大空の炎の力を操る転生者   作:Gussan0

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どうも(゜▽゜*)

続き書けたで候。

今回はレプリカ達と戦ってた人達とリニスさんと。

では、どうぞ( *・ω・)ノ


第二百四十九話 事後処理と決意と

第三者side

 

 

 

「やれイレイン、レプリカ共」

 

 

「了解しました」

 

「「「「「了解」」」」」

 

 

氷村の指示によってイレイン、レプリカ達がその凶刃をパーティーの参加者達へ向けようとしたとき、恭也達は迎撃に移ろうとしていた。

 

 

「美由希!」

 

 

「分かってる!」

 

 

高町兄妹は即座に小太刀を装備し……

 

 

「先輩達は下がって!」

 

 

さくらは真一郎達を後ろに下がらせ……

 

 

「ノエル!ファリン!皆を守りなさい!!」

 

 

「「了解しました」」

 

 

忍は自身のメイド達に皆を守るように指示を出す。

 

忍者であるいづみや、警官である瞳も警備員達に指示を出し、自身もパーティーの参加者達を守るように行動するが、その前に既に動いている人物がいた。

 

 

二重捕縛魔法(ダブルバインド)

 

 

すずかの側にいた執事の少年が手を向けると、自動人形達がオレンジの鎖と輪っかで拘束される。

 

 

「セットアップ、スピリットフォーム改」

 

 

その間に少年の服装が変わる。

 

突然のことに驚くいづみと瞳だが、少年はその様子に気付かず、側にいるファリンに一言告げた。

 

 

「すずかの護衛を頼む」

 

 

「わ、分かりました。お気をつけて!」

 

 

「ああ」

 

 

すると少年は額に炎を灯すと、グローブから炎を噴射させて真上から氷村達の元へと回り込む。

 

そのまま強烈な蹴りを食らわせると、動けない自動人形達も連続蹴りで蹴散らした。

 

その様子に呆気にとられる面々。

 

再起動が早かった忍とさくらは額に手を当てていた。

 

 

「ヒ、ヒエン君……」

 

 

「あの子は自分の立場を理解しているのかしら……。いえ、助けてもらった手前、偉そうなことは言えないのだけど」

 

 

二人の様子に気付いたいづみが声をかける。

 

 

「お二人はあの子を知ってるんですか?」

 

 

「あー、なんといえばいいのか」

 

 

「ご存知ありませんか?今、ワイドショーで騒がれている高校生の話」

 

 

忍が答えずらそうにしているところを見かねてさくらが話題を振る。

 

 

「も、もしかして、人身売買組織から生還したっていう奇跡の高校生!?」

 

 

「ええ、あの子がその高校生です」

 

 

さくらの言葉に瞳が反応する。

 

 

「……どうりで見覚えがあると思ったわ」

 

 

「劣等種が……下等な劣等種が……高貴で華麗な純血種たる吸血鬼のこの僕に……一体何をしたああぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!????」

 

 

すると氷村が目を血走らせながら少年へと一直線に向かう。

 

それを見た面子が焦る。

 

特に少年の担任である唯子が焦っていた。

 

 

「ヒエン君ッ!?」

 

 

だが少年は冷静に対処する。

 

氷村の攻撃を受け流し、カウンターを入れていく。

 

そして右手に炎を纏わせ攻撃力を上げると、すかさずアッパーで吹き飛ばした。

 

それを見たノエルとファリンが呟く。

 

 

「お見事」

 

 

「すごいです~」

 

 

氷村も反撃として夜の一族の能力を発動させて周囲の瓦礫を少年へと放つ。

 

だが少年には届かない。

 

少年は向かってくる瓦礫をパンチとキックで破壊していく。

 

そして懐に潜り込もうとするが氷村はコウモリに変化、回避し、そのまま少年へと攻撃する。

 

しかし少年はその場から消えるように離脱するとコウモリ達を捕まえ地面へと叩きつけ、炎の銃弾を放った。

 

少年は意図も簡単に氷村を追い詰めた。

 

 

「……前もノエルさんと戦ってるところ見たことあるけど、ヒエン君ってずいぶん戦い慣れてるよね」

 

 

「普通ならビビるか焦るかするはずなのに……全部冷静に対処してるし」

 

 

「なんだか雰囲気も変わってるし……。というよりあの額の炎は一体なんなの~!?」

 

 

小鳥、真一郎、唯子がそれぞれ反応する。

 

そのことについて忍が説明した。

 

 

「あの炎は死ぬ気の炎っていうらしいですよ?」

 

 

「「「「「死ぬ気の炎??」」」」」

 

 

「はい。なんでも自分の生命エネルギーを炎に具現化させたものらしくて。ヒエン君だけの特別な力……みたいです」

 

 

忍の説明が終わる。

 

するとそこから事態が動き出す。

 

氷村が少年を倒すために自動人形の最終機体であるイレインのリミッターを解除しようとしたのだ。

 

忍が少年に逃げるように忠告するが、時既に遅かった。

 

 

「リミッター……解除……」

 

 

イレインがリミッターを解除してしまったのだ。

 

 

「……自由時間…………あははははっっ!!!!」

 

 

イレインは狂ったように笑い出す。

 

彼女はその後、起動者である氷村をブレードで斬りつけた後、このパーティー会場にいる参加者達を皆殺しにしようとした。

 

だがそこに立ち塞がったのが少年であった。

 

イレインはレプリカ達を呼び出し、六体一で少年の相手をしようとする。

 

 

「あのバカめ!」

 

 

「恭ちゃん!?」

 

 

それを見ていた恭也が即座に飛び出し、美由希も後に続く。

 

 

「ちょっと恭也!?ああ、もう!ノエル!ファリン!二人もヒエン君のサポート!!」

 

 

「「了解しました」」

 

 

忍もメイドの二人にサポートを命じる。

 

 

「これは私もさすがに出ない訳にはいかないわね……」

 

 

「さくら……」

 

 

「大丈夫よ。こんな茶番はすぐに終わらせるから」

 

 

さくらは忍の肩をポンとたたくと少年の横に並んだ。

 

そしてそれぞれの戦いが始まった。

 

 

 

────────

──────

────

 

 

 

補助魔法の恩恵を受けた恭也と美由希はレプリカ達へと攻撃を仕掛ける。

 

レプリカもブレードで斬りかかるが、高町兄妹は簡単にいなし吹き飛ばす。

 

 

「生身の状態であれば苦戦していただろうが……今なら相手ではないな」

 

 

「そうだね。まだまだ余裕があるよ。それもこの子達のおかげだね」

 

 

「「ガゥ/きゅ」」

 

 

美由希が肩に乗っているオレンジの小ライオンと白い小狐に視線を向ける。

 

するとパーティー会場の奥の方から轟音が聴こえた。見れば少年と金髪女の自動人形の戦いが始まっていた。

 

 

「とにかく今はこの人形達を仕留めるぞ。やれるか美由希?」

 

 

「問題ないよ」

 

 

そして二人は身体に忍ばせていた鋼糸を操り、攻撃しようとしていたレプリカの動きを封じる。

 

その間に二人は奥義を使用する。

 

 

「御神流奥義之壱・虎切(こせつ)

 

 

「御神流奥義之肆・雷徹(らいてつ)

 

 

恭也は神速で間合いを詰め、凄まじい速度の斬撃を放ち、美由希は二刀流で徹を重ねることでレプリカの内部に過度の衝撃を与えた。

 

ダメージを受けたのかレプリカは損傷を負った。

 

 

「さっさと終わらせるぞ」

 

 

「了解」

 

 

そして二人は更に追撃を仕掛けた。

 

 

 

────────

──────

────

 

 

 

ノエルとファリンのメイドコンビもレプリカとの戦いを繰り広げていた。

 

ノエルはレプリカとブレードをぶつけ合わせ同時に分析していく。

 

 

「データ収集完了。肉体スペックはイレイン程ではないものの要注意。しかし隠された機能などは特になく、武装もブレードのみ。脅威は低く敵ではないと判断。速やかに排除します」

 

 

ノエルはブレードをかわすと一歩下がり、人差し指を向ける。

 

すると彼女の指が変形し、銃弾が放たれる。

 

相手をロックオンしているのか全て命中していく。

 

一方のファリンはというと……

 

 

「うわわわ……あ、あぶないです~!?」

 

 

慌てながらもレプリカのブレードを見事に受け流していた。

 

攻撃をかわし、カウンターの如く斬りかかるがパワーは向こうの方が上なのか吹き飛ばされる。

 

だがファリンはそのままバク転で下がると、再度突貫する。

 

そして小柄な身体を生かして懐に潜り込むと、靴から出したスパイクで斬りつけた。

 

さらにブレードを両腕に収納し、太ももからハンドガン二丁を取り出すと勢いよくレプリカへと放つ。

 

銃弾は全弾命中し、レプリカは軽い損傷を負った。

 

 

「ふぅ~」

 

 

そこへ背中合わせでノエルが話しかけた。

 

 

「ファリン、油断だけはしないようにね」

 

 

「大丈夫です。負ける訳にはいきませんから」

 

 

そして二人は再び戦闘を開始した。

 

 

 

────────

──────

────

 

 

 

さくらは夜の一族の能力を解放して戦う。

 

高速で近寄り、ブレードで斬りかかってくるレプリカの攻撃をいなし、見事にかわしていく。

 

それは圧倒的な身体能力を持つ彼女だからこそできる芸当であった。

 

彼女は人狼と吸血鬼のハーフであるため純血種の氷村以上のパワー、スピード、ディフェンス能力を持っている。

 

さくらは指先から鋭い爪を伸ばすと調子を確かめるように指をひとつひとつ動かしていく。

 

そして両手で斬りかかった。

 

対するレプリカもブレードで対応するが、さくらの攻撃の方が速く一方的にやられていた。

 

続いて彼女は指をパチンとならすと周囲に小さな水弾が出現すると鋭い槍のように発射させた。

 

念道力で大気中の水分を凝縮させたのだ。

 

 

「はっ!」

 

 

数多の水の槍がレプリカへと直撃する。

 

と同時に爪を軽く振るい、鋭い斬撃を一閃。

 

レプリカは損傷し、倒れる。

 

そのとき……

 

 

 

ドガァアアアアアアアアン!!!!!!

 

 

 

轟音が響いた。

 

見れば少年とイレインが激しい戦いを繰り広げていた。

 

 

「あっちは一筋縄じゃいかなさそうね」

 

 

そしてさくらは立ち上がろうとしているレプリカへと視線を戻す。

 

 

「さっさと終わらせてあの子の加勢にいかないとね」

 

 

彼女は爪を一撫でするとレプリカへと突撃した。

 

 

 

◆◆◆

 

 

 

レプリカの相手をしていた恭也、美由希、ノエル、ファリン、さくらの五名は結果として善戦していた。

 

後、数分戦っていたら勝利は確実であっただろう。

 

だが戦いは突如、強制的に終了させられる。

 

他ならぬイレインの命令によって。

 

 

「妹達!このクソガキを攻撃しろ!!」

 

 

「「「「「了解しました」」」」」

 

 

イレインの命令を受けた五人のレプリカが少年へと攻撃を仕掛ける。

 

イレインは特殊技能として五人のレプリカを同時に操る指揮能力を持っている。

 

それが彼女が最終機体と呼ばれる所以である。

 

彼女はレプリカ達の上位個体なのだ。

 

一方の少年はというとイレインに左腕を拘束されており、身動きが取れなくなっていた。

 

咄嗟に小さなバリアのようなものを身体に展開させた少年は、四人目のレプリカの攻撃まで防ぐことはできた。だが五人目の攻撃により背中を斬られてしまう。

 

さらに追撃とばかりにイレインからムチを伝って激しい電流まで流された。

 

 

「ぐ…………がぁああああああ!?」

 

 

「「「「「ヒエン(君)(様)!?」」」」」

 

 

少年はダメージから叫び声をあげる。

 

その直後にイレインが仕掛けた。

 

 

「死ねえええええぇぇぇぇぇ!!!!」

 

 

ブレードで斬りつけるために真っ直ぐに少年の元へと向かう。

 

もうダメかと思われたそのとき、思わずその光景を見ていた者達は目を見開いた。

 

なんと少年は()()()()()()()()止めを刺そうとしたイレインに合わせてカウンターを放ったのだ。

 

 

太陽の加速(ソーラーアクセル)!!」

 

 

 

ズドンッッ!!!!

 

 

 

一撃でイレインのブレードが木っ端微塵に砕けちった。

 

その瞬間、彼女の顔が驚愕に染まる。

 

 

「バ、バカな!この私が……この私が()()()なんてバカなことがあああぁぁぁ!!!!????」

 

 

無意識に呟いたのだろう。

 

その瞬間、悟ったのだ。

 

己の負けを。

 

そして彼女の顔にソーラーアクセルが炸裂し、屋敷の壁を貫通して月村家の庭へと吹き飛んでいった。

 

 

「や、やっ……た……」

 

 

それを見届けた少年は気絶してしまった。

 

しかしその直後……

 

 

「「「「「指揮体の破壊を確認。指揮体を撃破したこの男を危険人物と認定。即刻排除します」」」」」

 

 

レプリカ達が倒れた少年にブレードを突き刺そうとしたのだ。

 

だが……

 

 

「御神流奥義之六・薙旋(なぎつむじ)!」

 

 

「御神流奥義之参・射抜(いぬき)!」

 

 

「「カートリッジダブルロード……フルバースト……ファイエル!」」

 

 

霊爪(れいつめ)!」

 

 

その攻撃は先程まで戦っていた五人によって防がれてしまった。

 

恭也は突進しながら神速からの四連続の抜刀斬撃を繰り出し、美由希も神速からの超高速連続突きを放ち……

 

ノエルとファリンはカートリッジを連続使用することでロケットパンチの破壊力を上げ、さくらは霊力を纏わせた爪の斬撃をお見舞いしたのだ。

 

こうしてパーティー会場での戦闘は幕を閉じた。

 

 

 

第三者side end

 

◆◆◆

 

ヒエンside

 

 

 

結論から言えば全員無事だった。

 

いや、結果としてだけ見れば俺だけがケガをしていた。とはいっても自動治癒があるのですぐに傷は塞がったのだが。

 

あの後の事後処理として、さくらさん達夜の一族の関係者やその事情を知っている者を除いて、心理操作で記憶を消すこととなった。

 

勿論、氷村の襲撃や自動人形の暴走という点に関してだけ。

 

パーティーはちゃんと開かれたという事実だけが記憶として残る。

 

あのパーティー会場の中には事情を知らない一般人も数多くいたため、秘密を知られないようにするための必要処置でもある。

 

あとは氷村や、イレインによる過激な発言でストレスを感じた人への配慮というのもある。

 

そして今回のパーティーでのテロを企てた氷村遊は危険人物として処理された。

 

…………その人格事記憶を消すことによって。

 

今までも奴は夜の一族の中でも度々問題を起こしていたらしいのだが、今回の件はひどすぎた。

 

夜の一族の関係者を皆殺しにしようとするだけでなく、なんの関係もない一般人まで巻き込んでしまった。そのうえ、危険な自動人形イレインやレプリカ達まで黙って解放していたのだ。

 

本来なら一族のケジメとして命を取られてもおかしくないほどの所業であるのだが、不幸中の幸いなのか俺以外の人間が特にケガらしいケガをしていなかった。

 

そして唯一の被害者である俺なのだが、「奴の命はとらないでほしい」といったのが決め手となったのだろう。

 

氷村の記憶だけが消されることとなったのだ。

 

これで誰か一人でも死人が出ていれば俺としても考えることはあったが、幸運なことに死亡者はいないのでそれだけが救いだ。

 

最後まで抵抗していた氷村であったが、身内のケジメとして義妹であるさくらさんが奴の記憶を完璧に消したそうだ。

 

そして綺堂家で徹底的に再教育させるようだ。

 

後はイレインとレプリカの自動人形のことだが、レプリカはまだ機能が無事だったこともあり、忍さんとすずかが修理して再度プログラミングして屋敷の警護に当たらせるとのこと。

 

イレインに関しては機能が完全に停止していたらしい。

 

俺のソーラーアクセルを食らったことにより、機能停止に陥るほどのダメージを受けたのだ。

 

そして俺は倒れてから数時間後に目覚めたのだが、そのとき側で見守ってくれていた忍さんに言われた。

 

 

「私ね……イレインを修復しようと思ってるの……」と。

 

 

理由を聞いてみれば、イレインはリミッターを外されたとき初期状態であったらしい。

 

人間でいえば生まれたての子供のようなものだ。

 

忍さんは言った。

 

 

「あの子はただ良い事と悪い事の区別がついていなかっただけ……。私達を殺そうとしたのも、自分を束縛するものから、ただ逃れたかっただけだと思う……。だからねヒエン君?私がこれからあの子に色々教えるから……責任を持って育てていくから……どうかあの子を……イレインを許してあげてほしい。この通り……どうかお願いします」

 

 

彼女に頭を下げられた俺は悩む。

 

正直なところ、イレインを修復することには反対だ。あいつは人一人を楽に殺す機能を有している。

 

だがこうも思う。

 

あいつを解放したのが忍さん達みたいな人達であれば……もっと別の未来もあったのではないかと。

 

それこそノエルとファリンのような存在になれたのではないかと。だから俺はそんな未来に期待してみることにした。

 

そして俺は忍さんにある四つの条件を出した。

 

一つ……イレインを再び初期状態に戻し、常識から徹底的に教えること。

 

二つ……武装は全て解除すること。

 

三つ……パワーの出力を完全になくすこと。

 

そしてこれが一番重要な四つ目なのだが……

 

イレインが再び暴走し、人を傷つけようとするなら今度は完全に破壊すること。

 

俺の交換条件を忍さんは飲んだ。

 

ただロケットパンチだけはどうしても譲れなかったようで……

 

妥協案としてイレインが完全に暴走する心配がないと判断されれば、つけてもいいということにした。

 

なぜそこまでロケットパンチにこだわるのか聞いたところ、お約束だかららしい。

 

まあ、この人らしいといえばこの人らしいが。だからこそ、この人ならイレインのことを任せても問題ないと判断したのだが。

 

 

 

 

 

 

閑話休題

 

 

 

 

 

 

話は変わるが、俺が倒れてからのことを少し話そう。

 

あの後パーティーは当然のごとく中止。

 

夜の一族騒動員でまずは火災を処理し、パーティー参加者への対応をしたとのこと。

 

即行で集団催眠操作を行い一般人を眠らせた後、氷村の起こした騒動の記憶だけを消去し、屋敷の部屋を全て解放して寝かせたのだ。

 

そして俺も部屋に移され寝かされていた。

 

傷に関してはある程度自動治癒で塞がっていたので、ナハトの治療によって完璧に完治していた。

 

ナハトは魔法の操作や改良に関してはデバイスである相棒をも凌駕する。さすがは夜天の魔導書の元自動防衛プログラムという訳だ。

 

それから目が覚めてから忍さんの話を聞いた後、軽い事情聴取をされる。

 

俺に事情を聞いてきたのは真一郎さん達と一緒にいた青髪の女性と、緑髪の女性であった。

 

当然のごとく、とらハのヒロインの人達だった。

 

今の二人の職業は忍者と警察官僚である。

 

二人は俺のことを皆から聞いていたようで俺が魔導師であったことを既に知っていた。

 

あと何度か事情聴取もあるらしいのでまた会うことになるだろう。

 

それからしばらくしてなのは達が俺に会いに来た。

 

入った途端、全員が口々に「心配したんだから!」と言ってきたときは悪いことをしたと思う。

 

だが皆、あのときの事情は理解してくれているのかそれ以上何も言ってくることはなかった。

 

というかすずかに至ってはずっと顔を俯かせていたので、気まずくなった俺は彼女の頭を撫でて、言った。

 

 

「俺はあのとき、すずかの執事だったからな。すずかを守るのは当然だ。だからそんなに落ち込まないでくれ。むしろ俺としてはお礼をいってくれた方がすごく嬉しい」

 

 

と言うと彼女は顔を少し赤くさせながら……

 

 

「た、助けてくれてありがとうございます。そ、それと……と、とってもカッコ良かったです!!」

 

 

と言ってくれた。

それからなぜか機嫌が少し悪くなっていたなのはとフェイトがムスッとしてた以外は普通だった。

 

それからなのは達が別の部屋に行くと、月村夫妻が部屋へとやってきた……と思ったらいきなり謝罪の言葉を言われた。

 

曰く、「我々の問題に巻き込んですまなかった」と。

 

あのとき月村夫妻も現場にはいたそうなのだが、氷村が起こした爆発に巻き込まれ気絶していたらしい。

 

そして気がついたときには全て終わっていたそうな。

 

まあ、うん。

正直なんと言えばいいか分からなかったので愛想笑いで乗り切った。

 

俺はこれからの夜の一族のことについて聞いた。

 

まず確定しているのは氷村家の解散であった。

 

とはいっても実質的な氷村の名を連ねているのは氷村遊だけであるため、奴は記憶を消されたので事実上は氷村家は消滅したことになる。

 

これからは月村家と綺堂家の二家が、夜の一族の中心となって活動していくそうだ。

 

後至急やらなければならないことは不穏分子の排除、残っている自動人形の捜索だろうか?

 

また氷村遊のような存在を出さないため、無関係な一般人に被害が出ないように徹底的にするらしい。

 

まあ俺としては一般の人々に被害が出なければ問題はない。

 

それからは月村夫妻と色々な話をした後、疲れが出たのかぐっすりと眠った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ってな具合だな」

 

 

「…………はぁ」

 

 

「なんでため息!?」

 

 

昨日あったことを様子を見に来たリニスに説明していたのだが……

 

話を聞き終わったリニスにため息をつかれた。

 

なして?

 

 

「いえ、闇の書事件が終わってまだ二週間ばかりしか経っていないのに……また新たなトラブルに巻き込まれている貴方に少し同情していただけです」

 

 

やめろ!

そんな目で見るな!

悲しくなるだろうが!!

 

 

「まあ、ある程度事情は分かりました。貴方はまずはしっかり休んで身体を治しなさい」

 

 

「はい」

 

 

「それでは私はシュークリームの配達がまだありますのでもういきます。いいですね?くれぐれも無茶はしないように」

 

 

「分かったってば」

 

 

そしてリニスは部屋を出ていった。

 

俺はそれを見送ると思考に移る。

 

 

「…………」

 

 

この世界はリリカルなのはのストーリーだけかと思ったが、それは間違いだったようだ。

 

とらいあんぐるハートで起こった事件も何かしらの関係で関わってきている。

 

 

「…………寝よ」

 

 

まあ、悩んでも仕方ない。

 

為るように成るだろう。

 

しばらく考えていたが頭が痛くなってきたので現実逃避も兼ねて夢の世界へと逃げることにした。

 

 

 

ヒエンside end

 

◆◆◆

 

第三者side

 

 

 

リニスは配達を終えた帰り道、深刻な顔で悩んでいた。

 

 

「まさか闇の書事件が終わったと思ったら……またトラブルに巻き込まれるとは。これはもう……気のせいではありませんね。なんとかしなければ……」

 

 

リニスは少年のトラブルに巻き込まれる体質について危機感を募らせていた。

 

 

()()()なんとかなりましたが、このままずっと何かしらのトラブルに巻き込まれ続ければいずれあの子は……いいえ、こんな最低なこと……考えてはいけませんね。一番大変なのはあの子なのですから」

 

 

リニスは決意する。

 

 

「私があの子を守らねば……」

 

 

何があっても己が主人を守ることを。

 

 

消滅するはずだった自分の命を救ってくれたマスターを必ず助けることを。

 

 

「私はあの子の……家庭教師なのですから」

 

 

リニスは密かに一人……決意した。

 




これにて【幕間:月村家御家騒動編】終わり!!

次回から【第三章:世界への挑戦 インターミドルチャンピオンシップ編 前編】へと入ります。

そして何話かこなしたら【コラボ:戦姫絶唱シンフォギアAXZ編】に入ります。

お楽しみにー。

では、また(・∀・)ノ

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