大空の炎の力を操る転生者   作:Gussan0

52 / 394
どうも(゜▽゜*)

もう十一月も中頃ですね。

早いなあ~

ではどうぞ(*´・∀・)つ


第三十九話 それぞれの覚悟

ヒエンside

 

 

 

「だから……これよりロストロギア『ジュエルシード』の回収は私達『時空管理局』が全権を担当します」

 

リンディさんのその言葉を聞いたとき、なのはとユーノは顔を俯かせた。

 

「君達は今回のことは忘れて……それぞれの世界に戻って元通りに暮らすといい」

 

クロノがリンディさんに続く。

 

「でも……そんな…!?」

 

「次元干渉にかかわる事件だ。民間人の介入は許可できない」

 

「でも!」

 

なのはがなんとか反論しようとするが言葉がでてこないのか、そのまま黙ってしまう。彼女も分かっているのだろう。このまま自分たちが集めるより、彼らに任せた方がよいということを。

 

「まあ急に言われても気持ちの整理もつかないでしょう。今夜一晩…ゆっくり考えて三人で話し合って。それから改めてお話ししましょ」

 

リンディさんがそう締めくくった。話し合いを終わらせようとしている。

 

なのはは、こちらに助けを求めるかのように視線を向けてきた。俺はなのはの瞳をジッと見る。

 

その瞳はまだ諦めたくない!と語っていた。

 

俺は知っている。

いずれなのはとユーノは、アースラに協力を申し入れジュエルシードを共に集めることを…

 

だったらやることは決まっている。

 

話し合う時間も必要ない。

 

なぜなら答えはもうでているのだから。

 

「少し……いいでしょうか?」

 

俺はゆっくりと手を上げる。

 

「なんだ?話し合うことなどもうないと思うが…」

 

「クロノ。話を聞きましょう…」

 

俺の言葉をクロノが抑えようとしてきたがリンディさんがそれを制した。

 

俺はゆっくりと目を閉じる。

 

精神を集中させる。

 

俺の思考が段々とクリアになっていく。

 

そして再び目を開け、俺は少し死ぬ気モードとなった。ついでに言うと額に炎はついていない。

 

俺の発する空気が変わったことを察知したのかリンディさんとクロノも少し驚いている。

 

「なのは、ユーノ」

 

「なに?/なんですか?」

 

二人は俺に呼ばれ顔を上げる。

 

「二人とももう答えはでてるんじゃないのか?」

 

「「………」」

 

二人は何も答えない。

ここにきてまだ迷っているのだろうか?

 

だったら焚き付けるまでだ。

 

「そうか。だったら諦めるか…」

 

「「!?」」

 

「なのは…前に言っていたな?あの子とお話したいって?でもあの子にお前は負けてばかりだったな?まぁ、今のお前じゃフェイトの足元にも及ばないし、負け犬のお前には諦める方がお似合いかもな」

 

「…そんなこと!」

 

「ユーノ…お前もジュエルシードは全部集めると言っていたが、所詮は口だけか。なんだっけ?責任をとるだったっか? まぁ、仕方ないな。ガキ一人じゃ何もできないもんな?」

 

「く…」

 

俺は敢えて二人を突き放す言葉を選ぶ。

 

なぜなら、精神的余裕をなくすことによって考える余裕をなくすためだ。

 

人というのは追い詰められることにより本能的な行動をとりやすくなる。

 

つまり二人の本音を引き出すにはこの方法が手っ取り早かった。

 

俺の言葉によって、二人は怒りをこらえるような表情となる。チラッと見たがリンディさんとクロノは俺の考えが分かっているのか少し呆れているようだった。

 

「だってそうだろう?ここで反論一つできないってことはお前らの覚悟はその程度だったってことさ」

 

「そんなことない!!/ありません!!」

 

お、食いついてきた。

 

「………なにがそんなことないんだ?」

 

「確かに私は今はフェイトちゃんに負けてる。だけど!それでも!!あの子とお話ししたいって気持ちは嘘じゃない!それに私は決めたの!絶対にフェイトちゃんからお話しを聞くって!!だから強くなる!!ヒエンくんにもフェイトちゃんにももう負けないくらいに!!!」

 

なのはは立ち上がり、俺の目を真っ直ぐに見つめる。

なのはは少し半泣きになっていた。

 

「僕だって本気です!確かに兄さんの言うとおり僕一人じゃ何もできません。所詮は九歳の子供です。でも!それでも!!僕はジュエルシードを集めなくちゃいけない!ジュエルシードを発見したものとして!その責任をとらなくちゃいけない!!何より!!!僕がそうしたいって思ってるから!!!!」

 

ユーノも負けじと俺に言い返す。

 

二人は俺に思いの丈をぶつけるように声を上げた。

 

そして俺はその言葉を聞いたとき、自分の中で何か熱いものが燃え上がるのを感じた。

 

「………」

 

「「………」」

 

俺は二人を威圧するようにジッと見る。

 

二人は俺が発する空気にビクリとしながらも負けじと睨み返してきた。…二人とも少々震えていたが。

 

その様子を見たとき、体から力がフッと抜けるのを感じた。そして…

 

「ハァ~」

 

俺はため息をつき、なのはとユーノの髪をグシャグシャと力強く撫で始めた。

 

「にゃああああああ~」

 

「ちょ!兄さん!!目が回る~」

 

二人は俺にされるがままになっている。そしてひとしきり撫でるのに満足した俺は二人に言った。

 

「だったら最初から…そう言えばいいものを」

 

「「へ?」」

 

俺の言葉に二人は呆ける。

 

「ということでリンディさん…俺達の答えはもう決まってるんですが」

 

「ええ…分かってるわ。あれだけ大きな声で言われちゃ本気だって分かるもの」

 

リンディさんは呆れるように言う。

 

「リンディさんだってこの二人が本気だって理解してたからあんな提案を出したんじゃないんですか?」

 

「あら…気づいてたの?」

 

「そりゃ分かりますよ。変に俺達をジュエルシードに関わるなと押さえつけても逆効果になるかもしれない。だったら一日考える時間を与えることで、本気で動く気があるなら、自分達に接触してくることも予想していたんでしょう?」

 

考えてみればおかしかった。

 

本気でジュエルシードの回収を時空管理局が担うのであれば、俺達に考える時間など与えずに、そのまま関わらせず返せば良かったのだから。

 

「ええ。あなたたちはジュエルシードを封印できるようですから…本気であれば私達が動く動かないに関わらず、必ず行動を起こすだろうと考えていました。だったら私達がバックについてサポートした方が良いと判断しました」

 

「そうですね。その方がいいでしょう。なのはの方はこの可愛らしい見た目に反して、かなりの頑固でこうと決めたらテコでも動かないですが、彼女の魔力はそちらにとっても有効な戦力になりますよ。まだまだ荒削りですが、なのはの魔力量、魔法適性の高さは十分いや十二分です。なのはならフェイトとも何度も戦っていますし、彼女たちへ牽制にもなります。それだけじゃありません。ユーノは攻撃的な魔法は目立ちませんが結界、拘束、防御、補助などの後方支援魔法のエキスパートです。そしてジュエルシードを発見したのもユーノです。現状で彼以上にジュエルシードに詳しい情報を持っている人間はいません。俺に関しても不得意な魔法等は特にないのでそちらの戦力にはなれるかと」

 

「なるほど。良く考えていますね」

 

俺はリンディさんにこちらを加えた際のメリットを伝える。しかし俺の説明に納得できない女の子が一人…

 

「もう!なんで普通に紹介できないの!?なのはが言うこと聞かないみたいに言わないで!それにヒエンくんに頑固だとか言われたくないの!!」

 

なのははボサボサになった髪を元に戻しながら俺に反論する。

 

「俺はなにもしてないぞ?」

 

「いっつも!いっつも!!無茶ばっかりするじゃない!!!」

 

「いや…それは」

 

「こないだなんて頭から血流してたってユーノくんに聞いたよ!?」

 

そのときリンディさんとクロノが目を細めた。

 

「ま、まあその話はまた今度するから今は話を進めないと…」

 

「いえ大丈夫よ。あなたたちがどんな風にジュエルシードを集めてきたのかも知りたかったですし。それに……ヒエンくんには少し説教しないといけないしね?」

 

「え?」

 

リンディさん…

顔笑ってるけど目笑ってませんよ…

 

「なのはちゃんとユーノくんの本音を引き出すためとはいえ、少しやり過ぎです。なのはちゃんとユーノくん泣きそうだったのよ?」

 

「少し止めようと思ったほどだぞ?」

 

リンディさんは子供に言い聞かせるように、クロノは呆れたように言ってきた。

 

「「そ、そんなことないです!」」

 

なのはとユーノは少し赤くなりながら否定する。

 

あ、まああれは確かに…やりすぎたかも。

 

「あー、その…二人とも酷いこといってごめん」

 

「ちょっと怖かったけど…大丈夫」

 

「僕もです。兄さんはいつも僕たちのことを考えてくれてるって分かってましたから」

 

なのはとユーノが俺の謝罪を受けて許してくれた。というかユーノなんてことを言うんだ…。泣きそうになるぞこのやろう。

 

「仲直りもできて良かったわ。とりあえず、今までのジュエルシードをどう集めてきたのか教えてもらっていいかしら?」

 

「分かりました」

 

俺達は今まで遭遇したジュエルシードについて話した。

 

そして全て話終わる頃にはすっかり日も暮れており、また後日アースラで話をすることとなった。

 

 

 

俺達はアースラの転送魔法によって海鳴臨海公園に転送された。

 

「………とりあえず…帰ろうか…?」

 

「…………うん……」

 

なのはの言葉にユーノが返す。

 

「……んーと……同い年……くらい?」

 

「あ、うん。たぶん…」

 

「あ……ええと…もしかして怒ってたり…する?」

 

「そんなつもりじゃなかったんだけど…秘密にしてたみたいになっちゃって…」

 

「あ、ううん………!びっくりはしたけど…それだけだよ!」

 

「その……ごめん……ありがと……」

 

「あはは…」

 

え…

なにこの甘い空気。

目茶苦茶居づらいんですけど!

とりあえず空気になっとこ。

 

「とりあえず…普段はこっちの姿でいる方が便利そうだから…」

 

「うんそうだねー」

 

ユーノは再びフェレットの姿となり、なのはの肩へと飛び移った。

 

そうして二人は歩き始めた。

俺はゆっくりと空を見上げる。

 

ついにアースラがやってきた。

ということは物語はいよいよ佳境へと入る。これからやるべきことがいっぱいだ。いろいろ準備しておかないとな。

 

「ヒエンくーん。何してるのー?帰るよー?」

 

「おーう」

 

俺は少し先を行くなのはの後を追い始めた。

 

 

 

ヒエンside end

 

◆◆◆

 

フェイトside

 

 

 

フェイトとアルフの隠れ家

 

フェイトは黒いソファにバルディッシュを抱えながらジッと座り、その前にはアルフが悲痛な面持ちで立っていた。

 

「フェイト…もう…だめだよ。管理局まで出てきたんじゃもーどうにもならないよ…。あのときはあの炎の奴がなんとかしてくれたから良かったけど…」

 

「大丈夫…」

 

「大丈夫じゃないよ……!本気で捜査されたらここだっていつまでバレずにいられるか…」

 

アルフは涙を流しながらフェイトに訴える。

 

「あの鬼ババ……あんたのかーさんだってフェイトにひどいことばっかする!あんなヤツのためにもうこれ以上……!」

 

「母さんのこと…悪くいわないで」

 

「言うよ!だってあたしフェイトが心配だ…!フェイトはあたしのご主人様で……あたしにとっては世界中の誰より大切な子なんだよ……?」

 

アルフの中でフェイトとの記憶が蘇る。

 

「群れから捨てられたあたしを拾ってくれて……使い魔にしてくれて……ずーっと優しくしてくれた……。フェイトが泣くのも悲しむのも……あたし嫌なんだよ……!!」

 

「ありがとう……アルフ……」

 

フェイトはアルフの頭を優しく撫でる。

 

「でもね…?わたし、それでも……母さんの願いをかなえてあげたいの。あともう少し……最後までもう少しだから……だからお願い…」

 

「……うん……」

 

金色の少女は誓う。

必ず全てのジュエルシードを手に入れると。そして必ず母を笑顔にしてみせると。

 

少女と同じく金色の輝きを放つ月が、彼女たちを優しく照らすのだった。

 




早くコラボかきてえ~

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。