大空の炎の力を操る転生者   作:Gussan0

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どうも(゜▽゜*)

続き書けたで候。

最近、仕事忙しくて書く時間が中々とれないorz

あと二ヶ月でシンフォギアXVも始まるし、それまでにはクロスオーバーもなんとか完結させたい所存です。

今回はいよいよコンサート。

フィアッセの護衛として一緒に行動します。

では、どうぞ( *・ω・)ノ


第二百五十八話 護衛

第三者side

 

 

 

とあるマンションの一室で一人の男が過ごしていた。

 

40~50代風の男性で白髪のヨーロッパ人である。

 

しかし部屋は暗く、カーテンも閉めきられておりどこか不気味さを醸し出していた。

 

男は笑いながら壁を見る。

 

そこにはある女性の写真が張ってあった。

 

 

 

()()()()

 

 

 

「ふっふっふっ。とうとうこのときが来た。待っていろフィアッセ・クリステラ……」

 

 

白髪の男……ファンは()()()()()()()()()()に動き出す。

 

その手には爆弾の起爆スイッチらしき物があった。

 

 

 

第三者side end

 

◆◆◆

 

ヒエンside

 

 

 

六月末……

 

俺は今、ある高級ホテルの一室にいた。

 

今日はこのホテルでフィアッセさんの所属するクリステラソングスクール、CSSのコンサートがあるのだ。

 

なぜ俺がそんなところにいるのか?

 

それは美沙斗さんの助手という名目もあり、彼女の推薦もあってフィアッセさんの護衛に抜擢されたからだ。

 

元々美沙斗さんは香港国際警防隊でも34歳という若さにして自身の部隊を持ち、隊長の任についている。

 

すなわち上位の位置にいる。

 

そんな美沙斗さんが推薦するのだ。

 

俺に注目が集まるのは当然の帰結であった。

 

 

「「「「「…………」」」」」

 

 

つまり何が言いたいかというと……

 

 

(か、帰りてえぇぇぇ!!!!)

 

 

フィアッセさんの護衛で訪れたSPの皆さんに滅茶苦茶見られていた。

 

念のためにバリアジャケットに換装しているので変な格好はしていないはずだ。

 

俺は冷や汗をかきながらもじっとしておく。

 

一応死ぬ気化しているので外面はクールである。内心はホットであるが。むしろ熱すぎてお湯が沸くレベル。

 

それより美沙斗さんはどこにいったんですかねえぇぇぇ!!!!????

 

 

「ヒエンここで待っていろ」

 

 

と部屋で一人放置されてから数分後に黒服のサングラスをつけたこの人達が入ってきたのだ。

 

その先頭には女性がいた。

 

女性は一際、異彩を放っている金髪ポニーテールの美女であった。

 

年は20代前半だろうか?

 

その女性はなぜか俺に厳しい視線を向けていた。

 

物凄くやりづらいとです。

 

俺は視線を合わせず、壁に背を預けて腕を組み目を閉じておく。

 

第三者の目線から見れば今の俺は物凄くクールに見えていることだろう。

 

実際は金髪ポニーテール美女の視線が怖いだけであるが。

 

 

『ガゥ……』

 

 

『きゅー……』

 

 

心の中にいる二匹から『『おいおい……』』と呆れた思念をいただく。

 

いいの!

これはあれなんだよ!

いわゆる処世術ってやつなんだよ!!

 

何事もなくやり過ごすって大事なことなんだよ?

 

お前達も社会に出れば分かるから。

 

絶対分かるから。

 

すると……

 

 

「待たせたな」

 

 

美沙斗さんがフィアッセさんと恭也君、美由希さんを率いてやってきた。

 

今までどこでなにをやってたのか果てしなく聞き出したい所であるが、場が場なので黙っておく。

 

恐らくフィアッセさん達を迎えにいってたのだろう。

 

そしてフィアッセさんは金髪ポニーテール美女に気付くと笑顔で声をかける。

 

 

「エリス!」

 

 

「久しぶりフィアッセ」

 

 

フィアッセさんにエリスと呼ばれた女性は柔らかい笑顔で話しかけた。

 

 

(エリス……そうか、彼女が)

 

 

エリス・マクガーレン

 

 

俺の前世の世界で出されたOVA……

 

 

『とらいあんぐるハート 〜Sweet Songs Forever〜』

 

 

に登場した女性である。

 

このOVAは『とらハ3』本編の4年後を舞台としたシリーズ完結編で、彼女はフィアッセさんの幼馴染であり、恭也君や美由希さんとも幼馴染の間柄である。

 

肝心のOVAの内容であるが、世界コンサートツアーを控えたフィアッセさんにある脅迫状が届く。

 

それは彼女の母の遺産についての内容であった。

 

しかしその遺産に身に覚えのない彼女はここである兄妹に護衛として声をかける。

 

それが高町兄妹だ。

 

護衛に来た恭也君、美由希さんはボディーガードのエリスさんと共にテロリストからフィアッセさんを守り抜くために戦う。

 

そしてそれぞれの因縁めいた過去とも決着をつけるのだ。

 

そんな内容のストーリーである。

 

ってか恭也君、美人の幼なじみ多過ぎじゃね?

 

説明に戻るが彼女は2挺の拳銃を同時に操るレディ・トゥーハンド・ガンスリンガーである。

 

分かりやすく言えばソードアートオンラインのキリトさんの拳銃バージョンである。

 

彼女はとらハ3の士郎さんが死ぬことになった事件で同じく父を亡くす。だが父の意思を継ぐことを決意し、若くしてマクガーレンセキュリティ会社の社員となる。

 

幼少期に激しい訓練を経て成長し、フィアッセさんの両親が経営するクリステラソングスクールの警備を担当するまでに至る。

 

性格は正義感と責任感が強く努力家。

 

しかし超のつく堅物であり、融通が利かない一面ももっている。

 

OVAでもフィアッセさんの護衛に高町兄妹がイギリスに駆けつけた時もアマチュアが私達の邪魔をするなと一蹴していた。

 

こうした背景には、彼女のボディーガードとしてのプロ意識もあるのだが、幼少期に()()()()()()()()()()()()()()()謎の男に騙されて、爆弾が仕込まれたぬいぐるみを会場に持ち込んでしまった事がトラウマとなっている。

 

つまり()()()3()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()……ということになる。

 

結局、OVAでは接近戦を得意とする恭也君と美由希さんに何度か助けられることで認識を改め、協力を求めるようになる。

 

そして最終的には恭也君とコンビを組むことで、誘拐されてしまったフィアッセさんを奪還することに成功するのだ。

 

その実、誘拐犯とされる白髪の男、ファンと呼ばれる男が士郎さん殺害の実行犯ということも判明する。

 

そのこともあってエリスさん自身が長年抱え込んでいた自責の念も、解放される事になるのだ。

 

 

(ここで彼女……エリスさんが出てきたということはグリフの奴が仕掛けてくることは明白だな)

 

 

実はOVAで切断魔(スライサー)ことグリフも登場している。

 

そしてもう一人……

 

 

【スナッチ・アーティスト】

 

【クレイジーボマー】

 

 

という二つ名を持つ()()()()も登場する。

 

その名もファン。

 

以前、俺が駅で見かけたコートを着ていた白髪の男がファンと見ていいだろう。

 

OVAでの奴の目的はフィアッセさんを手に入れることだった。

 

だとすればこの世界での奴の目的もフィアッセさんを手に入れることだと思われる。

 

俺はフィアッセさんに視線を向ける。

 

フィアッセさんはエリスさんと楽しそうに話している。

 

 

(ファンの野郎が攻めてくると仮定すれば、必ずフィアッセさんに接触してくるはず。彼女の護衛につくならできるだけ側を離れない方が良さそうだ)

 

 

すると話し終わったのかエリスさんが美沙斗さんへと話しかけた。

 

 

「初めまして、マクガーレンセキュリティのエリス・マクガーレンです。フィアッセの護衛として任につきます。貴方があの『最悪で最凶の正義』香港国際警防隊の……」

 

 

「初めまして。香港国際警防隊第四部隊隊長、御神美沙斗です。今日はよろしくお願いします」

 

 

二人は握手する。

 

 

「紹介しましょう。こちらはフィアッセの護衛の協力者として連れてきた高町恭也に高町美由希、そして助手の大空氷炎(ひえん)です」

 

 

紹介されたので会釈しておく。

 

恭也君と美由希さんも幼きころにエリスさんと出会った日のことを覚えているのか少し話していた。

 

するとエリスさんは俺達を見ながら話し始めた。

 

 

「先に言っておきます。あなた達は何もしないでいただきたい」

 

 

「……それはどういう意味ですか?」

 

 

「言葉通りの意味です。私達はボディーガードのプロ、いわばエキスパートです。よってフィアッセの護衛も私達だけで十分。アマチュアは手を出さないで下さい」

 

 

「……ほう?」

 

 

エリスさんの言葉に美沙斗さんが声を低くさせる。

 

あ、これ相当切れてる……

 

ヤベェやつや。

 

 

「素人に現場をうろつかれると迷惑です。なのでジッとしていて下さい」

 

 

「悪いがこちらも仕事で来ているのでね、その提案は聞けないな。何より依頼人……フィアッセ直々の頼みなんだ。こちらも引くことはできない」

 

 

「「…………」」

 

 

何やら一触即発の空気になっている。

 

美沙斗さんもいつの間にか敬語じゃなくなってるし。

 

これ以上揉めると面倒だな。

 

俺は二人に話しかけた。

 

 

「美沙斗さん落ち着いて下さい。エリスさん……貴方も落ち着いてください」

 

 

「ヒエン……」

 

 

「エリスさん、貴方の言い分は分かりました。要は貴方達の邪魔をしなければいいんですよね?」

 

 

「あ、ああ。そうだ」

 

 

「俺達は貴方達の職務の邪魔をするつもりは一切ありません。貴方達は貴方達のやり方でフィアッセさんの護衛をすればいい。ですがその代わり、俺達は俺達のやり方でフィアッセさんの護衛をさせてもらいます」

 

 

「相互不干渉……ということか?」

 

 

「ええ、それに()()()()()()()()()()()。これで手打ちにしてもらわないと困ります」

 

 

「それは……私が駄々をこねていると言いたいのか?」

 

 

「いえ、別に……」

 

 

ちょっとイラッとしたので言いたいことを言わせてもらった。

 

正直に言えば全くもってその通りなのだが、ここで挑発すると余計にめんどくさくなるのでやめておく。

 

そして俺はもう何も言うことはないとばかりに再び壁に背を預ける。

 

実際は気まずくて視線を合わせたくないだけであるが。

 

あぁー

早くこの部屋から出たい。

 

 

「と、とりあえず打ち合わせしないとね」

 

 

フィアッセさんが場の空気を変えるために提案してくれた。

 

 

 

────────

──────

────

 

 

 

今回のチャリティーコンサートはフィアッセさんの母、ティオレさん率いるクリステラソングスクールのコンサートである。

 

だが世界的に有名なせいか、彼女達を狙う輩は多い。

 

そのため彼女達の移動には常に護衛が必須である。

 

そしてクリステラソングスクール全体の警備システムを任されているのが先ほど話したエリスさんという訳だ。

 

まあ、彼女の言い分も分からんでもない。

 

パッと出の俺達などボディーガードのプロである彼女達からしたら邪魔以外の何物でもないだろう。

 

だがこちらも遊びで来ている訳ではない。

 

世界的犯罪組織チャイニーズマフィアの(ロン)が関わっているし、裏の世界の住人のグリフやファンまでいるのだ。

 

とてもじゃないが彼女達だけではフィアッセさんを守りきれるとは思えない。

 

なので俺達も俺達のやり方でやらせてもらう。

エリスさん達の方を見ると、あっちは打ち合わせを行っているので、俺達も軽く打ち合わせを行うことにした。

 

 

「恭也はフィアッセの前衛、美由希は後衛をマーク。私は怪しい箇所を随時見て回る。そしてヒエン、お前はお前にしかできないやり方でフィアッセの護衛をしてもらう」

 

 

「俺にしかできないやり方?」

 

 

「黒猫になってフィアッセにつけ」

 

 

「……は?」

 

 

「そっか。ヒエン君、変身魔法使えるもんね」

 

 

「なるほど。それなら不測の事態が起きても迅速に対応できるな」

 

 

「それにヒエンには超直感がある。奇襲や不意打ちで襲われたとしても十分対応できるだろう」

 

 

なんか勝手に話が決められている件について。

 

 

「いやまあ、全然大丈夫ですが」

 

 

「ヒエンが常に側についていればすぐにフィアッセを逃がすこともできる。ヒエン、お前は最後の砦になるんだ」

 

 

「ああ、転送魔法ですね」

 

 

一応、転送先としてさざなみ寮を設定している。

 

あそこならフィアッセさんの逃げる先としても十分だろう。

 

 

「今回のチャリティーコンサートにはティオレさんとフィアッセ宛に脅迫状まで届いている。それにこのマークを見てみろ」

 

 

美沙斗さんが取り出した脅迫状と思われる二通には黄色のクローバーマークが描かれていた。

 

 

「そのマークは!?」

 

 

「恭也はこのマークに見覚えがあるだろう?そう、これは士郎兄さんが重傷を負うことになったあの事件……そのときに出された脅迫状と同じマークだ」

 

 

「父さんに重傷を負わせたかもしれない奴が……」

 

 

「関わっているかもしれない」

 

 

二人の雰囲気が変わる。

 

少し怒りのような感情を二人から感じる。

 

 

「二人とも落ち着け。士郎兄さんにケガを負わせた奴が関わっているとしても私達のやることは変わらない。守るべき相手を必ず守るのが御神の剣士だ」

 

 

「「はい」」

 

 

美沙斗さんの言葉に力強く頷く二人。

 

それを俺は安心しながら見ていた。

 

二人とも気合いは十分だ。

 

俺も俺のやるべきことをしっかりやらねば。

 

俺も頬をパチンと叩き、気合いを入れた。

 

 

 

◆◆◆

 

 

 

「ああ~ん、ヒエンかわいい~」

 

 

「窒息する……うぷっ」

 

 

黒猫形態になった俺はさっそくフィアッセさんの側にいたのだが、暴走したフィアッセさんに抱き締められていた。

 

フィアッセさんの大きすぎる胸が顔に当たり呼吸ができない。

 

ギブアップするように手をタップするが、胸に当たって弾力で跳ね返るだけだった。

 

次第に意識がなくなっていく。

 

俺が窒息して意識を失うのは当然だった。

 

 

 

チーン……

 

 

 

「あ、ヒエン!ヒエーーーン!?」

 

 

 

 

 

 

そして気が付いたときにはフィアッセさんに抱えられていた。

 

周りを見渡せば人、人、人であった。

 

どうやら移動しているらしい。

 

前を先行するように恭也君が歩き、後衛を守るように美由希さんが歩いていた。

 

フィアッセさんの周りにはエリスさん率いるボディーガードチームが身を固めていた。

 

 

「あ、起きた?」

 

 

「ニャー」

 

 

今は黒猫形態であるため鳴き声で返事をする。

 

すると何を思ったのかフィアッセさんは俺の頭を撫でてきた。そしてひとしきり撫でて満足したのか、笑顔であった。

 

逆に俺は疲れが溜まった。

 

黒猫形態しんどいっす。

 

とりあえずフィアッセさんに抱えられながら周りを見渡す。

 

特に怪しい奴は見当たらない。

 

時計を見るとコンサートまでまだ一時間半はある。

 

ホールは一般のお客さんでいっぱいであった。

 

今頃、招待されたなのは達も来ている頃だろう。

 

ちなみになのは達は俺達がフィアッセさんの護衛についていることは知っている。

 

恭也君と美由希さん、俺は修行のためということになっているのである。

 

そしてホールを抜けて控え室のある廊下を歩いていく。

 

ここまで来れば一般客はいないのでスタッフとコンサート関係者だけに限られる。

 

 

「…………っ!」

 

 

そのとき()()()()()()()()()()()を察知する。

 

前衛にいる恭也君と、後衛にいる美由希さんがこちらに視線を向ける。

 

二人も気付いている。

 

俺はフィアッセさんの肩に飛び乗り、小さな声で耳元に伝える。

 

 

「フィアッセさん、周りに敵と思われる気配を感知しました。警戒を」

 

 

「……私はどうしたらいい?」

 

 

フィアッセさんが真剣な表情で聞いてくる。

 

俺はそれに答える。

 

 

「焦らないで落ち着いて行動しつつ、俺達の指示に従って下さい」

 

 

「分かったよ」

 

 

そして俺はいつでも魔法を発動できるようにしておく。

 

黒猫形態でいるときは魔力節約モードとしての役割も担っているため、魔法を使う場合普段より少し効力も落ちてしまう。

 

だが姿を隠すのはこの姿が最適なため、そこらへんは死ぬ気の炎で強化しながらカバーしていけばいい。

 

 

「うぉらああああ!!」

 

 

すると短刀を持ったチンピラ風の男が後方からこちらへとやってくる。

 

先に動いたのは美由希さんであった。

 

小太刀を出さずに峰で相手の腹に当て気絶させた。

 

 

「「「「「わぁああああ!!」」」」」

 

 

それを合図に次々と武器を持った輩がこちらへ襲いかかってきた。

 

フィアッセさんを守るようにSP達も動き出す。

 

 

「フィアッセ下がって!!」

 

 

「う、うん」

 

 

エリスさんがフィアッセさんの前を陣取り両手に拳銃を持ち……

 

 

「Freeze!!(動くな!!)」

 

 

と相手を牽制するが、襲撃者は止まることなくこちらへとやってくる。

 

それを見たエリスさんは躊躇いなく相手の肘や腕、足などを撃ち抜いた。

 

 

「ウェ、ウェヘヘヘヘヘヘ……」

 

 

するとショットガンを持ち、ヨダレをたらしながらこちらにやって来る一人の男がいた。

 

目も半開きで意識もあるかどうか分からない状態であった。

 

まるで薬物依存にはまって抜け出せないかのような印象を受けた。

 

エリスさんがその男に拳銃を撃つが、男は身体に銃弾を浴びながらも歩むことをやめない。

 

 

「効いてない!?」

 

 

いや、効いてはいる。

 

ただ痛みを感じていないだけだ。

 

 

「くっ……」

 

 

エリスさんがさらに拳銃を撃とうとするが……

 

 

「がっ!?」

 

 

後方から神速でやってきた恭也君によって気絶させられた。

 

周りを見れば他の襲撃者達も取り押さえられていた。

 

俺の出番はなかったようだ。

 

つーか、こんなにもよく隠れてたな。

 

 

「殺した……のか?」

 

 

「いや生かしてある。素性や目的を喋ってもらわないといけないからな」

 

 

恭也君は鋼糸で男を縛っていく。

 

 

「麻薬を使っているんだな。痛みじゃ止まらないんだ。だから、はいとう横隔膜の衝撃で気絶させた」

 

 

「……すまない。油断した」

 

 

「そうでもない。割りと良いコンビだったと思わないか?」

 

 

「え?」

 

 

思います。

 

そこからエリスさんは俺達に今までの非礼を詫びてきた。

 

俺達のことを認めてくれたのだ。

 

おかげでこっちもやり易くなった。

 

だからフィアッセさん、嬉しいからって抱き締めるのやめて。

 

また窒息しちゃうから。

 

 

 

 

 

 

閑話休題

 

 

 

 

 

 

襲撃があったことからすぐにこの場を移動しようということになった。

 

場合によってはコンサートは中止せざるを得ない。

 

いや、むしろ襲撃があったのだから中止すればいいと思うのだが、一般客も既に多く入っているこの状況では下手に中止を言えば混乱を招く恐れもあるため続けるしかないというのが現状か。

 

中止は最終手段だ。

 

ちなみに襲撃者達は鋼糸で縛って部屋に放置だ。

 

もちろん見張りつきで。

 

そして移動しようとしたとき……

 

 

 

ゾクリ……

 

 

 

微かな殺気を感知する。

 

見れば()()()()()()()()()()()()()()が後方から近付いてきた。

 

女性は大きな布から大剣を取り出すとフィアッセさんの元へと一直線に向かってくる。

 

間違いなくグリフだ。

 

 

「Freeze!!」

 

 

エリスさんも銃弾を放つが、奴は大剣で銃弾をそらし防ぐ。

 

 

「っ!!」

 

 

フィアッセさんは思わず目を瞑る。

 

俺は防御魔法でガードしようとするが、その前に神速で現れた美由希さんが大剣の一撃を防いだ。

 

 

「美由希!」

 

 

「フィアッセを連れてここから離れて!!」

 

 

「分かった!!」

 

 

そしてエリスさんはフィアッセさんの手を取って走り出す。

 

 

「美由希!ここは任せた!!」

 

 

「うん!恭ちゃんも気をつけて!!」

 

 

「ああ」

 

 

恭也君もフィアッセさんの後を追いかける。

 

俺はミニッツを一匹この場に置いて美由希さんのことを見ておくように命令する。

 

 

『美由希さんのこと頼むぞ』

 

 

『ガァウ』

 

 

俺達は走り出した。

 

 

 

────────

──────

────

 

 

 

とりあえず安全な所まで行かなければならない。

 

廊下を走り抜けて階段を降り、扉を開ける。

 

そこは地下駐車場であった。

 

何台もの車が止まっている。

 

SP達が周囲を警戒しながら歩いていく。

 

 

「皆、止まれ」

 

 

恭也君が一言呟く。

 

すると前方から仮面をつけたスーツ姿の男達が姿を現す。

 

あの趣味の悪い仮面には見覚えがある。

 

(ロン)の連中だ。

 

 

『逃げ道を塞げ!ここで殺る!』

 

 

奴らは中国語で話し、こちらに拳銃を向けてきた。

 

 

「エリス、ここは俺に任せて先に行け」

 

 

「しかし……この人数を一人でやれるのか?」

 

 

エリスさんの心配もごもっともだ。

 

奴らは少なく見積もっても約20人はいた。

 

だが恭也君は焦ることなく告げる。

 

 

「大丈夫だ、問題ない。それに……」

 

 

俺の方に指を差し、言った。

 

 

「頼りになる奴がいるからな」

 

 

「ニャー!」

 

 

俺はフィアッセさんの頭の上で勢いよく鳴く。

 

 

「こ、この黒猫がか?」

 

 

「その理由はすぐに分かる。さあ、早くいけ」

 

 

「わ、分かった!」

 

 

そして俺達は走り出す。

 

俺は恭也君の側にもミニッツを置いておくことにする。

 

一応これで二人の状況は分かる。

 

しかし(ロン)の連中といい、グリフといい本格的に攻めてきやがった。

 

これはもうファンの奴も動き出していると見ていいだろう。

 

 

「この部屋にしよう」

 

 

俺達は駐車場を抜け、ある部屋に隠れることにする。

 

目を閉じて集中すればミニッツからの視覚情報を見ることができ、美由希さんと恭也君の状況が分かる。

 

二人ともなんとかうまく立ち回っているようだ。

 

 

「エリスさん……どうします?」

 

 

「慌てないで。まずはここをしっかりと固めましょう」

 

 

エリスさんとその部下と思われるメガネの男性が小声で話しながら部屋の外へと出ていった。

 

 

「皆は大丈夫でしょうか?」

 

 

「狙いは貴方だけのようですからそちらはたぶん……」

 

 

フィアッセさんは不安そうにSPの男性に聞く。

 

今のところ、狙いはフィアッセさんだけのため他の人が危険に陥ることはないらしい。

 

だが俺は彼女が僅かに震えていることに気付く。

 

俺は励ますために彼女の肩に乗り、肉球でほっぺをペシペシ叩いた。

 

 

「ニャー」

 

 

「ありがとうね」

 

 

フィアッセさんが笑顔になる。

 

うむ。

良き笑顔なり。

 

さすが世界の歌姫というだけあって綺麗だ。

 

彼女のイチファンとして不安な表情をさせるのはいただけないのである。

 

 

「!?」

 

 

だがその直後……

 

部屋の空気が()()()()()したことに気付く。

 

俺は額の炎圧を上げて死ぬ気モードとなる。

 

そしてS()P()()()()()()()()()()()()()()()白髪の男、ファンにチェーンバインドをかけた。

 

 

「ぬ!?」

 

 

「はぁ!」

 

 

そしてそのまま俺はファンの顔に跳び蹴りを放った。

 

黒猫形態のまま放ったからか、攻撃の強さは軽めだが転ばずことには成功した。

 

というかこいつ一体いつどこから潜入してきやがった!?

 

 

「逃げましょう!」

 

 

「う、うん!」

 

 

俺はフィアッセさんの肩に乗り、大きな声で話す。

 

黒猫が話し出したことにSPの人達がギョッとするが気にしている暇はない。

 

 

「あんた達も一緒にこい!」

 

 

俺は話しかけるが彼らの内の一人が答えた。

 

 

「この声は……あのときの少年か?いや、それよりも君はエリスさんと共にフィアッセさんを連れて逃げろ。ここは我々に任せるんだ」

 

 

そして彼らは拳銃片手にファンへと突っ込む。

 

 

「頼んだぞ!」

 

 

「やれやれ……ちゃんと気配は消してたはずなんだがねぇ」

 

 

ファンもトンファーと思わしき物を構えてSPと交戦を始めた。

 

俺は騒ぎを聞き付けてやってきたエリスさんの肩に飛び乗ると声を出す。

 

 

「エリスさん!まずはここから離れましょう!!」

 

 

「この声はヒエンか!?君は美沙斗氏と共に行動していると思っていたのだが……それよりなぜ君は猫に……」

 

 

「今はそんなことどうでもいいから早くいきますよ!!」

 

 

そして俺達は部屋から出ようとしたが……

 

 

「ふっふっふっ。逃がしはしないよ」

 

 

トンファーの仕込み刃と思われる物に血をつけたファンが立ちはだかった。

 




次回でインターミドル編前編は終わり、いよいよ戦姫絶唱シンフォギアの世界へいくぞウラァー(゜▽゜*)

とりあえずこれだけは決まってる。

防人を胸のネタでいじる。

では、また(・∀・)ノ

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