大空の炎の力を操る転生者   作:Gussan0

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どうもΣ(゚Д゚)

続き書けたで候。

では、どうぞ∠( ゚д゚)/


プリキュアオールスターズRe:DX3+F②

ヒエンside

 

 俺達はみなとみらいの空へと、勢いよく飛び上がった。

 

「はぁっ!」

 

 ファントムが剣を振るう。

 

 俺は身体を傾けて刃をかわすと、すかさず右拳を叩き込んだ。

 

「っ!」

 

 ファントムは左腕で受け止める。

 

 そのまま互いに弾かれ、空中で距離が開いた。

 

「やるな」

 

「それはこちらの台詞だ」

 

 ファントムが剣を構え直す。

 

「一年前、デューンと互角に渡り合ったという話……どうやら誇張ではなかったらしい」

 

「誰から聞いたか知らないけど、随分詳しいな」

 

「闇に属する者達の間で、貴様の名はそれなりに知られている」

 

「全然嬉しくないんだが」

 

「それに――」

 

 ファントムの目が細くなる。

 

「一年前よりも強くなっているな」

 

「……分かるのか?」

 

「直接刃を交えれば分かる」

 

 なるほど。

 

 やはり、こいつ。

 

 強い。

 

 単純な身体能力だけじゃない。

 

 戦いながら相手を観察している。

 

 こちらの癖や能力、行動パターン。

 

 僅かな攻防だけで、それらを分析しようとしている。

 

(伊達にプリキュアハンターなんて呼ばれてないってことか)

 

「なら――」

 

 両手の炎を強める。

 

「これはどうだ!」

 

 炎を噴射し、一瞬で加速する。

 

「っ!」

 

 ファントムの懐へ潜り込む。

 

「はぁっ!」

 

ドゴォン!!

 

 右拳。

 

 ファントムが剣で防ぐ。

 

 即座に左拳。

 

「甘い!」

 

 避けられた。

 

 なら、右手の炎を弱め、左手だけを強く噴射する。

 

「なに!?」

 

 空中で急旋回すると……

 

「もらった!」

 

ドゴォッ!!

 

「ぐっ!?」

 

 俺の蹴りがファントムの脇腹へ突き刺さる。

 

 奴の身体が吹き飛んだ。

 

「……なるほど」

 

 ファントムは空中で体勢を整える。

 

「炎の噴射量を左右で変化させ、空中での軌道を自在に変えているのか」

 

「もう見抜いたのかよ……」

 

 嫌になる。

 

 一度見ただけだぞ。

 

「貴様こそ、俺を甘く見ないことだ」

 

「最初からそのつもりはないよ」

 

 俺達は再び空中で激突した。

 

ヒエンside end

 

◆◆◆

 

第三者side

 

 一方、地上でも戦いは続いていた。

 

「キュアエコー!右です!」

 

「はい!」

 

 冷火の声に反応し、エコーが横へ跳ぶ。

 

ブォン!!

 

 直前までいた場所を巨大な拳が通過した。

 

「今です!」

 

「はぁぁっ!」

 

ドゴォン!!

 

 エコーの蹴りがゼツボーグの顔面に炸裂する。

 

「やった!」

 

「エコー!まだだ!」

 

「えっ?」

 

 グレルの声。

 

 背後から二体目が迫っていた。

 

「後ろ!」

 

 エンエンも叫ぶ。

 

「っ!」

 

 エコーが振り返るが、僅かに遅い。

 

「はっ!」

 

ガァン!!

 

 黒い篭手が巨大な拳を受け止めた。

 

「キュアヒート!」

 

「油断してはいけません」

 

 冷火は拳を受け止めたまま、その腕を横へ受け流す。

 

「敵は一体だけではありません」

 

「ご、ごめんなさい!」

 

「ですが、謝る必要はありません」

 

「え?」

 

「次から気をつければいいだけです」

 

 ゼツボーグの懐へ踏み込む。

 

「はぁっ!」

 

ドゴォォン!!

 

 篭手に炎を纏った拳が腹部へ突き刺さる。

 

 ゼツボーグの巨体が後方へ吹き飛んだ。

 

「すごい……」

 

「感心している場合ではありませんよ」

 

「あっ、はい!」

 

 次々とゼツボーグ達が迫ってくる。

 

「キュアエコー」

 

「はい!」

 

「正面の一体をお願いします」

 

「え?」

 

「左右は私が引き受けます」

 

 エコーが一瞬戸惑う。

 

「でも……」

 

「出来ませんか?」

 

「…………」

 

 その一言で、エコーの表情が変わった。

 

「……出来ます!」

 

「では、お任せします」

 

「はい!」

 

 走り出す。

 

「エコー!右から来るぞ!」

 

 グレルの声。

 

「分かった!」

 

 ゼツボーグが右拳を振り上げる。

 

 今度は攻撃される前に動いた。

 

「はっ!」

 

 懐へ飛び込み。

 

「やぁぁぁぁっ!!」

 

ドゴォン!!

 

 拳を腹部へ叩き込む。

 

「まだだよ!」

 

 エンエンの声。

 

「!」

 

 エコーはすぐに後方へ跳んだ。

 

 ゼツボーグの反撃が空を切る。

 

「……!」

 

 それを見た冷火が僅かに笑う。

 

「今のは良かったですよ」

 

「ほ、本当ですか?」

 

「はい」

 

「ありがとうございます!」

 

 エコーの表情が明るくなる。

 

「ですが、まだ戦闘中です」

 

「あっ」

 

「エコー!前!」

 

「はい!」

 

 再び構える。

 

 そんなエコーを見ながら、冷火は静かに分析していた。

 

(決して弱くはありません)

 

 身体能力。

 

 攻撃力。

 

 そして何より、人を守ろうとする意志。

 

 どれもプリキュアとして十分に備わっている。

 

(ただ、実戦経験が少ないのでしょう)

 

 複数の敵を相手にした時の視野。

 

 攻撃後の警戒。

 

 次の行動への切り替え。

 

 そういった部分に、僅かな遅れがある。

 

(しかし、経験が足りないのであれば、これから積めばよいだけです)

 

 冷火は再びゼツボーグ達へ向き直った。

 

第三者side end

 

◆◆◆

 

ヒエンside

 

「ヒートバーナー!!」

 

ドォォォォォォォォン!!!!

 

 オレンジの砲撃が空を駆け抜ける。

 

「っ!」

 

 ファントムが紙一重で回避した。

 

「避けたか!」

 

「直撃すると思ったか!」

 

 一気に距離を詰めてくる。

 

 剣。

 

 右手で弾く。

 

 二撃目。

 

 回避。

 

 三撃目。

 

「っ!」

 

 頬を掠める。

 

(速い)

 

 しかも戦えば戦うほど、こちらの動きへ対応してくる。

 

「どうした!この程度か!?」

 

「まだまだだ!」

 

 炎を噴射し、急加速する。

 

 そして真正面から接近すると見せかけ――。

 

 右手の炎を弱める。

 

「!」

 

 直前で軌道変更し、ファントムの左側へ。

 

「はぁっ!」

 

ドゴォン!!

 

 俺の拳が頬へ突き刺さる。

 

「ぐっ!」

 

 ファントムが吹き飛ぶ。

 

 だが、すぐに体勢を立て直した。

 

「……厄介な機動力だ」

 

「そりゃどうも」

 

「だが」

 

 ファントムの視線が動く。

 

 俺ではなく、地上へ。

 

「…………」

 

「貴様にも弱点はある」

 

「弱点?」

 

「戦いながら、周囲を気にし過ぎる事だ」

 

「…………」

 

 気づいていたか。

 

 冷火やキュアエコー。

 

 グレルとエンエン。

 

 テレビ局の人達。

 

 避難する一般人。

 

 俺は戦いながら、常にそちらにも意識を向けていた。

 

「戦場で敵から意識を逸らすなど――」

 

 ファントムが消える。

 

「致命的な隙だ!」

 

ガァァァァン!!!!

 

「ぐっ!?」

 

 俺はグローブで、ファントムの剣を受け止める。

 

「俺だけを見ろ!」

 

「……無理だな」

 

「何?」

 

 俺はガードを維持したまま答える。

 

「敵しか見えなくなったら――何のために戦ってるのか、分からなくなるだろ!」

 

ボウッ!!

 

「っ!?」

 

 俺はグローブの炎を爆発させ、ファントムを押し返して距離を取る。

 

「俺はお前と戦うために、ここにいるんじゃない」

 

「なら、何のためだ」

 

「決まってる」

 

 一瞬、地上を見る。

 

 冷火達は無事、テレビ局の人達も。

 

「守るためだよ」

 

「…………」

 

 ファントムが目を細める。

 

「甘いな」

 

「そうかもな」

 

「そんな考えで、この先も戦い続けられると思っているのか?」

 

「…………」

 

「貴様は知らないわけではあるまい」

 

 ファントムが剣をこちらへ向ける。

 

「今、この星には数多の闇が集まっている」

 

「…………」

 

「いかに貴様が強かろうと、その全てを相手に出来るとでも思っているのか?」

 

「……思ってないよ。だけど俺一人で出来ないなら、仲間を頼ればいい」

 

 右手に炎を勢いよく燃やす。

 

「俺が届かない場所には、そこにいる誰かが行けばいい」

 

 同じく左手も。

 

「誰かが倒れそうなら、皆で支えればいい」

 

 そして……

 

「誰かが泣いていたら――皆で手を伸ばせばいい」

 

「…………」

 

「それだけのことだったんだ」

 

 俺は小さく息を吐く。

 

「俺は……別に世界を救う英雄になりたいわけじゃない」

 

 そんな大層なものじゃない。

 

「朝になったら学校や仕事に行って、くだらないことで友達と笑って、好きな奴と飯を食って、喧嘩したら仲直りして、家に帰ったら『ただいま』って言えて――」

 

 脳裏に、今まで出会ってきた人達の顔が浮かぶ。

 

「明日もまた会おうって、当たり前みたいに約束できる。そういう普通の日常が、俺は好きなんだ」

 

「…………」

 

「それを守りたい。ただ、それだけだ」

 

 ファントムは何も答えない。

 

「なのに、お前達は――」

 

 声を荒らげるつもりはない。

 

 それでも、自然と声が低くなる。

 

「自分達の都合だけで、その当たり前を奪っていく」

 

 学校を。

 

 街を。

 

 家族を。

 

 友達を。

 

 笑顔を。

 

 誰かが楽しみにしていた明日を。

 

「……俺は、それが許せない」

 

 額の炎が強くなる。

 

「プリキュアだから助けるんじゃない。俺の知り合いだから助けるんでもない。目の前で誰かが泣いている。助けを求めている。そして……俺にはその手を掴める力がある。だったら――手を伸ばす」

 

「…………」

 

「助けられる力があるのに、何もしない理由なんて……俺にはない」

 

 ファントムが目を細めた。

 

「……綺麗事だな」

 

「ああ」

 

 俺は否定しなかった。

 

「綺麗事だよ」

 

「何?」

 

「でも――」

 

 ファントムを真っ直ぐ見据える。

 

「綺麗事を本当に出来る力があるなら、やったっていいだろ」

 

「…………!」

 

「俺一人じゃ無理なら、仲間を頼る。俺が届かない場所には、そこにいる誰かが行けばいい。誰かが倒れそうなら、皆で支えればいい」

 

 それが、俺の出した答えだ。

 

「だから俺は、もう一人で全部を背負うつもりはない」

 

「……ならば、貴様は何をする?」

 

「決まってる」

 

 静かに……ファントムを見る。

 

「俺に出来ることをする」

 

「何?」

 

「お前、言ったよな。【俺を探していた。俺が生きていれば、地球侵略における最大の障害になるから】って。だったら、もう探す必要はない」

 

 両手に灯る大空の炎が、静かに揺れる。

 

「俺はここにいる」

 

「…………!」

 

「もう逃げも隠れもしない」

 

 ファントムの目が細くなる。

 

「俺が邪魔なんだろ?」

 

「…………」

 

「だったら来い」

 

 一歩前へ出る。

 

「来るっていうなら――相手になってやる」

 

「……貴様」

 

「幻影帝国だろうが、他の連中だろうが関係ない」

 

「…………」

 

「この星に住んでる人々から、当たり前の日常を奪うっていうなら――俺は退かない」

 

 何者だろうと。

 

 どれだけ強かろうと。

 

「何度だって、立ち塞がってやる」

 

「…………」

 

 ファントムは暫く何も言わなかった。

 

 やがて……

 

「一つ聞こう」

 

「何だ?」

 

「今の言葉――」

 

 ファントムの表情から、僅かに残っていた余裕が消える。

 

「幻影帝国だけに向けたものではないな?」

 

「…………」

 

「現在、この地球では俺達以外にも数多の勢力が動いている」

 

 奴の剣を握る手に力が入る。

 

「それを知った上で言っているのか?」

 

「ああ」

 

 即答する。

 

「知った上で言ってる」

 

「…………」

 

 ファントムが目を細める。

 

「ならば、それは――」

 

 一瞬、風が止まった。

 

 

 

「この地球で暗躍する全ての闇の勢力を、相手取るということだぞ」

 

 

 

「…………」

 

 分かっている。

 

 十三もの闇の勢力、その中には俺がまだ名前すら知らない連中もいる。

 

 どれだけ強いのか、何を企んでいるのか、それすら分からない。

 

 普通なら、こんな選択はしない。

 

 だけど……

 

「――それがどうした?」

 

「……何?」

 

 ファントムが目を見開いた。

 

「最初から、そのつもりだ」

 

「…………!」

 

 俺が表に出れば、奴らの視線は俺へ向く。

 

 俺が動けば、奴らは俺の目的を探ろうとする。

 

 そして……俺が何かを企んでいると思えば、迂闊には動けなくなる。

 

 その時間が欲しい。

 

 皆が繋がるための、戦うための準備を整えるための時間が。

 

「俺が邪魔なら、俺を狙え。俺の仲間に手を出すくらいなら――俺のところへ来い」

 

「…………」

 

「俺なら逃げない。何度来たって、相手してやる。だから――覚悟しておけ」

 

 俺はファントムを真っ直ぐ見据える。

 

「お前達――闇の勢力は……」

 

 そして一呼吸し、俺は叫んだ。

 

 

 

「俺が死ぬ気でぶっ潰す!!」

 

 

 

「…………!」

 

 沈黙。

 

 ファントムは何も言わなかった。

 

 ただ、こちらを見る目が変わっていた。

 

 単なる敵を見る目ではない。

 

 自分達にとって、決して放置してはならない存在を見る目へと。

 

「……そうか」

 

 やがて、ファントムが静かに剣を構える。

 

「ならば俺も、認識を改めよう」

 

「…………」

 

「魔導師ヒエン」

 

 殺気が膨れ上がる。

 

「貴様は単なるプリキュアの協力者ではない」

 

 剣先が、真っ直ぐ俺へ向けられる。

 

「我らにとって――明確な敵だ」

 

「今更だろ?」

 

「違う」

 

「?」

 

「意味が違う」

 

 ファントムが低く告げる。

 

「貴様自身が今――そうなることを選んだのだ」

 

「…………」

 

「ならば、その覚悟……」

 

 ファントムが地面を蹴る。

 

「俺がここで確かめてやる!」

 

「――上等!」

 

 そして再び、俺達は再び真正面から激突したが、意外にも戦いはすぐに終わった。

 

 ファントムは俺の生存と現在の力量を確認したことで、これ以上の戦闘は得策ではないと判断したらしい。

 

「今日のところは退く」

 

「逃げるのか?」

 

「勘違いするな」

 

 ファントムがこちらを睨む。

 

「貴様が生きていること。そして、以前より力を増していること――それを知れただけでも十分な収穫だ」

 

「…………」

 

「次に会う時が、貴様の最期だ」

 

 そして、ファントムは怪物達を引き連れ、姿を消した。

 

「ふぅ……なんとかなったな」

 

俺は息を吐いて、肩の力を抜く。

 

「お疲れ様でした、お兄様」

 

「お前もな」

 

 冷火がこちらへやって来ると、エコーもこちらへやって来た。

 

「あの……」

 

「ん?」

 

「ちゃんと自己紹介してませんでしたよね」

 

 少女が少し緊張した様子で頭を下げる。

 

「キュアエコーです」

 

「俺はヒエン。こっちは妹のキュアヒートだ」

 

「改めて、キュアヒートです」

 

「俺はグレル!」

 

「僕はエンエンです」

 

「ああ。よろしく」

 

 彼女の肩の上にいる妖精達、グレルとエンエンとも自己紹介を済ませる。

 

 さて、今度こそ終わりかな。

 

「じゃあ、そろそろ行こう――」

 

「あ、あの!」

 

「ん?」

 

 そのとき、エコーが声を上げた。

 

「どうした?」

 

「…………」

 

 何故か真剣な目で俺を見ている。

 

「ヒエンさん」

 

「はい」

 

 彼女は一度大きく息を吸って、叫んだ。

 

「私を弟子にしてください!」

 

「…………」

 

 はい?

 

「…………弟子?」

 

「はい!」

 

「俺の?」

 

「はい!」

 

「…………」

 

 俺は冷火を見る。

 

「何故、私を見るのです?」

 

「いや……俺にも分からん」

 

「私にも分かりません」

 

 だよね。

 

「えっと……なんで?」

 

 エコーは胸元で拳を握った。

 

「今日、ヒエンさんとヒートさんの戦いを見て……私、まだまだだって思ったんです」

 

「…………」

 

「プリキュアのみんなと一緒に戦ったこともあります。グレルやエンエンにも、ずっと助けてもらっています」

 

 二匹を見る。

 

「でも……今日みたいに、本当に危ない時」

 

 自分の手を見る。

 

「私一人だったら、あの人達を守れなかったかもしれない。だから、もっと強くなりたいんです」

 

 顔を上げる。

 

「誰かを倒すためじゃなくて――」

 

 真っ直ぐ、俺を見る。

 

「誰かを守れるようになるために」

 

「…………」

 

「ヒエンさんが言ってましたよね。『助けられる力があるのに、何もしない理由なんて……俺にはない』って。私も、そうなりたいんです」

 

「…………」

 

「もっと強くなって、誰かが困っている時に、ちゃんと手を伸ばせるプリキュアになりたい」

 

 そして、深く頭を下げた。

 

「お願いします!私を弟子にしてください!」

 

「俺からも頼む!」

 

「え?」

 

 グレルまで頭を下げる。

 

「エコーをもっと強くしてやってくれ!」

 

「僕からもお願いします!」

 

 エンエンまで。

 

「…………」

 

 三人がかり。

 

 これはずるくない?

 

「いや……でもなぁ」

 

 頭を掻く。

 

「俺、人に教えられるほど立派じゃないぞ?」

 

「それでもお願いします!」

 

「そもそも、俺とプリキュアじゃ戦い方も違うし」

 

「それでも!」

 

「…………」

 

 困った。

 

 冷火を見る。

 

「お兄様」

 

「何?」

 

「諦めた方がよろしいかと」

 

「ヒートさん!?」

 

「これだけ真っ直ぐお願いされて、お兄様が最後まで断れるとは思えません」

 

「…………」

 

 妹が俺の性格を理解しすぎている。

 

「はぁ……」

 

 溜息を吐く。

 

 そして、もう一度エコーを見る。

 

「……分かったよ。戦い方の基礎くらいなら教えてやる」

 

「!」

 

「ただし」

 

 人差し指を立てる。

 

「俺に出来るのは、俺が知っていることを教えるだけだ」

 

「はい!」

 

「プリキュアとしての戦い方なら、俺より他のプリキュア達の方が詳しい」

 

「はい!」

 

「それと、無茶はするな」

 

「はい!」

 

「俺の真似もするな」

 

「はい!」

 

「……返事早くない?」

 

「はい!」

 

「そこも!?」

 

 グレルとエンエンが笑う。

 

「まあ……」

 

 仕方ない。

 

「これからよろしく。エコー」

 

「……!」

 

 ぱぁっと、エコーの顔が明るくなる。

 

「はい!師匠!!」

 

「…………」

 

 師匠。

 

 なんか、いきなり責任が重くなった気がする。

 

「おめでとうございます、お兄様」

 

「何が?」

 

「初弟子です」

 

「やめて。改めて言われると胃が痛くなる」

 

 その時。

 

「あ、あの……」

 

「ん?」

 

 声をかけられた。

 

 先程の女性アナウンサーだった。

 

「先程は助けていただいて、本当にありがとうございました」

 

「いえ、皆さん無事で良かったです」

 

「はい。ただ……その……」

 

「?」

 

 何故か歯切れが悪い。

 

 後ろのスタッフ達も、妙に気まずそうな顔をしている。

 

「どうかしました?」

 

「その……大変申し上げにくいのですが……」

 

「はい」

 

 女性アナウンサーが恐る恐るカメラを指差した。

 

「先程の戦闘なんですが……途中からずっと、生中継されておりまして……」

 

「…………」

 

 ん?

 

「……生中継?」

 

「はい」

 

「テレビで?」

 

「はい」

 

「…………」

 

 俺はカメラを見る。

 

 赤いランプ。

 

 点いてる。

 

「…………」

 

 もう一度、アナウンサーを見る。

 

「……ちなみに、どこまで?」

 

「ほぼ全てです」

 

「…………」

 

「先程のファントムとの会話も……」

 

「…………」

 

「全部」

 

「…………」

 

 風が吹いた。

 

「お兄様?」

 

「…………」

 

 待て。

 

 俺、さっき何言った?

 

『俺はここにいる』

 

『もう逃げも隠れもしない』

 

『来るっていうなら――相手になってやる』

 

『それがどうした?』

 

『最初から、そのつもりだ』

 

 そして。

 

『お前達――闇の勢力は、俺が死ぬ気でぶっ潰す!!』

 

「…………」

 

 全部?

 

 テレビで?

 

 生放送?

 

「…………ちなみに」

 

 なんとか声を絞り出す。

 

「どのくらいの範囲で……?」

 

「全国です」

 

「…………」

 

 ぜんこく。

 

 全国。

 

 日本全国。

 

「…………」

 

 俺は、ゆっくり空を見上げた。

 

 青い。

 

 雲一つない。

 

 実に綺麗な青空だった。

 

「師匠!」

 

「……何だエコー?」

 

「私、さっきの師匠……すごくカッコいいと思いました!」

 

「…………ありがとう」

 

 お願い、今は褒めないで。

 

「俺もだぜ!」

 

「僕も!」

 

 グレル。

 

 エンエン。

 

 君達まで追撃しないで。

 

「お兄様」

 

「…………何?」

 

「表舞台へ出るという当初の目的は、想定以上の形で達成出来ましたね」

 

「…………」

 

 確かに言った。

 

 俺は表舞台へ出ると。

 

 敵の目を俺へ向けると。

 

 言ったけど……

 

「……こういう意味じゃなかったんだけどなぁ」

 

 俺はしばらくその場で、青空を見上げたまま、茫然と立ち尽くすのだった。




はい。全国放送でした。

では、また∠( ゚д゚)
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