという巨体は、まるで周りを威圧するかのような体躯(たいく)であった。

 

するとタイミングを見計らったかのように、俺の左肩にピンク色の小ライオンが現れる。

 

 

「ガァウ」

 

 

「ピッツ……相棒の様子はどうだ?」

 

 

「ガゥ。ガォ~」

 

 

「そうか……今は眠ってるか。そのまま休ませてやってくれ」

 

 

「ガゥガゥー」

 

 

現在相棒は魔力を使いすぎたため、俺の心の中で眠っている。

 

その相棒に変わって俺のサポートをしてくれるのが、相棒の右腕のピッツという訳だ。

 

 

「ピッツ、サポートは頼んだぞ」

 

 

「ガァウ!」

 

 

俺は額の炎の出力を上げながら、拳をパンと合わせる。

 

そして気合いを入れるように叫んだ。

 

 

「さあ、いこうぜ!!」

 

 

 

────────

──────

────

 

 

 

「まずは先手必勝!!」

 

 

「あ、いきなり飛び出したら危ないよ!?」

 

 

「ヒエン!?」

 

 

「危ないで!?」

 

 

俺はナハトヴァール侵食暴走体が動き出す前に、奴を拘束しようと動き出す。

 

 

「零地点突破・ファーストエディション……銀世界(シルバーワールド)!!」

 

 

奴の動きを阻害するように、侵食暴走体ごと海面を一気に凍らせる。

 

 

「炎だけでなく氷まで使えるとは……」

 

 

「デュランダルを使っている訳ではないのに……この広範囲を一気に凍らせたか」

 

 

何やらシグナムとクロノの呟きが聞こえたが、とりあえずスルーしておく。

 

魔法少女三人娘からもただならぬ雰囲気を感じるが、全力で目を逸らしておく。

 

 

「アルフ、僕達も!ケイジングサークル!!」

 

 

「ああ!チェーンバインド!!」

 

 

俺の後に続くようにユーノとアルフも魔法を使用する。

 

奴の身体を巨大な緑色の輪っかと、オレンジ色の鎖が拘束する。

 

 

「囲え!鋼の(くびき)!!」

 

 

それに続くようにザフィーラも魔力によって生成した(くい)を空中から落下させて侵食暴走体の身体を貫いて、その動きを食い止める。

 

 

三重捕縛魔法(トリプルバインド)!!」

 

 

さらにリニスもリングバインド、チェーンバインド、ディレイドバインドを同時展開させて拘束する。

 

それぞれ緑色、オレンジ色、青色、黄色の捕縛魔法が炸裂する。

 

そしてその全体を支えるように氷の銀世界が奴の動きを食い止める。

 

 

「ウォオオオオオオオオ!!!!」

 

 

しかし侵食暴走体が咆哮をあげながら身体全体から()()()()()()()()()と、俺達の捕縛魔法は呆気なく破壊された。

 

 

「「「「「!?」」」」」

 

 

その光景に俺以外の全員が目を見開く。

 

 

(やはり使えるか……調和の咆哮!いやこの場合は……調和の衝撃波か!?)

 

 

だがそれを(あらかじ)め予想していた俺は、すぐに皆に念話で知らせる。

 

 

『皆、呆けるな!休まずに一気に攻めるんだ!!』

 

 

そして俺は()()銀世界(シルバーワールド)を展開させて侵食暴走体の動きを封じる。

 

 

「ウォオオオオオオオオ!!」

 

 

だが奴は氷に閉じ込められたままでも闇の砲撃魔法ナイトメアを幾重にも発動させ、全方面へと放つ。

 

その威力はなのはのエクセリオンバスターにも引けを取らなかった。

 

それらを俺達は一斉に飛んでかわす。

 

 

『シャマル!!』

 

 

そして俺は今回の作戦の参謀のシャマルに念話を送り、指示を促す。

 

 

「ええ!先陣突破!なのはちゃん!ヴィータちゃん!お願い!!」

 

 

「おう!……合わせろよ、高町なのは」

 

 

「うん!ヴィータちゃんもね!!」

 

 

指示を受けたヴィータは顔を赤くさせながら、なのはへと協力を仰ぐ。

 

それを受けたなのはは嬉しそうにヴィータへと返事を返した。

 

それにしてもヴィータの顔を赤くさせながら喋る姿は典型的なツンデレ姿である。本当にありがとうございます。

 

 

「ヒエンの言ってた通り……厄介な能力だな。稀少能力(レアスキル)『調和』!」

 

 

「そうだね。でも私達ならやれるよ!」

 

 

「ったりめぇだ!」

 

 

ヴィータはアイゼンを構えると名乗りを上げる。

 

 

鉄槌(てっつい)の騎士ヴィータと、(くろがね)の伯爵グラーフアイゼン!いくぞ!!」

 

 

《Gigant form.》

 

 

するとアイゼンの形が変わり、大型建造物破壊用の形態、ギガントフォルムへと姿を変える。

 

ヴィータはそのまま闇の書の闇、ナハトヴァール侵食暴走体へと勢いよく近付いていく。

 

だが侵食暴走体は海から生やしている触手や、蛇のような塊から漆黒の魔力弾を撃っていく。

 

それを見た俺達は奴の動きを止めるために、さらに捕縛魔法を使用する。

 

ユーノは再度ケイジングサークル、アルフはチェーンバインド、ザフィーラは鋼の(くびき)、リニスも三重捕縛魔法(トリプルバインド)を使用し、侵食暴走体の動きを止める。

 

見たところ、奴の放つ調和の衝撃波はそう何度も使えるものではないらしい。

 

恐らく広範囲に何度も能力を使用すると、すぐに動けなくなるのだろう。

 

その証拠に俺達の放つ捕縛魔法を先程とは違い、()()()()()使()()()()やめさせようとしている。

 

そもそも奴の放つ調和の衝撃波は、死ぬ気の炎、大空の炎の【調和】の応用を効かせた能力である。

 

死ぬ気の炎はその能力を使用するとき、生命エネルギー……体力を多く消費する。

 

それは防衛プログラムといえど例外ではない……。

 

よって奴も【調和】の能力を使用するとき、体力を消費していると考えられる。

 

その影響か、奴は()()()()()()()()()使用している。

 

次に衝撃波を放つまでに少しタイムラグが発生しているのだ。

 

つまりはそこに……

 

ナハトヴァールに付け入る隙がある。

 

 

「アクセルシューター・バニシングシフト!」

 

 

《Lock on.》

 

 

ヴィータの後方に続いていたなのはが魔法を使用する。

 

ナハトヴァール侵食暴走体は、なのはの姿を確認すると攻撃魔法を放つ。

 

だがなのはは瞬時にバリアを展開させてそれを防ぐ……と同時に準備していた射撃魔法を放った。

 

 

「シュート!!」

 

 

そして前を飛ぶヴィータのすぐ後ろでピンク色の光が弾ける。

 

16発のアクセルシューターが侵食暴走体の触手や、放たれた攻撃魔法を破壊していき、ヴィータの進むべき道を作っていく。

 

他にもヴィータに迫る漆黒の魔力弾を精密射撃で相殺させていた。

 

それを見ていた俺は驚いていた。

 

 

(随分と腕をあげたな……)

 

 

少なくとも無印当時に比べれば、なのはの魔法の腕は格段に上がっていた。

 

一方の俺はというと、射撃魔法を操れる数は現時点で最大10発である。

 

もうなのはの射撃や砲撃の腕は、俺より上と思った方がいいだろう。

 

 

「「…………」」

 

 

ヴィータの側をなのはが飛んでいく。

 

ヴィータがなのはに視線を向けると、なのはは優しく笑いかけた。

 

それを見たヴィータは不敵に笑う。

 

 

「やるじゃねぇか、高町なのは!」

 

 

ヴィータはある程度の距離まで侵食暴走体に近づくと、空中に赤い三角形の魔方陣を展開させてアイゼンを振りかぶる。

 

アイゼンに魔力が送られているのか、どんどんとハンマーが巨大化していく。

 

そのサイズは侵食暴走体とほぼ同じ大きさとなった。

 

 

轟天爆砕(ごうてんばくさい)!ギガント……シュラアアアァァァーーーーーークッッッッ!!!!」

 

 

巨大すぎるハンマーの一撃がシールドに叩きつけられる。

 

 

「ウォオオオオオオオオ!!!!」

 

 

だが()()()()()()()()()()()()()()()

 

 

(あの規模の攻撃で……まだ破壊できないだと!?)

 

 

少なくとも原作……テレビ版、映画版共にヴィータのギガントシュラークで一層目のシールドは破壊されていた。

 

だが……どうやらこの世界のナハトヴァールは原作以上に強化されているらしい。

 

その影響か、シールドもさらに強固となっていた。

 

しかし……

 

 

()()()()()()()()()だ。

 

 

 

『なのは、頼んだ!』

 

 

「任せて!高町なのはと、レイジングハートエクセリオン……いきます!!」

 

 

俺は()()()()()()()()()()()()()()、すぐになのはに念話を送り、合図を送る。

 

なのはがピンク色の魔方陣を展開させながら、レイジングハートを真上へと掲げる。

 

 

《Lode cartridge.》

 

 

なのははカートリッジを四発ロードすると、レイジングハートをクルクルと回しながらその先端を侵食暴走体へと向ける。

 

そしてレイジングハートにピンク色の魔力翼が展開される。

 

 

「エクセリオン……バスターッッ!!」

 

 

《Barrel shot.》

 

 

するとレイジングハートから見えない衝撃波のようなものが放たれ、侵食暴走体の触手を拘束する。

 

その結果、砲撃の通り道ができた。

 

続けてなのはは四発のバスターを放つ。

 

その後、魔力エネルギーをレイジングハートの先端に収束させ……

 

 

「ブレイク……シュート!!」

 

 

フルパワーのエクセリオンバスターを放った。

 

その結果……

 

 

 

ピキキキ……パリン……

 

 

 

一層目のシールドを破壊することに成功した。

 

いかに強力なシールドといえど貫通力のある攻撃を重ねる又は、合わせれば突破できるのだ。

 

 

「次!シグナム!フェイトちゃん!」

 

 

続いてシャマルが指示を出す。

 

 

「いくぞ、テスタロッサ」

 

 

「はい、シグナム」

 

 

シグナムとフェイトの二人は、侵食暴走体の攻撃を華麗にかわしながら近付いていく。

 

 

「はぁあああ!」

 

 

そしてフェイトがバルディッシュザンバーでそのまま一閃。

 

金色の斬撃がシールドに直撃する。

 

その間にシグナムがレヴァンティンを構えた。

 

 

(つるぎ)の騎士シグナムが魂、炎の魔剣レヴァンティン……(やいば)連結刃(れんけつじん)に続くもうひとつの姿を今……」

 

 

シグナムは鞘を剣の柄にくっつける。

 

すると鞘と剣が連結し、弓の形へと姿を変える。

 

その際にカートリッジを一発消費した。

 

 

《Bogen form.》

 

 

大型の弓に変わったレヴァンティンをシグナムは侵食暴走体へと向け、技を放つ。

 

 

()けよ、(はやぶさ)!」

 

 

《Sturmfalken(シュツルムファルケン).》

 

 

レヴァンティンのボーゲンフォルムから魔力の矢が放たれた。

 

それは炎の(はやぶさ)となって一直線に向かっていく。

 

放たれた矢は音速の壁を越えて強烈な爆炎と衝撃波を発生させる。

 

だがそれでもバリアは破壊されない。

 

 

『だめ押しだフェイト!』

 

 

「はい!フェイト・テスタロッサ、バルディッシュザンバー……いきます!!」

 

 

そして俺の合図を受け取ったフェイトはバルディッシュザンバーを真上に掲げると、刀身に電気エネルギーを溜めていく。

 

 

「貫け、雷神!」

 

 

《Jet Zamber.》

 

 

加えてカートリッジを二発ロードしながら、激しいプラズマ光を伴った刀身を伸長させ、侵食暴走体を一刀両断する。

 

 

 

ピキキキ……パリン……

 

 

 

そしてようやく二層目のシールドが破壊される。

 

だがそこで黙って見ている侵食暴走体ではなかった。

 

超直感が警鐘を放つ。

 

咄嗟に俺はシャマルに念話で合図を送る。

 

 

『来るぞシャマル!』

 

 

『ええ皆さん!ここからフェーズ2(ツー)へと移行します!ユーノ君!アルフさん!』

 

 

『はい!』

 

 

『ああ!』

 

 

すると俺の足下に緑色の魔方陣が現れ、ある場所へと転送される。

 

そこは侵食暴走体の()()であった。

 

さらに俺の後ろには他の皆がいた。

 

とはいってもかなりの距離が離れているが。

 

そのとき……

 

 

 

「ウォオオオオオオオオオオ!!!!」

 

 

 

侵食暴走体が雄叫びをあげながら全身から調和の衝撃波を発生させた。

 

俺は巨大な剛炎の壁を形成し、後方にいる皆を守る……と同時に俺の後ろに丸い緑色の魔方陣、三角形の緑色の魔方陣、丸いオレンジ色の魔方陣が現れた。

 

防ぎきれなかったときのことを考えて、万が一の保険の三重の盾である。

 

そして強烈な衝撃波が下から襲いかかる……が、【調和】の効果を司った剛炎の壁によって防ぐ。

 

俺は額の炎の炎圧をあげて強化する。

 

しかし俺が思っていた以上に衝撃波の威力は強かった。

 

数秒ほど拮抗していたが俺の炎を打ち破り、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 

「くっ……」

 

 

と、同時に展開していた飛翔魔法まで解除されるが、俺は足下から炎を噴射させることで落下は免れる。

 

そして俺は風芽丘学園の制服姿に戻ってしまう。

 

だが他の皆の防御魔法までは突破できなかったようで事なきを得た。

 

 

(凄まじい威力だな……)

 

 

すると侵食暴走体の砲撃が、突然真上へと放たれる。

 

 

「!?」

 

 

俺は咄嗟にかわす。

 

 

「あ、あぶねえぇ……」

 

 

生身の状態であんな砲撃を食らったら死ねる。

 

だからといって負ける気は毛頭ないが。

 

いつか見た惑星クラスに大きくなったデューンに比べれば……まだ地球に収まってるサイズなら勝ち目はある。

 

 

「ヒエン!ボーッとしてないでさっさとセットアップし直しなさい!!」

 

 

「お、おう!」

 

 

側にいたリニスからすぐに喝を入れられた俺は再度セットアップし直し、すぐに真下にいる侵食暴走体へと突っ込んでいく。

 

その間に、エイミィへとある確認の念話を送る。

 

 

『エイミィ!次に侵食暴走体が衝撃波を放ってくるまで何分ある!?』

 

 

『一撃目と二撃目の放出時間から考えて……ざっと二分!!』

 

 

『了解!!』

 

 

そして俺はフェイクシルエットで幻影二十体と、炎の分身(ファイアアバター)で分身三体を生み出すと侵食暴走体に攻撃を仕掛ける。

 

すると奴は俺へ狙いを定めたのか砲撃を放ちまくる。

 

俺の役割はナハトヴァール侵食暴走体の目を引き、皆の攻撃の隙を作ること……そして奴が調和の衝撃波を放つタイミングを見切ること。

 

皆も自分のできることをしっかりとやっている。

 

俺も自分の役割を全うせねばならない。

 

そしてシャマルが次のメンバーへと指示を送る。

 

 

「頼んだわ!ザフィーラ!アルフさん!」

 

 

ザフィーラが青い三角形の魔方陣を展開させる。

 

 

「盾の守護獣ザフィーラ!砲撃なんぞ……撃たせん!!」

 

 

ザフィーラは魔力の杭を海から出し、触手や蛇を貫いていく。

 

すると砲撃はあらぬ方向へと飛んでいく。

 

その砲撃が若干かすったことは、この戦いが終わってからザフィーラに問い詰めるとしよう。

 

 

「はぁあああああ!滅牙(めつが)!!」

 

 

ザフィーラは両手の拳に魔力を収束させ、バリア破壊の強力な連撃を叩き込む。

 

すると三層目のシールドにヒビが入る。

 

もう少しだ。

 

 

『強力なの頼むアルフ!』

 

 

「おう!フェイトの使い魔アルフ……いくよ。バリアブレイク・ストライク!!」

 

 

ザフィーラと同じようにアルフも両手にオレンジの魔力を収束させると、強力な連撃を繰り出した。

 

 

 

パリン……

 

 

 

三層目のシールドが破壊される。

 

 

「最後!クロノ君!リニスさん!」

 

 

呼ばれたクロノはデュランダルを構える。

 

 

「時空管理局執務官クロノ・ハラオウンとデュランダル……全力でいかせてもらう」

 

 

そして詠唱を唱える。

 

 

悠久(ゆうきゅう)なる凍土(とうど) ()てつく(ひつぎ)のうちにて 永遠の眠りを与えよ」

 

 

デュランダルのユニット四機に強力な冷気が集まっていく。

 

 

「凍てつけ!!」

 

 

《Eternal Coffin.》

 

 

そしてクロノはデュランダルを侵食暴走体へと向け、強力な冷気のレーザーを放つ。

 

ユニット四機からも同じく冷気のレーザーが放たれた。

 

最後のシールドがみるみる内に凍っていく。

 

続いてリニスが構える。

 

 

『任せたリニス!』

 

 

「任されました。リニス・オオゾラ、闇を切り裂く閃光の刃をお見せしましょう。プラズマ……セイバー!!」

 

 

リニスは巨大な魔力刃を展開させる。

 

その長さは二十メートルはあろう巨大な稲妻の大剣であった。

 

そして上段からシールドへと叩きつけた。

 

 

「スパーク……エンド!!」

 

 

 

パリイイイイイィィィン!!!!!!

 

 

 

ついに侵食暴走体を覆っている厄介な四層式シールドが破壊された。

 

後は本体を攻撃すればいいだけだ。

 

 

「ウォアアアアアアアアアアアアァァァァァァァァァァァァ!!!!!!」

 

 

だが侵食暴走体は雄叫びをあげながら……なんと空中飛翔を始めた。

 

 

「ウソォ!?」

 

 

あんな巨体で浮けるのかよ!?

 

さらに奴は闇色の巨大な球体を展開させ、圧縮を始める。

 

その見覚えのある攻撃に俺は焦る。

 

 

「まさか……デアボリックエミッション!?」

 

 

冗談じゃない。

 

あれはリインフォースが放ったときも市街地全体を覆うほどの強さだったのに……。

 

もしあれを放たれたりでもしたら、恐らくだが結界を突破して海鳴市全体が更地になりかねない。

 

それだけの威力があの空間攻撃にはあるのだ。

 

俺は即座に三体の分身を生み出し、奴の後方、左方、右方に配置する。

 

そして本体の俺も正面に陣どり、それぞれヒートバーナーフルパワーを放った。

 

だが奴はそれを防いだ。

 

なんと巨大な氷をシールドの如く展開し、自身の身を覆ったのだ。

 

 

「……マジ?」

 

 

ここにきて五つ目のシールドとかそんなのあり?

 

っていうかこいつ、見た目に反して死ぬ気の炎の能力めちゃくちゃうまく使いこなしてない?

 

俺なんて使いこなすまで二年間必死に修行して、やっと操れるようになったっていうのに?

 

 

「って呆けてる場合じゃない!」

 

 

俺は奴が圧縮しているエネルギー弾に近付いていく。

 

せめてデアボリックエミッションだけでもなんとかせねば……。

 

 

「今だピッツ!」

 

 

「ガゥ!ガァアアアアア!!」

 

 

そこで左肩に乗っているピッツがエネルギー弾に調和の咆哮を放ち、無効化する。

 

ピッツも相棒と同じく調和の咆哮を放てるが、相棒よりも射程距離が短いためその分近付かなければならないのだ。

 

 

「よし!あとはこの状況をどう乗り切るか……」

 

 

なんとか奴がデアボリックエミッションを放つことは阻止できたのだが……

 

 

 

 

 

 

()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 

 

 

 

 

「「「「「ヒエン(君)!?」」」」」

 

 

不用意に侵食暴走体に近付きすぎたせいか、逃げる隙を失ってしまったらしい。

 

ならばここは耐えるしかない。

 

 

形態変化(カンビオフォルマ) 防御形態(モードディフェーザ) 死炎の外套(マンテッロ・ディ・ヒート)!」

 

 

俺はシャマルに念話を送る。

 

 

『俺のことは心配ないから作戦を続行してくれ!!』

 

 

『で、でも!』

 

 

『大丈夫だから早く!!』

 

 

『わ、分かったわ。はやてちゃん!!』

 

 

はやては詠唱を唱える。

 

 

「今、助けるからヒエン兄ちゃん!彼方(かなた)より来たれ、やどりぎの(えだ)銀月(ぎんげつ)の槍となりて、撃ち貫け。石化の槍、ミストルティン!」

 

 

白銀の三角形の魔方陣が現れると、その周りに魔力の槍が八本設置される。

 

そして射出されたのだが、それと俺が氷の蛇達に攻撃されたのはほぼ同時であった。

 

 

 

ズドドドドドドドドッッッッ!!!!

 

 

 

白銀の槍が奴の氷に刺さっていく。

 

氷は瞬く間に石化し、脆く崩れ去っていく。

 

そしてその白銀の槍が遂に侵食暴走体へと刺さり、同じく石化し崩れ去っていく。

 

ちなみに氷の蛇達も俺のマントに触れると石化して崩れ去った。

 

 

「…………」

 

 

それはそうと至近距離で石化するところを初めて見たが……

 

 

 

チョー怖ええぇぇぇぇ!?(゜ロ゜;ノ)ノ

 

 

 

石化したよ!?

 

石になっちゃったよ!?

 

どこかのゴルゴン三姉妹末っ子も真っ青になるような魔法である。

 

ちなみにこれ、はやてが初めて使った記念すべき魔法である。

 

それを見て思った。

 

 

ベルカの古代魔法ってすごい(白目

 

 

そしてなんとか奴から脱出を果たした俺は、侵食暴走体が海に落ちていくのを見ていた。

 

 

「……やった?」

 

 

そこでアルフが呟く。

 

おいアルフ。

 

フラグを立てるんじゃない。

 

 

「まだ……!?」

 

 

突然ユーノが大声をあげる。

 

案の定、海の中から漆黒の砲撃が俺達に向けて放たれていた。

 

 

 

ドガァアアアアアンンンン!!!!!!

 

 

 

皆は即座にかわしたが、一人対応が遅れてしまった俺は砲撃が直撃してしまう。

 

だが、黒衣のマントを継続して展開していたためダメージはない。

 

だが遠くにいた魔法少女達はそうは思わなかったようで……

 

 

「ヒエン君!?」

 

「ヒエン!?」

 

「ヒエン兄ちゃん!?」

 

 

魔法少女三人娘は即座に侵食暴走体に向けて巨大な砲撃を放ち、再び侵食暴走体を滅する。

 

そしてすぐにこちらに向かってきた。

 

 

「「「大丈夫!?」」」

 

 

「な、なんとか……」

 

 

三人は俺がなんのダメージもないのを確認すると、安心したかのようにため息をつく。

 

 

「「「はあぁぁぁ…………」」」

 

 

なんかごめん。

 

 

「ウォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!!!」

 

 

侵食暴走体が再び身体を再生させ、海の中から出てくる。

 

それはさながらデジモンに出てくるメタルグレイモンのようであった。

 

 

『皆!巨大なエネルギーを感知!例の衝撃波くるよ!!』

 

 

そのときエイミィから通信が入る。

 

調和の衝撃波がくるらしい。

 

 

『シャマル!ユーノ!アルフ!』

 

 

俺は三人に念話を送り、合図を送る。

 

すると再び俺の後方に魔方陣が三つ現れ、皆が転送されてくる。

 

その間に俺は準備を進める。

 

 

「いくぞピッツ……形態変化(カンビオフォルマ)!」

 

 

左肩にいたピッツが光り出し、俺のグローブと一体化していく。

 

 

死炎の籠手・変速(ヒートギア )ver Sera(夕)!」

 

 

俺の黒いグローブに縦状のピンク色の線が入る。

 

続いて俺は両手を前に出し、ある魔法を発動させる。

 

それは今の俺では修得できていない高等魔法。

 

周辺魔力を集め、体内を通さずに直接使用する最上級技術(エクストラスキル)

 

だが夕の炎の能力『安定』の力であの魔法を使う。

 

 

 

集束砲撃

 

 

 

俺の前方に巨大なオレンジの魔方陣が現れ、周囲に漂う魔力の残滓を掻き集める。

 

侵食暴走体の衝撃波は威力が強すぎて防ぎきれない。

 

ならば迎撃するしかない。

 

そして俺の目の前に巨大なオレンジ色の球体が展開される。

 

それを見た面々が驚く。

 

 

「兄さん……一体いつの間に!?」

 

 

「遂にブレイカーを撃てるようになったのか!?」

 

 

「これは……少々予想外ですね」

 

 

ユーノ、クロノ、リニスの三名は俺がブレイカーを使うのは予想外だったのか驚いている。

 

 

「「「「「…………」」」」」

 

 

他の面々も空いた口が塞がらないような表情となっている。

 

そこまで驚かれると逆にちょっとショックだが、気を取り直して前を見る。

 

俺の正面には巨大な怪物……ナハトヴァール侵食暴走体が俺に、いや俺達に視線を向けていた。

 

俺と奴の視線が一瞬交差する。

 

 

「…………」

 

 

「…………」

 

 

そして俺は奴に……

 

侵食暴走体へ向けてブレイカーを放った。

 

 

光炎万丈(こうえんばんじょう)!ソーラー……ブレイカー!!」

 

 

それを見た侵食暴走体も顔をこちらに向けて、口から巨大な調和の衝撃波を放ってきた。

 

今までは身体全体から放っていたのに……口から放ったのだ。

 

恐らくブレイカーに対抗するために力を一点集中させたのだろう。

 

ソーラーブレイカーと調和の衝撃波が激突した。

 

 

 

 

 

 

ドオオオオォォォォォォォンンンンンンンンンンンン!!!!!!!!!

 

 

 

 

 

 

巨大な爆発が起こり、周囲に凄まじいまでの衝撃が起こる。

 

 

「お、おおおおおおおお!!!!」

 

 

俺は雄叫びをあげて対抗する。

 

俺にはブレイカークラスの砲撃を放つ技がもうひとつある。

 

それがダブルヒートバーナーだ。

 

だが現在体力を消耗している俺では、ダブルヒートバーナーを放ったところで侵食暴走体に打ち負けることは分かりきっている。

 

あの技は体力や気力を大幅に消耗するからだ。

 

だがソーラーブレイカーは違う。

 

ソーラーブレイカーは周囲に漂っている魔力を使用することで攻撃へと利用する。

 

つまり()()()()()()()()()()のだ。

 

 

「おおおおおおおお!!!!!」

 

 

「ギャアオオオオオオ!!!!!」

 

 

俺とナハトヴァール侵食暴走体の技が激突し、さらに大爆発が起こる。

 

まさかこんな怪獣みたいな奴とビームの撃ち合いをすることになるとは……

 

本当、人生って何が起こるか分からない(震え声

 

 

「ウォ…………ウォオオオオオオオオ……」

 

 

すると次第にナハトヴァールの放つ調和の衝撃波の威力が落ちていく。

 

恐らく体力……生命エネルギーを消耗しすぎたのだろう。

 

みるみる内に威力が落ちていっている。

 

俺は今の内に魔法少女三人娘へと呼び掛ける。

 

 

「なのは!フェイト!はやて!」

 

 

三人は既に準備ができていたのか、いつの間にか侵食暴走体の真上へと移動していた。

 

 

「いくよフェイトちゃん!はやてちゃん!」

 

 

「「うん!」」

 

 

なのはの呼び掛けに答えるフェイトとはやて。

 

そして三人は各々のデバイスを構え、魔力を集束させていく。

 

 

《Starlight Breaker.》

 

 

「全力全開……スターライト」

 

 

なのはの真下に巨大なピンク色の球体が展開されていく。

 

周囲の魔力を集め、残っているカートリッジをロードすることで球体がさらに巨大になっていく。

 

 

《Plasma Zamber.》

 

 

「雷光一閃……プラズマザンバー」

 

 

フェイトは落雷を刀身に纏わせ、カートリッジを全弾ロードすると勢いよく放出する。

 

 

「ごめんな……おやすみな」

 

 

はやては侵食暴走体に顔を向け、謝る。

 

その顔は少し哀しそうであった。

 

そして彼女は一度目を閉じて……再び開けた。

 

 

「響け終焉(しゅうえん)の笛……ラグナロク」

 

 

すると白銀の正三角形のベルカ式魔方陣が現れ、各頂点上でエネルギーがチャージされる。

 

 

 

そして……

 

 

 

三つのチャージされていた魔力エネルギーが一気に解放された。

 

 

 

 

 

 

「「「ブレイカアアアアアアアアアアアアァァァァァァァァァァァァァァァーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!」」」

 

 

 

 

 

 

侵食暴走体にトリプルいや、フォースブレイカーが炸裂する。

 

 

「ウォ…………ウォオオオオ…………ウォ…………オォォォ……」

 

 

激しい爆発音と共に、ナハトヴァール侵食暴走体の巨大な身体が一瞬で塵へと還っていく。

 

 

「…………」

 

 

そんななかシャマルはむき出しになろうとしている奴の(コア)を必死に探し出していた。

 

 

「…………」

 

 

彼女は目を閉じて集中する。

 

 

そして……

 

 

「つかまえ……たっっ!!」

 

 

(コア)を見つけ出すことに成功した。

 

咄嗟にユーノとアルフは手をかざし、強制転移魔法を発動させる。

 

 

「長距離転送!」

 

 

「目標……軌道上!」

 

 

すると(コア)を挟むようにオレンジと緑色の魔方陣が現れる。

 

そして(コア)は光となり、アースラが待機している宇宙へと転送された。

 

 

 

ヒエンside end

 

◆◆◆

 

第三者side

 

 

 

(コア)の転送……来ますっ!!」

 

 

「転送されながら生体部分を修復中……すごい早さですっ!?」

 

 

オペレーター達が現状を伝えるが、途中で狼狽(うろた)えてしまうほどにナハトヴァールの再生スピードは早かった。

 

 

「アルカンシェル……バレル展開!」

 

 

その間にもエイミィがアルカンシェルを撃つ態勢を整える。

 

 

「ファイヤリングロックシステム……オープン」

 

 

リンディの目の前に緑色の箱が現れる。

 

その箱が割れると、中に魔方陣が描かれていた。

 

その魔方陣がアルカンシェルを放つためのスイッチである。

 

 

「命中確認後、反応前に安全距離まで待避します。準備を」

 

 

「「「「「了解!!」」」」」

 

 

リンディは魔方陣に手をかざす。

 

すると魔方陣は光りだし、赤くなった。

 

続けてリンディはモニターへと視線を向ける。

 

モニターには一筋の小さな光が、アースラの軌道上へと向かっている映像が映っていた。

 

その光が軌道上へと到着する。

 

 

「ウォオオオオオオオオアアアアアアアアァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!!!!!!!!!」

 

 

それは地球で戦っていた侵食暴走体とは別物の……

 

もはや生き物と呼べるものではない……

 

色々な生き物が混ざりあった化け物がそこにはいた。

 

 

「アルカンシェル……発射!!」

 

 

アースラから一つの光の閃光弾が放たれる。

 

その閃光弾は化け物の中心部へと向かうと静かに入っていった。

 

その直後……

 

 

 

 

 

 

ドゴオオオオオオオオオオオオオオオオオオォォォォォォン!!!!!!!!!!!!

 

 

 

 

 

 

凄まじいまでの爆音と光量が宇宙空間に炸裂した。

 

 

 

「「「「「…………」」」」」

 

 

 

アースラを一瞬の静寂が包みこむ。

 

 

 

そして……

 

 

 

「……効果空間内の物体……完全消滅……再生反応……ありません!!」

 

 

 

大きな歓声が響き渡ったのだった。

 




遂に皆の力で闇の書の呪いに打ち勝つことに成功する。

勝利を喜ぶ面々。

だが、リインフォースの表情だけは未だに暗いままであった。

なんと彼女の話によれば、自分を破壊しなければまた新たな第二第三のナハトヴァールが生まれてしまうとのこと。

リインフォースはもう二度とはやてに危険が及ばないように自分を破壊してくれと頼み込む。

悲しみにくれるなのは達。

そこで主人公は、そんな彼女達を救うために動き出す。

果たして主人公は彼女を……リインフォースを救うことができるのか?

彼女は消滅するしか道はないのか?

では、また(・∀・)ノ

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