続き書けたで候。
今回はvsイレイン。
では、どうぞ( *・ω・)ノ
ヒエンside
俺は心の中にいる二匹に指示を出す。
『相棒は美由希さん、ナハトは恭也君をサポートしろ。補助魔法で二人を強化するんだ。二人なら心配ないとは思うが、相手は自動人形だ。万が一もあり得る。魔法で二人を支えるんだ』
『ガゥ!』
『きゅ!』
そして二匹は二人の肩の上に現れると、さっそく補助魔法で強化する。
攻撃力と防御力を同時にあげるツインブーストだ。
「これは……」
「力が……」
恭也君、美由希さんの戦闘技術は人間離れしている。一緒に戦う俺達の中でもトップクラスといっても過言ではないだろう。
だが相手は自動人形だ。
俺のようにバリアジャケットを纏っていたり、さくらさんのように身体が丈夫ならまだしも、生身で奴らの相手をするのは流石に分が悪すぎる。
だからこそ二人を強化する。
身体を強化した二人なら自動人形など相手ではないはず。
「よし、いくぞ美由希」
「うん!」
そして高町兄妹とレプリカの戦いが始まった。
他の面子もレプリカとの戦闘を始めたようだ。
その間に俺は後ろのパーティーの参加者に被害が出ないように半球型の防御魔法ラウンドガータープラスを発動させる。
火災も未だに続いていることも考慮して温度防御機能もつけておく。
これで最低限の対策はできた。
あとは目の前の金髪女の自動人形、イレインをぶちのめすだけだ。
俺とイレインは互いに動かない。
すると奴は何を思ったのかニヤニヤしながらこちらを見てきた。
「……何がおかしい?」
「無謀なガキンチョもいるんだと思ってね?人間ごときがこの私に戦いを挑むんだから」
イレインの言葉に俺は答える。
「……お前は自動人形の最終機体だったな」
「そうよ。私こそが自動人形の最新型。だからこその最終機体だ」
「その割には欠陥が多そうだけどな」
俺の言葉にイレインは眉をひそめる。
「この私が欠陥……だと?」
「ああ、そうだ。お前はリミッターを外した途端に暴走し、そのうえ起動者である氷村遊にもケガを負わせた。あげくのはてには自分の身を守るための防御行動としてここにいる目撃者全員を皆殺し。
するとイレインは目を細め語尾を強める。
「……なんだろうね。あんたを見てると無性に捻り潰したくなってきたよ」
それに俺も答えた。
「奇遇だな。俺もさっきからお前を無性に叩き潰したくて仕方がないんだ」
俺達は互いに一歩ずつ近付いていく。
「調子に乗るなよクソガキ」
「それはこっちの台詞だ欠陥人形」
少しずつ歩いていく。
「決めた。あんたは簡単には死なせない。無惨に惨めにむごたらしく殺してやる」
「ならこっちはお前を分解、スクラップにして廃品回収に出してやるよ」
俺と奴との距離が縮まっていく。
「っは。できないことは言うもんじゃないよクソガキ」
「そっちこそ暴走した影響でまともな思考回路がないんじゃないのか?」
歩くスピードも次第に早くなる。
「ああ、気に入らない。やっぱりあんたは気に入らない。喜べ、お前はぶち殺し確定だ」
「できないことは言うもんじゃないぞ。欠陥人形イレイン」
そして互いに走り出した。
「クソガキイイイイイィィィ!!!!!!」
「イレイイイィィィィィィン!!!!!!」
炎の拳とブレードが激突する。
ガキイイイィィィィンン!!!!!!
パーティー会場に甲高い音が大きく響く。
激突の影響で互いに吹き飛ぶ。
俺は足元に炎を纏わせ、再度奴へと突っ込んでいく。
イレインも態勢を立て直すと、真っ直ぐにこちらへと突っ込んでくる。
その瞬間、両者の姿が消えた。
俺達は会場の真ん中で再度激突する。
そのとき屋敷全体を揺らすほどの凄まじい衝撃波が放たれた。
「おらあ!」
俺は右手でブレードを押さえながら左手で奴の顔を殴る。
が、かわされる。
そして電撃が付与されているムチを振るわれるがグローブから勢いよく炎を噴射し、奴の後ろに回り込むことで即座にかわす。
そのときムチがカーペットに当たり、地面が陥没する。
それを見た俺は内心驚く。
(凄まじい威力だな……)
少なくともセットアップしている状態でもあのムチを食らえば、ダメージを受けることは間違いないだろう。
「甘いよっ!!」
だがイレインは俺がかわすことを予期していたのか、ムチを器用に操り再度俺へと放つ。
「ちっ!?」
それを俺はラウンドシールドでガードする。
「はっ!まどろこっしいんだよ!!」
「!?」
だが奴は予想外の方法でラウンドシールドを突破する。
なんと右腕にムチを巻き付けて右ストレートを放ち、ラウンドシールドを破壊したのだ。
「
俺は即座に右手を手甲に変形させ、ビッグバンアクセルを放ち相殺させる。
するとまたしても衝撃波が起こり、両者共に後方へと吹き飛んだ。
「…………」
俺は前方を見据える。
そこには無傷のイレインが立っていた。
見たところピンピンしており、ダメージを受けた感じも見られない。
(頑丈だな……)
イレインの強さの秘密……
それは奴の身体に備わっている複数の機能だ。
硬いボディに、屈強な腕力、高速移動を可能とする脚力に、切れ味の凄まじいブレード、電撃が付与されているムチ。
他にも隠された機能などもあるだろう。
(だが……勝てない訳じゃない)
幸運なことに俺は数日前に自動人形と戦う機会があった。
そう。
ノエルだ。
彼女との戦闘経験から自動人形が頑丈であることは既に知っている。
そしてその危険性についても。
先程闘った吸血鬼の氷村や、同じく自動人形であるノエルよりもイレインは強い……それも段違いに。
だが今の俺なら全力で戦えば奴に勝つことも難しくない。
しかし問題がある。
それは戦っている場所だ。
俺は周りに目を向ける。
そこにはこちらを不安そうに見つめるパーティーの参加者達がいた。その中には勿論知り合いの姿もあった。
特に参加者達の最前列には、こちらを心配そうに見つめるなのは達の姿があった。
可能であればなのはとフェイト、はやてにも援護に入ってもらいたかったが、彼女達は今デバイスを持っていない。
本局にてメンテナンスを行っているのだ。
闇の書事件でカートリッジなどの強化をしたこともあってデバイスにかなりの負荷がかかっていたのだ。
それにただでさえインテリジェントデバイスは繊細なのだ。そのためメンテナンスも非常にシビアとなる。
以上のことから彼女達の援護は期待できない。
それにここは屋敷の中だ。
下手に破壊力のある射撃魔法や砲撃魔法を使えば一般市民も巻き添えにしかねない。
そのうえ今は乱戦状態であるため、共闘してくれている皆を巻き込む可能性もある。
よって……
(近接戦闘で奴を倒すしかない。それも圧倒的な破壊力のある攻撃で)
方針がある程度決まると俺は構える。
奴から目線を離さずに軽く周りを見渡すと、全員こちらを少し気にしつつも善戦していた。
これならレプリカ達に勝つのも時間の問題だろう。
「スゥ……ハァ……」
俺は深呼吸をしたあとに勢いよく両手から炎を噴射し、イレインへと突っ込む。
炎を微調整しながら高速で奴の周りをジグザグに飛んでいく。
「へぇ」
するとイレインは何やら感心した声を出す。
「そのグローブの炎の出力を調整しながら高速で飛び回っているのね。そしてその炎を纏った攻撃力も尋常じゃないほどの威力……やるじゃない。だけどね……」
そして俺は奴の斜め後方から炎を纏った手刀を食らわせようとしたのだが……
「あんたが
「なにっ!?ぐっ!!」
奴は俺の右手をムチで拘束するとそのまま地面へと叩きつける。
続けて勢いよく振り回し、パーティーの参加者がいるところへと吹き飛ばされる。
俺は防御結界に直撃する直前で炎の逆噴射で態勢を立て直す。
そして幻惑魔法フェイクシルエットで幻影三十体を出すとイレインを囲む。
それと同時に俺はミラーシュハイドで姿を消し、様子を
だがそれは意味を成さなかった。
「あっはは!バレバレよ!!」
「なっ!?」
イレインの笑いがこぼれたと思った直後、姿を隠してる俺自身に向かって一直線に向かってきたのだから。
「食らいな!!」
「!?」
イレインの刃が届くすんでの所で俺は背後へと全力で跳躍しながらラウンドシールドを展開する。
そしてブレードの一撃を受け止めた。
「弾けろ!!」
そのまま俺はシールドを爆発させると奴に右手を向けて炎の銃弾を放つ。
「ヒートカノン!」
「そんなもの……叩き斬ってやる!!」
俺は連射で放つが、イレインはこちらに高速で近付きながら炎の銃弾を一刀両断していく。
俺も迎え打とうと着地と同時に突っ込むが、イレインは鋼鉄製のムチを投じてきた。
変質的な動きで迫るムチをかわそうとするが、かわしきれずに左腕を拘束されてしまう。
その直後……
「ぐぁあああ!?!?」
全身に凄まじい程の衝撃が迸る。
まるで身体の中を直接スタンガンで当てられたかの様だった。
電撃を食らいながらもその攻撃に反応できたのは痛みに耐性があったからに他ならない。
繰り出された蹴りをクロスガードで防ぐがガードごと吹き飛ばされてしまった。
「くっ……」
俺は壁に直撃しながらもなんとか起き上がる。
そしてこちらをニヤニヤと笑いながら近付いてくるイレインに視線を向ける。
「普通の人間なら確実に死んでるはずの威力なのに……まるでゴキブリ並みのしぶとさね」
「黙れ……」
見れば奴の右腕に巻きついている鋼鉄のムチは最初よりも明るく光り、バチバチと音を弾かせていた。
「ああ、これ?『静かなる蛇』。最終機体イレインの基本オプションにして最大のメインウェポン。ま、その実態は単なる高性能電撃ムチなんだけど……自動人形も食らうとヤバイ代物なのに……それを食らって普通に立ち上がるなんて、あんた本当に人間?」
「う、うるせぇよ」
ナハトがバリアジャケットを改良してくれていたおかげで防御力もアップしておりなんとか耐えれたが、そう何度も耐えられる威力ではない。
それに戦っていて気付いたのだがこちらが体力を消費しているのに対して、あちらにはそれがない。
そもそも自動人形であるが故に体力の消費自体がないのだろう。
(これは早目に決めないとまずい。あれを……使うか)
俺は炎の質を柔から剛へと切り替えると、形態変化の
「
俺は新たな形態変化を用いて両手の
今まで片手だけであった手甲を両手に装着することで、完全近接戦闘用モードとした。
「ふぅー……」
俺は目を閉じると深呼吸する。
そして目を空けると口を開いた。
「悪いがイレイン……これでもう終わらせる」
「へぇ、私の静かなる蛇を食らってまだ勝つ気でいるなんてね。面白いじゃない」
奴はムチとブレードを構える。
対して俺も両手に手甲を展開させたまま構えた。
「いくぞ!!」
再び激突する俺とイレイン。
「
高速で奴に近寄り、両手に少し小さめの濃いオレンジの球体を展開させ、イレインへと放つ。
イレインはそれをブレードで受け止めようとするが……
「うぉおおおおおお!!」
俺はそれをブレードが触れた瞬間に暴発させる。
それ故かブレードの動きが僅かに逸れた。
「なっ!?」
流石に予想外だったのだろう。
イレインが僅かに驚く。
その間に俺は左手に展開させていた小さめのオレンジの球体を奴の腹へとぶち込む。
「かはっ……」
イレインは吹き飛んでいくが、再び俺の左腕をムチで拘束すると静かなる蛇を発動させた。
「が、があああ!?」
再び激痛が俺を襲うがなんとか耐えるとムチを強引に引き戻し、右手のガントレットにエネルギーを最大限に圧縮させ再度技を放った。
「
「うああぁ!?」
イレインが勢いよく吹き飛んでいく。
だが俺の左腕をムチで拘束したままなのである程度吹き飛ぶと再度こちらへと戻ってくる。
俺はもう一度バーニングアクセルを叩き込もうとするが奴も黙ってやられているだけではなかった。
「妹達!このクソガキを攻撃しろ!!」
「「「「「了解しました」」」」」
すると今まで恭也君、美由希さん、ノエル、ファリン、さくらさんの相手をしていたレプリカ達が突如動きを変えて俺へと攻撃を仕掛ける。
俺は咄嗟に防御結界魔法ラウンドガーターを小さめに展開させると奴らのブレードをガードする。
一撃、二撃、三撃目をガードすることには成功するが四撃目で破壊され、五撃目に背中を斬られてしまった。
「があ!?」
激痛が俺を襲う。
「あははは!ダメ押しよ!!」
「ぐ…………がぁああああああ!?」
そのうえ三度目となる静かなる蛇が俺を襲う。
「「「「「ヒエン(君)(様)!?」」」」」
皆が焦るように俺を呼ぶ声が聞こえる。
だがそのおかげで意識を失わずに済んだ。
それにこの電撃……過去に食らったプレシアのサンダーレイジに比べれば!!
死ぬ気で耐えろ、俺!!
「ぐ、ぐぉおおお!カ、カンビオフォルマ!!」
俺の心の中にいるピッツを両手の手甲に憑依させる。
すると縦状のピンク色の線が入った。
続けて俺は右手に限界以上のエネルギーを込める。
「死ねえええええぇぇぇぇぇ!!!!」
その間にもイレインが左腕のブレードでこちらへ斬りかかろうとしていたが、それに合わせるように真っ正面からオレンジの球体をぶつけた。
「
ズドンッッ!!!!
ぶつかり合うオレンジの球体とブレード。
だが拮抗したのは一瞬だけで奴のブレードは木っ端微塵に砕けちった。
「バ、バカな!この私が……この私が負けるなんてバカなことがあああぁぁぁ!!!!????」
そして奴の顔面にソーラーアクセルが炸裂し、屋敷の壁を貫通し庭へと吹き飛んでいった。
「や、やっ……た……」
それを見届けた俺は気絶してしまった。
次回はvsレプリカの状況と事後処理と。
少し早目にバトルは終わらせてしまった。
でもまあいいか。
では、また(・∀・)ノ