外伝続き書けたで候。
では、どうぞ∠( ゚д゚)/
第三者side
『それじゃ、頼んだぞ!!』
『ちょっと!?お兄様!?』
少年は冷火への念話を無理矢理終わらせると、リフレインと戦い始めた。
「あぁー!もう!!」
冷火は少年へ言いたい事が多々あったものの、少年の指示通りに動くため、プリキュア達の元へと向かう。
「これは……」
エールが戸惑っていたが、その手には小さなピンク色のライトがあった。
「ミラクルライト!」
「たくさん出て来た!」
フォンテーヌとスパークルの手の中にも、ミラクルライトもとい、ミラクルンライトがあった。
ミラクルンライトは、グレース以外のプリキュアやマスコット組達にも渡っていた。
それを見た冷火が皆に言った。
「そのライトの光を、グレースさんに当てるのです!」
皆が冷火の方を見る。
「えっと、冷火ちゃん……どういう事?」
グレースが質問すると、冷火は答えた。
「そのミラクルライト、いえミラクルンライトにはお兄様曰く、プリキュアを強化する力があるそうです。そして、その力と最も相性が良いのは恐らくグレースさんだとも」
「わ、私……?」
皆が少年の方へ視線を向けると、少年はリフレインへ向けて無数のピンク色の魔力弾を放っていた。
「お兄様は意味のない事は言いません。そしてこの状況を唯一打破出来るとしたら、グレースさんしかいない……そう判断したのでしょう。ミラクルン、貴女もそう考えているのではないですか?」
ミラクルンは頷く。
「私は桜に宿る精霊ミラ。だから、花の力を宿すグレースと一番相性が良いミラ。それにこのライトの光には、明日に時間を進める力があるミラ」
「要は今のリフレインを止めるには、ミラクルンの力も必要だと……そういう事ですね?」
ミラクルンは再度頷く。
「そうと決まれば話は早いラビ!皆!ミラクルンライトの光で、グレースを照らすラビ!!」
「ワン!」
「フワ~!」
「プルンス!」
「はぎゅ~!」
「やったるで!」
ラビリンの指示でマスコット組がグレースに向けて、ミラクルンライトの光を照らす。
冷火達もグレースへとライトの光を照らし始めた。
グレースは目を閉じて、その光を受け入れていた。
その時、リフレインの声が響く。
「ククククク……ヨウヤクツカマエマシタヨ」
見れば、少年は黒いバインドのような物で四肢を拘束されていた。
そのままリフレインは赤黒いエネルギーを収束させると……
「デハ、シニナサイ!!!!!!」
それを少年へと放った。
「「「「「ヒエン(さん)!?」」」」」
一部始終を見ていたプリキュア達の顔が青白くなる。
「なんというエネルギーの密度……あんな物を喰らえばただでは済みません」
リフレインのエネルギーを検知していたアムールの顔も険しくなっていた。
「皆さん、他所見をしない!お兄様なら大丈夫です!!今は一刻も早く、グレースさんを強化するんです……!!!」
冷火はそんなプリキュア達を鼓舞する。
だが、彼女も内心では滅茶苦茶心配していた。
(お兄様なら大丈夫だとは思いますが……)
彼女は左手を握る拳に無意識に力を入れる。
その事に数名の者達は気が付いていた。
そして、少年への攻撃が終了すると……
「ナゼ……ナゼ……イキテイルンダ!?」
リフレインはなぜか狼狽していた。
どうやら少年は無事らしく、ボロボロになってはいたものの、そのままリフレインと相対していた。
「サキノイチゲキハ、トテモニンゲンガタエラレルシュツリョクノモノデハナイ!ナノニ……ナノニ……ナゼ、マダキサマハイキテイルンダ!?」
リフレインの声が響く。
そして、少年の声も校庭に静かに響いた。
「……どうしたリフレイン?俺を殺すんじゃなかったのか??」
「ダマレ!!!!」
リフレインは赤黒いエネルギーの弾幕を少年にぶつける。
少年はなぜか黙ってそれを受け入れていた。
「どうして抵抗しないの!?」
フォンテーヌが慌てる。
「……時間稼ぎのためです。リフレインの攻撃をわざと食らう事で、他に意識を向けさせないようにしているんです。その証拠に、奴は私達に少しも意識を割いていないでしょう?」
冷火が説明する。
その間にもリフレインの攻撃は続く。
「シネシネシネシネシネシネェ!!!!!!」
「……お前の力はその程度かよ?」
「ダマレトイッテイル!!!!!!」
あげくの果てには、巨大な両腕で少年を殴り始めた。
「うぅ……このままじゃ、ヒエンさん死んじゃうよぉ……」
スパークルが泣きそうな声を出す。
「もう少し……もう少しだけ……耐えて下さい!あともう少しで、グレースさんの強化が終わりますから!!」
轟音が響く。
リフレインは何度も少年を殴る。
「がっ……ごっ……がはっ……どう……したよ?そんなもの……なのか??お前の……力は???」
少年はそれにひたすら耐えて、リフレインを睨みつける。
中には見るのも辛いのか、目を瞑って光を照らし続ける者達もいた。
「なんで……なんで……あそこまで身体張るんや?この状況で逃げたって、誰も攻めへんのに……」
ハリーが震える声で呟く。
「……それがお兄様なんですよ。一度こうと決めたら、意地でもやり遂げる。梃子でも動かず、根性でやり通そうとする。ただの度を越した……お人好しの死ぬ気馬鹿なんです」
「お人好しの死ぬ気馬鹿……です?」
マシェリが首を傾げる。
「はい。お兄様はきっと、リフレインの憎しみを全て受け止める気なんです。だからあんなに挑発染みた行動まで取った」
冷火の言葉にアンジュが気付く。
「そっか……今思えばヒエンさん、全部自分に注目するように動いてた」
「ええ。それにリフレインのストレス発散も兼ねているんでしょう。恐らく、かなりの数のループを繰り返している筈です。いくら精霊と言えど、心身の負担も相当な物でしょう。だから、ストレスを発散させて、スッキリさせようとしているんだと思います……」
「……やり方が過激過ぎない?」
「そうですね。見てるこちらの事を微塵も考えていないので、後でお説教コースは確定です」
冷火がハイライトの消えた目で呟く。
「……ご愁傷様だね」
エトワールは心の中で合掌する。
すると、再び少年の声が聞こえた。
「見てくれが変わっただけじゃ……俺には勝てないぞ……もっと……本気を出せ……もっと……殺す気でこい」
そして、少年は大声で怒鳴った。
「そんな事じゃ……この俺を殺す事なんて出来やしねえぞ!!!リフレイイィィィィィィィィィン!!!!!!」
少年の大声を聞いた何名かのプリキュアの表情が死んだ。
「どうしよう、セレーネ。今とんでもない発言が聞こえたんだけど……」
「ええ。その気がないと分かっていても、とても看過できない発言が飛び出しましたね……」
「そうね。これはさすがにやり過ぎニャン」
ソレイユ、セレーネ、コスモは決心する。
お説教には必ず参加する……と。
少年と彼女達は今回が初対面だが、今回の少年の行動には思う所が色々あるようだ。
すると、桜色の優しい光が爆ぜる。
それを見た冷火は呟いた。
「あとはお願いします、グレースさん」
ミラクルンライトの光でパワーアップしたグレースが空高く飛び上がり、少年の隣へと並び立った。
第三者side end
◆◆◆
ヒエンside
優しい桜色の光が視界の端で爆ぜると、空高く飛び上がるグレース、いやスーパーグレースの姿があった。
「上手くいったか……」
スーパーグレースのコスチュームは、ミラクルンの姿を元にした桜をモチーフにしているのか、所々ミラクルンと似ている箇所がある。
彼女の持つヒーリングステッキには、ミラクルンライトの光で新たに生まれたであろうエレメントボトルがセットされている。
こんな時になんだけど、ミラクルンの力が元になっているから、それぞれの名前はミラクルンフォームと、ミラクルンボトルでいいかもしれない。
ちなみにエレメントボトルとは、ヒープリのボトル型のアイテムであり、主に変身する時や必殺技を放つ際に使用されている。
「ヒエンさん!」
「無事パワーアップ出来たみたいだな」
「はい。それであの……「悪いが話は後になりそうだ」……え?」
見ればリフレインが俺達を睨んでいた。
「ナンナンダ!ソノスガタハアァァ!!」
そして、攻撃を仕掛けようとしてきた。
「やるぞ、グレース」
「はい!」
俺達は互いの顔を見て頷き、左右に別れてリフレインに向かって飛ぶ。
「行っけー!ヒエンさん!!グレース!!」
エールの声援を皮切りに、俺達は攻撃を仕掛ける。
それを見たリフレインが左手に巨大な黒雷のエネルギーを作り出し、グレースに叩き付けようとする。
「またアレだ!」
スパークルが焦って声を上げるが、ミラクルンフォームのグレースなら大丈夫であろう。
スーパーグレースのスペックは、恐らく俺のオーバードライブともタメを張れるレベルである。
そんな今の彼女ならば、全く問題はない。
「はあっ!」
リフレインの収束させたエネルギーに、グレースはパンチを叩き付けて爆発させた。
「コザカシイッ!!」
「はああっ!!」
リフレインが再度パンチを放ってくると、グレースはドロップキックを叩き付けて弾き返す。
「すっげ……」
真正面から押し返したよ……。
大丈夫と分かってはいても、驚くものは驚く。
あと、のどかはプリキュアになると、随分アグレッシブになるらしい。
「っと、俺も援護しないと。アクセルシューター・バニシングシフト!」
俺も数十個のアクセルシューターを展開させると、グレースに攻撃をしようとするリフレインの邪魔をしつつ、奴に満遍なくダメージを与えていく。
「コノ……ジャマヲスルナアァァァ!!」
そしてリフレインが俺に意識を向けたその瞬間、グレースもヒーリング・フラワーを随所に放ちながら、リフレインにダメージを与えていく。
俺達は互いにカバーしあいながら、確実に奴にダメージを蓄積させていく。
「フレー!フレー!ヒエンさん!!フレー!フレー!グレース!!」
「「「「「フレー!フレー!ヒエン(さん)!!フレー!フレー!グレース!!」」」」」
皆の声援を受けながら、俺とグレースはリフレインの顔面にエネルギー弾を命中させる。
距離を取った俺とグレースをリフレインは両手を伸ばして捕まえようとするが、俺達は避けていく。
すると、狙いをグレース一人に絞ったのか、彼女だけを狙い出した。
「皆!グレースに力を貸して!!」
それを見たエール達のミラクルンライトの力によって、捕まりそうになるグレースを助ける。
「皆!ありがとう!!」
皆のミラクルンライトの力を浴びたグレースはさらに強化される。
「はああああっ!!!!」
リフレインが三度パンチを繰り出すが、グレースはエネルギーを込めたパンチを叩き付けると、リフレインの体勢を真正面から崩した。
「えげつねー……」
今度は完全に打ち勝ったよ……。
今思えば、ライトの光浴びるだけでパワーアップするってチートアイテムにも程があるよなあ。
「まあ、隙だらけだからやりやすいけど……レストリクトロック・フルバインド」
俺は捕縛魔法レストリクトロックを使用し、リフレインの身体を巨大な桜色の輪っかで拘束していく。
「グレース!今ラビ!!」
「うん!」
その様子を見たステッキ状態のラビリンが、グレースに合図を送る。
「明日へ行こう!ミラクルンも!!貴方も!!!」
そしてグレースはヒーリングステッキを上へと掲げる。
「エレメントチャージ!」
ステッキの先端にあるヒーリングゲージにエネルギーをチャージする
『キュン!キュン!キュン!』
「ヒーリングゲージ!上昇!」
太陽の光を背にステッキを掲げる彼女の姿は、まるで女神を連想させた。
「プリキュア!ヒーリング・タイムリベレイション!!」
ヒーリングステッキから、今までとは段違いの威力の強力な光線が放たれる。
「グオオオオォォォォッ!!!!!!」
ヒーリング・タイムリベレイションが直撃すると、リフレインを覆っていた黒い身体部分だけが消滅していく。
まるで彼についていた穢れや不浄を祓うように。
ヒーリング・タイムリベレイション。
Healing Timeの意味は、癒しの時間、心や体を休める時間。
Liberationの意味は解放、解き放つこと。
これらを組み合わせると、【心や体を癒やし、溜まったストレスや重荷から解放される時間】といった意味になる。
つまり癒しのパワーによって、リフレインを心身の束縛から解放するという願いや想いもこの技には込められているのだ。
そして技を放ち終わると、グレースは一言呟いた。
「お大事に」
時計を見ると、時間は12:01を指していた。
俺達は無事タイムリープを乗り越える事が出来たのであった。
だが俺は見逃さなかった。
◆◆◆
元の姿に戻ったリフレインの表情は、まるで憑き物が取れたかのようにスッキリしていた。
ミラクルンはリフレインの元へと向かい、彼が目を覚ますまで様子を見るらしい。
そして、俺とグレースはというと、一旦地面へとゆっくり降下していた。
俺は着地と同時に疑似・死ぬ気の到達点を解除すると思わず寝転がる
「はぁ〜……終わった〜」
あー。
もう嫌だー。
精霊とか二度と戦いたくねー。
というか寝転がったら一気に疲労ががが……。
「ヒエンさん!大丈夫ですか!?」
上からグレースが心配そうに覗き込んでくる。
下から見ると、髪のボリュームスゲェー。
「まあ、なんとか。ちょっと疲れた……」
「お疲れ様です……じゃなかった!早く傷の手当てしないと!?頭から血が出てるんですよ!?」
「ああ、大丈夫。この程度の怪我、いつもの事だし。それに自動治癒を全開にすれば……」
俺はバリアジャケットに付随している自動治癒を全開にする。
そして安定の能力で魔力運用をミリ単位まで完璧にすることで、怪我の治療を瞬時に終えた。
夕の炎状態であれば、ユーノやクロノ、シャマルにも魔力コントロールは引けを取らないどころが、超える事も可能である。
「ほら、この通り」
傷も塞がり、元通りとなる。
だが、グレースは納得しなかった。
「そういう事じゃありません!私が言いたいのは……そういう事じゃないんです……」
すると、何を思ったのかグレースは俺の頭を持ち上げ、なぜか膝枕をしてきた。
え?
どういう状況??
「……どうしてあんな無茶したんですか?」
見れば彼女の目から涙が流れていた。
あー……これはやってしまったかもしれない。
彼女が言っているのは、リフレインの目を引くために俺が敢えて攻撃を受けていた時の事を言っているのだろう。
心優しい彼女からすれば、俺の行動自体が信じられないのかもしれない。
しかし、どう言ったものか……。
これは下手に誤魔化すより、正直に言った方がいいか。
「……ああするのが効率的だったからだ。いや、ああするしかなかったと言うべきか。とにかく、あの時はリフレイン相手に時間稼ぎするのに必死だったんだ」
「でもだからって、ヒエンさんがあんなに傷付くことはなかった筈です」
「まあ、それを言われるとそうなんだが……なんていうか、傷ついて欲しくなかったんだよ、皆に……」
「皆が傷付くくらいなら、俺一人が傷付けばいい……そう考えたんですよね?」
その時、俺達に近付いて来ていた冷火が発言する。
「……まあ、そうなる」
俺の発言に後から来ていたプリキュア達も何か言いたげな顔をしていた。
「私達……そんな事頼んでません」
「もっと……自分を大切にしてください」
「ヒエンさん一人だけが傷付いて、私達だけ助かっても全然嬉しくないよ」
すると、グレース、フォンテーヌ、スパークルの三人が淡々と言ってきた。
「……色々すまなかった」
三人の圧迫するようなこの感じ……。
久し振りの感覚な気がする。
なのはやつぼみにされるようなOHANASHIである。
気付けば、謝罪の言葉を口にしていた。
それからグレースに膝枕されながら、他のプリキュア達からもありがたいお言葉を頂いた。
特にソレイユ、セレーネ、コスモの三人からの理詰めのような正論には心が折れそうになった。
そして、最後の冷火のOHANASHIと言う名の説教が終わると、変身と死ぬ気モードを解除すると案の定、疲労で一時的に動けなくなった。
引き続き、のどかに膝枕される事、数十分……ようやく動けるようになった。
周りでは祝勝会も兼ねてなのか、季節外れのお花見が行われていた。
シートが敷かれ、色取り取りの弁当が置かれていた。
当然、俺も参加する流れとなった。
しかし、周りを見渡してみれば、美少女美少女美少女である。
この男女比の差よ……。
無性に居づらいんですけど?
ハーレム?
寝言は寝て言え。
気まずい以外の何物でもないわ。
反対に女子達は
元から知り合っていたというのもあるのだろう。
新しく加わったヒープリの面々も仲良くやれているようだ。
だからなのか、俺がヒープリの三人を名前呼びしているのを知られると、他の面々からも名前呼びするように言われた。
いや本当、プリキュアになる子達ってどうしてこうコミュニケーション能力が高いのか。
「どうぞ、ヒエンさん」
「……ありがとう」
隣に座っているさあやが温かいお茶をくれる。
オマケに気遣いも出来るという。
こりゃモテるわ。
「のどかー?」
すると、どこからかのどかを呼ぶ声が。
見ればのどかに似た女性が、校舎からこちらへとやって来た。
恐らく、のどかのお母さんであろう。
「どうしてここにいるの?」
「えへへ、お花見」
のどかが嬉しそうに答えると、のどかの母は視線をこちらに向けた。
「お友達?」
「うん」
とりあえず会釈しておく。
のどかはそのまま母と話をするらしく、少しばかり離れた場所へと移動していた。
俺達は引き続き、お花見をする事に。
「キャンプはどうするルン?」
「せっかくみんな仲良くなったしさ、もう少しお花見してこうよ!」
ララの質問に、ひかるはジュースが入ったコップを上に上げて、元気よく答える。
「お花見、温泉と同じ位素敵です」
両手にウインナーと卵焼きを爪楊枝で刺したルールーが、幸せそうに答える。
「ルールーは花より団子だね」
苦笑しながらそう言うほまれに俺達は苦笑いしながら頷いた。
あと今更なんだけど、ルールーの声音がなのはと似ているように感じるのは気の所為だろうか?
そうしてしばらく談笑していると、相棒が肩の上にやって来た。
見れば額の赤い宝石から、アンジェ先輩が投影されていた。
『ヒエン、今大丈夫ですか?』
「はい、別に大丈夫ですけど……」
『今回の件について、色々と報告がありまして。まずはお疲れ様でした。貴方達のおかげですこやか市を覆っていたエネルギーは徐々に弱まりつつあります。このまま何事もなければ、異空間化も直に解除されるでしょう』
「おお」
『ただ異空間化が解除されると、外との時間差を合わせようとする世界の修正力のような物が発生するので、早目にその地から離れる事をオススメします』
「え?それって大丈夫なんです??」
『元々すこやか市に住んでる者達であれば、その影響は最小限で済みます。ですが、それ以外の者達であれば、どのような事が起こるかは正直、想像がつきません』
「花見が終わったら、すぐに離れます」
『そうして下さい。私達の見立てでは、計算上約九十分後に起こります。遅くとも一時間以内にはお花見を終えた方が良いでしょう』
「分かりました」
『あともう一つだけ、お伝えしておかなければならない事があります』
「……なんでしょう?」
『どうやらプリキュアハンター・ファントムなる者が本格的に動き始めた様です』
「プリキュアハンター……ファントム?」
それって確かハピネスチャージプリキュアのストーリーで登場した敵じゃなかったか?
『ええ。世界中を股にかけてプリキュアを狩る闇の戦士です。その強さはあのダークプリキュア以上かもしれません』
「マジっすか」
ダークプリキュア以上って、それやばくない?
『はい。そしてファントムの最優先ターゲットは、恐らく貴方です……ヒエン』
「……はい?」
え?
ちょっと聞き間違いかな??
狙われてるの、俺って聞こえたんだけど???
『聞き間違いではありません。ファントムの最優先ターゲットは貴方です』
「……なぜに?」
『一年前のクリスマスの決戦……あの日、貴方はプリキュアを率いて砂漠の使徒との戦いに臨みましたね?あの戦いに注目していたのは、何も世界中の人間だけではありません。あらゆる闇の勢力達も注目していたのです。中でも特に注目されていたのが、プリキュアを率いて、自らも前線で戦っていた魔導師ヒエン……貴方です』
帰っちゃ駄目ですかね?
『貴方は圧倒的な強さを持つデューンと互角に渡り合うだけでなく、策を用いることであのデューンをも出し抜きました。当然、闇の勢力の間では、貴方の存在は相当に危険視されています。プリキュアでないにも関わらず、浄化する術を持ち、多種多様な魔法で相手を翻弄、戦闘能力も高く、その上、頭も切れる。その関係もあって、魔導師ヒエンはプリキュア達の影のリーダー、総大将という位置付けになっているようです……本人の預かり知らぬ所で』
いや、勘違いも甚だしいんですか?
「……話が飛躍し過ぎていませんか?」
『敵もそれだけ焦っているという事でしょう。今までプリキュアを率いて戦った者などおりませんでしたから。あのクリスマスの決戦以降、裏で暗躍する闇の勢力は増大しています。そして今最も地球侵略に力を入れている組織の名が幻影帝国。プリキュアハンター・ファントムが所属している組織です』
「あー……なるほど。つまりは、プリキュア達のリーダーと思わしき俺を逸早く仕留める事が出来れば、更なる地球侵略への足掛かりになるし、こちらの戦力も半減。加えて他の勢力への牽制にもなると……そういう事ですか?」
『ええ。ですから、用心して下さい。貴方達もですよ?』
「「「「「は、はい!」」」」」
アンジェ先輩が別の方へ視線を向けると、三組のプリキュアが反応する。
しっかりと俺達の話を聞いていたようだ。
しかし、また面倒な事になってきたな。
どうしてこう一つの問題が解決すると、別の問題が浮上してくるのか。
それにブラックホールの件もあるし、正直これ以上面倒事は増やしたくない。
あ、そうだ。
肝心な事を思い出した。
「アンジェ先輩、今地球を狙ってる闇の勢力って一体幾つあるんです?」
恐らくブラックホールは原作よりも強化されて、より強大になっている筈。
奴の正体は、プリキュアの敵対勢力である闇の勢力達の邪悪なエネルギーが宇宙で融合して誕生した存在である。
つまり、今プリキュアと敵対しているいずれかの闇の勢力が倒されてしまったら、必然的に奴の強化へと繋がる可能性があるのだ。
まずい。
それは非常にまずい。
これだけプリキュアが新しく誕生しているのだ。
ストーリー上、そろそろ最終クールに入っているプリキュアがいてもおかしくない。
だが諦めるには、まだ早い。
五つや六つ程度の闇の勢力なら、まだ挽回出来るはず!!
『そうですね。現状確認出来るだけでも、十三はあるでしょうか』
「そんなにあるんかい」
俺は思わずツッコむ。
敵の勢力が想定の二倍以上だった件について。
「水面下で動く闇の勢力多すぎません?っていうか、なんでどいつもこいつも地球狙うの?暇なの?馬鹿なの?それでその大体が暗黒の世界や闇の世界にするとかでしょ?いや、意味分かんねぇよ。世界真っ暗にした所でなんの意味があるんだよ。もっと堅実的な目的立てろやコラァ!!」
「ヒエンさん!落ち着いて!?」
「落ち着いて下さい!?」
十三という意外に多すぎる闇の勢力と、そんな奴らの目的が大体一緒なことに加えて、内心思っていたツッコミどころが満載過ぎる事に遂にキレてしまった。
横にいたはなとさあやが、俺の腕を取って必死に止めにかかる。
「す、すまん……落ち着いた」
しかし、二人は未だに心配なのか、俺の腕を取ったまま離そうとしないので、仕方がなくそのまま話を続ける。
「えーっと、そんなに闇の勢力あるなら、生まれたプリキュアも十三あるってことですよね?今のところ」
『そうですね。一緒に戦ってくれたハグプリ、スタプリ、ヒープリの皆さんもその内の一つですし』
「そうなんだ」
俺はひとまず思考する。
事態は俺が思っているよりも、大分不味いかもしれない。
以前、つぼみ達から聞いた話に拠れば、オールスターズの映画であるNewStageシリーズは全て終了している。
ということは、この時点で少なくとも、ハピネスチャージプリキュアまでのプリキュアは生まれている事になる。
そこから更に生まれているとなると、このまま悠長に事を構えていてはいずれ手遅れになる気がする。
「……アンジェ先輩、提案があるんですけど」
『なぜでしょうか。無性に聞きたくないんですが……』
「なんで提案があるって言っただけでそんな身構えるんですか」
『普段の貴方を見ていれば、警戒するのも当然と言えます』
イラッとしたが話を進めてしまおう。
「……提案って言うのは他でもありません。プリキュアを組織化しましょう」
「「「「『……は?』」」」」
俺の言葉に聞いていた全員が声を上げる。
「いや、だからプリキュアを組織化しましょうって言ってるんですよ」
「「「「『ええぇぇっっ!!??』」」」」
「うるさっ!?」
俺の提案に全員が驚く。
質問が来る前にさっさと説明してしまおう。
「考えてもみてください。水面下で動いてるとはいえ、十三もの闇の勢力がこの地球を狙ってるんですよ?今は個々でそれぞれのプリキュアが対応しているおかげで均衡を保っていますが、正直それもいつまで続くか分かりません」
俺は小さな空中モニターを展開させる。
「だからこそ、こっちも組織化して対抗するんですよ」
皆に分かりやすく図を使って説明する。
「何もガチガチな組織を作るって訳じゃない。この組織の真の目的は情報の共有化です。今、この地球のどこで何が起こっているかの情報をすぐに共有する事が出来れば、それだけ対処もしやすくなる。つまり、プリキュア同士、横の繋がりを作っていくってことです」
図にそれぞれのプリキュアの名前を書いていく。
「それに今回の件みたいに、複数のプリキュアで事に当たることもあるかもしれない。そんな時、すぐに集まる事が出来れば、それだけ事態の沈静化も容易になる」
『……話は理解しました。ですが、言葉にするのは簡単ですが、事はそう単純ではありませんよ。今考えられるだけでも複数の問題があります』
アンジェ先輩の言葉にさあやが続く。
「まず情報を共有すると言っても、それ自体が容易ではありません。仮にする事が出来たとしても、もし電波の通じない所にいれば結局のところ意味はありませんし。だとしたら、それ専用の端末をまずは用意しないといけません」
そこにまどかも続く。
「それに私達プリキュア同士の顔合わせ自体済んでおりません。いえ、それどころか、どれだけのプリキュアがいるかどうかも把握出来ておりません」
「問題はそれだけではありません。組織化をするなら必ず拠点となる場所が必要となります。そして組織を運営するにはお金と人手が必要です。まずそれらの問題を解決しないことにはどうにもなりません」
そしてルールーも指摘する。
二組のプリキュアの頭脳担当が各問題点を指摘する。
こう一気に言われてしまうと、若干心が折れそうになるが死ぬ気化して気合を入れる。
「それらの事も大丈夫だ。ちゃんと考えてある」
俺は説明する。
「専用端末は俺の世界の通信デバイスを使う。この通信デバイスなら、たとえ宇宙にいようが地下にいようが連絡を取ることが出来るからな。それと通信デバイスは各王国の責任者又は保護者の面々に配る予定だ」
空中モニターに多種多様なデザインのデバイスを映す。
「顔合わせ自体も問題はない。準備が整ったら、事前に集まる機会を設ける。お茶会だったり、今日みたいにお花見だったりな。なんだったら、遊園地や旅行にいくイベントにしたっていい。他のプリキュアの所在に関してもアンジェ先輩に調べてもらえば大丈夫だ」
フェアリーパークで集まって遊んでいるプリキュア達と妖精達の画像を映す。
昨年起きたであろうレインボージュエルを巡る戦いの話を聞いた時に、事前にアンジェ先輩から教えてもらったのだ。
「拠点に関しても問題はない。歴代プリキュア達が試練に訪れたときに使ったとされるプリキュアパレスを本拠地にする。勿論、表状の会社となる場所もちゃんと探す必要はあるが。お金と人手に関してもこっちの方でやっておくから心配はいらない」
俺が断言すると、皆が顔を合わせて困惑していた。
『……本気なのですね?』
「冗談でこんな事は言いませんよ。正直まだ計画段階ですが、案が纏まったらまた報告します。それで話の続きですが、このプリキュア組織化計画は、水面下で行いつつ、急ピッチで進めていきます。そしてそれと同時に、俺も表舞台に出ようと思っています」
「「「「「えぇっ!?」」」」」
プリキュア達が再度大声を上げる。
『……正気ですか?今、貴方は優先的に狙われると説明したばかりでしょう??どうして矢面に立つ必要があるんです???』
「だからですよ。だからこそ、表舞台に出なきゃいけないんです」
アンジェ先輩がキレ気味に聞いてくるが、俺としても此処は引けない。
「今、闇の勢力の連中は様子見しています。ですが、その均衡状態は正直いつ崩れてもおかしくない。だけど、そこに急に俺が現れたら?世間では死んだと言われている敵が……最も警戒している敵が……実は生きていたら??」
『……嫌でも様子見せざるを得ない』
「ええ。俺としては、奴らが各々の出方を様子見しているこの状況をなるべく崩したくないんですよ」
『その間に組織化計画を進めていくため……ですね?』
「はい」
それと他のプリキュアが、各々の敵対組織の黒幕と戦わせないためというのもある。
まあ、本命のブラックホールさえ倒せれば全て解決するんだけどね……。
現段階では厳しいと言わざるを得ない。
力の差があり過ぎるのだ。
今は力を蓄える時期だ。
あとどうやっても、現時点では倒すビジョンが見えないのだ。
原作みたいにプリズムフラワーの力を解放して、プリキュア達全員を強化してスーパープリキュアにする方法もなくはないが……正直、原作で出ていたプリキュア達だけで勝てる規模の敵ではない気がする。
だって地球を優に超えるクラスの敵だよ?
俺からしたら大分ご都合主義が入っていたとしか思えないのだ。
まあ、件の黒幕さんはまだ動く気はないようなので、時間ならまだある。
だから、動けるなら今からでも動いた方がいいよなぁ。
「まあ、こっちはこっちで独自で動くので心配いりませんよ。ある程度目処が立ったら、皆にも知らせるし」
とりあえずお花見終わったら、まずは知り合いのプリキュア達の所にいって事情説明して、顔合わせしてないプリキュア達に紹介してもらいつつ諸々挨拶回りに行こうか。
圧倒的に手が足りないから四分身も使って……出来れば数日中には終わらせたい。
はぁ……やる事多すぎるよぅ。
俺は思わず空を見上げる。
「まあ、なんとかなるか」
空は晴天であった。
ヒエンside end
◆◆◆
第三者side
のどかは母のやすこと共に、少し離れた所で校舎を見ながら二人で話していた。
「良い同窓会になったわ」
「良かったね」
数分程沈黙が続くと、のどかは母に意を決して聞いた。
「ねぇお母さん。この校舎って……」
「うん。この校舎、残して貰おうって掛け合う事にしたの」
それは予想外の返答だった。
「えっ?」
「みんな無くなると寂しいって」
「ホントに!?」
「古い校舎も、美術館に改築したりとかあるらしいの」
「美術館か~。ふわぁ〜良いなぁ!!」
二人は校舎を見上げる。
「楽しい思い出を、ありがとう……」
「これからもっともっと、たっくさん良い思い出を作って行けるといいなぁ」
のどかがやすこに寄り掛かると、やすこはのどかの肩に手を乗せる。
二人は数分程、静かに校舎を眺めていた。
しばらくしてのどかは母と別れると、少年達の元へと戻ろうとする。
少年達は楽しくお花見をしているのか、ワイワイと賑やかな声が聞こえる。
のどかも皆が居る所に向かおうとするが……
「……ん?」
後方からふと視線を感じたのどかは、思わず後ろを振り向いた。
そこにはリフレインの肩に座って、イチゴメロンパンを美味しそうに食べてるミラクルンの姿があった。
「ふわぁ!」
その姿を見たのどかは安心したように笑う。
尚、皆の所へ戻ったのどかであったが、少年の話していた内容を聞いて、勢いよく少年に詰め寄るのはすぐの事である。
よっしゃあー!!
ミラクルリープ編完結!!!
ほんでもって次はオールスターズDX3の伏線回収じゃああああぁあ!!!!
でも、しばらくはVividStrikeの方進めるけどね!!!!!
では、また( `・∀・´)ノ