大空の炎の力を操る転生者   作:Gussan0

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どうも!
明けましておめでとうございます!!(゜▽゜*)

今年もがんばっていきます!
とりあえず年内には無印終わらせたいですね。

では、どうぞ(*・∀・)つ


第四十七話 互いの事情

ヒエンside

 

 

 

俺の放つ砲撃が怨霊を飲み込む。

 

そして大きな爆発音が周囲に響き…怨霊は消滅したのだった。

 

「はぁ…はぁ…はぁ………や、やった…」

 

俺は魔法を解除すると膝に手をつく。

 

すると途端に体が重くなり、思わず地に座り込んでしまう。それと同時にバリアジャケットが解除され、いつもの黒ジャージに戻ってしまった。

 

 

 

ピキキッ

 

 

 

数秒後、突如上空にひび割れが入る。俺は突然のことに身構える。

 

「大丈夫ですよ。結界が解除されるだけですから」

 

それをいつの間にか俺の側まで近付いていた那美さんの説明によって問題がないことを理解する。俺は肩に入っていた力を少し抜いた。

 

「はぁ…」

 

「ふふ。お疲れ様でした」

 

「あ、ああ」

 

那美さんが俺に優しげに笑いかける。思わずその笑顔に見惚れてしまった。

 

「見てください」

 

那美さんは顔を上へ向ける。

 

すると空間にヒビが入り、それは徐々に屋上全体へと広がっていく。

 

そして結界がパラパラと崩れながら割れていく。

 

 

 

ピキピキピキ…パキン

 

 

 

空虚だった景色に夜空が戻る。それと同時に戦いで荒れていた屋上も綺麗に戻った。どうやら結界が解除されたようだ。

 

「あ、今日は満月だったのか…」

 

俺が見上げると夜空に黄色に光る丸い星が見えた。

 

俺と那美さんはしばらく、綺麗に優しく光る満月を見ているのだった。

 

 

 

◆◆◆

 

 

 

「だいじょうぶ?」

 

俺が満月を見上げているとき、そんな声がふと聞こえた。俺が目を向けると巫女服を着た金髪のポニーテールの女の子が側にいた。言うまでもなく久遠である。

 

狐耳と尻尾をピコピコゆらしながらこちらを心配そうに見つめている。

 

「ああ、大丈夫だ。心配かけて悪かったな」

 

俺は久遠の頭を優しく撫でる。久遠は目を細めて気持ち良さそうな表情となり、それに比例して尻尾がユラユラと大きく揺れていた。それにしても久遠の髪はサラサラとしていて撫でやすい。

 

と同時にふと気付く。

そういえばまだ死ぬ気モードのままだった。

 

俺は死ぬ気モードを解除し、ついでに久遠の頭を撫でながら周りを見回す。

 

目的のものはポツンと空中に浮いていた。俺は久遠の頭を撫でるのをやめると、ジュエルシードへと近付いていく。…その際、久遠から少し悲しそうな目を向けられたが。

 

ジュエルシードを手に取る。

 

しっかりと封印されていた。

 

「ジュエルシードシリアルナンバー9封印…完了っと」

 

俺はそれをポケットに入れると、こちらをジッと見ている巫女二人と目が合う。

 

「あの…」

 

「大丈夫ですよ。ちゃんと……説明しますから」

 

俺は何か言いたげな那美さんの言葉に被せるように言った。

 

そして俺は那美さんから目をそらし、屋上から見える景色を視界に映しながら…今、この状況を見ているであろう執務官に念話を飛ばす。

 

『というわけで…少し遅くなる』

 

『はぁ…。このあとちゃんと何があったか報告してもらうぞ』

 

『サンキュークロノ』

 

『できるだけ遅くならないように』

 

『おう』

 

そして俺達は少し休憩してから場所を移すのだった。

 

 

 

◆◆◆

 

 

 

場所を屋上から中庭に移した俺達は、備え付けのベンチに三人で座る。端から那美さん、久遠、俺の順である。

 

真ん中に座った久遠がなにかソワソワしながら俺と那美さんを見比べているがどうかしたんだろうか?

 

しかし俺は特に気にせず話を始めた。

 

「まずはお互いに自己紹介からしましょうか。俺はヒエン、大空 氷炎(おおぞら ひえん)といいます。風芽丘学園の二年です。よろしくお願いします」

 

「え!?」

 

すると俺の自己紹介を聞いた那美さんが驚いたような反応をした。

 

「どうしたんです?」

 

「ご、ごめんなさい。大空…さんのことは友達から聞いたことがありましたから」

 

「友達?」

 

「はい。高町美由希さんという方はご存知ですか?」

 

「は、はい。知ってるもなにも同じクラスで友達です」

 

「やっぱりそうだったんですね」

 

「はい」

 

なるほど。

那美さんって美由希さんの友達だったのか。そういえばとらいあんぐるハート3でも二人は友人だった描写があったような気がする。

 

「そ、それより私も自己紹介しますね。私は神咲 那美(かんざき なみ)。同じく風芽丘学園の三年です。よろしくお願いしますね大空さん」

 

「ご先輩だったんですか。それと俺はヒエンでいいですよ?」

 

「私も那美でいいですよ?」

 

二人で顔を見合わせ少し笑う。

 

「それじゃ改めてよろしくお願いします那美さん」

 

「こちらこそよろしくお願いしますヒエン君」

 

俺達は握手をした。

 

「あ、あとその…言いにくいんですけどヒエン君に敬語を使われると…その…少し変な感じがするので普通に話してもらえないですか?」

 

「え?」

 

なんで!?

敬語変なんて言われたの初めてなんですけど!?

 

「そ、その…さっきは普通に話してくれてたから…」

 

あー

まあ、あのときは死ぬ気モードだったし…しかも言葉も少し厳しめに言っちゃってたからなあ。

 

「わかりま…わかった。それじゃ那美さんも普通に話してくれよ?俺だけじゃ不公平だし」

 

「う、うん。わ、分かったよ」

 

「うし、じゃあそれで決まり」

 

そして俺達は姿勢をただし、改めて座り直す。

 

「それじゃまずは…俺からの方が?」

 

「う、うん。迷惑でなければ」

 

そして俺は話を始める。

 

「といはいえ何から話したもんかな?」

 

しかし話をするとはいったものの何を話せばいいのやら…俺は首を傾げながら考える。

 

「あの…」

 

「うん?」

 

「簡単な感じでいいよ?私はヒエン君が使ってた力がなんなのか気になってるだけだし…それに他にも色んな人を知ってるから」

 

俺がどう話せばいいのかを迷っている事を察したのか那美さんが気をつかってくれている。というよりも今気になるワードがあったぞ?

 

「色んな人?」

 

「私ね、さざなみ寮ってところに住んでるんだけど…そこに色んな能力を持った人達が住んでるの」

 

さざなみ寮…

聞いたことあるぞ。

というより思いっきりとらいあんぐるハート2の舞台やないですか((((;゜Д゜)))

 

「へ、へぇ~そんな人達がいるのか。あ、会ってみたいな~」

 

俺は顔を少しひきつらせながら笑顔を浮かべて言う。まぁ、社交辞令だがな!本気で言っているわけではない!!

 

「そう?じゃあ今度時間があるときにでも遊びにきたらいいよ!皆に紹介するから!!」

 

「………ソ、ソウ?ジャ、ジャアエンリョナク。ア、アリガトウゴザイマス」

 

なんでじゃああああああああああああああああああ!!!!!!???????

 

俺は思わず心の中で突っ込みを入れていた。

 

どこの世界にその日会ったばかりの男を自宅へと招く女の子がいるというのか!?………うん、いたね。思いっきり隣にいたね。

 

どうやら俺は那美さんにとって既に信頼に値する評価を得ているらしい。その証拠に輝かんばかりに嬉しそうな笑顔をこちらに向けている。間に挟まれている久遠も尻尾をパタパタと振り嬉しそうにこちらに笑顔を向けている。

 

二人の信頼が初っぱなから重すぎるぜorz

 

それにこの子、将来悪い男に引っ掛からないかお兄さん心配です( ; ゜Д゜)

 

俺は空気を変えるためにさっそく話をする。

 

「じゃ、じゃあ話すよ。俺の使ってたあの力は…魔法なんだ」

 

「ま、魔法!?」

 

那美さんは空いた口が塞がらないような表情となる。ちょっとかわいい(゜▽゜*)

 

「うん。驚くと思うんだけど俺たちの住んでるこの世界には…地球とは別に色んな世界があるんだ。その世界のことは次元世界と呼ばれている」

 

「次元世界…」

 

「うん。その内の次元世界のひとつミッドチルダって呼ばれる世界で主に使われているのが魔法なんだ」

 

「へえぇ~」

 

那美さんは呆ける。間に挟まれている久遠は俺達が難しい話をしているからか舟をこいでいた。

 

「那美さんは魔法使いっていうとどんなイメージを浮かべる?」

 

「えーと…杖に黒いローブ、本に、あとはほうきかな?ハリー・ポッターみたいな」

 

「まあ、一般的なイメージはそうだよね」

 

「うん」

 

俺もハリー・ポッターは好きである。学校の図書室でタマに借りて読んでいた。

 

「でも俺達、魔法使い…いや魔導師が使う魔法はそういったファンタジー要素は全くないとは言わないけど…かなり少ない。例えば…」

 

俺は両腕に黒い籠手を出現させ射撃魔法シュートバレットを発動させる。俺の手のひらにオレンジの小さな球体がフワフワと浮かぶ。それを俺はヒュンヒュンと飛ばせ、最後は花火のようにパァンと弾けさせた。

 

「今、使ったのは射撃魔法っていうんだけど…これは俺の中にある魔力を放出してコントロールしてる。ここに籠手つけてるだろ?」

 

「う、うん」

 

「これはデバイスといって簡単に言えば魔法使いの杖の役割を果たしてる。デバイスには色んな型があるんだ。意思を持ったインテリジェントデバイス 、一般的な杖型が多いストレージデバイス 、補助を目的としたブーストデバイス 、武器を形状としたアームドデバイス 、融合を主体としたユニゾンデバイス。主にこの五つがデバイスとされている。このデバイスがあるとないとじゃ、魔法のコントロール機能がかなり違ってくるんだ」

 

俺のデバイスは本当は相棒であるが言ったところでややこしくなるだけなので、今はシンプルに話すことにする。

 

「簡単にいうと、このデバイスに登録されたプログラムを発動させることによって魔法を発動させている。この世界でいう魔法は、自然摂理や物理法則をプログラム化して、それを任意に書き換えて、書き加えたり消去したりすることで作用させる技法なんだ」

 

「えーっと…要はそのデバイスに登録されたプログラム…を変えたり色々弄ったりして発動させると魔法が使えるってこと?」

 

「うん。簡単にいえばデバイスはパソコン、プログラムはデータってところかな。地球でいう科学のことをさらに進化させたものを魔法って呼んでるようなものかな?」

 

「な、なるほど。確かにそれなら未来の科学って言われた方がしっくりくるかも。じゃあヒエン君はその魔法使い…じゃなくて魔導師なの?」

 

「うん。フリーの魔導師」

 

「フリー?どういうことかよく分からないけど…でも魔法ってすごいんだね。あの女の人達を浄化させちゃったんだもの」

 

「浄化…か」

 

俺は先程までの戦闘を振り返る。

あのとき浄化できたのは魔法だけではないだろう。死ぬ気の炎もあったおかげで完全に浄化できた気がする。ただ、魔法だけでもややこしいのに死ぬ気の炎まで説明すると那美さんの頭は完全にパンクするだろう。また聞かれたときに答えればよい。

 

「どうしたの?」

 

「いや…なんでもない。それより…」

 

「あ、そうだったね。次は私の番だね」

 

那美さんは姿勢をただして綺麗に座り直す。そして凛とした雰囲気で話し出した。

 

「改めて…私は神咲 那美(かんざき なみ)。退魔師をしております」

 

「退魔師…」

 

「退魔師とはこの地上にさまよっている霊と対話、又はその恨みや思いによって怨霊と化している者達を成仏させることを生業としている者達のことです」

 

「じゃあやっぱりあの女達は…」

 

「はい。怨霊と化していました」

 

「なるほど。それと気になっているのが…久遠も巫女?」

 

「久遠は妖狐と呼ばれる存在になります。戦闘が得意でない私に力を貸してくれています」

 

「へぇ~」

 

っていうかやっぱり戦闘は得意じゃないんだな。

やっぱり戦闘をしたのが俺で良かったかもしれない。

 

それより那美さんは先程までとは違った雰囲気で話しているが…なんか合わないな。

 

「那美さん…言いにくいんだけどその雰囲気似合ってない」

 

「………」

 

やべ。

なんか固まった…

 

「………」

 

「………」

 

「………あー、うそうそ。似合ってる似合ってる」

 

俺は無言になっている空気に耐えられずそう発言してしまった。

 

「………もう!ひどいよ!!せっかく大人っぽい雰囲気でいってみようと思ってたのに…」

 

「いや、無理にそんな雰囲気出さなくていいから」

 

「うう…」

 

那美さんは恥ずかしそうに両手で顔を覆う。恥ずかしいならなぜやったのだろう?それより脱線してるな。話を戻すか。

 

「あー、それよりなんで那美さん達はここに?」

 

「えっとね…私達はここの守衛さんから夜に女の霊をよく見るっていう相談を受けてたから調査に来てたの」

 

「そうなんだ?」

 

「うん。調査は今日が初日だったから念のために守衛さんには出ていってもらってて。それで中に入って動き始めようとしたら、突然ヒエン君が中庭から屋上に飛んでいくのを見つけて…。そしたら急に屋上から嫌な気配を感じて…急いで向かったら……」

 

「俺が霊の女達に襲われていた…と」

 

「うん」

 

なるほど。

というか屋上に飛んでいく姿を見られてたのか。

 

異能の能力に理解のある那美さんだから良かったもののこれが一般人だったら大変なことになっていたかもしれない。次からは気を付けないとな。

 

「それよりヒエン君が無事で本当に良かった。あのとき、急に前に出たときは驚いたんだよ?」

 

「あー、うん」

 

「いきなり炎は出るし氷は出るし、高速で動き回るし、殴り合いは始めるし」

 

「う、うん」

 

「女性の霊は合体するし、分身は急に現れるし……」

 

「うん?」

 

あれー?

なんだか那美さんの声が段々低くなってきたぞー?

 

「揚げ句の果てには自爆するし……無茶ばっかりするし……」

 

「…うん」

 

これはやばいな。

俺の今までの経験と超直感が言っている。めんどくさいことになる前に早く逃げろと。ここは大人しく逃げるとしよう。ではさらだばー。

 

 

 

ガシッ‼

 

 

 

「逃がさないよ?」(優しい笑顔)

 

 

 

笑顔がこええぇぇ((((;゜Д゜)))!!!!

 

 

 

5分後…

 

 

 

「説教の続きはまた今度さざなみ寮に来たときにするからね!!」

 

俺は小学校の中庭で正座させられながら説教されていた。そしていつの間にかさざなみ寮で次の説教の日取りが既に決定していた。というか俺がさざなみ寮に訪れるのは決定事項なんですね。

 

「俺に拒否権は?」

 

「無茶する人にあるとでも?」

 

「…はい」

 

ここは大人しく言うことを聞くしかないであろう。

 

怖い…ミコ、コワイ。

 

「それよりヒエン君はどうしてこんな夜遅くに小学校に来てたの?」

 

あー

やっぱり来たか。

俺はポケットにあるジュエルシードを掴む。

 

ここまで来ると説明しないわけにはいかないがどうする?下手に説明するとこのお人好し娘の那美さんのことだ。「私も手伝う!」と言いかねない。だがここまできて秘密にするというのも正直難しいだろう。

 

ここは…

 

「………」

 

俺はある程度考えた後、話し始めた。

 

「俺の目的はこれだよ」

 

俺はポケットからジュエルシードを出し那美さんに見せる。那美さんはそれをじっと見つめる。

 

「きれい…」

 

「これはジュエルシードといって願いを叶える性質を持ってるんだ」

 

「願いを?」

 

「うん。使用者や周囲の願い・想いに反応するようになっている」

 

「それってすごいものなんじゃ…」

 

「ただし……それは(いびつ)に叶えられてしまう」

 

「歪に?」

 

「例えば…ある子猫が背が大きくなりたいと願えば約15メートルほどに大きくなったり、ある子犬が強くなりたいと願えば怪物のような姿になったり…」

 

「怪物……それじゃあの人達が合体したのは…」

 

「ああ、ジュエルシードがあの女達の想いを叶えた結果、合体した」

 

「そう…なんだ。そのジュエルシードはもう大丈夫なの?」

 

「もう既に封印してあるから大丈夫だよ」

 

「良かった~」

 

那美さんは心底安心したような表情をする。しかしすぐに表情を曇らせこちらに問いかけてくる。

 

「その…ジュエルシードって他にもあるの?」

 

「うん。これはとある事情で海鳴に21コばらまかれたんだ。そして…()()()()()()()1()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

「最後の1コ?」

 

「ああ。既にとある協力者達のおかげで他のジュエルシードはもう全部集まってる」

 

「そ、そうなんだ。じゃあもう心配する必要はないんだね」

 

「ああ、とりあえずこれで一般人が巻き込まれることはないよ」

 

俺は那美さんに少しばかり嘘をついた。

ジュエルシードは全部集まってはいない。

 

アースラで探し始めて約二週間ほどたつが…

 

アースラ側は俺が今日手に入れたジュエルシードを合わせると2コ、フェイト側が2コ見つけている。しかし残り7コのジュエルシードがまだ見つかっていないのだ。

 

少々罪悪感が湧くが、彼女を巻き込まないようにするためにはこの嘘を貫き通すしかない。彼女は退魔師であり厄介事に慣れているとはいえ、俺にとっては魔力を持たぬ一般人と同じなのだ。

 

ここで曖昧な態度をとってしまえば、力になりたいと言うのは目に見えている。

 

確かに彼女のヒーリング能力や、久遠の雷の能力には目を見張るものがある。だがジュエルシードを集めるという点に置いては、正直足手まといにしかならないのだ。

 

「あ」

 

「うん?」

 

そのとき那美さんがふと声をあげる。

 

「もしかしてヒエン君が学校を一ヶ月休んでるのって……」

 

そういえば美由希さんからある程度聞いてるっていってたっけ。

 

「そう。ジュエルシードを集めるためだよ」

 

俺はもう隠すことでもないので正直に打ち明けた。

 

「このこと美由希さんは知ってるの?」

 

「いや、知らない。魔法はこの地球じゃ認知されていない力だ。どこから情報が漏れるか分からない。それに下手をすれば巻き込む危険性もあるから一般人には言ってない」

 

「それは…確かにそうだね」

 

魔法も霊能力も一般の人からしたら、架空の産物である。もしそれが実在するとなれば社会が混乱する危険性があるため誰にも知られる訳にはいかない。秘匿する必要があるのだ。

 

「だから…」

 

「うん、分かってる。安心して、誰にも言わないから」

 

「ありがとう。ところで那美さん…」

 

こうしてある程度の情報交換は終わった。なのでそろそろ…

 

「正座やめてもいいですかね?」

 

「却下♪」

 

笑顔で言われた。

 

 

 

◆◆◆

 

 

 

あのあと10分ほど追加で正座させられたが無事に解放された。微妙に足が痛いです…。

 

俺達は、聖祥大付属小学校の門の前で立っていた。久遠はすっかり熟睡しており俺の背中にて気持ちよく寝ている。そして俺達は歩き出す。戦闘時間や話し込んだ時間もあったせいか時刻は既に深夜一時を回っていた。

 

流石にこの時間帯に、巫女二人だけで帰らせるのは気が引けたので送っていくと言った次第である。

 

「送ってもらってごめんね」

 

「困ったときはお互い様だし、気にしない気にしない」

 

時間帯が深夜なせいもあってか通りには全く人がいない。やっぱり昼頃に見る景色と夜見る景色は違う。

 

そんなことを考えていると、那美さんがこちらに何か言いたそうな感じで見ていたので思わず立ち止まった。

 

「どしたの?」

 

「え?えーっと…その」

 

「うん?」

 

なんか慌ててるみたいだけどどうしたよ?

 

「あの…迷惑でなければ…なんだけどね?」

 

「うん」

 

「連絡先…交換しない?」

 

「ああ、全然いいよ」

 

俺は背負ってる久遠を片手で持ち、ポケットに手を入れ、シルバーのケータイを取りだした。

 

しかしなぜか俺のそんな様子を見ていた那美さんが少しばかり頬をふくらませていたが…

 

なんか怒らせるようなことしたかな?

 

そして俺は那美さんにメールアドレスと電話番号を伝える。まだこの世界にはLINEもSkypeもないのである。早くスマホでないかなぁ。

 

「これ私のメールアドレスと電話番号」

 

「ほいほい」

 

俺はパッパッパとケータイを操る。

 

そして新たに電話帳に「神崎 那美」と登録された。

 

ふむ。

まさかあのとらいあんぐるハートシリーズの那美さんの連絡先が知れるとは思わなかった。これもしかしたらとらいあんぐるハートシリーズの人達全員と知り合うチャンスもあるんじゃね?まぁ、さざなみ寮への強制連行は既に決まっているのでそれも時間の問題であるかもしれないが。

 

でもまあ今はとりあえず…

 

二人を送るかね。

 

俺は巫女二人を送るために再び歩き出すのだった。

 




はぁ~
2017年は色々勝負の年だなあ。

では、また( ・∀・)ノ

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