大空の炎の力を操る転生者   作:Gussan0

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どうも(゜▽゜*)

続き書けたで候。

早いものでこれを書きはじめて三年が経つという。話数もエイプリルフール版も入れれば260話か。

三年で260話ってどうなんでしょうね?

ペース早いんやろか?

でもまあ、これからもよろしくお願いいたしますm(__)m

さて、今回はコンサート編クライマックス。

では、どうぞ( *・ω・)ノ


第二百五十九話 全てに……過去に決着をつける

第三者side

 

 

 

美由希はホテルの廊下で切断魔(スライサー)グリフと対峙していた。

 

グリフは変装用の金髪のカツラを外すと小さく笑う。

 

 

(女の人じゃない……?)

 

 

美由希は相手の容姿から女性だと予想していたのだが、違っていた。

 

 

「御神に……出会えたな」

 

 

グリフは呟く。

 

 

「殺し合うための技術と研鑽(けんさん)を血が滲むまで重ねた同士、比べ合おう。どっちがより……上手に斬って殺せるか」

 

 

そして大剣を構えた。

 

 

(この人、御神を知っている。それに……空気で分かる。この人強い!!)

 

 

美由希も構える。

 

それは彼女の最も得意とする技、射抜の構えであった。

 

 

(本気でやらないと……やられる!)

 

 

美由希は全身に気を纏わせる。

 

薄く鋭くその身に纏わせる。

 

彼女はこの一ヶ月の気の基礎修行と(ロン)の支部へと攻めいる実戦経験を積むことで気のコントロールを格段に上げていた。

 

闘気(オーラ)使いとしての腕を日々順調に積んでいた。

 

しかし相手の暗殺者も同じく闘気(オーラ)使い。

 

しかも美由希よりも気のコントロールはより洗練されている。

 

はっきり言って格上といってもいい存在だ。

 

だが彼女は引かない。

 

否、引けない理由があるのだ。

 

 

(フィアッセの元へは行かせない!守るべき者を守るのが御神の剣士なんだ!!)

 

 

そして互いの剣士は激突する。

 

 

 

────────

──────

────

 

 

 

恭也は20人の(ロン)の構成員達に囲まれていた。

 

 

『相手は一人だ!殺せ!!』

 

 

だが彼は焦ることなく小太刀【八影(やかげ)】を構え、静かに告げた。

 

 

「御神不破流の前に立ったことを……不幸と思え!!」

 

 

この言葉を皮切りに構成員達は拳銃を発砲する。

 

無数の銃弾が恭也へと迫る。

 

 

「はぁああああ!!」

 

 

しかし彼は前へと出ることで銃弾をかわしていく。

 

そして全てがモノクロに変わる領域、『神速』へと入る。

 

銃弾よりも早く動くことで即座に相手の懐へと潜り込み、構成員の一人を一刀で斬り伏せた。

 

恭也はさらに追撃を仕掛ける。

 

 

 

第三者side end

 

◆◆◆

 

ヒエンside

 

 

 

俺達の前には白髪の男、ファンがトンファーを構えて立ち塞がる。

 

後ろには出口があり、エリスさんが扉を蹴破ったことで開いている。

 

しかし正面にファンがいることで身動きがとれない。

 

俺は奴の後方で倒れているSP達に視線を向ける。

 

ここからでも多量の出血が確認できる。

 

早く治療しなければまずいことになる。

 

俺はフィアッセさんの肩から飛び降りると同時に人間の姿へと戻る。

 

 

「ほう?」

 

 

「……元の姿に戻った」

 

 

ファンが少し驚くような、エリスさんが唖然とした感じのリアクションを取る。

 

と、それどころではない。

 

今はファンの視線をこちらに向けなければ。

 

俺はミラージュハイドで二匹の姿を消させ、奴にバレないようにSP達の元へと向かわせると、秘密裏に治癒魔法で治療させる。

 

そして奴に話しかけようとしたが、先に奴がこちらに話しかけてきた。

 

 

「こんにちは……フィアッセ・クリステラ。君にとっては初めましてになるのかな?そしてエリス・マクガーレン、君とは久しぶりだね。しかしお転婆は相変わらずだね」

 

 

こいつの口振りからするに過去に二人と面識があるようだ。ただ一方的に……。

 

件の二人は戸惑うような反応をしていることから思い当たる節がないのだろう。

 

俺は二人を庇うようにさらに一歩前へと出る。

 

 

「そこの炎の少年も知っているよ。切断魔(スライサー)が言っていたヒエン・オオゾラだったかな」

 

 

「……あんたが今回の黒幕か?」

 

 

俺は確認するように奴へと問う。

 

 

「黒幕か……と問われれば、今回の騒動に限るのであればそうだろうね」

 

 

「目的はフィアッセさんか?」

 

 

()()()の目的はね。私の依頼人は彼女の母親であるティオレ・クリステラの遺産に興味があるようだが」

 

 

「お母さんの!?」

 

 

フィアッセさんが驚く。

 

OVAではティオレさんは既に亡くなっていたが、この世界では元気に過ごしている。

 

その関係でまだ何も聞かされていないのだろう。

 

 

「その様子ではまだ知らないようだね。じゃあ、教えよう」

 

 

そして奴は嬉々として語る。

 

 

()()はカナダのとある銀行にある。そして()()はある条件が揃ったときに君に譲渡されることになっている。その条件もね、調べたんだよ」

 

 

「え?」

 

 

「その条件とは二つ。一つ、君がある年齢の誕生日を迎えたとき。そしてもう一つは君が愛する人との結婚を決めたときだ。そのどちらかが満たされたときに、金庫の暗証番号と鍵は君に渡される手筈になっている」

 

 

「そういえば昔、お母さんから聞いたことがあるような……。私以外には価値のないものを遺産に残してる……って」

 

 

「確かに君以外には価値のない物だろうねぇ。ただ私の雇い主はそれを信じていなくてね。どこかで何か勘違いしているかもねぇ。まあ、私はその雇い主のおかげでこうして君に会いにこれた訳なんだけどねぇ」

 

 

奴は不敵に笑う。

 

なんとも不気味な奴だ。

 

 

「それで私はいいことを思い付いたんだよフィアッセ・クリステラ。これは君にとっても悪い話じゃない」

 

 

すると奴はとんでもないことを口走った。

 

 

 

 

 

 

「私と結婚しよう」

 

 

 

 

 

沈黙が場を支配する。

 

 

「えぇ!?」

 

 

そして数秒経って再起動したフィアッセさんが驚くリアクションを取る。

 

 

「「…………」」

 

 

俺とエリスさんはというと、あまりの出来事に未だ再起動できずにいた。

 

 

『ガァアアアア!!』

 

 

「っは!?」

 

 

そして心の中にいる相棒から調和の咆哮で覚醒してもらうと意識を取り戻す。

 

 

「そうすれば君は遺産が手に入り、晴れて自由の身となる。そして私は君を手に入れられる」

 

 

「…………」

 

 

「よく知らない相手と結婚はできないかい?大丈夫。私は君がほんの小さい頃から知っているんだ」

 

 

ファンは常識外れな提案をフィアッセさんへと向ける。

 

だが世界の歌姫は表情をキリッとさせて言った。

 

 

「プロポーズをどうもありがとう。でもお断りします」

 

 

「…………ほぉーう」

 

 

奴は断られると思っていなかったのか声音が少し低くなる。

 

逆にこちらとしてはどうしてそれでいけると思ったのか聞きたいくらいだ。

 

こいつの思考は完全にストーカーのそれだ。

 

そもそも結婚とは女性にとって特別な意味合いを持つ。

 

一生を添い遂げたいという特別な相手を見つけるからこそ意味があるのだ。

 

なんせ結婚とは……人生を共に生きるパートナーとの特別な祝いの儀式なのだから。

 

 

「冗談はそこまでにしてもらおうかストーカー野郎」

 

 

俺は右手で後ろのフィアッセさんを庇う。

 

 

「ストーカー……だと?」

 

 

「当たり前だろうが。そもそもフィアッセさんの命を狙っておいて結婚しようだと?自惚れるのも大概にしろよクソ野郎が」

 

 

俺は少し声を荒げながらファンへと話す。

 

 

「お前、フィアッセさんを手に入れるのが目的だと言ったな。ならば聞く。どうして彼女が大切にしている者を傷つけようとする?どうして彼女の大切な物を壊そうとする?」

 

 

「面白い質問だねぇ。そんなものは簡単だ。私はね、昔から欲しいと思ったものは見境が付かなくなる性質(たち)でねぇ。()()()()()()()()()()手に入れる」

 

 

「どうして……そこまで……」

 

 

フィアッセさんが唖然とした様子で聞き返す。

 

するとファンはにやけながら言った。

 

 

「"愛する"ということはそういうことなんじゃないかい?」

 

 

「つまりは……お前がフィアッセさんを"愛している"からフィアッセさんの大切な人達を傷つけても問題ない……フィアッセさんの大切な物を壊しても問題ない……そう言いたいのか?」

 

 

「そうさ。彼女には私がいればいい」

 

 

奴が言葉を吐いた瞬間、俺は額の炎の炎圧をあげて最大パワーで殴りかかった。

 

 

 

ドガンッッッッッ!!!!!!

 

 

 

奴との間合いを一瞬で詰め、顔面に炎の拳を叩きつけた。

 

 

「ぐぁああああ!?」

 

 

奴の顔に拳がクリーンヒットしホテルの壁を貫通して吹き飛んでいった。

 

 

「…………」

 

 

少しスッキリした。

 

あのくそ生意気な顔に一発入れられたのだから。

 

数秒してから奴はこちらへと戻ってくる。

 

その頬は少し赤く腫れ上がっていた。

 

 

「やってくれるね少年。君は邪魔だなぁ」

 

 

「邪魔するのは当たり前だろ。俺は彼女の護衛なんだ。お前の妄想に付き合ってる暇はないんだよ」

 

 

「私は彼女を手に入れなきゃならない。赤の他人の君に口出しされる(いわ)れはないんだがねぇ」

 

 

「赤の他人……ね」

 

 

俺は奴に背を向け、フィアッセさんの側へと近付いていく。

 

その際に彼女に小声で耳打ちした。

 

 

「話を合わせてください」

 

 

「え?う、うん」

 

 

フィアッセさんは少し驚きながらも俺に何か考えがあると悟ってくれたのか、頷いてくれた。

 

さて、ここからが本番だ。

 

あのいけすかない(つら)を苦痛で歪ませてやろう。

 

 

「お前に良いことを教えてやるよ。俺とフィアッセさんは赤の他人じゃない。むしろ()()()()()()()だ」

 

 

「……何が言いたい?」

 

 

そして俺は()()()()()()()()()()()、言った。

 

 

 

 

 

 

「フィアッセさんは……いや、フィアッセは俺の女だ」

 

 

 

 

 

 

「「なっ!?」」

 

 

俺の言葉にファン、エリスさんまでもが驚く。

 

俺の腕の中にいるフィアッセさんは顔を少し赤くさせながらも、俺に寄り添うように抱きついていた。

 

その際に彼女の豊満な胸が身体に当たるが死ぬ気で我慢する。

 

というか女の子ってこんなに柔らかいんだ(錯乱

 

 

「…………はっはっは。あーはっはっはっはっはっはっはっはっはっ!!!!!!」

 

 

何を思ったのかファンは突然笑い声を上げる。

 

ついにおかしくなったか?

 

すると奴は懐に手を入れ、何かのスイッチらしきものを取り出した。

 

「これはこのホテルに仕掛けてある爆弾(プレゼント)のスイッチでねぇ、妙な動きをしたら爆発させるよ?」

 

 

奴は爆弾の起動スイッチを俺に見せびらかす。

 

 

「最新型の自信作なんだ。ステージ上はまず軽く吹き飛ぶね」

 

 

そして奴は言った。

 

 

「友人達、それとなんの関係もない一般人の命を散らせたくないなら……私と一緒に来てもらおうかフィアッセ・クリステラ」

 

 

「…………っ!」

 

 

フィアッセさんは唇を噛みしめる。

 

その際に俺に抱きつく力も少し強くなった。

 

俺は安心させるように言う。

 

 

「大丈夫ですよ。爆弾は起動しませんから」

 

 

俺の言葉に反応したのはファンだった。

 

 

「何を言っているのかな?もしかして冗談だと思っているのかい?残念だがそれはないよ。それにこの爆弾の威力は……()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 

「え!?」

 

 

「なに!?まさか!?」

 

 

奴の言葉にフィアッセさんとエリスさんは顔を青くさせる。

 

 

「どういうことだ?」

 

 

「なに、彼女達が十代後半の頃かな。数年前に彼女達は()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()。まあ結局、()()()()()()()()()()()()()殺害依頼も失敗してしまったんだけどねぇ」

 

 

「「っっっ!!!」」

 

 

「なに?」

 

 

()()()()()()()()()??

 

まさか……

 

 

「おい、そのボディーガード……もしかして()()()()()()だったか?」

 

 

「ん?ああ、そういえばそうだったね」

 

 

「もう一つ聞かせろ。あんたは脅迫状を出すときに()()()()()()()()()()()をつけると聞いたんだが本当か?」

 

 

「その通りだよ」

 

 

もう間違いない。

 

こいつが士郎さんを襲った犯人だ。

 

士郎さんに重傷を負わせ、高町家がバラバラになりかけたきっかけを作り……

 

フィアッセさんを罪悪感という過去の呪縛に捕らえ続ける原因を作った男。

 

なにより……

 

 

 

『さみしいよぉ………』

 

 

 

俺の脳裏に公園のブランコで一人寂しく座る少女の姿がよぎる。

 

なのはの泣く原因を作った男。

 

とらハのOVAではこいつが士郎さんを襲った犯人だった。

 

もしかしたらとは思っていた。

 

なら遠慮する理由もない。

 

ここでこいつをぶちのめして全てを終わらせる。

 

 

「お前が覚えているそのボディーガードは俺の知り合いでな。お前がその人にケガを負わせたせいでその人の家族はバラバラになりかけた。お前がその人にケガを負わせたせいである女性が罪悪感を感じて未だに過去に捕らわれて苦しんでいる」

 

 

「ほう」

 

 

「それを聞いて何も感じないのか?」

 

 

「別に何も?それより君は彼女から離れてもらおうか?逆らうようならこのホテルが火の海に変わるが?」

 

 

「さっき言ったはずだぞ。爆弾は起動しないと」

 

 

「ふっ。まだそんな世迷い言を」

 

 

「なら……ためしてみろよ。俺の言葉の意味が分かるはずだ」

 

 

「……後悔することになるぞ」

 

 

「今に分かる」

 

 

そして奴はスイッチを押した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

しかし何も起こらなかった。

 

 

「なぜだ!?なぜ爆発しない!?」

 

 

「この部屋を結界で隔離した。何度スイッチを押そうが爆弾は起動しないぞ」

 

 

「結界……だと!?」

 

 

「そうだ。そしてこの結界は俺を倒せば解除される」

 

 

「なら君を倒せば爆弾は起動する訳だ」

 

 

「そういうことだ」

 

 

奴はトンファーを構えてこちらに近付いてくる。

 

こちらもフィアッセさんを離して近付いていく。

 

 

「ぬん!」

 

 

「ふっ!」

 

 

ファンはトンファーの刃で攻撃を仕掛ける。

 

俺は籠手でそれを受け止め、パンチを放つ。

 

奴もそれをトンファーで受け止め、反撃してくる。

 

互いに近距離で技をかけ合う。

 

 

「「はぁ!!」」

 

 

 

ガキンッッッッッ!!!!!!

 

 

 

籠手とトンファーがぶつかり合う。

 

戦って分かったが、こいつも闘気(オーラ)使いだ。

 

トンファーに気を張り巡らせ、攻撃力を上げているのだ。

 

だが以前戦ったグリフや、美沙斗さんほどではない。

 

冷静に相手をすれば勝てる相手だ。

 

俺は化勁で奴の攻撃を受け流すと、円地で背後へと回り込む。

 

そして攻撃を繰り出そうとしたとき奴の姿がぶれ、蜃気楼のように消えた。

 

 

「どこへいった?」

 

 

奴の特殊能力か、それともなんらかの戦闘技能なのかは分からない。

 

だが……今の俺には無意味だ。

 

俺は目を閉じて気配を探る。

 

フィアッセさんとエリスさんの存在は、はっきりと感じる。

 

するとフィアッセさんの後ろで動く()()()()()を感知する。

 

今までの修行の成果が出たのか、超直感の精度が格段に上がっている。

 

俺はブリッツアクションを発動させて回り込む。

 

そしてフィアッセさんを捕らえようとしていたファンを捕らえた。

 

 

「捕まえたぞ」

 

 

「まさか……完全に気配を消した私を察知し、そのうえ回り込むとは……」

 

 

「お前には感謝している。特訓の成果を確認できたからな」

 

 

そして俺は籠手を手甲に変化させると奴の腹へビッグバンアクセルをぶちこんだ。

 

 

「がはっ!?」

 

 

ファンは床へと倒れ込む。

 

だがゆっくりと起き上がろうとする。

 

 

「やめとけ。もう立てないはずだ」

 

 

「そうだね。その通りだよ。もう身体を動かすのも億劫だ。だがこれで終わるのは私の主義ではないのでね、最後まで抵抗させてもらうよ」

 

 

すると奴は懐からもう一つのスイッチを取り出す。

 

 

「無駄だぞ。爆弾は起動しない」

 

 

「それはこの場所を結界で隔離しているからだろう?だが……()()()()()()()()()()()()()ならどうかな??」

 

 

「なにっ……まさか!?」

 

 

奴が別の場所へと視線を向ける。

 

すると机の上に()()()()()()()()()()()()があった。

 

 

「そのまさかさ。皆、一緒に死のう」

 

 

「まずい!?」

 

 

俺は直ぐ様、奴からスイッチを取り返そうとしたが……

 

 

 

パァン!!

 

 

 

「ぐああ!?」

 

 

エリスさんによって阻止された。

 

 

「私の存在を忘れてもらっては困る」

 

 

それだけじゃない。

 

 

「フィアッセさん、()()()()は??」

 

 

フィアッセさんの背中から()()()()が生えていた。

 

そしてその手にはリモコンがあった。

 

 

「私、超能力者だから」

 

 

右肩を撃たれたファンはそのままうずくまり、気絶した。

 

それを見届けた俺は息をはく。

 

 

「ふー。ありがとうございますエリスさん、フィアッセさん。正直、助かりました」

 

 

「君には部下を助けてもらった礼があるからな。これくらいならお安いごようさ」

 

 

「私も守ってもらったしね」

 

 

見れば治療が終わったのかSP達は無事だった。

 

 

「お前達も治療お疲れさん」

 

 

「ガゥ~」

 

 

「きゅ~」

 

 

そしてフィアッセさんはそのままヘナヘナとその場に座り込む。

 

 

「はぁー」

 

 

安心して気が抜けたらしい。

 

さて、他の二人は無事だろうか。

 

 

 

ヒエンside end

 

◆◆◆

 

第三者side

 

 

 

美由希とグリフの戦いは苛烈を極めていた。

 

グリフの斬撃を素早い身のこなしでかわす美由希。

 

気で身体能力を強化することで天井と壁の間を跳び回る。

 

そして隙を狙って神速で間合いを詰め、攻撃を仕掛ける。

 

だが相手は裏の世界で切断魔(スライサー)と呼ばれるほどの暗殺者。

 

美由希の攻撃にことごとく対応する。

 

 

 

ガキイィィィィンン!!!!!!

 

 

 

何度目かとなる小太刀と大剣をぶつけ合わせ、互いに距離を取る。

 

 

(……隙を狙って神速を連発してるのに捕まっちゃう。反応速度と勘の良さの差なんだ。避けてから斬るんじゃ間に合わない!!)

 

 

(ふっ……。僕の斬撃をこうまでかわすか。それにこんな傷を負ったのはいつ以来だろうか?)

 

 

見ればグリフの肩からは少しだけ血が出ていた。

 

美由希もいくつか手傷を負っており、服に血がついていた。

 

 

(だけど同じ剣士なんだ。もっと速く、もっとギリギリの所で撃ち抜くんだ!一撃で!!)

 

 

(見たところまだ若い。この若さでここまでやるとは……ああ、面白い!御神は本当に面白い!!)

 

 

「そうだ。剣士の戦いはこうでないといけない。もっとだ!もっとキテクレ!もっと!もっと!もっとダアァァ!!」

 

 

「…………」

 

 

変貌するグリフの様子に少し戸惑いながらも美由希は話しかける。

 

 

「……貴方は戦うの好きですか?」

 

 

そして射抜(いぬき)の構えでグリフを見据える。

 

 

「私はあんまり……好きじゃないです」

 

 

それを見たグリフも笑いながら構える。

 

 

「「!!」」

 

 

美由希が走り出す。

 

この一刀で決着がつく。

 

両者は剣士としての直感でそのことを感じ取った。

 

 

「はっはあ!」

 

 

グリフが大剣を横凪ぎに振るおうとする。

 

 

「ここおぉぉ!!」

 

 

それを見た美由希はしゃがみ大剣を()()()()()()()

 

しかし……

 

 

(攻撃が止まった!?)

 

 

グリフが()()()()()()縦に振り降ろそうとする。

 

 

(まさかフェイント!?)

 

 

「惜しい。実に惜しい。あと一年戦うのが遅ければ負けていたのは僕の方だった。君の狙いは悪くなかったよ。ただ、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()。…()()()()()()()()()()()()()()……それが今の君の弱点だ」

 

 

「くっ!?」

 

 

「さらばだ、御神の若い女剣士」

 

 

(ごめん恭ちゃん、お母さん、ヒエン君。私、やられちゃう。フィアッセのこと……頼んだよ)

 

 

そして美由希が死を覚悟し目を閉じた瞬間、大剣が振り降ろされた。

 

 

 

 

 

 

ガキイィィィィンン!!!!!!

 

 

 

 

 

 

だがその一撃が美由希に届くことはなかった。

 

なぜなら……

 

 

「美由希……良く頑張った」

 

 

彼女の母がその一撃を受け止めていたのだから。

 

 

「あとは私に任せろ」

 

 

美沙斗はグリフを弾き飛ばす。

 

 

「御神の剣士が……もう一人?」

 

 

グリフは少しだけ困惑する。

 

だが美由希はそれどころではなかった。

 

 

「お、お母さん!?」

 

 

「途中から見ていたが、格上相手によくあそこまで粘ったものだ」

 

 

「あ、ありがとう……って見てたんなら助けてよ!?」

 

 

「格上の剣士相手に戦闘経験を積めるなど中々にない経験だ。勝敗はともかく、良い経験になっただろう?」

 

 

「私が言いたいのはそういうことじゃなくて……ああもう!そういえばお母さんも恭ちゃんと同じ修行馬鹿だった!!」

 

 

美由希は頭を抱える。

 

美沙斗はそんな娘の様子を見て首を傾げる。

 

御神の剣士には規格外な人間が多いのである。

 

 

「あははははは!僕はついている!まさかもう一人、御神の剣士に会えるとは!!」

 

 

「貴様が切断魔(スライサー)か。娘がお世話になったみたいだな」

 

 

「そんなことはどうでもいい!君も僕と戦え!!」

 

 

「ふん。戦闘狂が」

 

 

そして美沙斗は小太刀を構える。

 

 

「美由希よく見ておきなさい。今から見せる技は恭也の扱う不破流とは違う御神本家の正当奥義だ」

 

 

「正当奥義……?」

 

 

そして二人は動き出す。

 

グリフが勢いよく駆け出し、美沙斗は居合い術で迎え撃つ。

 

 

「僕と戦ええぇぇぇぇ!!」

 

 

「……御神流正統奥義・鳴神(なるかみ)

 

 

だが決着は一瞬でついた。

 

二人が交差した束の間、グリフが倒れたのだ。

 

それを側で見ていた美由希は戦慄する。

 

 

(ま、全く見えなかった!?)

 

 

美沙斗は小太刀を鞘に収めると鋼糸でグリフを縛っていく。

 

 

(今のは神速を使ってもかわせない。いや、使う前に叩き潰される)

 

 

「正当奥義・鳴神は相手の動きを全て見切り、必ず命中させる必殺必中奥義だ。防御と回避をさせる暇も与えず、御神の剣士が出せる最大速度から放たれる見えない一閃。それがこの技の正体だ」

 

 

「鳴神……凄い技だね」

 

 

「だがこの技は身体にかかる負担が凄まじくてな。私でも一日に四回しか使えない」

 

 

「それだけ使えれば十分だと思うけど……」

 

 

美由希は苦笑いで言う。

 

そして座り込む。

 

 

(恭ちゃん、ヒエン君……大丈夫だよね?)

 

 

美由希は二人の身を案じるのだった。

 

 

 

────────

──────

────

 

 

 

恭也は車の上に着地する。

 

そして再度神速を使用し、拳銃を撃つ男達の懐へと潜り込む。

 

彼らと交差する瞬間、鋼糸を巧みに操り拳銃を奪うと同時に小太刀で斬りつける。

 

鮮血が舞う。

 

 

「へあ!」

 

 

そして彼はそのまま振り向くと同時に飛針を投げ付ける。

 

五つの針が構成員達の武器を持つ手に直撃、痛みで彼らは拳銃を落とす。

 

 

「はぁああ!」

 

 

恭也はその隙を見逃さず、小太刀で一閃。

 

数秒で構成員達を無力化していく。

 

 

『何をしている!?相手は一人だ!そのまま撃ち殺せ!!』

 

 

まだ三分も経たない内に構成員の半分を蹴散らされた(ロン)の幹部は焦っていた。

 

一人、また一人と次々と構成員達が恭也の手によって仕留められていく。

 

幹部にとって恭也の存在はもはや人間という枠組みにすら入ってはいなかった。

 

 

『この……化け物めええぇぇぇ!!!!』

 

 

ヤケになった幹部が拳銃を乱発する。

 

しかしそんな暴走気味で放たれたものが恭也に当たるはずもない。

 

 

「はぁああ!」

 

 

恭也は気で身体を強化すると壁を蹴り素早く跳躍することで銃弾をかわす。

 

そのまま天上に足をつけ、男の頭上を取る。

 

 

「おおおおお!!」

 

 

そして真上から峰打ちを放ち、幹部を気絶させた。

 

 

「二十人……これで全部か」

 

 

戦闘時間五分もかからず、(ロン)の構成員は全滅した。

 

そして恭也自身、この戦闘で己の修行の成果を実感していた。

 

 

(いつもより身体が軽い。最近調子がいいとは思っていたが、ようやく身体が気の運用に慣れてきた……といったところか)

 

 

恭也はここ一ヶ月の気の基礎修行によって劇的に成長していた。

 

 

「……だがまあ当面の目標は、まずは本気のヒエン(あいつ)から一本取ることだな」

 

 

そして最近の彼は気の修行の一環として、少年と数日に一度模擬戦を行っている。

 

だが日々死ぬ気モードと魔力強化で身体強化に慣れている少年とは違い、ここ一ヶ月で気の扱い方を覚えたばかりの恭也では少年に勝つことは無謀であった。

 

ここ最近は兄妹揃って一勝もできずに敗戦続きである。

 

まあそれは勝ち続ける少年が高町兄妹にドヤ顔を披露し続けるため、少年の悔しがる顔を見たいという高町兄妹の秘めたる思いがあるからなのだが。

 

 

 

ピリリリッッ……

 

 

 

そのとき恭也の携帯が鳴る。

 

彼は携帯を取り、耳に当てる。

 

 

「もしもし、美沙斗さん。ええ、はい。こちらは片付きました。そちらの状況は?美由希は無事ですか、良かった。それでフィアッセの方は?」

 

 

電話の相手は美沙斗であった。

 

 

「ヒエンが首謀者を捕まえたんですか?じゃあこれでもうフィアッセが狙われることはないんですね?」

 

 

電話の内容は今回の黒幕と思われる男を少年が確保。

 

SPが何人か負傷したものの、フィアッセに特にケガはないとのこと。

 

電話の向こうでは美沙斗達と少年は既に合流しているらしい。

 

 

「分かりました。俺も今から合流します」

 

 

そして恭也は携帯をしまう。

 

 

「……まさか首謀者を捕まえるとは。期待していたがここまでとはな」

 

 

(それにここ最近のあいつは迷いがなくなったのか、動きにキレが戻ってきている。いや、むしろ今まで以上に……)

 

 

恭也自身気付いていなかったが、このときの彼の口角はつり上がっていた。

 

 

「それでこそ挑みがいがあるというものだ」

 

 

そして恭也は歩き出す。

 

いつの間にか少年は恭也にとって完全に乗り越えるべき壁として認められてしまった。

 

余談ではあるが、このとき少年は悪寒を感じて思わず身体を震わせていた。

 

少年の苦難の道はまだまだ続く。

 

 

 

第三者side end

 

◆◆◆

 

ヒエンside

 

 

 

結果的に言えばコンサートは大成功であった。

 

あんな騒動があった後だというのにさすがは世界の歌姫か。フィアッセさんはコンサートをやり切った。

 

なんというか、凄まじくメンタルが強い人である。

 

あ、そうそう。

 

フィアッセさんの命を狙っていた輩と思われる連中は全員警察に逮捕された。

 

勿論、グリフとファンの奴もだ。

 

当然奴らのバックにいた(ロン)の連中も今回の件で痛い損失を被った。

 

奴らがフィアッセさんのことを狙っていたのは、身代金目的だったようだ。

 

彼女を誘拐することでお金を揺すろうとしたのだ。

 

フィアッセさんの両親は富豪なため、お金も潤沢にある。

 

そこを狙われてしまったのだ。

 

しかし俺達によってそれは阻止された。

 

このまま上手く行けば、(ロン)の奴らが日本を撤退するのは時間の問題らしい。

 

ざまあ。

 

それはそうと、あの後コンサート成功のお祝いを兼ねて翠屋でささやかなパーティーが開かれた。

 

だが美味しい食事が振るわれる中、事件は起きた。

 

なんとお酒で酔っ払った美沙斗さんとフィアッセさんが、今回の件をうっかりと話してしまったのだ。

 

それはもちろん俺が秘密にしていた(ロン)の支部襲撃や、フィアッセさん護衛の件の裏事情その他もろもろも。

 

当然秘密にしていた俺、恭也君、美由希さんはその場で正座させられ怒られることに。

 

そしてそれらをうっかり漏らした件の美沙斗さんとフィアッセさんはというと……

 

 

「「zzz」」

 

 

気持ち良さそうに熟睡中だった。

 

二人ともお酒は極端に弱いらしい。

 

おい。

それでいいのか。

香港国際警防隊隊長に世界の歌姫。

 

そして一番困ったのが……

 

 

 

『フィアッセさんは……いや、フィアッセは俺の女だ』

 

 

 

これである。

 

酒に酔ったフィアッセさんが顔を赤くさせ身体を妙にクネクネさせながら嬉々として語ったせいで俺の黒歴史の1ページが又しても増えることになってしまった。

 

そしてこのとき、ハイライトの消えた目で見つめてくるなのは、フェイト、すずかが無性に怖かった。

 

ハイライトちゃんと仕事しよう。

 

あとは過去に(ロン)と関わりのあるこの人達も黙っていなかった。

 

銀髪ロリッ子姉妹のリスティさんとフィリスさんである。

 

この二人は(ロン)によって生み出された生体兵器の超能力者である。

 

当然言われた。

 

なぜ「私達に言わなかったんだ!?」と。

 

だから正直に答えた。

 

 

「忘れてました。テヘッ」

 

 

と場を和まそうと茶目っ気たっぷりで。

 

だがこの選択が間違っていたようで直後に二人から般若が垣間見えた。

 

ちょっと後悔した。

 

まあそんなこんなで一日が過ぎていったのである。

 

余談ではあるが、ファンの奴が言っていたティオレさんの遺産とはビデオテープであった。

 

そこには幼き日のフィアッセさんが映っており、被災地で歌っていたようだ。

 

そこに映っている皆は全員が笑顔で幸せそうであった。

 

それは彼女が歌の世界に入るきっかけになった映像であった。

 

 

 

 

 

 

 

 

閑話休題

 

 

 

 

 

 

「だいたいヒエン君貴方はですね!魔導師であるとはいえ、自ら危険なことに関わるのはどうなんですか!?」

 

 

「フィリス先生、診断しながら説教とか器用なことしますね」

 

 

そして俺は海鳴総合病院にてフィリス先生から検診を受けていた。

 

 

「「「あはははは……」」」

 

 

「くぅ~」

 

「きゅ~」

 

「ガァウ」

 

 

俺の後ろでは付き添いに来ているなのは、フェイト、はやての三人がいた。

 

そしてそれぞれ久遠、ナハト、相棒を抱いていた。

 

ちなみにだが、はやてはもう普通に歩いている。

 

すっかり健康児である。

 

その後ろではリニスとリインフォースが話していた。

 

話の内容はスーパーの特売に関してである。

 

主婦かお前らは。

 

 

「特に身体に異常は見られません。リンカーコアも正常です」

 

 

「ありがとうございます」

 

 

すると後ろにいたなのはが話しかけてくる。

 

 

「ヒエン君、この後どうするの?午後のトレーニングまでまだ時間あるけど」

 

 

「え?もちろん家に帰ってゲームですがなにか?」

 

 

「もう!そういうことじゃなくて!!」

 

 

「はぁ~ヒエン兄ちゃんは相変わらずやなあ」

 

 

はやてがため息をつきながら何やら言ってくる。

 

え?なんで??

 

 

「あのな、なのはちゃんはヒエン兄ちゃんと遊びに「はやてちゃん!!」……ごめんごめん。なぁヒエン兄ちゃん、私らとどこか出掛けへん?」

 

 

「うん?別にいいけど」

 

 

「じゃあ駅前行かへん?あそこに新しくオープンした喫茶店があるらしいねん」

 

 

「む!ライバル店!!」

 

 

「敵情視察だね!!」

 

 

「え?いや、そんなんじゃないんやけど……」

 

 

何やらなのはとフェイトの二人がやる気を出している。

 

そして俺ははやてに話そうとしたとき……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『ヒエン!貴方の力を貸してください!!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

突如、頭に大音量で声が響いた。

 

 

「のぉおおおお!?」

 

 

俺は思わずブリッジするかの如くのけ反り後頭部を強打する。

 

 

 

ゴンッッッッ!!!!

 

 

 

「お、おおぉぉぉぉ……」

 

 

俺はあまりの痛さに地面をのたうち回る。

 

 

「「「「「「ヒ、ヒエン(君)(兄ちゃん)!

?」」」」」」

 

 

突然のことに驚く一同。

 

そして発光する俺。

 

え?発光??

 

 

「こ、このシチュエーション前にもあったような……」

 

 

「「「「「「っっ!!」」」」」」

 

 

すると俺の異常に気付いた皆が俺に触れる。

 

そして俺達はこの世界から消失してしまった。

 




次回からコラボ:戦姫絶唱シンフォギアAXZ(アクシズ)編です。

面子はとりあえず主人公、なのは、フェイト、はやて、リインフォース、リニス、フィリス、久遠となりました。

まあ八人という大所帯ですが大丈夫でしょ。

勢いとノリでナントカスル。

お楽しみに。

では、また(・∀・)ノ
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