外伝続き書けたで候。
では、どうぞ∠( ゚д゚)/
ヒエンside
俺は無言で空を見上げていた。
青い空。
白い雲。
実にいい天気だ。
ああ、平和って素晴らしい。
「お兄様?」
「…………」
「お兄様、聞こえていますか?」
「……ヒート」
「はい?」
「ちょっと現実逃避していいか?」
「もう十分なさっていると思いますけれど」
妹の容赦ない一言が胸に突き刺さる。
いや、だってさ。
全国生中継だぞ?
全国生中継。
俺がファントム相手に全ての闇の勢力へ宣戦布告したところまで、全部流れたってことだろ?
……まあ、宣戦布告自体は予定どおりだ。
俺に連中の注意を向けさせ、その間にプリキュア達の協力体制を整える。
そのために、わざわざファントムの前で大見得を切ったんだからな。
だが、全国のお茶の間にまで流す必要はなかったんだよ。
しかも。
「し、師匠……?」
「…………」
隣から聞こえてきた声に、俺はゆっくりと振り向いた。
そこには、金色のツインテールを揺らした少女――キュアエコーが立っていた。
そう。
弟子入りのくだりまで放送されたのである。
……なんてこった。
「師匠、大丈夫ですか?」
「あ、ああ。大丈夫だ、エコー。ちょっと精神的に疲れただけだから」
「えっ!?そ、それって大丈夫なんですか!?」
「お兄様のことですから、しばらくすれば立ち直りますね」
「ヒート、他人事だと思って……」
「わたしも全国放送に映っていたんですけれど?」
「…………そうでした」
そういえば、妹もキュアヒートとして思いっきり戦っていたな。
……うん。
これ以上考えるのはやめよう。
「それにしても、すごかったよな!」
「ヒエン、ファントムと互角に戦ってたね!」
グレルとエンエンが目を輝かせている。
「ありがとうな、二人とも」
俺は苦笑しながら答えた。
すると、エコーが申し訳なさそうに頭を下げた。
「あの……私が弟子入りなんてお願いしたから、師匠まで……」
「いやいや、そこは気にするな」
慌てて手を振る。
「弟子にするって決めたのは俺だし、テレビで流れてたのはお前のせいじゃない。それに、弟子入りを認めたことを後悔してるわけでもないからな」
「……はい!」
ぱっと表情を明るくするエコー。
その笑顔を見て、俺も自然と頬が緩んだ。
……キュアエコー、か。
そういえば、戦いの最中は目の前のファントムに集中していたから、あまり考える余裕がなかったけど……。
確か、彼女は『プリキュアオールスターズ NewStage』に登場したプリキュアだったよな。
本名は坂上あゆみ。
転校先でなかなか友達を作れず、フーちゃんと出会った少女。
そして、フーちゃんを助けたいという想いからプリキュアになった女の子。
その後もグレルやエンエンと一緒に、プリキュア達と関わっていたはずだ。
……まさか、そのキュアエコーが俺の弟子になるとはなぁ。
人生、何が起こるか分からないもんだ。
もっとも、本人から名前を聞いたわけじゃないけども。
ここは知らないふりをしておこう。
「……師匠?」
「ん? ああ、悪い。ちょっと考え事をしてた」
俺は軽く頭を振り、気持ちを切り替えた。
「さて、と。そろそろ移動するか」
「移動、ですか?」
「ああ。実はこれから、知り合いに会いに行こうと思ってるんだ」
そう言ってから、ふと思いついた。
「そうだ。エコー達も一緒に来ないか?」
「えっ?私達もですか?」
「もちろん。これから師弟として付き合っていくわけだしな」
「で、でも、お邪魔じゃ……」
「大丈夫だって。お前達も知ってる人達だと思うぞ」
「知ってる人達……?」
俺は小声で言った。
「夢原のぞみ達だよ」
「あっ!」
エコーが嬉しそうに小声で声を上げた。
「のぞみさん達ですか!」
「お、やっぱり知ってるか」
「はい!以前、一緒に戦ったことがあります!」
「のぞみ達なら俺達も知ってるぜ!」
「ココやナッツもいるかもしれない!」
グレルとエンエンも嬉しそうだ。
「じゃあ決まりだな」
俺は頷き、冷火へ視線を向けた。
「ヒート、グレルとエンエンを頼めるか?」
「畏まりました」
「えっ?じゃあ私は……?」
首を傾げるエコー。
俺は彼女の足元を見た。
さっきから、時折ふらついている。
ファントムに拘束されたうえ、ゼツボーグとの戦闘もあったんだ。
かなり疲労が溜まっているんだろう。
「エコー、お前は俺が運ぶ」
「えっ?」
「疲れてるだろ?無理して歩く必要はないぞ」
「で、でも、私……」
「ほら、失礼するぞ」
「ひゃっ!?」
俺はエコーの背中と膝の裏に腕を回し、そっと抱き上げた。
いわゆる、お姫様抱っこである。
「し、師匠!?」
「ん?どうした?」
「こ、これ……!」
「飛んで移動するからな。ちゃんと掴まってろよ」
「は、はい……!」
エコーは真っ赤になりながら、恐る恐る俺の首へ腕を回した。
……そんなに高いところが怖いのか?
「ふふっ」
隣で冷火が笑っている。
「……なんだよ?」
「いいえ。お兄様は本当にお兄様ですね」
「どういう意味だよ、それ」
「そのままの意味です」
……よく分からん。
そんなやり取りをしている間に、グレルとエンエンが冷火の両肩へ飛び乗った。
「準備できたぞ!」
「僕も大丈夫!」
「よし。それじゃあ行くか」
俺は背中から炎の翼を展開しようとして――。
「あ、あの!」
「……ん?」
テレビ局の女性アナウンサーに呼び止められた。
「最後に一言だけ、視聴者の皆様へコメントをいただけませんか!?」
「…………」
俺はゆっくりと視線を動かした。
スタッフの後ろには、こちらを向いたテレビカメラ。
……まだ撮ってたのか。
ということは。
今のお姫様抱っこも……?
「…………ヒート」
「はい、お兄様」
「行くぞ」
「ふふっ。承知しました」
「えっ!?し、師匠!?」
「エコー、飛ぶからしっかり掴まってろ!」
「は、はい!」
彼女がしっかり腕を回したのを確認する。
「それじゃあ、失礼します!」
俺はスタッフ達にそう告げると、今度こそ背中から炎の翼を展開した。
ゴウッ!
オレンジ色の炎が噴き出し、俺達の身体がゆっくりと宙へ浮かび上がる。
隣では冷火も同じく炎の翼で飛翔を開始していた。
「お、お待ちくださーい!」
地上から声が聞こえてきたが、申し訳ない。
これ以上テレビに映るのは勘弁してほしい。
俺達はそのまま高度を上げ、横浜の空へと飛び去った。
◆◆◆
しばらくして。
「わあ……!」
俺の腕の中で、エコーが感嘆の声を漏らした。
眼下には横浜の街並みが広がっている。
港に並ぶ船。
遠くまで続く建物。
陽光を反射して輝く海。
その景色を、エコーは目を輝かせながら眺めていた。
「すごい……!こんなに高いところから街を見るの、初めてです!」
「そうか。怖くないか?」
「はい!師匠がちゃんと支えてくれてますから!」
「そっか」
俺は小さく笑った。
「……あの、師匠」
「ん?」
「師匠は、いつもこうやって空を飛んでるんですか?」
「まあ、移動するときにはよく使うな」
「いいなあ……」
エコーが羨ましそうに呟く。
「私も、こんなふうに自由に飛べたら……」
「……そうだな」
俺は少し考えた。
プリキュアにも飛行能力を持っている子はいるけど、全員が自由に飛べるわけじゃない。
エコーがどこまでできるかは、これから確かめる必要がある。
「まあ、修行については追々考えよう」
「はい!」
「まずは、お前の得意なことと苦手なことを知るところからだな」
「……はいっ!」
元気な返事が返ってくる。
うん。
やる気は十分みたいだ。
「お兄様」
隣を飛んでいた冷火が声をかけてきた。
「なんだ?」
「エコーさんの修行、本当に引き受けられるのですね」
「ああ。約束したからな」
「お兄様のことですから、随分と厳しくなりそうですね」
「俺だって加減くらいするぞ?」
「……それなら安心です」
……なんだ、その微妙な間は。
俺が何か言おうとしたところで、相棒から声が届いた。
『ガァウ』
「お、もう着いたか」
俺は眼下へ視線を向けた。
見覚えのある街並みが広がっている。
懐かしいな。
以前、のぞみ達に会いに来たときのことを思い出す。
「ヒート、そろそろ降りるぞ」
「分かりました、お兄様」
俺達は人通りの少ない場所を探し、ゆっくりと高度を下げていった。
◆◆◆
「よっと」
地面に足をつけると、俺はエコーをそっと下ろした。
「大丈夫か?」
「はい! ありがとうございます、師匠!」
「どういたしまして」
エコーが笑顔で頭を下げる。
冷火もすぐ隣に降り立ち、肩に乗っていたグレルとエンエンが地面へ飛び降りた。
「さて……」
俺は周囲を確認した。
幸い、近くに人の姿はない。
「二人とも、その姿のままだと目立つな」
「そうですね」
冷火が頷く。
「では、変身を解除します」
「私も……」
エコーも自分の姿を見下ろした。
そして、二人はそれぞれ変身を解除した。
光が収まると、そこには普段着姿の少女達が立っていた。
冷火は見慣れた妹の姿へ。
そして、エコーだった少女は、落ち着いた雰囲気の女の子へと戻っていた。
「ふう……」
少女は少し安心したように息を吐く。
そこで俺は、改めて口を開いた。
「そういえば、まだちゃんと自己紹介してなかったな」
「あっ、そうでした!」
少女が慌てて背筋を伸ばす。
「私、坂上あゆみっていいます!改めて、よろしくお願いします!」
「坂上あゆみ、か」
……うん。
やっぱりそうだよな。
原作で知っていた名前と一致した。
もっとも、ここで驚きすぎるのも不自然だ。
俺は軽く笑って答えた。
「俺は大空氷炎。ヒエンって呼んでくれればいい」
「はい、ヒエン師匠!」
「……いや、普通に師匠でいいぞ?」
「えへへ。じゃあ、師匠!」
あゆみが嬉しそうに笑う。
続いて、冷火が一歩前へ出た。
「わたしは小道冷火と申します。お兄様の妹です」
「えっ!?」
あゆみが目を丸くした。
「妹さんだったんですか!?でも名字が……」
「まあ、義理の妹だとでも思ってもらえれば」
「だから、お兄様って呼んでたんですね!」
「ふふっ。そういうことです」
冷火が微笑む。
「改めてよろしくお願いします、あゆみさん」
「はい!よろしくお願いします、冷火さん!」
グレルとエンエンも、二人の周りを嬉しそうに跳び回っている。
「これでみんな名前が分かったな!」
「改めてよろしく!」
「おう、よろしくな」
俺は笑って頷いた。
「さて、そろそろ行くか」
俺達は並んで歩き出した。
目指すはナッツハウス。
懐かしい友人達がいる場所である。
◆◆◆
カランカラン。
目的の場所の扉を開けると、軽やかなベルの音が響いた。
「いらっしゃいませ」
店の奥から聞き覚えのある声がした。
視線を向けると、そこには金髪の青年が立っていた。
ナッツの人間態だ。
その隣には、茶髪の青年――ココの人間態の姿もある。
「よっ」
俺が声をかけると、ナッツがこちらを見た。
「……ヒエン?」
「おう」
「……お前、どうしてここに?」
珍しく、ナッツが目を見開いている。
「いや、ちょっと相談したいことがあってな」
「相談?」
「ああ。それと、みんなの顔も見たかったし」
すると、ココもこちらへ歩いてきた。
「ヒエン!本当にヒエンじゃないか!」
「数週間ぶりだな、ココ」
「ああ!でも、さっきテレビで見たばかりだから、なんだか不思議な感じだね」
「……その話は勘弁してくれ」
俺が苦笑すると、ココも笑った。
「ははは。ごめんごめん」
そのときだった。
「えっ!?ヒエンさん!?」
店の奥から、驚いた声が響いた。
振り向くと、そこには見覚えのある少女達がいた。
夢原のぞみ。
夏木りん。
春日野うらら。
秋元こまち。
水無月かれん。
そして、美々野くるみ。
懐かしい顔ぶれである。
「よっ、みんな」
俺が片手を上げると、のぞみがぱっと顔を輝かせた。
「ヒエンさーん!」
勢いよく駆け寄ってくる。
「元気でしたか!」
「おう、そっちも元気そうだな、のぞみ」
「もう!さっきまでテレビに出てたじゃないですか!」
「……やっぱり見てたか」
「もちろんです!」
のぞみが大きく頷いた。
その後ろから、りんも歩いてくる。
「ヒエンさん、本当にびっくりしましたよ」
「……悪かったな、りん」
「まったくです。あんな危ない戦いをして……」
りんはそこで一度言葉を切った。
そして、小さく息を吐く。
「……でも、無事でよかったです」
「……ああ。ありがとう」
俺は素直に礼を言った。
「ヒエンさん」
こまちが柔らかく微笑む。
「お元気そうで何よりです」
「こまちも元気そうだな」
「ええ。こうしてまた会えて嬉しいです」
「私もです!」
うららが嬉しそうに手を挙げた。
「ヒエンさん、またお会いできて嬉しいです!」
「俺もだよ、うらら」
「ヒエンさん」
かれんが静かに声をかけてくる。
「さっきの戦いのこと、色々と聞きたいことはありますけれど……まずは、いらっしゃい」
「ありがとう、かれん」
「まったく……」
くるみが腕を組み、こちらを見つめる。
「ヒエンって、本当に騒がしいわね」
「……久しぶりの第一声がそれか?」
「だって、そうでしょう?」
くるみは呆れたように言いながらも、どこか安心した表情を浮かべていた。
「でも、元気そうでよかったわ」
「……ありがとな、くるみ」
すると、のぞみが俺の後ろへ視線を向けた。
「あっ!」
その顔がぱっと明るくなる。
「あゆみちゃん!」
「のぞみさん!」
あゆみも嬉しそうに声を上げた。
「お久しぶりです!」
「うん!久しぶり!」
のぞみが笑顔で駆け寄る。
「さっきテレビで見たよ!大変だったね!」
「はい……でも、師匠と冷火さんが助けてくれたので!」
「そっか!」
のぞみが嬉しそうに頷く。
続いて、うらら達もあゆみに声をかけた。
「お久しぶりです、あゆみさん!」
「お久しぶりです!」
グレルとエンエンも、懐かしい顔ぶれに嬉しそうだ。
「みんな久しぶり!」
「元気だった?」
その様子を眺めながら、俺は小さく笑った。
……やっぱり、ここに来てよかったな。
そんなことを考えていると、ナッツが声をかけてきた。
「それで、ヒエン」
「ん?」
「さっき相談があると言っていたな」
「ああ」
俺は頷いた。
「実は、ちょっと大事な話なんだ」
その言葉に、ナッツの表情が真剣になる。
「……さっきの放送に関係があるのか?」
「ある」
俺は全員を見渡した。
「だから、できればみんなにも聞いてほしい」
のぞみ達が顔を見合わせる。
やがて、のぞみが大きく頷いた。
「はい!もちろんです!」
俺は小さく笑った。
「ありがとう」
そして、ナッツへ向き直る。
「……少し、時間をもらってもいいか?」
「ああ。奥で話そう」
ナッツが頷いた。
こうして俺達は、ナッツハウスの奥へと向かった。
これから始めようとしていること。
プリキュア達の力を繋ぐための、最初の相談をするために。
◆◆◆
ナッツに案内され、俺達はナッツハウスの奥へと移動した。
店はまだ営業中だ。ココとナッツは人間の姿のままで、店先の様子も気にかけている。
「ヒエンさん、こちらへどうぞ!」
「ありがとう、のぞみ」
「冷火ちゃんとあゆみちゃんも、こっちに座って!」
「ありがとうございます、のぞみさん」
「ありがとう!」
のぞみに勧められ、俺達は椅子に腰を下ろした。
グレルとエンエンも、あゆみの隣にちょこんと座る。
「お茶を用意しますね」
「私も手伝います!」
こまちとうららが立ち上がると、ナッツが店先へ目を向けた。
「ココ。しばらく店の方を頼めるか?」
「うん。僕も話は聞きたいけど、お客さんが来たら対応するよ」
「悪いな、ココ」
「気にしないで、ヒエン」
ココは笑って答えてくれた。
……さて。
ここからが本題だ。
「それで、ヒエン」
ナッツが俺へ視線を向ける。
「さっきの放送について、何か話があるんだろう?」
「ああ。その前に、みんなに謝っておきたいことがある」
「謝ること、ですか?」
のぞみが首を傾げた。
「闇の勢力に宣戦布告したことだ。あんなことをすれば、みんなにも余計な心配をかけるって分かってたんだけどな」
「……本当に心配しましたよ」
りんが小さく息を吐いた。
「ヒエンさんが強いのは知ってます。でも、いきなり闇の勢力全部を相手にするなんて……」
「そうですね」
かれんも真剣な表情で頷く。
「相手がどれほどの力を持っているのか、まだ分からないのでしょう?」
「いや、数は一応把握してる。十三だ。まあ、まだ名前すら知らない所もあるけど……」
「それなのに、どうしてあんな宣言をしたんですか?」
かれんの問いに、俺は少しだけ姿勢を正した。
「……時間が欲しかったんだ」
「時間?」
くるみが眉をひそめる。
「ああ。今、あちこちで闇の勢力が動き始めてるだろ?連中がそれぞれ勝手に動いているうちはまだいい。でも、もし連携するようになったら厄介だ」
「確かにな」
ナッツが腕を組む。
「プリキュア達が各地に散らばっている以上、同時に襲撃されたら対応が難しくなる」
「そういうこと。だから、連中の注意を俺に向けたかったんだ」
「……囮になるつもりだったのか」
シロップが低い声で呟いた。
「まあ、そういうことになるな」
「ヒエン」
ナッツの表情が険しくなる。
「それは危険すぎるんじゃないか?」
「危険なのは承知してる。でも、何も考えずに喧嘩を売ったわけじゃない」
俺は落ち着いて続けた。
「全員が俺を狙うとは思ってないし、俺一人で十三の勢力を倒せるとも思ってない。だからこそ、今のうちに準備を進めたいんだ」
「準備……」
お茶を運んできたこまちが呟いた。
「それが、先ほどおっしゃっていた相談に繋がるのですね?」
「ああ。ありがとう、こまち」
俺は差し出されたお茶を受け取り、一口飲んだ。
……よし。
ここからが本題だ。
「俺がやりたいのは――」
一度言葉を切り、全員を見渡す。
「プリキュアの組織化だ」
「「「組織化!?」」」
予想どおり、のぞみ達が驚きの声を上げた。
「そ、組織化って……ヒエンさん、どういうことですか?」
りんが戸惑ったように尋ねてくる。
「いや、組織化って言っても、誰かがリーダーになって全員に命令するようなものじゃないぞ」
「……だったら、何をするつもりなの?」
くるみが首を傾げる。
「簡単に言えば、プリキュア達の横の繋がりを作りたいんだ」
「横の繋がり?」
「ああ。今までも大きな事件が起きたときには、みんなで力を合わせてきただろ?でも、普段から連絡を取り合えるわけじゃない」
俺はそこで一度言葉を切った。
「だから、何かあったときにすぐ協力できるように、連絡網や情報共有の仕組みを作りたい。どこかで敵が現れたら、近くにいるプリキュアに知らせる。助けが必要なら応援を頼む。そういう関係だな」
「なるほど……」
ナッツが腕を組んだ。
「つまり、組織というより協力体制を整えるわけか」
「そういうこと。まあ、『プリキュアの組織化』って言った方が分かりやすいかと思ってな」
「いや、むしろ誤解を招く言い方だろ」
「……それもそうか」
ナッツの指摘に、俺は苦笑した。
「でも、プリキュア達はそれぞれ自分の意思で戦ってる。だから、参加するかどうかも本人達に決めてもらうつもりだ」
俺はみんなを見渡した。
「俺が作りたいのは、誰かに従うための組織じゃない。誰かが困ったとき、手を差し伸べられる仲間同士の繋がりなんだ」
「……なるほどね」
かれんが静かに頷いた。
「それなら、確かに意味がありそうです」
「でも、ヒエンさん」
りんが少し考え込むように腕を組んだ。
「それって簡単じゃないですよね?」
「ん?」
「プリキュアって、みんな普通に生活してるじゃないですか。学校に通ってる人もいるし、お仕事してる人だっていますよね」
「ああ」
「連絡網ができたからって、いつでも助けに行けるわけじゃないと思うんです」
……うん。
もっともな意見だ。
「もちろん、そのつもりだよ。全員に強制するつもりはない。あくまで、協力できるときに協力してもらう形にしたいんだ」
「強制はしない、か」
ナッツが呟く。
「そう。そもそも、誰かが命令して動かすような組織にするつもりはないしな」
「でも、誰かがまとめないと、いざというときに困るんじゃないか?」
シロップが尋ねる。
「そこが難しいところなんだよな」
俺は苦笑した。
「一応、連絡を集める場所は必要だと思ってる。でも、俺が全部の判断を下すのも違うだろ?」
「……確かにね」
ココが静かに頷いた。
「プリキュア達には、それぞれ守りたいものや大切にしていることがある。誰か一人の考えだけで動くのは、きっと難しいと思う」
「ああ。だから、まずはみんなの意見を聞きたいんだ。今の段階では、あくまで構想だからな」
「なるほど」
ココが微笑む。
「それなら、僕達にも手伝えることがありそうだね」
「……実は、そのことで頼みがあるんだ」
「頼み?」
「ああ」
俺はココ、ナッツ、シロップの三人を見た。
「これから、各地のプリキュア達に直接会いに行こうと思ってる」
「直接?」
ナッツが聞き返す。
「そう。俺の考えをきちんと説明したいんだ。協力するかどうかも、本人達に決めてもらいたいしな」
「それはいい考えだと思うよ」
ココが頷く。
「ただ、全員に会うとなると大変そうだね」
「そこなんだよ」
俺は頭を掻いた。
「俺が知ってるプリキュア達もいるけど、直接会ったことのない子達も多いんだ。連絡先だって全部知ってるわけじゃない」
「……なるほどな」
ナッツがこちらを見た。
「つまり、俺達に連絡を取る手伝いをしてほしいわけか」
「そういうこと。ココとナッツなら、他の世界の妖精達とも繋がりがあるだろ? シロップにも、連絡が難しいところへ手紙を届けてもらえたら助かる」
「配達なら任せろ」
シロップがすぐに答えた。
「ただし、届け先が分からなければどうしようもないからな」
「ああ。そこは俺も調べるよ」
「それならいい」
シロップは小さく頷いた。
「僕も、知り合いに連絡してみるよ」
ココが言った。
「でも、すぐに返事が来るとは限らないから、少し時間をもらえるかな?」
「もちろん。急がせるつもりはないよ」
「ナッツはどう思う?」
ココが隣へ視線を向ける。
ナッツはしばらく考えてから口を開いた。
「……連絡を取ること自体は構わない。ただ、ヒエン」
「ん?」
「先に確認しておきたいことがある」
「何だ?」
「お前が十三もの勢力に宣戦布告したことで、今後ここが狙われる可能性はないのか?」
……ああ。
そういうことか。
確かに、考えておかなければならない問題だ。
「可能性はあると思う。俺と親しい人間を狙ってくる奴がいないとは限らないからな」
「だったら、ここを連絡の中心にするのは危険だ」
「ああ。俺もそう思う」
ナッツハウスは普通のお店だ。
ここには一般のお客さんも来る。
そんな場所を、何も考えずに連絡網の中心にするわけにはいかない。
「だから、ここを本部にするつもりはないよ」
「……そうなのか?」
「ああ。連絡を取り合う仕組みができたら、別に拠点を用意したいと思ってる」
「別の拠点……」
こまちが呟く。
「どこか、心当たりがあるんですか?」
「候補はある。例えば、プリキュアパレスとか」
「プリキュアパレス?」
のぞみが首を傾げる。
「うん。歴代プリキュア達が試練の場として利用していたお城の事だ。そこなら訓練や模擬戦なんかにも使えると思ってな。ただ、そこを使えるかどうかは、まだ確認してない。関係者の許可も必要だろうし」
「それなら、まずは連絡網を作るところから始めた方がよさそうね」
かれんが言った。
「拠点については、その後で話し合っても遅くないと思います」
「俺もそう思う。最初から全部決める必要はないしな」
……もっとも、拠点を確保できればそれで終わり、というわけでもない。
考えなければならないことは、他にもある。
「……そういえば、もう一つ問題があったな」
「何ですか、ヒエンさん?」
のぞみが尋ねてくる。
「お金だよ、お金」
「……お金、ですか?」
「ああ。連絡網を整備するにも、拠点を維持するにもお金がかかる」
「確かにそうですね」
かれんが頷いた。
「それで、資金はどうするつもりなんですか?」
「とりあえず、株で稼ごうと思ってる」
「……株?」
「ああ。株式投資だ。手持ちの資金を元手に増やしていこうと思ってな」
「ヒエンさん、株なんてできるんですか!?」
のぞみが驚いたように身を乗り出す。
「一応な。まあ、絶対に儲かるわけじゃないけど」
いざとなれば相棒とナハトがいるし。
「投資で活動資金を賄うのは、少し不安定じゃないか?」
ナッツが指摘する。
「それは分かってる。だから、将来的には表向きの会社でも作って、安定した収入を確保したいと思ってる」
「会社まで……」
りんが感心したように呟く。
「ヒエンさん、本格的に考えてるんですね」
「まあ、やるからには中途半端にしたくないしな」
俺は肩をすくめた。
「それに、会社を作るなら、プリキュア達が気軽に集まれる場所も用意したいんだ」
「集まれる場所、ですか?」
うららが尋ねる。
「ああ。例えば、カフェとか」
「カフェ!?」
のぞみが目を輝かせた。
「いいですね!みんなでお茶したり、お菓子を食べたりできるんですよね!」
「そういうこと」
俺は笑った。
「戦うときだけじゃなくて、普通に遊びに来たり、のんびりしたりできる場所があってもいいだろ?」
「素敵ですね」
こまちが微笑む。
「プリキュア同士の交流も、自然と増えそうです」
「それに、希望する子がいれば、アルバイトや就職先としても使えるようにしたいんだ」
「……なるほど」
かれんが感心したように頷いた。
「単なる活動拠点ではなく、日常生活も支えられる場所にしたいんですね」
「ああ。もちろん、働くかどうかは本人の自由だけどな」
「いいと思います!」
うららが笑顔で言った。
「私達にも、それぞれ夢がありますから。そういう場所があれば、助かる人もいるかもしれませんね」
「そうだな」
俺は頷いた。
ただし、プリキュアだからといって特別扱いするつもりはない。
働くなら、きちんと仕事をしてもらう。
その代わり、給料も待遇もちゃんとしたものにする。
……まあ、そこまで実現するには、まだまだ時間がかかるだろうけど。
「それで、会社の名前は考えてるの?」
くるみが尋ねてきた。
「ああ。一応な」
「何て名前?」
「株式会社ホライゾン」
「ホライゾン……」
かれんが小さく呟く。
「地平線、という意味ですね」
「ああ。未来へ向かって進んでいく、ってイメージで考えたんだ」
「いい名前だと思います」
かれんが微笑んだ。
「ありがとう」
「それじゃあ、カフェの名前も決まってるんですか?」
のぞみが興味津々といった様子で尋ねてくる。
「リンクスカフェ、って名前にしようと思ってる」
「リンクス?」
「ああ。繋がりって意味を込めてな。みんなが気軽に集まれる場所にしたいから」
「わあ……!」
のぞみが嬉しそうに笑った。
「素敵です!」
「ふふっ。のぞみは、もう行く気満々ね」
りんが呆れたように笑う。
「だって、りんちゃん!楽しそうじゃない!」
「まだできてもいないでしょ」
「それはそうだけど!」
そんな二人のやり取りに、みんなが笑みを浮かべた。
……うん。
こういう場所を作りたいんだよな。
戦いのことを忘れて、みんなが笑っていられる場所を。
「……それなら」
不意に、かれんが口を開いた。
「初期費用は、私も出しましょうか?」
「…………はい?」
一瞬、何を言われたのか分からなかった。
「水無月家として、というより、まずは私個人として協力したいんです。もちろん、必要なら家族にも相談しますけど」
「いやいやいや、待ってくれ!」
俺は慌てて手を振った。
「気持ちは嬉しいけど、そこまでしてもらうわけにはいかないって!」
「あら、どうしてですか?」
「どうしてって……そんな大金、簡単に受け取れないだろ!」
「まだ金額も言っていませんよ?」
「そういう問題じゃないんだよ!」
かれんは俺の反応を見て、くすりと笑った。
「ヒエンさん。私は別に、あなたにお金をあげたいと言っているわけではありません」
「……ん?」
「私もプリキュアの一人です。みんなを守るための活動なら、私だって力になりたいんです」
「かれん……」
「それとも、ヒエンさんは私達には戦うことしかできないと思っているんですか?」
「いや、そんなことは……」
「でしたら、私にもできることをさせてください」
……参ったな。
そう言われると、断りづらい。
「でも、金銭的な負担をかけるのは……」
「ヒエンさん」
今度はりんが口を開いた。
「さっき、一人で抱え込まないって言いましたよね?」
「うっ……」
「お金のことだって同じじゃないですか?」
「……ごもっともです」
俺が肩を落とすと、のぞみ達から笑い声が上がった。
「ふふっ。もちろん、今すぐ受け取ってほしいとは言いません」
かれんは穏やかに微笑んだ。
「まずは、どれくらいの費用が必要なのか調べましょう。そのうえで、私に協力できることがあれば相談してください」
「……分かった。そこまで言ってくれるなら、相談はさせてもらうよ」
「はい。それで十分です」
かれんが満足そうに頷く。
……まったく。
俺としては、できる限り自分の力で資金を用意するつもりだったんだけどな。
でも、そうか。
みんなで協力する仕組みを作ろうとしているのに、俺自身が誰にも頼ろうとしないんじゃ、本末転倒だよな。
「……ありがとう、かれん」
「どういたしまして」
俺は改めて頭を下げた。
すると、かれんが何かを思い出したように口を開いた。
「そういえば、ヒエンさん。経営や資金管理について相談できそうな方がいるんですが」
「ん?」
「四葉ありすさんという方なんです」
……四葉ありす?
その名前を聞いた瞬間、俺の頭に一人の少女の姿が浮かんだ。
四葉ありす。
『ドキドキ!プリキュア』に登場するキュアロゼッタ。
四葉財閥のお嬢様で、プリキュア達を資金面や設備面から支えていた人物だ。
……そういえば、いたな!
「……ああ、四葉ありすか」
「ご存じなんですか?」
「名前は聞いたことがあるよ。四葉財閥のお嬢様だろ?」
「ええ。私も以前から面識があるんです」
「なるほどな」
俺は頷いた。
「確かに、彼女なら経営関係にも詳しそうだ」
「はい。もしよろしければ、私から連絡を取ってみましょうか?」
「……そうだな。お願いしてもいいか?」
「もちろんです」
かれんが微笑む。
「ただ、いきなり出資をお願いするのではなく、まずは相談からにしましょう」
「ああ。その方がありがたい」
俺は苦笑した。
……それにしても、四葉ありすか。
彼女と繋がりができれば、今後の活動にも大きな助けになるだろう。
もちろん、最初から金銭的な援助を期待するつもりはないけどな。
「……でも、会社を作るとなると、経営する人間も必要になるな」
ナッツが呟いた。
「そうなんだよなぁ……」
俺は頭を掻いた。
「正直、俺は会社経営に関しては素人だからさ。できれば、経験のある人に任せたいんだけど……」
「ヒエン自身が社長になるつもりはないのか?」
シロップが尋ねる。
「いや、俺はプリキュア達の協力体制を整える方に集中したいんだ。会社まで全部自分で管理するのは、さすがに無理があるだろ?」
「それはそうだな」
ナッツが頷いた。
「だったら、経営を任せられる人間を探す必要があるな」
「ああ。まあ、それは追々考えるよ」
俺は肩をすくめた。
……誰か、いい人はいないものか。
そんなことを考えながら、俺はお茶を一口飲んだ。
すると、それまで黙って話を聞いていたのぞみが、勢いよく手を挙げた。
「はいっ!」
「ん?どうした、のぞみ?」
「私達も、その協力体制に参加したいです!」
「のぞみ」
りんが隣から声をかける。
「まだ全部決まったわけじゃないでしょ?」
「でも、りんちゃん!」
のぞみは真剣な顔で続けた。
「ヒエンさんがやろうとしてるのって、みんなで助け合えるようにすることなんだよね?」
「……まあ、そうだけど」
「だったら、私も協力したい!」
のぞみは俺へ向き直った。
「ヒエンさん。私達にも手伝わせてください!」
「……のぞみ」
「だって、困ってる人がいたら助けたいですもん!」
まっすぐな瞳。
迷いのない言葉。
……本当に、のぞみらしいな。
「ありがとう、のぞみ」
俺は微笑んだ。
「でも、みんなの意見も聞かないとな」
「はい!」
のぞみが元気よく頷く。
その隣で、りんが小さくため息をついた。
「……もう、のぞみったら」
けれど、その表情は柔らかい。
「まあ、私も反対するつもりはないですけど」
「りんちゃん!」
「ただし、ヒエンさん」
りんは俺へ視線を向けた。
「何でも一人で抱え込むのは、やめてくださいね」
「……ああ」
俺は頷いた。
「そのために、みんなに協力を頼もうとしてるんだ」
「だったら、いいです」
りんが小さく笑う。
「私も協力します」
「私もです!」
うららが元気よく手を挙げた。
「みんなで力を合わせられるなら、素敵だと思います!」
「そうね」
こまちも頷いた。
「私も賛成です。知らないことを教え合えるのも、きっと大切なことだと思いますから」
「私も協力します」
かれんが続く。
「ただ、連絡方法や情報の扱いについては、きちんと考える必要がありますね」
「ああ。その辺りは相談させてほしい」
「もちろんです」
かれんが微笑んだ。
「……仕方ないわね」
くるみが腕を組む。
「みんなが協力するっていうなら、私だけ何もしないわけにはいかないもの」
「くるみ」
「それに、ヒエンがまた無茶をしないか心配だし」
「……そんなに信用ないか、俺?」
「自分の胸に聞いてみなさい」
「…………」
何も言い返せなかった。
そんな俺を見て、みんなが笑う。
「ふふっ」
冷火も楽しそうに微笑んでいた。
「お兄様、皆様に随分と心配されていますね」
「……嬉しいやら情けないやら」
「それだけ大切に思われているということですよ」
「……そうだな」
俺は小さく頷いた。
すると、隣に座っていたあゆみが、おずおずと手を挙げた。
「あの……師匠」
「ん?どうした、あゆみ?」
「私も、何かお手伝いしたいです」
「もちろん」
俺は笑った。
「というか、あゆみにも一緒に来てもらおうと思ってたんだ」
「えっ?」
「これから各地を回る間、修行も少しずつ進めていこうと思ってる」
「修行……!」
あゆみの目が輝く。
「はい!頑張ります!」
「ただし、今日はもう休むこと。さっきの戦いで疲れてるだろ?」
「えっ?でも……」
「無理は禁物だぞ」
「……はい!」
あゆみは少し照れくさそうに笑った。
「それに、師匠として最初に教えることも決めてるしな」
「何ですか?」
「まずは、自分の身体をちゃんと動かせるようになることだ」
「身体を……?」
「ああ。戦うときの姿勢や足運び、相手との距離の取り方。そういう基本から始める」
「……はい!」
あゆみが真剣な顔で頷く。
俺はその様子を見て、少しだけ昔を思い出した。
リニスに二年間、基礎を徹底的に叩き込まれた日々。
……あれは本当に大変だった。
でも、あの経験があったからこそ、今の俺がある。
だから、あゆみにも基礎の大切さを教えたい。
もちろん、俺が受けた修行をそのままやらせるつもりはないけど。
「……ヒエン」
ナッツの声に、俺は顔を上げた。
「ん?」
「話を戻すぞ」
「ああ、悪い」
「とりあえず、俺達は連絡が取れそうな相手を調べてみる。それでいいな?」
「助かる」
「ただし、すべてのプリキュアに連絡が取れるとは限らないぞ」
「分かってる。無理なところは俺が別の方法を考えるよ」
いざとなればアンジェ先輩もいるしな。
「ならいい」
ナッツが頷く。
「まずは、誰に連絡できるか整理するところからだな」
「そうだね」
ココも同意した。
「ヒエンが直接会ったことのある人達から始めるのもいいかもしれない」
「ああ。いきなり知らない奴が訪ねてくるより、話も早いだろうしな」
俺は頷いた。
「連絡が取れたところから、順番に会いに行こうと思う」
「それなら、俺も手紙を届ける準備をしておく」
シロップが言った。
「ありがとう、シロップ」
「別に礼はいらない。まだ何もしてないからな」
「ははっ、そうだな」
俺は笑った。
……よし。
これで、ようやく一歩目だ。
まだ何も決まったわけじゃない。
協力してくれるプリキュアがどれだけいるのかも分からないし、連絡網をどう運用するかもこれからだ。
プリキュアパレスの使用許可も取らなければならない。
会社の設立だって、資金や経営者の問題がある。
やることは山積みだ。
でも、少なくとも。
俺一人で考えていたことが、少しずつ形になり始めている。
「……みんな」
俺は改めて全員の顔を見渡した。
「本当にありがとう」
そして、深く頭を下げた。
「これから、よろしく頼む」
「はいっ!」
真っ先に返事をしたのは、やっぱりのぞみだった。
「こちらこそ、よろしくお願いします!ヒエンさん!」
その笑顔につられるように、みんなも笑みを浮かべる。
俺も自然と笑っていた。
十三の闇の勢力。
これから何が起こるかは分からない。
だけど、少なくとも今は。
こうして頼れる仲間達がいることを、素直に嬉しく思った。
……さて。
まずは、どこから回るか考えないとな。
また出来たら投稿します。
では、また∠( ゚д゚)