早いもので一月ももうすぐで終わりですね。
では、どうぞ(* ̄∇ ̄)ノ
ヒエンside
日は既に沈み、時間は18時5分前を指していた。つまり時刻は17:55分である。
さざなみ寮の食堂というかリビングでは、管理人の耕介さんが夕食の準備をしていた。
その他の面子は各自部屋へと戻り、休んだり仕事をしたりしている。
そして俺はというとリビングの真ん中で…
チーン…
正座しながら真っ白に燃え尽きていたorz
あかん…
正座四時間はあかん。
その上さざなみ寮真面目組(耕介さん、愛さん、薫さん、那美さん)からの説教が思いのほか精神的にきつかった。
そりゃノンストップで四時間も説教され続ければ某ボクサーのように真っ白に燃え尽きる。
特に俺が自爆したことに関してすごく問いつめてきた。
一番突っ込んできたのが神咲姉妹であった。姉の薫さんからのどういうことだ?どうしてそんな無茶をした?という質問から、那美さんの無言の笑顔の威圧によって洗いざらい吐かされた。
こちらの言い訳として、魔力を持たない一般人を巻き込む訳にはいかないや、ジュエルシードを回収するためだという理由でなんとか納得してもらった。
後は俺の普段の生活や、日常的なことを聞かれた。こちらは耕介さんと愛さんが中心に聞いてきた。やれちゃんと学校はいっているのか?勉強はしているのか?などなど。
俺はそれらの生活事情をかいつまんで説明した。両親は海外で仕事をしており、今は一人暮らしをしていること。普段は日常生活を送りつつたまに魔法の修行をしていることなど…話しただけだ。
時空管理局や、なのはのこと、フェイトのことは一言も話していない。心配されているとはいえ全部を話すわけにはいかないのだ。話してしまえば否が応でも巻き込んでしまうからだ。それに余計な介入をされてイレギュラーが起きるのも困る。
ジュエルシードを巡る…後にPT事件と呼ばれるようになるこの騒動も、もうすぐ終幕へと向かっているのだから…。
それ以外にも、魔法関係の質問を何回かされたが適当に流しておいた。俺に答える気がないと分かるとしぶしぶながら四人とも引いてくれた。…途中何度か銀髪合法ロリ…もといリスティさんが俺の考えを読もうとしたが例の如く、相棒に防いでもらった。
そして…もうすぐ四時間の正座が18時丁度で終わろうとしていた。説教と正座を乗り越えた自分を褒めてやりたい。…俺アースラに戻ったらひたすら甘いもの食べるんだ。
そして18時になろうとしたとき…どこからか視線を感じた。
俺は視線を感じる方向をチラッと見るとこちらをジーッと見つめている二人組の姿を確認した。
そこにいたのは金髪の長い髪をした綺麗な女性と、銀髪の少し幼そうな少年であった。
「………」
「「………」」
普段ならこちらから話しかけようかなとか思うのだが、今の俺にそんな余裕はどこにもなかった。
足がしびれてそれどころじゃないとですorz
すると何を思ったのか突如側で寝ていた相棒が俺の後ろへとトコトコとやってくる。
そのとき相棒がやろうとしていることが分かった。
おい貴様!?
何を考えている!?
やめろ!それだけは止めてください!!
お願いします!!!Σ(゜Д゜)
だが俺の思いは通じず、相棒は俺の足の裏をポンとたたいた。
うぎゃああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!???
そのとき俺の叫びが、さざなみ寮中に木霊したそうな。
ヒエンside end
◆◆◆
十六夜side
リビングにて座りながら悶絶する少年を霊剣に宿る二人の精霊、破魔刀「霊剣・十六夜(いざよい)」と破魔刀「霊剣・御架月(みかづき)」は体を物質化させコッソリと隠れながら見ていた。
「姉様…あの者が皆さんが言っていた?」
「ええ。魔導師と呼ばれる霊力とは違う力を持つ方です」
「僕はてっきりもっとこう…人間離れした者を想像していたのですが…」
「ふふふ。可愛らしいお方ではありませんか。それにあの方、見たところただ者ではありませんよ?」
「どういうことですか?」
「私達の存在に気付いています」
その言葉に御架月は唖然とした。
十六夜と御架月は、少年の姿を見るためバレないように姿を限りなく薄く消していたのだが…
御架月は疑わしげに視線を少年へと戻す。
「姉様、僕にはただ正座中に痺れた足をペットに叩かれている少年にしか見えないのですが…」
「一度こちらへと向ける視線を感じたので確かです」
「姉様がそうおっしゃるならそうなのかもしれませんが…」
「それよりもそろそろ回復してさしあげましょうか。足がしびれて動けないみたいですし。いきましょう御架月」
「はい。姉様」
そして二人は少年の元へと向かった。
十六夜side end
◆◆◆
ヒエンside
相棒の足ポンポン攻撃に俺は正座を崩し、転げていた。というか足がしびれすぎて動けずにいた。
「あははは…。大丈夫かい?」
俺の悲鳴を聞いたのか耕介さんが苦笑いを浮かべながら尋ねてきた。
「あ、足が…足が…」
「ガゥガゥ」
相棒がやれやれといった思念を送ってくる。
おい!?
元はと言えばお前のせいでしょーが!?
なぜそこでやれやれなんだコノヤローΣ(゜Д゜)
と相棒の理不尽な反応に憤慨していると…
「あらあら…大丈夫ですか?」
「なんというか同情してしまいますね…」
そこに綺麗な金髪を翻し白い着物のようなものを着た女性と、その隣には銀髪で黒い着物を着た少年が立っていた。
ってこの人達は!?
「あ、十六夜さんに御架月…」
耕介さんが反応する。
十六夜さんに御架月さん…。
確か十六夜さんは薫さんが持つ神咲一灯流当代の証である「霊剣・十六夜」に宿る精霊であり、そして御架月さんは「霊剣・御架月」に宿る精霊だったはずだ。つまり二人は姉弟である。
「彼の治癒をと思いまして…」
「ああ…なるほど。じゃあお願いしてあげてもいいですか?」
「はい。お任せ下さい」
十六夜さんがこちらに笑顔を向けてくる。
やべぇ…。
超綺麗なんですけど。
「初めましてヒエンさん。私は十六夜と申します。今から少しばかり治癒させていただきますね」
「は、はい」
そういえば俺、転げている体勢のままだった。なんとかしびれる足に耐えながら座り直した。勿論、正座ではない。というかもう無理です。
「じっとしていてくださいね」
そういえばこの人も治癒能力があったんだっけ?
十六夜さんは俺の足に両手を当てる。すると彼女の両手から少しばかりの光が溢れた。その光に俺の足が当たると、しびれていた足が治った。
おおっ!
俺は人差し指でチョンチョンと足に触れてみる。もうしびれることはなかった。
俺は思わず正座で座り直し、十六夜さんにお礼を言った。
「ありがとうございます!」
「いいえ~どういたしまして」
俺がお礼を言うと十六夜さんは笑顔で返してくれた。しかし間近で見ると本当に綺麗だなこの人。
というか至近距離で見ると自然と胸元にも視線がいってしまう。うん。大きい、かなり大きい。忍さんよりも大きい。身長も俺より少し大きいんじゃないだろうか?
と俺がマジマジと見ているのに気付いたのだろう。首を傾げながら聞いてきた。
「私の顔に何かついていますか?」
「あ、いえ…その…お綺麗だなあと」
「…ほめたって何も出ませんよもう」
といいつつ少し嬉しそうに反応する十六夜さん。そのとき側にいた御架月さんが俺に話しかけてきた。
「姉様を口説くのなら僕を通していただけますか!」
「あ、いえそんなつもりは…」
「それは姉様に魅力がないという意味ですか!?」
「いえいえ!とてもお綺麗な方だと思います!」
「やはり姉様が目的か!」
「いやいや、というかこれさっきもやったよね!?」
うおおおお!!
なんだ!?この人もどこかの兄貴の如くめんどくせえぞ!?
あれか?
海鳴に住むシスコンは暴走するのが定めなんだろうか。
そんなことを思いながら俺は御架月さんの説得をするのだった。
◆◆◆
御架月さんをなんとか落ち着かせたあと、俺はそのまま晩御飯をご馳走になっていた。
そろそろおいとましようと思っていたのだが、耕介さんの「晩御飯食べていきなよ」の一言で陥落した。
例の如く真ん中であるが、なんと隣は十六夜さんと御架月さんの精霊姉弟であった。
夕飯のおかずは唐揚げのようで、その他にもポテトサラダ、フライドポテトなどが置いてあった。かなり美味しそうである。
「ヒエンさんこれどうぞ」
「あ、ありがとうございます」
隣の十六夜さんが唐揚げとフライドポテト、サラダをバランス良く取ってくれた。
十六夜さんの横顔をボーッと見てみる。やっぱり綺麗である。しかしあんまり見るのも失礼なので視線を前へと戻すが…
ムスッ
ニヤニヤ
なぜかムスッとしている神咲姉妹と、ニヤニヤしているそれ以外の面子がこちらを見ていた。
なぜか薫さんと那美さんからの視線が痛い。
俺は空気を変えるために話題を出す。
「お二人は…ご姉弟なんですか?」
「はい。私が姉でこの子が弟になります」
「へぇ~なるほど」
俺は相づちを打ちながらごはんを口へと運ぶ。
「十六夜さんは薫が持つ刀に宿る精霊なんだよ」
耕介さんが補足する。
「へぇ~……ってそういえば薫さんも退魔師なんですよね?」
「そうだよ。霊剣・十六夜は破魔真道剣術 神咲一灯流当代伝承者だけが持つ資格があるんだ」
「へぇ~」
俺は再び感心しながらごはんを口へと運ぶ。
「そして俺が持っているのが霊剣・御架月ってわけ」
「………え?」
俺はつい食べようとしていた唐揚げを落としてしまった。
あ……そ、そういえば耕介さんも退魔師だったっけ?
進むストーリーによってそういう設定が確かあった気がする。
忘れてたぜorz
「え、なにその反応…」
「いや…その…かなり意外すぎて」
すいません!
忘れてただけです!!
って会話続けないと。
「ということはあれですか。耕介さんも退魔師なんですか?」
「そうだよ。退魔師を始めたのは7年前くらい前からかな?でも俺なんてまだまだ新人も良いところだよ」
「へぇ~そうなんですか」
俺は相づちを打ちながら三度ごはんを口へと運ぶ。
そのとき話を聞いていた薫さんが口を出した。
「何をおっしゃいますか…。ウチと那美を遥かに凌ぐ霊力を持っているというのに…」
「ちょっと薫!?」
「別にウチは可笑しなこといったつもりはありませんよ?」
「へぇ~すごいんですねぇ~」
俺は相づちを打ちながら四度ごはんを口へと運ぶ。
「そんなに驚いてないみたいだね…」
「いや…これでも驚いてるよ?」
「そんな風には全く見えないよ…」
那美さんが苦笑いしながらこちらを見る。俺はそれに特に気にせず会話を続ける。
「じゃあ御架月さんの主は耕介さんなんですね」
「はい。耕介様は僕にはもったいないくらいの主です」
「それは俺のセリフだよ御架月」
二人が和やかに会話をする。
なんというか信頼しあっているということが良く分かる風景だ。
その側では十六夜さんと薫さんも仲良さげに会話をしている。その隣では久遠と那美さんも笑顔で笑いあっていた。
俺は傍で唐揚げを食べている相棒を見る。俺にとってのパートナーは相棒だ。俺もこの人達のように、相棒と絆を紡いでいけるような関係でありたいと思った。
心暖まる風景にホッコリした。
なんか癒されやす(゜▽゜)
食欲が増した俺は出されたおかずを全部食べる。ごはんも進む進む。
ギガうめぇっす。
「ごはんのおかわりはいかがですか?」
「お願いします!」
隣の十六夜さんが気を利かせてくれる。この御方はきっといいお嫁さんになれることだろう。…精霊やけどね!!
そして晩御飯をご馳走になった後、俺はさざなみ寮の玄関にいた。そろそろ帰ろうとしたら全員見送りに来てくれたのだ。
「これ良かったら食べて」
と耕介さんが包みを持たせてくれた。
「これは?」
「お弁当だよ。良かったら食べて」
「あ、ありがとうございます!」
何から何までお世話になりっぱなしで何だか申し訳ないな。
「弁当箱は気が向いたときに返しにきてくれたらいいから」
「わ、分かりました。あ、ありがとうございます」
俺はペコリと頭を下げる。とそこに薫さんがやってくる。
「ヒエン君」
「は、はい」
なんだろう…。
また罵倒でもされるのだろうか?
こんなことを考えている時点で、俺の中での薫さんのイメージ像は少しトラウマになっているのかもしれない。
「昨夜、戦ってみて分かったが君は武器を持った相手との戦闘に慣れていないだろう?」
「………はい」
どうやら話の内容は昨日の戦闘に関しての話のようだが…
「昨夜のお詫びといってはなんだが、君が良ければウチと少し稽古をしてみないか?」
「稽古…ですか?」
「ああ。君は武術を嗜んでいるのだろう?ウチも稽古をする上で徒手空拳の相手が丁度欲しいと思っていたところなんだ。稽古の日程は君の都合のつくときで構わない。お互いに悪い話ではないと思うのだがどうだろうか?」
「………」
俺は考える。
薫さんからのこの提案は俺にとって、渡りに船であった。
俺自身、武器戦闘の相手をどうしようかとまさに考えていたところだったからだ。
相手は薫さん。
修行相手には不足はない。むしろこちらが力不足で申し訳ないくらいだ。
勿論、返事は決まっていた。
「よろしくお願いします」
俺は頭を下げる。
「ああ、こちらこそよろしく」
薫さんが笑顔で返してくれた。すると何かメモのような物を俺に渡してきた。
「ウチの携帯番号とメールアドレスだ。日程が決まったら連絡してくれ」
「分かりました」
俺はメモを受け取る。
後で登録しておこう。
「おーおーおー、薫がナンパしてるぞ。積極的だな~」
すると見守っていた真雪さんがからかうような声をあげる。
「な、なななな…何を言うんですか貴方は!?」
薫さんは顔を真っ赤にさせながら真雪さんに突っかかっていた。
俺達はそれを苦笑しながら見ていた。
さて、そろそろ帰るか。
「それじゃ失礼します。色々ありがとうございました」
俺は頭を軽く下げた後、ゆっくりと歩いていく。
「ヒエン君、気をつけてね~」
「は~い」
那美さんが後ろから声をかけてくる。
俺は後ろを振り返ってから軽く手を振った。するとさざなみ寮の全員が振り返してくれる。
そして俺は夜道を歩いていくのだった。
水樹奈々さんがライブで言っていたのですが、今回のなのはの映画は完全新作のオリジナルストーリーで、二部作なそうな。
これは確実に見やんとあかんでしょうー!!!щ(゜▽゜щ)
では、また(・∀・)ノ